JP4826843B2 - ドライエッチング方法 - Google Patents

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本発明は、半導体集積回路、CCD(電荷結合素子)、LCD(液晶表示素子)用カラーフィルター、磁気ヘッド等の微細加工に用いられるフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクをフォトマスクに加工する際に好適なドライエッチング方法に関する。
近年、半導体加工においては、特に大規模集積回路の高集積化により、回路パターンの微細化がますます必要になってきており、回路を構成する配線パターンの細線化や、セルを構成する層間の配線のためのコンタクトホールパターンの微細化技術への要求がますます高まってきている。そのため、これら配線パターンやコンタクトホールパターンを形成する光リソグラフィーで用いられる、回路パターンが書き込まれたフォトマスクの製造においても、上記微細化に伴い、より微細かつ正確に回路パターンを書き込むことができる技術が求められている。
より精度の高いフォトマスクパターンをフォトマスク基板上に形成するためには、まず、フォトマスクブランク上に高精度のレジストパターンを形成することが必要になる。実際の半導体基板を加工する際の光リソグラフィーは、縮小投影を行うため、フォトマスクパターンは実際に必要なパターンサイズの4倍程度の大きさであるが、それだけ精度が緩くなるというわけではなく、むしろ、原版であるフォトマスクには露光後のパターン精度に求められるものよりも高い精度が求められる。
更に、既に現在行われているリソグラフィーでは、描画しようとしている回路パターンは使用する光の波長をかなり下回るサイズになっており、回路の形状をそのまま4倍にしたフォトマスクパターンを使用すると、実際の光リソグラフィーを行う際に生じる光の干渉等の影響で、レジスト膜にフォトマスクパターンどおりの形状は転写されない。そこでこれらの影響を減じるため、フォトマスクパターンは実際の回路パターンより複雑な形状(いわゆるOPC:Optical Proximity Effect Correction(光学近接効果補正)などを適用した形状)に加工する必要が生じる場合もある。そのため、フォトマスクパターンを得るためのリソグラフィー技術においても、現在、更に高精度な加工方法が求められている。リソグラフィー性能については限界解像度で表現されることがあるが、この解像限界としては、フォトマスクを使用した半導体加工工程で使用される光リソグラフィーに必要な解像限界と同等程度、又はそれ以上の限界解像精度がフォトマスク加工工程のリソグラフィー技術に求められている。
フォトマスクパターンの形成においては、通常、透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランク上にフォトレジスト膜を形成し、電子線によるパターンの描画を行い、現像を経てレジストパターンを得、そして、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、遮光膜をエッチングして遮光パターンへと加工するが、遮光パターンを微細化する場合にレジスト膜の膜厚を微細化前と同じように維持したままで加工しようとすると、パターンに対する膜厚の比、いわゆるアスペクト比が大きくなって、レジストのパターン形状が劣化してパターン転写がうまく行かなくなったり、場合によってはレジストパターンが倒れや剥れを起こしたりしてしまう。そのため、微細化に伴いレジスト膜厚を薄くする必要がある。
一方、遮光膜材料としては、従来使用されてきたクロム系材料に比較して、ケイ素を含む材料、ケイ素と遷移金属を含む材料等のケイ素系材料は、200nm以下の露光光に対する遮光特性が優れ、かつレジストパターンにダメージを与えにくいフッ素系のドライエッチングで加工でき、より高精度の加工を行うことができる(特許文献1:特開2007−241065号公報)。また、更に高精度の加工を行うために、エッチングマスクを使用する技術と組み合わせた場合にも、クロム系材料をエッチングマスクとしてケイ素系材料の遮光膜を加工する方が、ケイ素系材料をエッチングマスクとしてクロム系材料を加工するよりも、パターン依存性やサイドエッチングによる加工誤差が小さくなることが見出されている(特許文献2:特開2007−241060号公報)。このため、次世代の遮光膜材料として、ケイ素系材料による膜を用いた遮光膜が有望視されている。
特開2007−241065号公報 特開2007−241060号公報 特開2001−27799号公報 特開2004−333653号公報 特開昭63−85553号公報 特開平7−140635号公報 特開2006−317665号公報
ところで、遷移金属を含有するケイ素系化合物は、ハーフトーン位相シフト膜材料としても、加工特性や化学的安定性の点から好ましい材料として常用されるものである。そこで、ケイ素系のハーフトーン位相シフト膜上に、ケイ素系の遮光膜を有するフォトマスクブランクを用いる場合、ハーフトーン位相シフト膜にダメージを与えずにハーフトーン位相シフト膜上の遮光膜をエッチング除去するためには、遮光膜とハーフトーン位相シフト膜の間に選択エッチング可能な材料、例えばクロム系材料からなるエッチングストッパー膜を設けてやることが好ましいものであった。
このエッチングストッパー膜は、ハーフトーン位相シフト膜上の遮光膜を、ハーフトーン位相シフト膜を傷つけずにエッチング除去可能とするだけでなく、ハーフトーン位相シフト膜を精密に加工可能とする効果を有するものではある。しかし、この膜があることによって、加工工程としては、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを形成するだけでも、遮光膜−エッチングストッパー膜−ハーフトーン位相シフト膜の順番に3回のエッチング加工が必要となる。更に高精度の加工を行うために、上述のクロム系のエッチングマスク膜を用いた場合には、エッチングマスク膜のエッチング工程を含めてハーフトーン位相シフト膜の加工を行うために4回のエッチング工程が必要であると共に、ハーフトーン位相シフト膜上の遮光膜をエッチング除去する工程まで含めると、異なる層のエッチングを同時に行う手法を用いても5回のエッチング工程が必要になる。
ところがエッチング工程は、マスク欠陥の発生を引き起こしやすい工程であり、エッチング工程の回数が多くなるという点では、上述のようなエッチングストッパー膜を用いる方法は不利な方法である。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ケイ素系材料で構成した2層の一方を選択的にエッチングすることができるエッチング方法を提供することを目的とする。
エッチング工程数を減らすためには、例えば、特開2007−241065号公報(特許文献1)で開示されたフォトマスクブランクのエッチングストッパー膜がないものを用いれば、位相シフト部のパターン形成加工時に、遮光膜と位相シフト膜の加工をフッ素によるドライエッチングで1工程として行うことで達成できる。しかし、位相シフト部を機能させるためには位相シフト部上の遮光膜を除去する必要があり、問題は、この際、高精度の選択性をもって遮光膜のみを除去できるかという点にある。
この選択エッチングに対し、本発明者らは塩素系のドライエッチングに注目した。特開2001−27799号公報(特許文献3)には、MoSiON膜が酸素を含有する塩素系ドライエッチング条件でエッチング可能であることを示しており、具体的例示からは酸素含有率が20%程度までは有効なエッチング速度を有し、酸素量が増加するに従い、なだらかにエッチング速度が下がることが示されている。しかし、この場合、エッチング速度が急速に変化することがないため、酸素含有率を調整しても選択エッチングは難しいと考えられていた。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、種々のテストサンプルを作製し、選択エッチングの可能性を追求したところ、ケイ素系材料同士であっても、酸素及び窒素の含有率が異なる材料間であれば、エッチングガスに添加する酸素量を調整してやることによって選択エッチングが可能であることを見出した。
