JP4826440B2 - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Description

この発明は、駆動プーリおよび従動プーリにベルトが巻き掛けられた構成の、ベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両の動力源から車輪に至る動力伝達経路には変速機が設けられており、その変速機としてベルト式無段変速機が知られている。このベルト式無段変速機は、駆動プーリおよび従動プーリにベルトを巻き掛けて構成され、前記駆動プーリと従動プーリとの間でベルトを介して動力伝達をおこなうものであり、前記駆動プーリおよび従動プーリにおける前記ベルトの巻き掛け半径を制御することにより、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間における変速比が制御される。このベルト式無段変速機の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は、入力プーリおよび出力プーリおよびベルトを主体に構成される。前記ベルトは積層構造を有するリング上に多数のエレメントを支持した構成を有しており、前記入力プーリと出力プーリとの間に巻き掛けた状態で、前記エレメントの両側面と、前記プーリ円錐面との間に生じる接触摩擦力に基づいて回転力を伝達する。また、前記入力プーリおよび出力プーリの近傍には、前記ベルトに潤滑油を供給する給油ノズルが独立してそれぞれ設けられている。さらに、油圧ポンプが設けられており、前記給油ノズルは、調圧手段を介して潤滑パイプによって前記油圧ポンプに接続されている。さらに各エレメントには前面下半部に形成されたテーパ面によりエレメント列としての内側への屈曲が許容され、これによりプーリへの巻き掛けが可能になっている。ところで、エレメント同士の接触点は、エレメントとリングとの接触面からは半径方向で内側に離れている。この半径差があるために、プーリに巻き付いた部分で外側を移動するリングの方が、内側を移動するエレメントよりも角速度が小さくなって、前記リングと前記エレメントが相対滑りを生じることになる。これに対して、給油ノズルから潤滑油を供給することにより、ベルトの摩擦発熱部を確実かつ効率的に潤滑して冷却を促進することができるとされている。なお、ベルト式無段変速機に関する技術は、特許文献2および3にも記載されている。
特開平10−141459号公報 特開2004−232805号公報 特開2005−345185号公報
ところで、上記の特許文献1に記載されたベルト式無段変速機において、前記エレメントにおける前記プーリの円錐面と接触する部分に形成される油膜が厚くなると、前記エレメントと前記プーリとの接触部分におけるスリップ率が高まり、前記入力プーリと出力プーリとの間における動力伝達効率が低下する虞があった。
この発明は上記事情を背景としてなされたものであり、駆動プーリと従動プーリとの間における動力伝達効率が低下することを抑制できるベルト式無段変速機を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動プーリおよび従動プーリと、これら駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられる無端状のベルトとを有し、このベルトが、リングと、このリングの円周方向に取り付けられ、かつ、相互に積層して配置される複数のエレメントとを備えているベルト式無段変速機において、前記エレメントにエアを吹き付けることにより、前記エレメントに付着している潤滑油を除去するエア供給装置を有し、前記エア供給装置は、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに接触していないエレメント同士の積層方向における隙間を詰めるように、前記ベルトの移動方向でエアを吹き付けようとするエレメントの後方から、そのエレメントに向けてエアを吹き付ける構成を有することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、駆動プーリおよび従動プーリと、これら駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられる無端状のベルトとを有し、このベルトが、リングと、このリングの円周方向に取り付けられ、かつ、相互に積層して配置される複数のエレメントとを備えているベルト式無段変速機において、前記エレメントにエアを吹き付けることにより、前記エレメントに付着している潤滑油を除去するエア供給装置を有し、前記ベルトの移動方向に対して直交する方向の第1平面内、または、前記ベルトの移動方向および前記ベルトの厚さ方向の両方を含む第2平面内、前記ベルトの移動方向および幅方向の両方を含む第3平面内のうち、少なくとも1つの平面内における前記エレメントの姿勢を検知する姿勢検知装置を備えており、前記エア供給装置は、前記姿勢検知装置により検知された前記エレメントの姿勢に基づいて、前記少なくとも1つの平面内における前記エレメントの実際の姿勢を、その平面内で予め定められた姿勢に近づけるようにエアを吹き付ける構成を有していることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、駆動プーリと従動プーリとの間で、ベルトにより動力伝達がおこなわれる。また、エレメントにエアを吹き付けることにより、そのエレメントに付着している潤滑油を除去することができるため、前記駆動プーリと前記エレメントとが接触する部分における摩擦係数を大きくすることができ、前記エレメントのスリップ率を低減することができる。したがって、前記駆動プーリと従動プーリとの間における動力伝達効率の低下を抑制できるとともに、前記駆動プーリおよび前記エレメントの摩耗を低減することができる。さらに、ベルトにおける前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻き掛けられていない領域に位置するエレメントに対してエアーが吹き付けられて、そのエレメント同士の積層方向における隙間が詰められる。このため、前記駆動プーリに前記ベルトが巻き掛かっている領域で、前記ベルトのエレメントに対して積層方向の圧縮荷重が加えられた場合に、圧縮荷重が加えられたエレメントと前記駆動プーリとの接触部分のスリップ率を、一層低減することができる。

請求項2の発明によれば、駆動プーリと従動プーリとの間で、ベルトにより動力伝達がおこなわれる。また、エレメントにエアを吹き付けることにより、そのエレメントに付着している潤滑油を除去することができるため、前記駆動プーリと前記エレメントとが接触する部分における摩擦係数を大きくすることができ、前記エレメントのスリップ率を低減することができる。したがって、前記駆動プーリと従動プーリとの間における動力伝達効率の低下を抑制できるとともに、前記駆動プーリおよび前記エレメントの摩耗を低減することができる。さらに、前記ベルトの移動方向に対して直交する方向の第1平面内、または、前記ベルトの移動方向および前記ベルトの厚さ方向の両方を含む第2平面内、前記ベルトの移動方向および幅方向の両方を含む第3平面内のうち、少なくとも1つの平面内における前記エレメントの姿勢が検知される。そして、前記姿勢検知装置により検知された前記エレメントの姿勢に基づいて、前記エレメントにエアを吹き付けることにより、前記少なくとも1つの平面内における前記エレメントの実際の姿勢を、その平面内で予め定められた姿勢に近づけることができる。したがって、前記エレメントと前記駆動プーリとの接触部分におけるスリップ率を、一層確実に低減することができる。

