JP4825746B2 - 非極性面iii族窒化物の製造方法 - Google Patents

非極性面iii族窒化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非極性面III族窒化物の育成方法に関するものである。
従来の技術
窒化ガリウム薄膜結晶は、優れた青色発光素子として注目を集めており、発光ダイオードにおいて実用化され、光ピックアップ用の青紫色半導体レーザー素子としても期待されている。
GaN やAlN の種結晶膜をサファイアなどの単結晶基板上に堆積させてテンプレート基板を得、テンプレート基板上にGaN 単結晶を育成する方法が報告されている(特許文献1)。
特開2000−327495号公報
特許文献2、特許文献3では、非極性面GaN のc 軸と垂直方向のストライプマスクを用い、非極性面GaNをELO 成長させている。これによって、-c面成長速度に比べ、+c面成長速度が速く、マスク上部のwingで結晶欠陥が減り、高品質化が可能となるものと記載されている。
特表2006-510227 WO 2005/12267
また、種結晶基板上のエピタキシャル面に、空隙を持つ窒化物層を形成し、その上に成長したIII 族窒化物単結晶と基板部とを空隙付近で分離する方法が開示されている。例えば、特許文献5では、ELO 法によって種結晶基板内に空隙を形成し、その上にNaフラックスに代表されるアルカリ融解液でc 面GaN 成長を行うことで、空隙部を境にc 面GaNとサファイア基板とを剥離させ、GaN単結晶の自立基板を得ている。
特開2004−187983号公報 特開2004−247711号公報 特開2005−12171号公報 特開2005−281067号公報
特許文献8では、気相成長法によりサファイア基板上にGaN単結晶を形成し、その上にマスクを形成し、その上に更にGaNの種結晶膜を形成し、その上にフラックス法によってc面GaN単結晶膜を育成している。
特願2006−76584
特許文献1記載の方法では、例えばGaN単結晶膜を下地のテンプレート基板から剥離させることは困難であり、GaN単結晶の自立基板を作製することは難しい。特許文献2、3記載の方法では、非極性面GaN単結晶膜を育成しているが、この膜を基板から剥離させて自立基板を得ることはやはり困難である。特許文献4、5、6、7記載の方法では、c面GaNの自立基板を得ることに成功したと記載されている。これはc軸方向に向かってエピタキシャル成長した膜である。しかし、この方法では非極性面GaNの単結晶からなる自立膜を得ることはできない。
本発明の課題は、品質の良い非極性面III族窒化物の単結晶からなる自立基板を高い生産性で得る方法を提供することである。
本発明に係る方法は、
非極性面III族窒化物からなる下地膜を基板上に気相成長法により形成する下地膜形成工程;
前記下地膜上に、細長い開口部を輪郭づけるマスクを形成するマスク形成工程;
次いで、非極性面III族窒化物からなり、a軸、c軸およびm軸の結晶方位を有する種結晶膜を気相成長法によって形成する種結晶膜形成工程;および
非極性面III族窒化物を前記種結晶膜上にフラックス法によって育成する結晶育成工程
を備えており、種結晶膜のc軸と開口部の長手方向とがなす角度が40°以上、90°以下であることを特徴とする。
本発明によれば、種結晶の+c面成長速度がその他の面の成長速度より速いことを利用し、基板に形成する細長い開口部を、c軸から40〜90°傾斜させた。これによって、ストライプ状の突起上で非極性面III族窒化物の種結晶膜が効率的に気相成長し、品質のよい非極性面III族窒化物種結晶膜を効率よく育成できることを見いだした。そして、この種結晶膜上で非極性面III族窒化物をフラックス法で効率よく育成でき、かつ種結晶膜形成後には非極性面III族窒化物が基板から剥離せずに、フラックス法による育成後に容易に剥離することを見いだし、本発明に到達した。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
一実施形態では、図1(a)に示すように、基板1上に、非極性面III族窒化物からなる下地膜2を形成する。次いで、図1(b)に示すように、下地膜2上にマスク3を形成する。このマスク3をエッチング加工し、図1(c)に示すように、開口部4を形成する。この開口部はストライプ状に延びている。なお、本例では、下地膜2のエッチングも進行させ、開口部4に基板1の表面1aを露出させる。
