JP4823767B2 - 双腕作業機械 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物解体工事、廃棄物解体工事、道路工事、建設工事、土木工事等に使用される作業機械に係り、特に2台の多関節型の作業フロントを備えた双腕作業機械に関する。
一般の油圧ショベルは、上部車体にブーム及びアームからなる多関節型の作業フロントを俯仰動可能に連結し、アーム先端にバケットを上下揺動自在に取り付けた構成であるが、バケットに代えてブレーカやクラッシャ、グラップル等を装着することで、構造物解体工事、廃棄物解体工事、土木建設工事等に使用される作業機械を構成する場合がある。この種の作業機械の作業フロントは一般に1台であるが、近年では2台の作業フロントを備えた作業機械も提唱されている。こうした双腕作業機械では、2台の作業フロントを備えることで、例えば一方の作業フロントで被解体物を解体する際に他方の作業フロントで被解体物を把持する等、作業フロントが1台の従来の作業機械単体では難しかった様々な動作が可能になり、作業の安定性や効率の面でメリットがある(特許文献1等参照)。
特開平11−181815号公報
しかしながら、上記のような双腕作業機械は、互いの作業半径が一部重なり合うように左右の作業フロントを構成した場合、左右の作業フロントが相対的に近付くように左右の作業フロントのいずれか又は双方をスイングさせると、左右のフロントが接触する場合がある。この場合、作業フロントの旋回速度によっては左右の作業フロントが干渉することにより破損する恐れがある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、左右の作業フロントの干渉による作業フロントの破損を防止することができる双腕作業機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の本発明は、走行装置を備えた下部走行体と、この下部走行体の上部に設けられ運転室を備えた上部車体と、この上部車体の前部の左右両側にそれぞれ左右方向に旋回自在に設けた左右のスイングポストと、これら左右のスイングポストにそれぞれ上下に揺動自在に設けた左右の作業フロントと、前記スイングポストと前記作業フロントの動作を指示する操作装置を有する双腕作業機械において、前記左右のスイングポストの旋回角度をそれぞれ検出する角度検出器と、前記角度検出器からの検出信号を基に算出した前記左右の作業フロントの角度差及び前記操作装置からの指令信号に基づき、前記スイングポストを旋回動作させる出力信号を生成する干渉防止制御部を備え、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係を判定する第1及び第2の閾値を格納しており、算出した前記角度差が前記第1の閾値以下である場合、前記左右の作業フロントが互いに接触し得る干渉危険領域にあると判定し、前記角度差が前記第1の閾値より大きく前記第2の閾値以下である場合、前記干渉危険領域に隣接し前記左右の作業フロントが停止した状態ではこれら左右の作業フロントは互いに接触しないが相対的に近付くときには接触し得る準干渉危険領域にあると判定し、前記角度差が前記第2の閾値より大きい場合、前記左右の作業フロントの動作状態によらずこれら左右の作業フロントは互いに干渉する恐れがない通常領域にあると判定、前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記スイングポストの旋回速度を減少させる信号を出力することを特徴とする。
第2の発明は、走行装置を備えた下部走行体と、この下部走行体の上部に設けられ運転室を備えた上部車体と、この上部車体の前部の左右両側にそれぞれ左右方向に旋回自在に設けた左右のスイングポストと、これら左右のスイングポストにそれぞれ上下に揺動自在に設けた左右の作業フロントと、前記スイングポストと前記作業フロントの動作を指示する操作装置を有する双腕作業機械において、前記左右のスイングポストの旋回角度をそれぞれ検出する角度検出器と、前記左右の作業フロントの上下の回動角度を検出する角度検出器と、各角度検出器からの検出信号を基に算出した前記左右の作業フロントの角度差、姿勢及び前記操作装置からの指令信号に基づき、前記スイングポスト及び作業フロントを動作させる出力信号を生成する干渉防止制御部を備え、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロント上にそれぞれ設けた複数の基準点、これら複数の基準点をそれぞれ中心とする複数の第1の仮想球体の各半径、及び各第1の仮想球体と同心で当該第1の仮想球体よりも大きな複数の第2の仮想球体の各半径を格納しており、一方の作業フロントの前記複数の第1の仮想球体のいずれかが他方の作業フロントの前記複数の第1の仮想球体のいずれかに干渉する場合、前記左右の作業フロントが互いに接触し得る干渉危険領域にあると判定し、一方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれかが他方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれかに干渉する場合、前記干渉危険領域に隣接し前記左右の作業フロントが停止した状態ではこれら左右の作業フロントは互いに接触しないが相対的に近付くときには接触し得る準干渉危険領域にあると判定し、一方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体が他方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれにも干渉しない場合、前記左右の作業フロントの動作状態によらずこれら左右の作業フロントは互いに干渉する恐れがない通常領域にあると判定、前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記角度検出器の検出信号を基に演算した前記左右の作業フロントの各基準点のうち最短距離にある2つの基準点間の距離を減少させる前記作業フロントの動作速度を減少させる信号を出力することを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記干渉防止制御部は、前記角度検出器の検出信号を基に演算した前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記左右の作業フロントが近付くにつれて連続的又は段階的に減速の度合を大きくすることを特徴とする。
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係が干渉危険領域にあって前記操作装置から前記左右の作業フロントが接近する方向の操作信号が入力された場合、前記左右の作業フロントの接近動作を停止させることで、前記左右の作業フロントの干渉を回避することを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係が干渉危険領域にあって前記操作装置から前記左右の作業フロントが接近する方向の操作信号が入力された場合、前記左右の作業フロントの動作方向を変更することで、前記左右の作業フロントの干渉を回避することを特徴とする。
本発明によれば、準干渉危険領域で作業フロントが接近する相対速度を減じることができるので、左右の作業フロントの干渉による作業フロントの破損を防止することができる。
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
<本体の構成>
