JP4824065B2 - 支持点回転角度を考慮可能なワイヤーハーネスの変形解析システム - Google Patents
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Description
そして、ワイヤーハーネスの結線においては、結線作業を円滑に行うためにワイヤーハーネスに予め余分な長さを持たせておいたり、ワイヤーハーネス取り回しのためのワイヤーハーネス支持部を考慮することが必要である。この支持部の考慮や、余分な長さをどの程度持たせておくか等を考慮することで、製造コストを押さえながら取り付け作業を容易にすることが出来るので、製造コスト及び製造工程に要する時間を最小にすることが求められている。
図8及び図9は、ワイヤーハーネス等の線状柔軟物を、有限要素法を用いるFEM解析を用いてその変形状態を解析する『柔軟物の変形解析装置』(特開2005−038398、以下、従来例1という。)である。
従来例1では、図8及び図9に表すように、柔軟物であるワイヤーハーネス105の特定部位であるコネクタ107を移動した際に、移動に伴うワイヤーハーネス105が変形することとなるが、従来例1の柔軟物の変形解析装置は、このワイヤーハーネス105の変形過程をFEM解析により解析して画像表示装置101の画面101aに表示していた。
一方、ワイヤーハーネス105の物性データ、形状データ及び拘束条件が入力部101bであるキーボード102やマウス103あるいは記憶媒体の読取機104によって予め入力条件として入力されていた。
また、ワイヤーハーネス105を表示するにあたり、画面101a上の三次元仮想空間にワイヤーハーネス105部位の三次元形状を模したグラフィック表示を行う画像表示手段110を設けてあった。さらに、コネクタ107から所定距離離れた部位をクランプ106によって拘束されているワイヤーハーネス105のコネクタ107部位が画面101a上で指示されて移動させられるとその移動位置を三次元座標値として認識する座標値認識手段111を設けてある。そして、座標値認識手段111は、マウス3によるコネクタ107の移動指示に伴う指示位置の移動経路を逐次サンプリングしてその三次元座標値を保持するトラッキング部111aを備え、また、トラッキング部111aの保持したトラッキングデータを基に三次元空間でのコネクタ107部位の移動量を算出して所定の移動量毎にその移動位置の三次元座標値データを出力する座標値出力部11bを備えていた。
そして、認識されたコネクタ107の移動位置の三次元座標値データに応答して、FEM解析により特定部位の移動に伴って初期状態のワイヤーハーネス105の各部位がどの様に変形するのを解析して変形解析モデルを逐次作成する変形解析手段112を備えていた。この解析にあたっては、予め入力されているワイヤーハーネス105の物性データ、形状データ及び拘束条件を参照して計算されていた。
変形解析手段112によってFEM解析された移動後のワイヤーハーネス105は、画像表示手段110が解析された変形解析モデルとして、ワイヤーハーネス105の三次元形状を模したグラフィック表示を画面101aに表示させていた。
しかしながら実際のワイヤーハーネスでは、拘束部のガタツキは、ワイヤーハーネスを構成する電線種類や電線数、及び、外部保護材の物理特性とによって変化する。これに伴いガタツキ角度も変化してしまうが、従来例2ではガタツキ角度という要素は考慮されているものの、この角度がワイヤーハーネスを構成する電線種類や電線数、及び、外部保護材とによって変化することまでは考慮されていなかったので、正確なガタツキ角度を考慮した計算が成されていないという問題点を有した。
また、拘束部に用いている拘束手段の強度や柔軟性によっては、該拘束部に所定以上の荷重が加わったときに拘束手段が変形してガタツキ角度が変化してしまうが、従来例2ではこの拘束手段自身の変形によるガタツキ角度は考慮されていなかった。
