本発明のスライドスイッチ装置は、前記スイッチは、前記スイッチ係合部に対して、厚み方向にオーバーラップする位置に配置されている構成とすることができる。この構成により、スイッチ近傍の厚さ寸法を小さくすることができ、装置を小型化することができる。
また、前記スライド部材は、前記スイッチに対向する部位に凹部を備え、前記凹部内に、前記スイッチの一部または全部を配置する構成とすることができる。この構成により、スイッチ近傍の幅方向寸法を小さくすることができ、装置を小型化することができる。
また、前記被作用部はスイッチレバーであり、前記スイッチ係合部は、略Ω形の凹部が形成され、前記凹部に前記スイッチレバーが係合されている構成とすることができる。この構成により、スイッチレバーが凹部から抜けにくくすることができるとともに、凹部の内壁がスイッチレバーの回動動作を妨げないため、確実にスイッチの切換動作を行うことができる。
また、前記スイッチ係合部は、前記スイッチレバーより厚い構成とすることができる。この構成により、スイッチレバーがスイッチ係合部から抜けにくくすることができるため、確実にスイッチの切換動作を行うことができる。
また、前記スイッチ係合部は、樹脂で形成することができる。この構成により、スイッチレバーの摩耗を低減させることができる。また、摩耗を低減できることで、スイッチ係合部が削れることで発生する粉塵を抑えることができる。
また、前記筐体の表面に配され、前記スライド部材に固定されるスライドツマミをさらに備え、前記筐体の表面において、前記スライドツマミが配される部位に、凹部が形成されている構成とすることができる。この構成により、スライドスイッチ装置を組み立てる際に、スライドツマミを位置決めすることができ、組立性を向上させることができる。
また、前記筐体の表面に配され、前記スライド部材の前記被保持部に固定されるスライドツマミをさらに備え、前記スライドツマミにおいて、前記被保持部に固定される部位にリブが形成され、前記被保持部において、前記リブが係合可能な凹部が形成されている構成とすることができる。この構成により、スライドツマミと被保持部とを係合させる際に、両者を位置決めすることができ、組立性を向上させることができる。
また、前記筐体の表面に配され、前記スライド部材の前記被保持部にビスで固定されるスライドツマミをさらに備え、前記ビスは前記スライド部材の主平面の垂直線に対して傾斜して配されている構成とすることができる。この構成により、ドライバーなどでビスをねじ込む際に、ドライバーの先端を確実にビスの頭部に係合させることができ、組立性を向上させることができる。
また、前記スイッチ係合部と前記クリック部と前記被保持部とが配され、弾性変形可能な基材をさらに備え、前記基材における、前記クリック部と前記被保持部との間に、孔部が形成されている構成とすることができる。この構成により、孔部を大きくするとクリック感を低下させることができ、孔部を小さくするとクリック感を強化させることができるので、孔部の大きさを最適化することで、任意のクリック感を実現することができる。
また、前記スイッチは、自己復帰型のスイッチ素子で構成することができる。この構成により、スイッチレバーとスライド部材との間のガタツキを低減させることができる。また、自己復帰型スイッチ素子は、スイッチレバーが常時中立位置にあるので、スイッチレバーの位置を基準にして各部品を組み立てることで、組立性を向上させることができる。
また、基材をさらに備え、前記クリック部と前記被保持部と前記スイッチ係合部は、一括樹脂成型により前記基材に形成されている構成とすることができる。この構成により、インサート成型などで一度に成型することができるため、組立性を向上させることができる。
また、基材をさらに備え、前記基材が曲げ加工された後に、前記スイッチ係合部と前記クリック部と前記被保持部とが前記基材に形成される構成とすることができる。この構成により、組立性を向上させることができる。
また、前記筐体は、少なくとも前記スライド部材と前記スイッチとが配されている第1の筐体と、前記第1の筐体の表面を覆う第2の筐体とから構成され、前記スイッチは、他の回路と電気的に接続可能なフレキシブル基板に接続され、前記フレキシブル基板は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間に配される構成とすることができる。この構成により、フレキシブル基板を、傷などから保護することができる。
また、複数のスイッチを備え、前記複数のスイッチは、他の回路と電気的に接続可能な1つのフレキシブル基板に接続されている構成とすることができる。この構成により、フレキシブル基板を少なくすることができ、装置を小型化することができる。
また、前記複数のスイッチとして、第1のスイッチ及び第2のスイッチを備え、それぞれのスイッチを駆動するための第1のスライド部材及び第2のスライド部材を備え、前記第1のスライド部材及び前記第2のスライド部材が互いに対向する部位に、それぞれのスイッチ係合部を配置するようにして、前記第1のスライド部材及び前記第2のスライド部材を前記筐体に取り付ける構成とすることができる。この構成により、スイッチ間の距離を短くすることができる。そのため、スイッチ間に配置されるフレキシブル基板の長さを短くすることができ、装置を小型化することができる。
