JP4831272B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体装置、特に、ショットキーバリアダイオードの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図24に示すように、下側の高濃度n型層100と上側の低濃度n型層101からなる半導体基板の上面にショットキー電極102を配置するとともに基板の下面に裏面電極103を配置したショットキーバリアダイオードにおいて、逆バイアス印加時の耐圧特性を向上させるために、基板上面に部分的にp型領域104を設けた、いわゆるJBS(ジャンクションバリア・コントロールド・ショットキー)構造を採用することがある。このとき、p型領域104の存在のために、正味のショットキー接触面積が減少してしまう。
【0003】
このために、特開平11−8399号公報や特開平11−112005号公報においては、基板上面に溝を設けるとともに、溝の下部にp型領域を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、新規な構成にて素子サイズを増大させることなくショットキー接触面積を確保することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
半導体装置の製造方法として、請求項に記載のように、高濃度n型層とその上の低濃度n型層からなる半導体基板における上面にマスキング材を配置して半導体基板の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層を形成し、半導体基板の上面からp型ドーパントのイオン注入を行い、少なくとも半導体基板の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層の間での表層部にp型領域を形成し、さらに、半導体基板の上面を含めて金属電極をn型エピタキシャル層とショットキー接触するように配置する。その結果、素子サイズを増大させることなくショットキー接触面積を確保することができる半導体装置が得られる。
【0009】
ここで、請求項に記載のように、イオン注入の後に、n型エピタキシャル層を所定の深さまで(例えば、イオン注入によるイオンの打ち込み深さよりも深く)除去すると、n型エピタキシャル層に打ち込まれたp型ドーパントを取り除くことが可能となる。
【0010】
また、請求項に記載のように、高濃度n型層とその上の低濃度n型層からなる半導体基板における上面に、p型ドーパントを含んだマスキング材を配置し、半導体基板の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層を形成するとともに、マスキング材に含まれるp型ドーパントを活性化して少なくとも半導体基板の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層の間での表層部にp型領域を形成し、さらに、半導体基板の上面を含めて金属電極をn型エピタキシャル層とショットキー接触するように配置する。その結果、素子サイズを増大させることなくショットキー接触面積を確保することができる半導体装置が得られる。また、p型ドーパントを注入することなく、p型領域を形成することができ、工程の簡略化が可能になる。
また、マスキング材を除去する工程を省略することができる。
【0011】
ここで、請求項に記載のように、p型ドーパントを含んだマスキング材として、高温で炭化させたレジストを用いることができる。
また、請求項に記載のように、選択的にエピタキシャル成長させた後、マスキング材の上からp型ドーパントのイオン注入を行うとともに、活性化熱処理を行うようにすると、ノックオン現象によりイオン注入のドーパントとマスキング材のドーパントを基板に導入することができる。
【0012】
さらに、請求項に記載のように、予め半導体基板の上面での所定領域の表層部にp型ドーパントを導入しておき、その半導体基板の上にマスキング材を配置するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項に記載のように、半導体基板の上面からn型エピタキシャル層を選択的にエピタキシャル成長する際に、縦方向よりも横方向の方が成長速度が大きくなるようにすると、選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層の断面構造として、下部よりも上部が大きくなるため、ショットキー接触面積が増加するとともに、ショットキー金属電極が剥がれにくくなる。
【0014】
請求項に記載のように、半導体基板の材料としてSiCを用いると、実用上好ましいものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1には、本実施の形態におけるショットキーバリアダイオードの縦断面図を示す。また、図2には、ショットキーバリアダイオードの平面図を示す。
図1において、半導体基板1は、高濃度n型層2とその上の低濃度n型層3からなる。高濃度n型層2はSiC基板よりなり、その上にエピタキシャル成長させた低濃度n型層3が配置されている。半導体基板1の下面には裏面電極8がオーミック接触するように配置されている。裏面電極8の材料にはニッケルやアルミ等が使用される。
【0017】