次いで、図1(d)に示すように、開口部4内に、非極性面III族窒化物からなる種結晶膜6を気相成長させる。この際、本発明によれば、ストライプ状の開口部の長手方向をc軸に対して傾斜させているので、種結晶膜6の成長方向は左右均等ではなく、一方に偏る。この結果として、種結晶膜6と基板1との間に空隙5が形成されてくる。
種結晶膜の成長を更に進めると、図2(a)に示すように、種結晶6がマスク3を超えて成長してくる。この際、マスク3上では成長が進まないので、やはり空隙7が単結晶膜7とマスク3との間に発生してくる。
ここで、本発明によれば、図2(b)に示すように、種結晶膜6のc軸と、開口部4の長手方向Yとがなす角度θを40°以上、90°以下とする。こうした構造によると、c軸方向へと向かって種結晶膜6がELO成長し易い傾向があることから、空隙5が生じやすくなる。これによって種結晶膜6の生成を促進でき、かつ種結晶膜と基板との間の空隙における剥離を促進できる。
次いで、図3(a)に示すように、種結晶膜6上に、フラックス法によって非極性面III族窒化物8をエピタキシャル成長させる。この状態で、非極性面III族窒化物8が厚くなると、これが基板1から空隙5、7に沿って剥離しやすくなる。従って、非極性面III族窒化物8を基板1から容易に剥離させ、自立基板を得ることができた。
本発明の他の実施形態では、まず図1(a)に示すように、基板1上に、非極性面III族窒化物からなる下地膜2を形成する。次いで、図1(b)に示すように、下地膜2上にマスク3を形成する。このマスク3をエッチング加工し、図4(a)に示すように、開口部4を形成する。この開口部はストライプ状に延びている。本例では、下地膜2はエッチングしない。
次いで、図4(b)に示すように、開口部4内に、非極性面III族窒化物からなる種結晶膜6を気相成長させる。この種結晶膜6はELO成長し、マスク3上も被覆するように横方向に成長していく。この際、本発明によれば、ストライプ状の開口部の長手方向をc軸に対して傾斜させているので、種結晶膜6の成長方向は左右均等ではなく、一方に偏る。この結果として、種結晶膜6とマスク3との間に空隙7が形成されてくる。
ここで、本発明によれば、図4(b)、図5(a)に示すように、種結晶膜6のc軸と、開口部4の長手方向Yとがなす角度θを40°以上、90°以下とする。こうした構造によると、c軸方向へと向かって種結晶膜6がELO成長し易い傾向があることから、空隙7が生じやすくなる。これによって種結晶膜6の生成を促進でき、かつ種結晶膜と基板との間の空隙における剥離を促進できる。
次いで、図5(b)に示すように、種結晶膜6上に、フラックス法によって非極性面III族窒化物8をエピタキシャル成長させる。この状態で、非極性面III族窒化物8が厚くなると、これが基板1から空隙7に沿って剥離しやすくなる。従って、非極性面III族窒化物8を基板1から容易に剥離させ、自立基板を得ることができた。
一実施形態では、図1(a)に示すように、基板1上に、非極性面III族窒化物からなる下地膜2を形成する。次いで、図1(b)に示すようにマスク3を形成し、図1(c)に示すようにマスクおよび下地膜をパターニングして開口部4を形成する。この開口部はストライプ状に延びている。次いでマスクを除去し、図6(a)に示す形態のストライプ状の下地膜2Aを残す。
次いで、図6(a)に示すように、開口部4内に、非極性面III族窒化物からなる種結晶膜6を気相成長させる。この際、本発明によれば、ストライプ状の開口部の長手方向をc軸に対して傾斜させているので、種結晶膜6の成長方向は左右均等ではなく、一方に偏る。この結果として、種結晶膜6と基板1との間に空隙5が形成されてくる。
ここで、本発明によれば、図6(b)に示すように、種結晶膜6のc軸と、開口部4の長手方向Yとがなす角度θを40°以上、90°以下とする。こうした構造によると、c軸方向へと向かって種結晶膜6がELO成長し易い傾向があることから、空隙5が生じやすくなる。これによって種結晶膜6の生成を促進でき、かつ種結晶膜と基板との間の空隙における剥離を促進できる。
次いで、種結晶膜6上に、フラックス法によって非極性面III族窒化物8をエピタキシャル成長させる。この状態で、非極性面III族窒化物8が厚くなると、これが基板1から空隙5に沿って剥離しやすくなる。従って、非極性面III族窒化物8を基板1から容易に剥離させ、自立基板を得ることができた。