(実施の形態1)
〔1.全体構成〕
図1は、実施の形態1のスライドスイッチ装置が搭載されている撮像装置の外観を示している。本実施の形態では、デジタルスチルカメラを撮像装置の一例として挙げた。
図1において、カメラ本体1は、例えばデジタルスチルカメラで構成され、フロントケース3とリアケース4とから構成される筐体内に、各種回路基板や撮像素子などが内蔵されている。また、カメラ本体1の上面には、レリーズボタン5などの各種操作部が配されている。なお、本実施の形態では、フロントケース3とリアケース4とで筐体を構成しているが、この構成に限らない。
レンズユニット2は、カメラ本体1のフロントケース3上に配され、フォーカスレンズやズームレンズなどのレンズ群が内蔵されている。レンズユニット2は、略円筒形状で構成されており、内部にレンズを配置するための空間が形成されている。レンズユニット2に含まれるレンズリング11上には、スライドスイッチ部6が矢印SまたはT方向にスライド可能に配されている。
スライドスイッチ部6は、矢印SまたはT方向へスライド操作することで、カメラ本体1における所定の機能の切り換え操作を行うことができる。例えば、オートフォーカスまたはマニュアルフォーカスの切り換えや、撮影画像のアスペクト比の切り換えを行うことができる。
〔2.スライドスイッチ装置の構成〕
次に、スライドスイッチ装置の詳しい構成について説明する。
図2及び図3は、スライドスイッチ装置が含まれるレンズユニット2の分解斜視図を示している。なお、本実施の形態における説明に不要な構成については、図示及び説明を省略する。また、図2と図3は、互いに描画アングルを変えて示した図である。
図2及び図3に示すように、レンズユニット2は主に、レンズリング11、レンズフレーム21、クリックバネ31、フレキシブルプリント基板ユニット(以下、FPCユニットと称する)41、摺動シート51、およびスライドツマミ61を備えている。
レンズリング11(第1の筐体)は、略円筒形状に形成されており、レンズユニット2の最外周部分に配される。また、レンズリング11の円筒面には、孔部12、摺動部13、および孔部15が形成されている。また、レンズリング11は、本実施の形態ではアルミニウムなどの金属で構成されているが、他の材料で構成されていてもよい。
孔部12は、クリックバネ31及びスライドツマミ61などを、レンズリング11及びレンズフレーム21に保持させるために形成されている。孔部12の大きさは、少なくともクリックバネ31に配されている位置決めリブ35を挿通可能な大きさである。また、孔部12は、クリックバネ31がスライド方向に移動するのに伴って、位置決めリブが移動可能なように、長孔で構成されている。
摺動部13は、孔部12の周囲に形成され、レンズリング11の外周円筒面から窪んで形成されている。摺動部13の大きさは、スライドツマミ61を内在させることが可能であるとともに、スライドツマミ61が移動可能な範囲に形成されている。なお、摺動部13の深さは、スライドツマミ61がレンズユニット2に装着された時に、スライドツマミ61の主面66とレンズリング11の外周円筒面とが略面一になるような深さに形成してもよい。
ビス14は、孔部15を挿通し、レンズフレーム21に形成されているビス孔27に螺合させることで、レンズリング11をレンズフレーム21に固定させることができる。
レンズフレーム21(第2の筐体)は、略円筒形状に形成されており、レンズリング11の内部に配置される。レンズフレーム21には、孔部22、孔部23、第1のクリック溝24、第2のクリック溝25、第3のクリック溝26、ビス孔27、およびビス孔28が形成されている。
孔部22は、少なくともスライドスイッチ43を内部に配置させることが可能な大きさに形成されている。孔部22は、FPCユニット41がレンズフレーム21に装着された際に、スライドスイッチ43が配置される。
孔部23は、レンズリング11をレンズフレーム21に組み付けた際に、孔部12に投影面上で重なる位置に形成されている。また、孔部23は、クリックバネ31やスライドツマミ61をレンズリング11及びレンズフレーム21に保持させるために形成されている。孔部23の大きさは、孔部12の大きさとほぼ同等である。また、孔部23は、クリックバネ31がスライド動作するのに伴って、位置決めリブ35が移動可能なように、長孔で構成されている。
第1のクリック溝24,第2のクリック溝25,第3のクリック溝26は、それぞれ互いに略平行でかつ、クリックバネ31のスライド方向に対して略垂直方向に形成されている。また、クリック溝24〜26は、クリックバネ31に配されている突起部32が、選択的に嵌合されることで、スライドツマミ61を複数箇所(本実施の形態では3カ所)において位置決めさせることができるとともに、スライド操作時にクリック感を生じさせている。