この発明のベルト式無段変速機は、車両、各種の産業機械等に用いることが可能であるが、ここでは、ベルト式無段変速機を車両に用いた場合の概念を説明する。このベルト式無段変速機は、車両の駆動力源から車輪に至る動力伝達経路に配置される。このベルト式無段変速機は、駆動プーリ(プライマリプーリ、入力プーリ)および従動プーリ(セカンダリプーリ、出力プーリ)を有しており、駆動プーリおよび従動プーリに無端状のベルトが巻き掛けられている。前記駆動力源と駆動プーリとが動力伝達可能に接続され、前記従動プーリと前記車輪とが動力伝達可能に接続される。前記車両としては二輪駆動車または四輪駆動車のいずれであってもよい。すなわち、前記駆動力源の動力が、前輪(車輪)または後輪(車輪)の何れか一方に伝達される構成のパワートレーンを有する二輪駆動車、または、前記駆動力源の動力が、前輪および後輪の両方に伝達される構成のパワートレーンを有する四輪駆動車のいずれでもよい。ここで、四輪駆動車としては、前記駆動力源の動力が、前輪および後輪に常時伝達されるフルタイム四輪駆動車、または、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを選択的に切り換え可能なスタンバイ四輪駆動車のいずれでもよい。
前記駆動力源は前記車輪に伝達するトルクを発生する動力装置であり、例えば、エンジン、モータ・ジェネレータ、油圧モータ、フライホイールシステムなどのうち何れか1種類、または複数種類を組み合わせて搭載することが可能である。前記エンジンは燃料を燃焼させて発生する熱エネルギを運動エネルギに変換する装置であり、例えば、内燃機関を用いることができる。前記モータ・ジェネレータは、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備した動力装置である。油圧モータは、圧油の流体エネルギを回転部材の運動エネルギに変換する装置である。フライホイールシステムは、運動エネルギを蓄積することの可能な装置である。すなわち、これらの動力装置は、何れも動力の発生原理が異なる。
また、前記駆動力源と車輪との間で伝達されるトルクを制御するクラッチを設けることが可能である。このクラッチは、前記駆動力源から駆動プーリに至る経路、または前記従動プーリから前記車輪に至る経路の何れに設けられていてもよい。また、クラッチは、伝達トルクもしくはトルク容量を制御可能な動力伝達装置であり、例えば、電磁クラッチ、流体クラッチ、摩擦クラッチなどを用いることが可能である。さらに、前記駆動力源から前記車輪に至る動力伝達経路に、前後進切換装置を設けることが可能である。この前後進切換装置は、入力側回転部材の回転方向に対して、出力側回転部材の回転方向を正・逆に切り換える装置であり、前記駆動力源から前記ベルト式無段変速機に至る経路、または前記ベルト式無段変速機から前記車輪に至る経路の何れに設けられていてもよい。この前後進切換装置としては、例えば、遊星歯車機構式の前後進切換装置、または平行軸歯車式の前後進切換装置などを用いることが可能である。さらにこの発明における無段変速機用ベルトは、環状のリングの円周方向に多数のエレメントが積層して取り付けられている。そして、ベルト式無段変速機は、前記エレメント同士の圧縮力、および前記リングの張力により、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間で、トルク伝達をおこなう構成を有している。具体的には、前記エレメント同士の間に発生する圧縮力により、前記駆動プーリと従動プーリとの間でトルクを伝達することが可能である。このように、エレメント同士の間に圧縮力が発生する領域では、リングの張力が低下してたるむ。
これに対して、前記従動プーリから前記駆動プーリに至る経路では、前記エレメント同士の間には圧縮力は働かず、エレメント同士の隙間が拡大される。また、前記従動プーリから前記駆動プーリに至る経路では、前記リングの張力が増し、そのリングの張力により従動プーリが引っ張られて回転する。すなわち、前記リングの張力に応じて前記駆動プーリのトルクが従動プーリに伝達される。前記リングは多数のエレメントを整列状態で保持し、かつ、エレメント同士を相対回転可能に保持するキャリアとしての機能を有する。この発明において、駆動プーリとは動力が入力される側のプーリであり、その駆動プーリのトルクが、ベルトを経由して前記従動プーリに伝達される構成である。
この発明においては、前記ベルトに潤滑油を供給する潤滑油供給装置を設けるることが可能である。このように潤滑油を供給して、潤滑・冷却することにより、前記ベルトの過熱、ベルトおよびプーリの摩耗などを防止できる。一方、潤滑油量が多いと、前記エレメントと前記プーリとの接触部分でスリップ(滑り)が発生し、動力伝達効率の低下、摩耗などが生じる。そこで、この発明では、前記エレメントにエア(圧縮空気)を吹き付けることにより、前記エレメントに付着している潤滑油を除去するエア供給装置が設けられている。また、前記ベルトの移動方向に対して直交する方向の平面内、または、前記ベルトの移動方向および前記ベルトの厚さ方向の両方を含む平面内、前記ベルトの移動方向および幅方向の両方を含む平面内のうち、少なくとも1つの平面内における前記エレメントの姿勢を検知する姿勢検知装置を備えている。さらに、前記エア供給装置は、前記姿勢検知装置により検知された前記エレメントの姿勢に基づいて、前記少なくとも1つの平面内における前記エレメントの実際の姿勢を、その平面内で予め定められた姿勢に近づけるようにエアを吹き付ける構成を有している。前記エレメントの姿勢を矯正する場合、各平面内で正・逆方向におけるエレメントの回転角度を矯正するために、少なくとも2箇所にエアーノズル設ける。
以下、この発明の実施例を図1に基づいて説明する。この図1は、ベルト式無段変速機を有する車両1のパワートレーンの構成、およびその制御系統を示す概念図である。まず、車両1には駆動力源2が搭載されており、その駆動力源2から車輪3に至る動力伝達経路に、無段変速機、具体的にはベルト式無段変速機4が配置されている。なお、駆動力源2からベルト式無段変速機4に至る経路、またはベルト式無段変速機4から車輪3に至る経路には前後進切換装置を設けることが可能であるが、この実施例では省略している。さらに、駆動力源2からベルト式無段変速機4に至る経路、またはベルト式無段変速機4から車輪3に至る経路にはクラッチが設けることが可能であるが、この実施例では省略している。前記ベルト式無段変速機4は、第1のプーリである駆動プーリ5と、第2のプーリである従動プーリ6とを有しており、前記駆動プーリ5と駆動力源2とが動力伝達可能に接続されている。
前記駆動プーリ5は、インプットシャフト7と一体回転する構成を有している。この駆動プーリ5は、前記インプットシャフト7の回転軸線と平行な方向(軸線方向)に動作可能な可動片8と、前記軸線方向には動作しない固定片9とを有している。この可動片8は円錐形状のベルト保持面80を有しており、前記固定片9は円錐形状のベルト保持面90を有している。このベルト保持面80とベルト保持面90との間にベルト保持溝が形成される。また、従動プーリ6と車輪3とが動力伝達可能に接続されている。さらに、前記駆動プーリ5の回転軸線(図示せず)と、前記従動プーリ6の回転軸線(図示せず)とが平行に、かつ、略水平に配置されている。この従動プーリ6はアウトプットシャフト10と一体回転するように構成されている。この従動プーリ6は、前記アウトプットシャフト10の回転軸線と平行な方向(軸線方向)に動作可能な可動片11と、前記軸線方向には動作しない固定片12とを有している。この可動片11は円錐形状のベルト保持面110を有しており、前記固定片12は円錐形状のベルト保持面120を有している。このベルト保持面110とベルト保持面120との間にベルト保持溝が形成される。そして、駆動プーリ5および従動プーリ6は、何れも可動片8,11を軸線方向に動作することにより、その溝幅を調整可能に構成されている。
