JP2002365204A - クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法 - Google Patents

クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法

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JP2002365204A JP2001176824A JP2001176824A JP2002365204A JP 2002365204 A JP2002365204 A JP 2002365204A JP 2001176824 A JP2001176824 A JP 2001176824A JP 2001176824 A JP2001176824 A JP 2001176824A JP 2002365204 A JP2002365204 A JP 2002365204A
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Takahisa Hoshika
貴久 星加
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリープボイドとその他の空隙とを正確に、
かつ簡便に判別することができるクリープボイドの検出
方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法を提
供することである。 【解決手段】 金属に生じたクリープボイドを表面観察
により検出する方法において、前記金属表面に存在する
空隙のフェレ径比、主軸の傾斜角度および針状比を計測
することによってクリープボイドとその他の空隙とを判
別する。判別結果をもとにして、ボイド面積率法、Aパ
ラメータ法およびボイド個数密度法から選ばれる少なく
とも一種を用いてクリープ損傷の程度を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属に対して高温
下で応力が負荷された際に生じるクリープボイドを検出
する方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法
に関する。さらに詳しくは、本発明は、高温下で応力が
負荷されるボイラ、熱交換器、圧力容器、反応器、脱硫
装置等に用いられる金属材料の残り寿命を予測するため
にクリープボイドを検出する方法およびこれを用いたク
リープ損傷率の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属に応力が負荷されると、その内部に
塑性変形が生じて、時間とともにその歪みを増す現象
(クリープ)が見られることがある。このクリープによ
って金属の結晶粒界に空隙(クリープボイド)が生じる
ことがあり、これが原因で金属材料に割れが発生した
り、ついには破断に至ることもある。
【0003】図11は、金属に応力が負荷される時間と
クリープ伸びとの関係を示したものである。金属に応力
が負荷されるとともに、クリープ伸び(変位)が増加す
る。図11に示す状態(a)〜(d)における金属表面
を拡大観察したものが、図12に示す(a)〜(d)で
ある。このように、前記クリープ伸びに伴って、金属表
面の結晶粒界21にはクリープボイド22が発生する。
このクリープボイド22は、応力が負荷される時間の経
過とともに増加し(図12に示す(a)から(c)のよ
うに増加)、図12に示す(d)のように多数のクリー
プボイド22が生じると破断に至る。
【0004】したがって、前記ボイラ等の設備において
は、その金属材料について、クリープボイドによるクリ
ープ損傷の程度を定期的に評価することが必要である。
このクリープ損傷の程度を評価する方法として、従来か
らボイド面積率法、Aパラメータ法、ボイド個数密度法
等が用いられており、例えば以下のようにして行われて
いる。
【0005】まず、評価対象の金属表面をグラインダ
ー、リュータ等の研磨装置により研磨し、ついで腐食液
(例えば、5〜10%程度の硝酸を含むエタノール等)
によりエッチングすることによって金属表面の結晶粒界
が現れる。次に、エッチングした金属表面の凹凸をプラ
スチック被膜に転写し、得られた金属表面のレプリカを
光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザ顕微鏡等を用い
て観察する。この方法はレプリカ法と呼ばれており、非
破壊で評価する必要のある稼働中のボイラ設備等におい
ては、金属表面の状態を前記プラスチック被膜に転写