本発明においては、図7(a)に示すように、下地膜を複数の下地膜2a、2bに分割することもできる。
本発明において、c軸と、開口部4の長手方向Yがなす角度θは40°〜90°とする。すなわち、図8の例では、この角度θが例えば60°に設定されている。この角度θは、本発明の観点からは、50°以上が更に好ましく、70°以上が最も好ましい。上記角度において、+c面成長速度がその他の面の成長速度より速いことを利用して空隙を形成する効果が得られ、窒化物膜と基板が容易に剥離する。
開口部4を形成するストライプ状のマスクや下地膜は、一列につながっている必要はなく、図9に示すように長手方向に見て複数に別れていて良い。
本発明において、基板は、非極性面III族窒化物の成長が可能であるかぎり、特に限定されない。サファイア、シリコン単結晶、α- SiC単結晶、MgO単結晶、スピネル(MgAl)、LiAlO2 、LiGaO2等を例示できる。
本発明では、下地膜、種結晶膜を非極性面III族窒化物によって形成し、更にその上に非極性面III族窒化物をフラックス法で成長させる。これらの非極性面III族窒化物は、互いに同じであることが好ましいが、エピタキシャル成長が可能であれば、互いに異なっていても良い。
III族窒化物単結晶のウルツ鉱構造は、m面、c面、およびa面を有する。これらの各結晶面は結晶学的に定義されるものである。また、非極性面III族窒化物とは、基板表面がm面またはa面のIII族窒化物である膜または単結晶基板を意味している。フラックス法によって育成される非極性面III族窒化物単結晶の育成方向は、a 面の法線方向であってよく、またm面の法線方向であってもよい。
これらの各非極性面III族窒化物は、Ga、Al、Inから選ばれた一種以上の金属の窒化物であることが好ましく、GaN、AlN、GaAlN,GaAlInNが特に好ましい。また、主成分のIII族窒化物以外にも、意図しない不純物を含むことができる。また、導電性制御を目的として意図的に導入される、Si、Ge、Be、Mg、Zn、Cdといったドーパントを含むことができる。
下地膜の形成方法は気相成長法であるが、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、MBE法、昇華法を例示できる。
本発明では、下地膜上にマスクを形成する。マスクの材質は、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化ニオブ、タングステン、モリブデン、ニオブ、タングステンシリサイド、モリブデンシリサイド、ニオブシリサイドが好ましい。
マスク(および必要に応じて下地膜)をパターニングして開口部を形成する方法は特に限定されず、ウエットエッチング法、ドライエッチング法であってよい。
本発明において、種結晶膜を形成する方法は気相成長法であるが、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、MBE法、昇華法を例示できる。
これら下地膜及び種結晶膜は、それぞれ、単層膜として形成してもよいし、多層膜として形成してもよい。例えば、Al、Ga,In組成を変調もしくは超格子構造にしたりすることも可能である。また、多層膜の構成材料は、GaNのみでなく、AlN、GaAlN,GaAlInNなどが挙げることができる。その積層順は、任意に設定できる。
本発明において、非極性面III族窒化物を種結晶膜上にフラックス法によって育成する。この際、フラックスの種類は、III族窒化物単結晶を生成可能である限り、特に限定されない。好適な実施形態においては、アルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも一方を含むフラックスを使用し、ナトリウム金属を含むフラックスが特に好ましい。
フラックスには、目的とするIII族窒化物単結晶の原料を混合し、使用する。フラックスを構成する原料は、目的とするIII族窒化物単結晶に合わせて選択する。
例えば、ガリウム原料物質としては、ガリウム単体金属、ガリウム合金、ガリウム化合物を適用できるが、ガリウム単体金属が取扱いの上からも好適である。アルミニウム原料物質としては、アルミニウム単体金属、アルミニウム合金、アルミニウム化合物を適用できるが、アルミニウム単体金属が取扱いの上からも好適である。インジウム原料物質としては、インジウム単体金属、インジウム合金、インジウム化合物を適用できるが、インジウム単体金属が取扱いの上からも好適である。