さらに、前記軸線方向における駆動プーリ5の可動片8の位置を制御する油圧サーボ機構13が設けられている。この油圧サーボ機構13は、油圧室およびピストンおよびリターンスプリング等を有する公知の機構である。また、前記軸線方向における従動プーリ6の可動片11の位置を制御する油圧サーボ機構14が設けられている。この油圧サーボ機構14は、油圧室およびピストンおよびリターンスプリング等を有する公知の機構である。前記油圧サーボ機構13,14の油圧室の油圧、もしくは油圧室に供給される圧油量を制御するアクチュエータとして、油圧制御装置15が設けられている。すなわち、このベルト式無段変速機4は油圧制御式のものである。なお、前記クラッチとして流体クラッチ、摩擦クラッチを用いた場合、その伝達トルクを前記油圧制御装置15により制御するように構成することが可能である。前記油圧制御装置15は、油圧回路およびバルブなどを有する公知のものであり、電子制御装置100により制御される。また、上記前後進切換装置を設けた場合、そのアクチュエータとして油圧制御装置15を用いることが可能である。上記の駆動プーリ5および従動プーリ6に、環状の無段変速機用ベルトが巻き掛けられている。以下、無段変速機用ベルトの具体的な構成例を説明する。
図2はベルト16の移動方向に直交する平面内における縦断面図(正面縦断面図)、つまり、ベルト16の厚さ方向における縦断面図である。前記ベルト16は2本のリング17と、この2本のリング17に取り付けられた複数(多数)のエレメント18とを有している。この多数のエレメントは金属材料をプレス加工して成形したものであり、前記2本のリング17の円周方向に沿って取り付けられており、前記リング17の円周方向で、隣り合うエレメント18同士が接触している。各エレメント18は、ベルト16の幅方向に沿って配置された基部(板形状部)19と、この基部19に連続して形成され、かつ、ベルト16の半径方向で外側に突出された首部20と、この首部20に連続して形成され、かつ、前記ベルト16の幅方向に沿って配置された押え部21とを有している。この押え部21は、前記首部20の上端からベルト16の幅方向で両側に突出されている。
すなわち、この首部20は、前記基部19と前記押え部21とを接続する部分である。前記ベルト16の幅方向とは、ベルトの16の幅方向に沿った方向、または幅方向と平行な方向という意味である。前記基部19における前記ベルト16の幅方向の両端には、接触面(フランク部)22がそれぞれ形成されている。この接触面は略平坦に構成されている。そして、ベルト16の幅方向における2つの接触面22同士の距離が、ベルト16の内周であるほど短くなるように、ベルト16の幅方向におけるエレメント18の中心線(図示せず)に対して、各接触面22が傾斜している。そして、ベルト16を前記駆動プーリ5および前記従動プーリ6に巻き掛けると、図2に示すようにエレメント18の接触面22が、前記駆動プーリ5のベルト保持面80,90に接触し、かつ、前記従動プーリ6のベルト保持面110,120に接触する。
前記エレメント18の上部における厚さ方向の一方にはピン18Aが突出して設けられており、前記エレメント18の上部における厚さ方向の他方には凹部18Bが設けられている。そして、各エレメント18同士が厚さ方向に重ねられた場合に、隣り合うエレメント18同士のピン18Aが凹部18Bに配置されて、隣り合う位置に配置されたエレメント18同士が位置決めされる。一方、前記エレメント18がリング17に取り付けられた場合に、車両の前進時にベルト16の移動方向で前方となる平面200と、車両の前進時にベルト16の移動方向で後方となる平面201とを有している。すなわち、平面200,201は、エレメントの積層方向における表裏面を構成している。また、前記平面200に対して傾斜された傾斜面202が設けられており、この傾斜面202は、ベルト16の内周であるほど、エレメント18の厚さが薄くなる向きで傾斜している。この傾斜面202と平面200との境界部分にロッキングエッジ203が形成されている。このロッキングエッジ203は、ベルト16の幅方向に沿って略直線状に設けられた角部である。
つぎに、前記2本のリング17の構成を説明する。各リング17は、環状に構成された金属製の薄板26を内外周に複数積層して構成されている。つまり、薄板26同士がその厚さ方向に重ね合わされてリング17を構成している。また、各薄板26同士は、重ねられた状態で相互に円周方向に相対移動可能に構成されている。また、前記ベルト16の幅方向において、各薄板26の幅は同一に構成されている。ここで、前記ベルト16の幅方向において、各薄板26の幅は、前記エレメント18の上端面24の幅よりも狭く構成されている。上記のように構成された各リング17に対して、前記多数のエレメント18が取り付けられている。具体的には、各リング17が各リング収容部23に配置されている。このように、各リング17を各リング収容部23に収容した状態で、前記ベルト16の幅方向で、各リング17の略半分が前記リング収容部23の内部に位置しており、各リング17の残りの半分が前記リング収容部23の外部に位置(露出)している。すなわち、前記ベルト16の幅方向で、各リング17の幅は、前記リング収容部23の幅よりも大きく構成されている。なお、ベルト16の半径方向で、前記リング収容部23の幅は一定に構成されており、前記リング17の厚さは前記リング収容部23の幅よりも薄く構成されている。このため、前記リング17に対して各エレメント18が、リング17の円周方向に相対移動可能である。
上記のように構成されたベルト16が前記駆動プーリ5および従動プーリ6に巻き掛けられた状態で、前記駆動力源2のトルクが前記インプットシャフト7に伝達されるとともに、前記駆動プーリ5および従動プーリ6から前記ベルト16に対して挟圧力が加えられる。前記駆動プーリ5と前記エレメント18との接触部分では、摩擦力に応じた動力伝達がおこなわれ、各エレメント18に対して圧縮荷重が加えられる。この圧縮荷重は、前記駆動プーリ5および従動プーリ6の何れにも巻き掛けられていない領域に位置するエレメント18を経由して、前記従動プーリ6に接触しているエレメント18に伝達される。そのエレメント18と前記従動プーリ6との摩擦力により、前記圧縮荷重に応じた動力が従動プーリ6に伝達される。
これに対して、前記ベルト16が前記従動プーリ6から前記駆動プーリ5に移動する経路では、前記エレメント18同士の間には圧縮力は働かない。また、前記従動プーリ6から前記駆動プーリ5に至る経路では、前記リング17の張力が増し、そのリング17の張力により従動プーリ6が引っ張られて回転する。すなわち、前記リング17の張力に応じて前記駆動プーリ5のトルクが従動プーリ6に伝達される。このようにして、前記駆動プーリ5のトルクが前記従動プーリ6に伝達される。そして、前記駆動プーリ5から前記ベルト16に加えられる挟圧力が制御されて、前記駆動プーリ5および従動プーリ6におけるベルト16の巻き掛け半径が制御され、前記駆動プーリ5の回転数と前記従動プーリ6の回転数との比、すなわち、変速比が制御される。また、前記従動プーリ6からベルト16に加えられる挟圧力が制御されて、前記ベルト式無段変速機4で伝達されるトルクの容量が制御される。このようにして、アウトプットシャフト10に伝達されたトルクが前記車輪3に伝達されて駆動力が発生する。
さらに、前記油圧制御装置15には油路を介して潤滑油供給装置50が接続されている。この潤滑油供給装置50は、前記ベルト式無段変速機4の発熱部、摺動部に潤滑油を供給して、これらの部位を冷却・潤滑するものである。潤滑油供給装置50は、バルブおよび噴射ノズルなどを有している。この潤滑油供給装置50は、電子制御装置100により制御される構成となっており、潤滑油供給タイミング、潤滑油供給時間、潤滑油供給量、潤滑油供給圧力(噴射圧)、ベルト16に対する潤滑油供給角度などを調整可能である。なお、前記電子制御装置100には、インプットシャフト7の回転数、アウトプットシャフト10の回転数などの検知信号が入力される。
