<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、発光装置Dは、画素アレイ部10、選択回路21、データ供給回路25、制御回路31および電源回路35を備える。このうち画素アレイ部10には、X方向に延在するm本の制御線11と、X方向と直交するY方向に延在するn本のデータ線15とが形成される。制御線11とデータ線15との各交差に対応した位置には単位回路Pが配置される。したがって、これらの単位回路Pは、縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。
選択回路21は、画素アレイ部10の各単位回路Pを順次に選択する手段である。本実施形態における選択回路21は、各単位回路Pを水平走査期間ごとに行単位で選択する。一方、データ供給回路25は、各水平走査期間において、選択回路21が選択した1行分(n個)の単位回路Pの各々に対応したデータ電位Vdataを生成して各データ線15に出力する。第j列目(jは1≦j≦nを満たす整数)のデータ線15に供給されるデータ電位Vdataは、選択回路21による選択行に属する第j列目の単位回路Pについて指定された輝度(階調)に応じたレベルである。
制御回路31は、クロック信号など各種の信号を選択回路21およびデータ供給回路25に供給することによって各回路を制御するとともに、各単位回路Pの輝度を指定する画像データをデータ供給回路25に出力する。一方、電源回路35は、電源の高位側の電位(以下「電源電位」という)VHと低位側の電位(以下「接地電位」という)VLとを生成する。図1に示されるように、画素アレイ部10には、単位回路Pの各列に沿ってY方向に延在する給電線(電源線)42が形成される。電源回路35によって生成された電源電位VHは、これらの給電線42を介して各単位回路Pに給電される。また、画素アレイ部10には、その全域と重なり合うように総ての単位回路Pにわたって連続する導電性の膜体(いわゆるベタパターン)が接地線44として形成されている。電源回路35によって生成された接地電位VLはこの接地線44を介して総ての単位回路Pに共通に給電される。
次に、図2を参照して、各単位回路Pの構成を説明する。同図においては、第i行(iは1≦i≦mを満たす整数)に属する第j列目のひとつの単位回路Pのみが図示されているが、他の単位回路Pも同様の構成である。なお、図2や以下の各図に図示された各トランジスタの典型例は低温ポリシリコンを半導体層に利用した薄膜トランジスタであるが、各トランジスタの形態や材料は任意である。
図2に示されるように、ひとつの単位回路Pは発光制御回路P1と制御回路P2とを含む。このうち発光制御回路P1は、給電線42と接地線44との間に電気的に介挿されたOLED素子17を含む。このOLED素子17は、その順方向に流れる駆動電流Ielに応じた輝度に発光する素子であり、有機EL材料からなる発光層を陽極と陰極との間隙に介在させた構造となっている。総ての単位回路Pの各々におけるOLED素子17の陰極は接地線44に対して共通に接続される。発光制御回路P1は、給電線42からOLED素子17を経由して接地線44に流れ込む駆動電流Ielを第1ノードN1と第2ノードN2との間の電圧に応じて制御する手段である。
本実施形態のOLED素子17は、例えば、インクジェット方式のヘッドから有機EL材料の液滴を吐出し、これを乾燥させることによって形成される。OLED素子17の発光層の材料としては、低分子・高分子またはデンドリマーなどの有機発光材料が利用される。もっとも、OLED素子17は発光素子の一例に過ぎない。例えば、OLED素子17に代えて、無機EL素子や、フィールド・エミッション(FE)素子、表面導電型エミッション(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子、LED(Light Emitting Diode)素子など様々な自発光素子、さらには、電気泳動素子やエレクトロ・クロミック素子などを利用してもよい。
図2に示される制御回路P2は、第1ノードN1と第2ノードN2との間の電圧をデータ線15のデータ電位Vdataに応じて制御する手段であり、第1電極La1と第2電極La2との間の電圧を保持する保持容量Csと、スイッチング素子SW1およびスイッチング素子SW2とを含む。スイッチング素子SW1は、保持容量Csの第1電極La1をデータ線15および第1ノードN1の何れかに選択的に導通させる手段であり、スイッチング素子SW2は、保持容量Csの第2電極La2を接地線44および第2ノードN2の何れかに選択的に導通させる手段である。スイッチング素子SW1およびスイッチング素子SW2は制御線11に供給される制御信号S[i]によって制御される。すなわち、制御信号S[i]がハイレベルであれば、図2に実線で図示されているように保持容量Csの第1電極La1がデータ線15に接続されるとともに第2電極La2が接地線44に接続され、制御信号S[i]がローレベルであれば、図2に破線で図示されているように第1電極La1が第1ノードN1に接続されるとともに第2電極La2が第2ノードN2に接続される。