フラックス法におけるIII族窒化物単結晶の育成温度や育成時の保持時間は特に限定されず、目的とする単結晶の種類やフラックスの組成に応じて適宜変更する。一例では、ナトリウムまたはリチウム含有フラックスを用いて窒化ガリウム単結晶を育成する場合には、育成温度を800〜1000℃とすることができる。
フラックス法では、窒素原子を含むガスを含む雰囲気下で単結晶を育成する。このガスは窒素ガスが好ましいが、アンモニアでもよい。雰囲気の全圧は特に限定されないが、フラックスの蒸発を防止する観点からは、10気圧以上が好ましく、30気圧以上が更に好ましい。ただし、圧力が高いと装置が大がかりとなるので、雰囲気の全圧は、2000気圧以下が好ましく、1000気圧以下が更に好ましい。
また、雰囲気中の窒素分圧も特に限定されないが、窒化ガリウム単結晶を育成する場合には10〜2000気圧が好ましく、100〜1000気圧が更に好ましい。窒化アルミニウム単結晶を育成する場合には、0.1〜50気圧が好ましく、1〜10気圧が更に好ましい。
雰囲気中の窒素以外のガスは限定されないが、不活性ガスが好ましく、アルゴン、ヘリウム、ネオンが特に好ましい。窒素以外のガスの分圧は、全圧から窒素ガス分圧を除いた値である。
本発明において、下地膜が開口部から露出しており、種結晶膜形成工程において下地膜上に種結晶膜を成長させる場合には(図4(b)参照)、空隙7を確実に形成するためには、(テラス幅/開口部幅)比率は、5/5〜9/1が好ましく,6/4〜8/2が更に好ましい。上記比率より小さい場合、マスク上に窒化物膜と基板が剥離するために十分な空隙が形成されにくくなる。また、上記比率より大きい場合、エッチング加工による開口部の形成が難しくなり、また種結晶形成工程において開口部やマスク上部を窒化物膜で覆うのが難しくなる。一般的に、良好な種結晶膜を形成するために、テラス部の周期は、3〜30μm とすることが好ましい。
本発明において、基板が前記開口部から露出しており、前記種結晶膜形成工程において前記基板上に前記種結晶膜を成長させる場合には(図2(a)参照)、空隙5を確実に形成するためには、(テラス幅/開口部幅)比率は、2/8〜8/2が好ましく,4/6〜6/4が更に好ましい。上記比率を外れる場合、種結晶形成工程において開口部やマスク上部を窒化物膜で覆うのが難しくなる。
本発明において、空隙5(図6(a)参照)を確実に形成するという観点からは、(テラス幅/開口部幅)比率は、1/9〜5/5が好ましく,2/8〜4/6が更に好ましい。上記比率より小さい場合、エッチング加工による開口部の形成が難しくなり、種結晶形成工程において開口部を窒化物膜で覆うのが難しくなる。また、上記比率より大きい場合、開口部に窒化物膜と基板が剥離するために十分な空隙が形成されにくくなる。
開口部は細長くストライプ状に延びているが、空隙形成という観点からは、空隙の平面的な縦横比率は、3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることが更に好ましい。
(実施例1)
図1、図2、図3を参照しつつ説明した前記方法に従い、GaN単結晶からなる自立基板を作製した。
(1) 下地膜2の形成
r面サファイア基板1( 直径2 インチ、厚み400 μm)を、水素雰囲気下にて1150℃で10分間加熱し、表面のクリーニングを行なった。次いで、基板温度を500℃まで下げ、TMG(トリメチルガリウム)、アンモニアを原料とし、GaN膜を0.03μmの厚さに成長させた。この後、基板温度を1100℃まで下げ、TMG(トリメチルガリウム)とアンモニアとを原料とし、a 面GaN 膜2を2.0 μmの厚さに成長させた(図1(a))。
(2) マスクの形成
下地膜2の表面に、スパッタリング法により、マスク3(SiO2:厚さ0.3μm )を成膜した。
(3) 開口部の形成
次いで、フォトリソグラフィとRIE を用い、マスク3と下地膜2をストライプ状に残して、サファイア基板1が露出されるまでエッチングを行い、開口部4を形成した(図1(c))。なお、開口部の長手方向Yが、GaN の(10-10) 方向(c 軸から90°:m軸)となるようにした。テラス幅を5μmとし、開口部の幅を5μmとした。
(4) 種結晶膜の形成
図1(c)の基板上に、基板温度を1100℃で、TMG(トリメチルガリウム)とアンモニアとを原料とし、MOCVD法でa 面GaN 膜6を5.0 μmの厚さに成長させた(図2(a))。
(5) a面GaN単結晶膜8の形成