また、半導体基板1の上面には、選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層4が形成されている。本例では選択エピ層4の平面構造は、図2に示すように、帯状のものを並設している。さらに、図1の半導体基板1の上面を含めてn型エピタキシャル層4とショットキー接触するように金属電極(ショットキー電極)5が配置されている。金属電極5の材料にはニッケル等が使用される。半導体基板1の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層4の間での表層部にはp型領域6が形成されている。このp型領域6により、JBS(ジャンクションバリア・コントロールド・ショットキー)構造が採られていることになる。また、半導体基板1の上面におけるn型エピタキシャル層4の形成領域よりも外側での表層部にはガードリング用p型領域7が形成されている。
【0018】
このように、半導体基板1の上面に溝を掘るのではなく、選択的にエピタキシャル成長させたn層4を設けるとともに、エピタキシャル成長させたn層4の間にJBS構造を成すp型領域6を形成することにより、素子サイズを増大させることなくショットキー接触面積を確保することができるとともに、JBS構造を有することが可能になる。従って、逆方向漏れ電流が小さく、且つ、順方向のオン抵抗の小さなショットキー接触が実現可能になる。
【0019】
次に、JBS構造を有するショットキーバリアダイオードの製造方法を、図3〜図7を用いて説明する。
まず、図3に示すように、高濃度n型層2とその上の低濃度n型層3からなる半導体基板1を用意する。詳しくは、SiC基板2の上にエピタキシャル成長により低濃度n型層3を形成する。そして、半導体基板1における上面にマスキング材10を配置する。この状態で、図4に示すように、半導体基板1の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層4を形成する。
【0020】
引き続き、図5に示すように、半導体基板1の上面からp型ドーパント(例えばボロン)15のイオン注入を行い、少なくとも半導体基板1の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層4の間での表層部にp型領域(詳しくは、p型領域となるドーパント導入領域)を形成する。
【0021】
このイオン注入の後に、図6に示すように、n型エピタキシャル層4を所定の深さt1まで除去する。所定の深さt1とは、イオン注入によるイオンの打ち込み深さよりも深いものである。これにより、n型エピタキシャル層4に打ち込まれたp型ドーパント15を取り除くことができる(n型エピタキシャル層4にイオン注入によるp型ドーパントを入らなくすることができる)。
【0022】
さらに、熱処理により基板1に打ち込んだドーパントの活性化処理を行う。その温度は例えば1500℃程度である。引き続き、マスキング材10を除去した後、図7に示すように、半導体基板1の裏面に電極(裏面電極)8を形成する。さらに、半導体基板1の上面を含めて金属電極(ショットキー電極)5をn型エピタキシャル層4とショットキー接触するように配置する。
【0023】
なお、図5でのイオン注入の際、マスキング材10は残しておいても除去しても、いずれでもよい。
このようにして図1に示すショットキーバリアダイオードが得られる。
【0024】
図3〜図7を用いて説明した製造方法の変形例として、図4の状態から、図8に示すように、n型エピタキシャル層4の上面にマスキング材(例えば、LTO膜)11を配置し、この状態で半導体基板1の上面からp型ドーパント16のイオン注入を行う。その後に、図9に示すように、マスキング材11を除去する。このようにしてもn型エピタキシャル層4にはイオン注入によるp型ドーパント16を入らなくすることができる。
【0025】
次に、図1,2に示したショットキーバリアダイオードの構造の変形例を説明する。
図1における半導体基板1の上面表層部のp型領域6および7が形成されていない形態(図10)にて実施してもよい。
【0026】
また、図11に示すように、選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層20の断面構造として、下部よりも上部が大きくなるようにしてもよい。つまり、n型エピタキシャル層20において下部寸法W1と上部寸法W2との関係において、W2>W1となるようにする。そのためには、図4での選択エピを行うときの成長条件を変える等して、半導体基板1の上面からn型エピタキシャル層(4)を選択的にエピタキシャル成長する際に、縦方向よりも横方向の方が成長速度が大きくなるようにすれば図11の構造が得られる。このようにすると、ショットキー接触面積が増加するとともに、ショットキー金属電極21が後工程にて剥がれにくくなる。
【0027】
図1における半導体基板1の上面表層部にp型領域6のみが形成されている形態(図12)にて実施してもよい。さらに、図1における半導体基板1の上面表層部にp型領域7のみを形成してもよい。
【0028】
また、選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層(4)は、その平面構造として、図13に示すように、符号30で示すごとく角形(または円形)のものを縦横に並べたり、図14に示すように、符号40で示すごとく市松模様に配置してもよい。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0029】
本実施の形態におけるショットキーバリアダイオードの製造方法を、図15〜図17を用いて説明する。
