JP4828266B2 - 流体式トルク伝達装置およびそれに用いられるロックアップ装置 - Google Patents
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Description
(1)トルクコンバータの全体構造
図1に本発明の第1実施形態に係る流体式トルク伝達装置としてのトルクコンバータ1の縦断面概略図を示す。図1の左側にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。また、図1に示すO−Oは、トルクコンバータ1の回転軸線である。
ロックアップ装置5は、フロントカバー2に連結可能なクラッチ機構6としての機能と、クラッチ機構6とタービン10とを回転方向に弾性的に連結するダンパー機構7としての機能とを有しており、必要に応じて、フロントカバー2とタービン10とを機械的に連結するための装置である。ロックアップ装置5は、主に、フロントカバー2からトルクが入力されるピストン51と、ピストン51に固定された保持部材としてのリティーニングプレート52と、タービン10に固定されたドリブン部材としてのドリブンプレート53と、ピストン51およびドリブンプレート53を回転方向に弾性的に連結する第1弾性部材および第2弾性部材としての第1トーションスプリング54および第2トーションスプリング56と、第1トーションスプリング54の端部を回転方向に支持するサポート部材としてのサポートプレート90とから構成されている。本実施形態のロックアップ装置5では、クラッチ機構6がピストン51から構成されており、ダンパー機構7がリティーニングプレート52と、ドリブンプレート53と、第1および第2トーションスプリング54、56と、サポートプレート90とから構成されている。
ピストン51は、トルクコンバータ本体3内の油圧の制御によって、フロントカバー2のカバー円板部8aに接近または離反することが可能な部材である。図1および図2に示すように、ピストン51は、半径方向に延びる円板状のピストン本体61から主に構成されており、フロントカバー2とタービン10との間の空間を軸方向に2つに分割している。図3に示すように、ピストン本体61の外周部には、環状かつ平坦な押圧部62が形成されている。押圧部62の軸方向エンジン側の面には、摩擦フェーシング63が接着などにより固定されている。
リティーニングプレート52は、異なる円周上に配置された複数の第1および第2トーションスプリング54、56をピストン51側に保持するとともに、第2トーションスプリング56の端部を回転方向に支持するための部材である。図1〜図3に示すように、リティーニングプレート52は、ピストン51の外周筒状部64の半径方向内側であって、ピストン本体61の軸方向トランスミッション側の面に沿って配置された環状の部材であり、ピストン本体61に対して複数のリベット79により固定されている。図3に示すように、リティーニングプレート52は、主要部を構成する環状部70と、環状部70から半径方向外側へ突出する複数の回転方向支持部72と、回転方向支持部72同士の回転方向間に配置された複数の第1保持部76と、環状部70の内周側に形成された複数の第2保持部71とから構成されている。
ドリブンプレート53は、ピストン51に入力されたトルクをタービン10に伝達する部材であり、第1および第2トーションスプリング54、56の端部(正確には、第1トーションスプリング54の場合は後述するスプリングシート57)を回転方向に支持している。
第1および第2トーションスプリング54、56は、エンジンの回転変動により生じる微少捩り振動やロックアップ装置5の連結時のショックによる振動などを吸収・減衰する。本実施形態においては、第1および第2トーションスプリング54、56は径の異なる2種類のコイルスプリングであり、8つの第1トーションスプリング54と4つの第2トーションスプリング56とが配置されている。図2および図3に示すように、各第1トーションスプリング54は押圧部62と第1保持部76との軸方向間であって、隣り合う回転方向支持部72同士の間に配置されている。各第2トーションスプリング56は、ピストン本体61と第2保持部71との軸方向間に配置されており、第2トーションスプリング56の一部はピストン本体61に形成された凹部65に収容されている。また、第2トーションスプリング56の端部とドリブンプレート53の収容部58の回転方向の内側部分とは回転方向に当接可能となっており、リティーニングプレート52とドリブンプレート53とが所定の角度だけ相対回転すると、第2トーションスプリング56は第2保持部71と収容部58との間で圧縮される。
以上に述べた構成に加えて、本発明に係るロックアップ装置5では、ピストン51とドリブンプレート53との間で遊動子として機能し得るサポート部材としての4つのサポートプレート90を有している。図2〜図4を用いて、サポートプレート90の詳細について説明する。図4(a)にサポートプレート90の平面図、図4(b)に図4(a)のA−A断面図、図4(c)に図4(a)のB−B断面図を示す。
図1〜3を用いてトルクコンバータ1の動作について説明する。
図5〜図7を用いて、低回転数領域(例えばアイドリング時などの1000〜1200〔rpm〕)におけるロックアップ装置5の連結動作について説明する。図5にダンパー機構7の初期状態図、図6に低回転数領域におけるダンパー機構7の動作説明図、図7に低回転数領域におけるダンパー機構7の捩り特性線図を示す。なお、図5および図6は第1トーションスプリング54の動作のみを示しており、第2トーションスプリング56の動作は省略している。
次に、図7〜図9を用いて高回転数領域(例えば4000〜4500〔rpm〕)におけるロックアップ動作について説明する。図8に低回転数領域におけるダンパー機構7の動作説明図、図9に低回転数領域におけるダンパー機構7の動作説明図を示す。なお、図8および図9は第1トーションスプリング54の動作のみを示しており、第2トーションスプリング56の動作は省略している。