また、本発明者らは、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよい単層又は多層の第1のケイ素系材料層と、この第1のケイ素系材料層に隣接して形成され、遷移金属を含有してもよく、第1のケイ素系材料層より窒素及び酸素の合計の含有率が小さい層からなる単層又は多層の第2のケイ素系材料層とからなる積層体が、ケイ素系材料層の組成とエッチング条件を選択することにより、1回の塩素系ドライエッチングで、第2のケイ素系材料層を選択エッチングすることが可能であり、更に、第2のケイ素系材料層に隣接するクロム系材料層が設けられた場合も、クロム系材料膜と共に第2のケイ素系材料層を、エッチング条件を選択することにより、1回の塩素系ドライエッチングで、選択エッチングすることが可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記のドライエッチング方法を提供する。
請求項1:
酸素及び/又は窒素を含有し、かつ遷移金属を含有する単層又は多層の第1のケイ素系材料層と、
該第1のケイ素系材料層に隣接して形成され、遷移金属を含有し、第1のケイ素系材料層より窒素及び酸素の合計の含有率が小さいケイ素系材料層からなる単層又は多層の第2のケイ素系材料層とからなる積層体から、第2のケイ素系材料層を、第1のケイ素系材料層を残して選択エッチング除去する方法であって、
酸素を含有する塩素系ドライエッチングガスを用い、上記第1のケイ素系材料層のエッチング速度に対する上記第2のケイ素系材料層のエッチング速度が大きくなるように塩素系ガスと酸素ガスとの比率を設定して、塩素系ドライエッチングにより、上記第2のケイ素系材料層を選択エッチング除去することを特徴とするドライエッチング方法。
請求項2:
上記第2のケイ素系材料層が、窒素及び/又は酸素を含有し、かつ遷移金属を含有するケイ素系材料層を含むことを特徴とする請求項1記載のドライエッチング方法。
請求項3:
上記第2のケイ素系材料層が、更に、第1のケイ素系材料層に接する側に、窒素及び酸素を含有せず、遷移金属を含有するケイ素系材料層を含むことを特徴とする請求項2記載のドライエッチング方法。
請求項4:
上記第1のケイ素系材料層中の窒素及び酸素の合計の含有率C1(モル%)と、上記第2のケイ素系材料層中の窒素及び/又は酸素を含有し、かつ遷移金属を含有するケイ素系材料層中の窒素及び酸素の合計の含有率C2(モル%)との差(C1−C2)が5以上であることを特徴とする請求項2又は3記載のドライエッチング方法。
請求項5:
上記塩素系ドライエッチングにおいて、塩素系ガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/塩素系ガス(モル比))を0.0001〜1とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
請求項6:
基板上に形成した酸素及び/又は窒素を含有し、かつ遷移金属を含有する第1のケイ素系材料層、及び基板上に形成した遷移金属を含有し、第1のケイ素系材料層より窒素及び酸素の合計の含有率が小さいケイ素系材料層からなる第2のケイ素系材料層又は該第2のケイ素系材料層を構成するケイ素系材料層の各々について、塩素系ガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/塩素系ガス(モル比))を変化させながら、酸素を含有する塩素系ドライエッチングガスによる塩素系ドライエッチング操作を行って、第1のケイ素系材料層及び第2のケイ素系材料層又は該第2のケイ素系材料層を構成するケイ素系材料層の各々のエッチング速度を得、これらの対比によって、上記積層体から第2のケイ素系材料層を、第1のケイ素系材料層を残して選択エッチング除去することが可能な塩素系ガスと酸素ガスとの比率を決定し、該比率を設定してドライエッチングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
請求項7:
上記積層体に、更に上記第2のケイ素系材料層に隣接するクロム系材料層が設けられ、該クロム系材料層と第2のケイ素系材料層との双方を、上記塩素系ドライエッチングにてエッチング除去することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
請求項8:
上記第1のケイ素系材料層及び第2のケイ素系材料層が、透明基板上に形成され、フォトマスクブランクの機能膜を構成する層であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
請求項9:
上記第1のケイ素系材料層が、フォトマスクブランクの位相シフト膜の一部又は全部を構成する層であり、上記第2のケイ素系材料層が、フォトマスクブランクの遮光膜の一部又は全部を構成する層であることを特徴とする請求項8記載のドライエッチング方法。
本発明のドライエッチング方法を用いることにより、いわゆるエッチングストッパー膜を用いなくとも、同種のケイ素系材料の積層体、例えば、ケイ素系材料の遮光膜を、ケイ素系材料の位相シフト膜上に積層したものを用いても、位相シフト膜にダメージを与えることなく、遮光膜に対する高精度なエッチング加工が可能となる。
また、積層体の下層のパターン加工、例えば、位相シフト膜のパターン加工時には、ケイ素系材料の遮光膜とケイ素系材料の位相シフト膜を1回のドライエッチングにより加工でき、更に、積層体の上層、例えば、遮光膜の上にクロム系材料によるエッチングマスク膜を用いる場合や、遮光膜中の上層として反射防止機能を有するクロム系材料層を用いた場合にも、それらと遮光膜中のケイ素系材料層を、1回のドライエッチングにより加工できるため、ドライエッチング工程が低減され、マスク欠陥の発生を防止することができる。
実験例1においてO2流量を変えて測定した、エッチング時間に対する膜の反射率の変化を示すグラフである。 実験例2においてO2流量を変えて測定した、エッチング時間に対する膜の反射率の変化を示すグラフである。 実験例3においてO2流量2sccmで測定した、エッチング時間に対する膜の反射率の変化を示すグラフである。 実験例及び実施例で用いたドライエッチング装置を示す概略図である。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
透明基板上に位相シフト膜を有し、更にその上に遮光膜を有するフォトマスクブランクを、遮光部と位相シフト部を有するフォトマスクに加工する場合、それらの膜が積層された順番の関係から、一般には、必要とする位相シフト部パターンを得るためには、位相シフト膜が不要な部位の遮光膜及び位相シフト膜の除去をこの順番で行い、次いで、遮光部パターンを得るために、残された位相シフト部パターン上の不用な遮光膜を除去することにより目的のフォトマスクが得られる。
位相シフト部の高精度な加工を行うためには、従来、遮光膜にはクロム系材料、位相シフト膜には遷移金属を含む又は含まないケイ素系材料のように、エッチング特性が互いに異なる材料を用い、フォトレジストパターンを用いてクロム系材料の遮光膜をパターン加工し、得られた遮光部パターンをエッチングマスクとしてケイ素系材料の位相シフト膜を加工することが行われてきた(例えば、特許文献4:特開2004−333653号公報参照)。
しかし、上述のように、目的とする半導体のパターンルールが65nm以下と微細化するに従い、遮光性を確保するために必要な厚さのクロム膜を用いると、クロム膜を加工する際にパターン精度が大きく低下することが明らかになり、遮光膜の主たる層にも遷移金属を含む又は含まないケイ素系材料を使用することが有効である(例えば、特許文献1:特開2007−241065号公報、特許文献2:特開2007−241060号公報参照)。
