JP4828054B2 - 水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョン - Google Patents

水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンに関し、詳しくは、安定性に優れ、かつ、環境に対する負荷が小さい水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンは、潤滑性,離型性,撥水性などの優れた効果を発揮することから、綿や羊毛などの天然繊維や合成繊維の柔軟仕上げ剤として、またプラスチック製品成型時の離型剤として、さらには毛髪用化粧料や皮膚用化粧料の原料として広く用いられている。これらの用途においてシリコーンは、水系での処理が可能で、他の有機成分との配合安定性が良好であり、安全性に優れているという点から、エマルジョンの形態で広く使用されている。
【0003】
シリコーンエマルジョンに使用される乳化剤には、非イオン性界面活性剤,アニオン性界面活性剤,カチオン性界面活性剤,両イオン性界面活性剤またはこれらの混合物からなる界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、化粧料に使用されるシリコーンエマルジョンには、他の化粧料配合成分、例えば水,アルコール類,鉱物油,ワックス類,脂肪酸エステル等にオルガノポリシロキサンを安定に分散するために、エーテル型の非イオン性界面活性剤が好適に用いられている。
【0004】
しかし近年、環境に対する負荷の少ない界面活性剤の選択が求められており、例えば、炭素原子数12〜15のアルキル基を有するアルキルポリエーテルは環境への影響が懸念される化学物質として、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)の排出量等が義務付けられた指定化学物質に認定され、その使用が制限されるようになった。また、原料が牛脂等の獣脂由来の界面活性剤は、厚生省医薬安全局長の「ウシ等由来物を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について(平成12年12月12日付)」の通達により、化粧品等への使用が制限されつつある。このような制限に対応する界面活性剤として、植物由来のポリオキシエチレンn−セチルエーテルやポリオキシエチレンn−ステアリルエーテルが知られているが、これらの界面活性剤は高融点であったり、水との配合時に凝集する性質を有するため、エマルジョンのクリーミングやオイル分離,水分離といった乳化不良を引き起こすという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは鋭意検討した結果、界面活性剤として炭素原子数が16〜20の長鎖分岐型アルコールのオキシエチレン付加物を用いれば、上記課題を解決できることを見出して、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、安定性に優れ、しかも、環境に対する負荷が小さい水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)オルガノポリシロキサン、(B)炭素原子数が16〜20の長鎖分岐型アルコールのオキシエチレン付加物および(C)水を主成分とすることを特徴とする、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(A)オルガノポリシロキサンは本発明エマルジョンの主剤であり、例えば、平均単位式:RaSiO(4-a)/2で表すことができる。式中、Rは同一もしくは異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基,アリル基,ヘキセニル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基;フェニル基,トリル基,ナフチル基などの芳香族炭化水素基;これらの基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子またはエポキシ基,カルボキシル基,メタクリル基,ポリオキシアルキレン基などを含む有機基で置換された基が例示される。これらの中でも、非置換の一価炭化水素基が好ましい。さらにこのRの一部が水素原子、水酸基またはアルコキシ基で置換されたものであってもよい。aは0を越え3未満の数であり、好ましくは1.0〜2.5であり、より好ましくは1.8〜2.2である。分子構造は、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐状、環状が挙げられる。(A)成分としては、分子鎖末端が、トリメチルシロキシ基,シラノール基,アルコキシ基,Si−H基等で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましく、ジオルガノポリシロキサンとして、例えば、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体,メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体,メチルエチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。これらのジオルガノポリシロキサン中、ジメチルシロキサン単位は70モル%以上であることが好ましい。(A)成分としては1種類のオルガノポリシロキサンを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。25℃における粘度は、通常、20mPa・s以上であるが、20〜5,000,000mPa・sの範囲が好ましく、50〜3,000,000mPa・sの範囲がより好ましい。尚、ここでいう粘度は(A)成分としての粘度であるので、この範囲外の粘度のオルガノポリシロキサンであっても、異なる粘度のオルガノポリシロキサンと混合して粘度を調整することにより、(A)成分として使用することができる。例えば、5,000,000〜20,000,000mPa・sの高粘度オルガノポリシロキサンに、希釈剤として20mPa・s以下のオルガノポリシロキサンや、ヘキサメチルジシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性の低分子量オルガノポリシロキサンを配合した混合物が挙げられる。この混合物において、希釈剤の配合量は高粘度オルガノポリシロキサン100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましい。
【0009】
(B)炭素原子数が16〜20の長鎖分岐型アルコールのオキシエチレン付加物は本発明エマルジョンの特徴的な成分である。この(B)成分は(A)成分の乳化剤であり、本発明エマルジョンの安定性を向上させ、環境や人体に対する負荷が小さいという利点を有する。さらに、本発明エマルジョンを他の成分に配合した際の分散性や安定性を向上させる働きをする。(B)成分としては、式(1):
【化2】
Figure 0004828054
(式中、R1およびR2は、それぞれ、炭素原子数2〜16の直鎖状アルキル基である。)で示されるものが好ましく、具体的には、式:
【化3】
Figure 0004828054
で表されるポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル,式:
【化4】
