JP4944738B2 - GaN半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Description
この問題を回避するために無極性面のGaN結晶を用いることが有用である。GaNの無極性面にはa面とm面があるが、これら無極性面はGaとNを同数含むことから電気的中性が保たれており、成長方向に沿った分極の発生を抑制できる。
無極性面のa面およびm面を成長面としたGaN結晶とその製造方法は、特許文献2および3に記載されている。
そこで、本発明者らは、上記事情を鑑みて鋭意検討した結果、下地基板上に、炭化物層を設けることにより、無極性面GaN結晶が良好に成長することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下地基板上に、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化バナジウムおよび炭化タンタルからなる群より選択される炭化物層を形成する工程と、前記炭化物層を窒化する工程と、窒化された前記炭化物層の上に、GaN結晶を無極性面を成長面としてエピタキシャル成長させて、無極性面GaN結晶層を形成する工程と、前記下地基板を除去して、前記無極性面GaN結晶層を含むGaN半導体基板を得る工程と、を含むことを特徴とするGaN半導体基板の製造方法を提供するものである。
特に、サファイア基板は大口径の基板が入手可能であり、GaN成長時の原料ガスや雰囲気ガスに対して安定であるため、例えばr面サファイア基板の上に上記の炭化物層を形成することによって、a面GaNを安定的に成長させることができる。また、炭化物層を窒化することにより、GaN結晶からのr面サファイア基板の剥離が容易になる。すなわち本発明において、下地基板の上に炭化物層を形成し、この炭化物層を窒化することにより、下地基板とGaNと間に生じる格子不整合や熱応力歪みが緩和され、結晶性の優れた無極性面GaN結晶が得られるとともに、下地基板の剥離が容易になる。
ファセット構造のGaN膜を形成させながら無極性面GaN結晶層を成長させることにより、下地基板から成長方向に伸びた転位はファセット構造で横方向に折り曲げられ、上部の無極性面GaN結晶層中に結晶欠陥が伝達されることが抑制される。これにより、結晶品質の良い無極性面GaN結晶層を安定的に得ることができる。
この方法によれば、下地基板の熱膨張係数と無極性GaN結晶層との熱膨張係数との違いにより発生する応力を利用して、下地基板と無極性GaN結晶層とを容易に分離することができる。
(i)下地基板上に、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化バナジウムおよび炭化タンタルからなる群より選択される炭化物層を形成する工程、
(ii)上記炭化物層を窒化する工程、
(iii)窒化された上記炭化物層の上に、GaN結晶を、その無極性面を成長面としてエピタキシャル成長させて、無極性面GaN結晶層を形成する工程、
(iv)上記下地基板を除去して、上記無極性面GaN結晶層を含むGaN半導体基板を得る工程。
(i)炭化物層の形成工程
まず、r面サファイア基板として、例えば、厚さ550μm、3インチφのr面サファイア(Al2O3)基板10を用意する。このr面サファイア基板は、市販のものを使用することができる。次に、このr面サファイア基板10上に、炭化物層11を形成する(図1(A))。
成膜温度:600〜1000℃
成膜時間:1〜40分
ターゲット:M(Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、V、またはTa)
反応ガス:メタン
膜厚 :5nm〜200nm
炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化バナジウムまたは炭化タンタルは、一般的に不定比組成であることが知られており、C/Mモル比(Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、V、またはTa)が3/4あるいは1/1などに限定されるものではない。なお、炭化物層に過剰のカーボンまたはM(Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、V、またはTa)が混合していても構わない。炭化物層を窒化する工程で過剰のカーボンの多くはメタン化により消失し、過剰なMは窒化され、炭化物の窒化によって生成するTiN、ZrN、HfN、NbN、VN、TaNと一体になる。
r面サファイアと炭化物との格子不整合は、以下のように定義される。
Al2O3〔11−20〕に対する炭化物の格子不整合(%)={[(サファイア単位格子のa軸長)−(炭化物単位格子のa軸長)]/(サファイア単位格子のa軸長)}×100・・・式(1)
Al2O3〔1−101〕に対する炭化物の格子不整合(%)={[(サファイア単位格子の〔1−101〕軸長)−(炭化物単位格子のa軸長)×3]/(サファイア単位格子の〔1−101〕軸長)}×100・・・式(2)
