以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下においては、X−Yアドレス型の固体撮像装置の一例である、CMOS撮像素子をデバイスとして使用した場合を例に説明する。また、CMOS撮像素子は、全ての画素がNMOSよりなるものであるとして説明する。
ただしこれは一例であって、対象となるデバイスはMOS型の撮像デバイスに限らない。光や放射線などの外部から入力される電磁波に対して感応性をする検知部を有する単位構成要素をライン状やマトリクス状などに複数個配列してなる物理量分布検知用の半導体装置の全てに、後述する実施形態が同様に適用できる。
<固体撮像装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るCMOS固体撮像装置の概略構成図である。この固体撮像装置1は、たとえばカラー画像を撮像し得る電子スチルカメラやFA(Factory Automation)カメラとして適用されるようになっている。
固体撮像装置1は、入射光量に応じた信号を出力する受光素子を含む画素が行および列に配列された(すなわち2次元マトリクス状の)撮像部を有し、各画素からの信号出力が電圧信号であって、CDS(Correlated Double Sampling;相関2重サンプリング)処理機能部やその他の機能部が垂直列ごとに設けられたカラム型のものである。
すなわち、図1に示すように、固体撮像装置1は、複数の画素2が行および列に(2次元行列状に)多数配列された撮像部(画素部)10と、撮像部10の外側に設けられた駆動制御部7と、各垂直列に配されたカラム信号処理回路(図ではカラム回路と記す)26aを有するカラム処理部26とを備えている。駆動制御部7としては、たとえば、水平走査回路12と垂直走査回路14を備える。
なお、カラム処理部26と水平走査回路12との間の信号経路上には、各垂直信号線19に対してドレイン端子が接続された図示しない負荷MOSトランジスタを含む負荷トランジスタ部が配され、各負荷MOSトランジスタを駆動制御する負荷制御部(負荷MOSコントローラ)が設けられている。
図1では、簡単のため行および列の一部を省略して示しているが、現実には、撮像部10の各行や各列には、数十から数千の画素2が配置される。なお、図示を割愛するが、撮像部10には、各画素に所定のカラーコーディングを持つ色分離フィルタが形成される。また図示を割愛するが、撮像部10の各画素2は、典型的には、フォトダイオードなどの受光素子でなる電荷生成部と、増幅用の半導体素子(たとえばトランジスタ)を有する画素内アンプとから構成される(後述する図2を参照)。
画素内アンプとしては、たとえばフローティングディフュージョンアンプ(Floating Diffusion Amp)構成のものが用いられる。一例としては、電荷生成部に対して、電荷読出部(転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタ、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタ、垂直選択用トランジスタ、およびフローティングディフュージョンの電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタを有する、CMOSセンサとして汎用的な4つのトランジスタからなる構成のものを使用することができる。
あるいは、特許第2708455号公報に記載のように、電荷生成部により生成された信号電荷に対応する信号電圧を増幅するための、ドレイン線(DRN)に接続された増幅用トランジスタと、電荷生成部をリセットするためのリセットトランジスタと、垂直シフトレジスタより転送配線(TRF)を介して走査される読出選択用トランジスタ(転送ゲート部)を有する、3つのトランジスタからなる構成のものを使用することもできる。
固体撮像装置1はまた、駆動制御部7の他の構成要素として、水平走査回路12、垂直走査回路14、あるいはカラム処理部26などの固体撮像装置1の各機能部に所定タイミングの制御パルスを供給する通信・タイミング生成部(読出アドレス制御装置の一例)20が設けられている。
これらの駆動制御部7の各要素は、撮像部10とともに、半導体集積回路製造技術と同様の技術を用いて単結晶シリコンなどの半導体領域に一体的に形成され、半導体システムの一例である固体撮像素子(撮像デバイス)として構成される。
画素2は、垂直列選択のための垂直制御線15を介して垂直走査回路14と、垂直信号線19を介してカラム処理部26と、それぞれ接続されている。水平走査回路12や垂直走査回路14は、たとえばシフトレジスタを有して構成され、通信・タイミング生成部20から与えられる駆動パルスに応答してシフト動作(走査)を開始するようになっている。垂直制御線15には、画素2を駆動するための種々のパルス信号が含まれる。
水平走査回路12は、水平方向の読出列(水平方向のアドレス)を規定する(カラム処理部26内の個々のカラム信号処理回路26aを選択する)水平アドレス設定部12aと、水平アドレス設定部12aにて規定された読出アドレスに従って、カラム処理部26の各信号を水平信号線18に導く水平駆動回路12bとを有する。水平アドレス設定部12aは、図示を割愛するが、シフトレジスタあるいはデコーダを有して構成されており、カラム信号処理回路26aからの画素情報を順に選択し、その選択した画素情報を水平信号線18に出力する選択手段としての機能を持つ。