尚、上記各手段5乃至11は、解析装置本体2を構成するコンピュータシステムによって実現されており、実際にはCPUによる演算、CPUの演算に際して必要となるRAMやこれらを一体の装置とするマザーボード等によって行われ、回帰式演算手段8に備える回帰式記憶部81はハードディスク等の記憶手段によって行われるものである。
そして、解析装置本体2は、表示ディスプレイ3へ表示信号を出力可能であり、また、入力手段4から指示情報等を入力可能である。
図3に表すワイヤーハーネスWは、W1が基点側の支持点であり、W2が終点側となる移動されてクランプされる移動端側支持点である。従来のワイヤーハーネスの変形解析では、支持点W1の支持及びワイヤーハーネスWの伸びる方向は、白抜き矢印に表されるX軸方向であり、同様に移動端側支持点W2の支持及びワイヤーハーネスWの伸びる方向は支持点W1同様にX軸方向であった。
ベクトル算出手段7は、この基点側の支持点W1及び移動端側支持点W2がマウスやキーボード等の入力手段4から入力されると、ベクトル算出手段7へ入力され、ベクトル算出手段7では基点側の支持点W1から移動端側支持点W2へのベクトルを演算する。このベクトルの演算式やその手法は既に行われているものであり、特に詳説はしない。そして具体的には、演算式は回帰式記憶部81に記憶されており、ベクトル算出手段7が実行されると、回帰式記憶部81から演算式を読み込み、この式に支持点W1及びW2の位置を代入して演算する。演算した結果は支点間ベクトルデータgとして一時的に記憶させておく。この記憶はRAM(図示せず)に行わせても良く、また回帰式記憶部81に行わせても良い。尚、ベクトル算出手段7が演算する際に必要とする記憶手段は、別途設けても良い。
ベクトル算出手段7による演算結果は、解析条件入力手段6により指示されるワイヤーハーネスWの構成条件(物理的な条件であり、電線本数や保護材の種類、直径等である)等と合わせてガタツキ角度算出手段82によるガタツキ角度の算出に用いられる。
回帰式記憶部81は、コンピュータシステムのハードディスク(図示せず)に種々の情報を記憶可能である。回帰式記憶部81に記憶される情報は、ガタツキ角度を反映させてFEM解析を行わせるワイヤーハーネスWの物理的な構成要素である条件データであり、具体的には、ガタツキ角度を算出するに際して必要となるワイヤーハーネスWの支持点W1及びW2間の長さ情報aと、ワイヤーハーネスWを構成する電線の種別を表す線種情報bと、支持点W1及びW2の支持点を構成するクランプ種情報cと、ワイヤーハーネスWを長さ方向と直角に切断したときの直径情報dと、ワイヤーハーネスWを構成する電線を束ねて被覆している保護材の種別を表す保護材種別情報e、ワイヤーハーネスWを構成している電線数情報fである。また、これらに併せて、ベクトル算出手段7が算出した支点間ベクトルデータgもベクトル算出手段7の指示により記憶される。さらに、回帰式記憶部81には、ガタツキ角度を算出するための回帰式hを記憶する。この回帰式は、ガタツキ角度算出手段82によって読み出され、回帰式に前記記憶された条件データを代入して算出する。
回帰式記憶部81に記憶される回帰式hは、各座標軸X、Y、Zそれぞれについてガタツキ角度を算出可能であり、予め実物のワイヤーハーネスWを用いて前記条件データを変更しながらワイヤーハーネスWを基点側支持点W1を固定し移動端側支持点W2を移動させてテストを行い、ワイヤーハーネスWの支持点W1におけるガタツキ角度の発生にそれぞれの条件データがどの程度寄与するかを測定し、それぞれの条件データの寄与度に係数を与えた近似式を算出して求めたものである。この回帰式hは、基点側支持点W1と移動端側支持点W2とでは異なるので、それぞれの支持点W1および支持点W2毎に用意されており、それぞれの支持点W1および支持点W2毎にガタツキ角度が算出されることとなる。この実施例では、例えば基点側支持点W1では、図6に表すような回帰式を用いるが、その他の回帰式であってもよく、実測されるガタツキ角度に近いガタツキ角度を算出可能であればどのような形態であってもよい。
