JP4823767B2 - 双腕作業機械 - Google Patents
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Description
(第1実施形態)
<本体の構成>
図1は本発明の第1実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す側面図、図2はその平面図である。以下の説明において、図2における機体の上・下・左・右をそれぞれ機体の右・左・前・後とする。
図1及び図2に示したように、本実施形態の双腕作業機械には、走行装置1を備えた下部走行体2に上部旋回体3が旋回可能に取付けられ、上部旋回体3の左右方向のほぼ中央に運転室4が取付けられている。上部旋回体3には、その中心線3cを境として運転室4の前方右側及び前方左側には第1ブラケット6a及び第2ブラケット6bがそれぞれ設けられており、上部旋回体3における運転室4の側方及び後部の区画にはエンジンやポンプ等を内蔵したパワーユニット8が配置されている。
第1ブラケット6aには、スイング式の第1作業フロントAが取付けられている。この第1作業フロントAは、第1ブラケット6aに縦軸回りに左右方向に揺動自在に取付けられたスイングポスト7aと、このスイングポスト7aに上下方向に揺動自在に取付けられたブーム10aと、このブーム10aに上下方向に揺動自在に取付けられたアーム12aと、このアーム12aに上下方向に回動自在に取付けられた第1作業具であるグラップル20aと、スイングポスト7aと上部旋回体3とに連結され、スイングポスト7aを縦軸回りに左右揺動させる揺動用シリンダ9aと、スイングポスト7aとブーム10aとに連結され、ブーム10aを上下揺動させるブームシリンダ11a(図示せず、第2作業フロントBのブームシリンダ11b参照)と、ブーム10aとアーム12aとに連結され、アーム12aを上下揺動させるアームシリンダ13aと、そのアーム12aとグラップル20aとに連結され、グラップル20aを上下回動させる作業具シリンダ15aとを有している。
グラップル20aは、バケット、ブレーカ、クラッシャ等の他の作業具に任意に交換可能である。
第2作業フロントBは、上部旋回体3の前部右側に設けられている。これは第1作業フロントAと実質同様の構成で、第1作業フロントAと左右対称に構成されており、第1作業フロントAと同じ役割を果たす第2作業フロントBの部材には、第1作業フロントAの符号の添宇を「a」から「b」に変えて示すことにし、ここでは説明を省略する。
図3は本実施形態における操作装置を示す斜視図、図4は平面図である。
図3及び図4に示すように、運転室4内には運転席49が設置され、運転席49の左右両側には操作装置50a,50bが設けられている。操作装置50aは第1作業フロントA操作用の操作装置であり、操作装置50bは第2作業フロントB操作用の操作装置である。
図5は作業フロントA,Bの制御系の機能ブロック図である。なお、図5における括弧内の符号は第2作業フロントB又はその操作装置50b側の対応の構成要素をさしている。
図5に示した制御系は、大きく分類して、上記の操作装置の変位検出器や作業フロントの角度検出器(後述)等からなる入力系と、この入力系からの入力信号を受けて所定の演算をした後、駆動信号を生成し出力する制御装置61と、制御装置61からの出力信号を受け、作業フロントの対応の駆動装置を動作させる駆動系(後述)からなる出力系とから構成される。
図6は操作装置の操作方向を示す図、図7は操作装置の操作方向に対応する作業フロントの動作方向を示す図である。第2作業フロントB側の操作方向及び動作方向については各図中に括弧書きで示し説明を省略する。
操作装置50a,50bを操作して第1作業フロントA及び第2作業フロントBを動かすには、操作者は運転席49に着座し、右腕の肘関節を操作アーム52a上のアームレスト53aの肘関節支持部77aに載せ、作業具回動レバー55aを握り作業具操作スイッチ56aに親指を懸けると共に、左腕の肘関節を操作アーム52b上のアームレスト53bの肘関節支持部77bに載せ、作業具回動レバー55bを握り作業具操作スイッチ56bに例えば親指を懸ける。