ところが、遮光膜にも同系材料であるケイ素系材料を用いると、フォトマスクへの加工工程で、位相シフト膜上の不用な遮光膜を除去するためには遮光膜のケイ素系材料だけを選択的にエッチングする方法が必要になる。そこで、上述のようなクロム系材料とケイ素系材料による選択エッチング方法を、ケイ素系材料の位相シフト膜とケイ素系材料の遮光膜との間のエッチングに利用し、ケイ素系材料の位相シフト膜とケイ素系材料の遮光膜との間に、特開2007−241065号公報(特許文献1)に示されるように、ケイ素系材料とはエッチング特性が異なるクロム系材料のエッチングストッパー膜を設けることが有効になる。
この方法の場合、位相シフト膜の加工方法にも種々のバリエーションを採用することができ、有利な方法ではあるものの、上述のような位相シフト部パターンを得るためには、エッチングストッパー膜とのエッチング特性が、遮光膜及び位相シフト膜のエッチング特性と異なるため、ケイ素系材料の遮光膜、クロム系材料のエッチングストッパー膜、ケイ素系材料の位相シフト膜の順に3回のエッチング工程が必要である。そのため、エッチングストッパー膜がなくとも、互いに隣接するケイ素系材料層の積層体から一方の層を選択的にエッチングできる方法が望まれていた。
互いに接するケイ素を含有する2層の一方を選択エッチングする方法自体は、特開昭63−85553号公報(特許文献5)に開示されている。ここでは石英基板上に成膜した遷移金属を含有するケイ素の膜を、酸化シリコン(Simn)をエッチングマスクとして酸素を含有する塩素系ドライエッチング条件でエッチングすると、酸化シリコンによるエッチングマスクと石英基板はダメージを受けずに、遷移金属を含有するケイ素の膜を選択的にエッチングできることが示されている。しかし、ここでは酸化シリコンを選択的に除去するための具体的方法は開示されておらず、また、ここで用いられている酸化シリコンは、スパッタ成膜時に異物を発生し易い材料であり、必ずしも使い勝手が良くない。
また、特開2001−27799号公報(特許文献3)に示されたハーフトーン位相シフト膜の加工では、組成は不明であるものの、MoSiON膜が酸素を含む塩素系ドライエッチング条件において、かなり広い酸素の含有範囲においてエッチングが可能であることが示されている。これは、MoSiON膜が酸素を含む塩素系ドライエッチング条件でエッチング可能なことを示している一方、MoSiON膜間では、選択性を出すことが難しいことを予想させるものである。
一方、特開2007−241060号公報(特許文献2)では、ケイ素系材料の位相シフト膜上に、ケイ素系材料の遮光膜を用いて、この両層をフッ素系ドライエッチングにより1回の工程でパターン加工することが示され、遮光膜上にクロム系化合物膜が成膜されたものも示されているが、不要なクロム系材料膜の遮光膜の除去は、ケイ素系材料膜と別の条件のドライエッチング工程で行っている。
本発明においては、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよい第1のケイ素系材料層と、第1のケイ素系材料層に隣接して形成され、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を有する単層又は多層からなる第2のケイ素系材料層との積層体の場合であっても、第1のケイ素系材料層と、第2のケイ素系材料層とを適切に組み合わせることで、これらの間にクロム材料のエッチングストッパー膜を設けずに、第1のケイ素系材料層を傷つけることなく残して、第1のケイ素系材料層上に形成された第2のケイ素系材料層を、ドライエッチングにより選択的に除去することができる。
このような第1のケイ素系材料層と第2のケイ素系材料層との積層体にあっては、これらの層が、透明基板上に形成された、フォトマスクブランクの遮光膜、位相シフト膜等の機能膜を構成する層であることが好ましく、第1のケイ素系材料層が、フォトマスクブランクの位相シフト膜の一部又は全部を構成する層であり、第2のケイ素系材料層が、フォトマスクブランクの遮光膜の一部又は全部を構成する層であることが好ましい。
例えば、透明基板上に位相シフト膜が形成され、更に、位相シフト膜上に遮光膜が形成されたフォトマスクブランクにおいて、これら位相シフト膜及び遮光膜が、各々、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を有しており、これら位相シフト膜のケイ素系材料層と遮光膜のケイ素系材料層とが互いに隣接している場合(両者が他の膜を介することなく接触している場合など)にあっても、第1のケイ素系材料層としての位相シフト膜のケイ素系材料層と、第2のケイ素系材料層としての遮光膜のケイ素系材料層とを適切に組み合わせることで、これらの間にクロム材料のエッチングストッパー膜を設けずに、位相シフト膜のケイ素系材料層を傷つけることなく残して、位相シフト膜のケイ素系材料層上に形成された遮光膜のケイ素系材料層を、ドライエッチングにより選択的に除去することができる。
更に、遮光膜には、その一部に、酸素及び窒素を含有せず、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を設けることもでき、この酸素及び窒素を含有せず、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を、遮光膜の位相シフト膜に接する側に設ける場合は、位相シフト膜及び遮光膜各々の、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層同士が、この酸素及び窒素を含有せず、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を介して隣接していてもよい。この場合にも、後述する本発明の選択性のメカニズムにより、1回のドライエッチングによって遮光膜全部を位相シフト膜に対して選択的にエッチングするためには、遮光膜に含まれる酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層と位相シフト膜の最表層である酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層の適切な組み合わせとドライエッチング条件の選択が重要である。
また、本発明においては、高精度な加工を実現しつつも、第1のケイ素系材料層としての位相シフト膜のケイ素系材料層と、第2のケイ素系材料層としての遮光膜のケイ素系材料層との間にエッチングストッパー膜がないことから、遮光膜のケイ素系材料と位相シフト膜のケイ素系材料は、同一工程でフッ素系ドライエッチングにより加工することができ、この点においても、工程短縮に有利である。
更に、本発明においては、反射防止機能を確保しつつ、高性能な膜が得られる遮光膜と位相シフト膜との組合せとして、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を遮光膜中に用い、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層を位相シフト膜の最表層とし、更に、遮光膜の一部として、又は遮光膜と異なる膜として、クロム系材料膜が遮光膜のケイ素系材料層上にある場合にも、ケイ素系材料層の組成とエッチング条件を選択することにより、1回の塩素系ドライエッチングで、クロム系材料膜と共に遮光膜のケイ素系材料層をエッチング加工でき、遮光膜のケイ素系材料層の選択エッチングも可能である。
本発明の酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよい(即ち、遷移金属を含む又は含まない)第1のケイ素系材料層(位相シフト膜のケイ素系材料層)及び第2のケイ素系材料層(遮光膜のケイ素系材料層)の積層体の選択エッチング条件は、例えば、次のような方法で決定することができる。
まず、フォトマスク基板に用いられる石英基板等の基板上に、ケイ素系材料の膜を所定量成膜し、このケイ素系材料の膜に対して、酸素ガス含有量が所定の(酸素ガスと塩素系ガスとが所定比率の)塩素系ガスによるドライエッチングを、酸素ガス含有量を変えて(酸素ガスと塩素系ガスとの比率を変えて)複数実施し、それらのエッチングクリアタイムを求めることで、酸素添加量に対するエッチング速度が得られる。