垂直走査回路14は、垂直方向の読出行(垂直方向のアドレス)や水平方向の読出列(水平方向のアドレス)を規定する(撮像部10の行を選択する)垂直アドレス設定部14aと、垂直アドレス設定部14aにて規定された読出アドレス上(水平行方向)の画素2に対する制御線にパルスを供給して駆動する垂直駆動回路14bとを有する。
垂直アドレス設定部14aは、図示を割愛するが、信号を読み出す行の基本的な制御を行なう垂直シフトレジスタあるいはデコーダの他に、電子シャッタ用の行の制御を行なうシャッタシフトレジスタも有する。
垂直シフトレジスタは、撮像部10から画素情報を読み出すに当たって各画素を行単位で選択するためのものであり、各行の垂直駆動回路14bとともに信号出力行選択手段を構成する。シャッタシフトレジスタは、電子シャッタ動作を行なうに当たって各画素を行単位で選択するためのものであり、各行の垂直駆動回路14bとともに電子シャッタ行選択手段を構成する。
通信・タイミング生成部20は、図示しないが、各部の動作に必要なクロックや所定タイミングのパルス信号を供給するタイミングジェネレータTG(読出アドレス制御装置の一例)の機能ブロックと、端子1aを介して入力クロックCLK0や動作モードなどを指令するデータを受け取り、また端子1bを介して固体撮像装置1の情報を含むデータDATAを出力する通信インタフェースの機能ブロックとを備える。また、水平アドレス信号を水平アドレス設定部12aへ、また垂直アドレス信号を垂直アドレス設定部14aへ出力し、各アドレス設定部12a,14aは、それを受けて対応する行もしくは列を選択する。
なお、通信・タイミング生成部20は、撮像部10や水平走査回路12など、他の機能要素とは独立して、別の半導体集積回路として提供されてもよい。この場合、撮像部10や水平走査回路12などから成る撮像デバイスと通信・タイミング生成部20とにより、半導体システムの一例である撮像装置が構築される。この撮像装置は、周辺の信号処理回路や電源回路なども組み込まれた撮像モジュールとして提供されてもよい。
カラム処理部26は、垂直列ごとにカラム信号処理回路26aを有して構成されており、1行分の画素の信号を受けて、その信号を処理する。たとえば、カラム処理部26は、CDS(Correlated Double Sampling;相関2重サンプリング)処理を利用したノイズ除去手段の機能を備えており、通信・タイミング生成部20から与えられるサンプルパルスSHPとサンプルパルスSHDといった2つのサンプルパルスに基づいて、垂直信号線19を介して入力された電圧モードの画素情報に対して、画素リセット直後の信号レベル(ノイズレベル;0レベル)と真の信号レベルとの差分をとる処理を行なうことで、画素ごとの固定ばらつきによる固定パターンノイズ(FPN;Fixed Pattern Noise)やリセットノイズといわれるノイズ信号成分を取り除く。
なお、カラム処理部26には、CDS処理機能部の後段に、必要に応じて信号増幅機能を持つAGC(Auto Gain Control)回路やADC(Analog Digital Converter)回路などを設けることも可能である。
カラム処理部26により処理された画素情報を示す電圧信号は、水平走査回路12からの水平選択信号により駆動される図示しない水平選択スイッチを介して所定のタイミングで読み出されて水平信号線18に伝達されて、水平信号線18の後端に接続された出力回路29に入力される。
出力回路29は、撮像部10から水平信号線18を通して出力される各画素の信号を適当なゲインで増幅した後、撮像信号S0として図示しない外部回路に端子1cを介して供給する。この出力回路29は、たとえば、バッファリングだけする場合もあるし、その前に黒レベル調整、列ばらつき補正、信号増幅、色関係処理などを行なうこともある。
つまり、本実施形態のカラム型の固体撮像装置1においては、画素2からの出力信号(電圧信号)が、垂直信号線19→カラム処理部26→水平信号線18→出力回路29の順で出力される。その駆動は、1行分の画素出力信号は垂直信号線19を介してパラレルにカラム処理部26に送り、CDS処理後の信号は水平信号線18を介してシリアルに出力するようにする。
なお、垂直列や水平列ごとの駆動が可能である限り、それぞれのパルス信号を画素2に対して水平行方向および垂直列方向の何れに配するか、すなわちパルス信号を印加するための駆動クロック線の物理的な配線方法は自由である。
外部回路は、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子とは別の基板(プリント基板もしくは半導体基板)上に構成してよく、各撮影モードや駆動モードに対応した回路構成が採られるようになっている。撮像部10や駆動制御部7などからなる固体撮像素子(本発明に係る半導体装置や物理情報取得装置の一例)と外部回路とによって、固体撮像装置1が構成されている。
駆動制御部7を撮像部10やカラム処理部26と別体にして、撮像部10やカラム処理部26で固体撮像素子(本発明に係る半導体装置の一例)を構成し、この固体撮像素子(本発明に係る半導体装置の一例)と、別体の駆動制御部7とで、固体撮像装置(本発明に係る物理情報取得装置の一例)として構成するようにしてもよい。