(4)で作製した基板を種基板として、Naフラックス法にてGaN結晶を育成した。成長に用いた原料は、金属ガリウム、金属ナトリウムおよび金属リチウムである。アルミナるつぼに金属ガリウム45g、金属ナトリウム66g、金属リチウム45mgをそれぞれ充填して、炉内温度900℃・圧力5MPaにてGaN単結晶を約100時間育成した。るつぼから取り出したところ、透明な単結晶8が成長しており、基板表面にGaNが約1mmの厚さで堆積していた。
(6) 単結晶の剥離
以上の工程で、a 面GaN 結晶を作製したところ、(5)の工程終了後に、GaN 結晶8がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチのa 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、前記サンプルを10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、10cm−2であり、XRD による(11-20) ωスキャンの半値幅は、30秒であった。
(実施例2)
図1(a)、(b)、図4および図5を参照しつつ説明した前記方法に従い、以下の実験を行った。
(1) 下地膜2の形成
実施例1と同じ。
(2) マスクの形成
実施例1と同じ。
(3) 開口部の形成
フォトリソグラフィを用い、マスク材の一部をストライプ状に残して、下地膜2の表面が露出されるまでエッチングを行った(図4(a))。なお、開口部4の長手方向がGaN単結晶の(10-10) 方向となるようにした(c 軸から90°:m軸)。マスク3のテラス幅を7μmとし、開口部の幅を3μmとした。
(4) 種結晶膜の形成
図1(c)の基板上に、基板温度を1100℃で、TMG(トリメチルガリウム)とアンモニアとを原料とし、MOCVD法でa 面GaN 膜6を5.0 μmの厚さに成長させた(図4(b))。
(5) a面GaN単結晶膜の形成
実施例1と同じ。
(6) 単結晶の剥離
以上の工程で、a 面GaN 結晶を作製したところ、(5)の工程終了後にGaN 結晶がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチ、厚さ約1mm のa 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、105cm-2 であり、XRD による(11-20) ωスキャンの半値幅は、30秒であった。
(実施例3)
図1(a)、(b)、(c)および図6を参照しつつ説明した前記方法に従い、a面GaN単結晶を育成した。
(1) 下地膜2の形成
実施例1と同じ。
(2) マスクの形成
実施例1と同じ。
(3) 開口部の形成
フォトリソグラフィとRIE を用い、マスク3と下地膜2の一部をストライプ状に残して、サファイアが露出されるまでエッチングを行った(図1(c))。その後、フッ酸を用いてマスクを完全に除去した(図6(a))。なお、加工形状は、開口部4の長手方向がGaN の(10-10) 方向(c軸に対して90°:m軸方向)となるようにした。下地膜2Aのテラス幅を3μmとし、開口部の幅を7μmとした。
( 4) 種結晶膜の形成
基板上に、基板温度を1100℃で、TMG(トリメチルガリウム)とアンモニアとを原料とし、MOCVD法でa 面GaN 膜6を5.0 μmの厚さに成長させた(図6(a))。
(5) a面GaN単結晶膜8の形成
実施例1と同じ。
以上の工程で、a 面GaN 結晶を作製したところ、(E)の工程終了後にGaN 結晶がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチ、厚さ約1mm のa 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、105cm-2 であり、XRD による(11-20) ωスキャンの半値幅は、30秒であった。
(実施例4)
図1(a)〜(c)および図7を参照しつつ説明した前記方法に従い、GaN単結晶を育成した。
(1) 下地膜2a、2bの形成
r 面サファイア基板( 直径2 インチ、厚み400 μm)を、水素雰囲気中で1200℃、10分間加熱し、表面のクリーニングを行なった。こののち、基板温度を1200℃で保持したまま、アンモニアガスを導入し、基板の窒化処理を行った。その後、アンモニアガスの導入を一旦停止し、1250℃まで変更し、TMA (トリメチルアルミニウム)とアンモニアとを原料としa 面AlN 膜2aを1.0 μmの厚さに成長させた。
