JP4825640B2 - 自動車の車体構造 - Google Patents
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Description
左右のアダプターは、左右のフロントピラーのインナーパネルを形成する部材である。左右のアダプターを左右のフロントピラーのアウターパネルにそれぞれスポット溶接などで接合することで、ダッシュボードロアの左右端部をフロントピラーに取り付ける。
これにより、アルミ合金製のダッシュボードロアを車体側に取り付ける。ダッシュボードロアにアルミ合金板を用いることで、車両の軽量化が図れる。
よって、アルミ合金製のダッシュボードロアでは、例えば、左右のホイールハウスなどの湾曲状の部位を成形することは難しい。
このため、アルミ合金製のダッシュボードロアを、左右のホイールハウスの車体後方側(すなわち、キャビン側)に寄せて配置する必要があり、そのことがキャビンを広げる妨げになっていた。
このため、アルミ合金製のダッシュボードロアを一層精度よく製造することができる技術の実用化が望まれていた。
また、トンネル殻状部は、フロアパネルのフロアトンネルに溶接されるので、車体幅方向中央に配置される。
ところで、リベットなどの締結部材を締結する締結装置(以下、リベット締結装置として説明する)は、組立ラインの外側に配置されている。
このため、リベット締結装置は、トンネル殻状部から離れており、リベット締結装置の締結部をフロアトンネルまで到達させることはリベット締結装置の大型化を招き、困難である。
そこで、請求項1において、軽合金製のボード本体に、鋼製のトンネル殻状部をリベットなどの締結部材で締結し、このトンネル殻状部をフロアパネルに溶接することにした。
請求項1に係る発明において、前記左ハウス湾曲部および前記右ハウス湾曲部は、前記ボード本体に締結部材で取り付けられ、かつ、前記フロアパネルに溶接されたことを特徴とする。
ここで、左ハウス湾曲部および右ハウス湾曲部は鋼製の部材である。一方、ボード本体は軽合金製(一例として、アルミ合金製)である。
このため、左右のハウス湾曲部とボード本体との接合を締結部材でおこなうことが好ましい。
なお、フロアパネルは鋼製の部材なので、左右のハウス湾曲部とフロアパネルとは溶接で接合することが好ましい。
そこで、請求項1において、軽合金製のボード本体に、左右のハウス湾曲部をリベットなどの締結部材で締結し、この左右のハウス湾曲部をフロアパネルに溶接することにした。
左右のハウス湾曲部を鋼製とすることで、左右のハウス湾曲部の板厚を薄くすることができる。
左右のハウス湾曲部の板厚を薄くすることで、左右のハウス湾曲部の形成の自由度が高められる。
したがって、ボード本体を、左右のホイールハウス後端部より前方に寄せて、キャビンを広く確保することができるという利点がある。
これにより、軽合金製のダッシュボードロアを一層精度よく製造することができるという利点がある。
加えて、ボード本体を左右のホイールハウスの後縁から前方位置まで寄せることができる。
したがって、キャビンの前端部を車体前方側に広げることができ、キャビンの長さを大きく確保できる。
さらに、請求項1に係る発明では、軽合金製のボード本体に、鋼製のトンネル殻状部をリベットなどの締結部材で締結してダッシュボードロアとした。
よって、ダッシュボードロアを車体に取り付ける前工程において、ボード本体にトンネル殻状部を、リベットなどの締結部材で取り付けることが可能になる。
これにより、リベット締結装置の締結部でボード本体にトンネル殻状部をリベットなどの締結部材で取り付けることができる。
そして、トンネル殻状部をフロアパネルに溶接した。これにより、トンネル殻状部をフロアパネルに簡単に取り付けることができるという利点がある。
さらに、請求項1に係る発明では、軽合金製のボード本体に、鋼製の左ハウス湾曲部および鋼製の右ハウス湾曲部をリベットなどの締結部材でそれぞれ締結してダッシュボードロアとした。
よって、ダッシュボードロアを車体に取り付ける前工程において、ボード本体に左右のハウス湾曲部を、リベットなどの締結部材で取り付けることが可能になる。
これにより、リベット締結装置の締結部で、ボード本体に左右のハウス湾曲部を、リベットなどの締結部材で容易に、かつ強固に取り付けることができるという利点がある。
一方、フロアパネルは鋼製の部材である。そこで、フロアパネルに左右のハウス湾曲部を溶接した。
したがって、左右のハウス湾曲部をフロアパネルに容易に、かつ強固に取り付けることができるという利点がある。