このエッチングクリアタイムは、エッチング中のケイ素系材料の膜の反射率を測定して求めることができる他、ケイ素系材料の膜をエッチング中に観察できるときは目視による方法、エッチングチャンバー中のプラズマの発光スペクトルなどの解析によるプラズマ中のイオン又は元素の分析による方法などを用いてもよい。また、エッチングクリアタイムではなく、ケイ素系材料を一部マスクし、所定時間エッチングした後に、触針式の膜厚計や透過率を用いる方法、エリプソメトリーなどの光学的な方法によって、エッチング除去された膜厚を測定する方法によってもエッチング速度を求めることができ、それらは組み合わせて適用してもよい。
ここで使用する塩素系ドライエッチングは、塩素ガス(Cl2)等を用い、典型的にはフォトマスクブランクのクロム系材料膜をエッチングする際に使用する一般的なドライエッチング条件で、酸素添加量を調整して(酸素ガスと塩素系ガスとの比率を調整して)実施することができる。
具体的には、塩素系ガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/塩素系ガス(モル比))を好ましくは0.0001〜1、より好ましくは0.0003〜0.5、特に好ましくは0.0005〜0.3とする。より具体的には、例えば塩素ガス100〜300sccm、酸素ガス0.1〜100sccm、ガス圧1〜10mtorrといった条件を適用することができる。また、ヘリウムガスを1〜20sccm添加してもよい。
特開2001−27799号公報(特許文献3)には、MoSiON膜をドライエッチングする際、塩素系ドライエッチングガスに添加する酸素量が増加するとエッチング速度がゆるやかに下がっていくことが示されているが、互いに接する2層のケイ素系材料の膜に、膜中の酸素及び窒素の合計の含有率に差があれば(第1のケイ素系材料層(位相シフト膜中のケイ素系材料層)中の窒素及び酸素の合計の含有率より、第2のケイ素系材料層(遮光膜のケイ素系材料層)中の窒素及び酸素の合計の含有率を小さくしてやれば)、上記の塩素系ドライエッチングを用いてエッチング選択性を得ることができる。
例えば、第1のケイ素系材料層と第2のケイ素系材料層(第2のケイ素系材料層を構成するケイ素系材料層)、例えば、位相シフト膜のケイ素系材料層と遮光膜のケイ素系材料層との間の酸素及び窒素の合計の含有率に十分な差があればよく、第1のケイ素系材料層(位相シフト膜中のケイ素系材料層)中の窒素及び酸素の合計の含有率C1(モル%)と、第2のケイ素系材料層(遮光膜のケイ素系材料層)中の窒素及び酸素の合計の含有率C2(モル%)との差(C1−C2)が5以上、好ましくは10以上、更に好ましくは20以上の差があれば、上記のような方法を用いて適切な酸素添加量に調整してやることによって、第1のケイ素系材料層(位相シフト膜中のケイ素系材料層)のエッチング速度より、第2のケイ素系材料層(遮光膜のケイ素系材料層)のエッチング速度を大きく、特に10倍以上のエッチング速度差を得ることができ、選択性を得るに十分なエッチング速度差を得ることができる。
なお、後述するように、本発明のドライエッチング方法が好ましく使用される第1のケイ素系材料層と第2のケイ素系材料層との積層体(位相シフト膜のケイ素系材料と遮光膜のケイ素系材料層との積層体を有するフォトマスクブランク)は、好ましくは積層体の上に更にクロム系材料層を有するものであることから、クロム系材料層と第2のケイ素系材料層とを同時にエッチング除去できることが好ましいが、上記塩素系ガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/塩素系ガス(モル比))の範囲においては、この同時エッチングも可能である。
本発明におけるドライエッチングは、下記のようなフォトマスクブランクのフォトマスクへの加工に有用に用いることができる。
まず、上記エッチングの選択性を利用して、1回のドライエッチングで遮光膜を選択的にエッチングするためには、遮光膜のケイ素系材料層が単層である場合も、また多層である場合も、位相シフト膜のケイ素系材料層と遮光膜のケイ素系材料層を構成する全ての層との関係において十分なエッチング速度差が必要である。そこで、本発明で用いる遮光膜は、遮光膜のケイ素系材料層の全ての層で、位相シフト膜のケイ素系材料層との間で窒素及び酸素の合計の含有率が上記のようになるように設定される。
本発明のフォトマスクブランクは、より薄いレジスト膜を用いても精密な加工ができるように、例えば、特開2007−241060号公報(特許文献2)に記載されているような、フォトマスク完成時には、全て剥離されるクロム系材料のエッチングマスク膜(以下、このような精密加工用にエッチングマスクとして使用し、フォトマスク完成時までに全て剥離してしまうタイプのエッチングマスク膜を、単にエッチングマスク膜と記述する)を遮光膜とは異なる膜として遮光膜上に設けるか、又は遮光膜の一部として、ケイ素系材料に対してエッチングマスク機能を有し、好ましくは反射防止機能を有するクロム系材料の層を設けることが好ましい。
本発明のフォトマスクブランクに使用する上記遮光膜の好ましい一の態様として、まず、エッチングマスク膜を用いる場合の遮光膜について説明する。
上記クロム系材料によるエッチングマスク膜は、特開2007−241060号公報(特許文献2)に示されているとおり、膜厚が大きくなると、サイドエッチングの問題や、パターンの粗密依存性の問題を引き起こすことから、高精度なエッチング加工を行うためには20nm以下、より好ましくは10nm以下であることが好ましく、材料としては、金属クロム又はクロムと酸素、窒素、炭素の少なくとも1つ以上の軽元素とを含有する材料を用いることが好ましい。
クロム系材料の好ましい組成としては、例えば、クロムが50原子%以上100原子%以下、特に60原子%以上100原子%以下、酸素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、窒素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、炭素が0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上10原子%以下が好ましく、この範囲とすることで、エッチングマスク膜として、エッチングマスク膜と遮光膜及び位相シフト膜との間で、フッ素系ドライエッチング時に高いエッチング選択性を与える膜とすることができる。
また、レジストパターンの形成不良を抑制するためには、エッチングマスク膜の少なくともレジストと接する最表面部は酸素及び/又は窒素を5原子%程度以上含有させることが好ましく、この場合、スパッタ成膜時に酸素及び/又は窒素を含有させればよく、また、成膜後、膜表面の酸化を行って、最表面部の酸素濃度を調整してもよい。
この態様のフォトマスクブランクでは、遮光膜全体に、ケイ素系材料層が用いられる。また、必要とされる露光光に対する反射率の制御は、窒素又は窒素及び酸素の含有量、膜厚、又はそれら双方によって調整されるが、エッチングマスク膜を使用する場合には、ケイ素系材料層の膜厚が比較的大きくなった場合にも高い加工精度が確保できるため、遮光膜の下に配される位相シフト膜と合わせた場合の光学濃度が2以上、好ましくは2.5以上4以下となるように設定できればよく、これを満たすための材料選択の自由度が大きい。
また、これを満たすものであれば遮光膜は、単層でも多層(膜厚方向の組成傾斜がある層のみである場合にも、ここでは多層に含めるものとする)でもよい。また、一部の層を、ケイ素又はケイ素と遷移金属とからなる層とすることもできる。また、反射率を調整するためには、酸素及び/又は窒素を含有する層を設けることが必要であるが、酸素及び/又は窒素を含有する層は、上述したとおり、位相シフト膜のケイ素系材料層の最上層の窒素及び酸素の含有率よりも低い値となるようにする。なお、遮光膜は、露光光に対する反射率が30%以下に制御されることが好ましく、より好ましくは20%以下である。