以上の構成において、選択回路21は、制御信号S[1]ないしS[m]の各々を水平走査期間ごとに順番にハイレベルに遷移させる。すなわち、制御信号S[i]は、1垂直走査期間のうち第i番目の水平走査期間においてハイレベルとなり、それ以外の期間においてローレベルとなる。制御信号S[i]がハイレベルを維持する期間(以下「書込期間」という)においては、保持容量Csの第1電極La1がデータ線15に接続されるとともに第2電極La2が接地線44に接続されるから、この保持容量Csにはデータ電位Vdataに応じた電圧(データ電位Vdataと接地電位VLとの差分に相当する電圧)が保持される。この書込期間に続いて制御信号S[i]がローレベルに遷移する期間(以下「発光期間」という)においては、第1電極La1が第1ノードN1に接続されるとともに第2電極La2が第2ノードN2に接続される。したがって、発光期間においては、その直前の書込期間で保持容量Csに保持された電圧が第1ノードN1と第2ノードN2との間に印加され、この電圧に応じた駆動電流Ielが供給されることによってOLED素子17はデータ電位Vdataに応じた輝度に発光する。以上のような輝度の制御が単位回路Pごとに実行されることによって画素アレイ部10には所望の画像が表示される。
ところで、各単位回路PのOLED素子17に駆動電流Ielを供給すると給電線42にはその電流量と当該給電線42に付随する抵抗とに比例して電位の降下が発生する。したがって、図16に例示したように保持容量Cが給電線42に接続された従来の構成のもとで、ひとつの単位回路Paにデータ電位Vdataを取り込むときに他の単位回路Paに駆動電流Ielを供給するとすれば、保持容量Cに保持される電圧が給電線42の電位の降下の程度に応じて変動する。そして、電位の降下の程度は単位回路Paの位置(より具体的には電源電圧の供給元から単位回路Paまでの経路長)に応じて相違するから、たとえ複数の単位回路Paに同じ輝度を指定したとしても、実際の各単位回路Paの輝度はその単位回路Paの位置に応じてバラつくという問題がある。この輝度のバラツキは、例えば表示手段として発光装置を利用した電子機器においては表示ムラとして認識される。
これに対し、本実施形態においては、保持容量Csの第1電極La1にデータ電位Vdataを供給する書込期間において、その第2電極La2は接地線44に接続されている。したがって、OLED素子17に対する駆動電流Ielの供給に起因して給電線42の電位が変動(降下)したとしても、この変動の影響を受けることなく、データ電位Vdataに応じた電圧(あるいは電荷量)を高い精度で保持容量Csに保持させることができる。そして、OLED素子17に供給される駆動電流Ielは保持容量Csに保持された電圧に応じて制御されるから、本実施形態によれば、給電線42の電位の変動に拘わらず各OLED素子17を高い精度で所期の輝度に制御することができる。
なお、図2の構成にあっても、保持容量Csの第2電極La2に導通する接地線44の接地電位VLが単位回路Pごとに相違するとすれば、OLED素子17の輝度のバラツキが発生する可能性はある。しかしながら、本実施形態における接地線44は総ての単位回路Pにわたって連続する膜体であるから、各列ごとに線状に形成された給電線42と比較するとインピーダンスは極めて低い(すなわち電位の降下が小さい)。したがって、保持容量Cが給電線42に接続される従来の構成と対比すれば、各単位回路Pの輝度のバラツキを抑制するという効果は本実施形態によって確かに奏される。換言すると、書込期間における保持容量Csの第2電極La2の接続先は、駆動電流Ielの供給元となる給電線42と比較して電位の変動が小さい配線(例えばインピーダンスが低い配線)であることが望ましい。例えば、所定の配線を介して略一定の電位がデータ電位Vdataの基準の電位(例えば画像データからデータ電位Vdataを生成するD/A変換器の基準電位)としてデータ供給回路25に供給される構成においては、保持容量Csの第2電極La2が書込期間においてこの配線に接続されるようにしてもよい。
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態のうち第1実施形態と作用や機能が同様である要素については共通の符号を付してその説明を適宜に省略する。
図3は、本実施形態における単位回路Pの構成を示す回路図である。同図に示されるように、図1において1本の配線として図示された制御線11は、本実施形態においては図3に示されるように第1制御線111と第2制御線112とを含む。各行の第1制御線111には、当該行の単位回路Pにデータ電位Vdataを取り込む書込期間を規定する第1制御信号Sa[1]ないしSa[m]が選択回路21から供給される。また、各行の第2制御線112には、当該行の単位回路PのOLED素子17が発光する発光期間を規定する第2制御信号Sb[1]ないしSb[m]が選択回路21から供給される。なお、各信号の具体的な波形やこれに応じた単位回路Pの動作については後述する。