ビス孔27は、ビス14が螺合される孔である。ビス孔28は、ビス45が螺合される孔である。
クリックバネ31(スライド部材)は、図4及び図5に示すように構成されている。図4はクリックバネ31の上面側の斜視図である。図5はクリックバネ31の底面側の斜視図である。また、クリックバネ31は、突起部32、孔部33、板バネ部34、位置決めリブ35、係合部36、係合凹部37、ビス締め面38、および凹部39を備えている。
突起部32(クリック部)は、板バネ部34の一方の端部に配されている。突起部32は、位置決めリブ35が突出する方向に対して略同じ方向に突出して設けられている。突起部32は、スライドツマミ61がスライド操作された際に、クリック溝24〜26のいずれかに嵌合される。また、突起部32の先端は、山形に形成されているが、この形状に限らず少なくともクリック溝24〜26に嵌合可能な形状であればよい。また、本実施の形態では、突起部32は、板バネ部34に対して、樹脂をインサート成型して形成されているが、この構成に限定されない。
孔部33は、板バネ部34の略中央に形成されている。孔部33は、クリックバネ31をレンズフレーム21にビス65で固定する際に、ビス65が挿通される。
板バネ部34(基材)は、弾性変形が可能であるとともに、一方の端部に突起部32が配され、他方の端部に係合部36が配され、突起部32と係合部36との間には位置決めリブ35が配されている。また、板バネ部34は、本実施の形態では金属板で構成する。このため、繰り返し使用時の節度の劣化を少なくすることができる。また、板バネ部34は、平板状であってもよいが、レンズフレーム21の内面に沿うように予め湾曲させておいてもよい。この場合、板バネ部34を予め曲げ加工した後、突起部32と係合部36と位置決めリブ35とを板バネ部34に形成するのが好ましい。これにより、突起部32などを形成した後に板バネ部34を曲げ加工するのに比べて、突起部32等が損傷しにくくなる。そのため、板バネ部34の曲げ加工が容易になる。なお、板バネ部34において、位置決めリブ35が形成されている面を第1面とし、第1面の裏面側を第2面と定義する。
位置決めリブ35(被保持部)は、板バネ部34上における孔部33の周囲に配されている。位置決めリブ35は、クリックバネ31をレンズフレーム21に装着した際に、孔部23に嵌合される。位置決めリブ35は、スライドツマミ61のスライド動作に伴って、孔部23内を移動する。図4及び図5に示すように、位置決めリブ35は、クリックバネ31のスライド方向(長手方向)において、突起部32と係合部36との間に配されている。
係合部36は、樹脂で構成され、クリックバネ31のスライド動作に伴ってスライドスイッチ43を切り換える部分である。なお、本実施の形態では、係合部36は、板バネ部34をインサートとして、樹脂でインサート成型することにより形成するのが好ましい。係合部36を容易に形成できるからである。しかし、本発明はこの構成に限定されない。
なお、突起部32,位置決めリブ35、および係合部36は、例えばポリオキシメチレン(Polyoxymethylene:POM。ポリアセタール樹脂)で構成してもよい。POMで構成することにより、クリックバネ31のレンズフレーム21に対する摺動性がよくなる。このため、クリックバネ31又は/及びレンズフレーム21の耐久性が良くなる。しかし、本発明はこの材料に限定されない。
また、突起部32、位置決めリブ35および係合部36は、板バネ部34をインサートとして、一括して樹脂でインサート成型することにより形成するようにしてもよい。これにより、一括して、突起部32などを形成できるので、クリックバネ31の製作が容易になる。
係合凹部37は、係合部36において略Ω形状に形成されている。係合凹部37は、スライドスイッチ43のスイッチレバー44が嵌合される。なお、係合凹部37の端部の内径Aは、係合凹部37の最大内径Bよりも小さい。本実施の形態では、係合凹部37はΩ形状としたが、少なくともスイッチレバー44が嵌合可能で、スイッチレバー44をスイッチング動作させることができれば、他の形状であってもよい。
ビス締め面38は、板バネ部34の第2面において、孔部33の周囲に形成されている。また、ビス締め面38は、板バネ部34の第2面に対して傾斜して形成されている。また、ビス締め面38は、クリックバネ31をレンズフレーム21にビス65で固定した際に、ビス65の頭部が位置する部分である。ビス締め面38が傾斜して形成されていることで、ビス65を斜めに螺合させた場合であっても、ビス65の頭部とビス締め面38との間に間隙が生じない。そのため、ビス65を斜めに螺合させた場合、ビス65を確実に締めることができる。
凹部39は、板バネ部34における位置決めリブ35と係合部36との間の部分を、板バネ部34の幅方向に切り欠いて形成されている。クリックバネ31をレンズフレーム21に固定した際、凹部39には、図6に示すようにスライドスイッチ43の一部または全部が配置される。すなわち、クリックバネ31とスライドスイッチ43とを、クリックバネ31の幅方向にオーバーラップさせて配置している。これにより、クリックバネ31の端部からスライドスイッチ43の端部までの幅寸法Eを、小さくすることができる。