遮光膜中に含まれる、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層に用いる材料としては、ケイ素に加え、酸素、窒素から選ばれる1種以上を含有し、更に遷移金属を含有してもよいケイ素化合物であり、更に少量の炭素等が含まれていてもよい。具体的には、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素酸化炭化物、ケイ素窒化炭化物、ケイ素酸化窒化炭化物や、更にこれに遷移金属を含有する化合物を挙げることができる。
また、上記以外の遮光膜を構成するケイ素系材料層として、ケイ素単体、遷移金属ケイ素、ケイ素炭化物、遷移金属ケイ素炭化物が加わってもよい。
遷移金属としては、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル及びタングステンから選ばれる1種以上が好適な材料であるが、特に、ドライエッチング加工性の点からモリブデンであることが好ましい。
遮光膜の組成は、ケイ素が10原子%以上100原子%以下、特に30原子%以上95原子%以下、酸素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上30原子%以下、窒素が0原子%以上40原子%以下、特に1原子%以上20原子%以下、但し、窒素と酸素の合計量としては0原子%以上60原子%以下、特に0原子%以上50原子%以下、とりわけ1原子%以上40原子%以下、更には1原子%以上30原子%以下、炭素が0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上5原子%以下、遷移金属が0原子%以上35原子%以下、特に1原子%以上20原子%以下であることが好ましい。
一方、本発明のフォトマスクブランクに使用する遮光膜の好ましい別の態様としては、遮光膜の最表層に、遮光膜の一部として、反射防止機能に寄与するクロム系材料層を有する遮光膜を挙げることができる。このクロム系材料層の材料としては、金属クロム又はクロムと酸素、窒素、炭素の少なくとも1つ以上の軽元素とを含有する材料を用いることが好ましい。
上記遮光膜の最表層に設けられるクロム系材料層は、上記エッチングマスク膜と同様、膜厚が大きくなった場合、サイドエッチングの問題やパターンの粗密依存性の問題が発生する危険性があるため、膜厚は必要以上のものとしないことが好ましい。そこで、この場合も膜厚は30nm以下とすることが好ましく、更に好ましくは20nm以下、特には10nm以下とすることが好ましい。また、反射防止機能を重視する膜(主に反射防止機能を担わせる膜)だけではハードマスク層として不十分なときは、クロム系材料層を、反射防止機能を重視する層(主に反射防止機能を担わせる層)とハードマスク機能を重視する層(主にハードマスク機能を担わせる層)の2層とするなど多層とすることや、組成を傾斜的に変えることができる。組成を変えるときは、表面よりも基板側の方が金属組成を多くすることが好ましい。
また、最表層は、反射防止機能の一部を担う層であることが好ましいため、酸素及び/又は窒素を含有することが好ましい。
この反射防止機能を重視する層の組成は、クロムが30原子%以上90原子%以下、特に30原子%以上70原子%以下、とりわけ35原子%以上50原子%以下、酸素が0原子%以上60原子%以下、特に20原子%以上60原子%以下、窒素が0原子%以上50原子%以下、特に3原子%以上30原子%以下、炭素が0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上10原子%以下であることが好ましい。また、ハードマスク機能を重視する層の組成としては、クロムが50原子%以上100原子%以下、特に60原子%以上100原子%以下、酸素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、窒素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、炭素が0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上10原子%以下であることが好ましい。
この態様のフォトマスクブランクに用いる遮光膜では、上記クロム系材料層以外の残りの層全てに、ケイ素系材料層が用いられる。上記クロム系材料層は、単独で反射率の制御を行ってもよいが、上述のように高精度なエッチング加工の要請からは、膜厚の制限があり、ケイ素系材料層との組み合わせによって反射率を調整してもよい。そこで、遮光膜のケイ素系材料層は、単層でも多層でもよく、また組成に傾斜を有する層でも構わないが、それらは、窒素又は窒素及び酸素の含有量、膜厚、又はそれら双方によって反射率を調整することもできる。そして、ケイ素系材料層とクロム系材料層によって、露光光に対する反射率が30%以下、より好ましくは20%以下に制御されることが好ましく、遮光膜の下に配される位相シフト膜と合わせた場合の光学濃度が2以上、好ましくは2.5以上4以下となるように設計される。
ここでも上述の態様の場合と同様、ケイ素系材料層としてケイ素又はケイ素及び遷移金属からなる層を設けることもできるが、反射率を抑制するためには、窒素又は窒素及び酸素を含有する層が必要であり、これは上述のように、窒素又は窒素及び酸素を含有する層は、位相シフト膜のケイ素系材料層の最上層の窒素及び酸素の含有率よりも低い値となるようにする。そのため、全ての層に窒素又は窒素及び酸素を含有するケイ素系材料(窒化ケイ素系材料又は窒化酸化ケイ素系材料)を用いることがより好ましい。
好ましく用いられる材料は、基本的には上記した一の態様と同様のものであり、また、組成範囲については、遮光膜の組成は、ケイ素が10原子%以上100原子%以下、特に30原子%以上95原子%以下、酸素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上30原子%以下、窒素が0原子%以上40原子%以下、特に1原子%以上20原子%以下、但し、窒素と酸素の合計量としては0原子%以上60原子%以下、特に0原子%以上50原子%以下、とりわけ1原子%以上40原子%以下、更には1原子%以上30原子%以下、炭素が0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上5原子%以下、遷移金属が0原子%以上35原子%以下、特に1原子%以上20原子%以下であることが好ましい。
本発明において、位相シフト膜は、最表層に化学的耐性や屈折率等の光学特性に優れるケイ素系材料層を有する膜である。このケイ素系材料は、酸素及び又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよい材料である。この位相シフト膜は、完全透過型位相シフト膜でもハーフトーン位相シフト膜、例えば、透過率が1〜40%、特に5〜40%のハーフトーン位相シフト膜でもよい。既に、そのような位相シフト膜としては種々のものが公知であり、特に、遷移金属を含有するケイ素系材料による単層(例えば、特開平7−140635号公報(特許文献6)参照)又は多層(例えば、特開2006−317665号公報(特許文献7)参照)によるハーフトーン位相シフト膜は、遮光膜と共に、単一のドライエッチング条件でエッチング加工可能なハーフトーン位相シフト膜として、ドライエッチング回数を減らすという目的を有する本発明に有利に使用される。
上述の従来用いられているハーフトーン位相シフト膜材料の中には、塩素系のドライエッチングでエッチング可能なものがあることは、特開2001−27799号公報(特許文献3)に記載されているとおりであるが、本発明における位相シフト膜は、特開2001−27799号公報(特許文献3)に定義されたような塩素系ドライエッチング条件でエッチングされる膜であってもよい。本発明においては、位相シフト膜と遮光膜のエッチング選択性は、エッチングにおける酸素ガスの量(酸素ガスと塩素系ガスとの比)を調整することでも調整できることから、位相シフト膜のケイ素系材料は、位相シフト膜の応力や、レーザー照射耐性や、光学特性の観点で選択することが好ましい。