図1は本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す側面図、図2はその平面図である。以下の説明において、図2における機体の上・下・左・右をそれぞれ機体の右・左・前・後とする。
図1及び図2に示したように、本実施形態の双腕作業機械には、走行装置1を備えた下部走行体2に上部旋回体3が旋回可能に取付けられ、上部旋回体3の左右方向のほぼ中央に運転室4が取付けられている。上部旋回体3には、その中心線3cを境として運転室4の前方右側及び前方左側には第1ブラケット6a及び第2ブラケット6bがそれぞれ設けられており、上部旋回体3における運転室4の側方及び後部の区画にはエンジンやポンプ等を内蔵したパワーユニット8が配置されている。
<第1作業フロントの構成>
第1ブラケット6aには、スイング式の第1作業フロントAが取付けられている。この第1作業フロントAは、第1ブラケット6aに縦軸回りに左右方向に揺動自在に取付けられたスイングポスト7aと、このスイングポスト7aに上下方向に揺動自在に取付けられたブーム10aと、このブーム10aに上下方向に揺動自在に取付けられたアーム12aと、このアーム12aに上下方向に回動自在に取付けられた第1作業具であるグラップル20aと、スイングポスト7aと上部旋回体3とに連結され、スイングポスト7aを縦軸回りに左右揺動させる揺動用シリンダ9aと、スイングポスト7aとブーム10aとに連結され、ブーム10aを上下揺動させるブームシリンダ11a(図示せず、第2作業フロントBのブームシリンダ11b参照)と、ブーム10aとアーム12aとに連結され、アーム12aを上下揺動させるアームシリンダ13aと、そのアーム12aとグラップル20aとに連結され、グラップル20aを上下回動させる作業具シリンダ15aとを有している。
グラップル20aは、バケット、ブレーカ、クラッシャ等の他の作業具に任意に交換可能である。
<第2作業フロントの構成>
第2作業フロントBは、上部旋回体3の前部右側に設けられている。これは第1作業フロントAと実質同様の構成で、第1作業フロントAと左右対称に構成されており、第1作業フロントAと同じ役割を果たす第2作業フロントBの部材には、第1作業フロントAの符号の添宇を「a」から「b」に変えて示すことにし、ここでは説明を省略する。
<操作装置の構成>
図3は本実施形態における操作装置を示す斜視図、図4は平面図である。
図3及び図4に示すように、運転室4内には運転席49が設置され、運転席49の左右両側には操作装置50a,50bが設けられている。操作装置50aは第1作業フロントA操作用の操作装置であり、操作装置50bは第2作業フロントB操作用の操作装置である。
操作装置50aは、運転席49の右側に設けられた操作アームブラケット51aと、この操作アームブラケット51aに揺動中心軸線73a回りに左右揺動自在に取付けられ、スイングポスト7aの左右の揺動を指示する操作アーム52aと、この操作アーム52aの先端部分に上下前後に回動自在に取付けられ、ブーム10a及びアーム12aの動作を指示する横置きの操作レバー54aと、この操作レバー54aの周囲に、操作レバー54aの軸心回りに回動自在に取付けられ、グラップル20aの回動を指示する作業具回動レバー55aと、操作レバー54aの先端部に取り付けられ、グラップル20aの始動・停止を指示する作業具操作スイッチ56aとを備えている。
また、操作装置50aは、操作アームブラケット51aに設けられ、操作アーム52aの揺動変位量を検出して信号を発信する操作アーム用変位検出器57aと、操作アーム52aに設けられ、操作レバー54aの上下方向の変位量を検出して信号を発信する操作レバー用上下方向変位検出器581aと、これと同様に前後方向の変位量を検出して信号を発信する操作レバー用前後方向変位検出器582aと、操作レバー54aに設けられ、作業具回動レバー55aの回転変位量を検出して信号を発信する回動レバー用変位検出器59aと、作業具回動レバー55aに設けられ、作業具操作スイッチ56aの変位量を検出して信号を発信する操作スイッチ用変位検出器60aとを有している。
操作装置50bは運転席の左側に設けられ、その構成は操作装置50aと実質同様で操作装置50aとほぼ左右対称に構成されている。操作装置50aの部材と同じ機能を果たす操作装置50bの部材には、操作装置50aの符号の添字を「a」から「b」に変えて示すことにし、ここでは説明を省略する。
<制御装置の構成>
図5は作業フロントA,Bの制御系の機能ブロック図である。なお、図5における括弧内の符号は第2作業フロントB又はその操作装置50b側の対応の構成要素をさしている。
図5に示した制御系は、大きく分類して、上記の操作装置の変位検出器や作業フロントの角度検出器(後述)等からなる入力系と、この入力系からの入力信号を受けて所定の演算をした後、駆動信号を生成し出力する制御装置61と、制御装置61からの出力信号を受け、作業フロントの対応の駆動装置を動作させる駆動系(後述)からなる出力系とから構成される。
制御装置61の入力系としては、上記の各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bや、スイングポスト7a,7bの揺動軸心(縦軸)付近に取付けられスイングポスト7a,7bの回転角を検出するスイングポスト角度検出器67a,67bといったセンサの他、運転室4内の適宜の位置に設けられ、干渉防止の有効/無効を切替える干渉防止用スイッチ110が設けられている。
また、制御装置61の出力系としては、スイングポスト7a,7bを左右揺動させるためのスイングポストシリンダ9a,9bを駆動するスイングポストシリンダ駆動系62a,62bと、ブーム10a,10bを上下揺動させるためのブームシリンダ11a,11bを駆動するブームシリンダ駆動系63a,63bと、アーム12a,12bを上下揺動させるためのアームシリンダ13a,13bを駆動するアームシリンダ駆動系64a,64bと、グラップル20a,20bを回動させるための作業具シリンダ15a,15bを駆動する作業具シリンダ駆動系65a,65bと、グラップル20a,20bの把持動作のための駆動装置(図示せず)を駆動する作業具駆動系66a,66bとが設けられている。
制御装置61は、操作アーム用変位検出器57a,57b、スイングポスト角度検出器67a,67bからの信号を基に、左右のスイングポスト7a,7bの角度差から干渉防止制御を行う干渉防止制御部61Fと、干渉防止制御部61Fからの出力信号を基にスイングポストシリンダ駆動系62a,62bへの駆動信号を生成する駆動信号生成部61Aと、操作レバー用上下方向変位検出器581a,581bからの信号を基にブームシリンダ駆動系63a,63bへの駆動信号を生成する駆動信号生成部61Bと、操作レバー用前後方向変位検出器582a,582bからの信号を基にアームシリンダ駆動系64a,64bへの駆動信号を生成する駆動信号生成部61Cと、作業具回動レバー用変位検出器59a,59bからの信号を基に作業具シリンダ駆動系65a,65bへの駆動信号を生成する駆動信号生成部61Dと、作業具操作スイッチ用変位検出器60a,60bからの信号を基に作業具駆動系66a,66bへの駆動信号を生成する駆動信号生成部61Eとを有している。
次に、図6及び図7を用いて、第1作業フロントA及び第2作業フロントBの動作について説明する。
図6は操作装置の操作方向を示す図、図7は操作装置の操作方向に対応する作業フロントの動作方向を示す図である。第2作業フロントB側の操作方向及び動作方向については各図中に括弧書きで示し説明を省略する。
<操作姿勢>
