JP2004218711A - 動力伝達装置及び動力伝達方法 - Google Patents

動力伝達装置及び動力伝達方法 Download PDF

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Toshiyasu Niimura
敏康 新村
Kenjiro Narita
健次郎 成田
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    • F16H57/00General details of gearing
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Abstract

【課題】高いトラクション係数を確保することで、押付け力を増大させずにトルク伝達率を向上させ、小型かつ安価な材料で製造可能な動力伝達装置及び動力伝達方法を提供する。
【解決手段】駆動ロール1aのトルクを従動ロール1bへ伝達する動力伝達装置において、駆動ロール1aを従動ロール1bに押付けるロール押付け装置2と、従動ロール1bの胴部表面にトラクション油3を供給する潤滑剤供給装置4と、ロール1a,1b間の周速度を測定するロール速度計6a,6bと、これらロール速度計6a,6bの測定から算出したロール1a,1b間のすべり率と演算したトラクション係数との関係を基にロール1a,1b間の潤滑状態を判定し、この潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、潤滑剤供給装置4による潤滑剤供給量を制御する制御手段5とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール間の摩擦力によって駆動ロールから従動ロールへトルク伝達するトラクションドライブ方式の動力伝達装置及び動力伝達方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラクションドライブ方式の動力伝達装置において、トルク伝達効率を高めるには、ロール間の押付け荷重とトラクション係数の積である摩擦力を大きくすれば良い。そのために、従来では、押付け荷重を大きくすることでトルク伝達効率を増大させることが行われてきた。押付け荷重を大きくするものとしては、例えば、ロール軸受部に設けた押付け装置によるロール間の押付け荷重を増大させるものや(例えば特許文献1参照)、軸受をロールの胴部に沿った半円筒状になし、この軸受を介してロール全体を押すもの(例えば特許文献2)等がある。
【0003】
また、ロール間の動力伝達を行うものではないが、トラクション係数を考慮したものとして、自動車等の変速装置に用いられるトロイダル型無断変速機において、ディスクとローラ間の急激な摩耗や焼き付きを抑制するために、両者間に供給する潤滑油の油温を制御しその膜厚を調整するものがある(例えば特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平2−33956号公報
【特許文献2】
特開平8−277896号公報
【特許文献3】
特開2002−257217号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術においては、大型の押付け装置を要し、またロール間の軸心がずれ平行度が下がった場合、ロール間に発生するスラスト力によりトルク伝達が不安定となることがあるため、スラスト反力を支持する軸受けを新たに要する。加えて、ロールに高負荷がかかるため、それに耐えうる高強度材料でロールを形成する必要があり、結果的に生産コストが増大し、また複雑化に伴う部品点数や組立工程の増加を余儀なくされる。上記特許文献2に開示された技術においては、大型の半円筒状の軸受によりロール間の平行度が確保されスラスト力発生は抑制できるが、やはり装置の大型化や生産コストの増加は避けられない。
【0006】
一方、上記特許文献3に開示された技術においては、ディスクの回転に伴う潤滑油の油膜のせん断力によって駆動伝達するに際し、ディスクとロールとの激しい金属接触による急速な摩耗や焼き付きを防止するために、流体潤滑を前提とした膜厚制御を行う。流体潤滑とは、滑り合う2曲面間に切れ目のない潤滑膜が形成された潤滑状態であり、この状態において、2曲面間は、微視的には油膜によって完全に分離された状態となる。従って、この場合には高いトラクション係数を確保することが難しい。
【0007】
本発明の目的は、高いトラクション係数を確保することで、押付け力を増大させずにトルク伝達率を向上させ、小型かつ安価な材料で製造可能な動力伝達装置及び動力伝達方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、駆動ロールのトルクを従動ロールへ伝達する動力伝達装置において、前記駆動ロール及び前記従動ロール間に荷重をかけるロール押付け装置と、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定する測定手段と、この測定手段の測定結果に応じ、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記潤滑剤供給手段による潤滑剤供給量を制御する制御手段とを備える。
【0009】
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、駆動ロールのトルクを従動ロールへ伝達する動力伝達装置において、前記駆動ロール及び前記従動ロール間に荷重をかけるロール押付け装置と、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に付着した潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段と、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定する測定手段と、この測定手段の測定結果に応じ、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記潤滑剤除去手段による潤滑剤除去量を制御する制御手段とを備える。
【0010】