前記ベルト式無段変速機4におけるトルク伝達時において、前記従動プーリ6から離れたベルト16が前記駆動プーリ5に巻き掛かる場合、前記リング17と前記エレメント18とでは、その周速度が異なり、各エレメント18と前記リング17の内周面とが摺動する。また、前記リング17は環状の薄板26を重ねた構成であり、前記駆動プーリ5にベルト16が巻き掛けられている領域では、各薄板26の周速度が異なり、薄板26同士が円周方向に相対移動して摺動する。さらに、前記駆動プーリ5および前記従動プーリ6から前記ベルト16に加えられる挟圧力が制御されて、前記駆動プーリ5および従動プーリ6におけるベルト16の巻き掛け半径が変化する場合、前記エレメント18が前記駆動プーリ5および従動プーリ6の斜面に沿って摺動する。このように、前記ベルト式無段変速機4においては、各種の部品同士が摺動して発熱する箇所があるため、前記潤滑油供給装置50から前記ベルト16に向けて潤滑油が供給(噴射)され、これらの摺動部分の冷却および潤滑がおこなわれる。例えば、前記ベルト16が前記駆動プーリ5および前記従動プーリ6の何れにも巻き掛けられていない領域A1で、そのベルト16の上方、またはベルト16の側方、またはベルト16の斜め上方から、噴射ノズルなどにより供給される。
一方、前記エレメント18は前記ベルト16の移動方向に積層されており、前記ベルト16が前記駆動プーリ5に巻き係る領域、具体的には、エレメント18に圧縮荷重が加わる前に、各エレメント18の姿勢が予め定められた姿勢となっていることが望ましい。これは、前記駆動プーリ5のベルト保持面80,90に対する各エレメント18の接触面22の接触状態を、各エレメント18毎に均一化し、かつ、各エレメント18で最適な状態とすることにより、ベルト式無段変速機4における動力伝達効率の向上、前記駆動プーリ5およびエレメント18の摩耗の低減、前記エレメント18と駆動プーリ5との接触面における滑り量(スリップ率)の低下などを図るためである。各エレメント18の姿勢を図3の概念図に基づいて説明する。この図3に示すように、前記エレメント18の姿勢には、3種類の姿勢がある。まず、前記ベルト16の移動方向を示す線分C1に対して直交し、かつ、前記ベルト16の厚さ方向を示す線分D1を含む平面X内における姿勢がある。つぎに、前記線分C1を含み、かつ、前記ベルト16の幅方向を示す線分E1に直交する平面Y内における姿勢がある。さらに、前記線分C1を含みかつ、前記線分D1と直交する平面Z内における姿勢がある。なお、ベルト16の移動方向とは、基本的には前記車両1が前進する場合にベルト16が回転する方向を意味している。また、前記線分C1と前記線分D1とが直角であり、前記線分C1と線分E1とが直角であるものとする。そして、平面X内における前記線分C1を中心とする前記エレメント18の姿勢をロール角度とする。また、前記平面Y内で前記線分E1を中心とする前記エレメント18の姿勢をピッチ角度とする。さらに、前記平面Z内における前記線分D1を中心とする前記エレメント18の姿勢をヨー角度とする。
この実施例では、前記駆動プーリ5および前記従動プーリ6にベルト16が巻き付けられた状態において、前記エレメント18の前記各種の姿勢を検知するための姿勢検知装置を有している。この姿勢検知装置は、前記エレメント18の姿勢に基づいた検出信号を出力する変位センサ204と、この変位センサ204の信号を処理する電子制御装置100とを有している。この変位センサ204は非接触式のセンサであり、例えば渦電流式センサ、レーザ変位センサなどを用いることが可能である。何れの場合においても、エレメント18に何ら加工を施すことなく、エレメント18の姿勢を検出可能である場合は、前記エレメント18をそのまま用いる。これに対して、汎用構造のエレメントでは検出精度が低い場合は、エレメント18の押え部21に突出部を設けて検出を容易化したり、エレメント18に専用の検出素子を取り付けることも可能である。
そして、前記変位センサ204の配置位置を、図1および図4に基づいて説明する。図4は、前記ベルト式無段変速機4の概念的な側面図である。この図4において、前記車両1が前進する場合は、前記駆動プーリ5および前記従動プーリ6が、共に反時計方向に回転するものとする。そして、図1および図4に示すように、ベルト16の移動経路の近傍、具体的には、領域A1の範囲内、または、領域B1の範囲内のうち、いずれかに一方に、前記変位センサ204が設けられている。前記領域A1とは、前記ベルト16を構成するエレメント18が、前記従動プーリ6から離れた位置から、前記駆動プーリ5に巻き係る前(接触する前)までの範囲を意味する。つまり、領域A1とは、前記ベルト16の非巻き掛け領域(直線領域)を意味する。また、領域B1とは、前記駆動プーリ5にベルト16が巻き掛かっている(接触している)が、その駆動プーリ5からエレメント18に圧縮力が加わらない範囲を意味する。なお、前記変位センサ204を、領域A1または領域B1に設けた場合の技術的意義の相違点については後述する。ちなみに、前記駆動プーリ5において、ベルト16が巻き掛かっている領域であり、かつ、前記領域B1の最も下流端から、前記従動プーリ6におけるベルト16が巻き掛かっている位置までの領域M1の範囲では、前記エレメント18に圧縮力が加えられる。さらに、領域M1の下流端から領域A1までの間では、前記圧縮力が低下することとなる。
また、この実施例においては、前記ベルト16にエアーを吹き掛けるエア供給装置が設けられている。このエア供給装置は、前記ベルト16に付着している潤滑油を除去する機能と、前記エレメント18同士の積層方向における隙間を詰める機能と、前記エレメント18の姿勢を矯正する機能とを兼備している。エレメント18の姿勢を矯正する機能とは、前記姿勢検知装置により検知された前記エレメント18の姿勢に基づいて、前記少なくとも1つの平面内における前記エレメント18の実際の姿勢を、その平面内で予め定められた姿勢に近づける機能である。
このエア供給装置を具体的に説明すると、空気ポンプ205と、この空気ポンプから送られる圧縮空気を前記ベルト16に向けて噴射するエアーノズル206とを有している。前記空気ポンプ205の駆動停止、空気吸入時期、空気吸入量等の条件は、前記電子制御装置100により制御されるように構成されている。また、前記エアーノズル206は、ソレノイドバルブ(図示せず)を内蔵しており、前記電子制御装置100の信号により、前記エアーノズル206におけるエアーの噴射圧(エアーノズル圧)、エアーの噴射角度、エアーの噴射時期などを制御することが可能である。前記エアーノズル206の噴射圧(エアーノズル圧)は、段階的(不連続)または無段階(連続的)制御可能に構成されている。さらに、前記エアーノズル206の配置位置について説明すると、前記ベルト16の移動方向において、前記潤滑油供給装置50の噴射ノズルによる潤滑油噴射箇所よりも下流側であり、かつ、前記ベルト16が前記駆動プーリ5に巻き係る前の位置に配置されている。具体的には、図4に示すように、前記領域A1の範囲内に前記変位センサ204が設けられている場合は、前記ベルト16の移動方向で前記変位センサ204よりも下流側に前記エアーノズル206が配置される。なお、前記領域B1の範囲内に前記変位センサ204が設けられている場合は、前記ベルト16の移動方向で、前記潤滑油供給装置50の噴射ノズルよりも下流側に前記エアーノズル206が配置される。
つぎに、前記エアーノズル206のより具体的な配置例を説明する。図5は、エアーノズル206の第1の配置例を説明するものであり、前記ベルト16の概略的な側面図である。この図5においては、前記ベルト16の移動経路の上方および下方にそれぞれエアーノズル206が設けられている。すなわち、前記ベルト16を厚さ方向の上下から挟むようにエアーノズル206が配置されている。また、上下に配置されたエアーノズル206は、何れもベルト16の幅方向における略中央において、前記エレメント18に向けてエアーを噴射することが可能である。また、エアーノズル206の噴射中心線(図示せず)は、エアーノズル206から噴射されるエアー圧により、前記エレメント18に対して前記ベルト16の移動方向と同じ向きの力が加わる方向に傾斜されている。