たとえば、外部回路は、出力回路29から出力されたアナログの撮像信号S0をデジタルの撮像データD0に変換するA/D(Analog to Digital)変換部と、A/D変換部によりデジタル化された撮像データD0に基づいてデジタル信号処理を施すデジタル信号処理部(DSP;Digital Signal Processor)とを備える。
デジタル信号処理部は、たとえば、A/D変換部から出力されるデジタル信号を適当に増幅して出力するデジタルアンプ部の機能を持つ。また、たとえば色分離処理を施してR(赤),G(緑),B(青)の各画像を表す画像データR,G,Bを生成し、この画像データR,G,Bに対してその他の信号処理を施してモニタ出力用の画像データD2を生成する。また、デジタル信号処理部には、記録メディアに撮像データを保存するための信号圧縮処理などを行なう機能部が備えられる。
また外部回路は、デジタル信号処理部にてデジタル処理された画像データD2をアナログの画像信号S1に変換するD/A(Digital to Analog)変換部を備える。D/A変換部から出力された画像信号S1は、液晶モニタなどの表示デバイスに送られる。操作者は、この表示デバイスに表示されるメニューや画像を見ながら、撮像モードを切り替えるなどの各種の操作を行なうことが可能になる。
このような構成の固体撮像装置1において、水平走査回路12や垂直走査回路14およびそれらを制御する通信・タイミング生成部20により、撮像部10の各画素を水平行単位で順に選択し、その選択した1つの水平行分の画素の情報を同時に読み出すタイプのCMOSイメージセンサが構成される。
なおここでは、固体撮像素子の後段の信号処理を担当する外部回路を固体撮像素子(チップ)外で行なう例を示したが、外部回路の全てもしくは一部(たとえばA/D変換部やデジタルアンプ部など)の機能要素を、固体撮像素子のチップに内蔵するように構成してもよい。つまり、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子と同一の半導体基板上に外部回路を構成して、実質的に、固体撮像装置1と物理情報取得装置とが同一のものとして構成してもよい。
また、本発明に係る物理情報取得装置は、少なくとも駆動制御部7を備えていればよく、駆動制御部7が撮像部10と同一の半導体領域に一体的に形成されたものであることは要件ではない。また、駆動制御部7と外部回路とを、撮像部10とは異なる回路基板(別の半導体基板に限らず一般的な回路基板をも意味する)に形成してもよい。
<単位画素群の回路構成例>
図2は、複数の画素2の組合せでなる単位画素群3の一構成例の回路図である。単位画素群3は、寄生容量を持った拡散層であるフローティングディフュージョン(FD;Floating Diffusion)を電荷蓄積部として利用するFDA構成を採りつつ、4つのトランジスタ(TRansistor)を有する4トランジスタ型画素構成(以下4TR構成という)のものとなっている。
図示するように、単位画素群3は、光を電荷に変換する光電変換機能とともに、その電荷を蓄積する電荷蓄積機能の各機能を兼ね備えたフォトダイオード(PD;Photo Diode)などの電荷生成部32と、電荷生成部32に対して、電荷転送部(電荷読出部/転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタ34、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタ36、垂直選択用トランジスタ40、およびフローティングディフュージョン38の電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタ42を有している。本例では、電荷生成部32としては、2つの電荷生成部32a,32bを設けた例で示しているが、その数は2つに限らず、3以上であってもよい。
画素2を構成する増幅用トランジスタ42は各垂直信号線53(図1の垂直信号線19に相当)に接続されており、また垂直信号線53は垂直列ごとに定電流源Inをなす負荷MOSトランジスタ27のドレインに接続され、また各負荷MOSトランジスタ27のゲート端子には、図示しない負荷制御部からの負荷制御信号LOADが共通に入力されており、信号読出し時には、各増幅用トランジスタ42に接続された負荷MOSトランジスタ27によって、予め決められた定電流を流し続けるようになっている。つまり、負荷MOSトランジスタ27は、選択行の増幅用トランジスタ42とソースフォロアを組むことで、垂直信号線53への信号出力をさせる。
横方向配線は同一行の画素について共通となっており、図示しない垂直走査回路14の垂直駆動回路14bによって駆動制御される。たとえば、垂直駆動回路14b内には、転送駆動バッファ150、リセット駆動バッファ152、および選択駆動バッファ154が収容されている。
読出選択用トランジスタ34は、転送配線(読出選択線)55を介して転送駆動バッファ150により駆動されるようになっている。リセットトランジスタ36は、リセット配線56を介してリセット駆動バッファ152により駆動されるようになっている。垂直選択用トランジスタ40は、垂直選択線52を介して選択駆動バッファ154により駆動される。