Figure 0004828054
で表されるポリオキシエチレンイソステアリルエーテル,式:
【化5】
Figure 0004828054
で表されるポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルが好ましい。式中のn、即ち、エチレンオキサイド(E.O)の付加モル数は限定されないが、好ましくは2〜40であり、特に好ましくは2〜30である。これは、炭素原子数およびエチレンオキサイドの付加モル数がこの範囲から外れると、エマルジョンの安定性が低下するためである。平均HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は10以上であることが好ましい。尚、本発明でいうHLBとは、下記式で示されるGriffin式で算出された値を言う。
【化6】
Figure 0004828054
(B)成分は1種類のオキシエチレン付加物を単独で使用してもよく、2種以上の混合物でもよい。例えば、エチレンオキサイドの付加モル数が2〜10モルのオキシエチレン付加物と、エチレンオキサイドの付加モル数が15〜30モルのオキシエチレン付加物を混合して平均HLBが10以上になるように調整した混合物が挙げられる。両者の配合量は、前者のオキシエチレン付加物10重量部に対して後者のオキシエチレン付加物1〜100重量部であることが好ましい。このような炭素原子数が16〜20の長鎖分岐型アルコールのオキシエチレン付加物は市販されており、例えば、日光ケミカルズ株式会社製の商品名:NIKKOL BH−2,NIKKOL BH−5,NIKKOL BH−7,NIKKOL BH−10,NIKKOL BH−15,NIKKOL BH−20,NIKKOL BH−25,NIKKOL BH−30や、日本エマルジョン株式会社製の商品名:EMALEX 1605,EMALEX 1610,EMALEX 1615,EMALEX 1620,EMALEX 1625,EMALEX 1805,EMALEX 1810,EMALEX 1815,EMALEX 1820,EMALEX 1825,EMALEX OD−5,EMALEX OD−10,EMALEX OD−16,EMALEX OD−20,EMALEX OD−25がある。
【0010】
(B)成分の配合量は限定されないが、好ましくは(A)成分100重量部に対して0.01〜30重量部であり、特に好ましくは0.1〜20重量部である。これは、0.01重量部未満であるとエマルジョンそのものの安定性や水への希釈安定性や他の成分への分散性が低下する傾向があり、30重量部を超えると用途が限定される懸念があるためである。
【0011】
(C)水は(A)成分の分散媒であり、例えば、純水、イオン交換水を用いることができる。(C)成分の含有量は限定されないが、好ましくは(A)成分100重量部に対して5〜2000重量部であり、特に好ましくは10〜1000重量部である。これは、5重量部未満であるとエマルジョンそのものの安定性や他の成分への分散性が低下する傾向があり、2000重量部を超えると長期の保存安定性が悪くなる場合があるためである。
【0012】
本発明エマルジョンは、本質的に上記(A)成分〜(C)成分からなるが、(A)成分の希釈剤として炭化水素系溶剤を使用することができる。その配合量は(A)成分100重量部に対して、10〜1000重量部が好ましい。さらに、他の成分への配合安定性をより一層向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲であれば、オルガノポリシロキサンエマルジョンの添加剤として公知である他の成分を添加配合することができる。このような添加剤としては、アニオン系界面活性剤,カチオン系界面活性剤,両性界面活性剤,(B)成分以外のノニオン系界面活性剤,アルコール類,水溶性高分子,防腐剤,防カビ剤,防錆剤が例示される。尚、これらの界面活性剤は非シリコーン系の界面活性剤であることが好ましい。これらの成分は単独で使用してもよく、複数組み合わせてもよい。またその配合手順は特に限定されない。
【0013】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、N−アシル−サルコシン塩類,N−アシルグルタミン酸及びその塩類,アルカンスルホン酸及びその塩類,αオレフィンスルホン酸及びその塩類,アルキル硫酸及びその塩類,高級脂肪酸エステルのスルホン酸及びその塩類,ジアルキルスルホコハク酸及びその塩類,アシルメチルタウリン及びその塩類,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸及びその塩類,脂肪酸塩類,アルキルポリエーテルカルボン酸及びその塩類,アルキルリン酸及びその塩類,ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩類,アルキルアリルスルホン酸及びその塩類,アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩類が挙げられる。
【0014】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム,塩化アルキルトリメチルアンモニウム,塩化アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム,塩化γ−グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム,塩化ジアルキルジメチルアンモニウム,塩化ジ(ポリオキシエチレン)アルキルメチルアンモニウム,塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム,塩化セチルピリジニウム,塩化アルキルジメチルエチルアンモニウム,塩化トリ(ポリオキシエチレン)アルキルアンモニウム,塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジエチルメチルアンモニウム,塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム,塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム,臭化アルキルイソキノリニウム液,臭化アルキルトリメチルアンモニウム,アルキルトリメチルアンモニウムサッカリンが挙げられる。
【0015】
(B)成分以外のノニオン系界面活性剤の具体例としては、エチレングリコール脂肪酸エステル類,ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類,プロピレングリコール脂肪酸エステル類,ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類,グリコール脂肪酸エステル類,トリメチロールプロパン脂肪酸エステル類,ペンタエリスリット脂肪酸エステル類,グルコシド誘導体類,グリセリンアルキルエーテル脂肪酸エステル類,トリメチロールプロパンオキシエチレンアルキルエーテル類,脂肪酸アミド類,アルキロールアミド類,アルキルアミンオキシド類,ラノリンおよびその誘導体類,ヒマシ油誘導体類,硬化ヒマシ油誘導体類,ステロールおよびその誘導体類,ポリオキシエチレンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルアミン類,ポリオキシエチレン脂肪酸アミド類,ポリオキシエチレンアルキロールアミド類,ポリオキシエチレンジエタノールアミン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル類,グリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類,ソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類が挙げられる。