次いで、基板温度を1100℃で、TMG(トリメチルガリウム)とアンモニアとを原料としa 面GaN 膜2bを2.0 μmの厚さに成長させた。
(2) マスクの形成
実施例1と同じ。
(3) 開口部の形成
次いで、フォトリソグラフィとRIE を用い、マスク3と下地膜2a、2bをストライプ状に残して、サファイア基板1が露出されるまでエッチングを行い、開口部4を形成した(図1(c))。なお、開口部の長手方向が、GaN の(10-10) 方向(c 軸から90°:m軸)となるようにした。テラス幅を5μmとし、開口部の幅を5μmとした。
(4) 種結晶膜の形成
実施例1と同じ(図7(a)参照)。
(5) a面GaN単結晶膜の形成
実施例1と同じ。
(6) 単結晶の剥離
以上の工程で、a 面GaN 結晶を作製したところ、(5) の工程終了後にGaN 結晶がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチ、厚さ約1mm のa 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、実施例1よりも少なく、10cm−2以下であり、XRD による(11-20) ωスキャンの半値幅は、20秒であった。
(実施例5)
実施例1と同様にしてGaN単結晶8を育成した。ただし、図8に示すように、開口部の長手方向Yは、c 軸から60°とした。
以上の工程で、a 面GaN 結晶を作製したところ、(5)の工程終了後にGaN 結晶がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチ、厚さ約1mm のa 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、10cm−2であり、XRD による(11-20) ωスキャンの半値幅は、30秒であった。
(実施例6)
実施例1と同様にしてGaN単結晶8を育成した。ただし、図9に示すように、開口部の長手方向Yは、GaN の(10-11) 方向(c 軸から90°)とした。また、図9に示すように、ストライプ状の突起のテラス幅は5μmとし、 (10-10)方向の長さは50μmとし、
(0001) 方向に5 μm ピッチの間隔で配列した。
以上の工程で、a 面GaN 結晶を作製したところ、(5) の工程終了後にGaN 結晶がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチ、厚さ約1mm のa 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、10cm−2であり、XRD による(11-20) ωスキャンの半値幅は、30秒であった。
(実施例7)
実施例1と同様にしてm面GaN単結晶を育成した。
ただし,基板としてm面サファイアを用いた。また、開口部の長手方向Yとc軸とがなす角度は90°とした。
以上の工程で、m 面GaN 結晶を作製したところ、(5) の工程終了後にGaN 結晶がサファイア基板から自然に剥がれており、その結果、直径2 インチ、厚さ約1mm のm 面GaN の単結晶自立基板が得られた。なお、10枚実施して、10枚とも剥離が発生した。このGaN 結晶の転位密度は、10cm−2であり、XRD による(10-10) ωスキャンの半値幅は、30秒であった。
(比較例1)
実施例1において、(2)(3)(4) の工程を行わなかった。それ以外は、実施例1と同じ手順(1)(5)を実施した。
この結果、(5)の工程終了後に、GaN 結晶とサファイア基板が剥離せず、かつ多数のワレやクラックが発生していた。
(比較例2)
実施例2と同様にしてGaN単結晶8を育成した。ただし、図10に示すような形態の開口部を形成すると共に、開口部の長手方向Yがc 軸となす角度θは、本例では35°に設定した。
この結果、(5)の工程終了後に、GaN 結晶とサファイア基板がきれいに剥離せず、かつ一部にワレや欠けが発生した。この断面構造を観察した結果、GaN結晶とサファイア基板の剥離に必要なマスク上の空隙が、十分に形成されていないことを確認した。