つぎに、前記エアーノズル206の第2の配置例を図6に基づいて説明する。この図6は、前記ベルト16を外周側から見た場合の概略的な平面図である。この図6において、前記ベルト16の移動経路の側方、つまり、ベルト16における幅方向の両側には、エアーノズル206がそれぞれ設けられている。また、エアーノズル206の噴射中心線(図示せず)は、エアーノズル206から噴射されるエアー圧により、前記エレメント18に対して前記ベルト16の移動方向と同じ向きの力が加わる方向に傾斜されている。さらに、前記エアーノズル206の先端は、噴射されたエアーが、前記ベルト16の厚さ方向で、前記エレメント18の接触面22とほぼ同じ領域に吹きかけられる位置に設定されている。
さらに、前記エアーノズル206の第3の配置例を図7に基づいて説明する。この図7は、前記ベルト16の厚さ方向における縦断面図である。この図7において、前記ベルト16の外周側にエアーノズル206が設けられている。具体的には、前記2本のリング17の露出部分の外側にそれぞれエアーノズル206が設けられている。このエアーノズル206はその噴射中心線が、略垂直(リング17の表面に対して直角)に構成されている。そして、前述した各平面内におけるエレメント18の最適な姿勢に関するデータは、予め電子制御装置100に記憶されているとともに、検知されたエレメント18の姿勢を基準の姿勢に近づけるために、前記エアーノズル206におけるエアーの噴射圧(エアーノズル圧)、噴射角度、噴射時期などを制御するデータがマップ化されて、電子制御装置100に記憶されている。これらのデータは、ベルト式無段変速機4の変速比、ベルト16の移動速度などに基づいて、実験的に求められている。
なお、図5および図6および図7の何れに示されたエアーノズル206も、前記ベルト16の厚さ方向、つまり、ベルト16の内外周方向に移動・停止可能に構成されており、そのエアーノズル206の移動・停止を制御するアクチュエータ207が設けられている。この機構は、前記ベルト式無段変速機4の変速比が制御されて、前記駆動プーリ5および従動プーリ6における前記ベルト16の巻き掛け半径が変化した場合に、前記ベルト16と前記エアーノズル206との接触を回避すると共に、狙いとするエレメント18および目標位置にエアーを吹き付けるものである。なお、前記エアーノズル206の位置を調整するアクチュエータ207としては、ステッピングモータ、ラックアンドピニオンなどの公知のスライド機構を用いればよく、そのアクチュエータ207は電子制御装置100により制御されるように構成されている。このため前記エアーノズル206は、直線移動もしくは平行移動が可能である。
つぎに、前記ベルト16に潤滑油を供給するとともに、前記ベルト16に付着した潤滑油を除去する場合の制御を説明する。この制御は、請求項1の発明に該当する。前記駆動力源2のトルクが前記インプットシャフト7に伝達されるとともに、潤滑油供給装置50の噴射ノズルから噴射された潤滑油が前記ベルト16に吹きかけられて、発熱・摺動部分の冷却・潤滑がおこなわれる。この潤滑油が、前記エレメント18の接触面22が、各駆動プーリ5および従動プーリ6に接触する面に必要以上に付着すると、その接触面における摩擦係数が小さくなる。その結果、前記駆動プーリ5においてエレメント18のスリップが発生して、トルク容量の低下によるトルク伝達効率の低下、接触面22の摩耗、耐久性の低下等の不都合を生じる可能性がある。これに対して、この実施例では、エアーノズル206からエレメントに向けてエアーを吹き付けることにより、前記エレメント18、特に接触面22に付着した潤滑油の残留量を低下させ、もしくは除去することができる。
すなわち、油膜の厚さを薄くすることができる。この場合、図6に示された第2の配置例を用いることが好ましい。このようにして、前記エレメント18の傾斜面22に付着している潤滑油の残留量を低減させると、前記駆動プーリ5および従動プーリ6に対する接触面22の接触面圧を高めることができ、前述の不都合を回避できる。また、ベルト16で同じトルク容量を確保しようとする場合、前記従動プーリ6からベルト16に加える挟圧力を可及的に低下させることができ、油圧サーボ機構14にオイルを供給するオイルポンプの駆動損失を抑制できる。特に、ベルト式無段変速機4の変速比が大きい場合、あるいは、ベルト16で伝達するべきトルクが高くなって、前記従動プーリ6の挟圧力が高められて接触面22の面圧が高まったり、あるいはエレメント18のスリップ率が高くなる可能性がある場合に有効である。
また、この実施例では、前記エレメント18にエアーを吹き付けて、そのエレメント18に付着している潤滑油を吹き飛ばすことと並行して、前記エレメント18にエアーを吹き付けることにより、前記エレメント18同士の積層方向における隙間を詰める(狭める)ことも可能であり、その場合の制御例を、図8のフローチャートに基づいて説明する。この図8の制御例は、請求項2の発明に対応するものである。この図8の制御例は、図5に示されたエアーノズル206の配置例、または図6に示されたエアーノズル206の配置例のうち、少なくとも一方の構成で実行可能である。まず、ベルト式無段変速機4における入力トルクおよび入力回転数、セカンダリ油圧、変速比が読み込まれる(ステップS1)。前記入力トルクは、前記駆動力源2から前記インプットシャフト7に伝達されるトルクであり、これは、トルクセンサなどを用いて直接「入力トルク」を検知してもよいし、前記駆動力源2がエンジンであれば、そのアクセル開度、燃料噴射量などに基づいて「入力トルクを」推定することもできる。また、前記入力回転数は前記インプットシャフト7の回転数であり、回転数センサ(図示せず)により検知可能である。また、セカンダリ油圧とは、前記油圧サーボ機構14の油圧室の油圧であり、これは油圧室の油圧を圧力センサにより直接検知してもよいし、油圧室の油圧を制御するソレノイドバルブの電流値から間接的に推定してもよい。また、前記ベルト式無段変速機4の変速比は、インプットシャフト7の回転数とアウトプットシャフト10の回転数との比であり、インプットシャフト7の回転数センサの信号と、アウトプットシャフト10の回転数のセンサの信号とにより、変速比が求められる。
このステップS1についで、リング枚数、μからリング17によるトルク伝達分を計算する(ステップS2)。ここで、リング枚数とはリング17の枚数(または、リング17を構成する薄板26の枚数)であり、μは、駆動プーリ5とエレメント18との接触部分、エレメント18とリング17との接触部分、リング17同士の接触部分などにおける摩擦係数である。またリング17によるトルク伝達分Tringは、駆動プーリ5および従動プーリ6におけるベルト保持面の傾斜角度、駆動プーリ5および従動プーリ6におけるベルト16の巻き掛かり径、駆動プーリ5における入力トルク、従動プーリ6の可動片11に与えられる軸線方向の推力などから求めることが可能である。このステップS2についで、前記入力トルクがリング17のトルク伝達分よりも大きいか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3で否定的に判断された場合は、前記エアーノズル206から噴射されるエアーのノズル圧を低下させ(ステップS4)、リターンする。例えば、前記ベルト式無段変速機4の変速比が「1」よりも大きく、かつ、ステップS3で否定的に判断されるような状況では、前記リング17の張力により前記駆動プーリ5のトルクが前記従動プーリ6に伝達され、前記エレメント18では負のトルク(−Tele)を発生させる必要がある。つまり、入力トルクとトルクTeleとを加算したトルクを、前記リング17の張力で負担することを意味する。そこで、ステップS4では、前記エアーノズル206からエレメント18に吹きかけられるエアーのノズル圧を低下させている。この制御により、前記ベルト16が前記駆動プーリ5から前記従動プーリ6に至る領域で、前記エレメント18同士の間で発生する圧縮力が低下する。
