JP4822008B2 - 加熱硬化性シリコーン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高硬度、高透明でありながら、高温高湿下に放置しても白濁することがなく、発光ダイオード(LED)封止材や光学レンズ材料等、光学部材に好適な硬化物を与える加熱硬化性シリコーン組成物に関する。
シリコーン樹脂は、耐熱・耐寒性、電気絶縁性、耐候性、撥水性、透明性等に優れた樹脂として広く知られており、電気・電子機器、OA機器、自動車、精密機器、建築材料等の各種分野で使用されている。
近年、特に透明な有機材料は加工性、軽量化、低コスト、耐衝撃性等の点から、例えば光学用レンズ等の分野で無機ガラス材料に替わる材料として期待されている。
更に、光学部品の小型化や光源の高輝度化に伴い、有機樹脂材料が高温、高光度に曝されるために、耐熱性・耐光性に優れた透明有機樹脂材料の開発が求められている。この中でシリコーン樹脂は、耐熱性、透明性に優れていることに加え、変色しにくく、物理的な劣化もしにくいという性質において、他の有機樹脂材料より優れているので、光学部品材料としての利用を期待されている。
シリコーン樹脂のなかでも、特許第3344286号公報(特許文献1)に開示されている付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は無溶剤型であり、溶剤型の縮合硬化型シリコーンワニス等に比べて成形性がよいこと、溶剤をほとんど含まないことから、環境にやさしいこと等の長所を備えている。このシリコーン樹脂組成物は、硬化後に高硬度・高透明な樹脂となり、成形性の良さからキートップ用組成物としても使用されている。また、特開2002−265787号公報(特許文献2)に開示されているシリコーン樹脂組成物は、シロキサンの架橋密度を増大させること、及び、芳香環同士のπ−π相互作用が硬化物の強度、特に曲げ強度及び硬度を向上させるのに重要であることから、フェニル基及びアルケニル基を有する特定のオルガノポリシロキサンと、フェニル基を有する特定のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加硬化させて高硬度・高透明な樹脂を得ている。
しかしながら、これらの高硬度・高透明シリコーン樹脂は、耐熱性、耐光性は良好であるものの、家電業界等で材料の評価の対象となる、85℃/85%RHのような高温高湿状態に放置後、室温に戻すと樹脂が白濁してしまうという問題が生じることが明らかとなった。この白濁は、樹脂を100℃/30分程度オーブンで再加熱すればまた無色透明に戻ることはわかっているが、高温高湿放置から室温に戻した際に白濁しないような(即ち、温度依存性及び熱履歴依存性のない透明性を有する)高硬度・高透明シリコーン樹脂の開発が望まれていた。
特許第3344286号公報 特開2002−265787号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高硬度、高透明であり、また高耐熱性、高耐光性に優れ、しかも高温高湿状態に放置した後、室温に戻しても白濁しない硬化物を与える加熱硬化性シリコーン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、硬化触媒からなる付加反応硬化型シリコーン組成物において、分岐状及び/又は三次元網状構造のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとして高フェニル基含量かつ高水酸基含量のもの、好ましくは高フェニル基含量かつ高水酸基含量であり、更にD単位の一部又は全部が2個の一価炭化水素基のうち少なくとも1個がアルケニル基であるものを使用すると共に、エポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びエポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノシラン、並びに非珪素系エポキシ化合物の1種又は2種以上を配合することにより、これを硬化させて得られたシリコーン樹脂は、高硬度・高透明であり、耐熱性・耐光性に優れるのみならず、85℃/85%RHのような高温高湿状態放置後に室温に戻した際に白濁しない材料となることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記加熱硬化性シリコーン組成物を提供する。
[1](イ)加水分解性基を有するシラン化合物の1種又は2種以上を加水分解縮合することによって得られ、下記平均組成式(1)
1 n(C65mSiO(4-n-m)/2 (1)
(但し、式中R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基(但し、フェニル基を除く)、アルコキシ基又は水酸基で、全R1の30〜90モル%がアルケニル基であり、n,mは1≦n+m<2、0.20≦m/(n+m)≦0.95を満たす正数である。)
で示され、かつ下記D単位
3 2 SiO 2/2
(但し、式中R 3 は非置換又は置換の一価炭化水素基を示す。)
を有するとともに、このD単位の全部は、2個のR 3 のうち少なくとも1個がアルケニル基であり、水酸基の量が0.5〜10質量%であるオルガノポリシロキサン、
(ロ)下記平均組成式(2)
2 abSiO(4-a-b)/2 (2)
(但し、式中R2は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換(但し、エポキシ基置換及びアルコキシ基置換を除く)又は非置換の一価炭化水素基、a,bは0.7≦a≦2.1、0.01≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0を満たす正数である。)