GaN〔1−100〕に対する炭化物の格子不整合(%)={[(GaN単位格子の〔1−100〕軸長)−(炭化物単位格子のa軸長)]/(GaN単位格子の〔1−100〕軸長)}×100・・・式(3)
GaN〔0001〕に対する炭化物の格子不整合(%)={[(GaN単位格子のc軸長)−(炭化物単位格子のa軸長)×3]/(GaN単位格子のc軸長)}×100・・・式(4)
式(2)および(4)において炭化物単位格子のa軸長を3倍しているが、炭化物単位格子のa軸方向に3つの炭化物単位格子を重ねるとサファイア単位格子の〔1−101〕軸長と整合性が保たれることを意味する。上記の各軸長を図4に示す。
次に、図1(B)に示すように、炭化物層11を300℃〜1050℃の温度で窒化し、窒化した炭化物層12を形成する。
炭化物層11の窒化条件は、例えば以下のようにする。
窒化温度:300℃〜1050℃
窒化時間:3分〜60分
炭化チタン層、炭化ジルコニウム層、炭化ハフニウム層、炭化ニオブ層、炭化バナジウムまたは炭化タンタル層は、以下の(5)式および(6)式に示すように窒化によってTiN、ZrN、HfN、NbN、VNまたはTaNを生成する。(5)式および(6)式の反応を完全に進めてしまうと下地基板上にはTiN、ZrN、HfN、NbN、VNまたはTaNが形成されるが、炭化チタン層、炭化ジルコニウム層、炭化ハフニウム層、炭化ニオブ層、炭化バナジウムまたは炭化タンタル層を適度に窒化するとr面サファイア基板と接する部分にはTiC、ZrC、HfC、NbC、VCまたはTaCが残り、その上にはTiC、ZrC、HfC、NbC、VCまたはTaCの結晶情報を引き継いだTiN、ZrN、HfN、NbN、VNまたはTaNを有する、窒化された炭化物層12が形成される。
2MC+2NH3+H2→2MN+2CH4・・・(5)式
6MC+8NH3→6MN+6CH4+N2・・・(6)式
(5)式および(6)式において、Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、V、またはTaである。
Ti、Zr、Hf、Nb、V、またはTaは、これら炭化物と窒化物の結晶構造が同一であるため、TiCからTiN、ZrCからZrN、HfCからHfN、NbCからNbN、VCからVNまたはTaCからTaNへの結晶情報の引継ぎが良好である。
なお、図1(B)に示す符号122は、窒化していない炭化物層を示し、符号121は、窒化物層を示す。すなわち、r面サファイア基板10と接する部分には窒化していない炭化物が残り、その上にはこの炭化物の結晶情報を引き継いだ窒化物が形成されることを示している。
(GaNのファセット構造の形成)
次に、図1(C)に示すように、窒化した炭化物層12上にファセット構造のGaN膜14を形成する。ファセット構造を簡便に形成するには、GaN結晶を比較的低い温度で短時間の薄膜成長により形成する方法があり、ファセットを有した島状結晶からなるGaN膜が得られる。
GaN膜14の成膜条件は、たとえば、以下のようにすることができる。
成膜方法:HVPE(hydride vapor phase epitaxy)法
成膜温度:300℃〜1000℃
成膜時間:0.5分〜5分
膜厚:3μm〜25μm
HVPE装置(図示略)中には、Gaソースが配置され、このGaソースに対し、HClガスを供給する。HClガスと、Gaソースを反応させ、GaClを窒化した炭化物層12を含むサファイア基板10近傍の領域に輸送する。この領域には、NH3ガスも供給されているので、NH3ガスと、GaClが反応してファセット構造のGaN膜14が形成されることとなる。
a面GaN結晶層16の成長条件は、例えば、以下のようにすることができる。
成膜温度:1000℃〜1080℃
成膜時間:30分〜270分
膜厚:100〜900μm
HVPE装置(図示略)中には、Gaソースが配置され、このGaソースに対し、HClガスを供給する。HClガスと、Gaソースを反応させ、GaClをファセット構造のGaN膜14を含む基板近傍の領域に輸送する。この領域には、NH3ガスも供給されているので、NH3ガスと、GaClが反応してa面GaN結晶層16が形成されることとなる。窒化していない炭化物層122は徐々にGaN結晶から供給される窒素原子で窒化され、カーボンを含有する窒化物を生成する。最終的に図2(B)に示すように、カーボンを含有した窒化物と一体化したa面GaN結晶層17が生成する。なお、図2(B)において、符号123は、カーボンを含有する窒化物層を示している。
次に、図2(C)に示すように、カーボンを含有する窒化物と一体化したa面GaN結晶層17から、r面サファイア基板10を剥離して除去する。
具体的には、a面GaN結晶層17を形成したHVPE装置の温度を成長温度から降温し、このa面GaN結晶層17を常温まで冷却する。
この冷却中に、a面GaN結晶層17とr面サファイア基板10の熱膨張係数の違いから、これらの積層体に歪みが生じ、a面GaN結晶層17とr面サファイア基板10とが分離されることとなる。
その後、剥離したa面GaN結晶層17の表面および裏面を研磨することで、平坦化した自立基板であるa面GaN基板を作製することができる。
r面サファイア基板10の上に、炭化物層11を形成し、この炭化物層11を窒化し、その後この窒化された炭化物層12の上でGaN結晶を成長させることにより、良好な結晶品質のa面GaNを得ることができる。