これにより、車輪で跳ね上げた小石が運転席側足元部や助手席側足元部に当たった場合や、エンジンなどの振動力の入力に対し、運転席側足元部や助手席側足元部で振動の振幅が抑制され、騒音を減少させることができるという利点がある。
図1は本発明に係る自動車の車体構造を示す側面図、図2は本発明に係る自動車の車体構造を前方から見た状態を示す斜視図である。
自動車の車体構造10は、エンジンルーム11の左右枠部を形成する左右のフロントサイドメンバー12,13と、キャビン15の左右枠部を形成する左右のサイドシル16,17(右サイドシル17は図3参照)と、エンジンルーム11およびキャビン15を仕切るダッシュボードロア20と、ダッシュボードロア20の下端部20a(図3参照)に接続されたフロアパネル22とを備える。
右フロントサイドメンバー13および右サイドシル17は、右アウトリガー24で連結されている。
右フロントサイドメンバー13は、ダッシュボードロア20の前方で、かつエンジンルーム11の右側に配置され、車体前後方向に向けて延出された部材である。
右サイドシル17(図3参照)は、ダッシュボードロア20の後方で、かつキャビン15の右側に配置され、車体前後方向に向けて延出された部材である。
ダッシュボードロア20は、略矩形状に形成されたパネル状の部材である。このダッシュボードロア20は、車体幅方向に向けて設けられ、エンジンルーム11とキャビン15とを仕切る仕切壁である。
ダッシュボードロア20の左端部に左ピラー26がスポット溶接で取り付けられている。ダッシュボードロア20の右端部に右ピラー27がスポット溶接で取り付けられている。
フロアパネル22は、ダッシュボードロア20の下端部20aに前端部22aが取り付けられた部材である。さらに、フロアパネル22は、左側部22bが左サイドシル16にスポット溶接で接合され、右側部22cが右サイドシル17にスポット溶接で接合されている。
これにより、フロアパネル22でキャビン15の床部が形成される。
ダッシュボードロア20は、軽合金であるアルミ合金製のボード本体30と、ボード本体30の左端部30aに設けられた鋼製の左ハウス湾曲部32と、ボード本体30の右端部30bに設けられた鋼製の右ハウス湾曲部33と、ボード本体30の下部中央30cに設けられた鋼製のトンネル殻状部35とを備える。
例えば、鋼材(S55C)の比重が7.9に対して、アルミ合金(A5052)の比重は2.7である。すなわち、アルミ合金は、鋼材と比較して比重が略1/3と小さい。よって、アルミ合金製のボード本体30を用いることで車体の軽量化を図ることができる。
下半部38は、左側の助手席側足元部41と、右側の運転席側足元部42とを有する。
助手席側足元部41は、図3に示す助手席62に着座した乗員の足63を載せる部位である。
運転席側足元部42は、図3に示す運転席65に着座した乗員の足66を載せる部位である。
また、ボード本体30は、助手席側足元部41および運転席側足元部42間の下部中央30cが凹状に形成されている。
よって、ボード本体30をアルミ合金で形成することで、助手席側足元部41および運転席側足元部42の各板厚T1を厚く確保できる。
アルミ合金板と鋼板との板厚比が1.5の場合、面外方向の剛性比は1.2となる。
また、アルミ合金板と鋼板との板厚比が2の場合、面外方向の剛性比は2.7となる。
加えて、アルミ合金板と鋼板との板厚比が3の場合、面外方向の剛性比は9.2となる。
なお、助手席側足元部41および運転席側足元部42の各板厚T1を厚くした理由については図11で詳しく説明する。
左右のハウス湾曲部32,33を鋼材で形成することで、左右のハウス湾曲部32,33の各板厚T2を薄くできる。よって、左右のハウス湾曲部32,33は、プレス成形による形状の自由度が高められる。
これにより、ダッシュボードロア20を良好にプレス成形することが可能になり、ダッシュボードロア20を一層精度よく製造することができる。
以下、左右のハウス湾曲部32,33について説明する。
内側部32aを凸状に形成することで、内側部32aをボード本体30の左端部30aに重ね合わせることが可能である。
ボード本体30の左端部30aに重ね合わせた内側部32aが、セルフピアスリベット(締結部材)43…で左端部30aに取り付けられる。
これにより、左ハウス湾曲部32が、ボード本体30の左端部30aに取り付けられる。
なお、セルフピアスリベット43については図8で詳しく説明する。
左ピラー26に接触させた外側部32bは、左ピラー26にスポット溶接で取り付けられる。
よって、左ハウス湾曲部32で左ホイールハウス46の後部46a(図1参照)をプレス成形することが可能になる。これにより、ボード本体を左右のホイールハウス間に設けることができる。