で示される珪素原子と結合する水素原子を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
組成物中の全珪素原子結合アルケニル基に対する(ロ)成分及び(ニ)成分中の珪素原子結合水素原子の合計のモル比が0.5〜4.0となる量、
(ハ)触媒量の付加反応用触媒、
(ニ)エポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びエポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノシランから選ばれる1種又は2種以上:
(イ)成分及び(ロ)成分の合計量100質量部に対し0.01〜30質量部
を構成成分とすることを特徴とする加熱硬化性シリコーン組成物。
]150℃で1時間硬化させた後の硬さが、デュロメータ(ショアーD)60以上である[1]記載のシリコーン組成物。
]硬化物の450nmの直線光の透過率が85%以上である[1]又は[2]のいずれか一つに記載のシリコーン組成物。
]硬化物を85℃/85%RH雰囲気下に放置した後の外観が白濁せず、450nmの直線光の透過率が初期の90%以上である[1]〜[3]のいずれか一つに記載のシリコーン組成物。
]発光ダイオード(LED)封止用又は光学レンズ用である[1]〜[4]のいずれか一つに記載のシリコーン組成物。
本発明の加熱硬化性シリコーン組成物は、高硬度・高透明であり、高耐熱性、高耐光性に優れるのみならず、高温高湿状態放置後に室温に戻した際にも白濁しない硬化物を与え、このため発光ダイオード(LED)封止材や光学レンズ材料等、光学部材形成材料として好適である。
本発明において、(イ)成分は、下記平均組成式(1)
1 n(C65mSiO(4-n-m)/2 (1)
(但し、式中R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基(但し、フェニル基を除く)、アルコキシ基又は水酸基で、全R1の30〜90モル%、好ましくは30〜80モル%、更に好ましくは40〜60モル%がアルケニル基であり、n,mは1≦n+m<2、0.20≦m/(n+m)≦0.95、好ましくは1.1≦n+m≦1.9、0.30≦m/(n+m)≦0.90、より好ましくは1.25≦n+m≦1.75、0.40≦m/(n+m)≦0.70を満たす正数である。)
で示され、水酸基が0.5〜10質量%であるオルガノポリシロキサンである。
このオルガノポリシロキサンは、平均組成式(1)において、1≦n+m<2であることから理解されるように、分子中にR1SiO3/2単位、(C65)SiO3/2単位、SiO4/2単位の1種又は2種以上を含有する分岐状あるいは三次元網状構造のものである。n,mは、0.20≦m/(n+m)≦0.95を満たすものであり、この範囲外のものはいずれも強度が低く、脆くなるため、本発明の目的を達成し得ない。
このオルガノポリシロキサンは固体であっても液体であってもよいが、後述する(ロ)〜(ニ)成分を加えた場合、上限が1,000mPa・s〜10,000Pa・s(即ち、10,000,000mPa・s)程度の液体となるものが注型成形・射出成形等の点から好ましい。
1のうち、非置換又は置換の一価炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜12、好ましくは1〜9程度のものが挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基等が挙げられる。但し、全R1の少なくとも1個、好ましくは2個以上がアルケニル基であり、この場合、全R1の30〜90モル%、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜60モル%がアルケニル基である。(イ)成分中に含まれるアルケニル基は1分子中に0.01〜1.0mol/100g、特に0.1〜0.5mol/100gであることが好ましい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基が好ましく、特にビニル基が好ましい。
1のうち、アルコキシ基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
また、R1の中には、加水分解反応時にできる水酸基を含む。この水酸基の量としては、(イ)成分のオルガノポリシロキサン中0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%、更に好ましくは2〜6質量%である。水酸基の量が少ない場合、硬化物の親水性の部分が少なくなり、結果として高温高湿状態放置後に、硬化物中の少ない親水性部分に吸収された水が集まることで、硬化物が白濁してしまう。逆に水酸基の量が多い場合、加熱硬化時に水酸基同士が反応して脱水反応を起こし、泡が発生したり、凝縮した水が硬化物の中に残ってしまうおそれがある。このような(イ)成分中の水酸基量の調整は、低温にてオルガノシランを加水分解すること、また、加水分解後に酸性〜中性の条件下において縮(重)合反応させて、アルカリによる縮(重)合反応工程を含まないことによって達成される。
上記式(1)の分岐状及び/又は三次元網状構造のオルガノポリシロキサンは、室温(25℃)で高粘稠な液体であり、GPCによるポリスチレン換算の分子量で数平均分子量Mnが、通常、1,500〜20,000程度のものが好ましい。Mnがこの範囲より高くても低くても、(ロ)〜(ニ)成分を添加した後の組成物粘度が高すぎたり低すぎたりして、加工作業性が悪くなる場合がある。
