JP4829064B2 - 無線通信装置及び無線通信方法 - Google Patents

無線通信装置及び無線通信方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数の素子アンテナを用い、通信先の無線通信装置から受信した無線信号に基づいて、当該無線通信装置に送信する無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置及び無線通信方法に関する。
従来、移動体通信システムなどの無線通信システムでは、通信先の無線通信装置、例えば、無線通信端末に向けて無線基地局から送信される無線信号の指向性を複数の素子アンテナを用いて適応的に制御するアダプティブアレイ制御が広く用いられている。アダプティブアレイ制御によれば、当該無線通信端末の位置に応じて無線信号の指向性を制御することができる。
しかしながら、アダプティブアレイ制御が用いられる無線通信システムでは、無線通信端末が通信の継続中に移動すると、当該無線通信端末の位置に応じて送信する無線信号の指向性を適切に制御することができないといった問題がある。
そこで、当該無線通信端末から受信した無線信号に基づいてドップラ変動量(ドップラ周波数)を推定し、推定したドップラ変動量が小さい方から所定数の素子アンテナを用いて無線信号の指向性を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
このような方法によれば、ドップラ変動量が小さい素子アンテナが選択されるため、当該無線通信端末が通信の継続中に移動する場合でも、良好な無線信号の指向性を確保することができるとされている。
特開2003−198508号公報(第8頁、第5図)
ところで、無線通信端末の周辺には、無線基地局から送信された無線信号によって、定在波のように周期的に電力値のピークを有する周期的信号が現れる。このような周期的信号の波長は、一般的に、無線基地局から送信された無線信号の波長の半分程度である。例えば、無線信号の周波数が2GHz帯である場合、周期的信号の波長が約半分であると仮定すると、周期的信号の波長は最短で約7.5cmである。
すなわち、無線通信端末または無線通信端末周辺に存在する物体(例えば、車両)が高速(100km/h〜)で移動する場合、無線基地局においてアダプティブアレイ制御が実行された無線信号を無線通信端末が受信する時点では、既に無線基地局と無線通信端末との伝播路の状態が急激に変動してしまっている場合がある。このため、無線通信端末が受信する無線信号の通信品質が劣化するといった問題があった。
具体的には、無線通信端末または無線通信端末周辺に存在する物体が高速で移動する場合、無線通信端末が周期的信号の電力値のピークから外れた位置に移動してしまい、無線通信端末が受信する無線信号の通信品質が著しく劣化する。
このため、当該無線通信端末が受信する無線信号の通信品質の劣化を抑制する技術が望まれるが、無線基地局が、複数の無線通信端末との間で、空間分割多元接続(SDMA)方式によって通信するようなシステムの場合には、特に、以下の点を考慮しなければならない。
すなわち、空間分割多元接続(SDMA)方式による通信の場合、無線基地局から第1の無線通信端末に向けて無線信号が送信されるときには、当該第1の無線通信端末と空間分割多元接続する第2の無線通信端末が高速(100km/h〜)移動するような状況になると、当該第2の無線通信端末が、前記無線基地局から第1の無線通信端末へ向けて送信された信号を受信して、干渉の影響を受けてしまう。このような状況に至ると、前述した、無線通信端末(第1の無線通信端末)における受信無線信号の通信品質の劣化という問題以上に、第2の無線通信端末における通信品質の劣化が問題となる。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、無線基地局と、複数の無線通信端末との間で空間分割多元接続方式を用いた通信を行う場合、無線基地局から第1の無線通信端末に向けて無線信号が送信されるときには、第1の無線通信端末と空間分割多元接続する第2の無線通信端末の通信品質の劣化をも抑制することができる無線通信装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、第1対向無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて、前記第1対向無線通信装置との伝播路の第1変動周期を検出する第1伝播路状態検出部と、第2対向無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて、前記第2対向無線通信装置との伝播路の第2変動周期を検出する第2伝播路状態検出部と、記第1変動周期及び前記第2変動周期に基づいて、前記第1対向無線通信装置に送信する前記送信無線信号の送信を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第1変動周期との比較、及び、前記第2受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第2変動周期との比較により、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向くよう前記送信無線信号の送信を制御することを要旨とするものである。
本発明の第の特徴は、前記制御部は、前記処理時間が前記第1変動周期に応じた所定の範囲内であること、及び前記処理時間が前記第2変動周期に応じた所定の範囲内である場合、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向く前記送信無線信号を送信するよう制御することを要旨とするものである。
本発明の第の特徴は、前記制御部は、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向き、前記第2対向無線通信装置にビームが向く前記送信無線信号を送信するよう制御することを要旨とするものである。
このような特徴によれば、無線通信装置は、処理時間が、第1変動周期乃至第2変動周期に応じた所定の範囲内である場合、第1受信無線信号を受信した時点における第1対向無線通信装置の位置にヌルが向き、第2対向無線通信装置にビームが向く送信無線信号を送信するので、送信無線信号を送信する際の伝播路変動を考慮して、送信無線信号による第2対向無線通信装置への干渉を抑制できる。
本発明の第の特徴は、前記制御部は、前記処理時間が前記第1変動周期に応じた所定の範囲内であること、及び前記処理時間が前記第2変動周期に応じた所定の範囲内でない場合、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向き、前記第2対向無線通信装置にヌルが向く前記送信無線信号を送信するよう制御することを要旨とするものである。
本発明の第の特徴は、前記第1伝播路状態検出部は、前記第1受信無線信号のドップラ変動量の周期を前記第1変動周期として検出し、前記第2伝播路状態検出部は、前記第2受信無線信号のドップラ変動量の周期を前記第2変動周期として検出することを要旨とするものである。
このような特徴によれば、無線通信装置では、ドップラ変動量の周期から変動周期をより正確に検出することが出来る。
本発明の第の特徴は、前記第1伝播路状態検出部は、前記第1受信無線信号の電力値の変動周期を前記第1変動周期として検出し、前記第2伝播路状態検出部は、前記第2受信無線信号の電力値の変動周期を前記第2変動周期として検出することを要旨とするものである。
このような特徴によれば、無線通信装置では、受信無線信号の電力値の変動周期から伝播路の状態の変動周期をより正確に検出することが出来る。
本発明の第の特徴は、前記複数の素子アンテナのそれぞれが受信する前記第1受信無線信号の相関度を検出するアンテナ相関検出部(アンテナ相関検出部121)をさらに備え、前記制御部は、前記アンテナ相関検出部によって検出された前記相関度に基づいて、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向く前記送信無線信号を送信することを要旨とするものである。