また、画素2は、電荷蓄積部の機能を備えた電荷注入部の一例であるフローティングディフュージョン38からなるFDA構成の画素信号生成部5を有するものとなっている。フローティングディフュージョン38は寄生容量を持った拡散層である。画素信号生成部5は、電荷生成部32からフローティングディフュージョン38に移送された電荷の量に応じた電位を発生して垂直信号線53に伝達する手段として機能する。
画素信号生成部5におけるリセットトランジスタ36は、ソースがフローティングディフュージョン38に、ドレインが電源VDDにそれぞれ接続され、ゲート(リセットゲートRG)にはリセットパルスRSTがリセット駆動バッファ152から入力される。
ここで、この画素2は、増幅用トランジスタ42と直列に挿入された選択用トランジスタを含んで画素を選択する4TR構成の画素であるが、増幅用トランジスタ42と垂直選択用トランジスタ40のうち、垂直選択用トランジスタ40の方が垂直信号線53側にあるタイプである。
すなわち、増幅用トランジスタ42は、ドレインが電源VDD(たとえば2.5V)に、ソースが垂直選択用トランジスタ40のドレインにそれぞれ接続され、ゲートがフローティングディフュージョン38に接続されている。垂直選択用トランジスタ40は、ゲート(特に垂直選択ゲートSELVという)が垂直選択線52に接続され、ソースは画素線51を介して垂直信号線53に接続されている。垂直選択線52には、選択駆動バッファ154から垂直選択信号が印加される。
ここで、本実施形態の単位画素群3の構成では、前述のように、物理量の一例である光を変化を検知し、光量変化に応じた信号電荷を生成する電荷生成部32としては、2つの電荷生成部32a,32bを設けており、この2つの電荷生成部32a,32bに対して、共通の画素信号生成部5が設けられた構成となっている。複数の電荷生成部32a,32bに対して画素信号生成部5が共有されるように設けられ、それぞれの電荷生成部32a,32bで検知した光量変化に基づいて単位信号の一例である画素信号を出力する単位信号生成部としての画素信号生成部5を含んで、単位構成要素である単位画素群3が構成されている。
このため、読出選択用トランジスタ34が複数(本例では2つ)の電荷生成部32に蓄積された信号電荷を共通の画素信号生成部5に移送する手段として機能するべく、読出選択用トランジスタ34と転送駆動バッファ150も、独立して読出選択用トランジスタ34a,34b、転送駆動バッファ150a,150bが設けられており、電荷生成部32a,32bから信号電荷を独立にフローティングディフュージョン38に移送させる。
電荷生成部32aと読出選択用トランジスタ34aと画素信号生成部5とで一方の画素2aが構成され、電荷生成部32bと読出選択用トランジスタ34bと画素信号生成部5とで他方の画素2bが構成されると見ることができる。つまり、このような構成では、全体としては、5つのトランジスタで単位画素群3が構成されているが、それぞれの電荷生成部32a,32bから見た場合には、4つのトランジスタで画素2が構成された4TR構成である。
このような4TR構成では、リセットトランジスタ36は、フローティングディフュージョン38をリセットする。具体的には、フローティングディフュージョンの信号電荷(ここでは電子)を電源配線(Vdd)に掃き捨てることによって、フローティングディフュージョン38をリセットする。
読出選択用トランジスタ(転送トランジスタ)34は、電荷生成部32にて生成された信号電荷を、電荷蓄積部の一例であるフローティングディフュージョン38に転送する。
フローティングディフュージョン38は単位信号生成部の一例である増幅用トランジスタ42のゲートに接続されているので、増幅用トランジスタ42はフローティングディフュージョン38の電位(以下FD電位ともいう)に対応した信号(この例では電圧信号)を、垂直選択用トランジスタ40がオンしているときに、画素線51を介して出力信号線の一例である垂直信号線53に出力する。
すなわち、垂直信号線53には多数の画素が接続されているが、画素を選択するのには、選択画素のみ垂直選択用トランジスタ40をオンする。すると選択画素のみが垂直信号線53と接続され、垂直信号線53には選択画素の信号が出力される。
なお、図示を割愛するが、増幅用トランジスタ42と垂直選択用トランジスタ40のうち、増幅用トランジスタ42の方が垂直信号線53側にあるタイプのものとすることもできる。
<第1実施形態>
図3は、図2に示した画素2を駆動して画素信号(単位画素群3から出力される単位信号)を取得する第1実施形態の駆動・演算手法を説明するタイミングチャートである。第1実施形態の駆動・演算手法は、一方の信号電荷を読み出し、それに対応した画素信号の取得後に行なわれる他方の信号電荷の取得時には、非破壊読出しをすることで、双方で検知された信号電荷を合成して読み出し、その後に、演算処理により他方の信号電荷に対応した画素信号を得る点に特徴を有する。
なお、撮像部10には、各画素に所定のカラーコーディングを持つ色分離フィルタが形成されているが、先ずは、基本的な動作を説明するべく、カラーコーディングについては考慮しない(モノクロセンサとして考える)ものとし、カラーコーディングを持つ場合については、後述する第6実施形態で説明する。