操作装置50a,50bを操作して第1作業フロントA及び第2作業フロントBを動かすには、操作者は運転席49に着座し、右腕の肘関節を操作アーム52a上のアームレスト53aの肘関節支持部77aに載せ、作業具回動レバー55aを握り作業具操作スイッチ56aに親指を懸けると共に、左腕の肘関節を操作アーム52b上のアームレスト53bの肘関節支持部77bに載せ、作業具回動レバー55bを握り作業具操作スイッチ56bに例えば親指を懸ける。
<操作レバー操作による動作>
上記作業姿勢をとり、把持した作業具回動レバー55a,55bを上下に操作することにより操作レバー54a,54bを上下方向(図6のy参照)に変位させると、操作レバー用上下方向変位検出器581a,581bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Bへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Bは、ブームシリンダ駆動系63a,63bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたブームシリンダ駆動系63a,63bは、ブームシリンダ11a,11bを伸縮させる。これによりブーム10a,10bが操作レバー54a,54bの回動方向と一致する向きに揺動(上下に回動)する(図7のY参照)。
このとき、ブーム10a,10bの揺動速度は、操作レバー54a,54bの変位量と単純増加の関係(例えば比例関係)にあり、操作レバー54a,54bの変位は、ブーム10a,10bの揺動を速度制御する。
同様に、把持した作業具回動レバー55a,55bを前後に操作することにより操作レバー54a,54bを前後方向(図16のx参照)に変位させると、操作レバー用前後方向変位検出器582a,582bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Cへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Cは、アームシリンダ駆動系64a,64bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたアームシリンダ駆動系64a,64bは、アームシリンダ13a,13bを伸縮させる。これによりアーム12a,12bが操作レバー54a,54bの回動方向と一致する向きに揺動(前後に回動)する(図7のX参照)。
このとき、アーム12a,12bの揺動速度は、操作レバー54a,54bの変位量と単純増加の関係(例えば比例関係)にあり、操作レバー54a,54bの変位は、アーム12a,12bの揺動を速度制御する。
<回動レバー操作による動作>
また、作業具回動レバー55a,55bを回動中心軸線74a,74b回りに回動させる(図6のz参照)と、作業具回動レバー用変位検出器59a,59bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Dへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Dは、作業具シリンダ駆動系65a,65bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具シリンダ駆動系65a,65bは、作業具シリンダ15a,15bを伸縮させる。これによりグラップル20a,20bが作業具回動レバー55a,55bの回動方向と一致する方向に回動する(図7のZ参照)。
このときのグラップル20a,20bの回動速度は作業具回動レバー55a,55bの変位量と単純増加の関係(例えば比例関係)にあり、作業具回動レバー55a,55bの変位はグラップル20a,20bの回動を速度制御する。
<操作スイッチ操作による動作>
また、作業具操作スイッチ56a,56bを操作すると、作業具操作スイッチ変位検出器60a,60bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Eへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Eは、作業具駆動系66a,66bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具駆動系66a,66bは、グラップル20a,20bの爪を開閉駆動させる。
このときのグラップル20a,20bの開閉速度は作業具操作スイッチ56a,56bの変位量と単純増加の関係(例えば比例関係)にあり、作業具操作スイッチ56a,56bの変位は作業具の駆動を速度制御する。
なお、前述したようにグラップル20a,20bは他の作業具と交換可能であるが、それ自体が動作する作業具を装着する場合、装着した作業具の動作が作業具操作スイッチ56a,56bにより指示される。例えば、作業具としてブレーカを用いるときには、作業具操作スイッチ56a,56bの操作により、ブレーカの動作がON/OFFされる。
<操作アーム操作による動作>
また、操作者が操作装置50a,50bの操作アーム52a,52bを例えば前腕部で左右に揺動させる(図6のw参照)と、操作アーム用変位検出器57a,57b及びスイングポスト角度検出器67a,67bは、制御装置61内の干渉防止制御部61F(後述)へ検出信号を発信する。干渉防止制御部61Fは、干渉防止スイッチ110からの入力信号がONのとき、左右の作業フロントA,Bの干渉防止を加味した指令信号を演算し駆動信号生成部61Aに発信する。駆動信号生成部61Aは、スイングポストシリンダ駆動系62a,62bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたスイングポストシリンダ駆動系62a,62bは、スイングポストシリンダ9a,9bを伸縮させる。これによりスイングポスト7a,7bが操作アーム52a,52bの変位方向と一致する方向に揺動される(図7のW参照)。
このとき、スイングポスト7a,7bの揺動速度は、操作アーム52a,52bの変位量と単純増加の関係(例えば比例関係)にあり、操作アーム52a,52bの変位は、スイングポスト7a,7bの揺動を速度制御する。
<干渉防止制御部による動作制御>
ここでは制御装置61内の干渉防止制御部61Fの演算内容について詳しく述べる。まず、図2に示すように、右スイングポスト7aの角度θa(>0)と左スイングポスト7bの角度θb(>0)とし、それらの角度差をθc(=θb−θa)とする。このとき、角度θa,θbのとり方は、左右のスイングポスト7a,7bで同じようにとれば足りるが、本例では、スイングポスト7a,7bの回動中心から右側方に向かって延びる基準線16a,16bに対して、それぞれ作業フロントA,Bの中心線17a,17bがなす角度を角度θa,θbとする。基準線16a,16bは互いに平行である。
図8は作業フロントA,Bの角度差θcと作業フロントA,Bの干渉/非干渉の関係を表した概念図である。
図8において、上記角度差θcと作業フロントA,Bの関係を見ると、角度差θcが0(ゼロ)より小さい閾値θc1よりも小さくなったときに、作業フロントA,Bが接触する。この閾値θc1の決め方は限定されないが、例えば閾値に最も大きく安全な値を設定する場合、作業フロントA,Bがともに最大旋回半径にあるとき、つまり作業フロントA,Bを水平方向に最大限に延ばしたときに、作業フロントA,Bが上部旋回体3の中心線3c上で接触する角度差(或いはそれよりも大きな値)を閾値θc1とする。干渉防止制御部61Fには、この閾値θc1が予め格納されており、この作業フロントA,Bが接触し得る角度差の範囲であるθc≦θc1の領域を干渉危険領域Nと定義する。