上記式(1)のオルガノポリシロキサンは、加水分解性基(例えばハロゲン原子、アルコキシ基等)を有するオルガノシランの1種又は2種以上を加水分解することによって得ることができる。なお、加水分解は酸又はアルカリ触媒の存在下に常法に従って行うことができるが、加水分解に続く、縮(重)合反応は、酸性〜中性条件下で行うことが必要であるため、加水分解触媒も酸触媒の存在下あるいは触媒不存在下に行うことが望ましい。この場合、加水分解等に用いるオルガノシラン類としては、例えば、R1112SiX2、R13SiX3構造をとるものが挙げられる。ここで、Xは加水分解性基で、塩素等のハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。R11、R12、R13は非置換又は置換の一価炭化水素基で、通常、炭素原子数1〜12、好ましくは1〜9程度のものが挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基等が挙げられる。
ここで、R11、R12、R13は、これらのうちフェニル基を20〜95モル%、好ましくは30〜90モル%、より好ましくは40〜70モル%含む。フェニル基が多くなれば、高屈折率材料となるが、(イ)成分の粘度が高くなりすぎて扱いにくくなるおそれがある。また、フェニル基が少ない場合は、高屈折率材料が得られなかったり、目標とする強度が得られない場合がある。
また、R11、R12、R13は、これらのうち1.5〜80モル%、好ましくは2.5〜70モル%、より好ましくは5〜60モル%のアルケニル基を含む。(イ)成分全体に含まれるアルケニル基が多くなれば、添加するオルガノハイドロジェンポリシロキサン量を増量する必要がでてくるため、仕上がり粘度が低くなりすぎるおそれがある。オルガノハイドロジェンポリシロキサン量を増量せず、結果として組成物中のアルケニル基の割合が珪素原子に直結する水素原子のモル数より大きく上回った場合、硬化物の耐熱性が悪くなり、変色の原因となる。また、(イ)成分全体に含まれるアルケニル基が少なくなれば、(イ)成分の粘度が高くなりすぎて扱いにくくなるおそれがある。
また、(イ)成分の平均組成式(1)のオルガノポリシロキサンにおいて、全構成単位中、D単位[R3 2SiO2/2](R3は前記R11、R12に由来する非置換又は置換の一価炭化水素基)は、加水分解仕込み比で、通常0〜65モル%、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは25〜55モル%程度含有することが望ましく、この場合、特に[R3 2SiO2/2]で示されるD単位中に存在する、2個のR3のうち少なくとも1個(即ち、1個又は2個)がアルケニル基であるD単位が(イ)成分中の全D単位当たり50モル%以上(50〜100モル%)、特に70モル%以上(70〜100モル%)であることが望ましい。一方、2個のR3がいずれもアルケニル基以外の一価炭化水素基(例えばアルキル基等)であるD単位は、(イ)成分の全構成単位中、加水分解仕込み比で、20モル%以下(0〜20モル%)、特に15モル%以下(0〜15モル%)であることが望ましく、0モル%であることが最も好ましい。即ち、二官能性の加水分解性シランR1112SiX2としては、R3に相当するR11、R12のいずれか一方あるいは両方がアルケニル基である場合が望ましく、R11、R12がともにアルケニル基でない場合(例えば加水分解性ジアルキルシランなどの場合)には、上記単位、R3 2SiO2/2単位がスペーサーとして組み込まれると、硬化物の強度はアップするが、該二官能性シランR1112SiX2が、加水分解反応時にレジンに取り込まれにくくなり、かつレジン中の残留塩素増加の原因となるからである。
また、(イ)成分の平均組成式(1)のオルガノポリシロキサンにおいて、全構成単位中、T単位[R4SiO3/2](R4は前記R13に由来する非置換又は置換の一価炭化水素基)は、加水分解仕込み比で、通常30〜100モル%、好ましくは40〜75モル%、より好ましくは45〜70モル%含有することが望ましく、また、R4としては、フェニル基又はアルケニル基、特にフェニル基であることが望ましい。
(ロ)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(2)
2 abSiO(4-a-b)/2 (2)
(但し、式中R2は独立に脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換(但し、エポキシ基置換及びアルコキシ基置換を除く)の一価炭化水素基を表す。aは0.7≦a≦2.1、bは0.01≦b≦1.0、0.8≦a+b≦3.0、好ましくは1≦a≦2、0.02≦b≦1.0、2≦a+b≦2.7を満たす正数である。)
で示され、珪素原子と結合する水素原子(即ち、SiH基)を1分子中に少なくとも2個(通常、2〜200個)、好ましくは3個以上(例えば3〜100個)含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。該SiHの含有量は0.001〜0.02mol/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.017mol/gである。(ロ)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、環状、分岐状及び/又は三次元網状構造等のいずれの分子構造のものであってもよいが、特に直鎖状、環状、(一部)分岐状のものが好適に使用される。