図3に示されるように、本実施形態における制御回路P2は、図2と同様の保持容量Csと4個のpチャネル型のトランジスタ(SW1a・SW1b・SW2a・SW2b)とを含む。このうちトランジスタSW1aおよびSW1bは、図2のスイッチング素子SW1と同様に、保持容量Csの第1電極La1の接続先をデータ線15および第1ノードN1の何れかに切り替える手段である。さらに詳述すると、トランジスタSW1aは、そのソースがデータ線15に接続されるとともにドレインが第1電極La1に接続されたスイッチング素子である。一方、トランジスタSW1bは、そのソースが第1ノードN1に接続されるとともにドレインが第1電極La1に接続されたスイッチング素子である。一方、トランジスタSW2aおよびSW2bは、図2のスイッチング素子SW2と同様に、第2電極La2の接続先を接地線44および第2ノードN2の何れかに切り替える手段である。さらに詳述すると、トランジスタSW2aは、そのソースが第2電極La2に接続されるとともにドレインが接地線44に接続され、トランジスタSW2bは、そのソースが第2電極La2に接続されるとともにドレインが第2ノードN2に接続される。
トランジスタSW1aおよびSW2aの各々のゲートは第1制御線111に接続される。したがって、第1制御信号Sa[i]がハイレベルであれば、トランジスタSW1aおよびSW2aの双方がオフ状態となって保持容量Csはデータ線15および接地線44から電気的に切り離され、第1制御信号Sa[i]がローレベルであれば、トランジスタSW1aおよびSW2aの双方がオン状態となって第1電極La1がデータ線15に接続されるとともに第2電極La2が接地線44に接続される。一方、トランジスタSW1bおよびSW2bの各々のゲートは第2制御線112に接続される。したがって、第2制御信号Sb[i]がハイレベルであれば、トランジスタSW2aおよびSW2bの双方がオフ状態となって保持容量Csは発光制御回路P1から電気的に切り離され、第2制御信号Sb[i]がローレベルであれば、トランジスタSW2aおよびSW2bの双方がオン状態となって第1電極La1が第1ノードN1に接続されるとともに第2電極La2が第2ノードN2に接続される。
図3に示されるように、本実施形態における発光制御回路P1は、図2と同様のOLED素子17のほかに駆動トランジスタTdrとトランジスタT1とを含む。駆動トランジスタTdrおよびトランジスタT1の導電型はpチャネル型である。駆動トランジスタTdrは、給電線42からOLED素子17に供給される駆動電流Ielをゲートの電位に応じて調整するための手段であり、そのソースが給電線42および第1ノードN1に接続されるとともにゲートが第2ノードN2に接続される。駆動トランジスタTdrのドレインはOLED素子17の陽極に接続される。また、OLED素子17の陰極は接地線44に接続される。一方、トランジスタT1は、駆動トランジスタTdrのゲートとソースとの電気的な接続の状態を制御する(すなわち両者の導通および非導通を切り替える)ためのスイッチング素子であり、そのソースが駆動トランジスタTdrのソース(および給電線42・第1ノードN1)に接続されるとともにドレインが駆動トランジスタTdrのゲート(および第2ノードN2)に接続される。
次に、図4を参照しながら本実施形態の動作を説明する。図4に示されるように、第2制御信号Sb[1]ないしSb[m]は水平走査期間ごとに順番にハイレベルとなる。より具体的には、第2制御信号Sb[i]は、1垂直走査期間(1V)のうち第i番目の水平走査期間の始点t0から終点t3までハイレベルとなり、それ以外の期間である発光期間PELにおいてローレベルとなる。一方、第1制御信号Sa[1]ないしSa[m]は水平走査期間ごとに順番にローレベルとなる。さらに詳述すると、第1制御信号Sa[i]は、1垂直走査期間のうち第i番目の水平走査期間の始点t0から所定の時間長が経過した時点t1から、その水平走査期間の終点t3よりも所定の時間長だけ手前の時点t2までの期間である書込期間PWRTにてローレベルとなり、それ以外の期間においてハイレベルとなる。このように、第1制御信号Sa[i]がローレベルとなる書込期間PWRTと第2制御信号Sb[i]がローレベルとなる発光期間PELとの間隔(書込期間PWRTから発光期間PELに移行するときおよび発光期間PELから書込期間PWRTに移行するとき)には、第1制御信号Sa[i]および第2制御信号Sb[i]の双方がハイレベルとなる期間(以下「休止期間」という)POFFが介挿される。この休止期間POFFにおいては、制御回路P2を構成する総てのトランジスタ(SW1a・SW1b・SW2a・SW2b)がオフ状態となる。すなわち、保持容量Csの第1電極La1および第2電極La2はともにフローティング状態となる。
以上に説明したように、書込期間PWRTにおいては、第1制御信号Sa[i]がローレベルを維持する。したがって、トランジスタSW1aがオン状態に遷移することによって保持容量Csの第1電極La1がデータ線15に接続されるとともに、トランジスタSW2aがオン状態に遷移することによって第2電極La2が接地線44に接続される。また、第2制御信号Sb[i]はハイレベルを維持するからトランジスタSW1bおよびSW2bはオフ状態となり、これにより保持容量Csは発光制御回路P1から電気的に切り離される。したがって、保持容量Csにはデータ電位Vdataと接地電位VLとの差分に相当する電圧が保持される。一方、トランジスタT1はローレベルの第1制御信号Sa[i]によってオン状態となる。したがって、駆動トランジスタTdrのゲートには電源電位VHが供給される。このようにトランジスタT1は、駆動トランジスタTdrのゲートに所定の電位を供給(初期化)するための手段として機能する。