し、このレプリカを観察することによって、金属表面を
間接的に評価することができる。
【0006】ボイド面積率法では、前記被膜観察時の視
野に含まれる空隙の面積が視野全体の面積に対して占め
る割合を計測することによりクリープ損傷の程度を評価
する。Aパラメータ法では、前記被膜観察により得られ
た画像上において、クリープが生じた際の主応力方向に
任意の線を引き、この線と交差した結晶粒界のうち、損
傷した結晶粒界(空隙が生じている結晶粒界)と未損傷
の結晶粒界との割合を計測することによりクリープ損傷
を評価する。ボイド個数密度法では、前記被膜観察時の
視野に含まれる空隙の個数を計測することによりクリー
プ損傷の程度を評価する。
【0007】しかし、金属に生じる空隙には、前記クリ
ープボイドの他に、金属内部に存在する非金属介在物
(例えば、Mn、S等の不純物や炭化物等)が前記した
研磨過程やエッチング過程において脱落し空隙となった
ものや溶接箇所周辺に存在する酸素や窒素が溶接時に抜
けきらず溶接金属内で球状となって残存したもの(ブロ
ーホール)等があるため、クリープボイドのみを正確に
判別するのが困難である。すなわち、このような空隙が
多数存在した場合、実際のクリープ損傷の程度は低いに
もかかわらず、上記した従来の評価法では、クリープボ
イド以外の空隙もクリープボイドとして判別してしまう
ことがあるため、実際よりもかなり損傷が進行している
と誤った判断をすることがあった。
【0008】このため、クリープボイドが結晶粒界に生
じるという特性を利用したクリープボイド検出方法(特
開平03−13861号公報)が提案されているが、前
記した非金属介在物由来の空隙やブローホール等は結晶
粒界に生じることもあり、この場合には、これらの空隙
もクリープボイドとして判別してしまうため問題があっ
た。また、クリープボイドが有する形状の特徴を利用し
て、前記レプリカ観察時に目視により判別するという方
法が用いられている。この方法はクリープボイドを正確
に判別できるという利点があるものの、能率が悪く実用
性に欠け、正確に判別するには熟練を要するという問題
があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、クリ
ープボイドとその他の空隙とを正確に、かつ簡便に判別
することができるクリープボイドの検出方法およびこれ
を用いたクリープ損傷率の測定方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クリープボイドとそ
の他の空隙は、それぞれ特徴的な形状を有しているとい
う点に着目し、これを特徴付ける特性値を計測すること
によってクリープボイドとその他の空隙とを正確に、か
つ簡便に判別することができるという新たな事実を見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のク
リープボイドの検出方法は、金属に生じたクリープボイ
ドを表面観察により検出する方法において、前記金属表
面に存在する空隙の針状比とフェレ径比および/または
主軸の傾斜角度とを計測することによってクリープボイ
ドとその他の空隙とを判別することを特徴とする。
【0011】具体的には、前記針状比が1.2〜2.
5、前記フェレ径比が35〜70度および前記主軸の傾
斜角度が30〜160度の範囲内にある空隙をクリープ
ボイドとすることで、クリープボイドとその他の空隙と
を正確に判別することができる。
【0012】本発明のクリープ損傷率の測定方法は、前
記した検出方法により得られたクリープボイドの判別結
果から、金属のクリープ損傷の程度を評価することを特
徴とする。このクリープ損傷の程度を評価する手段とし
ては、ボイド面積率法、Aパラメータ法およびボイド個
数密度法から選ばれる少なくとも一種であるのが好まし
い。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を詳細
に説明する。本発明のクリープボイドの検出方法は、金
属表面に存在する空隙の針状比、フェレ径比および主軸
の傾斜角度を計測することによってクリープボイドとそ
の他の空隙とを判別するものである。また、本発明のク
リープ損傷率の測定方法は、前記した検出方法により得
られた判別結果をもとにして、ボイド面積率法、Aパラ
メータ法およびボイド個数密度法から選ばれる少なくと
も一種を用いてクリープ損傷の程度を評価するものであ
る。
【0014】前記フェレ径比とは、図1に示すように、
金属表面に存在する空隙1について、その金属に負荷さ
れる主応力方向と平行な水平方向フェレ径(図1