このような特徴によれば、無線通信装置では、各素子アンテナにおける受信無線信号の相関度に基づいて、相関度が高い又は低いことによる伝播路の状態を考慮して、送信無線信号を送信することができる。
このような特徴によれば、無線通信装置は、第1又第2受信無線信号の状態に基づいて、いずれかの素子アンテナを介して、送信無線信号を送信するので、伝播路の変動状態に応じて適切な素子アンテナにより、送信無線信号を送信する時点の第1対向無線通信装置に対して、ヌルを向けた送信無線信号を送信することを低減できる。
本発明の第の特徴は、複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、送信先無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて検出される、前記送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第1変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、前記アンテナ選択部は、前記第1変動状態が高速な変動を示している場合、前記第1受信無線信号の電力値の小さい素子アンテナを優先的に選択することを要旨とするものである。
本発明の第の特徴は、複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、送信先無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて検出される、前記送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第1変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、前記アンテナ選択部は、前記第1変動状態が高速な変動を示していない場合、前記第1受信無線信号の電力値の大きい素子アンテナを優先的に選択することを要旨とするものである。
本発明の第10の特徴は、複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、非送信先無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて検出される、前記非送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第2変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、前記アンテナ選択部は、前記第2変動状態が高速な変動を示していない場合、前記第2受信無線信号の電力値の小さい素子アンテナを優先的に選択することを要旨とするものである。
本発明の第11の特徴は、複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、非送信先無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて検出される、前記非送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第2変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、前記アンテナ選択部は、前記第2変動状態が高速な変動を示している場合、前記第2受信無線信号の電力値の大きい素子アンテナを優先的に選択することを要旨とするものである。
本発明の第13の特徴は、複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信方法であって、第1対向無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて、前記第1対向無線通信装置との伝播路の第1変動周期を検出するステップと、第2対向無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて、前記第2対向無線通信装置との伝播路の第2変動周期を検出するステップと、前記第1変動周期及び前記第2変動周期に基づいて、前記第1対向無線通信装置に送信する前記送信無線信号の送信を制御するステップと、を備え、前記制御するステップは、前記第1受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第1変動周期との比較、及び、前記第2受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第2変動周期との比較により、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向くよう前記送信無線信号の送信を制御することを要旨とするものである。
本発明の特徴によれば、無線基地局と、複数の無線通信端末との間で空間分割多元接続方式を用いた通信を行う場合、無線基地局から第1の無線通信端末に向けて無線信号が送信されるときには、第1の無線通信端末と空間分割多元接続する第2の無線通信端末の通信品質の劣化をも抑制することができる無線通信装置及び無線通信方法を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。
[本発明の第1実施形態]
(第1実施形態に係る移動体通信システムの全体概略構成)
図1は、本実施形態に係る無線通信装置を含む移動体通信システムの全体概略構成図である。移動体通信システムは、無線基地局100(無線通信装置)と無線通信端末201(第1対向無線通信装置)と、無線通信端末202(第2対向無線通信装置)とを具備する。なお、移動体通信システムを構成する無線基地局及び無線通信端末の数は、図1に示した数に限定されるものではない。
移動体通信システムでは、無線基地局100と無線通信端末201乃至202との間で、無線通信が行われる。移動体通信システムでは、時分割多元接続/時分割複信(TDMA/TDD)と、空間分割多元接続(SDMA)とを用いている。
無線基地局100は、複数の素子アンテナを用いて、アダプティブアレイ制御を実行する。具体的に、無線基地局100は、通信先の無線通信装置である無線通信端末201から受信した上り方向信号RSup1(第1受信無線信号)に基づいて、無線通信端末201に送信する下り方向信号RSdown1(送信無線信号)の指向性を適応制御する。また、無線基地局100は、無線通信端末202との間においても、受信した上り方向信号RSup1(第2受信無線信号)に基づいて、無線通信端末202に送信する下り方向信号RSdown2(送信無線信号)の指向性を適応制御する。
無線通信端末201乃至202は、携帯電話端末であり、音声通話や電子メールの送受信機能を備える。また、無線通信端末201乃至202は、携帯電話機や、PDA(Personal Degital Assistant)や、ノート型コンピュータなどのモバイル機器を想定している。
また、図1では、無線通信端末201が、時点t1において位置イで上り方向信号RSup1を送信し、時点t2において位置ロへ移動した際、下り方向信号RSdown2を受信し、又、無線通信端末202が、時点t1において位置ハで上り方向信号RSup2を送信し、時点t2において位置ニへ移動した際、下り方向信号RSdown2を受信するイメージが示されている。
ここで、無線通信端末201乃至202では、自装置の移動又は周辺の物体の移動等の周辺環境の変化により伝播路が変動する。そして、当該無線通信端末201の周辺には、無線基地局100から送信された無線信号によって、例えば、図2に示すように、定在波等の周期的に電力値のピークを有する周期的信号が現れる。
このような周期的信号において、ピークの受信電力P1からヌルの受信電力P2までの間隔は、例えば、無線信号の周波数が2GHz帯である場合、周期的信号の波長が約半分であると仮定すると、周期的信号の波長は約7.5cmである。
ここで、例えば、従来技術に係る無線基地局100では、時点t1に受信した無線通信端末201からの上り方向信号RSup1に基づいて、位置イに向けた指向性の適応制御を行っても、時点t2において、無線通信端末201がヌルの受信電力P2となる位置ロへ移動してしまい、その結果、通信品質が劣化する場合がある。以下に、このような問題を解決すべく構成される無線基地局100について説明する。
