JP4829812B2 - クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法 - Google Patents

クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4829812B2
JP4829812B2 JP2007048441A JP2007048441A JP4829812B2 JP 4829812 B2 JP4829812 B2 JP 4829812B2 JP 2007048441 A JP2007048441 A JP 2007048441A JP 2007048441 A JP2007048441 A JP 2007048441A JP 4829812 B2 JP4829812 B2 JP 4829812B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
creep
voids
void
metal
metal surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007048441A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008209344A (ja
Inventor
拓洋 戒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2007048441A priority Critical patent/JP4829812B2/ja
Publication of JP2008209344A publication Critical patent/JP2008209344A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4829812B2 publication Critical patent/JP4829812B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)

Description

本発明は、金属に対して高温下で応力が負荷された際に生じるクリープボイドを検出する方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法に関する。より詳細には、本発明は、高温下で応力が負荷されるボイラ、熱交換器、圧力容器、反応器、脱硫装置等に用いられる金属材料の残り寿命(余寿命)を予測するためにクリープボイドを検出する方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法に関する。
金属に応力が負荷されると、その内部に塑性変形が生じて、時間と共にその歪みを増す現象(クリープ)が見られることがある。このクリープによって金属の結晶粒界に空隙(クリープボイド)が生じることがあり、これが原因で金属材料に割れが発生したり、ついには破断に至ることもある。
図13は、金属に応力が負荷される時間とクリープ伸びとの関係を示すグラフである。図14は、クリープ伸びが生じた金属表面を拡大観察した状態を示す説明図である。なお、図13中に示す(a)〜(d)における各金属表面を拡大観察したものが、図14(a)〜(d)である。
図13に示すように、金属に応力が負荷される時間の経過と共に、クリープ伸び(変位)は増加する。そして、このクリープ伸びに伴って、図14(a)〜(d)に示すように、金属表面の結晶粒界21にはクリープボイド22が発生する。このクリープボイド22は、応力が負荷される時間の経過と共に増加し[図14(a)〜(c)参照]、図14(d)に示すような多数のクリープボイド22が生じると破断に至る。
したがって、前記ボイラ等の設備においては、その金属材料について、クリープボイドによるクリープ損傷の程度を定期的に評価することが必要である。このクリープ損傷の程度を評価する方法として、従来からボイド面積率法、Aパラメータ法、ボイド個数密度法等が用いられており、例えば以下のようにして行われている。
まず、評価対象の金属表面をグラインダー、リュータ等の研磨装置により研磨し、ついで腐食液(例えば、5〜10%程度の硝酸を含むエタノール等)によりエッチングすることによって金属表面の結晶粒界が現れる。次に、エッチングした金属表面の凹凸をプラスチック被膜に転写し、得られた金属表面のレプリカを光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザ顕微鏡等を用いて観察する。この方法はレプリカ法と呼ばれており、非破壊で評価する必要のある稼働中のボイラ設備等においては、金属表面の状態を前記プラスチック被膜に転写し、このレプリカを観察することによって、金属表面を間接的に評価することができる。
そして、前記ボイド面積率法では、前記被膜観察時の視野に含まれる空隙の面積が視野全体の面積に対して占める割合を計測することによりクリープ損傷の程度を評価する。また、Aパラメータ法では、前記被膜観察により得られた画像上において、クリープが生じた際の主応力方向に任意の線を引き、この線と交差した結晶粒界のうち、損傷した結晶粒界(空隙が生じている結晶粒界)と未損傷の結晶粒界との割合を計測することによりクリープ損傷を評価する。ボイド個数密度法では、前記被膜観察時の視野に含まれる空隙の個数を計測することによりクリープ損傷の程度を評価する。