図2及び図3において、FPCユニット(FPC:Flexible Printed Circuit board)41は、FPC42、スライドスイッチ43、および孔部46を備えている。
FPC42は、スライドスイッチ43と他の回路とを電気的に接続している。他の回路とは、例えば、カメラ本体1内の制御回路である。なお、FPC42に含まれる接地ラインは、FPCユニット41をレンズリング11とレンズフレーム21との間に配置させた際に、レンズリング11に電気的に接触する構成としてもよい。
スライドスイッチ43は、FPC42の端部の主面上に固定されている。また、スライドスイッチ43には、スイッチレバー44(被作用部)が突出して配されている。また、スライドスイッチ43は、本実施の形態ではスイッチレバー44が中立位置に付勢されている自己復帰型スイッチ素子で構成される。これにより、係合凹部37とスイッチレバー44との間に隙間があっても、スイッチレバー44は中立位置に向かって付勢されているため、スイッチレバー44が位置決めされ、安定したスイッチング動作を行うことができる。また、スライドスイッチ43は、本実施の形態では内部接点が3接点のスイッチ素子を用いた。しかし、本発明はこれに限定されない。
スイッチレバー44は、クリックバネ31に形成されている係合凹部37に嵌合される。スイッチレバー44が係合凹部37に嵌合されている状態で、スライドツマミ61がスライド操作されると、スイッチレバー44は、クリックバネ31のスライド動作に伴って、図6の矢印MまたはN方向へ回動される。これにより、スライドスイッチ43の内部の接点の切り換えが行われる。
ビス45は、孔部46を挿通し、レンズフレーム21に形成されているビス孔28に螺合されることで、FPC42をレンズフレーム21に固定させることができる。
摺動シート51は、スライドツマミ61とレンズリング11との間に挟まれて配置されている。また、摺動シート51は、シート状で、かつ表面及び裏面は摩擦が低い材料で構成されている。摺動シート51を配することにより、スライドツマミ61のスライド動作をスムーズにできるとともに、スライドツマミ61とレンズリング11との摺動による傷付きや摩耗を防止することができる。また。摺動シート51には孔部52が形成されている。
孔部52は、スライドツマミ61をレンズフレーム21に装着する際に、スライドツマミ61に形成されているボス64が挿通される孔である。これにより、摺動シート51とスライドツマミ61とを互いに位置決めさせることができる。
スライドツマミ61は、ビス孔62、指針溝63、ボス64、および突起67を備えている。スライドツマミ61は、本装置に組み付けられている状態において、外部に露出して配され、使用者によってスライド操作されるものである。なお、スライドツマミ61において、突起67が配されている面(外部に露出する面)を第1面とし、第1面の裏面を第2面と定義する。
ビス孔62は、スライドツマミ61の第2面に形成されているボス64に略中央に形成され、ビス65が螺合される。
指針溝63は、突起67の頂部において、スライドツマミ61の短辺方向に形成されている。
ボス64は、スライドツマミ61の第2面に突出して形成され、クリックバネ31に形成されている位置決めリブ35に嵌合されることで、スライドツマミ61とクリックバネ31とを互いに位置決めさせることができる。
ビス65は、孔部33と孔部23と孔部52とを挿通し、スライドツマミ61に形成されているビス孔62に螺合することで、クリックバネ31と摺動シート51とスライドツマミ61とをレンズリング11及びレンズフレーム21に移動可能に保持させることができる。
突起67は、スライドツマミ61の第1面に突出して形成され、使用者がスライドツマミ61をスライド操作する際に指を引っ掛けることで、スライド操作を容易に行うことができるものである。
〔3.スライドスイッチ装置の組立方法〕
上記構成を備えたスライドスイッチ装置の組立方法について説明する。
図2において、まず、FPCユニット41をレンズリング21に取り付ける。具体的には、FPCユニット41をレンズリング21の外周円筒面に配置させる。この時、スライドスイッチ43が、孔部22内に配置されるようにする。次に、ビス45を、矢印Jに示す経路にしたがって、孔部46を挿通させて、ビス孔28に螺合させる。これにより、FPCユニット41をレンズリング21へ固定させることができる。
次に、レンズリング11をレンズフレーム21に取り付ける。具体的には、レンズリング11を矢印Fに示す方向に移動させ、レンズフレーム21の外周円筒面を覆うように、レンズフレーム21に装着させる。この時、孔部12と孔部23とが互いに投影面上で重なるように、レンズリング11とレンズフレーム21とを配置させる。また、図示していないが、レンズリング11の内周円筒面とレンズフレーム21の外周円筒面とに、互いに係合可能な係合部が設けられており、両者の係合部を係合させることで仮固定している。次に、ビス14を矢印Gに示す経路にしたがって、孔部15に挿通させて、ビス孔27に螺合させる。これにより、レンズリング11をレンズフレーム21に取り付けることができる。