一方、θ>θc1の領域は作業フロントA,Bが停止した状態では機械構造的に干渉し得ない領域であっても、作業フロントA,Bの動作を急停止させることが難しいこともあるため、作業フロントA,Bが干渉しない領域内で操作していても干渉危険領域近くで作業フロントA,Bが相対的に近付く場合、動作速度によっては作業フロントA,Bが干渉危険領域に侵入し干渉する恐れがある。そこで、このことを考慮して設定された閾値θc2(>θc1)が干渉防止制御部61Fに格納されており、干渉危険領域に連続(隣接)する設定の角度差の範囲であるθc1<θc≦θc2の領域を準干渉危険領域Mと定義する。
θc>θc2の領域は作業フロントA,Bの動作状態によらず作業フロントA,Bの干渉の恐れがない通常領域Lと定義する。
図9は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係の一例を表す図である。
図9において、横軸は角度差θc、縦軸は出力信号を表している。出力信号は入力信号で除することによって無次元化してある。図9の例では、作業フロントA,Bの角度差θcが通常領域Lにあるとき、出力信号は1となり入力信号を基に演算された出力信号がそのまま出力される。作業フロントA,Bの角度差θcが準干渉危険領域Mにあるとき、出力信号はα(0<α<1)となり入力信号を基に演算された出力信号が一定のαを乗じることにより減じられ出力される。作業フロントA,Bの角度差θcが干渉危険領域Nにあるとき、出力信号は0となり作業フロントA,Bの旋回停止を指示する出力信号が出力される。
次に各領域における干渉防止制御部61Fの出力信号の演算手順を説明する。
i)通常領域L
左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcが通常領域L、つまり準干渉危険領域Mの外にある場合、干渉防止制御部61Fは、操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなくそのまま駆動信号生成部61Aに出力する。
ii)準干渉危険領域M
左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcが準干渉危険領域Mにあり、かつ操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号が、準干渉危険領域Mから干渉危険領域Nに近付く信号、つまり左右の作業フロントA,Bを相対的に近付ける動作を指令する信号であった場合、干渉防止制御部61Fは、操作アームの変位検出器57a,57bから得られた入力信号を基に演算した出力信号を減じて駆動信号生成部61Aに出力する。
逆に、左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcが準干渉危険領域Mにあっても、操作アーム用変位検出誰87a,87bからの入力信号が、準干渉危険領域Mから通常領域Lに近付く信号、つまり左右の作業フロントA,Bを相対的に遠ざける動作を指令する信号であった場合、干渉防止制御部61Fは、操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなくそのまま駆動信号生成部61Aに出力する。
iii)干渉危険領域N
左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcがすでに干渉危険領域Nにあり、かつ操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号が、準干渉危険領域Mからさらに遠ざかる信号、つまり左右の作業フロントA,Bをなお相対的に近付ける動作を指令する信号であった場合、干渉防止制御部61Fは、作業フロントA,Bの旋回動作を停止させる出力信号を生成し駆動信号生成部61Aに出力する。
しかし、左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcが干渉危険領域Nにあっても、操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号が、準干渉危険領域Mに近付く信号、つまり左右の作業フロントA,Bを相対的に遠ざける動作を指令する信号であった場合、干渉防止制御部61Fは、操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなくそのまま駆動信号生成部61Aに出力する。
<干渉防止制御のON/OFF>
上記で説明した干渉防止制御部61Fによる干渉防止制御は、上記干渉防止用スイッチ110からの入力信号によってON/OFFされる。つまり、干渉防止スイッチ110からの入力信号がONのとき干渉防止制御部61Fは干渉防止制御を有効にし、先に説明したように領域に応じて駆動信号生成部61Aへの出力信号のゲインを変化させる。それに対し、干渉防止スイッチ110からの入力信号がOFFのとき干渉防止制御部61Fは干渉防止制御を無効にし、領域に関わらず、入力信号を基に演算した出力信号を減じることなくそのまま駆動信号生成部61Aに出力する。つまり、図9における出力信号を各領域で常時1とする。
<作用効果>
上記のように動作する双腕作業機械によれば、左右の作業フロントA,Bを備えているため、例えば自動車解体作業において第1作業フロントAにて自動車の車体を固定し、第2作業フロントBで自動車の部品を取り外すことができる。また、ブレーカやクラッシャ、鉄筋カッタ等を用いて構造物を破壊する際、一方の作業フロントで構造物を把持し他方の作業フロントで構造物を破壊することができる。また、解体対象に保護すべき部分がある場合には、それが落下しないように事前にクレーン等で吊っておかなくても、2本の作業フロントA,Bによって保護すべき部分を落下させないように作業することができ、少なく作業人員で効率良く作業することができる。
そして、本実施形態によれば、準干渉危険領域Mを設け、作業フロントA,Bの位置関係が準干渉危険領域M内で接近する場合、干渉危険領域Nに侵入する前に作業フロントA,Bの相対的な動作速度を減少させることができるので、左右の作業フロントA,Bが干渉することによって破壊されることを防止することができる。
なお、上記では、干渉防止制御時に作業フロントA,Bのどちらの旋回速度を減じるのか説明していないが、例えば、作業フロントA,Bが両方ともが旋回動作する場合、双方が互いに接近するときには双方の旋回動作を減速させ、双方が同方向に旋回しその旋回速度の差によって作業フロントA,Bが接近する場合には、双方の旋回速度を減速させても良いし、他方の作業フロントに向かって旋回する方の作業フロントの旋回速度を減じても良い。言うまでもないが、一方の作業フロントが旋回動作せず、他方の作業フロントのみが旋回し一方の作業フロントに近付く場合、その他方の作業フロントの旋回速度が減じられる。
また、作業フロントA,Bの位置関係が準干渉危険領域にあるときに干渉防止制御部61Fが出力する出力信号の大きさは、図9に示した態様(減算率αが一定)に限られず、段階的に減算率を下げていくようにしても良いし、次に例示したような態様としても良い。
<変形例1>
図10は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係の他の例を表す図である。図10における横軸・縦軸は図9と同様である。
すなわち、図10に示した例では、準干渉危険領域Mにおける出力信号が、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されており、特に本例では不連続点のない非線型曲線によって定義されている。この場合、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図9に示した例に比べ、スイングポストシリンダ9a,9bを緩やかに停止させることが可能となる。また、本例のように不連続点を持たない非線形曲線で角度差θcと出力信号との関係を定義することにより、よりスムースに作業フロントA,Bの旋回動作を緩停止させることができる。