しかし、金属に生じる空隙には、前記クリープボイドの他に、金属内部に存在する非金属介在物(例えば、Mn、S等の不純物や炭化物等)が前記した研磨過程やエッチング過程において脱落し空隙となったものや、溶接箇所周辺に存在する酸素や窒素が溶接時に抜けきらず溶接金属内で球状となって残存したもの(ブローホール)等があるため、クリープボイドのみを正確に判別するのは困難である。すなわち、このような空隙が多数存在した場合には、実際のクリープ損傷の程度は低いにもかかわらず、上記した従来の評価法では、クリープボイド以外の空隙もクリープボイドとして判別してしまうことがあるため、実際よりもかなり損傷が進行していると誤った判断をすることがあった。
このため、例えば特許文献1には、クリープボイドが結晶粒界に生じるという特性を利用したクリープボイド検出方法が提案されている。
しかしながら、前記した非金属介在物由来の空隙やブローホール等は結晶粒界に生じることもあり、この場合には、これらの空隙もクリープボイドとして判別してしまうため問題があった。
また、クリープボイドが有する形状の特徴を利用して、前記レプリカ観察時に目視により判別するという方法がある。
しかしながら、この方法はクリープボイドを正確に判別できるという利点があるものの、能率が悪く実用性に欠け、正確に判別するには熟練を要するという問題があった。
一方、特許文献2には、金属表面に存在する空隙の針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度を計測することによってクリープボイドとその他の空隙とを判別するクリープボイドの検出方法が記載されている。この検出方法によれば、クリープボイドとその他の空隙とを正確に、かつ簡便に判別することができる。
しかしながら、特許文献2に記載されている検出方法を用いても、クリープボイドとその他の空隙とを判別することができない場合があった。
特開平03−13861号公報 特開2002−365204号公報
本発明の課題は、クリープボイドとその他の空隙とをより正確に、かつ簡便に判別することができるクリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クリープボイドとその他の空隙とは、それぞれ特徴的な形状を有しているという点に着目し、これを特徴付ける特性値を計測することによってクリープボイドとその他の空隙とをより正確に、かつ簡便に判別することができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のクリープボイドの検出方法は、金属に生じたクリープボイドを表面観察により検出する方法において、前記金属表面に存在する空隙の針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積を計測することによって、クリープボイドとその他の空隙とを判別することを特徴とする。
具体的には、前記針状比が1.2〜2.5、前記フェレ径比が20°〜70°、前記主軸の傾斜角度が20°〜160°および前記1個当たりの面積が1μm〜6μmの範囲内にある空隙をクリープボイドとすることで、クリープボイドとその他の空隙とを正確に判別することができる。また、前記金属が低合金鋼であると、本発明の有用性が増す上で好ましい。
本発明のクリープ損傷率の測定方法は、前記した検出方法により得られたクリープボイドの判別結果から、金属のクリープ損傷の程度を評価することを特徴とする。このクリープ損傷の程度を評価する手段としては、ボイド面積率法、Aパラメータ法およびボイド個数密度法から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
本発明によれば、金属表面に存在する空隙の針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積を計測することによってクリープボイドとその他の空隙とをより正確に判別することができるため、クリープによる損傷の程度を精度よく、簡便に評価することができるという効果がある。
本発明のクリープボイドの検出方法は、金属表面に存在する空隙の針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積を計測することによってクリープボイドとその他の空隙とを判別するものである。また、本発明のクリープ損傷率の測定方法は、前記した検出方法により得られた判別結果をもとにして、ボイド面積率法、Aパラメータ法およびボイド個数密度法から選ばれる少なくとも1種を用いてクリープ損傷の程度を評価するものである。以下、本発明にかかるクリープボイドの検出方法およびクリープ損傷率の測定方法の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかる針状比を示す説明図である。図2(a)〜(c)は、本実施形態にかかるフェレ径比を示す説明図である。図3は、本実施形態にかかる主軸の傾斜角度を示す説明図である。図4は、本実施形態にかかる非金属介在物由来の空隙(A系、B系)を示す平面図である。図5は、本実施形態にかかるブローホールを示す平面図である。図6は、本実施形態にかかるクリープボイドの検出手順を示す手順図である。図7は、本実施形態にかかるレプリカをカードボードに固定する方法を示す説明図である。図8は、本実施形態にかかるレプリカをスライドグラスに固定する方法を示す説明図である。