(ロ)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(イ)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤として働くと共に、組成物を希釈して使用用途に適した粘度にする反応性希釈剤としても働く成分である。
この(ロ)成分中の一価の基R2は、上述した非置換又は置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜12、特に1〜8のアルキル基、アリール基、アルケニル基等が挙げられるが、脂肪族不飽和結合を有さないものであり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。本発明においては、(ロ)成分の屈折率は、(イ)成分の屈折率と近いものにすることが好ましい。
この場合、(ロ)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、全R2のうち少なくとも30モル%がメチル基であるものが好ましく、更に少なくとも5モル%、好ましくは20〜50モル%がフェニル基であるのが好ましい。(イ)成分と(ロ)成分の屈折率が異なる場合、混合後白濁し、透明な組成物が得られない場合がある。
(ロ)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が、回転粘度計による測定で、好ましくは1,000mPa・s以下(通常、1〜1,000mPa・s)、より好ましくは5〜200mPa・sであり、また通常、分子中の珪素原子数が2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のものを使用することができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサンやこれらの例示化合物においてメチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基に置き換わったものなどのほか、下記一般式(3)又は(4):
Figure 0004822008

(式中、R2は前記の通りであり、cは2〜25、好ましくは2〜20の整数であり、dは4〜8の整数である。)
で表されるもの、下記一般式:
Figure 0004822008
(式中、R2は前記の通りであり、eは5〜40の整数、fは5〜20の整数、gは2〜30の整数である。)
で表されるもの等が例示される。
(ロ)成分の具体例としては、下記構造式
Figure 0004822008

で表されるもの等が挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではない。
また、(ロ)成分の配合量は、組成物中の全珪素原子に結合したアルケニル基、特には(イ)成分中の珪素原子結合アルケニル基に対して(ロ)成分中の珪素原子に結合した水素原子及び後述する(ニ)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計のモル比が0.5〜4.0となる範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.2となる量である。なお、後述する(ニ)成分が珪素原子結合水素原子を含有しないものである場合には、組成物中の全珪素原子に結合したアルケニル基、特には(イ)成分中の珪素原子結合アルケニル基に対して(ロ)成分中の珪素原子結合水素原子のモル比が0.5〜4.0、特に0.7〜1.5、とりわけ0.7〜1.2となる量で(ロ)成分を配合することが望ましい。
組成物中の全珪素原子に結合したアルケニル基に対して(ロ)成分及び(ニ)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計のモル比が高すぎる場合、硬化樹脂が基材等への接着に有利に働く場合があるが、脆くなる傾向があり、低すぎる場合、硬化後の樹脂の耐熱性が特に悪くなり、変色してしまう。
このように(ロ)成分以外に珪素原子に結合した水素原子を有する成分が存在する場合には、組成物中に含まれる珪素原子に結合した水素原子を有する全成分に含まれる珪素原子結合水素原子、特に(ロ)成分及び(ニ)成分中に含まれる全珪素原子結合水素原子に対する(ロ)成分由来の珪素原子結合水素原子の割合が60モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。この上限は特に制限されないが、通常100モル%以下、好ましくは99モル%以下、より好ましくは95モル%以下であればよい。このモル比が大きすぎても小さすぎても、硬化物が十分な強度をもたず、脆くなるおそれがある。
(ロ)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(ハ)成分の付加反応用触媒としては、通常ヒドロシリル化反応を促進させる作用を有するものとして知られる触媒であればいずれも使用することができ、代表的なものとして白金系・ロジウム系・パラジウム系の白金族金属触媒を使用することができる。一般的には塩化白金酸及びその変性品が使用される。特に、エレクトロニクス用途である場合は低塩素触媒が好ましく、例えば塩素分が取り除かれたジビニルテトラメチルジシロキサンやジビニルジフェニルジメチルジシロキサンで変性された白金化合物触媒を使用することが好ましい。添加量はいわゆる有効量(触媒量)であり、特に限定されるものではないが、好ましくは、材料費の面から(イ)成分に対して白金族金属の重量換算で一般的に500ppm以下、好ましくは200ppm以下であることが望ましい。また添加量が少なくなると、硬化阻害の影響を受けやすくなることから、白金族金属の重量換算で通常2ppm以上添加することが好ましい。