<変形例2>
図11は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係のさらに他の例を表す図である。図11における横軸・縦軸は図9と同様である。
すなわち、図11に示した例でも、準干渉危険領域Mにおける出力信号は、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されているが、本例では一定の傾きの線形直線により定義されており、通常領域L・干渉危険領域Nの出力信号との接続点が不連続点となっている。このように構成しても、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図9に示した例に比べ、スイングポストシリンダ9a,9bを緩やかに停止させることが可能となる。
<変形例3>
図12〜図14は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係のさらに他の例を表す図である。これらの図における横軸は図9と同様に角度差θcであるが、縦軸は出力信号の上限値を表している。
すなわち、図9〜図11に示した例が、準干渉危険領域Mにおいて入力信号に応じて算出した出力信号に係数を乗ずることで旋回速度を減じていたのに対し、図12〜図14に示した例では、旋回速度の上限値を各図のように設定し、準干渉危険領域Mにおける作業フロントA,Bの旋回速度を制限することで旋回速度を減じるものである。どれだけ操作量が大きくても出力信号は上限値以内に抑えられる。このようにしても図9〜図11の例とほぼ同様の効果が得られる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態では旋回角度差θcで干渉危険領域Nや準干渉危険領域Mを定義して角度差θcのみを基に作業フロントA,Bの旋回動作を制御したのに対し、本実施形態では角度差θcに加えて作業フロントA,Bの姿勢(例えば上下位置)も考慮に入れて干渉危険領域N・準干渉危険領域M・通常領域Lを定義し、作業フロントA,Bの旋回動作・上下揺動に関わる動作を適宜制御して作業フロントA,Bの干渉を防止する。なお、作業フロントA,Bの上下揺動に関わる動作とは、ブーム10a,10b、アーム12a,12b、グラップル20a,20bの揺動動作を指し、ブーム10a,10b、アーム12a,12b、グラップル20a,20bの姿勢は、スイングポスト7a,7bに対するブーム10a,10bの回動角度、ブーム10a,10bに対するアーム12a,12bに対する回動角度、及びアーム12a,12bに対するグラップル20a,20bの回動角度を基に算出される。
<制御装置の説明>
図15は第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた作業フロントA,Bの制御系の機能ブロック図である。
図15に示したように、本実施の形態では、制御装置61Aの入力系として、図5に示した各検出器57a,57b,67a,67b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60b及び干渉防止用スイッチ110の他、スイングポスト7a,7bに対するブーム10a,10bの回動角度を検出するブーム角度検出器68a,68b、ブーム10a,10bに対するアーム12a,12bの回動角度を検出するアーム角度検出器69a,69b、及びアーム12a,21bに対するグラップル20a,20bの回動角度を検出する作業具角度検出器70a,70bがさらに設けられている。
制御装置61Aでは、上記の操作装置50a,50bの各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59bからの信号、作業フロントA,Bの各角度検出器67a,67b,68a,68b,69a,69b,70a,70bからの信号、及び干渉防止用スイッチ110からの信号は干渉防止制御部61FAに入力される。干渉防止制御部61FAは、これらの入力信号を基に、左右の作業フロントA,Bの位置関係(角度差θc及び姿勢)を演算し、作業フロントA,Bの旋回角度及び姿勢を考慮して作業フロントA,Bの干渉を防止する(後述)。駆動信号生成部61A〜61Eへの出力信号は、各入力信号を基に干渉防止制御部61FAで演算され、対応する駆動信号生成部に出力される。
<干渉防止制御>
ここでは、干渉防止制御時における干渉防止制御部61FAの各駆動信号生成部への出力信号の演算手順について説明する。
干渉防止制御の手順の概略は次の通りである。
ステップ1:作業フロントに対し、干渉防止制御の基準とする複数の干渉防止基準点を設定する。
ステップ2:リンク演算により干渉防止基準点の位置座標を算出する。
ステップ3:左右の作業フロントの干渉防止基準点のうち最短距離にある二点を抽出しその二点間距離(最短基準転換距離)を算出する。
ステップ4:最短基準点間距離から領域判定を行う。
ステップ5:領域判定の結果と操作信号から干渉防止を加味した出力信号を生成し対応の駆動信号生成部に出力する。
各ステップの処理内容は次の通りである。
<ステップ1:干渉防止基準点の設定>
図16は本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す側面図、図17はその平面図である。
このステップでは、図16及び図17に例示したように、左右の作業フロントA,B(ブーム10a,10b、アーム12a,12b、グラップル20a,20b)に対し、干渉防止制御の基準となる複数の干渉防止基準点120の位置や数量を設定する(プリセット値としても良い)。
例えば、左右の作業フロントA,Bの干渉防止基準点120の数をそれぞれm,nとし、第1作業フロントAの干渉防止基準点120i(i=0,1,2・・・m)を中心とする仮想球体の干渉危険半径をRi(i=0,1,2・・・m)、準干渉危険半径をRQi(i=0,1,2・・・m、RQi>Ri)、第2作業フロントBを中心とする仮想球体干渉防止基準点120j(j=0,1,2・・・n)の干渉危険半径をRj(j:0,1,2・・・n)、準干渉危険半径をRQj(j=0,1,2・・・n、RQj>Rj)と設定する。
ここで干渉危険半径Ri,Rjとは、この半径よりがもう一方の作業フロントの干渉危険半径と干渉した場合に作業フロントA,Bが接触する危険性がある半径を指す。本実施形態では、作業フロントA,Bは、干渉防止基準点120i,120jをそれぞれ中心とする半径Ri,Rjの複数の仮想球体を繋げて形成した筒状の仮想空間に包囲された格好となり、この仮想空間が他方の作業フロントの同様の仮想空間と干渉するような作業フロントA,Bの三次元的な位置関係の範囲が干渉危険領域Nとなる。
さらに、干渉危険領域Nは、干渉防止基準点120i,120jをそれぞれ中心とする半径RQi,RQjの複数の仮想球体を繋げて形成した筒状の仮想空間に包囲された格好となり、この仮想空間が他方の作業フロントの同様の仮想空間と干渉するような作業フロントA,Bの三次元的な位置関係の範囲が準干渉危険領域Mとなる。つまり、準干渉危険領域Mは干渉危険領域Nに隣接し干渉危険領域を包囲している。
それ以外の領域、つまり作業フロントA,Bが全く接触する恐れのない位置関係の範囲が通常領域Lである。これら領域の定義については後に図18を用いて説明する。
<ステップ2:干渉防止基準点の位置座標>