また、r面サファイア基板10上に炭化物層11を形成し、この炭化物層11を窒化することで、カーボンを含有する窒化物と一体化したa面GaN結晶層17から、サファイア基板10を容易に除去することができる。従って、従来技術のように、レーザ光を使用してGaN膜を熱分解したり、金属膜をエッチングしたりする必要がない。
また、窒化した炭化物層12上にファセット構造のGaN膜14を形成する手段として特定のHVPE条件を用いたが、形成手段はこれに限定されない。例えば、前記実施形態と同様の方法で窒化した炭化物層12上にマスクとなるSiO2膜を作製し、サファイア基板10上にストライプ状の開口部を設け、開口部内でファセット構造のGaN膜14を形成させ、その後GaN半導体層16を成長させると、最終的に生成するカーボンを含有する窒化物と一体化したa面GaN半導体層17中に結晶欠陥が伝達されることが抑制される。このため、得られるGaN半導体基板の品質を向上させることができる。マスクのピッチ、マスクの幅、マスク間の開口部幅は、結晶欠陥伝達の抑制効果に優れる構成を選択する。例えばマスクのピッチあるいは開口部の幅を一定の規則性を有するように変化させることでファセット構造を大きくすることが可能である。また開口部の形状もストライプに限定せずに、格子状、ドット状なども適用可能である。
ただし、前記実施形態のように、冷却することにより、ほとんど外力を加えずに、r面サファイア基板10が分離除去されれば、カーボンを含有する窒化物と一体化したa面GaN結晶層17に加わるダメージを確実に抑制することができる。このため、損傷の少ない高品質のa面GaN半導体基板が安定的に得られる。
なお、上記実施形態ではr面サファイア基板上へのa面GaN結晶層の成長について説明したが、m面GaN結晶層についても上記の好適な下地基板を選択することで成長が可能であり、m面GaN半導体基板を安定的に得ることが可能である。無極性面GaN半導体としては、GaNに限らずAlやInを含む窒化物半導体であっても構わない・
本実施例では、上記実施形態(図1および図2)で説明したものと同様の工程を用いた。本実施形態では、炭化物層として、炭化チタン層を形成した。下地基板としては、85mmφr面サファイア基板を使用した。
1.炭化チタン層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:8分
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス圧力:メタン 0.1Pa
ターゲット:Ti
ターゲット出力:150W
膜厚 :40nm
得られた炭化チタン層のX線回折パターンにより、r面サファイア基板上に成膜した炭化チタンは、(111)配向であることが確認された(図5)。
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃〜900℃
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
この工程では、300℃から900℃に至る昇温過程で炭化チタン層を窒化した。
(ファセット構造のGaN膜の形成)
成膜方法:HVPE法
ファセット形成温度:900℃
成膜時間:5分
ソース :Gaソース(850℃)
GaN膜形成ガス:HClガス 0.18l/min、NH3ガス3.3l/min
GaN膜厚さ:25μm
次に、GaN結晶層のエピタキシャル成長を行ない膜厚300μmとした。成膜温度の1040℃まで昇温する間もNH3ガスは供給した。
(GaN結晶層のエピタキシャル成長)
成長方法:HVPE法
成長温度:1040℃
成長ガス:HClガス 0.15l/min、NH3ガス1.5l/min
ソース :Gaソース(850℃)
成長時間:90分
GaN層厚さ:300 μm
炭化チタン層を窒化する工程と、無極性面GaN結晶層をエピタキシャル成長させる工程の温度プロファイルを図6に示す。なお、図6において、GaClの下側の矢印は、50分〜55分、70〜160分の間でGaClが発生していることを示し、NH3の下側の矢印は、矢印で示す間中、NH3ガスを供給していることを示している。
GaN結晶層を形成したHVPE装置の反応管の温度を降温し、常温まで冷却した。
GaN結晶層はサファイア基板から剥離した。得られたGaN結晶層のX線回折パターンを図7に、X線ロッキングカーブを図8に示す。これらから、GaNは、a面GaNであり、(11−20)半値幅が800arcsecと良好な結晶品質を有することが確認された。
図11(A)、(B)は、GaN結晶層の断面の顕微鏡像(100倍)であり、図12は、GaN結晶層の断面の顕微鏡像(1000倍)である。
本実施例で得られたGaN結晶層表面は、平坦でありピットが少ないことが分かる。GaN結晶層の断面像からは、300μmの成長段階で、GaN結晶層が略平坦になっていることが分かる。
以上より、r面サファイア基板上に、炭化物層を成膜し、この炭化物層を窒化した後に、GaN結晶を成長させると、a面GaN結晶層が良好な結晶品質で得られることが分かった。