次に、クリックバネ31、摺動シート51,およびスライドツマミ61をレンズフレーム21に取り付ける。具体的には、まずスライドツマミ61の第2面に形成されているボス64を、摺動シート51の孔部52に挿通させて、摺動シート51をスライドツマミ61に対して位置決めを行う。次に、ボス64を孔部12及び孔部23に挿通させて、スライドツマミ61を摺動部13上に配置させる。この時、スライドツマミ61の第2面と摺動部13とで、摺動シート51を挟持するように配置させる。なお、摺動シート51は、ボス64によって位置決めされているだけでもよいが、スライドツマミ61の第2面に貼着されていてもよい。次に、クリックバネ31を、レンズフレーム21の内周円筒面に配置させる。この時、位置決めリブ35とボス64とが互いに嵌合するように、クリックバネ31を配置させる。また、スイッチレバー44を係合凹部37に嵌合させる。
また、本実施の形態では、スライドスイッチ43は自己復帰型スイッチ素子である。そのため、係合凹部37をスイッチレバー44に係合する前は、スイッチレバー44は常に中立位置にあるので、その中立位置にスイッチレバー44を配置するようにすれば、失敗することなく、係合凹部37をスイッチレバー44に係合させることができる。従って、クリックバネ31を配置させる作業を容易にすることができる。
次に、ビス65を、矢印Hに示すように、クリックバネ31の孔部33、レンズフレーム21の孔部23、レンズリング11の孔部12、摺動シート51の孔部52の順に挿通させ、スライドツマミ61のビス孔62に螺合させる。これにより、クリックバネ31、摺動シート51,およびスライドツマミ61をレンズフレーム21に取り付けることができる。
図6は、クリックバネ31がレンズフレーム21に取り付けられた状態における、レンズユニット2の内側を示している。なお、図6は、構造を明瞭に表現するために、レンズリング11及びレンズフレーム21の一部を切り欠いて描画している。図6に示すように、スイッチレバー44は係合凹部37に嵌合され、突起部32はクリック溝(図示では第2のクリック溝25)に嵌合されている。
なお、ビス孔62は、レンズ光軸7に対して直交する方向に形成されているのではなく、光軸方向に僅かに傾斜する方向に形成されている。したがって、ビス65をねじ込む際、ドライバーをレンズユニット2に斜め方向から挿入して、ねじ込むことができる。以下、その理由について説明する。
図7は、図1におけるX−X部分の断面を示している。また、図8は、図7におけるスライドツマミ61の周辺の拡大図である。図7及び図8に示すように、ビス孔62は、レンズ光軸7に対して直交しているのではなく、光軸方向に僅かに傾斜して形成されている。具体的には、図7及び図8に示すように、ビス孔62は、レンズ光軸7に直交する線9に対して、角度K分傾斜している。このように構成されていることで、ビス孔62にビス65を螺合させる際、レンズユニット2におけるカメラ本体側の開口部から、ビス65をねじ込むためのドライバー8を挿入し、ビス65をねじ込むことができる。
仮に、ビス孔62がレンズ光軸7に対して直交するように形成されていたとすると、ビス65を、ドライバー8で、レンズ光軸7に対して直交する方向からねじ込まなければならない。しかし、レンズユニット2の内径は比較的小さく、一般的なドライバー8はレンズユニット2の内径よりも長い長さを有するため、レンズ光軸7に対して直交する方向から、レンズユニット2の内側へドライバー8を挿入するのは困難である。したがって、ドライバー8で、レンズ光軸7に対して直交する方向からビス65をねじ込むのは困難である。上記構成において、ビス65の軸方向に対して斜め方向からドライバー8を挿入して、ビス65をねじ込もうとすると、ビス65の頭部に形成されているドライバー嵌合用の溝を、誤って潰してしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態では、ビス孔62を傾斜させて形成したことにより、レンズユニット2にドライバー8を斜めから挿入し、確実にビス65をねじ込むことができる。
〔4.スライドスイッチ装置の動作〕
図9は、スライドスイッチ装置の構成を示しており、図1におけるY−Y部分の断面である。図9は、突起部32が第2のクリック溝25に嵌合されている状態を示しており、この位置を「第2位置」と定義する。スライドツマミ61が第2位置にある時、図6に示すようにスイッチレバー44は中立位置にある。図10A及び図10Bは、スライドツマミ61が第2位置から矢印S方向へスライドした状態を示しており、この位置を「第1位置」と定義する。また、図11A及び図11Bは、スライドツマミ61が第2位置から矢印T方向へスライドした状態を示しており、この位置を「第3位置」と定義する。なお、図10B及び図11Bは、図6と同じアングルで描画している。