以上の説明をまとめると、このロックアップ装置5では、所定の回転数付近までであれば、サポートプレート90はピストン51と相対回転可能であるため、ピストン51とドリブンプレート53部材との間でサポートプレート90が遊動子として機能し、4対の第1トーションスプリング54は直列に作用する。このため、所定の回転数付近までであれば、ロックアップ装置5において低剛性・広捩り角度の捩り特性を実現できる。
前述の実施形態に係るロックアップ装置5では、4つのサポートプレート90が設けられているが、図10に示すように、これらの部材が一体の環状のサポートプレート190であってもよい。サポートプレート190は、筒状の摺動部192と、サポートプレート90の第1突起93に対応する複数の第1突起193と、第2突起94に対応する複数の第2突起194とを有している。
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
2 フロントカバー
5 ロックアップ装置
6 クラッチ機構
7 ダンパー機構
10 タービン
51 ピストン
52 リティーニングプレート(保持部材)
53 ドリブンプレート(ドリブン部材)
54 第1トーションスプリング(第1弾性部材)
56 第2トーションスプリング(第2弾性部材)
90,190 サポートプレート(サポート部材)
91 サポートプレート本体
92,192 摺動部
93,193 第1突起
94,194 第2突起
95 ロック機構
Claims (9)
- フロントカバーとタービンとの間に配置され、前記フロントカバーと前記タービンとを機械的に連結するための流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置であって、
前記タービンに相対回転可能にかつ軸方向に相対移動可能に支持され、前記フロントカバーに連結可能なピストンと、
前記タービンに固定されたドリブン部材と、
前記ピストンと前記ドリブン部材とを回転方向に弾性的に連結する第1弾性部材と、
前記ピストンと前記ドリブン部材とを回転方向に弾性的に連結する第2弾性部材と、
前記ピストンが前記フロントカバーに連結されていない状態において、前記第1弾性部材の第1端部と前記第2弾性部材の第1端部との間に挟み込まれた中間支持部を有し、前記ピストンに対して回転可能に配置されたサポート部材と、を備え、
前記ピストンが前記フロントカバーに連結されている状態において、前記フロントカバーの回転数が所定値以下では、前記サポート部材は前記ピストンに対して回転可能であり、かつ、前記第1および第2弾性部材が前記ピストンと前記ドリブン部材との間で直列に圧縮され、
前記ピストンが前記フロントカバーに連結されている状態において、前記フロントカバーの回転数が所定値を超えると、前記サポート部材が前記ピストンに対して半径方向に押し付けられて摩擦抵抗により前記ピストンと一体回転し、かつ、前記第1および第2弾性部材のうち一方が前記ピストンと前記ドリブン部材との間で圧縮される、
流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記サポート部材は、前記ピストンに対して半径方向に相対移動可能に配置されている、
請求項1に記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記サポート部材は、前記ピストンおよび前記ドリブン部材よりも板厚が薄いプレートで形成されている、
請求項1または2に記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記ピストンは、前記タービンに相対回転可能にかつ軸方向に相対移動可能に支持されたピストン本体と、前記ピストン本体の外周部から軸方向に延びた外周筒状部と、を有しており、
前記サポート部材は、前記ピストン本体および第1弾性部材の軸方向間に配置されたサポート部材本体と、前記外周筒状部の内周側に配置され前記サポート部材本体の外周部から軸方向に延びる摺動部と、をさらに有している、
前記中間支持部は、前記サポート部材本体から軸方向に延びており、前記第1弾性部材の前記第1端部と前記第2弾性部材の前記第1端部との回転方向に挟み込まれている、
請求項1から3のいずれかに記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記サポート部材本体は、回転方向の延びる円弧状の部分であり、
前記摺動部は、前記外周筒状部に沿って軸方向および円周方向に延びる円弧状の部分であり、前記外周筒状部と前記第1弾性部材との間、および、前記外周筒状部と前記第2弾性部材との間、に配置されている、
請求項4に記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記サポート部材本体は、環状の部分であり、
前記摺動部は、前記サポート部材本体の外周部から軸方向に延びる円筒状の部分である、
請求項4に記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記ピストンに固定され前記第1および第2弾性部材を回転方向に弾性変形可能に支持するための保持部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記第1弾性部材の第2端部を回転方向に支持する第1支持部と、前記第2弾性部材の第2端部を回転方向に支持する第2支持部と、を有している、
請求項1から5のいずれかに記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - 前記第1弾性部材の内周側に配置され、前記ピストンと前記ドリブン部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の第3弾性部材をさらに備え、
前記ピストンは、前記第3弾性部材の少なくとも一部を軸方向に収容する凹部を有している、
請求項1から7のいずれかに記載の流体式トルク伝達装置用ロックアップ装置。 - フロントカバーと、
前記フロントカバーとともに流体室を形成するインペラーと、
前記流体室内で前記インペラーに対向して配置されたタービンと、
前記フロントカバーと前記タービンとの間に配置された請求項1から8のいずれかに記載のロックアップ装置と、
を備えた流体式トルク伝達装置。
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