具体的には、クランプ種入力手段9では、図7(a)に表すようにクランプ種情報cおよび保護材種別情報eを、それぞれ選択可能なものとして表示ディスプレイ3に表示させて入力手段4のマウスのクリック動作によって選択させ、選択させた値に対応して回帰式記憶部81に記憶されるデータを、ガタツキ角度算出手段82の演算時に読み出し、図7(b)に表すように、例えばZ軸のガタツキ角度の算出を行う回帰式hの所定箇所(図中の下線表示部)に代入させて演算させるように形成するのである。
ガタツキ角度を算出するための回帰式は、前記した通りX、Y,Zそれぞれの軸周りによって異なる計算式として回帰式記憶部81に記憶されている。ガタツキ角度算出手段82では、演算に際し、前記条件データを回帰式記憶部81から読み出すとともに、ベクトル算出手段7によって算出された支点間ベクトルデータgも読み出し、回帰式hへ代入してガタツキ角度を算出可能である。
尚、この実施例では、ガタツキ角度算出手段82はガタツキ角度の算出を行うだけであるが、ガタツキ角度反映手段5の行う基点側支持点W1および移動端側支持点W2の位置における角度情報を修正する作用を持たせて、ガタツキ角度反映手段5と併せた手段としてもよく、この場合には、ガタツキ角度反映手段5を設けなくともよい。
まず、解析条件入力ステップS1が実行される。解析条件入力ステップS1では、解析条件入力手段6によって入力される長さ情報a、線種情報b、直径情報d、電線数情報fの条件データを入力手段4によって直接数値としてや、表示ディスプレイ3に表示させた選択種から選択させる等して入力させるステップである。解析条件入力ステップS1に続けては、ベクトル算出ステップS2が実行される。
クランプ角編集ステップS5に続けてはFEM解析ステップS6が実行される。
W1 基点側支持点
W2 移動端側支持点
a 長さ情報
b 線種情報
c クランプ種情報
d 直径情報
e 保護材種別情報
f 電線数情報
g 支点間ベクトルデータ
h 回帰式
S1 解析条件入力ステップ
S2 ベクトル算出ステップ
S3 クランプ種入力ステップ
S4 ガタツキ角度算出ステップ
S5 ガタツキ角度出力ステップ
S6 FEM解析ステップ
S7 表示ステップ
1 ワイヤーハーネスの変形解析システム
2 解析装置本体
3 表示ディスプレイ
4 入力手段
5 ガタツキ角度反映手段
6 解析条件入力手段
7 ベクトル算出手段
8 回帰式演算手段
81 回帰式記憶部
82 ガタツキ角度算出手段
9 クランプ種入力手段
10 FEM解析手段
11 解析結果表示手段
Claims (1)
- ワイヤーハーネスに特定部位を定め、ワイヤーハーネスの支持点を基点としてワイヤーハーネス各部位の移動に伴う変形をFEM解析を用いて解析し、移動後のワイヤーハーネスの変形状態を解析可能なワイヤーハーネスの変形解析システムであって、
入力指示をするための入力手段を備え、
入力手段により入力指示されるワイヤーハーネスの固定端の座標と移動端の座標とを用いて、入力指示されたこれら二座標間のベクトルを支点間ベクトルデータとして算出するベクトル算出手段を備え、
ワイヤーハーネスの特性の情報とワイヤーハーネスをクランプするクランプのクランプ種情報とを含む複数の構成要素のデータと、構成要素のデータを代入することでワイヤーハーネスの固定端座標における支持クランプのガタツキ角度を算出可能な回帰式とが記憶される回帰式記憶部を備え、
入力手段により選択入力された構成要素のデータを回帰式記憶部から取得し、回帰式記憶部から回帰式を取得し、取得した構成要素のデータとベクトル算出手段によって算出された支点間ベクトルデータとを用いてガタツキ角度を算出可能なガタツキ角度算出手段を備え、
ワイヤーハーネスの構成及びクランプの構成により変化するワイヤーハーネスの支持点部分のガタツキ角度をFEM解析の解析条件として使用可能なことを特徴とする支持点回転角度を考慮可能なワイヤーハーネスの変形解析システム。
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