左ハウス湾曲部32を車体後方に向けて外向きに張り出すことで、ボード本体30の上半分37は、左ハウス湾曲部32の前端部32cに設けられる。
左ハウス湾曲部32の前端部32cは、内側部32aの上半部に相当する部位である。
前面32dを凹状に形成することで、前面32dが左側前輪45の後部45a(図1参照)と干渉することを防止する。
すなわち、左ハウス湾曲部32は、図1に示す左ホイールハウス46の後部46aを形成する部位である。左ホイールハウス46は、左側前輪45の上部45b(図1参照)を覆う部位である。
具体的には、右ハウス湾曲部33は、鋼材で形成された部材で、内側部33aが凸状に形成され、外側部33bが平坦に形成されている。
内側部33aを凸状に形成することで、内側部33aをボード本体30の右端部30bに重ね合わせることが可能である。
ボード本体30の右端部30bに重ね合わせた内側部33aが、セルフピアスリベット43…で右端部30bに取り付けられる。
これにより、右ハウス湾曲部33が、ボード本体30の右端部30bに取り付けられる。
右ピラー27に接触させた外側部33bは、右ピラー27にスポット溶接で取り付けられる。
よって、右ハウス湾曲部33で右ホイールハウス48の後部48a(図1参照)をプレス成形することが可能になる。
右ハウス湾曲部33を車体後方に向けて外向きに張り出すことで、ボード本体30の上半分37は、右ハウス湾曲部33の前端部33cに設けられる。
右ハウス湾曲部33の前端部33cは、内側部33aの上半部に相当する部位である。
前面33dを凹状に形成することで、前面33dが右側前輪47の後部47a(図1参照)と干渉することを防止する。
すなわち、右ハウス湾曲部33は、図1に示す右ホイールハウス48の後部48aを形成する部位である。この右ホイールハウス48は、右側前輪47の上部47b(図1参照)を覆う部位である。
したがって、図1に示すように、ボード本体30を、左右のホイールハウス46,48の後縁(すなわち、左右のハウス湾曲部32,33の後縁)より前方に寄せることが可能になり、キャビン15を広く確保することができる。
このように、単体のボード本体30に左右のハウス湾曲部32,33を取り付けることで、図示しないリベット締結装置の締結部に、リベット締結箇所を簡単にセットする(合わせる)ことができる。
これにより、リベット締結装置を用いて、ボード本体30に左右のハウス湾曲部32,33をセルフピアスリベット43…で簡単に、かつ、強固に取り付けることができる。
トンネル殻状部35を鋼材で形成することで、トンネル殻状部35の板厚T3を薄くできる。よって、トンネル殻状部35は、プレス成形による形状の自由度が高められる。
これにより、ダッシュボードロア20を良好にプレス成形することが可能になり、ダッシュボードロア20を一層精度よく製造することができる。
トンネル殻状部35の外形は、前辺部35a、左側辺部35b、および右側辺部35cが、ボード本体30の下部中央30cに重ね合わせることが可能である。
これにより、トンネル殻状部35が、ボード本体30の下部中央30cにセルフピアスリベット43…で取り付けられる。
トンネル前端部29は、車体前後方向を向いて配置されている。
このように、単体のボード本体30にトンネル殻状部35を取り付けることで、図示しないリベット締結装置の締結部に、リベット締結箇所を簡単にセットする(合わせる)ことができる。
これにより、リベット締結装置を用いて、ボード本体30にトンネル殻状部35をセルフピアスリベット43…で簡単に、かつ強固に取り付けることができる。
セルフピアスリベット43…は、頭部51と、頭部51から延びた円筒状の脚部52とを有する。
セルフピアスリベット43…を押圧することで、脚部52がトンネル殻状部35の左側辺部35bを貫通する。貫通した脚部52が、ボード本体30の下部中央30cに進入し、進入した脚部52の先端部52aが半径方向外側に拡径する。
このように、セルフピアスリベット43…を用いることで、アルミ合金製のボード本体30の下部中央30cに、鋼製のトンネル殻状部35の左側部35bを強固に取り付けることができる。
このセルフピアスリベット43…を用いることで、アルミ合金製のボード本体30に鋼製の左ハウス湾曲部32を取り付けることや、アルミ合金製のボード本体30に鋼製の右ハウス湾曲部33を取り付けることが同様に可能である。
同様に、右フロントサイドメンバー13の後端部13aがボード本体30に取り付けられる。また、右サイドシル17の前端部17aが右ハウス湾曲部33に取り付けられる。
フロアパネル22の前端部22aは、フロアトンネル28が形成された中央部位55、中央部位55の左側の助手席側部位56、助手席側部位56の左側の左シル側部位57、中央部位55の右側の運転席側部位58(図4参照)、運転席側部位58の右側の右シル側部位59(図4参照)を有する。