(a))と主応力方向と垂直な垂直方向フェレ径(図1
(b))とを計測し、これらの比を〔数1〕に示す角度
θ1で表したものである。
【0015】ここで、主応力方向とは、金属に負荷され
る種々の応力のうち主なものの方向をいい、具体的に
は、例えば前記ボイラ等の設備が長期間にわたり所定の
使用方法、操業条件で使用された際に、その金属材料に
対して、繰り返し負荷された応力のうち最も頻度の高い
応力の方向、あるいは常時負荷された応力の方向をい
う。
【0016】
【数1】
【0017】前記主軸の傾斜角度とは、図2に示すよう
に、金属表面に存在する空隙1について、その主応力方
向と空隙1の主軸とのなす角度θ2のことをいう。角度
θ2は、〔数2〕により求められる。
【0018】
【数2】
【0019】前記針状比とは、図3に示すように、金属
表面に存在する空隙1の絶対最大長(a2)とその対角
幅(a1)との比をいい、〔数3〕により求められる。
【0020】
【数3】
【0021】前記クリープボイドは、主応力方向に対し
て垂直に近い結晶粒界に生じる、主応力方向に対して垂
直な方向に長く伸びる(楕円状)等の特徴がある。
【0022】クリープボイド以外のその他の空隙には、
前記した非金属介在物の脱落により空隙となったものや
前記ブローホール等がある。非金属介在物由来の空隙は
A系とB系に分類され、図4に示すように、A系とは細
長く引き伸ばされた空隙2aのことで、B系とは比較的
短く引き伸ばされた空隙2bのことをいう。また、非金
属介在物由来の空隙2a、2bは、金属の加工・圧延方
向に細長く生じる、発生箇所は結晶粒界に限られない等
の特徴がある。一方、図5に示すように、ブローホール
3は、球状に近い、発生箇所は結晶粒界に限られない等
の特徴がある。
【0023】このような特徴を有するクリープボイド等
の各空隙について、前記フェレ径比等の各形状特性を計
測することにより得られたクリープボイドの判定基準を
以下に示す。 <判定基準> ・フェレ径比が35〜70度の範囲内にあること ・主軸の傾斜角度が30〜160度の範囲内にあること ・針状比が1.2〜2.5の範囲内にあること
【0024】図6には、本発明におけるクリープボイド
の検出手順を示す。 手順1(金属表面のレプリカ採取) 金属表面のレプリカ採取工程は、評価対象である金属表
面の凹凸をプラスチックフィルム等に転写する工程であ
る。この転写フィルム(レプリカ)を採取することで、
稼働中のボイラ設備等のように直接観察できない金属表
面の状態を顕微鏡により観察することができる。レプリ
カの採取方法を以下に示す。
【0025】a.表面研磨工程 この表面研磨工程では、評価対象の金属表面をグライン
ダーやリュータなどの小型研磨装置を用いて研磨する。
ついで#60(粗)から#800(細)までの砥石によ
り研磨し、最後にアルミナやダイヤモンドのペーストを
用いてバフ(鏡面)仕上げを行う。 b.表面洗浄工程 前記表面研磨工程で生じた研磨くず等を除去する目的
で、金属表面をエタノール等の洗浄剤により洗浄する。 c.エッチング工程 鏡面仕上げした金属表面を、例えば5〜10%程度の硝
酸を含むエタノール等の腐食液を用いてエッチングを行
う。このエッチングにより金属の結晶粒界が現れる。 d.表面洗浄工程 前記エッチング工程で付着した腐食液を金属表面から除
去する目的で、金属表面をエタノール等の洗浄剤で洗浄
する。 e.レプリカ採取工程 アセチルセルロースフィルム等のプラスチックフィルム
をアセトンに約1秒間浸漬した後、すぐにエッチングし
た金属表面に貼り付ける。約1分でフィルムが乾燥し、
金属表面の凹凸が転写されたレプリカが得られる。
【0026】手順2(採取したレプリカの顕微鏡観察) a.採取したレプリカの固定 図7に示すように、手順1で得られたレプリカ13を顕
微鏡観察するために、中央部に穴12の空いたカードボ
ード11に貼り付けるか、あるいは図8に示すように、
レプリカ13をスライドグラス14、14間に挟み込む
等して固定する。 b.レプリカの観察 カードボード、スライドグラス等に固定されたレプリカ
13は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザ顕微鏡
等により表面観察される。
【0027】手順3(観察した画像をもとに形状特性計
測) 手順2で得られた観察画像をもとに、観察視野中の各空
隙について前記フェレ径比、方向および針状比を計測す
る。各形状特性の計測方法は特に限定されないが、画像
処理システム(例えば、三谷社製画像処理ソフトSAL
T)を用いることで迅速に、かつ正確に計測することが