まず上部旋回体3に基準座標系130を設ける。本実施形態では、図に示すように上部旋回体3の旋回中心線3a上で、上部旋回体3の下面と交差する点を基準座標系原点130aとしている。また、各座標軸の方向は図に示すように、基準座標系原点130aを原点として上部旋回体3の右方向にX軸、前方向にY軸、上方向にZ軸を採っている。
次に、左右の作業フロントA,Bの各角度検出器67a,67b,68a,68b,69a,69b,70a,70bからの信号を基に、全ての干渉防止基準点120i,120jの基準座標系130における位置座標を算出する。ここで、算出した基準座標系130における第1作業フロントAの干渉防止基準点120iの位置座標をPi(xi,yi,zi)、第2作業フロントBの干渉防止基準点120jの位置座標をPj(xj,yj,zj)とする。
<ステップ3:基準点間距離>
ここで、上述の位置座標Pi,Pjから、第1作業フロントAの全ての干渉防止基準点120iと、この干渉防止基準点120iに対し接触する可能性がある第2作業フロントBの全ての干渉防止基準点120jとの基準点間距離sijを計算する。
sijは、sij=|Pi−Pj|={(xi−xj)2+(yi−yj)2+(zi−zj)2}1/2と求められる。そして、基準点間距離Sijから干渉危険半径の和(Ri+Rj)を差し引いた差分(=Sij−(Ri+Rj))が最小となる干渉防止基準点120i,120jを抽出し、それら2つの基準点間距離Sijを最短基準点間距離Smと置く。
<ステップ4:干渉領域判定>
図18は作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smと作業フロントA,Bの干渉/非干渉の関係を表した概念図である。
干渉防止制御部61Fには、上述した通常領域L、準干渉危険領域M、干渉危険領域Nが図18に示すように定義され、格納されている。ここで、抽出された2つの干渉防止基準点120i,120j間の距離である最短基準点間距離Smが、干渉防止基準点120i,120jに設定された干渉危険半径の和(Ri+Rj)以下となる領域、つまりSm≦(Ri+Rj)となる領域を干渉危険領域Nとする。また、最短基準点間距離Smが干渉危険半径の和(Ri+Rj)よりも大きく準干渉危険半径の和(RQi+RQj)以下となる領域、つまり(Ri+Rj)<Sm≦(RQi+RQj)となる領域を準干渉危険領域Mとする。最短基準点間距離Smが準干渉危険半径の和(RQi+RQj)よりも大きい領域、つまりSm>(RQi+RQj)となる領域を通常領域Lとする。
なお、最短基準点間距離Smが準干渉危険半径の和(RQi+RQj)よりも大きく、上記の判定では通常領域Lにある場合であっても、左右の作業フロントA,Bが左右に交差している場合、つまり、第2作業フロントBの干渉防止基準点120jのx座標xiが第1作業フロントAの干渉防止基準点120iのx座標xjよりも大きく(xi−xj)<0となる場合、この作業フロントA,Bの位置関係を準干渉危険領域Mと判定するようにしてもよい。
また、最短基準点間距離Smが準干渉危険半径の和(RQi+RQj)以下である場合、つまりSm≦(RQi+RQj)となる領域全てを準干渉危険領域Mとし、干渉危険領域Nを省略する構成としても良い。
<ステップ5:干渉領域判定による出力信号生成>
図19は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係の一例を表す図である。横軸は最短基準点間距離Sm、縦軸は出力信号をそれぞれ表しており、無次元化してある。図19に示した例は、最短基準点間距離Smが干渉危険領域Nに入ると、最短基準点間距離Smを減少させる動作を指示している出力信号をある一定比率α(0<α<1)だけ減少させることで、各シリンダ9a,9b,11a,11b,13a,13b,15a,15bのうち最短基準点間距離Smを減少させる作業フロントの動作速度を減少さる例である。次に各領域における干渉防止制御部61FAの出力信号の演算手順を詳しく説明する。
i)通常領域L
左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが通常領域Lにある場合、干渉防止制御部61FAは、操作装置50a,50bの各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなく、そのまま対応の駆動信号生成部に出力する。
ii)準干渉危険領域M
左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが準干渉危険領域Mにあり、かつ各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号が、最短基準点間距離Smが縮まる方向、つまり左右の作業フロントA,Bが近づく方向の信号であった場合、干渉防止制御部61FAは、各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bから得られた入力信号を基に演算した出力信号を減じて対応の駆動信号生成部に出力する。
逆に、作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが準干渉危険領域Mにあっても、各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号が、最短基準点間距離Smが広がる方向、つまり左右の作業フロントA,Bが離れる方向の信号であった場合は、干渉防止制御部61FAは、各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなく、そのまま対応の駆動信号生成部に出力する。
iii)干渉危険領域N
左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが干渉危険領域Nにあり、かつ各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号が、最短基準点間距離Smが縮まる方向、つまり左右の作業フロントA,Bが近づく方向の信号であった場合、干渉防止制御部61FAは、左右の作業フロントA,Bの動作を停止させる出力信号を生成し対応の駆動信号生成部に出力する。この場合、各駆動信号生成部への出力信号のうち、作業フロントA,Bを近付ける方向成分となる動作のみを停止させるようにしても良い。
しかし、左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが干渉危険領域Nにあっても、各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号が、最短基準点間距離Smが広がる方向、つまり左右の作業フロントA,Bが離れる方向の信号であった場合、干渉防止制御部61FAは、各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなく、そのまま対応の駆動信号生成部に出力する。
<干渉防止制御の切換え>
本実施形態の干渉防止制御部61FAも、運転室4内に設けた干渉制御用スイッチ110からの入力信号により干渉防止制御の有効/無効を切替える構成とすることができるが、干渉防止制御を単にON/OFFするのではなく、第1実施形態の干渉防止制御と本実施形態の干渉防止制御とを切り替える構成とする、或いはそのような切り替えをON/OFF切り替えに加える構成とすることも考えられる。
<作用効果>