(ニ)成分のエポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びエポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノシランは、組成物の経時変化防止材料、あるいは組成物/硬化物の親水性付与材料として用いられる。
本発明においては、組成物/硬化物の親水性を向上させるために、(イ)成分を得る場合、オルガノシラン類を加水分解した後、酸性〜中性の条件下で縮(重)合するものであって、アルカリにて縮合を行うという工程を除いている。そこで、(イ)成分中には、加水分解性塩素あるいは塩素化合物が若干量残存する。エポキシ基はそのような塩素化合物の塩素をトラップする働きがあり、残存する塩素による悪影響(組成物の経時での粘度上昇、あるいは材料の金属等に対する腐食性)を抑えることができる。エポキシ基量は、残存塩素量と等モルで十分効果を発揮するが、更に好ましくは残存塩素量の2倍モル程度とすることが好ましい。このエポキシ基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、また、基材等に対する接着性付与剤として使用され、本発明の組成物に自己接着性を与える。従って、かかるエポキシ基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有する組成物は、例えばLED封止材料や透明接着材料として使用することができる。
また、残存塩素の影響を抑えるのに、アルカリ成分を加えることも有効である。一例として、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。このアルカリ成分は、残存する塩素量の2倍モル程度添加することによって組成物の経時での粘度上昇を抑えることができる。但し、残存塩素量によっては添加量が多くなり、結果として塩酸塩が生成してしまう場合がある。
(ニ)成分は、エポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びエポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノシラン、並びに非珪素系エポキシ化合物から選ばれる1種又は2種以上である。
(ニ)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、珪素原子に結合した水素原子(SiH基)を1個以上(通常、1〜20個、好ましくは2〜10個)有し、かつ珪素原子に結合したアルコキシ基及び/又は珪素原子に結合したエポキシ基を含有する有機基を有する。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、通常、珪素原子数2〜30個、好ましくは4〜20個程度の、直鎖状又は環状のシロキサン構造を有するものが好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のものが挙げられ、該アルコキシ基はシロキサン構造(Si−O−Si)を構成する珪素原子に結合していてもよく、シロキサン構造を構成する珪素原子に炭素数1〜6、特には2〜4のアルキレン基を介して結合したアルコキシシリル基であってもよい。また、エポキシ基含有有機基は、炭化水素基、特に炭素数1〜6のアルキレン基(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい)を介してエポキシ基が珪素原子に結合した基であり、例えば、下記の基が挙げられる。
Figure 0004822008
なお、上記SiH基、エポキシ基、アルコキシ基以外の珪素原子に結合する基は、炭素数1〜12、特に1〜8の一価炭化水素基、特にアルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。
(ニ)成分のオルガノハイロドジェンポリシロキサンの具体例としては、下記の化合物が挙げられる(下記式中、Meはメチル基を示す)。
Figure 0004822008
また、(ニ)成分はエポキシ基及び/又はアルコキシ基を有するオルガノシラン(例えば、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、グリシドキシアルキルジアルコキシオルガノシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルアルキルトリアルコキシシラン等のエポキシ基含有オルガノアルコキシシラン、アルケニルトリアルコキシシラン、アルケニルジアルコキシオルガノシラン等のアルケニル基含有アルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシオルガノシラン等のアルキル基含有アルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、アリールジアルコキシオルガノシラン等のアリール基含有アルコキシシランなど)や非珪素系エポキシ化合物(例えば、アリルグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の分子中に珪素原子を含有しない炭化水素系エポキシ化合物)でもよい。この場合、エポキシ基、アルコキシ基は上記の通りである。また、エポキシ基、アルコキシ基以外の珪素原子に結合する基としては、炭素数1〜12、特に1〜8の一価炭化水素基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。この具体例としては、下記のものが挙げられる。