次に、発光期間PELにおいては、第1制御信号Sa[i]がハイレベルを維持するとともに第2制御信号Sb[i]がローレベルを維持する。したがって、トランジスタSW1bがオン状態となることによって保持容量Csの第1電極La1が第1ノードN1(さらには駆動トランジスタTdrのソース)に接続されるとともに、トランジスタSW2bがオン状態となることによって第2電極La2が第2ノードN2(さらには駆動トランジスタTdrのゲート)に接続される。また、トランジスタSW1aおよびSW2aはオフ状態となるから保持容量Csはデータ線15および接地線44から電気的に切り離される。一方、トランジスタT1はハイレベルの第1制御信号Sa[i]によってオフ状態となるから、給電線42から駆動トランジスタTdrに対する電源電位VHの供給は停止する。以上の動作により、発光期間PELにおいては、その直前の書込期間PWRTにて保持容量Csに保持された電圧が駆動トランジスタTdrのゲート−ソース間に転送され、この結果としてOLED素子17はデータ電位Vdataに応じた輝度に発光する。
以上に説明したように、本実施形態においても、書込期間PWRTにおいて保持容量Csの第2電極La2が接地線44に接続されるから、第1実施形態と同様の効果が奏される。加えて、本実施形態においては、書込期間PWRTと発光期間PELとの間の休止期間POFFにて保持容量Csがデータ線15および接地線44や発光制御回路P1の何れからも電気的に切り離されるから、保持容量Csに保持される電圧を高い精度で所期のレベルに維持することができるという利点がある。例えばいま、書込期間PWRTと発光期間PELとが間隔なく連続する場合を想定する。この場合には、第1制御信号Sa[i]や第2制御信号Sb[i]の遅延や波形の鈍化などに起因して、双方の信号がローレベルとなる期間が相互に重複する可能性がある。そして、第1制御信号Sa[i]および第2制御信号Sb[i]がともにローレベルになると、保持容量Csの第1電極La1がデータ線15および第1ノードN1に双方に接続されるとともに第2電極La2が接地線44および第2ノードN2の双方に接続されることになる。したがって、せっかく書込期間PWRTにおいてデータ電位Vdataに応じた電荷を保持容量Csに蓄積したにも拘わらず、発光期間PELにおけるOLED素子17の発光に先立って保持容量Csの電荷が逃げてしまい、この結果としてOLED素子17に対する所期の駆動電流Ielの供給が阻害されかねない。これに対し、本実施形態においては、書込期間PWRTと発光期間PELとの間の休止期間POFFにおいて保持容量Csがデータ線15や接地線44や発光制御回路P1から確実に絶縁されるから、このような不具合を未然に防止してOLED素子17を高い精度で所期の輝度に発光させることができるのである。もっとも、第1制御信号Sa[i]および第2制御信号Sb[i]の双方がローレベルとなる期間が存在しても特段の問題とならない場合(例えば発光装置Dを画像の表示に利用した表示装置において画質に対する影響が殆どない場合)やこれらの信号の重複が何らかの方法によって回避される場合には、休止期間POFFを設けない構成(すなわち、書込期間PWRTと発光期間PELとが連続する構成)としてもよい。
<C:第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態においては、発光制御回路P1および制御回路P2がpチャネル型のトランジスタによって構成された場合を例示した。これに対し、本実施形態の単位回路Pにおいては、nチャネル型のトランジスタによって発光制御回路P1および制御回路P2が構成される。
図5は、本実施形態に係る単位回路Pの構成を示す回路図である。同図に示されるように、この単位回路Pの制御回路P2を構成する4個のトランジスタ(SW1a・SW1b・SW2a・SW2b)の導電型はnチャネル型である。また、駆動電流Ielを制御する駆動トランジスタTdr、および駆動トランジスタTdrのソースとドレインとの導通を制御するトランジスタT1の導電型もnチャネル型である。駆動トランジスタTdrのソースはOLED素子17の陽極と第2ノードN2とに接続され、そのドレインは給電線42に接続される。また、駆動トランジスタTdrのゲートは第1ノードN1に接続される。本実施形態の単位回路Pに供給される第1制御信号Sa[i]および第2制御信号Sb[i]の各々は、図3に示した各信号のハイレベルとローレベルとを入れ替えた波形となる。
この構成においても、書込期間PWRTにおいて保持容量Csの第2電極La2が接地線44に接続されるから、第1実施形態と同様の効果が奏される。加えて、本実施形態によれば、保持容量Csに保持された電圧を駆動トランジスタTdrのゲート−ソース間に印加することができるから、OLED素子17の特性のバラツキに拘わらず各OLED素子17の輝度のバラツキを抑制することができるという利点がある。この効果について詳述すると以下の通りである。