前記針状比とは、図1に示すように、金属表面に存在する空隙1の絶対最大長(a2)とその対角幅(a1)との比を意味するものであり、下記式(I)により算出される値である。
前記フェレ径比とは、図2に示すように、金属表面に存在する空隙1について、その金属に負荷される主応力方向と平行な水平方向フェレ径[図2(a)]と、主応力方向と垂直な垂直方向フェレ径[図2(b)]とを計測し、これらの比を下記式(II)に示す角度θ1[図2(c)]で表したものである。なお、角度θ1の範囲は、0°〜90°である。
ここで、前記主応力方向とは、金属に負荷される種々の応力のうち主なものの方向を意味する。具体的には、例えば前記ボイラ等の設備が長期間にわたり所定の使用方法、操業条件で使用された際に、その金属材料に対して、繰り返し負荷された応力のうち最も頻度の高い応力の方向、あるいは常時負荷された応力の方向等が挙げられる。
前記主軸の傾斜角度とは、図3に示すように、金属表面に存在する空隙1について、その主応力方向と空隙1の主軸1aとのなす角度θ2のことを意味するものであり、下記式(III)により算出される値である。なお、角度θ2の範囲は、0°〜180°である。
前記1個当たりの面積とは、金属表面に存在する複数の空隙のうち1個当たりの面積、すなわち金属表面に存在する空隙1の面積のことを意味する。具体的には、画像処理システムを用いて測定し得られた値である。
ここで、クリープボイドには、主応力方向に対して垂直に近い結晶粒界に生じる、主応力方向に対して垂直な方向に長く伸びる(楕円状)等の特徴がある。
一方、クリープボイド以外のその他の空隙には、前記した非金属介在物の脱落により空隙となったものや前記ブローホール等がある。具体的には、非金属介在物由来の空隙はA系とB系に分類され、図4に示すように、A系とは細長く引き伸ばされた空隙2a、B系とは空隙2aよりも比較的短く引き伸ばされた空隙2bのことを意味する。また、非金属介在物由来の空隙2a、2bは、金属の加工・圧延方向に細長く生じる、発生箇所は結晶粒界に限られない等の特徴がある。ブローホール3は、図5に示すように、球状に近い、発生箇所は結晶粒界に限られない等の特徴がある。
このような特徴を有するクリープボイド等の各空隙について、形状特性(すなわち前記針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積)を計測することにより得られたクリープボイドの判定基準を以下に示す。
<クリープボイドの判定基準>
・針状比が1.2〜2.5の範囲内にあること
・フェレ径比が20°〜70°の範囲内にあること
・主軸の傾斜角度が20°〜160°の範囲内にあること
・1個当たりの面積が1μm〜6μmの範囲内にあること
このようなクリープボイドは、例えば図6に示すような手順1〜5を経て検出することができる。
[手順1(金属表面のレプリカ採取)]
金属表面のレプリカ採取工程は、評価対象である金属表面の凹凸をプラスチックフィルム等に転写する工程である。この転写フィルム(レプリカ)を採取することで、稼働中のボイラ設備等のように直接観察できない金属表面の状態を顕微鏡により観察することができる。レプリカの採取は、例えば以下に示すようなa〜eの工程を経て採取することができる。
a.表面研磨工程
この表面研磨工程では、評価対象の金属表面をグラインダーやリュータ等の小型研磨装置を用いて研磨する。ついで#60(粗)から#800(細)までの砥石により研磨し、最後にアルミナやダイヤモンド等のペーストを用いてバフ(鏡面)仕上げを行う。
b.表面洗浄工程
前記表面研磨工程で生じた研磨くず等を除去する目的で、金属表面をエタノール等の洗浄剤により洗浄する。
c.エッチング工程
鏡面仕上げした金属表面を、例えば5〜10%程度の硝酸を含むエタノール等の腐食液を用いてエッチングを行う。このエッチングにより金属の結晶粒界が現れる。
d.表面洗浄工程
前記エッチング工程で付着した腐食液を金属表面から除去する目的で、金属表面をエタノール等の洗浄剤で洗浄する。
e.レプリカ採取工程
アセチルセルロースフィルム等のプラスチックフィルムをアセトンに約1秒間浸漬した後、すぐにエッチングした金属表面に貼り付ける。約1分でフィルムが乾燥し、金属表面の凹凸が転写されたレプリカが得られる。
[手順2(採取したレプリカの顕微鏡観察)]
a.採取したレプリカの固定
手順1で得られたレプリカを顕微鏡観察するために固定する。固定方法としては、特に限定されるものではなく、例えば図7に示すように、中央部に穴12の空いたカードボード11に、得られたレプリカ13を貼付して固定する、図8に示すように、レプリカ13をスライドグラス14,14間に挟み込んで固定する等の方法が挙げられる。
b.レプリカの観察
カードボード、スライドグラス等に固定されたレプリカ13について、その表面を顕微鏡にて観察する。前記顕微鏡としては、例えば光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、レーザ顕微鏡等が挙げられる。
[手順3(観察した画像をもとに形状特性計測)]