【0016】
両性界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン,アルキルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム,塩酸アルキルジアミノエチルエチルグリシン液,ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン,ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体,アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド,ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸,アルキルベタイン,ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン,β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム,ラウリル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムドデカノイルサルコシン,ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム,ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン,ラウリン酸アミドプロピルベタイン液が挙げられる。
【0017】
防腐剤、防カビ剤、防錆剤の具体例としては、安息香酸,安息香酸アルミニウム,安息香酸ナトリウム,イソプロピルメチルフェノール,エチルヘキサンジオール,塩化リゾチーム,塩酸クロルヘキシジン,オクチルフェノキシエタノール,オルトフェニルフェノール,過ホウ酸ナトリウム,感光素101号,感光素201号,感光素301号,感光素401号,グルコン酸クロルヘキシジン液,クレゾール,クロラミンT,クロルキシレノール,クロルクレゾール,クロルフェネシン,クロルヘキシジン,クロロブタノール,酢酸レゾルシン,サリチル酸,サリチル酸ナトリウム,臭化ドミフェン,ジンクピリチオン,ジンクピリチオン液,ソルビン酸,サオルビン酸カリウム,チアントール,チオキソロン,チモール,チラム,デヒドロ酢酸,デヒドロ酢酸ナトリウム,トリクロロカルバニリド,トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル,パラオキシ安息香酸イソブチル,パラオキシ安息香酸イソプロピル,パラオキシ安息香酸エチル,パラオキシ安息香酸ブチル,パラオキシ安息香酸プロピル,パラオキシ安息香酸ベンジル,パラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸メチルナトリウム,パラクロルフェノール,パラフェノールスルホン酸ナトリウム(二水和物),ハロカルバン,フェノキシエタノール,フェノール,ヘキサクロロファン,モノニトログアヤコール,モノニトログアヤコールナトリウム,ヨウ化パラジメチルアミノスチリルヘプチルメチルリアゾリニウム,ラウリルトリメチルアンモニウムトリクロロフェノキサイド,硫酸オキシキノリン,リン酸オキシキノリン,レゾルシンが挙げられる。
【0018】
水溶性高分子の具体例としては、カルボキシビニルポリマー,カルボキシメチルセルロースナトリウム,アラビアゴム,アルギン酸塩,アルギン酸プロピレングリコール,エチルセルロース,カラヤガム,カルボキシメチルキチン液,カルボキシメチルデキストラン,カルボキシメチルデキストランナトリウム,カンテン,キサンタンガム,球状セルロース,グァーガム,結晶セルロース,デンプン,コンドロイチン硫酸ナトリウム,β−シクロデキストリン,ステアリン酸デキストリン,繊維素グリコール酸ナトリウム,デキストラン硫酸ナトリウム,デキストリン,天然ゴムラテックス,デンプングリコール酸エステル,ニトロセルロース,パルミチン酸デキストリン,ビスコースレーヨン,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド,ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル,ヒドロキプロピルセルロース,ペクチン,メチルセルロース,ヤシ油脂肪酸デキストリン,ラウリン酸デキストリン,ロジンが挙げられる。
【0019】
本発明エマルジョンを調製する方法は特に限定されないが、一般的に、(A)成分、(B)成分および(C)成分を均一に混合した後、高せん断をかけて乳化する方法が使用される。本発明エマルジョンの平均粒子径は、通常、0.15μm以上であるが、好ましくは0.15〜100μmであり、より好ましくは0.15〜50μmである。
【0020】
以上のような本発明の水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンは安定性に優れ、即ち、機械的安定性および高温安定性が良好であり、しかも、環境に対する負荷や人体に対する問題が少ないという特徴を有する。さらには他の成分に配合した場合の分散性が良好であり、配合物へのオルガノポリシロキサンの添加効果を十分に発揮することができる。このような本発明エマルジョンは、化粧料原料として好適に使用される。また、離型剤や繊維処理剤としても有用である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを、実施例により詳細に説明する。粘度は25℃における値である。エマルジョンの特性は下記の方法に従って評価した。尚、実施例で使用したポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルは、式:
【化7】
Figure 0004828054
で表されるものであり、C613、C817ともに直鎖状である。
【0022】
[エマルジョンの平均粒子径]
オルガノポリシロキサンエマルジョンをレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製;LA−500)により測定して、得られたメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径:50%粒径)を平均粒子径とした。
【0023】
[エマルジョンの機械的安定性]
オルガノポリシロキサンエマルジョンを、目盛付きの30ccガラス製遠心分離管に25cc注入して遠心分離機に装着し、2500rpmで30分間遠心分離を行った。遠心分離によって分離したオイル層、クリーム層、水層各々の厚みを測定して、全量に対する割合(%)に換算した。尚、この割合が大きいほど、安定性が乏しいことを示している。
【0024】
[エマルジョンの高温安定性]
オルガノポリシロキサンエマルジョンを100ccのガラスビンに入れて密栓し、50℃の恒温槽中にて1ヶ月間静置した。1ヶ月後のエマルジョンの外観を目視にて測定し、以下の基準にて評価した。
◎:調製直後と全く変化なく均一であり、高温安定性は非常に良好であった。
○:上部に若干のクリーミングが認められた。