一方、前記ベルト式無段変速機4の変速比が「1」よりも大きく、かつ、前記ステップS3で肯定的に判断されるということは、入力トルクを、前記リング17の張力および前記エレメント18の圧縮力で負担する必要があることになる。そこで、ステップS3で肯定的に判断された場合は、前記エアーノズル206のノズル圧を上げる(高める)制御を実行する(ステップS5)。このステップS5の制御により、エアーが吹きかけられたエレメント18を、そのエレメント18よりも移動方向で前方に位置するエレメント18に押し付ける力が強められて、エレメント18同士の隙間が詰められる。その結果、前記駆動プーリ5にベルト16が巻き掛けられ、かつ、圧縮力がエレメント18に加えられている領域で、そのエレメント18と駆動プーリとの接触面で、スリップ(滑り)が発生することを防止できる。
このステップS5についで、前記ベルト式無段変速機4の入力回転数および出力回転数を読み込む(ステップS6)。このステップS6についで、前記エレメント18のスリップ率が減少したか否かが判断される(ステップS7)。例えば、前記ベルト式無段変速機4の入力回転数および変速比に基づいて、前記ベルト式無段変速機4の予想出力回転数を求め、その予想出力回転数と、実際の出力回転数との差から、スリップ率を求める。そして、前記エアーノズル圧を高める前のスリップ率と、前記エアーノズル圧を高めた後のスリップ率とを比較すれば、そのスリップ率が減少したか否かを判断できる。ここで、スリップ率が減少(低下)すると、前記エレメント18と、前記駆動プーリ5の接触面との間における動力伝達効率が向上する。このステップS7で肯定的に判断されるということは、前記エアーノズル圧を上げる制御が、前記スリップ率の低下に寄与していることになるため、前記ステップS5に戻る。これに対して、ステップS6で否定的に判断された場合は、エアーノズル圧を低下させる制御を実行し(ステップS8)、リターンする。例えば、エアーノズル圧を段階的に上昇・低下させる制御をおこなっている場合は、1段階下げる(元に戻す)制御をおこなう。
このように、図8の制御を実行して、ステップS5,S6,S7,S8の処理をおこなうことにより、前記領域A1の範囲にある前記エレメント18の姿勢を矯正すること、具体的には積層方向におけるエレメント18同士の隙間を詰めることができる。したがって、これらのエレメント18が前記駆動プーリ5に接触して、その駆動プーリ5から圧縮力が前記エレメント18に加えられる時点で、エレメント18がスリップすることを抑制できる。したがって、前記エレメント18および前記駆動プーリ5の摩耗を低減し、かつ、動力伝達効率の低下を抑制することができる。また、ステップS4に進んだ場合は、エアーノズル圧を低下するため、そのエアーノズル圧を発生させている空気ポンプ205の動力損失を抑制できる。
なお、図8の制御実行中において、エアーノズル206からエレメント18に吹き掛けられるエアーにより、エレメント18から潤滑油が除去されて、前記傾斜面22と駆動プーリ5との接触面の滑りが抑制されていることはいうまでもない。ここで、図8の制御例で説明した処理を構成として記載すると、以下のとおりである。すなわち、駆動プーリおよび従動プーリと、これら駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられる無端状のベルトとを有し、このベルトが、前記リングと、このリングの円周方向に取り付けられ、かつ、相互に積層して配置される複数のエレメントとを備えているベルト式無段変速機において、前記エレメントにエアを吹き付けることにより、前記エレメントに付着している潤滑油を除去するエア供給手段(ステップS1ないしS8)と、前記ベルトにおける前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻き掛けられていない領域に位置するエレメントに対して、そのエレメント同士の積層方向における隙間を詰めるように、前記ベルトの移動方向でエアを吹き付けようとするエレメントの後方から、そのエレメントに向けてエアを吹き付ける隙間詰め手段(ステップS1ないしS8)を有している。さらに、隙間詰め手段は、エアーノズル圧を上げる前のスリップ率と、エアーノズル圧を上げた後のスリップ率とを比較して、スリップ率が減少しなかった場合は、エアーノズル圧を再度上げる一方、スリップ率が減少した場合は、エアーノズル圧を低下させる手段(ステップS5,S6,S8)を含む。さらに、前記エア供給手段は、入力トルクがリングのトルク伝達分以下である場合はエアーノズル圧を低下させる一方、入力トルクがリングのトルク伝達分よりも大きい場合はエアーノズル圧を上げる制御をおこなう手段(ステップS3,S4,S5)を含む。
つぎに、前記ベルト式無段変速機4で実行可能な他の制御例を説明する。前述のように、前記エレメント18同士は、前記ピン18Aが前記凹部18Bに配置されて、前記平面X内における相対的な位置決めがおこなわれている。しかしながら、前記ピン18Aと前記凹部18Bとの間には隙間があり、また、前記エレメント18はロッキングエッジ203を支点として回転可能であるため、前記エレメント18が駆動プーリ5および従動プーリ6の何れにも接触していない領域、例えば、領域A1の範囲内では、前述した平面X,Y,Zの各平面内で相対移動する可能性がある。さらには、ベルト16が振動したり、幅方向で芯ズレを生じたりした場合も、エレメント18が個々に相対移動する可能性がある。これらの挙動は、ベルト式無段変速機4の変速比、ベルト16の移動速度などにより変化する。すると、前記エレメント18の接触面22と、駆動プーリ5のベルト保持面80,90との接触部分におけるスリップ率が大きくなる可能性がある。例えば、2つの接触面22の接触面圧が不均等となる不具合、エレメント18の角部が駆動プーリ5に対して点接触する不具合が生じる可能性がある。このような場合、エレメント18のスリップ、トルク容量低下、エレメント18および駆動プーリ5の摩耗などが発生する可能性がある。このような不都合を回避する場合に実行可能な制御例を、図9に基づいて説明する。この図9の制御例は、請求項3の発明に対応するものであり、前記変位センサ204が“測定点ア”の位置にある場合に適用される。ここで、“測定点ア”の位置とは、前記領域A1の範囲内で、前記エアーノズル206よりも上流側の位置を意味する。
この図9の制御例においては、まず、“測定点ア”の位置に設けられた変位センサ204により、前記エレメント18の姿勢、つまり、前記平面Y内における前記エレメント18の回転方向および回転角度(ピッチ角度θp)、前記平面X内におけるエレメント18の回転方向および回転角度(ロール角度θr)、および平面Z内におけるエレメント18の回転方向および回転角度(ヨー角度θy)が測定される(ステップS11)。ここで、前記平面Y方向におけるエレメント18の回転方向およびピッチ角度θpを、図10に基づいて具体的に説明する。各エレメント18はリング17により保持されており、前記リング17の厚さ方向における中心線である線分C1と、エレメント18の積層方向における中心線F1との交点G1を中心として、前記エレメント18が所定角度範囲内で回転可能である。この回転角度範囲は、前記リング収容部23の深さと、前記リング17の厚さとの差、および前記リング17の積層方向における寸法などの条件により決定される。そして、前記中心線F1のうち、線分C1よりも外側(図10で上側)が前記線分D1よりも前方となるようなエレメント18の回転方向が前傾である。つまり、前傾は、図10でエレメント18が反時計方向に回転することを意味する。これとは逆に、前記中心線F1のうち、線分C1よりも外側(図10で上側)が前記線分D1よりも後方となるような前記エレメント18の回転方向が後傾である。つまり、後傾は、図10でエレメント18が時計方向に回転することを意味する。また、「前方」および「後方」とは、前記ベルト16の移動方向における前方および後方を意味する。そして、エレメント18の前傾および後傾時において、線分D1と線分F1との成す鋭角側の角度が、前記ピッチ角度θpである。