手順2で得られた観察画像をもとに、観察視野中の各空隙について形状特性(すなわち前記針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積)を計測する。各形状特性の計測方法は特に限定されないが、画像処理システム(例えば、三谷社製の画像処理ソフト「SALT」等)を用いることで迅速に、かつ正確に計測することができる。
[手順4(クリープボイドであるか否かの判定)]
次に、手順3で計測された空隙の各形状特性値に基づいて、クリープボイドであるか否かの判定を行う。クリープボイドの判定は前記判定基準に基づいて行い、判定基準の範囲内にある空隙はクリープボイドと判定され、その他の空隙と区別される。
[手順5(クリープ損傷率の算出)]
最後に、手順4で判別されたクリープボイドのデータ(クリープボイドの面積、個数等)に基づいて、前記したボイド面積率法、Aパラメータ法、ボイド個数密度法等の手法を用いてクリープ損傷率を算出する。具体的には、例えばAパラメータ法を用いた場合には、前記観察画像上において、主応力方向に任意の線を引き、この線と交差した結晶粒界のうち、損傷した結晶粒界(クリープボイドが生じた結晶粒界)の個数(n)と、未損傷の結晶粒界の個数(n)とを数え、それらの値を下記式(IV)に当てはめてクリープ損傷率(A)を算出する。
本実施形態のクリープボイドの検出方法にかかる金属の材質としては、特に限定されないが、例えばボイラ、熱交換器、圧力容器、反応器、脱硫装置等の材料として好適に用いられている低合金鋼を対象とすることができる。低合金鋼としては、表1に示す日本工業規格(JIS G3458,G3462,G4110)に規定されているように、例えば配管用合金鋼鋼管(STPA22,STPA23,STPA24)、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管(STBA22,STBA23,STBA24)、ボイラ及び圧力容器用クロムモリブデン鋼(SCMV2,SCMV3,SCMV4)等が挙げられる。
例えば、前記反応器や脱硫装置は、450℃以上の条件下で10年以上使用されることもあり、定期的にクリープによる損傷の程度を評価する必要がある。これらの評価には、以上のような本発明のクリープボイドの検出方法が好適である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
ボイラ設備(材質:STPA22)の金属表面からレプリカを採取し、クリープボイドが有している形状特性について評価した。形状特性の評価は、針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積について実施した。
具体的には、まず、前記手順1の方法を用いて、ボイラ設備における金属表面のレプリカを採取した。ついで、前記手順2の方法を用いて、走査型電子顕微鏡(SEM)でレプリカの観察を行い、得られた画像からレプリカに転写されている金属表面の複数の空隙のうち、クリープボイドを目視で判別した。
次に、判別されたクリープボイドの形状特性を計測した。形状特性の計測は、前記で説明した方法および前記式(I)〜(III)を用いて、クリープボイド134個について行った。なお、評価対象とした金属に負荷されていた主応力方向と、その金属の加工・圧延方向との関係については、下記に示す(イ),(ロ)2通りの場合について評価した。
(イ)主応力方向と加工・圧延方向とが略平行の場合
(ロ)主応力方向と加工・圧延方向とが略垂直の場合
集計した形状特性値のうち、針状比、フェレ径比および主軸の傾斜角度の範囲については、前記(イ)の場合の結果を図9(a)〜(c)、前記(ロ)の場合の結果を図10(a)〜(c)にそれぞれ示す。また、1個当たりの面積については、前記(イ)の場合と前記(ロ)の場合とを合わせて評価した。その結果をヒストグラムで表したものを図11に示す。
図9,図10から明らかなように、クリープボイドは、針状比が1.2〜2.5、フェレ径比が20°〜70°、主軸の傾斜角度が20°〜160°の範囲内にあることがわかる。また、図11から明らかなように、クリープボイドは、1個当たりの面積が1.5μmをピークとして1μm〜6μmの範囲内にあることがわかる。
ボイラ設備(材質:STPA22)の金属表面からレプリカを採取し、クリープボイド以外のその他の空隙が有している形状特性について評価した。形状特性の評価は、針状比、フェレ径比、主軸の傾斜角度および1個当たりの面積について実施した。
まず、前記手順1の方法を用いて、ボイラ設備における金属表面のレプリカを採取した。ついで、前記手順2の方法を用いて、走査型電子顕微鏡(SEM)でレプリカの観察を行い、得られた画像からレプリカに転写されている金属表面の複数の空隙のうち、クリープボイド以外のその他の空隙A,Bを目視で判別した。その結果を、図12(a),(b)に示す。
次に、判別された空隙A,Bの形状特性を前記実施例1と同様にして計測した。その結果を、表2に示す。なお、表2中に、前記クリープボイドの判定基準も併せて示す。
表2から明らかなように、空隙Aおよび空隙Bは、いずれも針状比、フェレ径比および主軸の傾斜角度は、クリープボイドの判定基準の範囲内にあるものの、1個当たりの面積が判定基準の範囲外にあるので、空隙A,Bは、クリープボイドではないと判別することができる。よって、本発明にかかるクリープボイドの判定基準は、クリープボイドとその他の空隙とをより正確に、かつ簡便に判別することができる基準となり得ることがわかる。