(3)上記目的を達成するために、また本発明は、駆動ロールのトルクを従動ロールへ伝達する動力伝達装置において、前記駆動ロール及び前記従動ロール間に荷重をかけるロール押付け装置と、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、前記駆動ロール又は従動ロールに付着した潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段と、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定する測定手段と、この測定手段の測定結果に応じ、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記潤滑剤供給手段及び前記潤滑剤除去手段を制御する制御手段とを備える。
【0011】
境界潤滑状態とは、前述の流体潤滑状態とは異なり、潤滑膜は完全にロール同士を隔離するものではなく、微視的に見て所々に切れ目があり、両ロールの金属表面が所々接触している状態を言う。この境界潤滑条件下にあるとき、流体潤滑条件トラクション係数は高い状態にある。このことに着眼し、上記(1)〜(3)においては、ロール間の潤滑状態に関わる状態量の測定結果を基に、ロール間の潤滑状態がどのような状態にあるのかを判定し、その潤滑状態を境界潤滑状態とするべく、駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を制御する。これにより、ロール間の押付け力を大きくすることなく、トラクション係数を増大させることで、ロール間のトルク伝達効率を向上させることができる。従って、ロール間の押付け力を大きくして、そのロール間のトルク伝達効率を向上させる場合に比し、大型のロール押付け装置やロール軸受を用いる必要がなく、装置を小型化することができる。また、所望のトルク伝達効率を確保する上で、ロール間の押付け力をある程度小さくすることができるので、必ずしもロールに高強度材料を用いる必要がなく、それだけ装置を安価なものとすることができる。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、好ましくは、前記測定手段として、前記駆動ロール及び前記従動ロールの周速度又は回転速度を測定するロール速度計と、前記駆動ロールから前記従動ロールへの伝達トルクを測定するトルク測定装置とを設け、前記制御手段により、前記ロール速度計の測定結果を基に算出した前記駆動ロール及び従動ロール間のすべり量と、前記トルク測定装置の測定結果及び前記駆動ロール及び従動ロール間の押し付け力を基に算出したトラクション係数とから、前記駆動ロール及び前記従動ロール間の潤滑状態を判定する。
【0013】
(5)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、また好ましくは、前記測定手段として、前記駆動ロール及び従動ロールのうち少なくとも一方の胴部表面の潤滑剤の膜厚を測定する膜厚測定装置を設け、前記制御手段により、前記膜厚測定装置の測定結果を基に、前記駆動ロール及び前記従動ロール間の潤滑状態を判定する。
【0014】
(6)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、好ましくは、前記潤滑剤供給手段として、潤滑剤を駆動ロール又は従動ロールに噴き付けるための潤滑剤噴霧ノズルを設ける。
【0015】
(7)上記(6)において、また好ましくは、前記潤滑剤供給手段として、前記潤滑剤噴霧ノズルの前面に、開口面積が可変な複数の孔を有する潤滑剤通過量調整手段を更に設ける。
【0016】
(8)上記(6)又は(7)において、更に好ましくは、前記潤滑剤噴霧ノズルに圧縮空気を供給するコンプレッサと、前記潤滑剤噴霧ノズルへの潤滑剤を遮断する潤滑剤遮断バルブとを備える。
【0017】
(9)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、また好ましくは、下部が潤滑剤に浸漬し、前記駆動ロール又は従動ロールを円弧状の軸受面で軸受する軸受を備え、前記潤滑剤供給手段として、この軸受の下部側から前記軸受面に貫通した複数の細管を設ける。
【0018】
(10)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、また好ましくは、前記潤滑剤供給手段として、前記駆動ロール又は従動ロールの下方位置にて潤滑剤に浸漬して配置され、潤滑剤を蒸発させる加熱ヒータを設ける。
【0019】
(11)上記(2)又は(3)において、好ましくは、前記潤滑剤除去手段は、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に当接する多孔質物質で形成されたワイパを備えている。
【0020】
(12)上記目的を達成するために、本発明は、駆動ロール又は従動ロールに潤滑剤を供給しつつ、駆動ロール及び従動ロールを荷重をかけて接触させ、前記駆動ロールのトルクを前記従動ロールへ伝達する動力伝達方法において、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定して、この測定結果を基に前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態を判定し、潤滑状態の判定結果に基づき、前記潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤付着量を調整する。
【0021】
(13)上記目的を達成するために、また本発明は、駆動ロール又は従動ロールに潤滑剤を供給しつつ、駆動ロール及び従動ロールを荷重をかけて接触させ、前記駆動ロールのトルクを前記従動ロールへ伝達する動力伝達方法において、前記駆動ロール及び従動ロールの周速度の測定値を基に演算した該ロール間のすべり量と、前記駆動ロールから前記従動ロールへの伝達トルクの測定値を基に算出したトラクション係数とから、前記駆動ロール及び前記従動ロール間の潤滑状態を判定し、この潤滑状態の判定結果の下、前記演算したトラクション係数が、境界潤滑条件により定まるしきい値より小さい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を減少させると共に、前記演算したトラクション係数が、前記しきい値より大きい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を増大させる。
【0022】