いま、図16に図示した単位回路Paの各トランジスタをnチャネル型のトランジスタに変更した構成を検討する。図6に示されるように、この構成においては、nチャネル型の駆動トランジスタTdrのソースがOLED素子17の陽極に接続されるとともに(ソースフォロア)、ゲートが選択トランジスタTswと容量素子Cとに接続される。選択トランジスタTswがオン状態に遷移すると、データ線15に供給されているデータ電位Vdataが駆動トランジスタTdrのゲートに供給されるとともに容量素子Cに保持される。この構成においては、駆動トランジスタTdrのソースの電位がOLED素子17の特性(特に電圧−電流特性)に応じて変動する。OLED素子17に供給される駆動電流Ielは駆動トランジスタTdrのゲート−ソース間の電圧に応じた電流量となるから、駆動トランジスタTdrのソースの電位の変動は駆動電流Ielのバラツキ(さらにはOLED素子17の輝度のバラツキ)に直結する。
これに対し、本実施形態の単位回路Pにおいては、駆動トランジスタTdrのソースが第2ノードN2を介して保持容量Csの第2電極La2に接続されるから、駆動トランジスタTdrのゲート−ソース間の電圧は保持容量Csが保持する電圧に確定される。したがって、OLED素子17の電圧−電流特性に拘わらず、データ電位Vdataに応じた電流量の駆動電流Ielを精度よくOLED素子17に供給することができる。そして、OLED素子17の輝度は駆動電流Ielに比例するから、本実施形態によれば、各単位回路PのOLED素子17の電圧−電流特性が相違する場合であっても、各OLED素子17の輝度のムラを抑制することができる。
<D:第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
各単位回路Pの発光制御回路P1に含まれる駆動トランジスタTdrの特性(特に閾値電圧Vth)は単位回路Pごとに相違する場合がある。本実施形態における発光制御回路P1は、このような駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthのバラツキを補償する機能を備えている。
図7は、本実施形態に係る単位回路Pの構成を示す回路図である。同図に示されるように、本実施形態の発光制御回路P1は、4個のpチャネル型のトランジスタ(Tdr・Tel・T1・T2)と、相互に対向する第1電極Lb1および第2電極Lb2を備える容量素子C0とを含む。
駆動トランジスタTdrのソースは給電線42および第1ノードN1に接続される。駆動トランジスタTdrのドレインには、OLED素子17が実際に発光する期間を制御するためのトランジスタ(以下「発光制御トランジスタ」という)Telのソースが接続される。発光制御トランジスタTelのゲートは第2制御線112に接続され、そのドレインはOLED素子17の陽極に接続される。
駆動トランジスタTdrのゲートには容量素子C0の第1電極Lb1が接続される。この容量素子C0の第2電極Lb2は第2ノードN2およびトランジスタT1のドレインに接続される。トランジスタT1は、容量素子C0の第2電極Lb2と給電線42と電気的な接続の状態を制御する(すなわち両者の導通および非導通を切り替える)ためのスイッチング素子であり、そのソースが給電線42(および第1ノードN1)に接続されるとともにゲートが第1制御線111に接続される。したがって、第1制御信号Sa[i]がローレベルになるとトランジスタT1がオン状態に遷移して容量素子C0の第2電極Lb2に電源電位VHが供給される。
トランジスタT2は、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとの導通および非導通を切り替えるスイッチング素子であり、駆動トランジスタTdrのゲートとドレインとの間に介挿される。トランジスタT2のゲートは第1制御線111に接続される。したがって、第1制御信号Sa[i]がローレベルに遷移するとトランジスタT2がオン状態となり、これにより駆動トランジスタTdrはダイオードとして機能する。
次に、図8を参照しながら本実施形態の動作を説明する。同図に示されるように、本実施形態における第1制御信号Sa[i]は、第i番目の水平走査期間の始点t1よりも所定の時間長だけ手前の時点t0から、水平走査期間の終点t3よりも所定の時間長だけ手前の時点t2までの期間にてローレベルとなり、それ以外の期間にてハイレベルとなる。以下では、第1制御信号Sa[i]がローレベルに立ち下がる時点t0から水平走査期間の始点(第2制御信号Sb[i]が立ち上がる時点)t1までの期間を「リセット期間PRES」と表記し、水平走査期間の始点t1から第1制御信号Sa[i]がハイレベルに立ち上がる時点t2までの期間を「書込期間PWRT」と表記する。なお、第2制御信号Sb[i]は、第2実施形態と同様に、第i番目の水平走査期間の始点t1から終点t3までにわたってハイレベルを維持するとともにそれ以外の期間である発光期間PELにてローレベルとなる。書込期間PWRTと発光期間PELとの間には、第2実施形態と同様に、第1制御信号Sa[i]および第2制御信号Sb[i]の双方がハイレベルとなる休止期間POFFが介挿される。
図8に示されるように、リセット期間PRESにおいては、第1制御信号Sa[i]および第2制御信号Sb[i]の双方がローレベルとなる。したがって、トランジスタT1がオン状態となって略一定の電源電位VHが容量素子C0の第2電極Lb2に供給される。また、トランジスタT2がオン状態となって駆動トランジスタTdrがダイオード接続されるとともに、発光制御トランジスタTelがオン状態となる。これにより駆動トランジスタTdrのドレインの電位(およびドレインにトランジスタT2を介して導通するゲートの電位)は充分に低下する。なお、リセット期間PRESにおいては発光制御トランジスタTelがオン状態となるためOLED素子17は発光する。しかしながら、このリセット期間PRESは発光期間PELと比較して充分に短い時間長(すなわち駆動トランジスタTdrのドレインが所定のレベルまで低下する時間長)に設定されるから、リセット期間PRESにおける発光がOLED素子17の輝度に与える影響は殆どない。一方、リセット期間PRESにおいてデータ供給回路25の出力はハイインピーダンスとされる。