図2に示したように、単位画素群3は、2つの電荷生成部32a,32bを有し、フローティングディフュージョン38や増幅用トランジスタ42でなる1つの画素信号生成部5を共有する構成となっている。なお、共有対象の画素は、隣接しているものとし、隣接方向は、正方格子状に画素2が配列されている場合には、画面の垂直方向あるいは水平方向あるいはその両方(すなわち斜め)の何れであってもよい。あるいは、特許文献2(特開平10−136391号公報)に記載のように、斜めに画素を配列する構成を採用する場合には、画面に対して斜め方向に隣接する画素を共有するようにする。
通信・タイミング生成部20から、各画素2に与えるパルス信号のタイミングを変更することによって、通常撮像モードと高速駆動モードを切り替える。
先ず、通常撮像モードでは、図示を割愛するが、従来と同様な動作を行ない、各画素2中に設けた電荷生成部32a、32bそれぞれから個別に読出しを行なう(たとえば、特許文献3の図6および図7における高解像度モードを参照)。
一方、高速駆動モードでは、図3のタイミングチャートに示すように、2つの読出パルス(転送ゲートパルス)TRG1,TRG2がそれぞれ異なるタイミングでアクティブ(本例ではハイレベル)となり、読出選択用トランジスタ34a,34bを順番に駆動し、2つの電荷生成部32a,32bに入射した光が光電変換されて生成された信号電荷を、蓄積ノードとして機能するフローティングディフュージョン38に移送して読み出すようになっている。
ここで、第1実施形態では、一方の電荷生成部32aで検知された信号電荷(物理量の一例である光の変化に応じた信号電荷)に応じた画素信号が垂直信号線19に出力された後、他方の電荷生成部32bで検知された信号電荷に応じた画素信号を垂直信号線19を介して読み出す際には、2つの電荷生成部32a,32bで検知された信号電荷の合成成分に応じた画素信号を出力するように、通信・タイミング生成部20は画素2に対して駆動制御を行なう。
つまり、他方の電荷生成部32bで検知された信号電荷に応じた画素信号を読み出す際には、2つの電荷生成部32a,32bで検知された信号電荷を、蓄積ノードとして機能するフローティングディフュージョン38で足し合わせて読み出すようにする。以下具体的に説明する。
電荷生成部32a,32bに入射した光が光電変換されて生成された信号電荷は、読出選択用トランジスタ34aがオンするまで電荷生成部32a,32bに蓄積される。水平走査線帰線期間にまず行なわれるのは、垂直選択パルスSELをアクティブ(本例ではハイレベル)にして垂直選択用トランジスタ40をオンさせ(t10)、増幅用トランジスタ42でフローティングディフュージョン38の電荷を検出できるように、垂直信号線53、電流源In(負荷MOSトランジスタ27)、および増幅用トランジスタ42でソースフォロワ回路を構成する。これにより、フローティングディフュージョン38の電荷量に対応する、増幅用トランジスタ42のゲート電位で決まる電位のみが垂直信号線53に伝達される。
また、水平走査線帰線期間の開始とともにリセットゲートパルスRGをアクティブ(本例ではハイレベル)にして、リセットトランジスタ36をオンさせることで、フローティングディフュージョン38に蓄積された暗電流積分値を排出させる。これによって、フローティングディフュージョン38は、電源電圧値(Vdd)に設定される。
このとき、通信・タイミング生成部20からサンプルパルスSHPが出力されて、カラム処理部26内のCDS機能部をなすシフトトランジスタのゲートに供給され、各シフトトランジスタがオンする。
次に、電荷生成部32a,32bに信号電荷QA,QBが蓄積された状態で、最初に画素信号生成部5を基準電圧にリセットする。すなわち、通信・タイミング生成部20からクランプパルスSHDが供給され、カラム処理部26内のCDS機能部をなすクランプトランジスタのゲートに供給されて、各クランプトランジスタがオンし、リセットレベルSrstが検出される(t10)。
次に、一方の電荷生成部32aについての読出選択用トランジスタ34aを駆動して、一方の電荷生成部32aから信号電荷QAに応じた画素信号Saを読み出す。すなわち、一方の転送ゲートパルスTRGaをハイレベルにして(t12)、一方の読出選択用トランジスタ34aをオンさせ、一方の電荷生成部32aに蓄積されていた信号電荷QAをフローティングディフュージョン38に移送する。このフローティングディフュージョン38に移送された信号電荷QAの電荷量は、増幅用トランジスタ42によって検出され、その電荷量に応じた電位が発生されて垂直信号線53に伝達される。
この後、通信・タイミング生成部20からクランプパルスSHDを供給して(t13)、クランプトランジスタをオンさせて、電荷生成部32aが検知した信号電荷QAに応じた画素信号レベルSAを検出する。リセットレベルSrstとの差分をとることで、オフセット成分が取り除かれ、真の信号成分Saを検知できる。
次に、他方の電荷生成部32bで検知された信号電荷QBに応じた画素信号Sbを読み出す際には、リセットをかけずに、他方の電荷生成部32bについての読出選択用トランジスタ34bを駆動して、他方の電荷生成部32bから信号電荷QBを読み出す。すなわち、転送ゲートパルスTRGbをハイレベルにして(t14)、読出選択用トランジスタ34bをオンさせ、電荷生成部32bに蓄積されていた信号電荷QBをフローティングディフュージョン38に移送して、既にフローティングディフュージョン38に蓄積されている電荷生成部32aで検知された信号電荷QAと足し合わせる。