(14)上記目的を達成するために、また本発明は、駆動ロール又は従動ロールに潤滑剤を供給しつつ、駆動ロール及び従動ロールを荷重をかけて接触させ、前記駆動ロールのトルクを前記従動ロールへ伝達する動力伝達方法において、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に付着した潤滑剤の膜厚を測定し、この膜厚の測定値が、境界潤滑条件により定まるしきい値より小さい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を増大させると共に、前記膜厚の測定値が、前記しきい値より大きい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を減少させる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の動力伝達装置の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の動力伝達装置の第1の実施の形態の概略構造を表す縦断面図、図2はその斜視図である。これら図1及び図2に示すように、本実施の形態の駆動伝達装置は、駆動系(図示せず)と連結した駆動ロール1aと、この駆動ロール1aからのトルク伝達により回転する従動ロール1bと、駆動ロール1aを従動ロール1bに押付けるロール押付け装置2と、潤滑剤(本例では、以下トラクション油と記載する)3を供給する潤滑剤供給装置(潤滑剤供給手段)4と、トラクション油3の噴射量を制御する制御装置5と、各ロール1a,1bの周速度をそれぞれ測定する公知のロール速度計(測定手段)6a,6bと、底部にトラクション油7を貯留したケーシング(容器)8とを備えている。なお、従動ロール1bには、この従動ロール1bのトルクを測定するトルク測定装置(図示せず)が設けられている。また、上記のトラクション油とは即ち潤滑剤であるが、ここでは動力伝達装置に好適なよう比較的大きなトラクション係数が得られるものを選定することとする。
【0024】
上記潤滑剤供給装置4は、トラクション油3を噴射する潤滑剤噴霧ノズル9と、一端がこの潤滑剤噴霧ノズル9に接続され他端がトラクション油7に浸漬したサイフォン管(導油管)10と、潤滑剤噴霧ノズル9の圧縮空気を供給するコンプレッサ11と、このコンプレッサ11と潤滑剤噴霧ノズル9とを接続する導気管12と、この導気管12の通気量を調整する制御弁13とを備えている。本例では、制御弁13に、例えば電磁比例式のソレノイドバルブを用いる。
【0025】
上記構成により、ロール押付け装置2によって、回転する駆動ロール1aが従動ロール1bに押付けられ、これにより駆動ロール1aから従動ロール1bにトルクが伝達され、駆動ロール1a及び従動ロール1bが互いに図1中の矢印方向に回転する。このとき、ロール間接触による両ロール1a,1bの磨耗や疲労を防止するため、潤滑剤噴霧ノズル9からトラクション油3を従動ロール1bの胴部表面に噴射する。また、このトラクション油3は、コンプレッサ11からの圧縮空気の供給によって潤滑剤噴霧ノズル9内が負圧になり、サイフォン管10を介して導かれたトラクション油7が、圧縮空気によって拡散され潤滑剤噴霧ノズル9からスプレー状に噴霧される。このトラクション油3の噴霧量は、制御装置5によって、圧縮空気量、即ち制御弁13の開度を制御することにより調整される。以下に、この噴霧量制御の手順を説明する。
【0026】
図3は、駆動ロール1a及び従動ロール1b間のトラクション係数とすべり率の関係の一例を示したものである。この図3において、実線で示した曲線は、ロール1a,1b間の潤滑状態が境界潤滑状態にある場合のトラクション係数とすべり率との関係(境界潤滑条件)を表すもので、点線で示した潤滑状態が平均的な流体潤滑状態にある場合のトラクション係数とすべり率との関係(流体潤滑条件)を表すものである。この図3に示す関係は、制御装置5の内部にしきい値として予め格納されている。
【0027】
ここで、すべり率とは、駆動ロール1a及び従動ロール1b間のすべり量を表す指標で、すべり率sは、V1:駆動ロール1aの周速度、V2:従動ロール1bの周速度を用いると、
s=2(V1−V2)/(V1+V2)・・・(式1)
と求められる。
【0028】
一方、トラクション係数とは、ロール1a,1b間の摩擦係数に相当するものである。このトラクション係数μは、F:ロール1a,1b間の接線力、Q:ロール1a,1b間の押付け力(ロール押付け装置2の設定値)を用いると、
μ=F/Q ・・・(式2)
と求められる。
【0029】
この(式2)において、接線力Fは未知であるが、T:従動ロール1bのトルク(図示しないトルク測定装置による測定値)、R:従動ロール1bの径(既知)を用いて、
F=T/R ・・・(式3)
と求められる。
【0030】
本実施の形態においては、制御装置5に対し、トルク測定装置及びロール速度計6a,6bからの測定信号が入力される。制御装置5は、ロール速度計6a,6bからの測定信号を基に、駆動ロール1a及び従動ロール1bの周速度V1,V2を算出し、上記(式1)からロール1a,1b間のすべり率sを算出する。一方、制御装置5は、トルク測定装置からの測定信号を基にロール1a,1b間の接線力Fを算出すると共に、この算出した接線力Fとロール押付け装置2の押付け力Qとから、ロール1a,1b間のトラクション係数μを算出する。
【0031】
続いて、制御装置5は、上記で算出したロール1a,1b間のトラクション係数μ、すべり率sから、その時点でロール1a,1b間の潤滑状態がどのような状態にあるのかを判定する。仮に、s=2%、μ=0.2であった場合、ロール1a,1b間の潤滑状態は、流体潤滑状態にあると判定される。また例えば、s=2%、μ=0.5であった場合、ロール1a,1b間の潤滑状態は、境界潤滑状態を超えてトラクション油そのものが不足した状態と判定される。なお、言うまでもないが、算出したすべり率s、トラクション係数μが、ほぼ境界潤滑状態の条件曲線上ににある場合(例えば、s=4.0%、μ=0.40であった場合等)、その時点のロール1a,1b間の潤滑状態は、境界潤滑状態にあると判定される。つまり、算出したすべり率sに対する適切なトラクション係数μの値は、図3の境界潤滑条件の関係曲線から定まるので、そのすべり率sに対して境界条件により定まるしきい値と算出したトラクション係数μとを比較することによって、その時点での潤滑状態が判定される。
【0032】