つぎに、前記平面X内におけるエレメント18の回転方向およびロール角度θrを、図11に基づいて具体的に説明する。各エレメント18はピン18Aが凹部18Bに挿入されているため、各エレメント18は、線分D1とピン18Aの中心との交点H1を中心として、前記エレメント18が所定角度範囲内で回転可能である。この回転角度範囲は、前記リング収容部23の深さと、前記リング17の厚さとの差などの条件により決定される。そして、前記エレメント18が、図11で時計方向または反時計方向の何れに回転したかが判断され、かつ、その回転方向において、エレメント18の幅方向の中心線J1と、線分D1とのなす鋭角側の角度が、前記ロール角度θrである。
さらに、前記平面Z内におけるエレメント18の回転方向およびヨー角度θyを、図12に基づいて具体的に説明する。各エレメント18はピン18Aが凹部18Bに挿入されているため、各エレメント18は、線分C1とエレメント18の積層方向の中心線との交点K1を中心として、前記エレメント18が所定角度範囲内で回転可能である。そして、前記エレメント18が、図12で時計方向または反時計方向の何れに回転したかが判断され、かつ、その回転方向において、エレメント18の幅方向の中心線L1と、線分E1とのなす鋭角側の角度が、前記ヨー角度θyである。
このステップS11についで、測定されたピッチ角度θpが、前記電子制御装置100に記憶された許容値以内であるか否かが判断される(ステップS12)。ステップS12で用いられる許容値には、ピッチ角度θp=零度も含まれる。このステップS12で否定的に判断された場合は、図5に示す前記エレメント18の上下方向で、遅れている側の部位に相当するエアーノズル206のノズル圧を上げる制御をおこない(ステップS13)、ステップS14に進む。具体的には、前記エレメント18が前傾している場合は、前記ベルト16の内側に設けられているエアーノズル206のノズル圧が上げられる。これとは逆に、前記エレメント18が後傾している場合は、前記ベルト16の外側に設けられているエアーノズル206のノズル圧が上げられる。このステップS13の処理により、前記エレメント18のピッチ角度が小さく(矯正)なる。また、ステップS12で肯定的に判断された場合は、そのままステップS14に進む。
このステップS14においては、測定されたロール角度θrが、前記電子制御装置100に記憶された許容値以内であるか否かが判断される。ステップS14で用いられる許容値には、ロール角度θr=零度が含まれる。このステップS14で否定的に判断された場合は、図7に示す前記エレメント18の左右方向(幅方向)で、上がっている側の部位に相当するエアーノズル206のノズル圧を上げる制御をおこない(ステップS15)、ステップS16に進む。具体的には、前記エレメント18が図7および図11で時計方向に回転している場合は、図7で左側に設けられているエアーノズル206のノズル圧が上げられる。これとは逆に、前記エレメント18が図7および図11で反時計方向に回転している場合、図7で右側に設けられているエアーノズル206のノズル圧が上げられる。このステップS15の処理により、前記エレメント18のロール角度が小さく(矯正)なる。また、ステップS14で肯定的に判断された場合は、そのままステップS16に進む。
このステップS16においては、測定されたヨー角度θyが、前記電子制御装置100に記憶された許容値以内であるか否かが判断される。このステップS16で否定的に判断された場合は、図6に示す前記エレメント18の左右方向(幅方向)で、遅れている側の部位に相当するエアーノズル206のノズル圧を上げる制御をおこない(ステップS17)、ステップS18に進む。具体的には、前記エレメント18が図6および図12で時計方向に回転している場合は、図6で上側(ベルト16の搬送方向で下流を向いて右側)に設けられているエアーノズル206のノズル圧が上げられる。これとは逆に、前記エレメント18が図6および図12で反時計方向に回転している場合、図6で下側(ベルト16の搬送方向で下流を向いて左側)に設けられているエアーノズル206のノズル圧が上げられる。
このステップS17の処理により、図6の平面図でベルト16の移動方向における前記エレメント18のヨー角度(左右方向の遅れ量)が小さくなる(矯正される)。また、ステップS16で肯定的に判断された場合は、そのままステップS18に進む。そして、ステップS18では、出力プーリ油圧を、入力プーリ油圧が設定値以内になるまで下げる制御をおこない(ステップS18)、リターンする。ここで、出力プーリ油圧とは、前記油圧サーボ機構14の油圧室の油圧であり、入力プーリ油圧とは、油圧サーボ機構13の油圧室の油圧である。このステップS18の制御の技術的意味は、ベルト16で同じトルク容量を確保しようとする場合に、前記従動プーリ6からベルト16に加える挟圧力を可及的に低下させて、油圧サーボ機構14にオイルを供給するオイルポンプの駆動損失を抑制するためである。
なお、ステップS12、ステップS14、ステップS16で用いるために予め設定された許容値は、前記ベルト16の動力伝達効率向上、摩耗低減、エレメントのスリップ率低減等の条件を考慮して実験的に求められた値であり、これらの許容値と、実際の測定値との差に基づいて、エアーノズル206のエアーノズル圧の上昇程度がマップ化されて電子制御装置100に記憶されている。以上のように、図9の制御を実行して、前記エレメント18のピッチ角度、ロール角度、ヨー角度が許容値の範囲内となるように、前記エアーノズル206のノズル圧を制御している。したがって、エレメント18のスリップ率を低減でき、トルク容量および動力伝達効率の低下を抑制でき、エレメント18および駆動プーリ5および従動プーリ6が摩耗することを抑制でき、さらにはベルト式無段変速機4の耐久性が向上する。
つぎに、図1に示されたベルト式無段変速機4で実行可能な他の制御例を、図13のフローチャートにより説明する。この図13の制御例は、請求項3に対応するものである。この図13の処理ステップにおいて、図9の処理と同じ処理をおこなうステップには、図9のステップ番号と同じステップ番号を付してある。この図13の制御例においては、まず、“測定点イ”の位置に設けられた変位センサ204により、前記エレメント18の姿勢、つまり、前記平面Y内における前記エレメント18の回転方向および回転角度(ピッチ角度θp)、前記平面X内におけるエレメント18の回転方向および回転角度(ロール角度θr)、および平面Z内におけるエレメント18の回転方向および回転角度(ヨー角度θy)が測定される(ステップS21)。
ここで、測定点イとは、図4に示す領域B1内を意味する。なお、ステップS21でおこなうその他の処理は、図9のステップS11の処理と同じである。つまり、図9の制御と図13の制御とを比較すると、エレメント18の姿勢を測定する位置が異なる一方、その他の処理は基本的には同じである。そして、ステップS21についで、ステップS12に進む。また、この図13の制御例では、前記領域B1内でエレメント18の姿勢を測定している。この領域B1内では、前記エレメント18が駆動プーリ5に接触しているが、その駆動プーリ5から各エレメント18に対して圧縮力は加わらない。さらに、この図13の制御例では、領域B1内でエレメント18の姿勢を測定した後、それらのエレメント18が領域M1に移動して圧縮力が加えられ、かつ、駆動プーリ5から離れるとともに、その後に従動プーリ6に接触し、さらに、そのエレメント18が従動プーリ6から離れて領域A1に進んだ時点で、前記エアーノズル206から噴射されるエアーにより姿勢が矯正される。したがって、図13の制御を実行することにより、前記エレメント18の姿勢を矯正することが可能であり、図13の制御を実行した場合も、図9の制御を実行した場合と同様の効果を得ることができる。