このリベット締結装置は、中央部位55から離れており、リベット締結装置の締結部を中央部位55まで到達させることはリベット装置の大型化を招き、困難である。
このため、リベット締結装置を用いてトンネル殻状部35に中央部位55を取り付けることは難しい。
したがって、中央部位55を、トンネル殻状部35の後辺部35dに簡単に、かつ、強固に取り付けることができる。
よって、助手席側部位56は、助手席側足元部41の後辺部41aに重ね合わせられてセルフピアスリベット43…で取り付けられる。
同様に、図4に示す運転席側部位58は、運転席側足元部42の後辺部42aに重ね合わせられてセルフピアスリベット43…で取り付けられる。
よって、左シル側部位57を、左ハウス湾曲部32の後辺部32eに簡単に、かつ、強固に取り付けることができる。
同様に、図4に示す右シル側部位59は、右ハウス湾曲部33の後辺部33eに重ね合わせられてスポット溶接で接合されている。
よって、右シル側部位59を、右ハウス湾曲部33の後辺部33eに簡単に、かつ、強固に取り付けることができる。
実施例は、図1〜図9で説明した自動車の車体構造10であり、比較例はダッシュボードロア全体をアルミ合金で形成した自動車の車体構造100である。
よって、左ハウス湾曲部32で左ホイールハウス46の後部46aをプレス成形可能で、かつ、右ハウス湾曲部33で右ホイールハウス48の後部48aをプレス成形可能である。
したがって、キャビン15の前端部15aを車体前方側に広げることができ、キャビン15の長さL1を大きく確保できる。
ダッシュボードロア101の剛性を確保するために、ダッシュボードロア101の板厚を厚くする必要があり、プレス成形による自由度が低下する。
このため、キャビン105の前端部105aを車体前方側に広げることが難しく、キャビン105の長さL2を大きくすることはできない。
(a)において、左側車輪45や右側車輪47で小石60をダッシュボードロア20側に矢印Aの如く跳ね上げることが考えられる。
ボード本体30をアルミ合金製とすることで、助手席側足元部41および運転席側足元部42は、それぞれ板厚が厚く形成されている。
Claims (3)
- エンジンルームおよびキャビンを仕切るダッシュボードロアが設けられ、前記ダッシュボードロアの下端部にフロアパネルが設けられた自動車の車体構造において、
前記ダッシュボードロアは、
前記エンジンルームおよび前記キャビンを仕切る軽合金製のボード本体と、
前記ボード本体の左端部に設けられる鋼製の左ハウス湾曲部と、
前記ボード本体の右端部に設けられる鋼製の右ハウス湾曲部と、
前記ボード本体の下部中央に設けられ、前記フロアトンネルの前端部を形成する鋼製のトンネル殻状部と、
を備えており、
前記ボード本体は平板状に形成され、その左端部は、車幅方向中央に向かって凹状に形成され、
この凹状の左端部に合わせて接続される、前記左ハウス湾曲部の内側部が、凸状に形成され、
この凸状の内側部から、車体後方且つ車幅方向外向きに張り出されることで、前記左ハウス湾曲部は、左ホイールハウスの後部を形成し、
前記ボード本体の右端部は、車幅方向中央に向かって凹状に形成され、
この凹状の右端部に合わせて接続される、前記右ハウス湾曲部の内側部が、凸状に形成され、
この凸状の内側部から、車体後方且つ車幅方向外向きに張り出されることで、前記右ハウス湾曲部は、右ホイールハウスの後部を形成し、
前記トンネル殻状部は、前記ボード本体に締結部材で取り付けられ、かつ、前記フロアパネルに溶接されていると共に、
前記左ハウス湾曲部および前記右ハウス湾曲部は、前記ボード本体に締結部材で取り付けられ、かつ、前記フロアパネルに溶接されていることを特徴とする自動車の車体構造。 - 前記ボード本体は、
運転席に着座した乗員の足を載せる運転席側足元部と、
助手席に着座した乗員の足を載せる助手席側足元部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の自動車の車体構造。 - 前記ダッシュボードロアの車幅方向左右の端部に左右のピラーが取り付けられ、
前記左ハウス湾曲部の外側に平坦に形成されている外側部は、前記左ピラーに溶接され、
前記右ハウス湾曲部の外側に平坦に形成されている外側部は、前記右ピラーに溶接されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車の車体構造。
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