また、本実施の形態では、スライドスイッチ43は、3点切換式のスイッチ素子を用いており、例えば撮影画像のアスペクト比を切り換えることができる。図12は、レンズユニットの側面図を示している。図12において、スライドツマミ61が第1位置にある時はアスペクト比が「4:3」に設定され、スライドツマミ61が第2位置(図12に示す位置)にある時はアスペクト比が「3:2」に設定され、スライドツマミ61が第3位置にある時はアスペクト比が「16:9」に設定されるように構成されている。各アスペクト比の選択状況が目視にて容易にわかるように、レンズリング11におけるスライドツマミ61の近傍には、マークや文字などが表記されている。本実施の形態では、図12に示すように、「4:3」などの文字を表記している。このマークや文字に、スライドツマミ61に形成されている指針溝63を位置合わせすることで、所望の機能を選択することができる。なお、スライドスイッチ43によって切換可能な機能は、撮影画像のアスペクト比に限らず、他の機能を割り当ててもよい。
以下、動作について説明する。
まず、図9に示す第2位置では、突起部32が第2のクリック溝25に嵌合されることで、スライドツマミ61が位置決めされている。この時、係合凹部37に嵌合されているスイッチレバー44は中立位置にある。スイッチレバー44が中立位置にあることで、スライドスイッチ43の内部において第2の接点がオンになり、カメラ内部のマイコンによって撮影画像のアスペクト比が「3:2」に設定される。
次に、図9に示す状態から、スライドツマミ61を矢印S方向へスライドさせると、スライドツマミ61に一体的に配されているクリックバネ31が矢印S方向へスライドされる。スライド時、板バネ部34が弾性変形しながら、突起部32は第2のクリック溝25から第1のクリック溝24へ向かって移動する。また、スライド時、スイッチレバー44は、係合部36によって押圧されて、スライドスイッチ43の第1の接点側へ切り換えられる。
図10Aに示すように、スライドツマミ61及びクリックバネ31が第1位置へ移動すると、突起部32は第1のクリック溝24に嵌合され、スライドツマミ61及びクリックバネ31が位置決めされる。この時、図10Bに示すように、スイッチレバー44は、係合部36によって押圧されて、スライドスイッチ43内の第1の接点がオンになる。また、スイッチレバー44は、中立位置に復帰しようとする付勢力によって、係合凹部37の内壁に当接していることで、スイッチレバー44と係合部36との間のガタツキを抑えている。これにより、カメラ内部のマイコンによって撮像画像のアスペクト比が「4:3」に設定される。
また、図9に示す状態から、スライドツマミ61を矢印T方向へスライドさせると、スライドツマミ61に一体的に配されているクリックバネ31が矢印T方向へスライドされる。スライド時、板バネ部34が弾性変形しながら、突起部32が第2のクリック溝25から第3のクリック溝26へ向かって移動される。また、スライド時、スイッチレバー44は、係合部36によって押圧されて、スライドスイッチ43の第3の接点側へ切り換えられる。
図11Aに示すように、スライドツマミ61及びクリックバネ31が第3位置へ移動すると、突起部32は第3のクリック溝26に嵌合され、スライドツマミ61及びクリックバネ31が位置決めされる。この時、図11Bに示すように、スイッチレバー44は、係合部36によって押圧されて、スライドスイッチ43内の第3の接点がオンになる。また、スイッチレバー44は、中立位置に復帰しようとする付勢力によって、係合凹部37の内壁に当接していることで、スイッチレバー44と係合部36との間のガタツキを抑えている。これにより、カメラ内部のマイコンによって撮像画像のアスペクト比が「16:9」に設定される。
〔5.実施形態の効果、他〕
以上のように本実施の形態によれば、図6及び図9に示すように、係合部36とスイッチレバー44とを厚さ方向でオーバーラップさせて配置したことにより、図9における寸法Lを小さくすることができ、スライドスイッチ装置の小型化を実現することができる。
また、図5に示すようにクリックバネ31に凹部39が形成されていることにより、スライドスイッチ43の一部または全部を凹部39内に配置させることができ、図6に示すようにクリックバネ31とスライドスイッチ43とで構成される最大幅寸法を小さくすることができる。よって、スライドスイッチ装置の小型化を実現することができる。
また、係合部36の厚みをスイッチレバー44の厚みより大きくした。これにより、スイッチレバー44をスイッチング動作させる際、スイッチレバー44が係合部36から外れにくくすることができ、確実にスライドスイッチ43の切換動作を行うことができる。
また、係合部36を樹脂で形成した。これにより、スイッチレバー44の摩耗を低減させることができる。また、摩耗を低減できることで、嵌合部が削れることで発生する粉塵を抑えることができる。