(第1実施形態に係る無線基地局の構成)
図3は、本実施形態に係る無線基地局100の機能ブロック構成図である。また、以下、本発明との関連がある部分について主に説明する。したがって、無線基地局100は、無線基地局100としての機能を実現する上で必須な、図示しない或いは説明を省略した論理ブロック(電源部など)を備える場合があることに留意されたい。
図3に示すように、無線基地局100は、素子アンテナ101_1乃至101_nと、受信部102_1乃至102_nと、伝播路状態検出部103と、変動範囲記憶部104と、トレーニング信号記憶部105と、ウエイト算出部106と、アダプティブ処理制御部107と、送信部108_1乃至108_nとを備える。
素子アンテナ101_1乃至101_nは、受信部102_1乃至102_nと、送信部108_1乃至108_nと接続し、無線通信端末201乃至202との間で、TDMA/TDDとSDMAに従った無線信号を送受信する。
受信部102_1乃至102_nは、素子アンテナ101_1乃至101_nを介して、無線通信端末201乃至202から上り方向信号RSup1乃至2を受信する。
伝播路状態検出部103は、受信部102_1乃至102_nと、ウエイト算出部106と接続する。伝播路状態検出部103は、無線通信端末201から受信した上り方向信号RSup1に基づいて、無線通信端末201との伝播路の変動状態である第1変動状態を検出する。具体的に、伝播路状態検出部103は、上り方向信号RSup1に基づいて、無線通信端末201との伝播路の状態が変動する第1変動周期f(第1変動状態)を把握する。このとき、伝播路状態検出部103は、上り方向信号RSup1の電力値の変動周期を第1変動周期fとして把握する。
伝播路状態検出部103は、無線通信端末202から受信した上り方向信号RSup2に基づいて、無線通信端末202との伝播路の変動状態である第2変動状態を検出する。具体的に、伝播路状態検出部103は、上り方向信号RSup2に基づいて、無線通信端末202との伝播路の状態が変動する第2変動周期f(第2変動状態)を把握する。このとき、伝播路状態検出部103は、上り方向信号RSup2の電力値の変動周期を第2変動周期fとして把握する。また、伝播路状態検出部103は、把握した変動周期f乃至fをウエイト算出部106に通知する。本実施形態において、伝播路状態検出部103は、第1伝播路状態検出部と、第2伝播路状態検出部とを構成する。
変動範囲記憶部104は、任意の受信電力値の変動周期の範囲を記憶する。具体的に、変動範囲記憶部104は、無線通信端末201乃至202から上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点から、下り方向信号RSdown1乃至2を送信する時点までの処理時間Δtに相当する変動周期fの略半分の範囲を示す変動周期の下限値fL及び上限値fHを記憶する。
トレーニング信号記憶部105は、ウエイト算出部106と接続する。トレーニング信号記憶部105は、無線通信端末201乃至202との無線通信に用いられているトレーニング信号を記憶する。ここで、かかるトレーニング信号は、振幅及び位相の値が既知である既知信号を示す。
ウエイト算出部106は、受信部102_1乃至102_nと、変動範囲記憶部104と、トレーニング信号記憶部105とアダプティブ処理制御部107と接続する。また、ウエイト算出部106は、下り方向信号RSdown1乃至2を送信する際、アダプティブアレイ制御で用いられるウエイトを算出する。
また、ウエイト算出部106は、伝播路状態検出部103によって検出された変動状態に基づいて、例えば、対象となる無線通信端末201に送信する下り方向信号RSdown1の指向性を変更するか否かを判断する。具体的に、ウエイト算出部106は、第1変動周期f及び第2変動周期fに基づいて、無線通信端末201に送信する下り方向信号RSdown1指向性を変更するか否かを判断する。
また、下り方向信号を送信する対象を、例えば、無線通信端末201とすると、ウエイト算出部106は、無線通信端末201から上り方向信号RSup1を受信した時点から、下り方向信号RSdown1を送信する時点までの処理時間Δtと、伝播路状態検出部103によって把握された第1変動周期fとを比較するとともに、無線通信端末202から上り方向信号RSup2を受信した時点から、下り方向信号RSdown2を送信する時点までの処理時間Δtと、伝播路状態検出部103によって把握された第2変動周期fとを比較して、無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1の送信で用いるウエイトを算出する。このとき、ウエイト算出部106は、処理時間Δtが第1変動周期fに応じた所定の範囲内であること、及び処理時間Δtが第2変動周期fに応じた所定の範囲内であるか否かを判断し、ウエイトを算出する。ここで、上述した所定の範囲内とは、変動範囲記憶部104に記憶されている変動周期の範囲の下限値fL及び上限値fHの範囲内を示す。
具体的に、ウエイト算出部106は、無線通信端末201及び無線通信端末202からの上り方向信号RSup1乃至2と、上り方向信号RSup1乃至2の第1変動周期f乃至第2変動周期fと、変動範囲の下限値fL及び上限値fHとに基づいて、例えば、下記(1)式乃至(4)式を用いてE[|e(t)|2]を最小とするようにウエイトWを算出する。なお、下記(1)式乃至(4)式において、E[|e(t)|2]は期待値演算、r(t)はトレーニング信号(添え字のA、Bはそれぞれ無線通信端末201、無線通信端末202との通信に用いるトレーニング信号を表す)、Hは複素共役転置、X(t)は受信信号の系列を表す。また、fL及びfHは変動範囲記憶部104に記憶されている変動周期の範囲の下限値及び上限値、f及びfは無線通信端末201及び無線通信端末202からの希望波の第1変動周期及び第2変動周期を表す。また、下記例は、無線通信端末201向けのウエイトを算出する場合を例に挙げている。
例えば、第1変動周期f乃至第2変動周期fが、fL≦f<fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合、下記に示す(1)式を用いて、ウエイトを算出する。
Figure 0004829064
なお、上記(1)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、無線通信端末201にヌルを向け、無線通信端末202にビームを向ける無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1のウエイトが算出される。また、fL≦f<fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合、下記に示す(2)式を用いて、ウエイトを算出する。
Figure 0004829064
なお、上記(2)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、無線通信端末201にヌルを向け、無線通信端末202にヌルを向ける無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1のウエイトが算出される。また、fL>f又はf≦fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合、下記に示す(3)式を用いて、ウエイトを算出する。
Figure 0004829064
なお、上記(3)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、無線通信端末201にビームを向け、無線通信端末202にビームを向ける無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1のウエイトが算出される。また、fL>f又はf≦fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合、下記に示す(4)式を用いて、ウエイトを算出する。