Figure 0004822008
該(ニ)成分の配合量は、上記(イ)、(ロ)成分の合計100質量部に対して0.01〜30質量部が好ましく、より好ましくは3〜15質量部である。
本発明の加熱硬化性シリコーン組成物を熱硬化させて得られる硬化物が所望の透明性を有するためには、(イ)及び(ロ)成分は相溶性がよいことが必要であり、特に(イ)成分と(ロ)成分の屈折率の差が0.1以下であることが好ましい。このような組成物を熱硬化して得られる硬化物は、波長450nm光の透過率が85%以上の高透明なものとなる。また、85℃/85%RH状態下、100時間放置させた後に室温に戻しても、外観が白濁せず、波長450nm光の透過率が初期の85%以上、特に90%以上となる。本発明以外の従来技術におけるシリコーン組成物では、高温高湿下での白濁現象は、早いものは8時間も放置すれば白濁し、100時間以降は一旦白濁してしまったものは100℃程度に再加熱してもほとんどその白濁具合・光透過率は変化しない。
本発明の組成物には、上記(イ)〜(ニ)成分に加えて、必要に応じて他の成分を添加することができる。例えば、硬化性を抑制しポットライフを与えるための付加反応制御剤、直鎖状あるいは環状のアルケニル基を含有する付加反応遅延剤などを本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
また、更に透明性に影響を与えない範囲で、強度を向上させるためにヒュームドシリカ等の無機質充填剤を配合してもよいし、必要に応じて波長調整剤、染料、顔料、難燃剤、耐熱剤、耐酸化劣化剤などを添加してもよい。
本発明の加熱硬化性シリコーン組成物を用いて所望の成形品を得る場合、その成形法は特に制限されないが、特に注型法が好ましく、その通常の成形条件によって成形することができる。また、加熱金型を用いた射出成形も可能であるが、その場合、粘度を1.0〜100Pa・sくらいとするのが好ましい。
また、本発明組成物の硬化条件は、注型成形の場合は通常1次硬化が100〜120℃で10分〜1時間、2次硬化(ポストキュア)が120〜150℃で30分〜4時間である。
ここで、本発明の加熱硬化性シリコーン組成物は、これを硬化させることにより、透明で、高硬度、高強度の硬化物が得られるが、この場合、特に封止材・レンズ材等の光学材料として使用されるため、「傷付き防止」、あるいはタック感からくるゴミ付着防止の観点より、150℃で1時間硬化させた後の硬さがデュロメーター(ショアーD)で60以上であることが好ましい。また、家電等に使用される場合、耐久信頼性として、130〜150℃での耐熱性、85℃/85%RH状態放置後の白濁がない材料が好ましい。なお、このような物性は、主として(イ)、(ロ)、(ニ)成分の種類、配合量を選定することによって得ることができる。
以下、実施例及び比較例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、(イ)成分の水酸基量はJIS K1557記載の方法にて測定し、硬化物については、硬度をJIS K7060に準じてバーコル硬度計を用いたショアーDで、光透過率は2mm厚の硬化物を作製し、分光光度計(日立U−3310)を用いて測定した。
[実施例1]
(イ)成分の仕込み組成を(C650.62(CH2=CH)0.38(CH30.38SiO1.31とした。即ち、ビニルメチルジクロロシラン45.8g、フェニルトリクロロシラン111.0g(モル比で38:62)とトルエン20gの混合物を、フラスコ内で撹拌されているトルエン120g、水320gの混合物に、フラスコ内が50℃を超えないようゆっくりと滴下・共加水分解し、更に70℃以下で2時間縮重合して、150℃で30分間加熱した際の不揮発分が70%で水酸基量がオルガノポリシロキサン分の3.0質量%である三次元網状(レジン状)構造のオルガノポリシロキサン(レジン固形分のビニル価:0.335mol/100g)のトルエン溶液を調製した。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃,2kPa(15mmHg)以下で1時間ストリップした後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対して、1分子中の珪素原子に対してフェニル基を15モル%有する水素ガス発生量が137ml/gである粘度2×10-62/s(2cSt)のメチルハイドロジェンポリシロキサン架橋剤43質量部、下記構造式Aで示されるアルコキシ基/メトキシ基をもつハイドロジェンシロキサン10質量部を添加して透明な液体を得た(組成物の総SiH基/総珪素原子結合ビニル基のモル比(以下、H/Viと記載する)=0.97)。これにジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子にもつ白金触媒を白金原子として10ppmを添加し、均一に混合後、100℃で1時間、更に150℃で1時間曝し、硬化させると、ショアーD硬度で75となる無色透明樹脂が得られた。
Figure 0004822008
[比較例1]