位相シフト膜の、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層に用いる材料としては、ケイ素に加え、酸素、窒素から選ばれる1種以上を含有し、更に遷移金属を含有してもよいケイ素化合物であり、更に少量の炭素等が含まれていてもよい。具体的には、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素酸化炭化物、ケイ素窒化炭化物、ケイ素酸化窒化炭化物や、更にこれに遷移金属を含有する化合物を挙げることができる。
また、上記以外の位相シフト膜を構成するケイ素系材料層として、ケイ素単体、遷移金属ケイ素、ケイ素炭化物、遷移金属ケイ素炭化物が加わってもよい。
遷移金属としては、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル及びタングステンから選ばれる1種以上が好適な材料であるが、特に、ドライエッチング加工性の点からモリブデンであることが好ましい。
本発明の位相シフト膜においては、少なくとも遮光膜に接する側の層(最表層)は、酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層であることが好ましいが、基板に接する側にはサイドエッチングの問題を発生しない程度の膜厚(例えば30nm以下、より好ましくは20nm以下)であれば、クロム系材料層が用いられていてもよい。その位置のクロム系材料であれば、フォトマスク製造工程において、エッチングマスク膜又は遮光膜最表層のエッチングマスク機能を有する膜をエッチングする際に、同時にエッチング除去可能であるため、エッチング工程の増加にはならないからである。
本発明のフォトマスクブランクをフォトマスクへ加工する方法は、例えば、次のような工程で行われる。
最初の工程として、まず位相シフト部として位相シフト膜を残す領域を保護するレジストパターンの形成を行う。これにはフォトマスクブランク上にレジスト膜を成膜し、更に電子線、短波長光ビーム、EUV等の高エネルギー線によるパターン露光を行い、レジスト膜に依存する所定の後処理の後、現像を行うことによってレジストパターンが得られる。ここで使用されるレジスト膜は要求されるパターンルールの解像が可能であるものであればネガ型でもポジ型でもよく、材料も特に限定されないが、基本的には高解像性が期待できる化学増幅型レジストを用い、膜厚は50nm以上250nm以下、特に50nm以上150nm以下であることが好ましい。
次に、遮光膜中のケイ素系材料層の上にクロム系材料のエッチングマスク膜、又は遮光膜の一部をなす反射防止機能を有するクロム系材料層を有する場合には、酸素を含有する塩素系ガスを用いるドライエッチングにより、上記クロム系材料層に、上記レジストパターンを転写する。
ここで、酸素を含有する塩素系ガスを用いるドライエッチングは、従来よりクロム化合物膜をドライエッチングする際に常用されるものであり、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合比(Cl2ガス:O2ガス)を体積流量比で1:2〜20:1とし、必要に応じてヘリウムなどの不活性ガスを混合して使用する。エッチング条件としては、例えば塩素ガス100〜300sccm、酸素ガス30〜100sccm、ガス圧1〜10mtorrとすればよい。また、ヘリウムガスを1〜20sccm添加してもよい。
このドライエッチングによって、上記エッチングマスク膜又は遮光膜の一部をなすクロム系材料層に接するケイ素系材料層は、その一部がエッチング除去されても構わないが、このドライエッチングによってこのケイ素系材料層の完全な除去を試みると、サイドエッチングやパターンの粗密依存性によるパターン寸法誤差の問題を引き起こす可能性があり、このエッチングマスク膜又は遮光膜の一部をなすクロム系材料層に接するケイ素系材料層は、一部が残る条件で、この酸素を含有する塩素系ガスによるドライエッチングを終了することが特に好ましい。
上述のようなクロム系材料のエッチングマスク膜がない場合、及び遮光膜の一部をなす反射防止機能を有するクロム系材料層がない場合には、レジストパターンをエッチングマスクとし、また、上述のようなパターン転写されたクロム系材料のエッチングマスク膜、又は遮光膜の一部をなす反射防止機能を有するクロム系材料層がある場合には、これらをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングガスによるドライエッチング条件により、遮光膜のケイ素系材料層全体、又は残存する遮光膜のケイ素系材料層と、位相シフト膜のケイ素系材料層にパターン転写を行う。なお、この場合は、レジスト膜を剥離してもよいが、ここではレジスト膜を剥離する必要性がないため、レジスト膜を残存させた場合は、残存するレジストパターンもエッチングマスクとして機能させることができる。
なお、位相シフト膜全体が酸素及び/又は窒素を含有し、遷移金属を含有してもよいケイ素系材料層で構成されている場合や、フッ素系ドライエッチングによってエッチング可能なTa、W、Ti等の金属層、これらの金属と酸素、窒素又はそれら双方を含む金属化合物層や、ケイ素又はケイ素及び遷移金属からなる層などを含む場合でも、このフッ素系ドライエッチングによって位相シフト部のパターンを形成することができる。従って、本発明のフォトマスクの製造方法では、エッチングマスク機能を有する層を用いた場合にも、位相シフト部のパターン加工までを2回のドライエッチング工程で実施することができる。
ここで用いられるフッ素系ドライエッチングは、フォトマスクの製造においてケイ素を含有する材料のエッチングに常用されるドライエッチング法であるが、これはフッ素を含むガスを用いたドライエッチングであり、フッ素を含むガスとは、フッ素元素を含むガスであればよく、フッ素ガス、CF4、C26のような炭素とフッ素を含むガス、SF6のような硫黄とフッ素を含むガス、更には水素原子を含むガスでもよく、更にはヘリウムなどのフッ素を含まないガスとフッ素を含むガスとの混合ガスでもよい。また、必要に応じて酸素などのガスを添加してもよい。エッチング条件としては、例えば、フッ素を含むガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/フッ素を含むガス(モル比))を0.001〜1000とすることができ、具体的には、フッ素を含むガス1〜1000sccm、好ましくは10〜100sccm、酸素ガス1〜1000sccm、好ましくは10〜100sccmとし、また、ガス圧を1〜20mtorrとすればよい。
次に、ここまでの工程で上述のレジストパターンが残存していた場合には、レジストパターンを完全に剥離し、次に遮光パターンを残存させる部分のパターンを保護するためのレジスト膜を成膜する。更に上述の方法に準じて、遮光膜を残す部分上にレジストパターンが残るようにレジストパターンを形成する。
次に、上記レジストパターンをエッチングマスクとして、後述する位相シフト膜の最表層に対しては極めて遅いエッチング速度を与える酸素を含有する塩素系ガスによるドライエッチング条件により、位相シフト膜上の不用な遮光膜を除去する。この際、上述のクロム系材料のエッチングマスク膜や遮光膜の一部をなすクロム系材料の層がある場合には、それらも同時にエッチング除去できる。
上述のクロム系化合物のエッチングマスク膜や遮光膜の一部をなす反射防止機能を有するクロム系材料層がない場合には、この段階でパターン加工を完了することができ、この場合には、2回のドライエッチングでパターン形成が完了し、遮光膜の一部をなす反射防止機能を有するクロム系材料層がある場合も3回のドライエッチングでパターン形成を完了することができる。
更に、クロム系化合物のエッチングマスク膜がある場合には、最終的にこのエッチングマスク膜を除去する必要があるが、このクロム系化合物のエッチングマスク膜の除去は、硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸を用いた公知のウェットエッチングで行っても、ケイ素系材料層に対するエッチング速度が極めて遅くなるのに十分な酸素を含有する塩素系ドライエッチング条件でドライエッチングを行ってもよい。この場合、ここでドライエッチングを用いたとしても、4回のドライエッチングでパターン形成を完了することができる。