次に、書込期間PWRTにおいて、データ供給回路25は、選択回路21が選択する第i行の各OLED素子17の輝度に応じたレベルのデータ電位Vdataを各データ線15に供給する。また、この書込期間PWRTにおいて、選択回路21は、第1制御信号Sa[i]をローレベルに維持するとともに第2制御信号Sb[i]をハイレベルに遷移させる。これによりトランジスタSW1aおよびSW2aがオン状態となるから、保持容量Csの第1電極La1にデータ電位Vdataが供給されるとともに第2電極La2に接地電位VLが供給される。したがって、保持容量Csにはデータ電位Vdataと接地電位VLとの差分に相当する電圧が保持される。
一方、発光制御回路P1においては、発光制御トランジスタTelがハイレベルの第2制御信号Sb[i]によってオフ状態に遷移するとともにトランジスタT1およびT2がローレベルの第1制御信号Sa[i]によってオン状態を維持する。したがって、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgはリセット期間にて低下したレベルから上昇していき、最終的には式(1)で表現されるレベルに収束する。
Vg=VH−|Vth| ……(1)
なお、トランジスタの電位は一般的にソースの電位を基準として表記される。駆動トランジスタTdrはpチャネル型であるから、閾値電圧Vthは負数となる。式(1)が閾値電圧Vthの絶対値を含んでいるのはこのためである。
次に、発光期間PELにおいては、図8に示されるように、第1制御信号Sa[i]がハイレベルを維持するとともに第2制御信号Sb[i]がローレベルに遷移する。したがって、トランジスタT1およびT2がオフ状態になる。さらに、トランジスタSW1bおよびSW2bがオン状態に遷移することによって保持容量Csの接続先がデータ線15および接地線44から第1ノードN1および第2ノードN2に変更される。すなわち、第1ノードN1と第2ノードN2との間には、データ電位Vdataと接地電位VLとの差分に相当する電圧「ΔV(=Vdata−VL)」を保持した状態の保持容量Csが接続される。このときに容量素子C0の第1電極Lb1の電位(駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vg)は、書込期間PWRTにて設定された電位「Vdd−|Vth|」から「k・ΔV」だけ変化する。ただし、「k」は、保持容量Csの容量、容量素子C0の容量、駆動トランジスタTdrのゲート容量、およびその他の寄生容量の容量比に応じた数値である。したがって、駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgは以下の式(2)によって表現される。
Vg=VH−|Vth|−k・ΔV ……(2)
そして、発光期間PELにおいてはローレベルの第2制御信号Sb[i]によって発光制御トランジスタTelがオン状態となるから、OLED素子17には駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgに応じた駆動電流Ielが供給される。いま、駆動トランジスタTdrが飽和領域にて動作すると仮定すると、駆動電流Ielは以下の式(3)によって表現される。
Iel=(β/2)(Vgs−Vth)2 ……(3)
式(3)における「Vgs」はソースの電位を基準としたときの駆動トランジスタTdrのゲートの電位である。さらに、駆動トランジスタTdrのソースに電源電位VHが供給されていることと式(2)とを考慮すると、電圧Vgsは以下の式(4)によって表現される。ただし、式(4)においては閾値電圧Vthの絶対値をはずして「+Vth」と表現した。
Vgs=Vg−VH
=(VH+Vth−k・ΔV)−VH
=Vth−k・ΔV ……(4)
この式(4)を代入すると、式(3)は以下の式(5)に変形される。
Iel=(β/2){k・ΔV}2 ……(5)
この式(5)に示されるように、OLED素子17に供給される駆動電流Ielは、データ電位Vdataと接地電位VLとの差分ΔV(=Vdata−VL)のみによって決定され、駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthには依存しない。したがって、閾値電圧Vthのバラツキに起因した輝度のムラは抑制される。
以上に説明したように、発光期間PELでの駆動電流Ielを定める駆動トランジスタTdrのゲートの電位Vgは、書込期間PWRTにて保持容量Csに保持された電圧に応じたレベルとなる。この保持容量Csの第2電極La2は接地線44に接続されるから、第1実施形態と同様に、給電線42の電位の変動に拘わらずOLED素子17を所期の輝度に発光させることができる。なお、図7においては、駆動トランジスタTdrのゲートに容量素子C0を配置した構成を例示したが、この容量素子C0は独立した要素である必要はない。例えば駆動トランジスタTdrのゲート容量など他の要素に寄生する容量を容量素子C0として利用してもよい。