(イ)成分の仕込み組成を(C650.62(CH2=CH)0.38(CH30.76SiO1.12)とした。即ち、トルエン/水の混合物に、ビニルジメチルクロロシラン・フェニルトリクロロシランをモル比で32.5:52.5となる量を系内が50℃以下となるよう滴下・共加水分解し、更に70℃以下で2時間縮重合した後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対し0.04質量部の50%KOH水溶液を添加し、110℃で還流下にて5時間縮合することにより、150℃で30分間加熱した際の不揮発分が70%でオルガノポリシロキサン分に水酸基量がない(0質量%)三次元網状構造のオルガノポリシロキサン(レジン固形分のビニル価:0.335mol/100g)のトルエン溶液を調製した。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃,2kPa(15mmHg)以下で1時間ストリップした後、レジン分100質量部に対して、1分子中の珪素原子に対してフェニル基を15モル%有する水素ガス発生量が137ml/gである粘度2×10-62/s(2cSt)のメチルハイドロジェンポリシロキサン架橋剤70質量部、上記構造式Aで示されるアルコキシ基/メトキシ基をもつハイドロジェンシロキサン10質量部を添加して透明な液体を得た(H/Vi=0.97)。これにジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子にもつ白金触媒を白金原子として10ppmを添加し、均一に混合後、100℃で1時間、更に150℃で1時間曝し、硬化させると、ショアーD硬度で76となる無色透明樹脂が得られた。
[比較例2]
(イ)成分の仕込み組成を(C650.62(CH2=CH)0.38(CH30.38SiO1.31とした。即ち、トルエン/水の混合物に、ビニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシランをモル比で38:62となる量で系内が50℃以下となるよう滴下・共加水分解し、更に70℃以下で2時間縮重合することにより、150℃で30分間加熱した際の不揮発分が70%で、水酸基量がオルガノポリシロキサン分の3.0質量%である三次元網状(レジン状)構造のオルガノポリシロキサン(レジン固形分のビニル価:0.335mol/100g)のトルエン溶液を調製した。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃,2kPa(15mmHg)以下で1時間ストリップした後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対して、1分子中の珪素原子に対してフェニル基を15モル%有する水素ガス発生量が137ml/gである粘度2×10-62/s(2cSt)のメチルハイドロジェンポリシロキサン架橋剤43質量部(H/Vi=約0.78となる量)を添加して透明な液体を得た。これにジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子にもつ白金触媒を白金原子として10ppmを添加し、均一に混合後、100℃で1時間、更に150℃で1時間曝し、硬化させると、ショアーD硬度で75となる無色透明樹脂が得られた。
以下に、実施例1、比較例1,2について、硬化後の光透過率の結果を表1示す。
Figure 0004822008
表1より、実施例1は、比較例1,2に対して、80℃/85%RH/100時間放置後の450nm光透過率の低下が小さく、また対初期比(維持率)も高く、対初期比が90%以上の優れた特性を有することが分かった。
[比較例3]
(イ)成分の仕込み組成を(C650.45(CH2=CH)0.40(CH30.70SiO1.23とした。即ち、トルエン/水の混合物に、ビニルメチルジクロロシラン・フェニルトリクロロシラン・ジメチルジクロロシランをモル比で40:45:15となる量を系内が50℃以下となるよう滴下・共加水分解し、70℃以下で2時間縮重合することにより、150℃で30分間加熱した際の不揮発分が70%で水酸基の量がオルガノポリシロキサン分の3.4質量%である三次元網状構造のオルガノポリシロキサン(レジン固形分のビニル価:0.403mol/100g)のトルエン溶液を調製した。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃,2kPa(15mmHg)以下で1時間ストリップした後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対して、1分子中の珪素原子に対してフェニル基を15モル%有する水素ガス発生量が137ml/gである粘度2×10-62/s(2cSt)のメチルハイドロジェンポリシロキサン架橋剤43質量部、上記構造式Aで示されるアルコキシ基/メトキシ基をもつハイドロジェンシロキサン10質量部を添加して透明な液体を得た(H/Vi=0.81)。これにジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子にもつ白金触媒を白金原子として10ppmを添加し、均一に混合後、100℃で1時間、更に150℃で1時間曝し、硬化させると、ショアーD硬度で76となる無色透明樹脂が得られた。
[比較例4]