△:かなりの層のクリーミングが認められ、高温安定性は不十分であった。
×:2層に分離していた。
【0025】
【実施例1】
粘度500mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン400重量部と、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数7,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BH−7,HLB=11.2)25重量部を混合した後、純水35重量部を加えてコロイドミルで乳化した。さらに純水540重量部を加えて、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンAとした。得られたエマルジョンAについて、平均粒子径および機械的安定性を測定した。その結果を表1に示した。
【0026】
【実施例2】
粘度500mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン400重量部と、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日本エマルジョン株式会社製;製品名EMALEX1610、HLB=12.9)25重量部を混合した後、純水35重量部を加えてコロイドミルで乳化した。さらに純水540重量部を加えて、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンBとした。得られたエマルジョンBについて、平均粒子径および機械的安定性を測定した。その結果を表1に示した。
【0027】
【実施例3】
粘度500mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン400重量部、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日本エマルジョン株式会社製;製品名EMALEX1610、HLB=12.9)15重量部、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25,日本エマルジョン株式会社製;製品名EMALEX1625、HLB=16.4)10重量部を混合した後、純水35重量部を加えてコロイドミルで乳化した。さらに純水540重量部を加えて、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンCとした。得られたエマルジョンCについて、平均粒子径および機械的安定性を測定した。その結果を表1に示した。
【0028】
【比較例1】
実施例1において、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数7)の代わりに、ポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数7,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−7、HLB=11.2)を用いた以外は実施例1と同様にして、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンDとした。得られたエマルジョンDについて、平均粒子径および機械的安定性を測定した。その結果を表1に示した。
【0029】
【比較例2】
実施例1において、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数7)の代わりに、ポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−10TX、HLB=12.9)を用いた以外は実施例1と同様にして、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンEとした。得られたエマルジョンEについて、平均粒子径および機械的安定性を測定した。その結果を表1に示した。
【0030】
【比較例3】
実施例1において、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数7)の代わりに、ポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−10TX、HLB=12.9)15重量部とポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−25TX,HLB=16.4)10重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンFとした。得られたエマルジョンFについて、平均粒子径および機械的安定性を測定した。その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0004828054
【0032】
【実施例4】
粘度100,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン500重量部、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日本エマルジョン株式会社製;製品名EMALEX1610,HLB=12.9)24重量部、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BH−25,HLB=16.4)16重量部を混合した後、純水30重量部を加えて、ホモミックラインミル(特殊機化株式会社製)により乳化した。さらに純水430重量部を加えて、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンGとした。得られたエマルジョンGについて、平均粒子径および高温安定性を測定した。その結果を表2に示した。
【0033】
【実施例5】
粘度20,000,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン150重量部と粘度10mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン350重量部を均一に混合して、粘度150,000mPa・sの混合物を調製した。次いでこれに、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日本エマルジョン株式会社製;製品名EMALEX1610,HLB=12.9)24重量部、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BH−25,HLB=16.4)16重量部を加えて混合し、純水30重量部を加えてホモミックラインミル(特殊機化株式会社製)により乳化した。さらに純水430重量部を加えて、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンHとした。得られたエマルジョンHについて、平均粒子径および高温安定性を測定した。その結果を表2に示した。
【0034】
【実施例6】