ところで、米国特許6,229,506号には、駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthのバラツキを補償するための構成として図9(a)のような単位回路Pbが開示されている。この単位回路Pbにおいて、駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthの補償は、容量素子C1の一方の電極Lを特定の基準電位Vrefに固定しつつ、駆動トランジスタTdrをトランジスタTbでダイオード接続することによって実現される。より具体的には、まず、図9(b)に示されるように、リセット期間PRESにおいて、発光制御トランジスタTelおよびトランジスタTbをオン状態として駆動トランジスタTdrのドレインおよびゲートの電位を充分に低いレベルに引き下げる。続く補償期間P1においては、トランジスタTbをオン状態として駆動トランジスタTdrのドレインとゲートとを導通させ、これにより駆動トランジスタTdrのゲートの電位を「VH−|Vth|」に収束させる。この補償期間P1において容量素子C1の電極Lには、オン状態にあるトランジスタTaを介してデータ線15から基準電位Vrefが供給されている。そして、補償期間P1に続く書込期間P2においては、トランジスタTbをオフ状態として駆動トランジスタTdrのダイオード接続を解除したうえで、データ線15にデータ電位Vdataを供給する。これによって駆動トランジスタTdrのゲートの電位は「VH−|Vth|」からデータ電位Vdataに応じて引き下げられる。より具体的には、基準電位Vrefとデータ電位Vdataとの差分が容量素子C1と容量素子C2との容量比に応じて分圧されて駆動トランジスタTdrのゲートに供給される。発光期間PELにおいては、発光制御トランジスタTelがオン状態となってOLED素子17に駆動電流Ielが供給される。
ここで、閾値電圧Vthを補償する動作(すなわち図9(b)の保障期間P1において駆動トランジスタTdrのゲートの電位を「VH−|Vth|」に収束させる動作)に際して駆動トランジスタTdrのゲートの電位はその閾値電圧Vthの近傍の電位となるから、その動作は比較的に長時間を要する。しかしながら、図9(a)に図示した単位回路Pbにおいては、データ線15から基準電位Vrefおよびデータ電位Vdataの双方と取り込む必要があるため、1水平走査期間内にデータ線15の電位を基準電位Vrefおよびデータ電位Vdataとに交互に切り替える必要がある。したがって、閾値電圧Vthの補償のために充分な時間を確保することが困難であるという問題がある。これに対し、本実施形態によれば、電源電位VHが図9(a)の構成における基準電位Vrefとしての役割を実質的に担っているから、データ線15の電位を基準電位Vrefに変更する必要はない。したがって、データ電位Vdataの書込や閾値電圧Vthの補償のために充分な時間を確保してこれらの動作を確実に実行することができる。
<E:第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以上の各実施形態では、書込期間PWRTにおいて、略一定の電位に維持される配線(接地線44)に対して保持容量Csの第2電極La2が接続される構成を例示した。しかしながら、書込期間PWRTにおける保持容量Csの第2電極La2の接続先はこの種の配線に限定されない。本実施形態においては、OLED素子17の輝度に応じた電位が供給される配線に保持容量Csの第2電極La2が接続される構成となっている。
図10は、本実施形態に係る単位回路Pの構成を示す回路図である。同図に示されるように、図1において1本の配線として図示されたデータ線15は、本実施形態においては第1データ線151と第2データ線152とを含む。単位回路PのトランジスタSW1aのソースは第1データ線151に接続される。一方、トランジスタSW2aは、保持容量Csの第2電極La2と第2データ線152との間に介挿される。したがって、書込期間PWRTにおいて第1制御信号Sa[i]がローレベルに遷移すると、保持容量Csの第2電極La2は第2データ線152と導通する。
第1データ線151にはデータ電位Vdata1がデータ供給回路25から供給される。同様に、第2データ線152にはデータ電位Vdata2がデータ供給回路25から供給される。データ電位Vdata1およびVdata2の各々のレベルは、その差分に相当する電圧Vdata(=Vdata1−Vdata2)が各OLED素子17の輝度に応じた電圧となるように選定されている。したがって、書込期間PWRTにおいてトランジスタSW1aおよびSW2aがオン状態に遷移すると、保持容量CsにはOLED素子17について指定された輝度に応じた電圧Vdata(すなわちVdata1−Vdata2)が保持される。