また、係合凹部37をΩ形の形状にした。すなわち、図5に示すように端部の開口幅寸法Aと内部の開口幅寸法BとをA<Bの関係にした。これにより、スイッチレバー44が係合凹部37から抜けにくくすることができるとともに、係合凹部37の内壁がスイッチレバー44に干渉しないため、確実にスライドスイッチ43の切換動作を行うことができる。
また、凹部で構成されている摺動部13を形成した。これにより、本装置を組み立てる際にスライドツマミ61が摺動部13に嵌り込むので、スライドツマミ61の位置決めを容易にできる。従って、本装置の組み立てを容易にできる。
また、スライドツマミ61のボス64の側面に一対のリブ68が形成され、クリックバネ31の位置決めリブ35に凹部35a及び35bが形成され、本装置を組み立てる際にリブ68と凹部35a及び35bとを嵌合させるようにしてもよい。これにより、スライドツマミ61をクリックバネ31に対して位置決めさせることができ、本装置を容易に組み立てることができる。
また、図7に示すように、スライドツマミ61におけるビス孔62を傾斜させて形成したことにより、ビス孔62にビス65をねじ込む際、ドライバー8をレンズユニット2に対して斜めに挿入して、ビス65をねじ込むことができる。よって、本装置を容易に組み立てることができる。
また、板バネ部34に孔部34aが形成されていることにより、クリック感を調節することができる。すなわち、孔部34aの大きさを小さくすればするほど、板バネ部34における突起部32と位置決めリブ35との間の部分のバネレートを上げることができ、クリック感を上げることができる。また、孔部34aの大きさを大きくすればするほど、板バネ部34における突起部32と位置決めリブ35との間の部分のバネレートを下げることができ、スライドツマミ61をスライドさせやすくなる。つまり、少ない力でスライドツマミ61をスライドさせることができる。
また、スライドスイッチ43を自己復帰型のスイッチ素子で構成したことにより、スイッチレバー44が第1位置または第3位置にある時に、スイッチレバー44のガタツキを抑えることができる。また、自己復帰型スイッチ素子は、スイッチレバー44に負荷がかかっていない時は、スイッチレバー44が常時中立位置にあるため、スライドスイッチ43に対してクリックバネ31の位置を特定することができ、組み立て性を向上させることができる。
また、突起部32、位置決めリブ35、および係合部36を、樹脂によるインサート成型により形成したことにより、組み立て性を向上させることができる。
また、FPCユニット41がレンズリング11とレンズフレーム21との間に配されるため、FPCユニット41を外部衝撃などから保護することができる。また、FPCユニット41における接地ラインを、金属製のレンズリング11に電気的に接続したことにより、簡単な構成でスライドスイッチ43の接地を行うことができる。
また、FPCユニット41は、レンズリング11とレンズフレーム21との間から、カメラ本体側へ配線されているため、レンズユニット2における入射光の光路に悪影響を与えず、撮影画質の低下を防ぐことができる。すなわち、FPCユニット41をレンズフレーム21の内側(レンズ側)に引き出して配線すると、FPCユニット41が入射光の光路を妨げたり、入射される光がFPC42の表面を反射するなどして、画質を低下させてしまう問題があるが、本実施の形態ではこのような問題は生じない。
なお、本実施の形態では、リブ68を一対設け、一対のリブ68に対応するように凹部35a及び35bを形成する構成としたが、リブ及び凹部はそれぞれ1カ所づつでもよい。これにより、クリックバネ31に対するスライドツマミ61の取付方向が決まるため、本装置を容易に組み立てることができる。
また、本実施の形態では、本発明のスイッチとして、スイッチレバー44を有するスライドスイッチ43を用いたが、これには限らない。例えば、押し釦を有する押下式のスイッチを用いてもよい。この場合、押し釦が本発明の被作用部に相当し、係合部36で押し釦を駆動することにより、押下式のスイッチの動作状態を切り換えることになる。他にも、本発明のスイッチとして非接触式のスイッチを用いてもよい。この場合、光検知部などが本発明の被作用部に相当し、係合部36で光を遮るなどすることにより、スイッチの動作状態を切り換えることになる。
また、本実施の形態では、本発明のクリック部として突起部32を用いて、レンズフレーム21と接触することにより、クリック感を生じるよう構成した。しかし、本発明はこれには限らない。例えば、スライド部材の幅方向に弾性の部材を設け、レンズフレーム21に幅広の部位と幅狭の部位とが交互に配置される波状の凹部を設けるようにし、スライド部材をこの凹部に収めるようにしてもよい。この場合、波状の凹部の側壁と弾性部材とが接触することにより、弾性部材の変位量がスライド部材の移動に伴って変化するため、クリック感が生じることになる。また、クリック部は、レンズフレーム21ではなく、他の部材と接触するようにしてもよい。要するに、クリック部は、スライド部材の移動に伴ってクリック感を生じさせるものであればよい。