よって、フローティングディフュージョン38には、2つの電荷生成部32a,32bが検知した信号電荷QA,QBの合成電荷QABが蓄積された状態となる。つまり、画素信号生成部5では、一方の電荷生成部32a(一般的な画素)における信号電荷QAと他方の電荷生成部32b(一般的な画素)における信号電荷QBがフローティングディフュージョン38にて加算され、2画素分の信号電荷量が蓄積している状態となる。このフローティングディフュージョン38に移送されて合成されたた合成電荷QABの電荷量は、増幅用トランジスタ42によって検出され、その電荷量に応じた電位が発生されて垂直信号線53に伝達される。
この後、通信・タイミング生成部20からクランプパルスSHDを供給して(t15)、クランプトランジスタをオンさせて、電荷生成部32bが検知した信号電荷QBに応じた画素信号レベルSBを検出する。ただしこの際には、前述のように、フローティングディフュージョン38には、2つの電荷生成部32a,32bが検知した信号電荷QA,QBの合成電荷QABが蓄積された状態となっているので、実際には、合成電荷QABに応じた画素信号レベルSABを検出することとなる。リセットレベルSrstとの差分をとることで、オフセット成分が取り除かれ、2つの電荷生成部32a,32bで検知された信号電荷QA,QBの合成電荷QABに応じた真の合成成分Sabを検知できる。
すなわち、第1実施形態では、高速駆動モードにおいて、各画素2内にある2つの電荷生成部32a,32bから信号電荷QA,QBを読み出す際には、先ず一方の電荷生成部32aのみから信号電荷QAを読み出した後に、フローティングディフュージョン38をリセットせずに非破壊状態として他方の電荷生成部32bから信号電荷QBを読み出す。
リセット信号1回につき、信号電荷QAと信号電荷QB2を連続して、共有するフローティングディフュージョン38(つまり画素信号生成部5)に読み出すので、リセット信号の駆動回数が減ぜられるため、1フレームの読出し時間が、リセット動作1回分の動作時間低減になる。通常撮像モードに対して、動作時間比率で概ね3/4となり、高速読出可能となる。出力画素数を低減せずにフレームレートを高めたい場合に有効である。
駆動方式の切替えで、読出動作の高速化が可能であるので、駆動制御部7の制御により、場面に応じて通常駆動と第1実施形態の駆動方式の切替えが可能である。したがって、露光量が十分であるときには通常撮像モードを選択し、動画撮像など高感度が必要な場合に第1実施形態の駆動方式を適用した高速駆動モードにするといった、使用者の嗜好に応じた撮像が可能である。
なお、信号処理により他方の電荷生成部32bにおける信号量を見積もることは容易である。すなわち、電荷生成部32bが検知した信号電荷QBに応じた画素信号Sbは、式(1)で示すように、外部回路において、合成成分Sabと画素信号Saの差分をとることで取得できる。
<第2実施形態>
図4および図5は、図2に示した画素2を駆動して画素信号を読み出す第2実施形態の駆動・演算手法を説明する図である。ここで、図4は、第1実施形態の駆動・演算手法における問題点を説明する図である。また、図5は、第1実施形態の駆動・演算手法における問題点を解消する第2実施形態の駆動・演算手法を説明する図である。第2実施形態の駆動・演算手法は、第1実施形態の駆動・演算手法を採用しつつ、同じ信号を複数回検出して平均化する点に特徴を有する。
第1実施形態の駆動・演算手法では、信号電圧振幅に関して各画素(電荷生成部32a,32b)分を分離して考えると、フローティングディフュージョン38の動作レンジを満足するために、各信号電荷量は通常の半分になり、それぞれに割り当てられる信号電圧振幅が半分になる。このため、ダイナミックレンジが減少し、SNR(信号・雑音比;S/N比)が劣化する問題がある。また、画素信号Sa(=Qa+Na),Sb(=Qb+Nb)を単独で読み出した場合(画素信号ごとにリセット動作)と比較して、Sb=Sab−Saとすることにより、雑音比率が増す。
これに対しては、低照度時、短露光時間時の使用に限定すれば問題ないが、信号振幅の減少によりS/N劣化が課題として残る。たとえば、図4に示すように、同じ光量で比較すると、画素信号Sab(=Qab+Nab)とSa(=Qa+Na)との差分計算により画素信号Sb(=Qb+Nb)を求めると、Qab−Qa+Nab−Na=Qb+Nab−Naとなる。よって、そのノイズ成分Nbが√2倍となり、総合的なノイズ成分Ntotalが、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、√(3/2)倍に増大し、S/N比(SNR)が√(2/3)倍に低下してしまう。つまり、第1実施形態の駆動・演算手法では、高速性が高まるものの、雑音特性が劣化する。
しかしながら、この問題に対しては、たとえば図5に示すように、リセットレベルSrstや信号レベルSA,SABをそれぞれ複数回検出して平均化する、すなわち同じ信号を複数回検出して平均化する駆動・演算方法を採用することで、解像度をまったく落とさずに雑音特性(すなわちSNR)を改善することができる。複数回検出した場合、雑音成分が平均化されるので、各々に対してn回検出して平均した場合、平均化された雑音成分Naveを雑音成分Nの1/√n倍にすることができる。