Figure 0004829064
なお、上記(4)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、無線通信端末201にビームを向け、無線通信端末202にヌルを向ける無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1のウエイトが算出される。このようにして、ウエイト算出部106は、第1変動周期f乃至第2変動周期fの大きさに応じて、無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1のウエイトを算出する。なお、当該ウエイト算出は、無線通信端末202向けの下り方向信号RSdown2のウエイトを算出する際にも、同じように実施する。本実施形態において、ウエイト算出部106は、判断部を構成する。
アダプティブ処理制御部107は、ウエイト算出部106と、送信部108_1乃至108_nと接続する。
アダプティブ処理制御部107は、ウエイト算出部106によって算出されたウエイトを用いて、アダプティブアレイ制御を実行し、送信部108_1乃至108_nを介して、無線通信端末201乃至202に下り方向信号RSdown1乃至2を送信する。
アダプティブ処理制御部107は、例えば、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、ウエイト算出部106によって無線通信端末201にヌルが向く下り方向信号RSdown1を送信すると判断された場合、上り方向信号RSup1を受信した時点t1における無線通信端末201の位置イにヌルが向く下り方向信号RSdown1を送信する。 具体的に、アダプティブ処理制御部107は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、上述したウエイト算出部106による処理時間Δtと第1変動周期fとの比較結果、及び処理時間Δtと第2変動周期fとの比較結果に基づいて、ウエイト算出部106によって算出されたウエイトを用いて、上り方向信号RSup1を受信した時点における無線通信端末201の位置イにヌルが向く下り方向信号RSdown1を送信する。本実施形態において、アダプティブ処理制御部107は、送信制御部を構成する。
送信部108_1乃至108_nは、アダプティブ処理制御部107の制御に従ってアダプティブアレイ処理を実行し、素子アンテナ101_1乃至101_nを介して、無線通信端末201乃至202へ下り方向信号RSdown1乃至2を送信する。
(第1実施形態に係る無線基地局の動作)
次に、上述した無線基地局100の動作について図4を参照して説明する。具体的に、無線基地局100が、下り方向信号RSdown1乃至2のウエイトを算出する際の動作について説明する。なお、下記に示す動作は、無線基地局100が、無線通信端末201への下り方向信号RSdown1で用いられるウエイトを算出する際の動作である。
ステップS11において、無線基地局100では、受信部102_1乃至102_nが、無線通信端末201乃至202からの上り方向信号RSup1乃至2を受信する。
ステップS13において、伝播路状態検出部103は、無線通信端末201からの希望波の第1変動周期fと、無線通信端末201からの第2変動周期fとを算出する。
ステップS15において、ウエイト算出部106は、第1変動周期fが下限値fL≦f<上限値fHを満たすか否かを判定する。
ステップS17において、(fL≦f<fHである場合)ウエイト算出部106は、第2変動周期fが下限値fL≦f<上限値fHを満たすか否かを判定する。
ステップS19において、(fL≦f<fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合)ウエイト算出部106は、上記(1)式を用いて、無線通信端末201にヌルを向け、かつ無線通信端末202にビームを向けるようにウエイトWを算出する。
ステップS21において、(fL≦f<fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合)ウエイト算出部106は、上記(2)式を用いて、無線通信端末201にヌルを向け、かつ無線通信端末202にビームを向けるようにウエイトWを算出する。
ステップS23において、(fL≦f<fHでない場合)ウエイト算出部106は、第2変動周期fが下限値fL≦f<上限値fHを満たすか否かを判定する。
ステップS25において、(fL>f又はf≦fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合)ウエイト算出部106は、無線通信端末201及び無線通信端末202にビームを向けるようにウエイトWを算出する。
ステップS27において、(fL>f又はf≦fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合)ウエイト算出部106は、無線通信端末201にビームを向け、かつ無線通信端末202にヌルを向けるようにウエイトWを算出する。
ステップS29において、アダプティブ処理制御部107は、ウエイト算出部106で算出されたウエイトWを用いてアダプティブアレイ制御を実行し、送信部108_1乃至108_nを介して、無線通信端末201へ下り方向信号RSdown1を送信する。
このように、アダプティブ処理制御部107は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、処理時間Δtが第1変動周期fに応じた所定の範囲内であること、及び処理時間Δtが第2変動周期fに応じた所定の範囲内であることがウエイト算出部106によって判断された場合(上記ステップS19)、上り方向信号RSup1を受信した時点における無線通信端末201の位置イにヌルが向くウエイトを用いて下り方向信号RSdown1を送信すると共に、無線通信端末202にビームが向くウエイトを用いて下り方向信号RSdown1を送信する。また、アダプティブ処理制御部107は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、処理時間が第1変動周期fに応じた所定の範囲内であること、及び処理時間が第2変動周期fに応じた所定の範囲内でないことがウエイト算出部106によって判断された場合(上記ステップS21)、上り方向信号RSup1を受信した時点t1における無線通信端末201の位置イにヌルが向く下り方向信号RSdown1を送信すると共に、無線通信端末202にヌルが向く下り方向信号RSdown1を送信する。なお、上述したステップS11乃至S23の動作は、無線通信端末202に対しても行われる。
(第1実施形態に係る無線基地局の作用・効果)
以上説明した本実施形態に係る無線基地局100によれば、処理時間Δtが、無線通信端末201乃至202から送信された上り方向信号RSup1乃至2の変動周期fの略半分であると判定された場合、つまり無線通信端末201乃至202が、伝播路の変動により、下り方向信号RSdown1乃至2を受信する際に、ヌルの受信電力P2で受信することが推測された場合、例えば、無線通信端末201へ送信する下り方向信号RSdown1のアダプティブアレイ制御を、位置イにヌルを向けるように算出されたウエイトWを用いて実行する。
これにより、無線通信端末201では、図5に示すように、時点t2における位置イではヌルの受信電力P2となるが、時点t2における移動先の位置ロで受信される下り方向信号RSdownの受信電力は、少なくともヌルの受信電力P2ではなく、例えば、ピークの受信電力P1で受信される。
よって、無線基地局100によれば、通信先の無線通信端末201乃至202または通信先の無線通信端末201乃至202周辺に存在する物体が高速(100km/h〜)で移動することによって当該無線通信端末201乃至202との伝播路の状態が急激に変動する場合でも、通信品質の劣化を抑制することができる。
さらに、無線基地局100では、SDMAを用いて複数の無線通信端末201乃至202と無線通信を実行中に、例えば、無線通信端末201向けのウエイトを算出する際、無線通信端末201及び無線通信端末202が、それぞれ下り方向信号RSdown1乃至2を受信する時点t2において、ヌル付近の受信電力P2で受信することが推測された場合、無線通信端末201向けのウエイトを、時点t1の位置イでヌルとなるように、かつ無線通信端末202が存在する位置ハでピークとなるように算出する。