本発明の一実施形態にかかる針状比を示す説明図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかるフェレ径比を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかる主軸の傾斜角度を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかる非金属介在物由来の空隙(A系、B系)を示す平面図である。 本発明の一実施形態にかかるブローホールを示す平面図である。 本発明の一実施形態にかかるクリープボイドの検出手順を示す手順図である。 本発明の一実施形態にかかるレプリカをカードボードに固定する方法を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかるレプリカをスライドグラスに固定する方法を示す説明図である。 (a)〜(c)は、実施例1における主応力方向と加工・圧延方向とが略平行の場合において各形状特性値の範囲を表した図である。 (a)〜(c)は、実施例1における主応力方向と加工・圧延方向とが略垂直の場合において各形状特性値の範囲を表した図である。 実施例1おけるクリープボイド1個当たりの面積をヒストグラムで表したグラフである。 (a),(b)は、実施例2におけるレプリカ表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大画像である。 金属に応力が負荷される時間とクリープ伸びとの関係を示すグラフである。 (a)〜(d)は、クリープ伸びが生じた金属表面を拡大観察した状態を示す説明図である。
符号の説明
1 空隙
2a 非金属介在物由来の空隙(A系)
2b 非金属介在物由来の空隙(B系)
3 ブローホール
11 カードボード
12 穴
13 レプリカ
14 スライドグラス
θ1 フェレ径比
θ2 主軸の傾斜角度

Claims (4)

  1. 金属に生じたクリープボイドを表面観察によりクリープボイドとその他の空隙とを判別するクリープボイドの検出方法であって
    前記金属表面に存在する空隙の針状比が1.2〜2.5、フェレ径比が20°〜70°、主軸の傾斜角度が20°〜160°および1個当たりの面積が1μm 2 〜6μm 2 の範囲内にある空隙を、クリープボイドとすることを特徴とするクリープボイドの検出方法。
  2. 前記金属が低合金鋼である請求項1に記載のクリープボイドの検出方法。
  3. 請求項1または2に記載の検出方法により得られたクリープボイドの判別結果から、金属のクリープ損傷の程度を評価することを特徴とするクリープ損傷率の測定方法。
  4. 前記クリープ損傷の程度を評価する手段が、ボイド面積率法、Aパラメータ法およびボイド個数密度法から選ばれる少なくとも1種である請求項記載のクリープ損傷率の測定方法。
JP2007048441A 2007-02-28 2007-02-28 クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法 Expired - Fee Related JP4829812B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007048441A JP4829812B2 (ja) 2007-02-28 2007-02-28 クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007048441A JP4829812B2 (ja) 2007-02-28 2007-02-28 クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008209344A JP2008209344A (ja) 2008-09-11
JP4829812B2 true JP4829812B2 (ja) 2011-12-07

Family

ID=39785755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007048441A Expired - Fee Related JP4829812B2 (ja) 2007-02-28 2007-02-28 クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4829812B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013079916A (ja) * 2011-10-05 2013-05-02 Chugoku Electric Power Co Inc:The クリープ損傷を受ける金属の余寿命診断方法及び診断装置
JP5399460B2 (ja) * 2011-11-11 2014-01-29 中国電力株式会社 クリープ損傷を受ける金属の余寿命診断方法及び診断装置
JP2013140095A (ja) * 2012-01-05 2013-07-18 Chugoku Electric Power Co Inc:The クリープ損傷を受ける金属の余寿命診断装置および余寿命診断プログラム
CN102798583B (zh) * 2012-07-13 2014-07-30 长安大学 一种基于改进的ferret的矿岩块度测量方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0313861A (ja) * 1989-06-12 1991-01-22 Toshiba Corp 金属損傷の検出方法