本実施形態においても、保持容量Csの第2電極La2が給電線42以外の配線に接続されるから、第1実施形態と同様に、給電線42の電位の変動に拘わらずOLED素子17を所期の輝度に発光させることができる。さらに、本実施形態においては、第1データ線151と第2データ線152との電位差に応じてOLED素子17の輝度が決定されるから、ノイズやクロストークによる輝度のムラを抑制することができるという利点がある。例えば、第1データ線151および第2データ線152の双方の電位がノイズによって同時に「Δ」だけ変動したとしても、第1データ線151と第2データ線152の電位差Vdataは何ら変動しないから(Vdata=(Vdata1+Δ)−(Vdata2+Δ)=Vdata1−Vdata2)、OLED素子17の輝度にノイズの影響は現れない。
なお、本実施形態においては、各列ごとに第1データ線151と第2データ線152とが形成された構成を例示したが、他列のデータ線15が第1データ線151および第2データ線152の一方として兼用される構成としてもよい。例えば、図11においては、奇数列目の単位回路Pの配列に沿って第1データ線151が形成されるとともに偶数列目の単位回路Pの配列に沿って第2データ線152が形成された構成が例示されている。この構成のもと、奇数列である第j列目の単位回路Pにおいては、当該列に対応する第1データ線151にトランジスタSW1aが接続される一方、これに隣接する第(j+1)列目の第2データ線152にトランジスタSW2aが接続される。同様に、偶数列である第(j+1)列目の単位回路Pにおいては、その列の第2データ線152にトランジスタSW2aが接続される一方、これに隣接する第j列目の第1データ線151にトランジスタSW1aが接続される。
この構成において、書込期間PWRTを規定する第1制御信号Sa[i]は、制御信号Sa1[i]および制御信号Sa2[i]という2系統の信号として各単位回路Pに供給される。すなわち、制御信号Sa1[i]は制御線11aを介して奇数列の各単位回路Pに供給されるとともに制御信号Sa2[i]は制御線11bを介して偶数列の各単位回路Pに供給される。なお、ここでは第1制御信号Sa[i]について説明したが、第2制御信号Sb[i]についても同様の構成となっている。図12に示されるように、制御信号Sa1[i]と制御信号Sa2[i]とは互いに重複しない期間にてローレベル(アクティブレベル)となる。一方、第1データ線151に供給されるデータ電位Vdata1とデータ電位Vdata2とは、各々の差分値であるVdata(=Vdata1−Vdata2)が、制御信号Sa1[i]がローレベルとなる期間にて第i行の奇数列目の単位回路Pに指定された階調に応じたレベルとなり、制御信号Sa2[i]がローレベルとなる期間にて第i行の偶数列目の単位回路Pに指定された階調に応じたレベルとなるように、各々のレベルが選定されたうえでデータ供給回路25から各データ線(151・152)に供給される。
図11の構成においても、第1データ線151と第2データ線152との電位差(Vdata)が各単位回路Pに取り込まれるから、第5実施形態と同様の効果が奏される。加えて、この構成によれば、単位回路Pの各列について1本のデータ線(151または152)を形成すれば足りるから、図10に示されるように各列ごとに第1データ線151および第2データ線152の双方が形成される構成と比較して、配線の総本数を削減して構成を簡素化できるという利点がある。
<F:応用例>
次に、本発明に係る発光装置Dを利用した電子機器について説明する。図13は、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この発光装置Dは発光素子にOLED素子17を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
図14に、実施形態に係る発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
図15に、実施形態に係る発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表示される。
なお、本発明に係る発光装置Dが適用される電子機器としては、図13から図15に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置Dの用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の発光装置は利用される。本発明にいう電子回路とは、各実施形態のように表示装置の画素を構成する単位回路のほか、画像形成装置における露光の単位となる回路をも含む概念である。
D……発光装置、10……画素アレイ部、P……単位回路、11……制御線、111……第1制御線、112……第2制御線、15……データ線、151……第1データ線、152……第2データ線、17……OLED素子、21……選択回路、25……データ供給回路、31……制御回路、35……電源回路、42……給電線、44……接地線、P1……発光制御回路、P2……制御回路、SW1……スイッチング素子、SW2……スイッチング素子、Cs……保持容量、Tdr……駆動トランジスタ、Tel……発光制御トランジスタ、T1,T2,SW1a,SW1b,SW2a,SW2b……トランジスタ、PWRT……書込期間、PEL……発光期間、PRES……リセット期間、POFF……休止期間、Sa[i]……第1制御信号、Sb[i]……第2制御信号、Vdata……データ電位、VH……電源電位、VL……接地電位。