なお、結果的に、それぞれ複数回取得された加算信号Sabと一方の画素信号Saとに基づいて、加算信号Sabと画素信号Saとの差分Sab−Saの平均値をとる処理を行なって他方の画素信号Sbを求めるものであればよく、演算の手順は問わない。たとえば、図4に示すように、加算信号Sabと画素信号Saのそれぞれについて先ず平均値Sabave,Saaveを求め、その後に、それぞれの平均値Sabave,Saaveの差分をとってもよい。あるいは、それぞれの回数iの差分Sbi=Sabi−Saiを先ず求め、その平均を求めてもよい。つまり、平均化処理と差分処理とは、どっちが先でもよい。
<第3実施形態>
図6および図7は、図2に示した画素2を駆動して画素信号を読み出す第3実施形態の駆動・演算手法を説明する図である。第3実施形態の駆動・演算手法は、第1実施形態の駆動・演算手法を採用しつつ、近傍画素との加算処理を行なう点に特徴を有する。
第2実施形態のように、同じ信号を複数回検出して平均化する駆動手法を採用することで、雑音成分は低減できる。しかしながら、この駆動手法では、検出回数と回路規模や電力は連動する傾向にあることから、電力や回路規模の増大を避けることができない。したがって、これらの問題が重視される場合、すなわち狭スペースに回路を配置する必要がある場合や省電力にする場合には、第2実施形態の駆動・演算手法の採用が困難になる。
一方、電力や回路規模の増大が問題視される場合に、雑音成分の低減を図るには、周辺画素(典型例は隣接画素)との加算平均化(ここでは重付けが均一な単純加算平均化を意味する)が有効である。この場合、第1実施形態の駆動・演算手法を採用しつつ、周辺画素との平均化を行なうことで、単独画素読出し(画素信号ごとにリセット動作)後の画素加算に比べて雑音比率の低減が可能である。
たとえば図6は、3画素加算の一例を示している。加算単位は、図7に示すように、注目画素と周辺画素を順次移動させていく。図6に示すように、単独画素読出し(画素信号ごとにリセット動作)後の3画素加算の場合、加算画素の信号成分Sb’は、信号成分Sa(=Qa+Na),Sb(=Qb+Nb),Sc(=Qc+Nc)の和となり、加算画素の信号成分Sc’は、信号成分Sb(=Qb+Nb),Sc(=Qc+Nc),Sd(=Qd+Nd)の和となるので、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、総合的なノイズ成分Ntotalが√3倍に増大するが、信号成分が3倍となるので、S/N比(SNR)は√3(≒1.73)倍になる。
一方、第3実施形態の駆動・演算手法を採用すれば、加算画素の信号成分Sb’は、信号成分Sa(=Qa+Na),Sb(=Qb+Nb),Sc(=Qc+Nc)の和である点では同じであるが、SaとSbの和はSabとして読み出すことができるから、Sab(=Qab+Nab=Qa+Qb+Nab),Sc(=Qc+Nc)の和で求めることができ、そのノイズ成分Nb’が√2倍となる。
また、加算画素の信号成分Sc’は、信号成分Sb(=Qb+Nb),Sc(=Qc+Nc),Sd(=Qd+Nd)の和である点では同じであるが、ScとSdの和はScdとして読み出すことができるから、Sb(=Sab−Sa=Qb+Nab−Na),Sc
(=Qc+Nc)の和で求めることができ、そのノイズ成分Nc’が√3倍となる。
よって、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、総合的なノイズ成分Ntotalは√(5/2)倍に増大するが、信号成分が3倍となるので、S/N比(SNR)は3/√(5/2)(≒1.9)倍になる。
つまり、第3実施形態の駆動・演算手法を採用すれば、単独画素読出し後の3画素加算に比べて、雑音特性(すなわちSNR)を約10%改善できる。これは、SabはSaと比較して雑音比率1/2であるので、この信号を使用して加算平均することで、単独画素信号を加算平均する場合と比較して、雑音の加算数が減少するためである。つまり、加算平均する場合には、実施形態の駆動・演算手法で読出しをした方が、各面素を独立に読み出して加算平均する方法よりもSNRがよくなる特徴がある。
<第4実施形態>
図8〜図10は、図2に示した画素2を駆動して画素信号を読み出す第4実施形態の駆動・演算手法を説明する図である。第4実施形態の駆動・演算手法は、第3実施形態の駆動・演算手法を採用するに際して、着目画素についての画素信号に対する重付け(加重)比率が高くなるように重付け加算処理を行なう点に特徴を有する。
第3実施形態の駆動・演算手法は、加算信号に限ってはS/Nが倍であるため、この信号との加算平均により雑音比率が低下するものである。すなわち、単独画素信号を読み出すよりも、高速で、かつ低雑音にできる。ただし、この加算平均化処理ではコントラストが劣化する問題が発生する。しかしながら、雑音が問題となるのは、信号の変化が少ない場面であるため、エッジ強調処理により画質改善可能である。あるいは、第4実施形態の駆動・演算手法のように、重付け加算処理を採用することも有効である。