以下、実験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実験例1]
石英基板上に形成した波長193nmの光で透過率6%、位相差180°となる膜厚75nmのMoSiON(Mo:Si:O:N=1:4:1:4(モル比)、酸素と窒素の合計含有率は50モル%)よりなるケイ素系材料の膜を用い、塩素系ドライエッチング条件でのエッチングガス中の酸素量とエッチング速度を評価するため、下記条件に従い、酸素量を0〜10.0sccmの間で変化させ、波長675nmの検査光に対する反射率変化を経時的に測定した。得られた結果を図1に示した。なお、図4に、用いたエッチング装置の概略を示した。図4中、1はチャンバー、2はアース、3は下部電極、4はアンテナコイル、5は被処理基板、RF1,RF2は高周波電源である。
RF1(RIE:リアクティブイオンエッチング):パルス 700V
RF2(ICP:誘導結合プラズマ):CW(連続放電) 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:0〜10.0sccm
He:9.25sccm
図1に示されたドライエッチング時間に対する反射率の変化から、エッチング前の膜表面の反射率は40程度であるのに対して、エッチングが進むと反射率が低下し、膜のエッチングが終了すると、反射率は10程度になることがわかる。また、ここで用いた酸素と窒素の合計の含有率が50モル%であるMoSiON膜では、ドライエッチングにおける雰囲気ガスの酸素量を1sccm以上(酸素ガス/塩素ガス(モル比)を1/185以上)とすれば、ほとんどエッチングされないことがわかる。
[実験例2]
膜を、膜厚46nmのMoSiN(Mo:Si:N=1:3:1.5(モル比)、酸素と窒素の合計の含有率は27モル%)からなるケイ素系材料の膜として、実験例1と同様にして反射率変化を経時的に測定した。得られた結果を図2に示した。
図2に示されるように、酸素量を2sccm(酸素ガス/塩素ガス(モル比)を2/185)とした場合には、約5nm/分でエッチングされ、また55sccm(酸素ガス/塩素ガス(モル比)を55/185)とした場合には、全くエッチングが進行しないことが確認された。
[実験例3]
膜を、44nmのCrN(Cr:N=9:1(モル比))からなるクロム系材料の膜として、実験例1と同様にして反射率変化を経時的に測定した。得られた結果を図3に示した。
図3に示されるように、酸素量が2sccm(酸素ガス/塩素ガス(モル比)が2/185)で、約4nm/分でエッチングされることが確認された。なお、この膜は酸素量の増加に従ってエッチングされやすくなるものである。
上記結果より、この場合、酸素量を2sccmとすることによって、遮光膜を構成する層として用いることができるMoSiN膜(Mo:Si:N=1:3:1.5(モル比)、酸素と窒素の合計の含有率は27モル%)のみを、位相シフト膜を構成する層として用いることができるMoSiON膜(Mo:Si:O:N=1:4:1:4(モル比)、酸素と窒素の合計含有率は50モル%)に対して、塩素系ドライエッチングによって、選択的にエッチング除去できることが示された。
また、この場合、酸素量を2sccmとすることによって、エッチングマスク膜として用いることができるCrN膜(Cr:N=9:1(モル比))と、上記MoSiN膜を、MoSiON膜を損なうことなく、同時にエッチング除去できることが示された。
更に、ドライエッチングによって、上記CrN膜のみを除去したい場合には、酸素量を55sccmとすることによって、上記MoSiN膜を損なうことなく、除去できることが示された。
[実施例1]
石英基板上に、波長193nmの光で透過率6%、位相差180°となる膜厚75nmのMoSiON(Mo:Si:O:N=1:4:1:4(モル比))よりなる位相シフト膜が成膜され、その上に膜厚31nmのMoSiN(Mo:Si:N=1:3:1.5(モル比))からなる遮光膜が形成されたフォトマスクブランクを準備し、その上にスピンコーターを用いて1500Å膜厚のEB露光用化学増幅型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に、EB露光装置でパターン描画後、現像し、位相シフト膜を残す部位を保護するレジストパターンを形成した。
〔エッチング工程1−1〕
次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、下記の条件のフッ素系ドライエッチングで、位相シフト膜を残さない部分をエッチングして、遮光膜及び位相シフト膜を、所定の位相シフトパターン形状に形成した。
RF1(RIE):CW 54V
RF2(ICP):CW 325W
圧力:5mTorr
SF6:18sccm
2:45sccm
エッチング時間:2min
〔エッチング工程1−2〕
次に、下記の条件の酸素を含有する塩素系ドライエッチング条件を用いて遮光膜をエッチングしたところ、遮光膜のみが選択的に除去された。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:2sccm
He:9.25sccm
エッチング時間:12min
エッチング工程1−2により、部分的に遮光膜を残すときは、塩素系ドライエッチングの前に、再度レジストを塗布し、露光、現像を行い、遮光膜を残す部分を保護するレジストパターンを形成した後に、塩素系ドライエッチングを行えば、不要な遮光膜のみを選択的に除去することができる。この方法によって、位相シフト部上の遮光膜パターンやパターン周辺部の遮光帯を設けることができる。
[実施例2]
石英基板上に、波長193nmの光で透過率6%、位相差180°となる膜厚75nmのMoSiON(Mo:Si:O:N=1:4:1:4(モル比))からなる位相シフト膜が形成され、その上に、膜厚31nmのMoSiN(Mo:Si:N=1:3:1.5(モル比))からなる遮光膜が形成され、更にエッチングマスク膜(ハードマスク膜)として10nmのCrN膜(Cr:N=9:1(モル比))が成膜されたフォトマスクブランクを準備し、その上にスピンコーターを用いて1500Å膜厚のEB露光用化学増幅型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に、EB露光装置でパターン描画後、現像し、位相シフト膜を残す部位を保護するレジストパターンを形成した。
〔エッチング工程2−1〕
次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、下記の条件の塩素系ドライエッチングで、位相シフト膜を残さない部分のハードマスク膜と遮光膜の一部をエッチングした。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:2sccm
He:9.25sccm
エッチング時間:5min
〔エッチング工程2−2〕
次に、ハードマスク膜をエッチングマスクとして、下記の条件のフッ素系ドライエッチングでエッチングして、遮光膜の残部と位相シフト膜を、所定の位相シフトパターン形状に形成した。
RF1(RIE):CW 54V
RF2(ICP):CW 325W
圧力:5mTorr
SF6:18sccm
2:45sccm
エッチング時間:2min
〔エッチング工程2−3〕
次に、再度レジストを塗布し、露光、現像を行い、遮光膜を残す部位を保護するレジストパターンを形成した後に、下記の条件の塩素系ドライエッチングでエッチングしたところ、位相シフト膜を損なうことなく、ハードマスク膜及び遮光膜のみが1回のエッチングで選択的に除去された。この方法によって、位相シフト部上の遮光膜パターンやパターン周辺部の遮光帯を設けることができる。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:2sccm
エッチング時間:15min