(イ)成分の仕込み組成を(C650.75(CH2=CH)0.40(CH30.40SiO1.23とした。即ち、トルエン/水の混合物に、ビニルメチルジクロロシラン・フェニルトリクロロシラン・ジフェニルジクロロシランをモル比で40:45:15となる量を系内が50℃以下となるよう滴下・共加水分解し、70℃以下で2時間縮重合することにより、150℃で30分間加熱した際の不揮発分が70%で水酸基の量がオルガノポリシロキサン分の3.4質量%である三次元網状構造のオルガノポリシロキサン(レジン固形分のビニル価:0.371mol/100g)のトルエン溶液を調製した。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃,2kPa(15mmHg)以下で1時間ストリップした後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対して、1分子中の珪素原子に対してフェニル基を15モル%有する水素ガス発生量が137ml/gである粘度2×10-62/s(2cSt)のメチルハイドロジェンポリシロキサン架橋剤43質量部、上記構造式Aで示されるアルコキシ基/メトキシ基をもつハイドロジェンシロキサン10質量部を添加して透明な液体を得た(H/Vi=1.02)。これにジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子にもつ白金触媒を白金原子として10ppmを添加し、均一に混合後、100℃で1時間、更に150℃で1時間曝し、硬化させると、ショアーD硬度で76となる無色透明樹脂が得られた。
[比較例5]
(イ)成分の仕込み組成を(C650.61(CH2=CH)0.44(CH30.44SiO1.26とした。即ち、トルエン/水の混合物に、ビニルメチルジクロロシラン・フェニルトリクロロシラン・ジフェニルジクロロシランをモル比で40:45:5となる量を系内が50℃以下となるよう滴下・共加水分解し、70℃以下で2時間縮重合することにより、150℃で30分間加熱した際の不揮発分が70%で水酸基の量がオルガノポリシロキサン分の3.3質量%である三次元網状構造のオルガノポリシロキサン(レジン固形分のビニル価:0.380mol/100g)のトルエン溶液を調製した。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃,2kPa(15mmHg)以下で1時間ストリップした後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対して、1分子中の珪素原子に対してフェニル基を15モル%有する水素ガス発生量が137ml/gである粘度2×10-62/s(2cSt)のメチルハイドロジェンポリシロキサン架橋剤43質量部、上記構造式Aで示されるアルコキシ基/メトキシ基をもつハイドロジェンシロキサン10質量部を添加して透明な液体を得た(H/Vi=0.86)。これにジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子にもつ白金触媒を白金原子として10ppmを添加し、均一に混合後、100℃で1時間、更に150℃で1時間曝し、硬化させると、ショアーD硬度で77となる無色透明樹脂が得られた。
以下に、比較例3〜5について、硬化後の光透過率の結果を表2示す。
Figure 0004822008

Claims (5)

  1. (イ)加水分解性基を有するシラン化合物の1種又は2種以上を加水分解縮合することによって得られ、下記平均組成式(1)
    1 n(C65mSiO(4-n-m)/2 (1)
    (但し、式中R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基(但し、フェニル基を除く)、アルコキシ基又は水酸基で、全R1の30〜90モル%がアルケニル基であり、n,mは1≦n+m<2、0.20≦m/(n+m)≦0.95を満たす正数である。)
    で示され、かつ下記D単位
    3 2 SiO 2/2
    (但し、式中R 3 は非置換又は置換の一価炭化水素基を示す。)
    を有するとともに、このD単位の全部は、2個のR 3 のうち少なくとも1個がアルケニル基であり、水酸基の量が0.5〜10質量%であるオルガノポリシロキサン、
    (ロ)下記平均組成式(2)
    2 abSiO(4-a-b)/2 (2)
    (但し、式中R2は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換(但し、エポキシ基置換及びアルコキシ基置換を除く)又は非置換の一価炭化水素基、a,bは0.7≦a≦2.1、0.01≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0を満たす正数である。)
    で示される珪素原子と結合する水素原子を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
    組成物中の全珪素原子結合アルケニル基に対する(ロ)成分及び(ニ)成分中の珪素原子結合水素原子の合計のモル比が0.5〜4.0となる量、
    (ハ)触媒量の付加反応用触媒、
    (ニ)エポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びエポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノシランから選ばれる1種又は2種以上:
    (イ)成分及び(ロ)成分の合計量100質量部に対し0.01〜30質量部
    を構成成分とすることを特徴とする加熱硬化性シリコーン組成物。
  2. 150℃で1時間硬化させた後の硬さが、デュロメータ(ショアーD)60以上である請求項記載のシリコーン組成物。
  3. 硬化物の450nmの直線光の透過率が85%以上である請求項1又は2記載のシリコーン組成物。
  4. 硬化物を85℃/85%RH雰囲気下に放置した後の外観が白濁せず、450nmの直線光の透過率が初期の90%以上である請求項1〜のいずれか1項記載のシリコーン組成物。
  5. 発光ダイオード(LED)封止用又は光学レンズ用である請求項1〜のいずれか1項記載のシリコーン組成物。
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