上記のように動作する本実施形態の双腕作業機械においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態では、作業フロントA,Bの姿勢に関わらず作業フロントA,Bの角度差に応じて作業フロントA,Bの旋回速度を制御した。この場合、作業フロントA,Bの座標位置が上下にずれていて干渉危険領域Nに侵入しても作業フロントA,Bが接触しないときでも、旋回動作が抑制されてしまうことがある。それに対し、本実施形態によれば、作業フロントA,Bの角度差のみならず姿勢を見て作業フロントA,Bの動作速度を制御するので、二次元的に干渉/非干渉を判断して作業フロントA,Bが接触する恐れがないのに作業フロントA,Bの動作速度を減じてしまう(或いは停止させてしまう)といったことが生じない。
なお、上記では、干渉防止制御時に作業フロントA,Bのどちらの旋回速度を減じるのか説明していないが、例えば、作業フロントA,Bが両方ともが動作する場合、双方が互いに接近するときには双方の接近する方向の動作を減速させ、双方が同方向に動作しその動作速度の差によって作業フロントA,Bが接近する場合には、双方の動作速度を減速させても良いし、他方の作業フロントに向かって接近する方の作業フロントの動作速度を減じても良い。言うまでもないが、一方の作業フロントが動作せず、他方の作業フロントのみが動作し一方の作業フロントに近付く場合、その他方の作業フロントの動作速度が減じられる。例えば、旋回動作により接近する場合に限らず、左右方向にクロスした状態の作業フロントA,Bが互いに上下方向に動作して上下に干渉する場合、上下方向への動作を減じ、必要であれば停止させる。
また、作業フロントA,Bの位置関係が準干渉危険領域Mにあるときに干渉防止制御部61FAが出力する出力信号の大きさは、図19に示した態様(減算率αが一定)に限られず、段階的に減算率を下げていくようにしても良いし、次に例示したような態様としても良い。
<変形例1>
図20は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係の他の例を表す図である。図20における横軸・縦軸は図19と同様である。
すなわち、図20に示した例では、準干渉危険領域Mにおける出力信号が、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されており、特に本例では不連続点のない非線型曲線によって定義されている。この場合、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図19に示した例に比べ、作業フロントA,Bを緩やかに停止させることが可能となる。また、本例のように不連続点を持たない非線形曲線で最短基準点間距離Smと出力信号との関係を定義することにより、よりスムースに作業フロントA,Bの旋回動作を緩停止させることができる。
<変形例2>
図21は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係のさらに他の例を表す図である。図21における横軸・縦軸は図19と同様である。
すなわち、図21に示した例でも、準干渉危険領域Mにおける出力信号は、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されているが、本例では一定の傾きの線形直線により定義されており、通常領域L・干渉危険領域Nの出力信号との接続点が不連続点となっている。このように構成しても、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図9に示した例に比べ、作業フロントA,Bを緩やかに停止させることが可能となる。
<変形例3>
図22〜図24は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係のさらに他の例を表す図である。これらの図における横軸は図19と同様に最短基準点間距離Smであるが、縦軸は出力信号の上限値を表している。
すなわち、図19〜図21に示した例が、準干渉危険領域Mにおいて入力信号に応じて算出した出力信号に係数を乗ずることで動作速度を減じていたのに対し、図22〜図24に示した例では、動作速度の上限値を各図のように設定し、準干渉危険領域Mにおける作業フロントA,Bの動作速度を制限することで動作速度を減じるものである。どれだけ操作量が大きくても出力信号は上限値以内に抑えられる。このようにしても図19〜図21の例とほぼ同様の効果が得られる。
なお、以上においては、準干渉危険領域Mで作業フロントの動作を減速させ、干渉危険領域Nでなお作業フロントが干渉する恐れがある場合、作業フロントを停止させる場合を例に挙げて説明したが、例えば動作を減速してもなお作業フロントA,Bが干渉する恐れがあるとき、一方又は双方の作業フロントの動作方向を変更することにより干渉を回避することも考えられる。例えば、旋回方向に動作して作業フロントA,Bが干渉する場合、その動作方向に直交する方向(上下方向)成分の動作速度を付与(又は増速)し、作業フロントA,Bの位置関係を上下にずらして干渉を回避するようにすることもできる。勿論、上下揺動して作業フロントA,Bが干渉する場合、作業フロントA,Bが互いに離れる方向の旋回速度を付与(又は増速)し、作業フロントA,Bの位置関係を左右にずらして干渉を避けるようにすることもできる。
また、以上においては、運転室4内の操作装置50a,50bで作業フロントA,Bの動作を指示する場合を例示して説明したが、運転室4外の操作者が作業フロントA,Bを無線操作式の操作装置によって操作する場合も考えられる。このような場合にも本発明は適用可能であり、適用した場合には同様の効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた操作装置を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた操作装置を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた作業フロントの制御系の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた操作装置の操作方向を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた操作装置の操作方向に対応する作業フロントの動作方向を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントの角度差と左右の作業フロントの干渉/非干渉の関係を表した概念図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの角度差との関係の一例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの角度差との関係の他の例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの角度差との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの角度差との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの角度差との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの角度差との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた作業フロントの制御系の機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントの最短基準点間距離と左右の作業フロントの干渉/非干渉の関係を表した概念図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの最短基準点間距離との関係の一例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの最短基準点間距離との関係の他の例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの最短基準点間距離との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの最短基準点間距離との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの最短基準点間距離との関係のさらに他の例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた左右の作業フロントが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部の出力信号の大きさと左右の作業フロントの最短基準点間距離との関係のさらに他の例を表す図である。