制御装置5は、以上のようにロール1a,1b間の潤滑状態を判定し、その潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、ロール1a,1b表面のトラクション油の付着量を制御する。例えば、潤滑状態が流体潤滑状態にあると判断した場合(あるすべり率のとき境界潤滑条件に対しトラクション係数が低い場合)には、制御弁13に指令信号を出力し、制御弁13を閉じトラクション油の供給を停止させ(又は開度を小さくし噴霧量を減少させ)トラクション係数を増加させるようにする。一方、制御装置5は、ロール1a,1b間にトラクション油が不足していると判断した場合(あるすべり率のとき境界潤滑条件に対しトラクション係数が大き過ぎる場合)には、制御弁13に指令信号を出力し、制御弁13の開度を大きくし噴霧量を増大させ、トラクション係数を境界条件下の値に復帰させる。なお、判定の結果、ロール1a,1b間の潤滑状態が境界潤滑状態にあると判断した場合には、その時点での噴霧量を維持する。
【0033】
そして、制御装置5は、以上のような潤滑状態の判定手順と、トラクション油の供給量の制御手順とを適宜繰り返し行うことにより、ロール1a,1bの胴部表面のトラクション油の膜厚を制御し、これによりロール1a,1b間の潤滑状態が境界潤滑状態となるようフィードバック制御する。
【0034】
こうした本実施の形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
例えば、流体潤滑状態下にあってはロール1a,1b表面のトラクション油の付着量が多くトラクション係数が低い状態にあり、このような状態で所望のトルク伝達効率を向上させようとすると、押付け力を大きくせざるを得ない。従って、ロール押付け装置2や軸受を大型化させなければならず、装置全体が大型化する結果となる。また、ロール1a,1bには、強い押付け力に耐え得る高強度材料が要求され、装置のコストを押し上げる。
【0035】
それに対し、本実施の形態においては、潤滑状態の判定結果に応じ、ロール1a,1b表面のトラクション油付着量をフィードバック制御するものであって、トルク伝達効率を向上させるために、押付け力を大きくするのではなく、ロール1a,1b表面のトラクション油の付着量(この場合供給量)を減少させ、ロール1a,1b間の潤滑状態を高いトラクション係数が得られる境界潤滑状態にする。即ちこれにより、ロール1a,1b間の押付け力をそのままの状態とし、トラクション係数を増大させることで、トルク伝達効率を大きく向上させることができる。従って、ロール間の押付け力を大きくして、そのロール間のトルク伝達効率を向上させる場合に比し、大型のロール押付け装置やロール軸受を用いる必要がなく、装置を小型化することができる。また、所望のトルク伝達効率を確保する上で、ロール1a,1b間の押付け力をある程度小さくすることができるので、必ずしもロール1a,1bに高強度材料を用いる必要がなく、それだけ装置を安価なものとすることができる。
【0036】
図4は、本発明の動力伝達装置の第2の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。但し、この図4において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。本実施の形態が、前述の第1の実施の形態と相違する点は、制御弁13をサイフォン管10に設けた点にある。本実施の形態で用いる潤滑剤供給装置4においては、制御弁13が閉状態にあるとき、コンプレッサ11からの圧縮空気のみが潤滑剤噴霧ノズル9から噴射され、制御弁13の開度が大きくなるに連れ潤滑剤噴霧ノズル9から噴射される圧縮空気へのトラクション油7の混入量が増大する。即ち、制御弁13の開度が大きくなると、圧縮空気に細粒化され潤滑剤噴霧ノズル9から噴霧されるトラクション油3の量が増大する構成となっている。その他の構成は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0037】
本実施の形態においても、前述の第1の実施の形態と同様の手順で、制御装置5によって、潤滑状態の判定結果に応じて制御弁13を制御してトラクション油の噴霧量を調整する。これにより、ロール1a,1b間の潤滑状態は境界潤滑状態に調整され、前述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、制御弁13が閉状態のとき、潤滑剤噴霧ノズル9からは圧縮空気のみが噴射されるので、ロール1a,1b表面のトラクション油の付着量が多すぎる場合には、圧縮空気によって従動ロール1b表面のトラクション油を水切りする形となり、フィードバック制御のレスポンスがより早くなるというメリットもある。
【0038】
なお、本実施の形態や前述の第1の実施の形態のように、潤滑剤噴霧ノズル9からのトラクション油9の噴霧量を制御する場合、トラクション油の温度や粘度によっては精度良く噴霧量を調整することが難しいことがある。この場合、潤滑剤噴霧ノズル9からの噴霧量を制御するのではなく、この潤滑剤噴霧ノズル9の前面に噴霧されたトラクション油の通過量を調整する潤滑剤通過量調整装置を設けることにより、機械的に従動ロール1b(又は駆動ロール1a)へのトラクション油の供給量を調整する構成としても良い。その潤滑剤通過量調整装置の一例を図5及び図6に示した。
【0039】
図5(a)及び図5(b)は潤滑剤通過量調整装置の一構成例を表す断面図、図6(a)及び図6(b)は、それぞれ図5(a)及び図5(b)に示した状態の潤滑剤通過量調整装置をノズル側から見た図で、図5(a)及び図5(b)において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。まず、図5(a)に示すように、潤滑剤通過量調整装置14は、互いに重なり合った2枚のプレート15a,15bを備えており、図示しない駆動装置に連結されたプレート15aが、図5(b)のように、固定されたプレート15bに対しスライドするようになっている(プレート15aを固定しプレート15bをスライドさせても良い)。また、両プレート15a,15bには、複数の孔16が穿設されており、潤滑剤噴霧ノズル9から噴霧されたトラクション油3は、各孔16を通過して従動ロール1b等に噴霧される(トラクション油3a参照)。
【0040】
図5(a)の状態のとき、両プレート15a,15bの孔16の位置が合っており(図6(a)も参照)、各孔16の開口面積が最も広く、従動ロール1bに噴射されるトラクション油3aの量も最も多くなる。この状態から、図5(b)のように、プレート15aがスライドしていくと、徐々にプレート15a,15bの各孔16の開口面積が減少し通過するトラクション油3aの量も減少していく。
【0041】
本例においては、制御弁13(図1参照)を制御する代わりに、制御装置8から、潤滑剤通過量調整装置14のプレート15aをスライドさせる駆動装置に指令信号を出力することにより、従動ロール1bへのトラクション油供給量を制御する。その手順は、前述の各実施の形態と同様である。本実施の形態によっても、前述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