また、本実施の形態では、突起部32及び係合部36を板バネ部34の端部に配置した。しかし、これらを端部に配置することは本発明にとって必須の要件ではない。要するに、位置決めリブ35が突起部32と係合部36との間に配置されるようにすればよい。
(実施の形態2)
実施の形態1は、1組のスライドスイッチ装置がレンズユニットに搭載されている構成を示したが、実施の形態2は、複数のスライドスイッチ装置がレンズユニットに搭載されている構成を示す。
図13は、実施の形態2におけるレンズユニットの断面を示しており、図1におけるY−Y部分の断面を示している。図14は、図1におけるX−X部分の断面を示している。図15は、実施の形態2におけるレンズユニットの分解斜視図を示している。
図13〜図15に示すように、本実施の形態ではレンズユニット200の外周円筒面上に、第1のスライドスイッチユニット201と第2のスライドスイッチユニット202とが、互いに所定の間隙を空けて配されている。第1のスライドスイッチユニット201は、主にクリックバネ131a、スライドスイッチ143a、スライドツマミ161a、およびビス165aを備えている。第2のスライドスイッチユニット202は、主にクリックバネ131b、スライドツマミ161b、スライドスイッチ143b、およびビス165bを備えている。
また、レンズリング111の円筒面には、第1のスライドスイッチユニット201を配置可能なように、孔部112a及び摺動部113aが配され、第2のスライドスイッチユニット202を配置可能なように、孔部112b及び摺動部113bが配されている。
また、レンズフレーム121の円筒面には、第1のスライドスイッチユニット201を配置可能なように、孔部123aが形成され、第2のスライドスイッチユニット202を配置可能なように、孔部123bが形成されている。また、レンズフレーム121には、スライドスイッチ143aを配置可能な孔部122aと、スライドスイッチ143bを配置可能な孔部122bとが形成されている。また、図13に示すように、レンズフレーム121の内面には、第1のスライドスイッチユニット201における突起部132aが選択的に嵌合可能な、第1のクリック溝124aと第2のクリック溝125aと第3のクリック溝126aとが形成されているとともに、第2のスライドスイッチユニット202における突起部132bが選択的に嵌合可能な、第1のクリック溝124bと第2のクリック溝125bと第3のクリック溝126bとが形成されている。
また、クリックバネ131a及び131bは、それぞれ互いに形状が対称となっている。また、スライドツマミ161a及び161bは、互いに同一の部材で構成されている。また、摺動シート151a及び151bは、互いに同一の部材で構成されている。
なお、上記の各部材は、実施の形態1における各部材と同様であるため、部材毎の詳しい説明は省略する。
FPCユニット141は、端部にスライドスイッチ143aとスライドスイッチ143bとが配されている。スライドスイッチ143a及び143bは、FPC142の端部において、互いに対向するように配されている。
次に、本実施の形態のスライドスイッチ装置の組立方法について説明する。
図15において、まず、スライドスイッチ143a及び143bが接続されているFPCユニット141を、レンズフレーム121の円筒面上に配置させる。この時、スライドスイッチ143aが孔部122a内に位置し、スライドスイッチ143bが孔部122b内に位置するように、FPCユニット141を配置させる。なお、スライドスイッチ143aとスライドスイッチ143bとの間隔は、孔部122a及び122bの間隔を考慮して設計されているため、一方のスライドスイッチを位置決めすれば、他方のスライドスイッチはほぼ位置が決まる。
次に、ビス145aを、孔部146aに挿通して、ビス孔128aに螺合させる。また、ビス145bを、孔部146bに挿通して、ビス孔128bに螺合させる。これにより、FPCユニット41をレンズフレーム121に固定させることができる。
本実施の形態におけるスライドスイッチ装置は、スライドスイッチユニットが2組配されるため、クリックバネ31やスライドツマミ61などの部品点数が増えるが、組み立て手順は、前述した実施の形態1におけるスライドスイッチ装置の組み立て手順とほとんど同じであるため、以降の組み立て説明は省略する。
上記のようにして組み立てられたスライドスイッチ装置において、スライドツマミ161aとスライドツマミ161bは、各々独立してスライド操作することができる。
以上のように本実施の形態によれば、複数のスライドスイッチ143a及び143bを1つのFPC142に接続してユニット化しているため、組み立てが容易になる。
また、スライドスイッチ143a及び143bを、互いに対称になるように配しているため、スイッチ間の距離を短くすることができる。そのため、スイッチ間に配置されるFPC142の長さを短くできる。
なお、本実施の形態では、2個のスライドスイッチで構成したが、3個以上であってもよい。