ところで、図9および図13の制御例は、前記エレメント18のピッチ角度、ロール角度、ヨー角度全てを測定し、これら全ての矯正をおこなう構成となっている。これに対して、特に図示はしないが、何れか1つの角度を測定し、その1つの角度を矯正する処理をおこなってもよいし、何れか2つの角度を測定し、その2つの角度を矯正する処理をおこなってもよい。さらに、図9および図13の制御例において、ベルト式無段変速機4の変速比が変化して、ベルト16の巻き掛け半径が変化した場合に、そのベルト16の巻き掛け半径にあわせて、前記アクチュエータ207により前記エアーノズル206の位置、具体的にはベルト16の厚さ方向における位置を調整すると、エアーをエレメント18の最適位置に吹きかけることができる。なお、エアーノズル206の先端開口部が、ベルト16の厚さ方向で、巻き掛け半径の変化領域の全てをカバーできる寸法に構成されていれば、エアーノズル206を移動させるアクチュエータ207を設けずに済む。
また、図8の制御例において、エレメント18に付着している潤滑油を吹き飛ばし、かつ、エレメント18同士の隙間を詰める場合、前記エアーノズル206から噴射されるエアーの最低速度は、前記ベルト16の移動速度もしくは周速度よりも高速に調整される。さらに、図9および図13の制御例において、エレメント18に付着している潤滑油を吹き飛ばす場合、またはエレメント18の姿勢を矯正する場合のいずれにおいても、前記エアーノズル206から噴射されるエアーの最低速度は、前記ベルト16の移動速度もしくは周速度よりも高速に調整される。このように、ベルト16の周速度に基づいてエアーの噴射速度を制御する場合、前記ベルト16の周速度を周速度センサにより検知してもよいし、前記ベルト式無段変速機4の入力回転数および出力回転数および変速比から、前記ベルト16の周速度を推定してもよい。なお、前記ベルト式無段変速機4においては、変速比が最も大きくなった場合にエレメント18のスリップ率が大きくなり、かつエレメント18の摩耗が発生しやすくなるため、ベルト式無段変速機4の変速比が、予め定められた変速比よりも大きくなった場合に、図8、図9、図13の制御をおこなう構成としてもよい。
なお、図4では、エアーノズル206が領域A1の最後部に配置されているが、前記駆動プーリ5から離れたエレメント18が、前記従動プーリ6に接触する直前の位置に、前記エアーノズル206を配置し、エレメント18にエアーを吹き付けて姿勢を矯正することも可能である。さらに、図9の制御で用いる許容値と、図13の制御で用いる許容値とは同じでもよいし、異なっていてもよい。ここで、許容値を異ならせる場合としては、駆動プーリ5の溝の中心と、従動プーリ6の溝の中心とが、軸線方向で位置ずれしている場合が挙げられる。さらに、上記実施例で説明されているベルトは、ベルトの幅方向の両側において、エレメントにリング収容部がそれぞれ設けられており、その2箇所のリング収容部にそれぞれリングが配置された構成(リングが2本)のベルトであるが、ベルトの幅方向の中央に1箇所のリング収容部を設け、そのリング収容部に1本のリングを収容した構成のベルトを有するベルト式無段変速機においても、この発明を適用可能である。
ここで、この実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、前記エアノズル206およびエアポンプ205およびアクチュエータ207および電子制御装置100が、この発明におけるエア供給装置に相当し、前記変位センサ204および電子制御装置100が、この発明の姿勢検知装置に相当し、平面Xが、この発明の第1平面に相当し、平面Yが、この発明の第2平面に相当し、平面Zが、この発明の第3平面に相当する。また、「各平面内におけるエレメントのピッチ角度、ロール角度、ヨー角度を小さくして許容値以内とすること」が、この発明の「エレメントの実際の姿勢を、予め定められた姿勢に近づけること」に相当する。
この発明のベルト式無段変速機を有する車両のパワートレーンおよびその制御系統を示す概念図である。 図1に示された無段変速機用ベルトの厚さ方向における縦断面図である。 図1の示された無段変速機用ベルトの移動方向に対する各平面を示す概念図である。 図1に示されたベルト式無段変速機の概念的な側面図である。 図1に示されたベルト式無段変速機のベルトにエアーを供給する装置の構成例を示す側面図である。 図1に示されたベルト式無段変速機のベルトにエアーを供給する装置の構成例を示す平面図である。 図1に示されたベルト式無段変速機のベルトにエアーを供給する装置の構成例を示す縦断面図である。 図1に示されたベルト式無段変速機で実行可能な制御例を示すフローチャートである。 図1に示されたベルト式無段変速機で実行可能な他の御例を示すフローチャートである。 図1に示すベルトのエレメントの姿勢を説明する側面図である。 図1に示すベルトのエレメントの姿勢を説明する正面図である。 図1に示すベルトのエレメントの姿勢を説明する平面図である。 図1に示されたベルト式無段変速機で実行可能な他の御例を示すフローチャートである。
符号の説明
4…ベルト式無段変速機、 5…駆動プーリ、 6…従動プーリ、 16…ベルト、 17…リング、 18…エレメント、 100…電子制御装置、 205…エアーポンプ、 206…エアーノズル、 207…アクチュエータ、 C1…ベルトの移動方向、 X,Y,Z…平面。

Claims (2)

  1. 駆動プーリおよび従動プーリと、これら駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられる無端状のベルトとを有し、このベルトが、リングと、このリングの円周方向に取り付けられ、かつ、相互に積層して配置される複数のエレメントとを備えているベルト式無段変速機において、
    前記エレメントにエアを吹き付けることにより、前記エレメントに付着している潤滑油を除去するエア供給装置を有し、
    前記エア供給装置は、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに接触していないエレメント同士の積層方向における隙間を詰めるように、前記ベルトの移動方向でエアを吹き付けようとするエレメントの後方から、そのエレメントに向けてエアを吹き付ける構成を有することを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 駆動プーリおよび従動プーリと、これら駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられる無端状のベルトとを有し、このベルトが、リングと、このリングの円周方向に取り付けられ、かつ、相互に積層して配置される複数のエレメントとを備えているベルト式無段変速機において、
    前記エレメントにエアを吹き付けることにより、前記エレメントに付着している潤滑油を除去するエア供給装置を有し、
    前記ベルトの移動方向に対して直交する方向の第1平面内、または、前記ベルトの移動方向および前記ベルトの厚さ方向の両方を含む第2平面内、前記ベルトの移動方向および幅方向の両方を含む第3平面内のうち、少なくとも1つの平面内における前記エレメントの姿勢を検知する姿勢検知装置を備えており、
    前記エア供給装置は、前記姿勢検知装置により検知された前記エレメントの姿勢に基づいて、前記少なくとも1つの平面内における前記エレメントの実際の姿勢を、その平面内で予め定められた姿勢に近づけるようにエアを吹き付ける構成を有していることを特徴とするベルト式無段変速機。
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