図7は、本発明の動力伝達装置の第3の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。但し、この図5において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。本実施の形態が、前述の第1の実施の形態と相違する点は、潤滑剤供給手段の構成にある。本実施の形態においては、下部がトラクション油7に浸漬し、従動ロール1bを円弧状の軸受面で支持する軸受17が設けられており、この軸受17の軸受面には、潤滑剤供給手段としての複数列の(この例では3列の)細管18a〜18cが穿設されている。
【0043】
各細管18a〜18cは、軸受27に対し、その下部側から軸受面に貫通するよう穿設されており、そしてロール軸方向に複数列設されている。また、軸受17の下部には、支軸19a,19bを支点に回動可能なトラクション油ストッパ20a,20bが設けられており、これらトラクション油ストッパ20a,20bによって、それぞれ細管18a,18cを開閉可能な構成となっている。この細管18a,18cの開閉は、軸受17の下部に設けた電磁石21a,21bにより、それぞれトラクション油ストッパ20a,20bを回動させることで行われる。電磁石21a,21bは、それぞれ制御装置5からの指令信号S1,S2によって励磁されるようになっている。なお、トラクション油ストッパ20a,20bは、必要以上に軸受17から離間しないよう、その開方向における動作範囲を制限するためのストッパを備えている。その他の構成は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0044】
上記構成により、本実施の形態においては、従動ロール1bが回転すると、その回転速度の増加に伴い、細管18a〜18cに負圧が働き、浸透圧によってトラクション油7が細管18a〜18cを伝って軸受17の軸受面まで移動する。これにより、軸受17の軸受面に導かれたトラクション油は、従動ロール1bの胴部表面に吸い寄せられて付着し、従動ロール1b表面に極薄の潤滑膜を形成する。なお、軸受面に導かれたトラクション油を効果的に従動ロール1b表面に付着させるために、軸受17の軸受面において、細管18a〜18cから軸受面に導出するトラクション油の先端面が凸型形状となるよう、細管18a〜18cに対して予め表面処理を施しておく。
【0045】
このとき、本実施の形態において、制御装置5は、前述のようにロール1a,1b間の潤滑状態を判定し、その潤滑状態が流体潤滑状態であれば、電磁石21a,21bに指令信号S1,S2を出力し、トラクション油ストッパ20a,20bを磁着して細管18a,18cを塞ぐことにより、トラクション油の供給量を減少させる。逆に、ロール1a,1bの表面のトラクション油が不足しているようなら、その時点よりもトラクション油の供給量が多くなるよう、電磁石21a又は電磁石21bの磁力を解除し、トラクション油ストッパ20a,20bを解き放ち細管18a,18cを開放する。なお、勿論、電磁石21a,21bは、それぞれ独立して励磁可能であり、潤滑状態の判定結果に応じ、細管18a〜18cの開放状態が適宜調整可能である。
【0046】
以上の本実施の形態においても、前述の各実施の形態と同様の効果を得ることができ、なおかつ、トラクション油を機械的装置を用いずに、ロール表面に極薄の潤滑膜を形成することができるため、設備コストを更に低減させることができる。なお、本実施の形態においては、細管18a〜18cを、軸受17の下部から軸受面に貫通させる形で設けたが、この態様に限定する必要はなく、例えば、トラクション油7を、軸受17の外側から軸受17の軸受面に導くよう、細管の一部を軸受17に外付けしても良い。この場合も、外付けした細管のトラクション油の吸い上げ口(或いは管路の途中)を、同じようなトラクション油ストッパ、あるいは電磁弁等で開閉可能な構成とすれば、同様の効果を得ることができる。
【0047】
図8は、本発明の動力伝達装置の第4の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。但し、この図8において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。本実施の形態が、前述の第1の実施の形態と相違する点は、潤滑剤供給手段として、トラクション油7を貯留したケーシング8内に、トラクション油7を蒸発させる加熱ヒータ25を設けた点にある。
【0048】
本実施の形態においては、この加熱ヒータ25により、トラクション油7を気化させ、ロール1a,1b表面に触れさせ凝結させることにより、ロール1a,1bに対しトラクション油を供給する。また、加熱ヒータ25は、制御装置5と電気的に接続しており、この加熱ヒータ25の伝熱量を制御することにより、トラクション油7の気化量を調節してロール1a,1bの表面に極薄の境界潤滑条件下の潤滑膜を形成するようになっている。その他の構成は、前述の各実施の形態と同様である。
【0049】
本実施の形態において、制御装置5は、先の各実施の形態と同様の要領で、ロール1a,1b間の潤滑状態を判定した結果、その潤滑状態が流体潤滑状態にあれば、加熱ヒータ25に対し指令信号を出力し、加熱ヒータ25の伝熱量を小さくする(或いは作動停止させる)。これにより、トラクション油7の気化量(即ち供給量)が減少し、ロール1a,1b間の潤滑状態が境界潤滑状態に向かう。一方、ロール1a,1b表面のトラクション油の付着量が不足していると判定した場合には、加熱ヒータ25の伝熱量を大きくし、トラクション油7の気化量(即ち供給量)を増大させ、やはりロール1a,1b間の潤滑状態を境界潤滑状態に近付ける。本実施の形態によっても、前述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
図9は、本発明の動力伝達装置の第5の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。但し、この図9において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。本実施の形態が、前述の第1の実施の形態と相違する点は、潤滑剤除去装置26を設け、潤滑剤供給量を制御するのではなく、ロール表面の潤滑剤の除去量を制御することにより、ロール表面の潤滑剤の付着量を調整する点にある。