よって、無線通信端末202は、時点t2における移動先の位置ニにおいて、無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1を、ピークではなく、例えば、ヌル付近の受信電力P2で受信するので、下り方向信号RSdown1による無線通信端末202への干渉を抑制できる。
また、無線基地局100では、無線通信端末201向けのウエイトを算出する際に、時点t2において、無線通信端末201が、下り方向信号RSdown1をヌル付近で受信し、かつ無線通信端末201が、例えば、位置ハから移動せず、下り方向信号RSdown2をピークで受信することが推測された場合、無線通信端末201向けのウエイトを、時点t1の位置イでヌルとなるように、かつ無線通信端末202が存在する位置ハでヌルとなるように算出する。
この場合も、無線通信端末202は、時点t2での位置ハにおいて、無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1を、ヌルの受信電力P2で受信するので、下り方向信号RSdown1による無線通信端末202への干渉を抑制できる。
したがって、無線基地局100と、複数の無線通信端末201乃至202との間で空間分割多元接続方式を用いた通信を行う場合、無線基地局100から無線通信端末201に向けて下り方向信号RSdown1が送信されるときには、無線通信端末201と空間分割多元接続する無線通信端末202の通信品質の劣化をも抑制することができる。
このように、無線基地局100では、例えば、一の無線通信端末201向けのウエイトを、他の無線通信端末202ではヌルとなるように算出するので、互いの干渉を低減し、通信品質の劣化を抑制することができる。
(変更例1)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第1実施形態に係る無線基地局100では、伝播路状態検出部103は、上り方向信号RSup1のドップラ変動量の周期を第1変動周期fとして把握し、又、上り方向信号RSup2のドップラ変動量の周期を第2変動周期fとして把握するように構成されていてもよい。
ここで、上述した変動周期として把握されるドップラ変動量の周期は、無線通信端末201乃至202の移動速度に応じてドップラ変動した上り方向信号RSupの周波数を示す。
また、伝播路状態検出部103は、把握した第1変動周期f及び第2変動周期fをウエイト算出部106に通知する。
ウエイト算出部106は、上述した処理時間Δtの間に、無線通信端末201乃至202との無線信号で用いている周波数fの波長λの略半分の距離を移動するか否かを判定する。
具体的に、ウエイト算出部106では、処理時間Δtにおいて、無線信号で用いられている周波数fの波長λの略半分の距離を移動する際の移動速度に相当するドップラ変動量の下限値fL乃至上限値fHを予め記憶し、伝播路状態検出部103によって把握された第1変動周期fAが、fL≦fA<fHであるか否かと、第2変動周期fBが、fL≦fB<fHであるか否かとを判定する。なお、他の構成は、上述した第1実施形態に係る無線基地局100と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本変更例1に係る無線基地局100によれば、第1変動周期fA乃至第2変動周期fBが、波長λの略半分の距離を移動する際の移動速度に相当するドップラ変動量を用いてもウエイトを適切に算出することが可能であるので、例えば、無線通信端末201において、下り方向信号RSdown1の受信品質の劣化を抑制すると共に、他の無線通信端末202において、当該下り方向信号RSdown1が干渉することを低減できる。
(変更例2)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。第1実施形態に係る無線基地局100が、図3に示すように、アンテナ相関検出部121を更に備えても良い。
アンテナ相関検出部121は、受信部102_1乃至102_nと、アダプティブ処理制御部107と接続する。
アンテナ相関検出部121は、複数の素子アンテナ101_1乃至101_nのそれぞれが受信する上り方向信号RSup1乃至2の相関度を検出する。
具体的に、アンテナ相関検出部121は、受信部102_1乃至102_nのそれぞれで受信された上り方向信号RSup1乃至2の位相及び振幅に基づいて、複数の素子アンテナ101_1乃至101_nの相関度を検出する。
ここで、アンテナ相関検出部121によって検出された相関度が高い場合、無線通信端末201では、周辺の周期的信号(例えば、定在波)において、伝播路変動による第1変動周期fAのピークの受信電力値P1とヌルの受信電力値P2との差が小さくなる可能性が高い。また、アンテナ相関検出部121は、検出した相関度をウエイト算出部106に通知する。
また、ウエイト算出部106では、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1のウエイトを算出する際、通知された相関度が、予め記憶する所定の相関度以下である場合で、かつ処理時間Δtが変動周期fAの略半分であるとウエイト算出部106によって判定された場合のみ、上り方向信号RSup1を受信した時点における無線通信端末201の位置イにヌルが向くように、ウエイトを算出する。
また、アダプティブ処理制御部107は、アンテナ相関検出部121によって検出された相関度に基づいて、ウエイト算出部106で算出されたウエイトに応じ、上り方向信号RSupを受信した時点t1における無線通信端末201の位置イにヌル又はビームが向く下り方向信号RSdown1を送信する。
なお、他の構成は、上述した第1実施形態に係る無線基地局100と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本変更例に係る無線基地局100によれば、ウエイト算出部106では、アンテナ相関検出部121によって検出された相関度が所定の相関度以下である場合、つまり無線通信端末201周辺の周期的信号(定在波)における第1変動周期fが長くなる場合のみ、時点t2において位置イでヌルの受信電力P2となるように、ウエイトを算出する。また、アダプティブ処理制御部107は、かかる場合のみ、時点t2において位置イでヌルの受信電力P2となるようなウエイトを用いて、アダプティブアレイ制御が実行され下り方向信号RSdownを送信する。よって、無線基地局100では、無線通信端末201乃至202周辺の周期的信号における第1変動周期fを考慮し、第1変動周期fが長くなる場合のみヌルとなるウエイトを用いたアダプティブアレイ制御が実行されるので、無線通信端末201に対して、ピークの受信電力P1となる下り方向信号RSdownを効率よく送信することができる。
[本発明の第2実施形態]
(第2実施形態に係る無線基地局100の構成)
次に、本発明の第2実施形態に係る無線基地局100の構成について、上述した第1実施形態との相違点に着目して説明する。以下、第1実施形態に係る無線基地局100と異なる部分について主に説明し、同様の機能については、その説明を適宜省略する。
本実施形態に係る無線基地局100は、図6に示すように、第1実施形態に係る無線基地局100で具備していたウエイト算出部106を具備せず、新たに、希望波電力算出部111と、アンテナ選択部113とを具備する。
希望波電力算出部111は、受信部102_1乃至102_nと、トレーニング信号記憶部105と、アンテナ選択部113と接続する。
希望波電力算出部111は、トレーニング信号記憶部105に記憶されているトレーニング信号と受信部102_1乃至102_nで受信されたそれぞれの上り方向信号RSupとに基づいて希望波受信電力を算出する。また、希望波電力算出部111は、算出した希望波受信電力をアンテナ選択部113へ通知する。
アンテナ選択部113は、希望波電力算出部111と、伝播路状態検出部103と、変動範囲記憶部104と、アダプティブ処理制御部107と接続する。