できる。
【0028】手順4(クリープボイドであるか否かの判
定) 次に、手順3で計測された空隙の各形状特性値に基づい
て、クリープボイドであるか否かの判定を行う。クリー
プボイドの判定は前記判定基準に基づいて行い、判定基
準の範囲内にある空隙はクリープボイドと判定され、そ
の他の空隙と区別される。
【0029】手順5(クリープ損傷率の算出) 最後に、手順4で判別されたクリープボイドのデータ
(クリープボイドの面積、個数等)に基づいて、前記し
たボイド面積率法、Aパラメータ法、ボイド個数密度法
等の手法を用いてクリープ損傷率を算出する。具体的に
は、例えばAパラメータ法を用いた場合、前記観察画像
上において、主応力方向に任意の線を引き、この線と交
差した結晶粒界のうち、損傷した結晶粒界(クリープボ
イドが生じた結晶粒界)と未損傷の結晶粒界の個数を数
え、〔数4〕によりクリープ損傷率(A)を算出する。
【0030】
【数4】
【0031】本発明のクリープボイドの検出方法におけ
る前記金属の材質としては、特に限定されないが、例え
ばボイラ、熱交換器、圧力容器、反応器、脱硫装置等の
材料として好適に用いられている低合金鋼を対象とする
ことができる。低合金鋼としては、表1に示す日本工業
規格(JIS G3458、G3462、G4110)
に規定されているように、例えば配管用合金鋼鋼管(S
TPA22、STPA23、STPA24)、ボイラ・
熱交換器用合金鋼鋼管(STBA22、STBA23、
STBA24)、ボイラ及び圧力容器用クロムモリブデ
ン鋼(SCMV2、SCMV3、SCMV4)等が挙げ
られる。
【0032】
【表1】
【0033】例えば、前記反応器や脱硫装置は、450
℃以上の条件下で10年以上使用されることもあり、定
期的にクリープによる損傷の程度を評価する必要があ
る。これらの評価には、以上のような本発明のクリープ
ボイドの検出方法が好適である。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0035】実施例 ボイラ設備(材質:STPA22)の金属表面からレプ
リカを採取し、クリープボイドとその他の空隙が有して
いる形状特性について評価した。形状特性の評価は、フ
ェレ径比、主軸の傾斜角度および針状比について実施し
た。
【0036】まず、前記手順1の方法を用いて、ボイラ
設備における金属表面のレプリカを採取した。ついで、
前記手順2の方法を用いて、走査型電子顕微鏡でレプリ
カの観察を行い、得られた画像からレプリカに転写され
ている金属表面の各空隙が下記〜のどの空隙である
かを目視で判別した。 空隙の種類 クリープボイド 非金属介在物由来の空隙(A系) 非金属介在物由来の空隙(B系) ブローホール
【0037】次に、判別された各空隙の形状特性を計測
した。形状特性の計測は、前記〔数1〕〜〔数3〕を用
いて行った。なお、評価対象とした金属に負荷されてい
た主応力方向と、その金属の加工・圧延方向との関係に
ついては、下記の2通りの場合について評価した。 (イ)主応力方向と加工・圧延方向とが略平行の場合 (ロ)主応力方向と加工・圧延方向とが略垂直の場合
【0038】各空隙毎に集計した形状特性値の範囲を図
9(主応力方向と加工・圧延方向とが略平行の場合)、
図10(主応力方向と加工・圧延方向とが略垂直の場
合)に示す。
【0039】(イ)主応力方向と加工・圧延方向とが略
平行の場合 <フェレ径比について>図9(a)に示すように、クリ
ープボイドのフェレ径比は35°〜70°の範囲にあ
り、非金属介在物由来の空隙(A系)のフェレ径比は0
°〜25°、非金属介在物由来の空隙(B系)のフェレ
径比は10°〜35°の範囲にあるため、クリープボイ
ドと非金属介在物由来の空隙(A系、B系)とを明確に
判別する基準となりうることがわかる。ただし、ブロー
ホールの範囲はクリープボイドの範囲と重複する。
【0040】<主軸の傾斜角度について>図9(b)に
示すように、クリープボイドの主軸の傾斜角度は30°
〜160°の範囲にあり、非金属介在物由来の空隙(A
系)の主軸の傾斜角度は0°〜20°および160°〜
180°、非金属介在物由来の空隙(B系)の主軸の傾
斜角度は0°〜20°および160°〜180°の範囲
にあるため、クリープボイドと非金属介在物由来の空隙
(A系、B系)とを明確に判別する基準となりうること
がわかる。ただし、ブローホールの主軸の傾斜角度はク
リープボイドの範囲と重複する。
【0041】<針状比について>図9(c)に示すよう
に、クリープボイドの針状比は1.2〜2.5の範囲に
あり、非金属介在物由来の空隙(A系)の針状比は3.