【0051】
上記潤滑剤除去装置26は、公知の多孔質物質で形成されたワイパ26aを備えており、このワイパ26aを把持したハウジング26bが、図示しない駆動装置によって、従動ロール1bの胴部表面に対し進退するようになっている。このワイパ26aを進退させる駆動装置は、制御装置5と電気的に接続しており、制御装置5からの指令信号に応じて、ワイパ26aと従動ロール1bの胴部表面との間隙を微動変化させるようになっている。
【0052】
即ち、本実施の形態においては、前述の各実施の形態と同様にロール1a,1b間の潤滑状態が流体潤滑状態にある場合、制御装置5からの指令信号に応じて従動ロール1bに押付けられたワイパ26aによって必要量の油膜を除去し、ロール1a,1b間の潤滑状態を境界潤滑状態に移行させる。一方、ロール1a,1b間の潤滑量が不足している場合には、ワイパ26aを従動ロール1bから離間させる。このとき、従動ロール1bには、ロール間接触による磨耗や疲労を防止するため潤滑剤噴霧ノズル9からトラクション油3が噴霧されているので、ワイパ26aが離間している間に、ロール1a,1bの表面の潤滑膜が厚くなる。その結果、ロール1a,1b間の潤滑状態がまた流体潤滑状態に傾いたら、再度油膜を除去する。
【0053】
本実施の形態のように、トラクション油の供給量を制御する代わりに、トラクション油の除去量を制御することによっても、同様にロール1a,1bのトラクション油付着量を調整することができ、前述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、トラクション油の除去量のみを制御する構成としたが、前述の各実施の形態との組合わせにより、必要に応じてトラクション油の供給量及び除去量を適宜制御する構成としても良く、この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0054】
図10は、本発明の動力伝達装置の第6の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。但し、この図10において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。本実施の形態は、トラクション油を噴霧する潤滑剤供給装置を設けた場合、その配管の目詰まりを除去抑制する機能を付加した実施の形態である。本実施の形態が、前述の第1の実施の形態と構成的に相違する点は、サイフォン管10にトラクション油遮断バルブ27を設けた点であり、トラクション油の供給を停止した状態で、潤滑剤噴霧ノズル9にコンプレッサ11からの圧縮空気のみを供給し、潤滑剤噴霧ノズル9や導気管12、或いはサイフォン管10等といった配管中の異物や内壁に付着したトラクション油等をパージできるようにしてある。その他の構成は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0055】
即ち、例えば動力伝達装置の運転が長時間に及んだ場合等、潤滑剤供給装置4の各配管内壁に異物が付着したりトラクション油が付着成長する場合がある。このような場合には、駆動ロール1aの駆動装置の動力停止時、制御装置5は、その駆動装置からの停止信号を入力したら、トラクション油遮断バルブ27及び制御弁13に指令信号を出力し、トラクション油遮断バルブ27を閉止させると共に制御弁13を全開状態とする。これにより、導気管12へコンプレッサ11からの圧縮空気が勢いよく供給され、この導気管12及び潤滑剤噴霧ノズル9の噴射孔内の異物や残油をパージ(除去)し洗浄する。
【0056】
本実施の形態においても、トルク伝達時には、第1の実施の形態と同様の手順で潤滑状態を制御することにより同様の効果を得ることは言うまでもないが、このような工程をロール停止毎に行うことで、潤滑剤供給装置4の目詰まりによるトラクション油の供給不良と、それに伴うロール1a,1b表面の温度上昇やロール間摩擦によるロール1a,1bの傷の発生を防止することができる。また、前述の潤滑状態制御の実行状況と実際のトルクの測定結果との経時的な傾向を予め制御装置5に格納しておくことにより、制御装置5によって、トルク伝達中に潤滑剤供給装置4に目詰まりが発生していると判断された場合に、上記のパージ工程を実行するようにすることも考えられる。
【0057】
なお、本例の洗浄工程は、図4に示した前述の第2の実施の形態においても、制御弁13を全閉状態とし、圧縮空気のみを潤滑剤噴霧ノズル9に通すことによっても実現できる。また、本例では、洗浄用流体として、圧縮空気を例に挙げたが、これに限られず何等かの洗浄液をトラクション油を遮断した状態で供給する構成としても良い。
【0058】
図11は、本発明の動力伝達装置の第7の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。但し、この図11において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。本実施の形態が、前述の第1の実施の形態と相違する点は、ロール間の潤滑状態に関わる状態量として、ロール表面のトラクション油の油膜厚さを膜厚測定装置28により測定し、トラクション係数を求めずに、膜厚の測定結果からロール1a,1b間の潤滑状態を判定する点にある。
【0059】
膜厚測定装置28は、例えば公知の超音波式のセンサ等であって、従動ロール1bの表面のトラクション油の膜厚を測定し、その測定結果を制御装置5に出力する。但し、この膜厚測定装置28を駆動ロール1a側に設け駆動ロール1a表面の膜厚を測定しても良いし、それぞれに設けて両ロール1a,1bの表面の膜厚を測定しても良い。
【0060】
制御装置5には、膜厚とトラクション係数との相関関係(経験的に得られたものでも理論的に得られたものでも良い)が予め格納されている。そして、膜厚により判断されたトラクション係数から、その時点のロール1a,1b間の潤滑状態を判定するようになっている。潤滑状態を判定したら、その後のロール1a,1bへのトラクション油の供給量制御は、前述の第1の実施の形態と同様であるる。また、その他の構成も、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0061】