アンテナ選択部113は、少なくとも上り方向信号RSup1または上り方向信号RSup2の状態に基づいて、少なくとも何れかの素子アンテナ101_1乃至101_nを選択する。
また、アンテナ選択部113は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、無線通信端末201との伝播路の第1変動周期f(変動状態)が所定の範囲内である場合、上り方向信号RSup1の電力値の小さい素子アンテナ101_1乃至101_nを選択する。
ここで、上述した所定の範囲内とは、第1実施形態と同様に、変動範囲記憶部104に記憶されている変動周期の範囲の下限値fL及び上限値fHの範囲内を示す。
また、アンテナ選択部113は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、無線通信端末201との伝播路の第1変動周期f(変動状態)が所定の範囲外である場合、上り方向信号RSup1の電力値の大きい素子アンテナ101_1乃至101_nを選択する。
また、アンテナ選択部113は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、無線通信端末202との伝播路の第2変動周期f(変動状態)が所定の範囲外である場合、上り方向信号RSup2の電力値の小さい素子アンテナ101_1乃至101_nを選択する。
また、アンテナ選択部113は、無線通信端末201に下り方向信号RSdown1を送信する際、無線通信端末202との伝播路の第2変動周期f(変動状態)が所定の範囲内である場合、上り方向信号RSup2の電力値の大きい素子アンテナ101_1乃至101_nを選択する。
具体的、アンテナ選択部113は、希望波電力算出部111において算出された無線通信端末201及び無線通信端末202からの希望波受信電力と、伝播路状態検出部103で把握された無線通信端末201及び無線通信端末202からの第1変動周期f及び第2変動周期fと、変動範囲記憶部104に記憶されている変動周期の下限値fL及び上限値fHとに基づいて、例えば、下記(5)乃至(8)式のE[|e(t)|2]を最大とするように送信に用いるアンテナを選択する。
なお、下記(5)乃至(8)式において、E[|e(t)|2]は期待値演算、nはアンテナ、r(n)はアンテナnにおける希望波電力値(添え字のA、Bはそれぞれ無線通信端末201、無線通信端末202からの希望波受信電力値)を表す。また、下記例は、無線通信端末201向けのアンテナを選択する場合を例に挙げている。
アンテナ選択部113は、例えば、第1変動周期f乃至第2変動周期fが、fL≦f<fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合、下記に示す(5)式を用いて、アンテナを選択する。
Figure 0004829064
なお、上記(5)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、希望波受信電力rが小さく、希望波受信電力rが大きいアンテナが選択される。また、fL≦f<fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合、下記に示す(6)式を用いて、アンテナを選択する。
Figure 0004829064
なお、上記(6)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、希望波受信電力rが小さく、希望波受信電力rが小さいアンテナが選択される。また、fL>f又はf≦fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合、下記に示す(7)式を用いて、アンテナを選択する。
Figure 0004829064
なお、上記(7)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、希望波受信電力rが大きく、希望波受信電力rが大きいアンテナが選択される。また、fL>f又はf≦fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合、下記に示す(8)式を用いて、アンテナ選択する。
Figure 0004829064
なお、上記(8)式により、上り方向信号RSup1乃至2を受信した時点t1において、希望波受信電力rが大きく、希望波受信電力rが小さいアンテナが選択される。このようにして、アンテナ選択部113は、伝播路状態検出部103で把握された第1変動周期f乃至第2変動周期fと、希望波電力算出部111で算出された希望波受信電力r乃至rとの大きさに応じて、無線通信端末201向けのアンテナを選択する。なお、アンテナ選択部113は、無線通信端末202向けのアンテナを選択する際にも、同じように実施する。
アダプティブ処理制御部107は、アンテナ選択部113によって選択された素子アンテナ101_1乃至101_nを介して、下り方向信号RSdown1乃至2を送信する。
なお、本実施形態に係る無線基地局100において、他の構成は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(第2実施形態に係る無線基地局の動作)
本実施形態に係る無線基地局100の動作について説明する。なお、下記に示す動作は、無線基地局100が、無線通信端末201へ下り方向信号RSdown1を送信する際に用いるアンテナを選択する動作である。
ステップS101において、無線基地局100では、受信部102_1乃至102_nが、無線通信端末201乃至202からの上り方向信号RSup1乃至2を受信する。
ステップS103において、希望波電力算出部111は、無線通信端末201からの希望波受信電力rと、無線通信端末202からの希望波受信電力rとを算出する。
ステップS105において、伝播路状態検出部103は、無線通信端末201からの希望波の第1変動周期fと、無線通信端末201からの第2変動周期fとを算出する。
ステップS107において、アンテナ選択部113は、第1変動周期fが下限値fL≦f<上限値fHを満たすか否かを判定する。
ステップS109において、(fL≦f<fHである場合)アンテナ選択部113は、第2変動周期fが下限値fL≦f<上限値fHを満たすか否かを判定する。
ステップS111において、(fL≦f<fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合)アンテナ選択部113は、上記(5)式を用いて、希望波受信電力rが小さく、希望波受信電力rが大きいアンテナを選択する。
ステップS113において、(fL≦f<fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合)アンテナ選択部113は、上記(6)式を用いて、希望波受信電力rが小さく、希望波受信電力rが小さいアンテナを選択する。
ステップS115において、(fL≦f<fHでない場合)アンテナ選択部113は、第2変動周期fが下限値fL≦f<上限値fHを満たすか否かを判定する。
ステップS117において、(fL>f又はf≦fHで、かつ、fL≦f<fHであった場合)アンテナ選択部113は、上記(7)式を用いて、希望波受信電力rが大きく、希望波受信電力rが大きいアンテナを選択する。
ステップS119において、(fL>f又はf≦fHで、かつ、fL>f又はf≧fHであった場合)アンテナ選択部113は、上記(8)式を用いて、希望波受信電力rが大きく、希望波受信電力rが小さいアンテナを選択する。
ステップS121において、アダプティブ処理制御部107は、アンテナ選択部113によって選択された素子アンテナ101_1乃至101_nを介して、無線通信端末201へ下り方向信号RSdown1を送信する。なお、上述したステップS101乃至S121の動作は、無線通信端末202に対しても行われる。
(第2実施形態に係る無線基地局の作用・効果)
以上説明した本実施形態に係る無線基地局100によれば、処理時間Δtが、無線通信端末201乃至202から送信された上り方向信号RSup1乃至2の変動周期f乃至fの略半分であると判定された場合、つまり無線通信端末201乃至202が、伝播路の変動により、下り方向信号RSdown1乃至2を受信する際に、ヌルの受信電力P2で受信することが推測された場合、例えば、無線通信端末201への下り方向信号RSdown1を、希望波受信電力rの小さいアンテナを選択して送信する。