本実施例では、GaN結晶層をエピタキシャル成長させる工程の中で、ファセット構造のGaN膜の形成を行わなかった以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
3.無極性面GaN結晶層をエピタキシャル成長させる工程
(GaN結晶層のエピタキシャル成長)
成長方法:HVPE法
成長温度:1040℃
成長ガス:HClガス 0.15l/min、NH3ガス1.5l/min
ソース :Gaソース(850℃)
成長時間:90分
GaN層厚さ:300 μm
本実施例では、炭化チタン層の形成工程、および炭化チタン層を窒化する工程を、炭化ジルコニウム層の形成工程、および炭化ジルコニウム層を窒化する工程に変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
1.炭化ジルコニウム層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:7分
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス:メタン 0.1Pa
ターゲット:Zr
ターゲット出力:150W
膜厚 :40nm
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃〜900℃
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
この工程では、300℃から900℃に至る昇温過程で炭化ジルコニウム層を窒化した。
本実施例では、炭化チタン層の形成工程、および炭化チタン層を窒化する工程を、炭化ハフニウム層の形成工程、および炭化ハフニウム層を窒化する工程に変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
1.炭化ハフニウム層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:7分
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス:メタン 0.1Pa
ターゲット:Hf
ターゲット出力:150W
膜厚 :40nm
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃〜900℃
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
この工程では、300℃から900℃に至る昇温過程で炭化ハフニウム層を窒化した。
本実施例では、炭化チタン層の形成工程、および炭化チタン層を窒化する工程を、炭化ニオブ層の形成工程、および炭化ニオブ層を窒化する工程に変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
1.炭化ニオブ層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:7分
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス:メタン 0.1Pa
ターゲット:Nb
ターゲット出力:150W
膜厚 :40nm
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃〜900℃
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
この工程では、300℃から900℃に至る昇温過程で炭化ニオブ層を窒化した。
本実施例では、炭化チタン層の形成工程、および炭化チタン層を窒化する工程を、炭化バナジウム層の形成工程、および炭化バナジウム層を窒化する工程に変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
1.炭化バナジウム層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:7分
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス:メタン 0.1Pa
ターゲット:V
ターゲット出力:150W
膜厚 :40nm
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃〜900℃
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
この工程では、300℃から900℃に至る昇温過程で炭化バナジウム層を窒化した。
本実施例では、炭化チタン層の形成工程、および炭化チタン層を窒化する工程を、炭化タンタル層の形成工程、および炭化タンタル層を窒化する工程に変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
1.炭化タンタル層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:9分
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス:メタン 0.1Pa
ターゲット:Ta