まず、図15に示すように、高濃度n型層2とその上の低濃度n型層3からなる半導体基板1を用意する。そして、半導体基板1における上面にマスキング材50を配置する。このマスキング材50はp型ドーパントを含むものである。詳しくは、マスキング材50は、高温で炭化させたレジストであり、p型ドーパントとして炭素(C)を含んでいる。つまり、所定の領域にレジストを塗布した後に高温処理(例えば1000℃程度)を行って炭化させる。
【0030】
さらに、図16に示すように、半導体基板1の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層4を形成する。このとき、例えば1500℃程度の熱が加わり、マスキング材50中のp型ドーパントが半導体基板1の上面表層部に導入されてp型領域6が形成される。つまり、マスキング材50に含まれるp型ドーパントを活性化して少なくとも半導体基板1の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層4の間での表層部にp型領域6を形成する。
【0031】
その後、図17に示すように、半導体基板1の裏面に電極(裏面電極)8を形成するとともに、半導体基板1の上面を含めて金属電極5をn型エピタキシャル層4とショットキー接触するように配置する。その結果、JBS構造を有するショットキーバリアダイオードが得られる。
【0032】
このように、選択エピ時のマスキング材50としてp型ドーパントを含む材料を用い、選択エピ後に敢えてこれを除去せず、熱処理することによって基板1側にp型領域として活性化させる。このことにより、第1の実施の形態に比べ、p型ドーパントを注入することなく、p型領域6を形成することができ、工程の簡略化が可能になる。つまり、選択エピ後にマスキング材50を除去せずに活性化熱処理することにより、マスキング材がp型のドーパントとして機能し、マスキング材を除去する工程を省略することができる。
【0033】
次に、図15〜図17に示した製造方法の応用例を説明する。
図16の状態から、図18に示すように、半導体基板1の上面からp型ドーパント(例えばボロン)51のイオン注入を行い、少なくとも半導体基板1の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層4の間での表層部にp型ドーパント導入領域を形成する。このとき、ノックオン現象によってイオン注入のドーパントであるボロン51とマスキング材50中のカーボン52が半導体基板1に導入される。
【0034】
その後、活性化熱処理(例えば1500℃以上)を施す。そして、図19に示すように、半導体基板1の裏面に電極(裏面電極)8を形成し、その後、半導体基板1の上面を含めて金属電極5をn型エピタキシャル層4とショットキー接触するように配置する。
【0035】
このように、マスキング材50上から、p型のドーパントをイオン注入し、活性化熱処理することにより、マスキング材50として炭化したレジストを用いた場合、ボロンのみのイオン注入後に活性化熱処理をすることによって、ボロン・カーボンをドーパントとするp型領域6を形成することができる。
【0036】
次に、図15〜図17に代わる製造方法を、図20〜図23を用いて説明する。
まず、図20に示すように、高濃度n型層2とその上の低濃度n型層3からなる半導体基板1を用意する。さらに、半導体基板1の上面での所定領域にp型ドーパント60を打ち込む。このように予め半導体基板1の上面での所定領域の表層部にp型ドーパント60を導入しておいた半導体基板1に対し、図21に示すように、基板1の上に、p型ドーパントを含んだマスキング材50を配置する。
さらに、図22に示すように、半導体基板1の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層4を形成する。
【0037】
選択エピ後に、熱処理を行って予め打ち込んだp型ドーパント60およびマスキング材50に含まれているp型ドーパントを活性化してp型領域61とする。
その後に、図23に示すように、半導体基板1の裏面に電極(裏面電極)8を形成するとともに、半導体基板1の上面を含めて金属電極5をn型エピタキシャル層4とショットキー接触するように配置する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態におけるショットキーバリアダイオードの縦断面図。
【図2】 ショットキーバリアダイオードの平面図。
【図3】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図4】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図5】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図6】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図7】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図8】 別例のショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図9】 別例のショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図10】 別例のショットキーバリアダイオードの縦断面図。