ここで、図8に示すように、無線基地局100では、無線通信端末201が移動することにより、受信部において受信される希望波電力はドップラ変動の影響を受けて変動する。このとき、希望波受信電力が大きい素子アンテナほど、その素子アンテナと無線通信端末201との間の伝播路が良好であり、送受信とも効率の良い通信を行なうことが可能である。
一方、無線基地局100が、下り方向信号RSdownを送信する時点t2のタイミングにおいて、無線通信端末201が周期的信号 (定在波)のヌル(谷)に移動するような伝播路変動をしている場合、上り方向信号RSupを受信した時点t1の希望波電力と、下り方向信号RSdownを送信する時点t2のウエイトの絶対値は大小逆転する可能性が高いと考えられるため(例えば、図8におけるA乃至Cが、A’乃至C’に大小逆転)、無線基地局100は、アンテナ選択部113で選択された希望波受信電力の小さい素子アンテナを用いて下り方向信号RSdownを送信することにより、無線通信端末201では、下り方向信号RSdownを受信する時点t2の位置ロにおいて、良好な通信品質を得ることが可能となる。
さらに、無線基地局100では、SDMAを用いて複数の無線通信端末201乃至202と無線通信を実行中に、例えば、無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1を送信する際、無線通信端末201及び無線通信端末202が、それぞれ下り方向信号RSdown1乃至2を受信する時点t2において、ヌル付近の受信電力P2で受信することが推測された場合、無線通信端末201には、時点t1の位置イでヌルとなるように、希望波受信電力の小さいアンテナを選択すると共に、かつ無線通信端末202が存在した時点t1の位置ハでピークとなるように、希望波受信電力の大きいアンテナを選択する。
よって、無線通信端末202は、時点t2の位置ニにおいて、無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1を、ピークではなくヌル付近の受信電力P2で受信するので、下り方向信号RSdown1による無線通信端末202への干渉を抑制できる。
このように、無線基地局100では、アンテナを適切に選択し、例えば、一の無線通信端末201向けの下り方向信号RSdown1を、他の無線通信端末202ではヌルとなるように送信するので、互いの干渉を低減し、通信品質の劣化を抑制することができる。
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
例えば、上述した実施形態では、無線基地局100が、無線通信装置として機能するように構成されていたが、例えば、無線通信端末201が、無線通信装置として機能するように構成されていてもよい。また、無線基地局100が、対向無線通信装置として機能するように構成されていてもよい。
また、無線通信端末201にGPS等の位置検出機能及び移動速度検出機能等を備えている場合、無線基地局100は、無線通信端末201で検出された位置や移動速度に応じて、ピーク(ビーム)を向けるウエイト、又はヌルを向けるウエイトを算出するように構成されていてもよい。
また、各実施形態の構成及び各変更例の構成もそれぞれ組み合わせることが可能である。また、各実施形態及び各変更例の作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、各実施形態及び各変更例に記載されたものに限定されるものではない。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の第1実施形態に係る移動体通信システムの全体概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係る無線通信端末の周辺における周期的信号(定在波)を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る無線基地局の機能ブロック構成図である。 本発明の第1実施形態に係る無線基地局における動作フロー図である。 本発明の第1実施形態に係る無線基地局において、無線通信端末からの上り方向信号の伝播路変動による受信電力の変動を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る無線基地局の機能ブロック構成図である。 本発明の第2実施形態に係る無線基地局における動作フロー図である。 本発明の第1実施形態に係る無線基地局において、無線通信端末からの上り方向信号の伝播路変動による受信電力の変動を示す図である。
符号の説明
100…無線基地局、101_1乃至n…素子アンテナ、102_1乃至n…受信部、103…伝播路状態検出部、104…変動範囲記憶部、105…トレーニング信号記憶部、106…ウエイト算出部、107…アダプティブ処理制御部、108_1乃至n…送信部、111…希望波電力算出部、113…アンテナ選択部、121…アンテナ相関検出部、201乃至202…無線通信端末、r…希望波受信電力、r…希望波受信電力、λ…波長、C…乃至、P1…受信電力、P1乃至P2…受信電力値、RSdown1乃至2…下り方向信号方向信号、RSup1乃至2…上り方向方向信号、S11乃至S29…ステップ、S101乃至S121…ステップ、W…ウエイトf…周波数、f…第1変動周期、f…第2変動周期、fH…上限値、fL…下限値 fa…変動周期、n…アンテナ、r〜r…希望波受信電力、t1乃至t2…時点、イ乃至ニ…位置把握

Claims (16)

  1. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    第1対向無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて、前記第1対向無線通信装置との伝播路の第1変動周期を検出する第1伝播路状態検出部と、
    第2対向無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて、前記第2対向無線通信装置との伝播路の第2変動周期を検出する第2伝播路状態検出部と、
    前記第1変動周期及び前記第2変動周期に基づいて、前記第1対向無線通信装置に送信する前記送信無線信号の送信を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記第1受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第1変動周期との比較、及び、前記第2受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第2変動周期との比較により、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向くよう前記送信無線信号の送信を制御する無線通信装置。
  2. 前記制御部は、前記処理時間が前記第1変動周期に応じた所定の範囲内であること、及び前記処理時間が前記第2変動周期に応じた所定の範囲内である場合、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向く前記送信無線信号を送信するよう制御する請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記制御部は、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向き、前記第2対向無線通信装置にビームが向く前記送信無線信号を送信するよう制御する請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 前記制御部は、前記処理時間が前記第1変動周期に応じた所定の範囲内であること、及び前記処理時間が前記第2変動周期に応じた所定の範囲内でない場合、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向き、前記第2対向無線通信装置にヌルが向く前記送信無線信号を送信するよう制御する請求項1に記載の無線通信装置。