上記作業姿勢をとり、把持した作業具回動レバー55a,55bを上下に操作することにより操作レバー54a,54bを上下方向(図6のy参照)に変位させると、操作レバー用上下方向変位検出器581a,581bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Bへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Bは、ブームシリンダ駆動系63a,63bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたブームシリンダ駆動系63a,63bは、ブームシリンダ11a,11bを伸縮させる。これによりブーム10a,10bが操作レバー54a,54bの回動方向と一致する向きに揺動(上下に回動)する(図7のY参照)。
また、作業具回動レバー55a,55bを回動中心軸線74a,74b回りに回動させる(図6のz参照)と、作業具回動レバー用変位検出器59a,59bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Dへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Dは、作業具シリンダ駆動系65a,65bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具シリンダ駆動系65a,65bは、作業具シリンダ15a,15bを伸縮させる。これによりグラップル20a,20bが作業具回動レバー55a,55bの回動方向と一致する方向に回動する(図7のZ参照)。
また、作業具操作スイッチ56a,56bを操作すると、作業具操作スイッチ変位検出器60a,60bは、制御装置61内の駆動信号生成部61Eへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部61Eは、作業具駆動系66a,66bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具駆動系66a,66bは、グラップル20a,20bの爪を開閉駆動させる。
また、操作者が操作装置50a,50bの操作アーム52a,52bを例えば前腕部で左右に揺動させる(図6のw参照)と、操作アーム用変位検出器57a,57b及びスイングポスト角度検出器67a,67bは、制御装置61内の干渉防止制御部61F(後述)へ検出信号を発信する。干渉防止制御部61Fは、干渉防止スイッチ110からの入力信号がONのとき、左右の作業フロントA,Bの干渉防止を加味した指令信号を演算し駆動信号生成部61Aに発信する。駆動信号生成部61Aは、スイングポストシリンダ駆動系62a,62bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたスイングポストシリンダ駆動系62a,62bは、スイングポストシリンダ9a,9bを伸縮させる。これによりスイングポスト7a,7bが操作アーム52a,52bの変位方向と一致する方向に揺動される(図7のW参照)。
ここでは制御装置61内の干渉防止制御部61Fの演算内容について詳しく述べる。まず、図2に示すように、右スイングポスト7aの角度θa(>0)と左スイングポスト7bの角度θb(>0)とし、それらの角度差をθc(=θb−θa)とする。このとき、角度θa,θbのとり方は、左右のスイングポスト7a,7bで同じようにとれば足りるが、本例では、スイングポスト7a,7bの回動中心から右側方に向かって延びる基準線16a,16bに対して、それぞれ作業フロントA,Bの中心線17a,17bがなす角度を角度θa,θbとする。基準線16a,16bは互いに平行である。
図8において、上記角度差θcと作業フロントA,Bの関係を見ると、角度差θcが0(ゼロ)より小さい閾値θc1よりも小さくなったときに、作業フロントA,Bが接触する。この閾値θc1の決め方は限定されないが、例えば閾値に最も大きく安全な値を設定する場合、作業フロントA,Bがともに最大旋回半径にあるとき、つまり作業フロントA,Bを水平方向に最大限に延ばしたときに、作業フロントA,Bが上部旋回体3の中心線3c上で接触する角度差(或いはそれよりも大きな値)を閾値θc1とする。干渉防止制御部61Fには、この閾値θc1が予め格納されており、この作業フロントA,Bが接触し得る角度差の範囲であるθc≦θc1の領域を干渉危険領域Nと定義する。
図9において、横軸は角度差θc、縦軸は出力信号を表している。出力信号は入力信号で除することによって無次元化してある。図9の例では、作業フロントA,Bの角度差θcが通常領域Lにあるとき、出力信号は1となり入力信号を基に演算された出力信号がそのまま出力される。作業フロントA,Bの角度差θcが準干渉危険領域Mにあるとき、出力信号はα(0<α<1)となり入力信号を基に演算された出力信号が一定のαを乗じることにより減じられ出力される。作業フロントA,Bの角度差θcが干渉危険領域Nにあるとき、出力信号は0となり作業フロントA,Bの旋回停止を指示する出力信号が出力される。
i)通常領域L
左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcが通常領域L、つまり準干渉危険領域Mの外にある場合、干渉防止制御部61Fは、操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなくそのまま駆動信号生成部61Aに出力する。
左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcが準干渉危険領域Mにあり、かつ操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号が、準干渉危険領域Mから干渉危険領域Nに近付く信号、つまり左右の作業フロントA,Bを相対的に近付ける動作を指令する信号であった場合、干渉防止制御部61Fは、操作アームの変位検出器57a,57bから得られた入力信号を基に演算した出力信号を減じて駆動信号生成部61Aに出力する。
左右のスイングポスト7a,7bの角度差θcがすでに干渉危険領域Nにあり、かつ操作アーム用変位検出器57a,57bからの入力信号が、準干渉危険領域Mからさらに遠ざかる信号、つまり左右の作業フロントA,Bをなお相対的に近付ける動作を指令する信号であった場合、干渉防止制御部61Fは、作業フロントA,Bの旋回動作を停止させる出力信号を生成し駆動信号生成部61Aに出力する。
上記で説明した干渉防止制御部61Fによる干渉防止制御は、上記干渉防止用スイッチ110からの入力信号によってON/OFFされる。つまり、干渉防止スイッチ110からの入力信号がONのとき干渉防止制御部61Fは干渉防止制御を有効にし、先に説明したように領域に応じて駆動信号生成部61Aへの出力信号のゲインを変化させる。それに対し、干渉防止スイッチ110からの入力信号がOFFのとき干渉防止制御部61Fは干渉防止制御を無効にし、領域に関わらず、入力信号を基に演算した出力信号を減じることなくそのまま駆動信号生成部61Aに出力する。つまり、図9における出力信号を各領域で常時1とする。
上記のように動作する双腕作業機械によれば、左右の作業フロントA,Bを備えているため、例えば自動車解体作業において第1作業フロントAにて自動車の車体を固定し、第2作業フロントBで自動車の部品を取り外すことができる。また、ブレーカやクラッシャ、鉄筋カッタ等を用いて構造物を破壊する際、一方の作業フロントで構造物を把持し他方の作業フロントで構造物を破壊することができる。また、解体対象に保護すべき部分がある場合には、それが落下しないように事前にクレーン等で吊っておかなくても、2本の作業フロントA,Bによって保護すべき部分を落下させないように作業することができ、少なく作業人員で効率良く作業することができる。
図10は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係の他の例を表す図である。図10における横軸・縦軸は図9と同様である。
すなわち、図10に示した例では、準干渉危険領域Mにおける出力信号が、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されており、特に本例では不連続点のない非線型曲線によって定義されている。この場合、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図9に示した例に比べ、スイングポストシリンダ9a,9bを緩やかに停止させることが可能となる。また、本例のように不連続点を持たない非線形曲線で角度差θcと出力信号との関係を定義することにより、よりスムースに作業フロントA,Bの旋回動作を緩停止させることができる。
図11は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係のさらに他の例を表す図である。図11における横軸・縦軸は図9と同様である。
すなわち、図11に示した例でも、準干渉危険領域Mにおける出力信号は、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されているが、本例では一定の傾きの線形直線により定義されており、通常領域L・干渉危険領域Nの出力信号との接続点が不連続点となっている。このように構成しても、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図9に示した例に比べ、スイングポストシリンダ9a,9bを緩やかに停止させることが可能となる。
図12〜図14は作業フロントA,Bが相対的に近付く旋回動作時における干渉防止制御部61Fの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの角度差θcとの関係のさらに他の例を表す図である。これらの図における横軸は図9と同様に角度差θcであるが、縦軸は出力信号の上限値を表している。
すなわち、図9〜図11に示した例が、準干渉危険領域Mにおいて入力信号に応じて算出した出力信号に係数を乗ずることで旋回速度を減じていたのに対し、図12〜図14に示した例では、旋回速度の上限値を各図のように設定し、準干渉危険領域Mにおける作業フロントA,Bの旋回速度を制限することで旋回速度を減じるものである。どれだけ操作量が大きくても出力信号は上限値以内に抑えられる。このようにしても図9〜図11の例とほぼ同様の効果が得られる。
本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態では旋回角度差θcで干渉危険領域Nや準干渉危険領域Mを定義して角度差θcのみを基に作業フロントA,Bの旋回動作を制御したのに対し、本実施形態では角度差θcに加えて作業フロントA,Bの姿勢(例えば上下位置)も考慮に入れて干渉危険領域N・準干渉危険領域M・通常領域Lを定義し、作業フロントA,Bの旋回動作・上下揺動に関わる動作を適宜制御して作業フロントA,Bの干渉を防止する。なお、作業フロントA,Bの上下揺動に関わる動作とは、ブーム10a,10b、アーム12a,12b、グラップル20a,20bの揺動動作を指し、ブーム10a,10b、アーム12a,12b、グラップル20a,20bの姿勢は、スイングポスト7a,7bに対するブーム10a,10bの回動角度、ブーム10a,10bに対するアーム12a,12bに対する回動角度、及びアーム12a,12bに対するグラップル20a,20bの回動角度を基に算出される。
図15は第2実施形態に係る双腕作業機械に備えられた作業フロントA,Bの制御系の機能ブロック図である。
図15に示したように、本実施の形態では、制御装置61Aの入力系として、図5に示した各検出器57a,57b,67a,67b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60b及び干渉防止用スイッチ110の他、スイングポスト7a,7bに対するブーム10a,10bの回動角度を検出するブーム角度検出器68a,68b、ブーム10a,10bに対するアーム12a,12bの回動角度を検出するアーム角度検出器69a,69b、及びアーム12a,21bに対するグラップル20a,20bの回動角度を検出する作業具角度検出器70a,70bがさらに設けられている。
ここでは、干渉防止制御時における干渉防止制御部61FAの各駆動信号生成部への出力信号の演算手順について説明する。
干渉防止制御の手順の概略は次の通りである。
ステップ1:作業フロントに対し、干渉防止制御の基準とする複数の干渉防止基準点を設定する。
ステップ2:リンク演算により干渉防止基準点の位置座標を算出する。
ステップ3:左右の作業フロントの干渉防止基準点のうち最短距離にある二点を抽出しその二点間距離(最短基準転換距離)を算出する。
ステップ4:最短基準点間距離から領域判定を行う。
ステップ5:領域判定の結果と操作信号から干渉防止を加味した出力信号を生成し対応の駆動信号生成部に出力する。
各ステップの処理内容は次の通りである。
図16は本発明の第2実施形態に係る双腕作業機械の外観を示す側面図、図17はその平面図である。
このステップでは、図16及び図17に例示したように、左右の作業フロントA,B(ブーム10a,10b、アーム12a,12b、グラップル20a,20b)に対し、干渉防止制御の基準となる複数の干渉防止基準点120の位置や数量を設定する(プリセット値としても良い)。
まず上部旋回体3に基準座標系130を設ける。本実施形態では、図に示すように上部旋回体3の旋回中心線3a上で、上部旋回体3の下面と交差する点を基準座標系原点130aとしている。また、各座標軸の方向は図に示すように、基準座標系原点130aを原点として上部旋回体3の右方向にX軸、前方向にY軸、上方向にZ軸を採っている。
ここで、上述の位置座標Pi,Pjから、第1作業フロントAの全ての干渉防止基準点120iと、この干渉防止基準点120iに対し接触する可能性がある第2作業フロントBの全ての干渉防止基準点120jとの基準点間距離sijを計算する。
図18は作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smと作業フロントA,Bの干渉/非干渉の関係を表した概念図である。
干渉防止制御部61Fには、上述した通常領域L、準干渉危険領域M、干渉危険領域Nが図18に示すように定義され、格納されている。ここで、抽出された2つの干渉防止基準点120i,120j間の距離である最短基準点間距離Smが、干渉防止基準点120i,120jに設定された干渉危険半径の和(Ri+Rj)以下となる領域、つまりSm≦(Ri+Rj)となる領域を干渉危険領域Nとする。また、最短基準点間距離Smが干渉危険半径の和(Ri+Rj)よりも大きく準干渉危険半径の和(RQi+RQj)以下となる領域、つまり(Ri+Rj)<Sm≦(RQi+RQj)となる領域を準干渉危険領域Mとする。最短基準点間距離Smが準干渉危険半径の和(RQi+RQj)よりも大きい領域、つまりSm>(RQi+RQj)となる領域を通常領域Lとする。
図19は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係の一例を表す図である。横軸は最短基準点間距離Sm、縦軸は出力信号をそれぞれ表しており、無次元化してある。図19に示した例は、最短基準点間距離Smが干渉危険領域Nに入ると、最短基準点間距離Smを減少させる動作を指示している出力信号をある一定比率α(0<α<1)だけ減少させることで、各シリンダ9a,9b,11a,11b,13a,13b,15a,15bのうち最短基準点間距離Smを減少させる作業フロントの動作速度を減少さる例である。次に各領域における干渉防止制御部61FAの出力信号の演算手順を詳しく説明する。
左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが通常領域Lにある場合、干渉防止制御部61FAは、操作装置50a,50bの各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号を基に演算した出力信号を減じることなく、そのまま対応の駆動信号生成部に出力する。
左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが準干渉危険領域Mにあり、かつ各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号が、最短基準点間距離Smが縮まる方向、つまり左右の作業フロントA,Bが近づく方向の信号であった場合、干渉防止制御部61FAは、各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bから得られた入力信号を基に演算した出力信号を減じて対応の駆動信号生成部に出力する。
左右の作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smが干渉危険領域Nにあり、かつ各変位検出器57a,57b,581a,581b,582a,582b,59a,59b,60a,60bからの入力信号が、最短基準点間距離Smが縮まる方向、つまり左右の作業フロントA,Bが近づく方向の信号であった場合、干渉防止制御部61FAは、左右の作業フロントA,Bの動作を停止させる出力信号を生成し対応の駆動信号生成部に出力する。この場合、各駆動信号生成部への出力信号のうち、作業フロントA,Bを近付ける方向成分となる動作のみを停止させるようにしても良い。
本実施形態の干渉防止制御部61FAも、運転室4内に設けた干渉制御用スイッチ110からの入力信号により干渉防止制御の有効/無効を切替える構成とすることができるが、干渉防止制御を単にON/OFFするのではなく、第1実施形態の干渉防止制御と本実施形態の干渉防止制御とを切り替える構成とする、或いはそのような切り替えをON/OFF切り替えに加える構成とすることも考えられる。
上記のように動作する本実施形態の双腕作業機械においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態では、作業フロントA,Bの姿勢に関わらず作業フロントA,Bの角度差に応じて作業フロントA,Bの旋回速度を制御した。この場合、作業フロントA,Bの座標位置が上下にずれていて干渉危険領域Nに侵入しても作業フロントA,Bが接触しないときでも、旋回動作が抑制されてしまうことがある。それに対し、本実施形態によれば、作業フロントA,Bの角度差のみならず姿勢を見て作業フロントA,Bの動作速度を制御するので、二次元的に干渉/非干渉を判断して作業フロントA,Bが接触する恐れがないのに作業フロントA,Bの動作速度を減じてしまう(或いは停止させてしまう)といったことが生じない。
図20は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係の他の例を表す図である。図20における横軸・縦軸は図19と同様である。
すなわち、図20に示した例では、準干渉危険領域Mにおける出力信号が、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されており、特に本例では不連続点のない非線型曲線によって定義されている。この場合、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図19に示した例に比べ、作業フロントA,Bを緩やかに停止させることが可能となる。また、本例のように不連続点を持たない非線形曲線で最短基準点間距離Smと出力信号との関係を定義することにより、よりスムースに作業フロントA,Bの旋回動作を緩停止させることができる。
図21は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係のさらに他の例を表す図である。図21における横軸・縦軸は図19と同様である。
すなわち、図21に示した例でも、準干渉危険領域Mにおける出力信号は、干渉危険領域Nに近付くにつれて1から0(ゼロ)まで連続的に減少するように設定されているが、本例では一定の傾きの線形直線により定義されており、通常領域L・干渉危険領域Nの出力信号との接続点が不連続点となっている。このように構成しても、作業フロントA,Bの位置関係が干渉危険領域Nに近付くほど作業フロントA,Bが接近する相対速度が抑制され、図9に示した例に比べ、作業フロントA,Bを緩やかに停止させることが可能となる。
図22〜図24は作業フロントA,Bが相対的に近付く動作時における干渉防止制御部61FAの出力信号の大きさと作業フロントA,Bの最短基準点間距離Smとの関係のさらに他の例を表す図である。これらの図における横軸は図19と同様に最短基準点間距離Smであるが、縦軸は出力信号の上限値を表している。
すなわち、図19〜図21に示した例が、準干渉危険領域Mにおいて入力信号に応じて算出した出力信号に係数を乗ずることで動作速度を減じていたのに対し、図22〜図24に示した例では、動作速度の上限値を各図のように設定し、準干渉危険領域Mにおける作業フロントA,Bの動作速度を制限することで動作速度を減じるものである。どれだけ操作量が大きくても出力信号は上限値以内に抑えられる。このようにしても図19〜図21の例とほぼ同様の効果が得られる。
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 運転室
7a,b スイングポスト
50a,b 操作装置
57a,b 操作アーム用変位検出器
60a,b 作業具操作スイッチ用変位検出器
61F 干渉防止制御部
61FA 干渉防止制御部
67a,b スイングポスト角度検出器
68a,b ブーム角度検出器
69a,b アーム角度検出器
70a,b 作業具角度検出器
110 干渉防止用スイッチ
581a,b 操作レバー用上下方向変位検出器
582a,b 操作レバー用前後方向変位検出器
583a,b 作業具回動レバー用変位検出器
A,B 作業フロント
L 通常領域
M 準干渉危険領域
N 干渉危険領域
Sm 最短基準点間距離
θc 角度差
Claims (5)
- 走行装置を備えた下部走行体と、この下部走行体の上部に設けられ運転室を備えた上部車体と、この上部車体の前部の左右両側にそれぞれ左右方向に旋回自在に設けた左右のスイングポストと、これら左右のスイングポストにそれぞれ上下に揺動自在に設けた左右の作業フロントと、前記スイングポストと前記作業フロントの動作を指示する操作装置を有する双腕作業機械において、
前記左右のスイングポストの旋回角度をそれぞれ検出する角度検出器と、
前記角度検出器からの検出信号を基に算出した前記左右の作業フロントの角度差及び前記操作装置からの指令信号に基づき、前記スイングポストを旋回動作させる出力信号を生成する干渉防止制御部を備え、
前記干渉防止制御部は、
前記左右の作業フロントの位置関係を判定する第1及び第2の閾値を格納しており、