〔エッチング工程2−4〕
次に、下記の条件の塩素系ドライエッチングでエッチングしたところ、ハードマスク膜のみが選択的に除去された。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:55sccm
He:9.25sccm
エッチング時間:2min
[実施例3]
石英基板上に、波長193nmの光で透過率6%、位相差180°となる膜厚75nmのMoSiON(Mo:Si:O:N=1:4:1:4(モル比))からなる位相シフト膜が形成され、その上に、膜厚31nmのMoSiN(Mo:Si:N=1:3:1.5(モル比))からなる遮光膜が形成され、更にエッチングマスク膜(ハードマスク膜)として10nmのCrN膜(Cr:N=9:1(モル比))が成膜されたフォトマスクブランクを準備し、その上にスピンコーターを用いて1500Å膜厚のEB露光用化学増幅型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に、EB露光装置でパターン描画後、現像し、位相シフト膜を残す部位を保護するレジストパターンを形成した。
〔エッチング工程3−1〕
次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、下記の条件の塩素系ドライエッチングで、位相シフト膜を残さない部分のハードマスク膜をエッチングした。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:55sccm
He:9.25sccm
エッチング時間:2min
〔エッチング工程3−2〕
次に、ハードマスク膜をエッチングマスクとして、下記の条件のフッ素系ドライエッチングでエッチングして、遮光膜と位相シフト膜を、所定の位相シフトパターン形状に形成した。
RF1(RIE):CW 54V
RF2(ICP):CW 325W
圧力:5mTorr
SF6:18sccm
2:45sccm
エッチング時間:2min
〔エッチング工程3−3〕
次に、再度レジストを塗布し、露光、現像を行い、遮光膜を残す部位を保護するレジストパターンを形成した後に、下記の条件の塩素系ドライエッチングでエッチングしたところ、位相シフト膜を損なうことなく、ハードマスク膜及び遮光膜のみが1回のエッチングで選択的に除去された。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:2sccm
エッチング時間:15min
〔エッチング工程3−4〕
次に、下記の条件の塩素系ドライエッチングでエッチングしたところ、ハードマスク膜のみが選択的に除去された。この方法によって、位相シフト部上の遮光膜パターンやパターン周辺部の遮光帯を設けることができる。
RF1(RIE):パルス 700V
RF2(ICP):CW 400W
圧力:6mTorr
Cl2:185sccm
2:55sccm
He:9.25sccm
エッチング時間:2min
なお、いずれの場合も、エッチングの前後には、必要に応じて洗浄工程を実施することができ、また、エッチングの後に、必要に応じて硫酸−過酸化水素水などによって、残留したレジストを除去する工程を実施してもよい。
上記した例では、遮光膜上にクロム系材料のエッチングマスク膜(ハードマスク膜)を設ける場合を示したが、遮光膜の一部として反射防止膜として機能させるクロム系材料層を設ける場合は、クロム系材料としては、透過率を高めるために、上記した例でエッチングマスク膜のクロム系材料として用いたCrN膜(Cr:N=9:1)よりも窒素又は酸素及び窒素の含有率が多いものを用いることになるため、同一のエッチング条件でエッチングすると、上記CrN膜よりエッチング速度が上がることになる。それ故、この反射防止膜として機能させるクロム系材料層でも、上記した塩素系ドライエッチングのエッチング条件で、より短いエッチング時間でエッチングすることが可能であり、上記プロセス条件をそのまま適用することができる。
1 チャンバー
2 アース
3 下部電極
4 アンテナコイル
5 被処理基板
RF1,RF2 高周波電源

Claims (9)

  1. 酸素及び/又は窒素を含有し、かつ遷移金属を含有する単層又は多層の第1のケイ素系材料層と、
    該第1のケイ素系材料層に隣接して形成され、遷移金属を含有し、第1のケイ素系材料層より窒素及び酸素の合計の含有率が小さいケイ素系材料層からなる単層又は多層の第2のケイ素系材料層とからなる積層体から、第2のケイ素系材料層を、第1のケイ素系材料層を残して選択エッチング除去する方法であって、
    酸素を含有する塩素系ドライエッチングガスを用い、上記第1のケイ素系材料層のエッチング速度に対する上記第2のケイ素系材料層のエッチング速度が大きくなるように塩素系ガスと酸素ガスとの比率を設定して、塩素系ドライエッチングにより、上記第2のケイ素系材料層を選択エッチング除去することを特徴とするドライエッチング方法。
  2. 上記第2のケイ素系材料層が、窒素及び/又は酸素を含有し、かつ遷移金属を含有するケイ素系材料層を含むことを特徴とする請求項1記載のドライエッチング方法。
  3. 上記第2のケイ素系材料層が、更に、第1のケイ素系材料層に接する側に、窒素及び酸素を含有せず、遷移金属を含有するケイ素系材料層を含むことを特徴とする請求項2記載のドライエッチング方法。
  4. 上記第1のケイ素系材料層中の窒素及び酸素の合計の含有率C1(モル%)と、上記第2のケイ素系材料層中の窒素及び/又は酸素を含有し、かつ遷移金属を含有するケイ素系材料層中の窒素及び酸素の合計の含有率C2(モル%)との差(C1−C2)が5以上であることを特徴とする請求項2又は3記載のドライエッチング方法。
  5. 上記塩素系ドライエッチングにおいて、塩素系ガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/塩素系ガス(モル比))を0.0001〜1とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
  6. 基板上に形成した酸素及び/又は窒素を含有し、かつ遷移金属を含有する第1のケイ素系材料層、及び基板上に形成した遷移金属を含有し、第1のケイ素系材料層より窒素及び酸素の合計の含有率が小さいケイ素系材料層からなる第2のケイ素系材料層又は該第2のケイ素系材料層を構成するケイ素系材料層の各々について、塩素系ガスと酸素ガスとの比率(酸素ガス/塩素系ガス(モル比))を変化させながら、酸素を含有する塩素系ドライエッチングガスによる塩素系ドライエッチング操作を行って、第1のケイ素系材料層及び第2のケイ素系材料層又は該第2のケイ素系材料層を構成するケイ素系材料層の各々のエッチング速度を得、これらの対比によって、上記積層体から第2のケイ素系材料層を、第1のケイ素系材料層を残して選択エッチング除去することが可能な塩素系ガスと酸素ガスとの比率を決定し、該比率を設定してドライエッチングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
  7. 上記積層体に、更に上記第2のケイ素系材料層に隣接するクロム系材料層が設けられ、該クロム系材料層と第2のケイ素系材料層との双方を、上記塩素系ドライエッチングにてエッチング除去することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
  8. 上記第1のケイ素系材料層及び第2のケイ素系材料層が、透明基板上に形成され、フォトマスクブランクの機能膜を構成する層であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のドライエッチング方法。
  9. 上記第1のケイ素系材料層が、フォトマスクブランクの位相シフト膜の一部又は全部を構成する層であり、上記第2のケイ素系材料層が、フォトマスクブランクの遮光膜の一部又は全部を構成する層であることを特徴とする請求項8記載のドライエッチング方法。
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