  5. 前記第1伝播路状態検出部は、前記第1受信無線信号のドップラ変動量の周期を前記第1変動周期として検出し、
    前記第2伝播路状態検出部は、前記第2受信無線信号のドップラ変動量の周期を前記第2変動周期として検出する請求項1に記載の無線通信装置。
  6. 前記第1伝播路状態検出部は、前記第1受信無線信号の電力値の変動周期を前記第1変動周期として検出し、
    前記第2伝播路状態検出部は、前記第2受信無線信号の電力値の変動周期を前記第2変動周期として検出する請求項1に記載の無線通信装置。
  7. 前記複数の素子アンテナのそれぞれが受信する前記第1受信無線信号の相関度を検出するアンテナ相関検出部をさらに備え、
    前記制御部は、前記アンテナ相関検出部によって検出された前記相関度に基づいて、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向く前記送信無線信号を送信するよう制御する請求項1に記載の無線通信装置。
  8. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    送信先無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて検出される、前記送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第1変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、
    前記アンテナ選択部は、前記第1変動状態が高速な変動を示している場合、前記第1受信無線信号の電力値の小さい素子アンテナを優先的に選択する無線通信装置。
  9. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    送信先無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて検出される、前記送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第1変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、
    前記アンテナ選択部は、前記第1変動状態が高速な変動を示していない場合、前記第1受信無線信号の電力値の大きい素子アンテナを優先的に選択する無線通信装置。
  10. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    非送信先無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて検出される、前記非送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第2変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、
    前記アンテナ選択部は、前記第2変動状態が高速な変動を示していない場合、前記第2受信無線信号の電力値の小さい素子アンテナを優先的に選択する無線通信装置。
  11. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    非送信先無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて検出される、前記非送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第2変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するアンテナ選択部を備え、
    前記アンテナ選択部は、前記第2変動状態が高速な変動を示している場合、前記第2受信無線信号の電力値の大きい素子アンテナを優先的に選択する無線通信装置。
  12. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信方法であって、
    第1対向無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて、前記第1対向無線通信装置との伝播路の第1変動周期を検出するステップと、
    第2対向無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて、前記第2対向無線通信装置との伝播路の第2変動周期を検出するステップと、
    前記第1変動周期及び前記第2変動周期に基づいて、前記第1対向無線通信装置に送信する前記送信無線信号の送信を制御するステップと、
    を備え、
    前記制御するステップは、前記第1受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第1変動周期との比較、及び、前記第2受信無線信号を受信した時点から前記送信無線信号を送信する時点までの処理時間と前記第2変動周期との比較により、前記第1受信無線信号を受信した時点における前記第1対向無線通信装置の位置にヌルが向くよう前記送信無線信号の送信を制御する無線通信方法。
  13. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    送信先無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて検出される、前記送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第1変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するステップを備え、
    前記選択するステップは、前記第1変動状態が高速な変動を示している場合、前記第1受信無線信号の電力値の小さい素子アンテナを優先的に選択する無線通信方法。
  14. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    送信先無線通信装置から受信した第1受信無線信号に基づいて検出される、前記送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第1変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するステップを備え、
    前記選択するステップは、前記第1変動状態が高速な変動を示していない場合、前記第1受信無線信号の電力値の大きい素子アンテナを優先的に選択する無線通信方法。
  15. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    非送信先無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて検出される、前記非送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第2変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するステップを備え、
    前記選択するステップは、前記第2変動状態が高速な変動を示していない場合、前記第2受信無線信号の電力値の小さい素子アンテナを優先的に選択する無線通信方法。
  16. 複数の素子アンテナを用い、送信無線信号の指向性を適応制御する無線通信装置であって、
    非送信先無線通信装置から受信した第2受信無線信号に基づいて検出される、前記非送信先無線通信装置との伝播路の変動状態である第2変動状態に基づいて、送信に使用する少なくとも何れかの素子アンテナを選択するステップを備え、
    前記選択するステップは、前記第2変動状態が高速な変動を示している場合、前記第2受信無線信号の電力値の大きい素子アンテナを優先的に選択する無線通信方法。
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