【図11】 別例のショットキーバリアダイオードの縦断面図。
【図12】 別例のショットキーバリアダイオードの縦断面図。
【図13】 別例のショットキーバリアダイオードの平面図。
【図14】 別例のショットキーバリアダイオードの平面図。
【図15】 第2の実施の形態におけるショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図16】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図17】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図18】 別例のショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図19】 別例のショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図20】 他の別例のショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図21】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図22】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図23】 ショットキーバリアダイオードの製造工程を説明するための縦断面図。
【図24】 従来のショットキーバリアダイオードの縦断面図。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…高濃度n型層、3…低濃度n型層、4…n型エピタキシャル層、5…金属電極、6…p型領域、7…ガードリング用p型領域、8…裏面電極、10…マスキング材、20…n型エピタキシャル層、30…n型エピタキシャル層、40…n型エピタキシャル層、50…マスキング材、61…p型領域。

Claims (9)

  1. 高濃度n型層とその上の低濃度n型層からなる半導体基板における上面にマスキング材を配置し、前記半導体基板の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層を形成する工程と、
    前記半導体基板の上面からp型ドーパントのイオン注入を行い、少なくとも半導体基板の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層の間での表層部にp型領域を形成する工程と、
    前記半導体基板の上面を含めて金属電極を前記n型エピタキシャル層とショットキー接触するように配置する工程と、
    を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項に記載の半導体装置の製造方法において、
    イオン注入の後に、n型エピタキシャル層を所定の深さまで除去するようにしたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記所定の深さとは、イオン注入によるイオンの打ち込み深さよりも深いものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 高濃度n型層とその上の低濃度n型層からなる半導体基板における上面に、p型ドーパントを含んだマスキング材を配置する工程と、
    前記半導体基板の上面から選択的にエピタキシャル成長してn型エピタキシャル層を形成するとともに、前記マスキング材に含まれるp型ドーパントを活性化して少なくとも半導体基板の上面における選択的にエピタキシャル成長させたn型エピタキシャル層の間での表層部にp型領域を形成する工程と、
    前記半導体基板の上面を含めて金属電極を前記n型エピタキシャル層とショットキー接触するように配置する工程と、
    を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記p型ドーパントを含んだマスキング材は、高温で炭化させたレジストであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項に記載の半導体装置の製造方法において、
    選択的にエピタキシャル成長させた後、前記マスキング材の上からp型ドーパントのイオン注入を行うとともに、活性化熱処理を行うようにしたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 請求項に記載の半導体装置の製造方法において、
    予め半導体基板の上面での所定領域の表層部にp型ドーパントを導入しておき、その半導体基板の上に前記マスキング材を配置するようにしたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項またはに記載の半導体装置の製造方法において、
    半導体基板の上面からn型エピタキシャル層を選択的にエピタキシャル成長する際に、縦方向よりも横方向の方が成長速度が大きくなるようにしたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
    半導体基板の材料としてSiCを用いたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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