本実施の形態においても、前述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本例では、例として、第1の実施の形態と対比させた場合を図示して説明したが、前述の各実施の形態において、トラクション係数とすべり率との関係から潤滑状態を判定する代わりに、本実施の形態における潤滑状態の判定及び制御の手順を適用することができることは言うまでもない。この場合も、前述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、本例の場合、実際には、トラクション油の性状によっては、トラクション油の膜厚のみからでは、ロール1a,1b間の潤滑状態の判定精度が十分に得られない場合がある。同じ膜厚であっても、トラクション油の油温、粘度、種類等によって境界潤滑条件が異なるためである。従って、本例における潤滑状態の判定精度をより高めるためには、それらトラクション油の油温や粘度、種類等で分類された上記相関関係の複数のテーブルを制御装置5に格納しておき、制御装置5において、予め入力したトラクション油の粘度や種類、油温の測定結果等から該当する相関関係を読み込み、その読み込んだ相関関係の下、測定した膜厚から潤滑状態を判定するようにするとより好ましい。
【0063】
なお、以上に説明した各例においては、主に従動ロール1b側にトラクション油を供給する場合を図示説明したが、これに限らず、駆動ロール1a側にトラクション油を供給しても良いし、両ロール1a,1bにそれぞれトラクション油を供給するようにしても良い。また、トラクション油の供給量を制御する例に限らず、例えば図9の第5の実施の形態のように除去量を制御する例においても同様、駆動ロール1a側のトラクション油を除去する構成としても良いし、場合によっては両ロール1a,1bのトラクション油をそれぞれ除去する構成としても構わない。これらの場合も同様の効果を得る。
【0064】
また、駆動ロール1aを従動ロール1bに押付ける構成としたが、場合によっては、従動ロール1bを駆動ロール1aに押付ける構成や、互いに押付ける構成とすることも考えられる。更に、駆動ロール1a,1bの計2つのロールを備えた例を説明したが、更に多数のロールを備えるものであっても、本発明は適用可能である。ロール速度計6a,6bは、ロール1a,1bの周速度を測定するセンサとしたが、ロール速度計6a,6bは、ロール1a,1bの回転数を測定するセンサであっても良い。この場合、すべり率を算出するにあたり、測定した回転数とロール径から周速度を算出すれば足りる。これらの場合も土用の効果を得る。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、ロール間の潤滑状態を判定し、その潤滑状態を境界潤滑状態に制御することにより、ロール間の押付け力を大きくすることなく、トラクション係数を増大させることで、ロール間のトルク伝達効率を向上させることができる。即ち、ロール同士を強く押付けずに高いトルク伝達効率を維持することができるので、小型かつ安価な動力伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝達装置の第1の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【図2】本発明の動力伝達装置の第1の実施の形態の概略構造を表す斜視図である。
【図3】ロール間のトラクション係数とすべり率の関係の一例を示したものである。
【図4】本発明の動力伝達装置の第2の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【図5】本発明の動力伝達装置に用いる潤滑剤通過量調整装置の一構成例を表す断面図である。
【図6】本発明の動力伝達装置に用いる潤滑剤通過量調整装置の一構成例を表す正面図である。
【図7】本発明の動力伝達装置の第3の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【図8】本発明の動力伝達装置の第4の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【図9】本発明の動力伝達装置の第5の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【図10】本発明の動力伝達装置の第6の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【図11】本発明の動力伝達装置の第7の実施の形態の概略構造を表す縦断面図である。
【符号の説明】
1a 駆動ロール
1b 従動ロール
2 ロール押付け装置
4 潤滑剤供給装置(潤滑剤供給手段)
5 制御装置(制御手段)
6a,b ロール速度計(測定手段)
9 潤滑剤噴霧ノズル
11 コンプレッサ
14 潤滑剤通過量調整装置(潤滑剤通過量調整手段)
16 孔
17 軸受
18a〜c 細管(潤滑剤供給手段)
25 加熱ヒータ(潤滑剤供給手段)
26 潤滑剤除去装置(潤滑剤除去手段)
26a ワイパ
27 潤滑剤遮断バルブ
28 膜厚測定装置(測定手段)

Claims (14)

  1. 駆動ロールのトルクを従動ロールへ伝達する動力伝達装置において、
    前記駆動ロール及び前記従動ロール間に荷重をかけるロール押付け装置と、
    前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、
    前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定する測定手段と、
    この測定手段の測定結果に応じ、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記潤滑剤供給手段による潤滑剤供給量を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 駆動ロールのトルクを従動ロールへ伝達する動力伝達装置において、
    前記駆動ロール及び前記従動ロール間に荷重をかけるロール押付け装置と、
    前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、
    前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に付着した潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段と、
    前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定する測定手段と、