JPH08124144A (ja) * 1994-10-25 1996-05-17 Toray Ind Inc 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム
JP4031608B2 (ja) * 2000-04-18 2008-01-09 三菱重工業株式会社 材料の寿命評価方法
JP3771809B2 (ja) * 2001-05-07 2006-04-26 三菱重工業株式会社 材料寿命の評価システム
JP2002365204A (ja) * 2001-06-12 2002-12-18 Sumitomo Chem Co Ltd クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法
JP2003315251A (ja) * 2002-04-25 2003-11-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 耐熱鋼の高温損傷評価方法
JP2004212366A (ja) * 2003-01-09 2004-07-29 Mitsubishi Heavy Ind Ltd クリープ損傷検出方法
JP2005030846A (ja) * 2003-07-10 2005-02-03 Sumitomo Chem Co Ltd クリープボイドの検出方法
JP4404616B2 (ja) * 2003-12-12 2010-01-27 積水化学工業株式会社 導電性微粒子の製造方法
JP5204950B2 (ja) * 2005-08-04 2013-06-05 川崎重工業株式会社 材料組織観察装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008209344A (ja) 2008-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5612844B2 (ja) 再熱割れ感受性の判定方法
JP3652943B2 (ja) 金属材料の損傷評価方法及び装置
JP4829812B2 (ja) クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法
WO2003060507A1 (fr) Acier pour roulements, procede d'evaluation d'inclusions de grandes dimensions dans ledit acier, et roulement
CN102031519A (zh) 离心风机轴承座磨损后的激光修复方法
JP2011202253A (ja) 洗浄性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP4616778B2 (ja) 高強度鋼溶接部の寿命評価方法
CN104596472A (zh) 一种乙烯裂解炉管磁记忆检测及安全评估方法
JP3944568B2 (ja) 疲労試験による金属材料中の欠陥検査方法。
CN104007177A (zh) 冷拔无缝钢管心部的微孔状缺陷的检测方法
CN113933194B (zh) 在役蒸汽管道焊接接头软化区硬度和强度检测方法
JP2002365204A (ja) クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法
JP2012012697A (ja) 拡管性に優れる油井用電縫鋼管及びその製造方法
JP4331042B2 (ja) 金属材料の脆化度非破壊評価方法
CN113610812B (zh) 超声振动磨削光学玻璃亚表面裂纹形式判别与影响因素的权重解算方法
JP6607178B2 (ja) 管材の応力腐食割れ試験方法
Amend In-situ analyses to characterize the properties and metallurgical attributes of in-service piping
JP2006198649A (ja) Hcr可否判定方法
CN110806357A (zh) 一种基于低温破断断口评估高温蠕变损伤的方法
JP5794927B2 (ja) 浸炭深さ評価方法及び配管の寿命評価方法
Byrne et al. Meaningful tests for the quality of Superduplex Stainless Steels (SDSS)
JP3510437B2 (ja) 薄鋼板製品の評価方法
CN112504797B (zh) 一种金属锻件k1c试样辨别取样方向的测试方法
CN113740140B (zh) 一种火电厂用铁素体钢焊接接头的失效风险等级获取方法
CN111426687B (zh) 一种圆钢晶界氧化检测方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110913

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110916

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees