JP6962743B2 - 作業車両用旋回制御システム - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、接地バランスの崩れ等の不具合の発生を防止しつつ作業車両の旋回動作を適切に規制可能な作業車両用旋回制御システムを提供することを目的としている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施形態に係る作業車両用旋回制御システムを搭載した油圧式のバックホウ1は、図1に示すように、機体2と、機体2上部の右前方側に設けられた作業機3とを備える。機体2は、上部旋回体4と、この上部旋回体4の下部に設けられた走行装置6とを備える。
上部旋回体4は、その後方側に機関室4EGと、作業機3の左側方に設けられた運転室5とを備える。図2に示すように、この運転室5の内部5iには、後述する作業車両用旋回制御システム7を構成するコントロールボックス70が配置されている。具体的に、コントロールボックス70は、内部5iに設けられた運転席に着座したオペレータが視認可能な位置である正面窓の右枠部に取り付けられている。
また、機関室4EGの内部には、図3に示すように、例えばディーゼルエンジンや電動モータ等から構成される動力源40と、この動力源40を駆動源とした油圧ポンプ41と、この油圧ポンプ41で発生した圧油を各種油圧シリンダや油圧モータ等の油圧アクチュエータに供給する圧油供給装置42とが収容されている。
上部旋回体4は、オペレータの左作業機操作レバー5rL(図2参照)の操作に応じて旋回作動するように構成されている。具体的に、左作業機操作レバー5rLが操作されると、油圧ポンプ41で発生した圧油が、圧油供給装置42の備える旋回用切替制御弁(不図示)を介して比例電磁弁50に供給される。
ブーム30の基端部は、不図示のブームピンを介して機体2の一端側に回動可能に取り付けられている。アーム31の基端部は、アームピン36を介してブーム30の先端部に回動可能に取り付けられている。アーム31の先端部には、バケットピン37を介してバケット32が回動可能に取り付けられている。
そして、オペレータが、上記各種操作レバーを操作することによって、ブーム30の起伏動作、アーム31の伸長、曲げ動作、バケット32の開閉動作、上部旋回体4の旋回動作及び走行装置6の走行動作を行う。これにより、バケット32を、オペレータの所望の位置へと移動し、その位置でバケット32を開閉動作させることで切土、盛土、掘削等の施工作業を行う。
更に、本実施形態のバックホウ1は、図4に示すように、作業車両用旋回制御システム7を備える。この作業車両用旋回制御システム7は、図1〜図3に示すように、コントロールボックス70と、機体2の機関室4EGの上部後端に互いに左右方向に離間して設けられた第1及び第2GNSS受信機71A及び71Bとを備える。更に、この作業車両用旋回制御システム7は、ブーム30に設けられた第1角度センサ72Aと、アーム31に設けられた第2角度センサ72Bと、バケット32に設けられた第3角度センサ72Cとを備える。なお更に、この作業車両用旋回制御システム7は、上部旋回体4の上部に設けられた無線機73と、上部旋回体4の下部に設けられたジャイロセンサ74と、上部旋回体4の旋回軸(不図示)に設けられた旋回角度センサ75とを備える。更にまた、この作業車両用旋回制御システム7は、機体2及び作業機3の作動を制御するコントローラである第2コントローラ20と、旋回用油圧モータ51に供給する圧油の流量を調整するための比例電磁弁50とを備える。
第1コントローラ70aには、例えばCAN(Controller Area Network)等の不図示の車載ネットワークを介して、第1及び第2GNSS受信機71A及び71Bと、第1〜第3角度センサ72A〜72Cと、無線機73と、ジャイロセンサ74と、旋回角度センサ75とが接続されている。
以下、第1GNSS受信機71Aの送信するGNSS信号を「第1測位信号GNSS1」、第2GNSS受信機71Bの送信するGNSS信号を「第2測位信号GNSS2」と記載する場合がある。
第2角度センサ72Bは、ブーム30に対するアーム31の傾斜角である第2傾斜角θ2を検出する。第2角度センサ72Bは、検出した第2傾斜角θ2を、車載ネットワークを介して第1コントローラ70aに送信する。
無線機73は、外部の無線通信機能を有する装置との間で無線通信を行う機器である。本実施形態では、不図示のGNSS基準局からの補正信号CORの受信や、不図示のTS(Total Station)との通信などに用いる。無線機73は、補正信号CORのデータを含む外部装置から受信したデータを、車載ネットワークを介して第1コントローラ70aに送信する。
ジャイロセンサ74は、3軸の加速度センサから構成され、機体2のピッチ角θp、ロール角θr及びヨー角θyを検出する。ジャイロセンサ74は、検出したピッチ角θp、ロール角θr及びヨー角θyを、車載ネットワークを介して第1コントローラ70aに送信する。
第1コントローラ70aは、例えばマイクロコントローラから構成されており、図示省略するが、CPU、ROM、RAM、内外バス、I/F回路等を有する。なお、ROM又は後述する記憶装置70cには、作業車両用旋回制御システム7の制御プログラム等の各種プログラムやプログラムで使用するデータが記憶されている。
具体的に、本実施形態の作業車両用旋回制御システム7は、マシンガイダンス機能と、旋回規制制御機能とを備えている。
マシンガイダンス機能は、3次元設計データDdの示す目標設計形状(本実施形態では目標設計面)とバケット32の爪先部32Tとの差分の情報、3次元設計データDdの示す回避対象と爪先部32Tとの差分の情報等の、施工作業の支援情報を表示する機能である。
メモリリーダ70bは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成されるメモリ媒体(例えば、メモリカード、USBメモリ等)を不図示の挿入部に挿入することで、挿入されたメモリ媒体に対してデータの読み出しを行う装置である。本実施形態において、このメモリリーダ70bは、外部で作成された3次元設計データDdを記憶装置70cに取り込むために用いられる。
表示入力装置70dは、液晶表示パネルとタッチパネルとを組み合わせた表示パネルを有する。表示入力装置70dは、上記マシンガイダンス機能を実現する処理であるマシンガイダンス処理、上記旋回規制制御機能を実現するための各種処理を実行した際の表示情報等を表示する。また、タッチパネルの機能によって、オペレータが表示画面を指等でタッチすることでタッチ位置に応じた情報を入力することが可能である。
本実施形態では、表示入力装置70dに、マシンガイダンス処理の開始指示ボタン画像、旋回規制制御設定処理の開始指示ボタン画像等を含む複数のボタン画像を表示し、オペレータがボタン画像上をタッチパネル越しにタッチすることで、タッチしたボタンの種類に応じた情報を第1コントローラ70aに入力する。
次に、図5に基づき、第1コントローラ70aの具体的な機能構成を説明する。
第1コントローラ70aは、その機能構成部として、図5に示すように、測位情報補正部170と、機体座標算出部171と、バケット座標算出部172と、画像表示処理部173と、作業機姿勢算出部174と、旋回範囲設定部175と、旋回規制制御部176とを備える。
測位情報補正部170は、RTK(Real Time Kinematic)測位機能を有している。測位情報補正部170は、第1及び第2GNSS受信機71A及び71Bから入力された第1及び第2測位信号GNSS1及び2と、無線機73を介して入力されるGNSS基準局からの補正信号CORとに基づき、これらのGNSS信号の位相差と波数(整数値バイアス)とを算出する。そして、算出した位相差と波数とに基づき第1及び第2GNSS受信機71A及び71Bの3次元座標情報である第1及び第2受信機座標(X1,Y1,Z1)及び(X2,Y2,Z2)を算出する。測位情報補正部170は、算出した第1及び第2受信機座標(X1,Y1,Z1)及び(X2,Y2,Z2)を、現場座標系(例えば日本測地系2000(JGD2000))に変換してから機体座標算出部171に出力する。
バケット座標算出部172は、算出したバケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)を画像表示処理部173と、作業機姿勢算出部174と、旋回規制制御部176とにそれぞれ出力する。
そして、画像表示処理部173は、算出した第1距離Lf及び第2距離Lpと、バケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)と、3次元設計データDdと、入力された機体方位D及び機体座標(Xm,Ym,Zm)とに基づき、第1のガイダンス画像データを生成する。更に、生成した第1のガイダンス画像データの画像(以下、「第1のガイダンス画像」と記載する)の画像表示信号を表示入力装置70dに出力する。
なお、第1のガイダンス画像データは、これらの情報を表示するための画像データだけに限らず、バケット32の傾き(角度情報)等の施工作業を支援する情報であれば他の情報を表示するための画像データを含んでいてもよい。
ここで、回避閾値Thは、例えば、回避対象の種類や構成材料毎に異なる閾値を設定する。回避対象が回避対象物の場合には、例えば、水道管、共同溝、地上施設、地下施設、電線、鉄道構造物等の様々な種類があり、また構成材料によって衝撃耐性、破壊耐性等の耐性が異なるので、例えば、破損や損傷による危険性が高いものほど回避閾値Thを大きな値に設定する。また、回避対象が回避すべき領域の場合は、バックホウ1がこの領域内へと侵入したときの危険度の大きさに応じて、例えば、危険性が高い領域ほど回避閾値Thを大きな値に設定する。
更に、画像表示処理部173は、旋回範囲手動設定モードが設定された場合に、旋回範囲手動設定画像データを生成する。更に、生成した旋回範囲手動設定画像データの画像(以下、「旋回範囲手動設定画像」と記載する)の画像表示信号を表示入力装置70dに出力する。
なお、旋回禁止範囲80は、旋回動作を禁止する制御を行う旋回角度範囲であり、本実施形態では、作業機3が径方向に最長(旋回半径が最大)となる姿勢(図7に示す姿勢)のときに、旋回動作によって、バックホウ1の旋回部(本実施形態では作業機3及び上部旋回体4)が回避対象を回避不能な旋回位置を含む範囲である。具体的に、回避対象が回避対象物の場合は、バックホウ1の旋回部が回避対象物に衝突する旋回位置を含む範囲であり、回避対象が回避すべき領域の場合は、バックホウ1の旋回部がその領域内に侵入する旋回位置を含む範囲である。
即ち、上部旋回体4の旋回角度θtが旋回禁止範囲80内となったときにバックホウ1の旋回部が侵入を続ける方向への旋回動作を禁止する制御と、旋回角度θtが油圧緩衝範囲81〜82内にあるときに圧油の流量変化を緩和する制御とが本実施形態の旋回規制制御であり、これらの制御を行う機能が上記旋回規制制御機能である。
また、移動可能範囲85は、設定された旋回範囲8に対するバックホウ1の後述する旋回規制制御中に移動可能な範囲であり、例えば、旋回初期位置における旋回中心から半径R[m](図7(b)の例では2[m])の範囲となる。
また、画像表示処理部173は、旋回範囲自動設定モードが設定された場合に、自動設定された結果を示す情報を表示するための旋回範囲自動設定画像データを生成する。更に、生成した旋回範囲自動設定画像データの画像(以下、「旋回範囲自動設定画像」と記載する)の画像表示信号を表示入力装置70dに出力する。
更に、画像表示処理部173は、ガイダンスモードが設定されている場合に、3次元設計データDdと、入力された機体方位D及び機体座標(Xm,Ym,Zm)と、旋回角度θtと、上記旋回範囲8と、上記移動可能範囲85とに基づき、第2のガイダンス画像データを生成する。更に、生成した第2のガイダンス画像データの画像(以下、「第2のガイダンス画像」と記載する)の画像表示信号を表示入力装置70dに出力する。
なお、第1のガイダンス画像データ及び第2のガイダンス画像データは、バックホウ1の掘削動作及び旋回動作を検出して自動的に切り替えて表示してもよいし、オペレータが手動で任意に切り替えて表示してもよいし、いずれかを選択可能としてもよい。
また、旋回範囲設定部175は、旋回範囲手動設定モードが設定されている場合に、設定された移動可能範囲85の情報と、入力された機体方位D及び機体座標(Xm,Ym,Zm)と、記憶装置70cに記憶された旋回初期位置の情報(旋回範囲8の旋回中心位置の情報)とに基づき、旋回規制制御時におけるバックホウ1の旋回初期位置からの移動位置が移動可能範囲を越えたか否かを判定する。そして、越えたと判定した場合に、そのことを画像表示処理部173に通知する。
本実施形態では、例えば、図7(b)に示すように、バックホウ1の旋回初期位置における左クローラ装置6L及び右クローラ装置6Rそれぞれの前後方向の端部位置の真下の地面に第1〜第4のマークM1〜M4のマーキングを行い、これら第1〜第4のマークM1〜M4を目印としてオペレータの手動運転によってバックホウ1の位置を修正する。
画像表示処理部173は、旋回範囲設定部175からの傾斜変化が傾斜閾値を越えたことの通知に応じて、旋回範囲8を再設定するように指示する案内メッセージ画像を表示入力装置70dに表示する処理を実行する。
ここで、本実施形態では、図7(a)に示すように、油圧緩衝範囲81〜82を、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bと、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bとの左右旋回方向にそれぞれ応じた2段階の緩衝範囲としている。そして、本実施形態では、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bの開度をA[%]、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bの開度をB[%]とした場合に、「0<B<A<100」の関係となるように開度を設定している。
また、本実施形態では、図7(a)に示すように、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bの旋回角度範囲をそれぞれβ1[°]とし、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bの旋回角度範囲をそれぞれβ2[°]として、「β1<β2」の関係となるように角度範囲を設定している。
即ち、図7(a)に示すように、上部旋回体4が旋回許可範囲83から左旋回した場合は、旋回許可範囲83→第1の油圧緩衝範囲81A→第3の油圧緩衝範囲82A→旋回禁止範囲80の順番で旋回することになる。一方、右旋回した場合は、旋回許可範囲83→第2の油圧緩衝範囲81B→第4の油圧緩衝範囲82B→旋回禁止範囲80の順番で旋回することになる。従って、上部旋回体4が旋回許可範囲83から旋回禁止範囲80に向かって旋回すると、油圧緩衝範囲81〜82にて、100[%]から0[%]に向かって段階的に開度が減少変化することになる。例えば、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bの開度を60[%]、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bの開度を30[%]に設定したとする。この場合、開度が100[%]→60[%]→30[%]→0[%]の順で変化することになり、従来の100[%]から0[%]へと急変させる場合と比較して開度の変化が緩やかになる。その結果、圧油の流量変化が緩やかになるため、旋回速度の変化が緩やかとなる。
これによって、比例電磁弁50は、受信した開度制御信号Octrの電流量に比例した開度となるように動作し、旋回用油圧モータ51に供給される圧油の流量が開度に応じた量となる。
次に、図8に基づき、本実施形態のバックホウ情報算出処理の処理手順を説明する。ここで、バックホウ情報算出処理は、予め設定された周期で繰り返し実行される処理である。
なお、事前に、メモリリーダ70bを介してメモリ媒体から3次元設計データDdが記憶装置70cに読み込まれているものとする。
この状態で第1コントローラ70aのCPUにおいて、制御プログラムが実行されバックホウ情報算出処理が開始されると、図8に示すように、まずステップS100に移行する。
ステップS104では、バケット座標算出部172において、機体座標算出部171からの機体方位D及び機体座標(Xm,Ym,Zm)と、第1〜第3角度センサ72A〜72Cからの第1〜第3傾斜角θ1〜θ3と、ジャイロセンサ74からのピッチ角θp、ロール角θr及びヨー角θyと、機体2及び作業機3の各種パラメータとに基づきバケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)を算出する。そして、算出したバケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)を、画像表示処理部173に出力して、ステップS106に移行する。
次に、図9に基づき、本実施形態の旋回範囲設定処理の処理手順を説明する。
ここで、旋回範囲設定処理は、旋回規制制御がONのときに実行される処理である。
第1コントローラ70aのCPUにおいて、制御プログラムが実行され旋回範囲設定処理が開始されると、図9に示すように、まずステップS150に移行する。
ステップS150では、画像表示処理部173において、旋回範囲設定関連情報を取得して、ステップS152に移行する。
ステップS152では、画像表示処理部173において、旋回範囲設定関連情報に基づき旋回範囲設定案内画像データを生成し、生成した旋回範囲設定案内画像データの画像表示信号を表示入力装置70dに出力する。その後、ステップS154に移行する。
方位磁針画像705は、バックホウ1の備える実際の方位磁針の指し示す方向を示す画像であり、GNSS情報画像704は、本実施形態では、機体座標(Xm,Ym,Zm)を含む画像である。
終了ボタン画像709は、旋回範囲設定処理の終了を選択するための画像であり、オペレータがこの画像の表示位置をタッチパネル越しにタッチすることで旋回範囲設定処理の終了が選択される。
旋回範囲自動設定開始ボタン画像711は、旋回範囲自動設定処理の開始を選択するための画像であり、オペレータがこの画像の表示位置をタッチパネル越しにタッチすることで旋回範囲自動設定処理の開始が選択される。
ステップS156に移行した場合は、画像表示処理部173において、旋回範囲手動設定モードフラグをONに設定して、ステップS158に移行する。具体的に、RAM等のメモリに記憶された旋回範囲手動設定モードフラグの値を例えば「1」に設定する。
ステップS158では、画像表示処理部173及び旋回範囲設定部175において、旋回範囲手動設定処理を実行して、ステップS160に移行する。
ステップS160では、終了ボタン画像709がタッチされたか否かを判定し、タッチされたと判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰し、そうでないと判定した場合(No)ha、ステップS154に移行する。
ステップS164に移行した場合は、画像表示処理部173において、旋回範囲自動設定モードフラグをONに設定して、ステップS166に移行する。具体的に、RAM等のメモリに記憶された旋回範囲自動設定モードフラグの値を例えば「1」に設定する。
ステップS166では、画像表示処理部173及び旋回範囲設定部175において、旋回範囲自動設定処理を実行して、ステップS160に移行する。
次に、図10に基づき、本実施形態の旋回範囲手動設定処理の処理手順を説明する。
ここで、旋回範囲手動設定処理は、旋回範囲手動設定モードフラグがONのときに実行される処理である。
第1コントローラ70aのCPUにおいて、旋回範囲手動設定モードフラグがONに設定され旋回範囲手動設定処理が開始されると、図10に示すように、まずステップS200に移行する。
ステップS200では、画像表示処理部173において、旋回範囲手動設定画像データを生成し、生成した旋回範囲手動設定画像データの画像表示信号を表示入力装置70dに出力する。その後、ステップS202に移行する。
ステップS204に移行した場合は、画像表示処理部173において、旋回角度センサ75からの現在の旋回角度θtを第1旋回角度θt1としてRAM又は記憶装置70cに記憶する。その後、ステップS206に移行する。
ステップS206では、画像表示処理部173において、情報表示枠画像708内に表示された案内メッセージを、範囲終了位置の設定を催促する内容に変更して、ステップS208に移行する。
ステップS208では、画像表示処理部173において、表示入力装置70dからの入力情報に基づき旋回角記憶ボタン画像712がタッチされたか否かを判定する。そして、タッチされたと判定した場合(Yes)は、ステップS210に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、押されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS210に移行した場合は、画像表示処理部173において、旋回角度センサ75からの現在の旋回角度θtを第2旋回角度θt2としてRAM又は記憶装置70cに記憶する。その後、ステップS212に移行する。
ステップS212では、画像表示処理部173において、旋回禁止範囲80の設定範囲の是非を確認するためのメッセージ及び設定結果を示す画像を表示して、ステップS214に移行する。
本実施形態では、図13(a)に示すように、旋回範囲手動設定画像730中に手動設定された旋回禁止範囲80を示す画像である旋回禁止範囲画像801を表示し、情報表示枠画像708の枠内に「旋回禁止範囲はこれでよろしいですか?」というメッセージを表示する。
ステップS214では、画像表示処理部173において、表示入力装置70dからの入力情報に基づき「はい」が選択されたか否かを判定する。そして、「はい」が選択されたと判定した場合(Yes)は、その旨を旋回範囲設定部175に通知して、ステップS216に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS222に移行する。
ステップS220では、画像表示処理部173において、設定された旋回範囲8及び移動可能範囲85の情報を示す画像を表示して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
本実施形態では、図13(b)に示すように、旋回範囲手動設定画像730中に設定された旋回範囲8を示す画像である旋回範囲画像800と、設定された移動可能範囲85を示す画像である移動可能範囲画像850とを表示する。
一方、ステップS214において、「はい」が選択されずにステップS222に移行した場合は、画像表示処理部173において、表示入力装置70dからの入力情報に基づき「いいえ」が選択されたか否かを判定する。そして、「いいえ」が選択されたと判定した場合(Yes)は、ステップS200に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS214に移行する。
次に、図14に基づき、本実施形態の旋回範囲自動設定処理の処理手順を説明する。
ここで、旋回範囲自動設定処理は、旋回範囲自動設定モードフラグがONのときに実行される処理である。
第1コントローラ70aのCPUにおいて、旋回範囲自動設定モードフラグがONに設定され旋回範囲自動設定処理が開始されると、図14に示すように、まずステップS300に移行する。
ステップS300では、旋回範囲設定部175において、旋回範囲自動設定関連情報を取得して、ステップS302に移行する。
ステップS302では、旋回範囲設定部175において、ステップS300で取得した旋回範囲自動設定関連情報に基づきバックホウ1と回避対象との位置関係を計算して、ステップS304に移行する。
ステップS304では、旋回範囲設定部175において、ステップS302で計算した位置関係に基づき、旋回禁止範囲80を設定してステップS306に移行する。
例えば、回避閾値Thを用いて、旋回動作を行った際のバックホウ1の旋回部と回避対象との間の距離が少なくとも回避閾値Thよりも長くなる旋回位置を、旋回禁止範囲80の範囲開始位置及び範囲終了位置として設定する。
ステップS306では、旋回範囲設定部175において、ステップS304で設定された旋回禁止範囲80と旋回範囲設定用データとに基づき、油圧緩衝範囲81〜82を設定する。その後、ステップS308に移行する。
ステップS308では、旋回範囲設定部175において、ステップS306の油圧緩衝範囲81〜82の設定結果に基づき旋回許可範囲83を設定し、ステップS310に移行する。即ち、旋回範囲360[°]における旋回禁止範囲80及び油圧緩衝範囲81〜82以外の範囲を旋回許可範囲83として設定する。
ステップS310では、旋回範囲設定部175において、現在の機体座標(Xm,Ym,Zm)と旋回範囲設定用データとに基づき、移動可能範囲85を設定する。その後、ステップS312に移行する。
ステップS314では、画像表示処理部173において、設定された旋回範囲8及び移動可能範囲85の情報を示す画像を表示して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
本実施形態では、図13(b)に示す旋回範囲手動設定画像730と同様に、表示入力装置70dに、設定された旋回範囲8を示す画像である旋回範囲画像800と、設定された移動可能範囲85を示す画像である移動可能範囲画像850とを含む旋回範囲自動設定画像(図示略)を表示する。
次に、図15に基づき、本実施形態の旋回規制制御処理の処理手順を説明する。
第1コントローラ70aのCPUにおいて、旋回規制制御処理が開始されると、図15に示すように、まずステップS400に移行する。
ステップS400では、旋回規制制御部176において、旋回規制制御フラグがONに設定されているか否かを判定する。そして、ONに設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS402に移行した場合は、旋回範囲設定部175において、旋回範囲修正処理を実行して、ステップS404に移行する。
ステップS404では、旋回規制制御部176において、旋回規制処理を実行して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
次に、図16に基づき、本実施形態の旋回範囲修正処理の処理手順を説明する。
上記ステップS402において、旋回範囲修正処理が開始されると、図16に示すように、まずステップS500に移行する。
ステップS500では、旋回範囲設定部175において、RAM又は記憶装置70cから最新の作業機姿勢Pm及び機体座標(Xm,Ym,Zm)を取得して、ステップS502に移行する。
ステップS502では、旋回範囲設定部175において、記憶装置70cに記憶された初期の作業機姿勢Pmと、ステップS500で取得した最新の作業機姿勢とに基づき、機体2の初期傾斜と現在の傾斜との差分である傾斜差を算出する。その後、ステップS504に移行する。
ステップS506では、旋回範囲設定部175において、記憶装置70cに記憶された旋回初期位置と、現在のバックホウ1の位置(機体座標(Xm,Ym,Zm))とに基づき両者の直線距離である移動距離を算出する。その後、ステップS508に移行する。
ステップS510では、旋回範囲設定部175において、ステップS504及びS508の比較結果に基づき、傾斜差又は移動距離のうち少なくとも一方は閾値以上であるか否かを判定する。そして、閾値以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS512に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS514に移行した場合は、旋回範囲設定部175において、不図示の音響装置に警報の出力指令を送信して、ステップS516に移行する。ここで、音響装置は、警報音や音声メッセージを不図示のスピーカを介して出力することが可能である。
一方、ステップS512において、旋回範囲手動設定モードが設定されておらずにステップS518に移行した場合は、旋回範囲設定部175において、RAMに記憶された旋回範囲自動設定モードフラグに基づき、旋回範囲自動設定モードが設定されているか否かを判定する。そして、設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS520に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS520に移行した場合は、旋回範囲設定部175において、旋回範囲8及び移動可能範囲85を再設定する。その後、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
次に、図17に基づき、本実施形態の旋回規制処理の処理手順を説明する。
上記ステップS404において、旋回規制処理が開始されると、図17に示すように、まずステップS600に移行する。
ステップS600では、旋回規制制御部176において、旋回角度センサ75からの旋回角度θtを取得して、ステップS602に移行する。
ステップS602では、旋回規制制御部176において、ステップS600で取得した旋回角度θtが、旋回許可範囲83内か否かを判定する。そして、旋回許可範囲83内であると判定した場合(Yes)は、ステップS604に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS606に移行する。
第2コントローラ20は、第1コントローラ70aからの第1の規制制御信号RC1を受信すると、受信した第1の規制制御信号RC1に含まれる開度100[%]の情報に基づき、比例電磁弁50の開度を100[%]とする電流量の開度制御信号Octrを生成する。そして、生成した開度制御信号Octrを比例電磁弁50に出力する。
一方、ステップS602において旋回角度θtが旋回許可範囲83内になくステップS606に移行した場合は、旋回規制制御部176において、ステップS600で取得した旋回角度θtが、第1の油圧緩衝範囲81A又は第2の油圧緩衝範囲81B内か否かを判定する。そして、第1の油圧緩衝範囲81A又は第2の油圧緩衝範囲81B内であると判定した場合(Yes)は、ステップS608に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS610に移行する。
第2コントローラ20は、第1コントローラ70aからの第2の規制制御信号RC2を受信すると、受信した第2の規制制御信号RC2に含まれる開度A[%]の情報に基づき、比例電磁弁50の開度をA[%]とする電流量の開度制御信号Octrを生成する。そして、生成した開度制御信号Octrを比例電磁弁50に出力する。
また、ステップS606において旋回角度θtが第1の油圧緩衝範囲81A又は第2の油圧緩衝範囲81B内になくステップS610に移行した場合は、旋回規制制御部176において、ステップS600で取得した旋回角度θtが、第3の油圧緩衝範囲82A又は第4の油圧緩衝範囲82B内か否かを判定する。そして、第3の油圧緩衝範囲82A又は第4の油圧緩衝範囲82B内であると判定した場合(Yes)は、ステップS612に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS614に移行する。
第2コントローラ20は、第1コントローラ70aからの第3の規制制御信号RC3を受信すると、受信した第3の規制制御信号RC3に含まれる開度B[%]の情報に基づき、比例電磁弁50の開度をB[%]とする電流量の開度制御信号Octrを生成する。そして、生成した開度制御信号Octrを比例電磁弁50に出力する。
また、ステップS610において旋回角度θtが第3の油圧緩衝範囲82A又は第4の油圧緩衝範囲82B内になくステップS614に移行した場合は、旋回規制制御部176において、ステップS600で取得した旋回角度θtが、旋回禁止範囲80内にあると判定する。そして、開度0[%]の情報を含む第4の規制制御信号RC4を第2コントローラ20に送信して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
これにより、比例電磁弁50の開度がB[%]から0[%]となり、旋回用油圧モータ51に対する圧油の供給が停止される。その結果、旋回用油圧モータ51が停止し、上部旋回体4の旋回動作も停止する。
次に、図1〜図17を参照しつつ図18〜図23に基づき、実施形態に係るバックホウ1の動作を説明する。
施工作業を行う施工現場において、バックホウ1の動力源40が始動すると、油圧ポンプ41が作動を開始して各油圧アクチュエータが作動待機状態に移行する。一方、動力源40の始動に応じて、コントロールボックス70を含む各種車載電気装置に電力が供給される。これによって、コントロールボックス70の第1コントローラ70aにおいて制御プログラムが実行され、予め設定された周期でバックホウ情報算出処理が繰り返し実行される。これにより、第1コントローラ70aは、予め設定された周期で、機体方位D、機体座標(Xm,Ym,Zm)、バケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)及び作業機姿勢Pmを取得可能となる。加えて、表示入力装置70dに初期画面を表示する処理が行われる。これにより、表示入力装置70dに初期画面が表示される。
バックホウ1を運転して施工作業を行うオペレータは、まず、メッセージ画像の案内に従って、運転室5の内部5iに設置されたコントロールボックス70のメモリリーダ70bの挿入部に3次元設計データの記憶されたメモリ媒体を挿入する。そして、表示入力装置70dを介して取り込み指示ボタン画像をタッチする(画像上をタッチする)。これにより、第1コントローラ70aは、メモリリーダ70bを介してメモリ媒体に記憶された3次元設計データDdを記憶装置70cに取り込む。
ここで、3次元設計データDdは、外部のPCにおいて、予め作成された基本設計データに含まれる、例えば、図6に示すような平面図400のデータ、基準点データ及び変化点データと、事前に用意された回避対象の各種データとに基づき事前に作成されるものである。
そして、オペレータが、表示入力装置70dを介して旋回規制制御の設定ボタン画像をタッチすることで、まず、旋回規制制御のON/OFFを設定するボタン画像が表示される(図示省略)。引き続き、オペレータが、表示入力装置70dを介して旋回規制制御をONに設定する設定ボタン画像をタッチすることで、旋回規制制御フラグがONに設定されると共に旋回範囲設定モード設定処理が開始される。なお、本実施形態において、旋回規制制御はデフォルトではOFFに設定されていることとする。
旋回範囲手動設定開始ボタン画像710がタッチされたことにより、第1コントローラ70aは、旋回範囲手動設定モードフラグをONに設定すると共に旋回範囲手動設定処理を開始して、表示入力装置70dに、例えば、図11(b)に示すような旋回範囲手動設定画像730を表示する。このとき、旋回範囲手動設定画像730の情報表示枠画像708の枠内には、初期の表示内容として「バックホウを施工開始位置に移動して下さい」等のバックホウ1を施工作業の開始位置まで移動させるメッセージが表示されているとする。
これにより、第1コントローラ70aは、第1旋回角度θt1〜第2旋回角度θt2の範囲を旋回禁止範囲80として設定し、引き続き、この旋回禁止範囲80の情報と、記憶装置70cに記憶された旋回範囲設定用データとに基づき、例えば図12(c)に示すように、油圧緩衝範囲81〜82と、旋回許可範囲83と、移動可能範囲85とを設定する。
加えて、旋回範囲設定用データによって、旋回禁止範囲80の開度が0[%]、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bの開度Aが60[%]、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bの開度Bが30[%]、旋回許可範囲83の開度が100[%]にそれぞれ設定されていることとする。
以上のことから、旋回禁止範囲80の旋回角度範囲が、例えば80[°]であった場合、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bの旋回角度範囲β1はそれぞれ16[°]に、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bの旋回角度範囲β2はそれぞれ24[°]に設定される。また、旋回規制範囲80〜82が160[°]となるので、旋回許可範囲83の旋回角度範囲αは200[°]に設定される。
更に、第1コントローラ70aは、図13(b)に示すように、旋回範囲手動設定画像730内に、設定結果を示す旋回範囲画像800及び移動可能範囲画像850を表示する。加えて、第1コントローラ70aは、旋回範囲手動設定画像730内に、肯定ボタン画像713及び否定ボタン画像714に代えて、旋回範囲手動設定開始ボタン画像710及び旋回範囲自動設定開始ボタン画像711を表示する。
ここでは、設定内容に問題が無く終了ボタン画像709がタッチされたこととする。これによって、第1コントローラ70aは、設定された旋回範囲8及び移動可能範囲85に基づき旋回規制制御を実行する。加えて、表示入力装置70dに、旋回規制制御の設定ボタン画像と、マシンガイダンス処理の開始指示ボタン画像とを表示する(図示省略)。
旋回規制制御フラグがONに設定されている場合のガイダンスモードでは、バックホウ1の操作内容に応じて、図18に示す第1のガイダンス画像200と、図19に示す第2のガイダンス画像750とが適宜切り換えて表示される。ここでは、作業機3を操作して切土、盛土、掘削等の作業を行っているときは第1のガイダンス画像200を表示し、バックホウ1を旋回操作して上部旋回体4を旋回動作させているときは第2のガイダンス画像750を表示することとする。
具体的に、第1コントローラ70aは、3次元設計データDdに含まれる目標設計面の3次元座標と、バケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)とに基づき、目標設計面とバケット32の爪先部32Tとの間の距離である第1距離Lfを算出する。更に、3次元設計データDdに含まれる回避対象の3次元座標と、バケット爪先座標(Xt,Yt,Zt)とに基づき、回避対象と爪先部32Tとの間の距離である第2距離Lpを算出する。
これにより、表示入力装置70dには、例えば、図18に示すような第1のガイダンス画像200が表示される。この第1のガイダンス画像200は、バックホウ1や施工現場を側方から見た2次元のガイダンス画像である。この第1のガイダンス画像200は、バックホウ1を模式的に示したバックホウ画像201と、目標設計面を模式的に示した設計面画像202と、最寄りの回避対象を模式的に示した回避対象画像203とを含んでいる。加えて、第1距離Lfの数値を示す第1距離画像205と、第2距離Lpの数値を示す第2距離画像207とを含んでいる。
オペレータは、第1のガイダンス画像200を見ることで、爪先部32Tと目標設計面との距離、爪先部32Tと回避対象物(ここでは、地下埋設管とする)との距離を把握して、目標設計面から逸脱しないように、かつ回避対象物を破損しないように各種操作レバーを操作して施工作業を行う。
更に、第1コントローラ70aは、バックホウ情報算出処理によって取得された最新の機体座標(Xm,Ym,Zm)、旋回角度センサ75からの旋回角度θt等に基づき、バックホウ1の機体座標(Xm,Ym,Zm)及び旋回位置を監視し、機体座標(Xm,Ym,Zm)や、旋回位置が変化したことに応じて、第2のガイダンス画像データを更新する。
即ち、情報表示枠画像708内に、旋回規制制御が実施されていることを示すメッセージである「旋回規制制御中!」と、バックホウ1の現在の旋回角度θtの情報(45[°])と、比例電磁弁50の現在の開度の情報(100[%])とが表示される。旋回角度θtの情報と、開度の情報とは、実際のバックホウ1の旋回角度θtと実際の比例電磁弁50の開度と対応しており、実際の旋回角度θt及び開度が変化することで表示内容も変化するようになっている。バックホウ画像701の表示内容についても、実際の機体座標及び上部旋回体4の旋回位置の変化に応じて表示内容が変化する。
また、オペレータが、旋回用の操作レバーを操作して、例えば、図20(a)に示す旋回位置へと上部旋回体4を旋回させたとする。この場合、旋回角度θtが第1の油圧緩衝範囲81A内となるため、第1コントローラ70aは、開度60[%]の情報を含む第2の規制制御信号RC2を第2コントローラ20に送信する。
引き続き、オペレータが、旋回用の操作レバーを継続操作して、例えば、図20(b)に示す旋回位置へと上部旋回体4を旋回させたとする。この場合、旋回角度θtが第3の油圧緩衝範囲82A内となるため、第1コントローラ70aは、開度30[%]の情報を含む第3の規制制御信号RC3を第2コントローラ20に送信する。
引き続き、オペレータが、旋回用の操作レバーを継続操作して、例えば、図20(c)に示す旋回位置へと上部旋回体4を旋回させたとする。この場合、旋回角度θtが旋回禁止範囲80内となるため、第1コントローラ70aは、開度0[%]の情報を含む第4の規制制御信号RC4を第2コントローラ20に送信する。
即ち、旋回許可範囲83から旋回禁止範囲80に向かって旋回動作させた場合に、上部旋回体4の旋回速度は、開度100[%]のときの旋回速度から急に0とならず、段階的に遅くなっていきその後に停止する。
一方、施工作業中は、バックホウ1が移動することで、例えば、図21に示すように、バックホウ1の傾斜状態が変化したり、図22(a)に示すように、バックホウ1が移動可能範囲から逸脱したりする。このような場合に、設定されている旋回規制範囲80〜82及び移動可能範囲85が用をなさなくなる。
即ち、第1コントローラ70aは、記憶装置70cに記憶された初期傾斜と、最新の作業機姿勢Pmに含まれる機体2の傾斜情報とに基づき傾斜差を算出する。そして、算出した傾斜差と記憶装置70cに記憶された傾斜閾値とを比較する。
更に、第1コントローラ70aは、記憶装置70cに記憶された旋回初期位置と、最新の機体座標(Xm,Ym,Zm)とに基づき旋回初期位置からの移動距離を算出する。そして、算出した移動距離と記憶装置70cに記憶された移動閾値とを比較する。
また、第1コントローラ70aは、上記比較結果に基づき、例えば、移動距離が移動閾値以上であると判定した場合に、不図示の音響装置に警報の出力指令を送信して、この音響装置に警報音や音声メッセージを不図示のスピーカを介して出力させる。加えて、表示入力装置70dに、指示メッセージの表示指示を出力して、例えば、「移動可能範囲から逸脱しましたので旋回範囲を再設定するか又はバックホウを旋回初期位置に戻して下さい」等のメッセージを表示させる。
一方、旋回範囲8を再設定する場合は、例えば、旋回範囲手動設定開始ボタン画像710をタッチすることで、上記同様の手順で旋回範囲8及び移動可能範囲85を再設定する。即ち、図23(b)に示すように、移動前の旋回範囲8及び移動可能範囲85を旋回範囲8A及び移動可能範囲85Aとすると、バックホウ1の移動先に新たな旋回範囲8B及び移動可能範囲85Bを設定する。
いま、旋回範囲設定案内画像700内の旋回範囲自動設定開始ボタン画像711がタッチされたとする。これにより、第1コントローラ70aは、旋回範囲自動設定モードフラグをONに設定すると共に旋回範囲自動設定処理を開始する。第1コントローラ70aは、表示入力装置70dに、「バックホウを施工開始位置に移動して下さい」等のバックホウ1を施工作業の開始位置まで移動させるメッセージを表示する。
具体的に、自動設定関連情報は、記憶装置70cに記憶された3次元設計データDd、旋回範囲設定用データ及びバックホウの画像情報等の設定結果の表示に必要な画像情報と、最新の機体方位D、機体座標(Xm,Ym,Zm)及び作業機姿勢Pmと、旋回角度センサ75からの旋回角度θtとを含む。
例えば、回避閾値Thを用いて、上部旋回体4を右旋回及び左旋回させた際のバックホウ1の旋回部と回避対象との間の距離を計算し、この距離が少なくとも回避閾値Thよりも長くなり且つ最短となる旋回位置を、旋回禁止範囲80の範囲開始位置及び範囲終了位置として設定する。
そして、表示入力装置70dに、設定された旋回範囲8を示す画像である旋回範囲画像800と、設定された移動可能範囲85を示す画像である移動可能範囲画像850とを含む旋回範囲自動設定画像を表示する。ここでは、図13(b)と同様の画像が表示されることとする。
一方、オペレータは、旋回範囲画像800及び移動可能範囲画像850に問題が無いと判断すると、終了ボタン画像709をタッチする。
ここでは、終了ボタン画像709がタッチされると、第1コントローラ70aは、設定された旋回範囲8及び移動可能範囲85に基づき旋回規制制御を実行する。加えて、表示入力装置70dに、旋回規制制御の設定ボタン画像と、マシンガイダンス処理の開始指示ボタン画像とを表示する(図示省略)。
一方、旋回規制制御における旋回範囲修正処理において、第1コントローラ70aは、例えば、傾斜差が傾斜閾値以上であると判定した場合に、不図示の音響装置に、例えば「傾斜が変化しました、旋回範囲を再設定します」等の音声メッセージを不図示のスピーカを介して出力させる。加えて、表示入力装置70dに、音声メッセージと同様に「傾斜が変化しました、旋回範囲を再設定します」等のメッセージを表示させる。
また、第1コントローラ70aは、例えば、移動距離が移動閾値以上であると判定した場合に、不図示の音響装置に、例えば「移動可能範囲から逸脱しました、旋回範囲を再設定します」等の音声メッセージを不図示のスピーカを介して出力させる。加えて、表示入力装置70dに、音声メッセージと同様に「移動可能範囲から逸脱しました、旋回範囲を再設定します」等のメッセージを表示させる。
ここで、バックホウ1が作業車両に対応し、旋回範囲設定部175が旋回禁止範囲設定部及び出力緩衝範囲設定部に対応し、油圧緩衝範囲81〜82が出力緩衝範囲に対応し、比例電磁弁50及び旋回規制制御部176が旋回規制制御部に対応し、3次元設計データDdが地図データに対応し、記憶装置70cが地図データ記憶部に対応する。
また、機体座標算出部171が座標検出部に対応し、ジャイロセンサ74及び作業機姿勢算出部174が傾斜検出部に対応し、旋回用油圧モータ51が旋回用油圧アクチュエータに対応する。
実施形態に係る作業車両用旋回制御システム7は、旋回範囲設定部175が、バックホウ1の旋回動作を禁止する旋回範囲である旋回禁止範囲80を設定する。加えて、旋回禁止範囲の前後に、旋回用油圧モータ51に供給する圧油の流量変化を緩和する旋回範囲である油圧緩衝範囲81〜82を設定する。旋回規制制御部176が、バックホウ1の旋回部(実施形態では旋回部の位置に対応した旋回角度θt)が油圧緩衝範囲81〜82内にあると判定したときに、旋回用油圧モータ51に供給する圧油の流量を、旋回動作を停止しない範囲で制限する制御を行う。加えて、バックホウ1の旋回部が旋回禁止範囲80内になったと判定したときに、旋回用油圧アクチュエータ51に供給する圧油の流量を、範囲内への進行を続ける方向への旋回動作を停止するように制御する。
加えて、油圧緩衝範囲81〜82における流量低下による旋回速度の低下によって、オペレータに旋回部が旋回禁止範囲80に近づいていることを知らせることが可能となる。これによって、オペレータに対して注意喚起することが可能となり、不必要な旋回停止の発生を低減することが可能となる。
また、実施形態に係る作業車両用旋回制御システム7は、旋回範囲設定部175が、機体座標算出部171で検出した機体座標(Xm,Ym,Zm)に基づきバックホウ1が移動可能範囲85外に移動したと判定すると、移動先の機体座標(Xm,Ym,Zm)と、記憶装置70cに記憶された3次元設計データDdとに基づき旋回禁止範囲80及び油圧緩衝範囲81〜82を再設定する。
また、実施形態に係る作業車両用旋回制御システム7は、ジャイロセンサ74及び作業機姿勢算出部174がバックホウ1の機体2の傾斜(作業機姿勢Pm)を検出する。旋回範囲設定部175は、作業機姿勢算出部174で検出した傾斜に基づき、バックホウ1の機体2の傾斜(θp,θr,θy)が変化したと判定すると、検出した傾斜と、記憶装置70cに記憶された3次元設計データDdとに基づき旋回禁止範囲80及び油圧緩衝範囲81〜82を再設定する。
この構成であれば、バックホウ1の傾斜変化によって、先に設定した旋回禁止範囲80及び油圧緩衝範囲81〜82が使用できなくなった場合に、傾斜変化後において適切な旋回禁止範囲80及び油圧緩衝範囲81〜82を自動的に再設定することが可能である。これによって、傾斜変化後に手動で再設定するといった手間を省くことが可能となり、オペレータの負担を軽減することが可能となる。
上記実施形態では、バックホウ1の予め設定した姿勢(図7に示す旋回半径が最も大きくなる姿勢)に対して、旋回範囲8を設定する構成としたが、この構成に限らない。ここで、バックホウ1の作業機3のようにアームを曲げたり伸ばしたりできる作業機を有する作業車両は、作業機の姿勢によって旋回半径が変化する。このことに基づき、作業機の異なる複数の姿勢に対して旋回範囲を設定する構成としてもよい。この構成とすることで、例えば、図24に示すように、作業機3を上方に向かって伸ばした姿勢で旋回動作を行うような場合に、高所に存在する回避対象物である電線307等に作業機3がぶつかるのを防ぐことが可能となる。また、作業機3の姿勢が回避対象に接触又は侵入することなく旋回できる姿勢であるにも係わらず旋回を禁止するといったことを防ぐことが可能となる。
また、上記実施形態では、第1及び第2の油圧緩衝範囲81A及び81Bと、第3及び第4の油圧緩衝範囲82A及び82Bとにより、上部旋回体4の左右旋回動作に対して、比例電磁弁50の開度を2段階に制限する構成としたが、この構成に限らない。例えば、1段階又は3段階以上に制限する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、開度Aとして60[%]を、開度Bとして30[%]を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、「A>B」の関係であれば他の開度としてもよい。
また、上記実施形態では、クローラ装置で走行する構成のバックホウを例に挙げて説明したが、この構成に限らず、車輪等の他の走行手段で走行する構成のバックホウに対しても本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、作業車両としてバックホウを例に挙げて説明したが、この構成に限らず、例えば、ラフタークレーン、クローラークレーン等の旋回体を有する他の作業車両に対しても本発明は適用可能である。
2 機体
3 作業機
4 上部旋回体
5 運転室
6 走行装置
7 作業車両用旋回制御システム
8 旋回範囲
20 第2コントローラ
30 ブーム
31 アーム
32 バケット
32T 爪先部
40 動力源
41 油圧ポンプ
42 圧油供給装置
50 比例電磁弁
51 旋回用油圧モータ
70 コントロールボックス
70a 第1コントローラ
70b メモリリーダ
70c 記憶装置
70d 表示入力装置
71A〜71B 第1〜第2GNSS受信機
72A〜72C 第1〜第3角度センサ
73 無線機
74 ジャイロセンサ
75 旋回角度センサ
80 旋回禁止範囲
81A,81B 第1,第2の油圧緩衝範囲
82A,82B 第3,第4の油圧緩衝範囲
83 旋回許可範囲
85 移動可能範囲
170 測位情報補正部
171 機体座標算出部
172 バケット座標算出部
173 画像表示処理部
174 作業機姿勢算出部
175 旋回範囲設定部
176 旋回規制制御部
200 第1のガイダンス画像
400 平面図
700 旋回範囲設定案内画像
701 バックホウ画像
702 CAD画像
703 回避対象画像
704 GNSS情報画像
705 方位磁針画像
706 操作ボタン画像
708 情報表示枠画像
709 終了ボタン画像
710 旋回範囲手動設定開始ボタン画像
711 旋回範囲自動設定開始ボタン画像
712 旋回角記憶ボタン画像
713 肯定ボタン画像
714 否定ボタン画像
730 旋回範囲手動設定画像
750 第2のガイダンス画像
800 旋回範囲画像
801 旋回禁止範囲画像
802A,802B 第1,第2の油圧緩衝範囲画像
803A,803B 第3,第4の油圧緩衝範囲画像
804 旋回許可範囲画像
850 移動可能範囲画像
Claims (7)
- 作業車両の旋回動作を規制する制御を行う作業車両用旋回制御システムであって、
前記作業車両はバックホウであり、
前記バックホウの旋回部の旋回動作を禁止する旋回範囲であって前記旋回部の旋回動作が描く円での二つの半径間の扇状領域からなる旋回禁止範囲を設定する旋回禁止範囲設定部と、
前記旋回禁止範囲の二つの半径に対して旋回方向での前後それぞれに、前記バックホウの旋回部を旋回させる旋回用アクチュエータの出力変化を緩和する旋回範囲である出力緩衝範囲を設定する出力緩衝範囲設定部と、
前記バックホウの旋回部が前記出力緩衝範囲内にあると判定したときに、前記旋回用アクチュエータの出力を、前記バックホウの旋回部の旋回動作を停止しない範囲で制限し、前記バックホウの旋回部が前記旋回禁止範囲内に侵入したと判定したときに、前記旋回用アクチュエータの出力を、前記バックホウの旋回部の侵入を続ける方向への旋回動作を停止するように制御する旋回規制制御部と、を備えることを特徴とする作業車両用旋回制御システム。 - 前記旋回規制制御部は、前記旋回用アクチュエータの出力を、前記バックホウの旋回部の旋回位置が前記出力緩衝範囲から前記旋回禁止範囲に向かうに連れて段階的に減少するように制限する制御を行う請求項1に記載の作業車両用旋回制御システム。
- 前記旋回用アクチュエータは、圧油の供給によって動作する旋回用油圧アクチュエータであり、
前記旋回規制制御部は、前記バックホウの旋回部が前記出力緩衝範囲内にあると判定したときには、前記旋回用油圧アクチュエータに供給する圧油の流量を、前記バックホウの旋回部の旋回動作を停止しない範囲で制限し、前記バックホウの旋回部が前記旋回禁止範囲内に侵入したと判定したときには、前記バックホウの旋回部の侵入を続ける方向への旋回動作を停止するように前記旋回用油圧アクチュエータへの圧油の供給を制御する請求項1又は2に記載の作業車両用旋回制御システム。 - 前記旋回用油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧系に介挿された比例電磁弁を備え、
前記旋回規制制御部は、前記比例電磁弁の開度を制御することで前記圧油の流量を制限する制御を行う請求項3に記載の作業車両用旋回制御システム。 - 作業車両の旋回動作を規制する制御を行う作業車両用旋回制御システムであって、
前記旋回動作を禁止する旋回範囲である旋回禁止範囲を設定する旋回禁止範囲設定部と、
前記旋回禁止範囲の前後に、旋回用アクチュエータの出力変化を緩和する旋回範囲である出力緩衝範囲を設定する出力緩衝範囲設定部と、
前記作業車両の旋回部が前記出力緩衝範囲内にあると判定したときに、前記旋回用アクチュエータの出力を、旋回動作を停止しない範囲で制限し、前記旋回部が前記旋回禁止範囲内に侵入したと判定したときに、前記旋回用アクチュエータの出力を、侵入を続ける方向への旋回動作を停止するように制御する旋回規制制御部と、
回避対象の座標情報を含む施工領域の地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記作業車両の実空間座標を検出する座標検出部と、を備え、
前記旋回禁止範囲設定部は、前記座標検出部で検出した前記実空間座標と前記地図データ記憶部に記憶された前記地図データとに基づき、前記作業車両の前記旋回部が前記回避対象を回避不能な旋回位置を含む範囲を前記旋回禁止範囲として設定することを特徴とする作業車両用旋回制御システム。 - 前記旋回禁止範囲設定部及び前記出力緩衝範囲設定部は、前記座標検出部で検出した前記作業車両の実空間座標に基づき前記作業車両が予め設定した距離閾値以上の距離を移動したと判定すると、移動先の前記実空間座標と、前記地図データ記憶部に記憶された前記地図データとに基づき前記旋回禁止範囲及び前記出力緩衝範囲を再設定する請求項5に記載の作業車両用旋回制御システム。
- 前記作業車両の傾斜を検出する傾斜検出部を備え、
前記旋回禁止範囲設定部及び前記出力緩衝範囲設定部は、前記傾斜検出部で検出した前記傾斜に基づき、前記作業車両の傾斜が変化したと判定すると、検出した傾斜と、前記地図データ記憶部に記憶された前記地図データとに基づき前記旋回禁止範囲及び前記出力緩衝範囲を再設定する請求項5又は6に記載の作業車両用旋回制御システム。
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