ターゲット出力:150W
膜厚 :40nm
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃〜900℃
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
この工程では、300℃から900℃に至る昇温過程で炭化タンタル層を窒化した。
本比較例では、炭化チタン層の形成工程、および炭化チタン層を窒化する工程を除いた以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。下地基板としては、85mmφr面サファイア基板を使用した。
1. 無極性面GaN結晶層をエピタキシャル成長させる工程
(ファセット構造のGaN膜の形成)
成膜方法:HVPE法
ファセット形成温度:900℃
成膜時間:5分
ソース :Gaソース(850℃)
GaN膜形成ガス:HClガス 0.09l/min、NH3ガス3.3l/min
GaN膜厚さ:25μm
次に、GaN結晶層のエピタキシャル成長を行ない膜厚300μmとした。成膜温度の1040℃まで昇温する間もNH3ガスは供給した。
(GaN結晶層のエピタキシャル成長)
成膜方法:HVPE法
成膜温度:1040℃
成膜ガス:HClガス 0.15l/min、NH3ガス1.5l/min
ソース :Gaソース(850℃)
成長時間:90分
膜厚 :60 μm(目標:300μm)
GaN結晶層を形成したHVPE装置の反応管の温度を降温し、常温まで、冷却したが、GaN結晶層はエピタキシャル成長中にサファイア基板に密着したまま無定形の小片に割れたため目標の膜厚300μmに達する前にエピタキシャル成長を中止した。GaN結晶層の膜厚は60μmであった。
本比較例では、GaN結晶層のエピタキシャル成長時間を10分にした以外は比較例1で説明したものと同様の工程を用いた。下地基板としては、85mmφr面サファイア基板を使用した。
1.無極性面GaN結晶層をエピタキシャル成長させる工程
(ファセット構造のGaN膜の形成)
成膜方法:HVPE法
ファセット形成温度:900℃
成膜時間:5分
ソース :Gaソース(850℃)
GaN膜形成ガス:HClガス 0.09l/min、NH3ガス3.3l/min
GaN膜厚さ:25μm
次に、GaN結晶層のエピタキシャル成長を行ない膜厚300μmとした。成膜温度の1040℃まで昇温する間もNH3ガスは供給した。
(GaN結晶層のエピタキシャル成長)
成膜方法:HVPE法
成膜温度:1040℃
成膜ガス:HClガス 0.15l/min、NH3ガス1.5l/min
ソース :Gaソース(850℃)
成長時間:10分
膜厚 :20 μm
GaN結晶層を形成したHVPE装置の反応管の温度を降温し、常温まで、冷却したが、GaN結晶層はサファイア基板に密着したままで、剥離しなかった。得られたサファイア基板上のGaN結晶のX線ロッキングカーブを図13に示す。これらから、GaNは、a面GaNであり、(11−20)半値幅は950arcsecであった。
本実施例では、ファセット構造のGaN膜の厚さを変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
(ファセット構造のGaN膜の形成)
成膜方法:HVPE法
ファセット形成温度:900℃
成膜時間:0.5分〜5分
ソース :Gaソース(850℃)
GaN膜形成ガス:HClガス 0.18l/min、NH3ガス3.3l/min
GaN膜厚さ:3μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μmの各膜厚に制御した。
比較例3において、GaN膜の膜厚を1μm、35μmに変更した。他の条件は実施例8と同じである。
a面GaN半導体層の結晶性について(11―20)X線ロッキングカーブ半値幅で評価し、以下の結果が得られた。
1μm GaNはa面GaNであり、X船ロッキングカーブ半値幅は900arcsecであった。
3μm GaNはa面GaNであり、X線ロッキングカーブ半値幅は700arcsecであった。
5μm GaNはa面GaNであり、X線ロッキングカーブ半値幅は600arcsecであった。
10μm GaNはa面GaNであり、X線ロッキングカーブ半値幅は600arcsecであった。
15μm GaNはa面GaNであり、X線ロッキングカーブ半値幅は700arcsecであった。
20μm GaNはa面GaNであり、X線ロッキングカーブ半値幅は700arcsecであった。
25μm GaNはa面GaNであり、X船ロッキングカーブ半値幅は800arcsecであった。
35μm GaNはa面GaNであり、X線ロッキングカーブ半値幅は1000arcsecであった。
以上の実施例8および比較例3の結果より、GaN膜の膜厚は3μmから25μmとすることが好ましい。
本実施例では、炭化チタン層の形成工程において膜厚を5nm、100nm、140nm、200nmに変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
1.炭化チタン層の形成工程
成膜方法:反応性スパッタリング法
成膜温度:730〜760℃