(a)、(b)(c)、(d)は、基板1上に下地膜2A、マスク3、開口部4および種結晶膜6を育成する際の各工程を示す断面図である。 (a)は、基板1上に下地膜2A、マスク3、開口部4および種結晶膜6を育成した状態を示す断面図であり、(b)は、基板1上のマスク3および開口部4を示す平面図である。 基板1上に下地膜2A、マスク3、開口部4、種結晶膜6および非極性面III族窒化物8を育成した状態を示す断面図である。 (a)は、基板1上に下地膜2およびマスク3を形成した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の基板上に種結晶膜6を形成した状態を示す断面図である。 (a)は、基板1上にマスク3および開口部4を形成した状態を示す平面図であり、(b)は、種結晶膜6上に非極性面III族窒化物8を形成した状態を示す断面図である。 基板1上に下地膜2Aおよび種結晶膜6を形成した状態を示す断面図であり、(b)は、基板1上に下地膜2Aおよび開口部4を形成した状態を示す平面図である。 (a)は、基板1上に、下地膜2a、2b,マスク3および種結晶膜6を形成した状態を示す断面図であり、(b)は、基板1上に下地膜2a、2b,マスク3および開口部4を形成した状態を示す平面図である。 基板1上に形成されたストライプ状の突起および開口部を示す平面図である。 基板1上に形成されたストライプ状の突起および開口部を示す平面図である。 基板1上に形成されたストライプ状の突起および開口部を示す平面図である。
符号の説明
1 基板 2 下地膜 2A パターニングされた下地膜 3 マスク 4 開口部 5、7 空隙 6 種結晶膜 8 非極性面III族窒化物 c c軸 Y 開口部の長手方向
θ 開口部の長手方向とc軸とがなす角度

Claims (9)

  1. 非極性面III族窒化物からなる下地膜を基板上に気相成長法により形成する下地膜形成工程;
    前記下地膜に、細長い開口部を輪郭づけるマスクを形成するマスク形成工程;
    次いで、非極性面III族窒化物からなり、a軸、c軸およびm軸の結晶方位を有する種結晶膜を気相成長法によって形成する種結晶膜形成工程;および
    非極性面III族窒化物を前記種結晶膜上にフラックス法によって育成する結晶育成工程
    を備えており、前記種結晶膜の前記c軸と前記開口部の長手方向とがなす角度が40°以上、90°以下であることを特徴とする、非極性面III族窒化物の製造方法。
  2. 前記マスク形成工程において前記基板が前記開口部から露出しており、前記種結晶膜形成工程において前記基板および前記マスクを被覆するように前記種結晶膜を成長させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記マスク形成工程において前記下地膜が前記開口部から露出しており、前記種結晶膜形成工程において前記マスクおよび前記下地膜を被覆するように前記種結晶膜を成長させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 前記マスク形成工程後に前記マスクを除去して前記下地膜を露出させるマスク除去工程を更に有しており、この下地膜上にも前記種結晶膜を形成することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 前記種結晶膜の前記c軸と前記m軸とがなす平面内に前記開口部の長手方向が向いていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  6. 前記種結晶膜の前記c軸と前記a軸とがなす平面内に前記開口部の長手方向が向いていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  7. 前記種結晶膜の前記c軸と前記開口部の長手方向とがなす角度が略直角であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  8. 前記育成工程において育成された前記非極性面III族窒化物を前記基板から剥離させることによって自立膜を得ることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  9. 前記育成工程において、アルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも一方を含むフラックスを使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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