算出した前記角度差が前記第1の閾値以下である場合、前記左右の作業フロントが互いに接触し得る干渉危険領域にあると判定し、
前記角度差が前記第1の閾値より大きく前記第2の閾値以下である場合、前記干渉危険領域に隣接し前記左右の作業フロントが停止した状態ではこれら左右の作業フロントは互いに接触しないが相対的に近付くときには接触し得る準干渉危険領域にあると判定し、
前記角度差が前記第2の閾値より大きい場合、前記左右の作業フロントの動作状態によらずこれら左右の作業フロントは互いに干渉する恐れがない通常領域にあると判定し、
前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記スイングポストの旋回速度を減少させる信号を出力する
ことを特徴とする双腕作業機械。 - 走行装置を備えた下部走行体と、この下部走行体の上部に設けられ運転室を備えた上部車体と、この上部車体の前部の左右両側にそれぞれ左右方向に旋回自在に設けた左右のスイングポストと、これら左右のスイングポストにそれぞれ上下に揺動自在に設けた左右の作業フロントと、前記スイングポストと前記作業フロントの動作を指示する操作装置を有する双腕作業機械において、
前記左右のスイングポストの旋回角度をそれぞれ検出する角度検出器と、
前記左右の作業フロントの上下の回動角度を検出する角度検出器と、
各角度検出器からの検出信号を基に算出した前記左右の作業フロントの角度差、姿勢及び前記操作装置からの指令信号に基づき、前記スイングポスト及び作業フロントを動作させる出力信号を生成する干渉防止制御部を備え、
前記干渉防止制御部は、
前記左右の作業フロント上にそれぞれ設けた複数の基準点、これら複数の基準点をそれぞれ中心とする複数の第1の仮想球体の各半径、及び各第1の仮想球体と同心で当該第1の仮想球体よりも大きな複数の第2の仮想球体の各半径を格納しており、
一方の作業フロントの前記複数の第1の仮想球体のいずれかが他方の作業フロントの前記複数の第1の仮想球体のいずれかに干渉する場合、前記左右の作業フロントが互いに接触し得る干渉危険領域にあると判定し、
一方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれかが他方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれかに干渉する場合、前記干渉危険領域に隣接し前記左右の作業フロントが停止した状態ではこれら左右の作業フロントは互いに接触しないが相対的に近付くときには接触し得る準干渉危険領域にあると判定し、
一方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体が他方の作業フロントの前記複数の第2の仮想球体のいずれにも干渉しない場合、前記左右の作業フロントの動作状態によらずこれら左右の作業フロントは互いに干渉する恐れがない通常領域にあると判定し、
前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記角度検出器の検出信号を基に演算した前記左右の作業フロントの各基準点のうち最短距離にある2つの基準点間の距離を減少させる前記作業フロントの動作速度を減少させる信号を出力する
ことを特徴とする双腕作業機械。 - 請求項1又は2の双腕作業機械において、前記干渉防止制御部は、前記角度検出器の検出信号を基に演算した前記左右の作業フロントの位置関係が前記準干渉危険領域にあって前記左右の作業フロントが相対的に近付くとき、前記左右の作業フロントが近付くにつれて連続的又は段階的に減速の度合を大きくすることを特徴とする双腕作業機械。
- 請求項1〜3のいずれかの双腕作業機械において、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係が干渉危険領域にあって前記操作装置から前記左右の作業フロントが接近する方向の操作信号が入力された場合、前記左右の作業フロントの接近動作を停止させることで、前記左右の作業フロントの干渉を回避することを特徴とする双腕作業機械。
- 請求項1〜3のいずれかの双腕作業機械において、前記干渉防止制御部は、前記左右の作業フロントの位置関係が干渉危険領域にあって前記操作装置から前記左右の作業フロントが接近する方向の操作信号が入力された場合、前記左右の作業フロントの動作方向を変更することで、前記左右の作業フロントの干渉を回避することを特徴とする双腕作業機械。
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