粘度20,000,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン150重量部と粘度10mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン350重量部を均一に混合して、粘度150,000mPa・sの混合物を調製した。次いでこれに、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数5,日本エマルジョン株式会社製;商品名EMALEX1805,HLB=9.0)16重量部、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数20,日本エマルジョン株式会社製;商品名EMALEX 1820,HLB=15.3)24重量部を混合し、純水30重量部を加えてホモミックラインミル(特殊機化株式会社製)により乳化した。さらに純水430重量部を加えて、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンIとした。得られたエマルジョンIについて、平均粒子径および高温安定性を測定した。その結果を表2に示した。
【0035】
【比較例4】
実施例において、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10)の代わりにポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−10TX,HLB=12.9)を用い、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25)の代わりにポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数=25,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−25TX,HLB=16.4)を用いた以外は実施例と同様にして、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンJとした。得られたエマルジョンJについて、平均粒子径および高温安定性を測定した。その結果を表2に示した。
【0036】
【比較例5】
実施例において、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10)の代わりにポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数10,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−10TX,HLB=12.9)を用い、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25)の代わりにポリオキシエチレンn−セチルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数25,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BC−25TX,HLB=16.4)を用いた以外は実施例と同様にして、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンKとした。得られたエマルジョンKについて、平均粒子径および高温安定性を測定した。その結果を表2に示した。
【0037】
【比較例6】
実施例において、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数5)の代わりにポリオキシエチレンn−ステアリルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数4,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BS−4,HLB=7.9)を用い、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数20)の代わりにポリオキシエチレンn−ステアリルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数20,日光ケミカルズ株式会社製;製品名NIKKOL BS−20,HLB=15.3)を用いた以外は実施例と同様にして、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した。これをエマルジョンLとした。得られたエマルジョンLについて、平均粒子径および高温安定性を測定した。その結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
Figure 0004828054
【0039】
【発明の効果】
本発明の水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンは、上記(A)成分〜(C)成分からなり、乳化剤として特に(B) 炭素原子数が16〜20の長鎖分岐型アルコールのオキシエチレン付加物を使用しているので、安定性に優れ、かつ、環境に対する負荷が小さいという特徴を有する。

Claims (5)

  1. (A)25℃における粘度が50〜3,000,000mPa・sのオルガノポリシロキサン、(B)ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルまたはポリオキシエチレンイソステアリルエーテルおよび(C)水を主成分とすることを特徴とする、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョン。
  2. (B)成分が、エチレンオキサイドの付加モル数2〜10モルのポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルおよびエチレンオキサイドの付加モル数が15〜30モルのポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルの混合物、または、エチレンオキサイドの付加モル数2〜10モルのポリオキシエチレンイソステアリルエーテルおよびエチレンオキサイドの付加モル数が15〜30モルのポリオキシエチレンイソステアリルエーテルの混合物であって式:((ポリオキシエチレン部分の分子量)/(界面活性剤の分子量))×(100/5)で表されるHLBが平均で10以上であることを特徴とする請求項1記載の水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョン。
  3. (B)成分が式:
    Figure 0004828054
    (式中、nは2〜40である。)で表されるポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルであることを特徴とする、請求項1に記載の水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョン。
  4. エマルジョンの平均粒子径が0.15μm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョン。
  5. (A)25℃における粘度が50〜3,000,000mPa・sのオルガノポリシロキサン、(B)ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルまたはポリオキシエチレンイソステアリルエーテルおよび(C)水を均一に混合した後、乳化することを特徴とする、水中油型オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法。
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