    この測定手段の測定結果に応じ、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記潤滑剤除去手段による潤滑剤除去量を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする動力伝達装置。
  3. 駆動ロールのトルクを従動ロールへ伝達する動力伝達装置において、
    前記駆動ロール及び前記従動ロール間に荷重をかけるロール押付け装置と、
    前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、
    前記駆動ロール又は従動ロールに付着した潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段と、
    前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定する測定手段と、
    この測定手段の測定結果に応じ、前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記潤滑剤供給手段及び前記潤滑剤除去手段を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の動力伝達装置において、
    前記測定手段として、前記駆動ロール及び前記従動ロールの周速度又は回転速度を測定するロール速度計と、前記駆動ロールから前記従動ロールへの伝達トルクを測定するトルク測定装置とを設け、
    前記制御手段により、前記ロール速度計の測定結果を基に算出した前記駆動ロール及び従動ロール間のすべり量と、前記トルク測定装置の測定結果及び前記駆動ロール及び従動ロール間の押し付け力を基に算出したトラクション係数とから、前記駆動ロール及び前記従動ロール間の潤滑状態を判定することを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の動力伝達装置において、
    前記測定手段として、前記駆動ロール及び従動ロールのうち少なくとも一方の胴部表面の潤滑剤の膜厚を測定する膜厚測定装置を設け、
    前記制御手段により、前記膜厚測定装置の測定結果を基に、前記駆動ロール及び前記従動ロール間の潤滑状態を判定することを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の動力伝達装置において、前記潤滑剤供給手段として、潤滑剤を駆動ロール又は従動ロールに噴き付けるための潤滑剤噴霧ノズルを設けたことを特徴とする動力伝達装置。
  7. 請求項6記載の動力伝達装置において、前記潤滑剤供給手段として、前記潤滑剤噴霧ノズルの前面に、開口面積が可変な複数の孔を有する潤滑剤通過量調整手段を更に設けたことを特徴とする動力伝達装置。
  8. 請求項6又は7記載の動力伝達装置において、前記潤滑剤噴霧ノズルに圧縮空気を供給するコンプレッサと、前記潤滑剤噴霧ノズルへの潤滑剤を遮断する潤滑剤遮断バルブとを備えたことを特徴とする動力伝達装置。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項記載の動力伝達装置において、下部が潤滑剤に浸漬し、前記駆動ロール又は従動ロールを円弧状の軸受面で軸受する軸受を備え、前記潤滑剤供給手段として、この軸受の下部側から前記軸受面に貫通した複数の細管を設けたことを特徴とする動力伝達装置。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項記載の動力伝達装置において、前記潤滑剤供給手段として、前記駆動ロール又は従動ロールの下方位置にて潤滑剤に浸漬して配置され、潤滑剤を蒸発させる加熱ヒータを設けたことを特徴とする動力伝達装置。
  11. 請求項2又は3記載の動力伝達装置において、前記潤滑剤除去手段は、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に当接する多孔質物質で形成されたワイパを備えていることを特徴とする動力伝達装置。
  12. 駆動ロール又は従動ロールに潤滑剤を供給しつつ、駆動ロール及び従動ロールを荷重をかけて接触させ、前記駆動ロールのトルクを前記従動ロールへ伝達する動力伝達方法において、
    前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態に関わる状態量を測定して、この測定結果を基に前記駆動ロール及び従動ロール間の潤滑状態を判定し、
    潤滑状態の判定結果に基づき、前記潤滑状態が境界潤滑状態となるよう、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤付着量を調整する
    ことを特徴とする動力伝達方法。
  13. 駆動ロール又は従動ロールに潤滑剤を供給しつつ、駆動ロール及び従動ロールを荷重をかけて接触させ、前記駆動ロールのトルクを前記従動ロールへ伝達する動力伝達方法において、
    前記駆動ロール及び従動ロールの周速度の測定値を基に演算した該ロール間のすべり量と、前記駆動ロールから前記従動ロールへの伝達トルクの測定値を基に算出したトラクション係数とから、前記駆動ロール及び前記従動ロール間の潤滑状態を判定し、
    この潤滑状態の判定結果の下、前記演算したトラクション係数が、境界潤滑条件により定まるしきい値より小さい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を減少させると共に、前記演算したトラクション係数が、前記しきい値より大きい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を増大させる
    ことを特徴とする動力伝達方法。
  14. 駆動ロール又は従動ロールに潤滑剤を供給しつつ、駆動ロール及び従動ロールを荷重をかけて接触させ、前記駆動ロールのトルクを前記従動ロールへ伝達する動力伝達方法において、
    前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面に付着した潤滑剤の膜厚を測定し、
    この膜厚の測定値が、境界潤滑条件により定まるしきい値より小さい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を増大させると共に、前記膜厚の測定値が、前記しきい値より大きい場合、前記駆動ロール又は従動ロールの胴部表面の潤滑剤の付着量を減少させる
    ことを特徴とする動力伝達方法。
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