符号の説明
1 走行装置
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 運転室
7a,b スイングポスト
50a,b 操作装置
57a,b 操作アーム用変位検出器
60a,b 作業具操作スイッチ用変位検出器
61F 干渉防止制御部
61FA 干渉防止制御部
67a,b スイングポスト角度検出器
68a,b ブーム角度検出器
69a,b アーム角度検出器
70a,b 作業具角度検出器
110 干渉防止用スイッチ
581a,b 操作レバー用上下方向変位検出器
582a,b 操作レバー用前後方向変位検出器
583a,b 作業具回動レバー用変位検出器
A,B 作業フロント
L 通常領域
M 準干渉危険領域
N 干渉危険領域
Sm 最短基準点間距離
θc 角度差

Claims (5)

  1. 走行装置を備えた下部走行体と、この下部走行体の上部に設けられ運転室を備えた上部車体と、この上部車体の前部の左右両側にそれぞれ左右方向に旋回自在に設けた左右のスイングポストと、これら左右のスイングポストにそれぞれ上下に揺動自在に設けた左右の作業フロントと、前記スイングポストと前記作業フロントの動作を指示する操作装置を有する双腕作業機械において、
    前記左右のスイングポストの旋回角度をそれぞれ検出する角度検出器と、
    前記角度検出器からの検出信号を基に算出した前記左右の作業フロントの角度差及び前記操作装置からの指令信号に基づき、前記スイングポストを旋回動作させる出力信号を生成する干渉防止制御部を備え、
    前記干渉防止制御部は、
    前記左右の作業フロントの位置関係を判定する第1及び第2の閾値を格納しており、
    算出した前記角度差が前記第1の閾値以下である場合、前記左右の作業フロントが互いに接触し得る干渉危険領域にあると判定し、
    前記角度差が前記第1の閾値より大きく前記第2の閾値以下である場合、前記干渉危険領域に隣接し前記左右の作業フロントが停止した状態ではこれら左右の作業フロントは互いに接触しないが相対的に近付くときには接触し得る準干渉危険領域にあると判定し、
    前記角度差が前記第2の閾値より大きい場合、前記左右の作業フロントの動作状態によらずこれら左右の作業フロントは互いに干渉する恐れがない通常領域にあると判定
    記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記スイングポストの旋回速度を減少させる信号を出力する
    ことを特徴とする双腕作業機械。
  2. 走行装置を備えた下部走行体と、この下部走行体の上部に設けられ運転室を備えた上部車体と、この上部車体の前部の左右両側にそれぞれ左右方向に旋回自在に設けた左右のスイングポストと、これら左右のスイングポストにそれぞれ上下に揺動自在に設けた左右の作業フロントと、前記スイングポストと前記作業フロントの動作を指示する操作装置を有する双腕作業機械において、
    前記左右のスイングポストの旋回角度をそれぞれ検出する角度検出器と、
    前記左右の作業フロントの上下の回動角度を検出する角度検出器と、
    各角度検出器からの検出信号を基に算出した前記左右の作業フロントの角度差、姿勢及び前記操作装置からの指令信号に基づき、前記スイングポスト及び作業フロントを動作させる出力信号を生成する干渉防止制御部を備え、
    前記干渉防止制御部は、
    前記左右の作業フロント上にそれぞれ設けた複数の基準点、これら複数の基準点をそれぞれ中心とする複数の第1の仮想球体の各半径、及び各第1の仮想球体と同心で当該第1の仮想球体よりも大きな複数の第2の仮想球体の各半径を格納しており、
    一方の作業フロントの前記複数の第1の仮想球体のいずれかが他方の作業フロントの前記複数の第1の仮想球体のいずれかに干渉する場合、前記左右の作業フロントが互いに接触し得る干渉危険領域にあると判定し、
    一方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれかが他方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれかに干渉する場合、前記干渉危険領域に隣接し前記左右の作業フロントが停止した状態ではこれら左右の作業フロントは互いに接触しないが相対的に近付くときには接触し得る準干渉危険領域にあると判定し、
    一方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体が他方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれにも干渉しない場合、前記左右の作業フロントの動作状態によらずこれら左右の作業フロントは互いに干渉する恐れがない通常領域にあると判定
    記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記角度検出器の検出信号を基に演算した前記左右の作業フロントの各基準点のうち最短距離にある2つの基準点間の距離を減少させる前記作業フロントの動作速度を減少させる信号を出力する
    ことを特徴とする双腕作業機械。
  3. 請求項1又は2の双腕作業機械において、前記干渉防止制御部は、前記角度検出器の検出信号を基に演算した前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記左右の作業フロントが近付くにつれて連続的又は段階的に減速の度合を大きくすることを特徴とする双腕作業機械。
  4. 請求項1〜3のいずれかの双腕作業機械において、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係が干渉危険領域にあって前記操作装置から前記左右の作業フロントが接近する方向の操作信号が入力された場合、前記左右の作業フロントの接近動作を停止させることで、前記左右の作業フロントの干渉を回避することを特徴とする双腕作業機械。
  5. 請求項1〜3のいずれかの双腕作業機械において、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係が干渉危険領域にあって前記操作装置から前記左右の作業フロントが接近する方向の操作信号が入力された場合、前記左右の作業フロントの動作方向を変更することで、前記左右の作業フロントの干渉を回避することを特徴とする双腕作業機械。
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