成膜時間:1分、20分、28分および40分にすることで膜厚を制御した。
Ar圧力:0.3Pa
反応ガス:メタン 0.1Pa
ターゲット:Ti
ターゲット出力:150W
膜厚:5nm、100nm、140nmおよび200nmの各膜厚に制御した。
比較例4において、成膜時間を0.5分および48分とすることでGaN結晶膜の膜厚を3nmおよび240nmに変更した。他の条件は実施例9と同じである。
a面GaN半導体層の剥離状況に関しては、以下の結果が得られた。
3nm 作製したGaN結晶7枚中、6枚でクラックが発生し剥離できなかった。
5nm 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
100nm 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
140nm 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
200nm 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
240nm 作製したGaN結晶7枚中、5枚でクラックが発生し剥離できなかった。
以上の実施例9および比較例4の結果より、炭化物層の膜厚は10nmから200nmとすることが好ましい。
本実施例では、炭化チタン層を窒化する工程において、窒化を300℃保持、600℃保持または1050℃保持に変更した以外は実施例1で説明したものと同様の工程を用いた。
2.炭化チタン層を窒化する工程
窒化装置:HVPE装置
窒化温度:300℃、600℃および1050℃の各温度に制御した。
窒化時間:35分
窒化ガス:NH3ガス、3.3l/min
比較例5において、窒化温度を250℃および1100℃に変更した。他の条件は実施例10と同じである。
a面GaN半導体層の剥離状況に関しては、以下の結果が得られた。
250℃ 作製したGaN結晶7枚中、4枚でクラックが発生し剥離できなかった。
300℃ 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
600℃ 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
1050℃ 作製したGaN結晶7枚中、7枚でクラックが発生せず剥離した。
1100℃ 作製したGaN結晶7枚中、6枚でクラックが発生し剥離できなかった。
以上の実施例10および比較例5の結果より、炭化物層を窒化する工程は、300℃以上1050℃以下で行うことが好ましい。
11 炭化物層
12 一部が窒化された炭化物層
121 窒化物層
122 窒化していない炭化物層
123 カーボンを含有する窒化物層
14 ファセット構造のGaN膜
16 a面GaN結晶層
17 カーボンを含有する窒化物と一体化したa面GaN結晶層
Claims (8)
- 下地基板上に、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化バナジウムおよび炭化タンタルからなる群より選択される炭化物からなる層を形成する工程と、
前記炭化物層を窒化する工程と、
窒化された前記炭化物層の上に、GaN結晶の無極性面を成長面としてエピタキシャル成長させて、無極性面GaN結晶層を形成する工程と、
前記下地基板を除去して、前記無極性面GaN結晶層を含むGaN半導体基板を得る工程と、
を含むことを特徴とするGaN半導体基板の製造方法。 - GaN結晶の無極性面を成長面としてエピタキシャル成長させる前記工程は、窒化された前記炭化物層の上にファセット構造のGaN膜を形成させながら、前記無極性面GaN結晶層を成長させる工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のGaN半導体基板の製造方法。
- 前記ファセット構造のGaN膜の厚さが3μm以上25μm以下であることを特徴とする、請求項2に記載のGaN半導体基板の製造方法。
- GaN半導体基板を得る前記工程は、前記下地基板、前記窒化された炭化物層、前記無極性面GaN結晶層を成長温度から冷却し、この冷却過程で、前記無極性面GaN結晶層から、前記下地基板が分離除去されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のGaN半導体基板の製造方法。
- 前記下地基板がr面サファイア基板であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のGaN半導体基板の製造方法。
- 前記GaN結晶の無極性面がa面であることを特徴とする請求項5に記載のGaN半導体基板の製造方法。
- 前記炭化物層の厚さが5nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項6に記載のGaN半導体基板の製造方法。
- 炭化物層を窒化する前記工程は、300℃以上1050℃以下で行われることを特徴とする、請求項7に記載のGaN半導体基板の製造方法。
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