9以上、ブローホールの針状比は1.0〜1.2の範囲
にあるため、クリープボイドと非金属介在物由来の空隙
(A系)およびブローホールとを明確に判別する基準と
なりうることがわかる。ただし、非金属介在物由来の空
隙(B系)とクリープボイドとは、針状比が1.6〜
2.5の範囲で重複する(2.5以上の部分については
判別可能)。
【0042】以上より、図9の(a)、(b)、(c)
の結果を総合すると、主応力方向と加工・圧延方向とが
略平行の場合は、クリープボイドとその他の空隙とを正
確に判別することができた。また、主応力方向と加工・
圧延方向とが略平行の場合は、少なくとも針状比(図9
(c))とフェレ径比(図9(a))の2つの形状特
性、あるいは針状比と主軸の傾斜角度(図9(b))の
2つの形状特性を評価することでクリープボイドとその
他の空隙とを正確に判別することも可能である。この判
別結果をもとにして、ボイド面積率法、Aパラメータ
法、ボイド個数密度法の各手段を用いてクリープ損傷率
を測定することができた。
【0043】(ロ)主応力方向と加工・圧延方向とが略
垂直の場合 図10の(a)、(b)、(c)に示すように、クリー
プボイドは、前記した略平行の場合と同様に、フェレ径
比が35°〜70°の範囲、主軸の傾斜角度が30°〜
160°の範囲、針状比が1.2〜2.5の範囲にあ
り、クリープボイドとその他の空隙とをほぼ正確に判別
することができた。この判別結果をもとにして、ボイド
面積率法、Aパラメータ法、ボイド個数密度法の各手段
を用いてクリープ損傷率を測定することができた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、金属表面に存在する空
隙のフェレ径比、主軸の傾斜角度および針状比を計測す
ることによってクリープボイドとその他の空隙とを正確
に判別することができるため、クリープによる損傷の程
度を精度よく、簡便に評価することができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において計測するフェレ径比を表す説明
図である。
【図2】本発明において計測する主軸の傾斜角度を表す
説明図である。
【図3】本発明において計測する針状比を表す説明図で
ある。
【図4】非金属介在物由来の空隙(A系、B系)を表す
平面図である。
【図5】ブローホールを表す平面図である。
【図6】本発明におけるクリープボイドの検出手順を示
す手順図である。
【図7】レプリカをカードボードに固定する方法を示す
説明図である。
【図8】レプリカをスライドグラスに固定する方法を示
す説明図である。
【図9】主応力方向と加工・圧延方向とが略平行の場合
における各形状特性値の範囲を表した図である。
【図10】主応力方向と加工・圧延方向とが略垂直の場
合における各形状特性値の範囲を表した図である。
【図11】金属に応力が負荷される時間とクリープ伸び
との関係を示したグラフである。
【図12】クリープ伸びが生じた金属表面を拡大観察し
た状態を示した説明図である。
【符号の説明】
1 空隙 2a 非金属介在物由来の空隙(A系) 2b 非金属介在物由来の空隙(B系) 3 ブローホール 11 カードボード 12 穴 13 レプリカ 14 スライドグラス θ1 フェレ径比(度) θ2 主軸の傾斜角度(度)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G050 AA01 BA10 BA12 CA01 DA01 EA01 EA10 EB07 2G052 AA12 AB00 AC23 AC25 AD12 AD32 AD52 BA02 BA11 DA07 EC08 EC12 EC14 FC02 FC15 FD03 GA31 GA32 GA35 JA03 JA09 2G055 AA01 BA07 BA09 BA11 DA08 DA26 EA06 EA08 EA10 FA02 FA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属に生じたクリープボイドを表面観察に
    より検出する方法において、前記金属表面に存在する空
    隙の針状比とフェレ径比および/または主軸の傾斜角度
    とを計測することによってクリープボイドとその他の空
    隙とを判別することを特徴とするクリープボイドの検出
    方法。
  2. 【請求項2】前記針状比が1.2〜2.5、前記フェレ
    径比が35°〜70°および前記主軸の傾斜角度が30
    °〜160°の範囲内にある空隙をクリープボイドとす
    る請求項1記載のクリープボイドの検出方法。
  3. 【請求項3】前記金属が低合金鋼である請求項1または
    2記載のクリープボイドの検出方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の検出方法
    により得られたクリープボイドの判別結果から、金属の
    クリープ損傷の程度を評価することを特徴とするクリー
    プ損傷率の測定方法。
  5. 【請求項5】前記クリープ損傷の程度を評価する手段
    が、ボイド面積率法、Aパラメータ法およびボイド個数
    密度法から選ばれる少なくとも一種である請求項4記載
    のクリープ損傷率の測定方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008209344A (ja) * 2007-02-28 2008-09-11 Sumitomo Chemical Co Ltd クリープボイドの検出方法およびこれを用いたクリープ損傷率の測定方法
JP2013140095A (ja) * 2012-01-05 2013-07-18 Chugoku Electric Power Co Inc:The クリープ損傷を受ける金属の余寿命診断装置および余寿命診断プログラム

Cited By (2)

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