たとえば、図8は、周辺画素に対して注目画素に2倍の重付けを持たせた3画素加算の一例を示している。図示するように、単独画素読出し(画素信号ごとにリセット動作)後の重付け3画素加算の場合、加算画素の信号成分Sb’は、信号成分Sa(=Qa+Na),2*Sb(=Qb+Nb),Sc(=Qc+Nc)の和となり、加算画素の信号成分Sc’は、信号成分Sb(=Qb+Nb),2*Sc(=Qc+Nc),Sd(=Qd+Nd)の和となるので、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、総合的なノイズ成分Ntotalが√6倍に増大するが、信号成分が4倍となるので、S/N比(SNR)は4/√6(≒1.63)倍になる。
一方、第4実施形態の駆動・演算手法を採用すれば、加算画素の信号成分Sb’は、信号成分Sa(=Qa+Na),2*Sb(=Qb+Nb),Sc(=Qc+Nc)の和である点では同じであるが、SaとSbの和はSabとして読み出すことができるから、2*Sab(=Qab+Nab=Qa+Qb+Nab),Sc(=Qc+Nc)の和からSaを差し引くことで求めることができ、そのノイズ成分Nb’が√6倍となる。
また、加算画素の信号成分Sc’は、信号成分Sb(=Qb+Nb),2*Sc(=Qc+Nc),Sd(=Qd+Nd)の和である点では同じであるが、ScとSdの和はScdとして読み出すことができるから、Sb(=Sab−Sa=Qb+Nab−Na),Sc(=Qc+Nc),Scd(=Qcd+Ncd=Qc+Qd+Ncd)の和で求めることができ、そのノイズ成分Nc’が2倍となる。
よって、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、総合的なノイズ成分Ntotalは√5倍に増大するが、信号成分が4倍となるので、S/N比(SNR)は4/√5(≒1.79)倍になる。単独画素読出し後の重付け3画素加算に比べて、雑音特性(すなわちSNR)を約10%改善できる。
また、図9は、周辺画素に対して注目画素に2倍の重付けを持たせた2画素加算の一例を示している。この場合の加算単位は、図10に示すように、非破壊読出しの単位である2画素ごととする。
図9に示すように、単独画素読出し(画素信号ごとにリセット動作)後の重付け2画素加算の場合、加算画素の信号成分Sa’は、信号成分2*Sa(=Qa+Na),Sb(=Qb+Nb)の和となり、加算画素の信号成分Sb’は、信号成分Sa(=Qa+Na),2*Sb(=Qb+Nb)の和となるので、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、総合的なノイズ成分Ntotalが√5倍に増大するが、信号成分が3倍となるので、S/N比(SNR)は3/√5(≒1.34)倍になる。
一方、第4実施形態の駆動・演算手法を採用すれば、加算画素の信号成分Sa’は、信号成分2*Sa(=Qa+Na),Sb(=Qb+Nb)の和である点では同じであるが、SaとSbの和はSabとして読み出すことができるから、Sa(=Qa+Na),Sab(=Qab+Nab=Qa+Qb+Nab)の和で求めることができ、そのノイズ成分Na’が√2倍となる。また、加算画素の信号成分Sb’は、信号成分Sa(=Qa+Na),2*Sb(=Qb+Nb)の和である点では同じであるが、SaとSbの和はSabとして読み出すことができ、2*Sab(Sab−Sa=Qb+Nab−Na)からSa(=Qa+Na)を差し引くことで求めることができ、そのノイズ成分Nb’が√5倍となる。
よって、各信号読出しごとにリセット信号を取得する単独画素読出しの場合に比べて、総合的なノイズ成分Ntotalは√(7/2)倍に増大するが、信号成分が3倍となるので、S/N比(SNR)は3/√(7/2)(≒1.6)倍になる。単独画素読出し後の重付け2画素加算に比べて、雑音特性(すなわちSNR)を約20%改善できる。
このように、第4実施形態の駆動・演算手法を採用すれば、単独画素読出し後の重付け加算に比べて、雑音特性(すなわちSNR)を改善できる。雑音特性(すなわちSNR)は、単純加算平均化を行なう第3実施形態の駆動・演算手法よりも若干劣化するものの、コントラストの劣化が抑制できる。第1実施形態と同様に、この第4実施形態の駆動・演算手法でも、単独で面素信号を読み出すよりも、高速で、かつ、低雑音にできる。
<第5実施形態>
図11は、図2に示した画素2を駆動して画素信号を読み出す第5実施形態の駆動・演算手法を説明する図である。第5実施形態の駆動・演算手法は、第4実施形態の駆動・演算手法を採用するに際して、隣接画素間の信号変化量に応じて当該隣接画素の少なくとも一方の画素信号に対して調整を加える、すなわち隣接画素間の信号変化量に応じて重み付けの比重を変える平均化処理を行なう点に特徴を有する。
第3実施形態のように周辺画素信号との間で加算平均化処理を行なうと、雑音は目立たなくなるが、前述のようにコントラストが低下する。ここで、雑音が画素間の信号変化が小さい場合に目立ち、信号変化の大きなところでは目立たない特徴を考慮すると、信号変化量が小さい場合には出力値が小さく、信号変化量が大きい場合には出力値が大きくなるように、信号変化量に応じて重付けを調整することで、雑音が目立たず、かつ、コントラストのある画像が取得可能である。
たとえば、図11は、隣接する2画素間での重付け加算平均化処理を行なうに際して、当該隣接する2画素の画素値を、当該2画素間の信号変化量に応じて重付けを調整して求める一例を示している。
加算信号Sabから画素信号Saを差し引くと、Sb−Saとなる。これより、加算信号Sabと、一方の画素信号Saの2倍値2Saおよび他方の画素信号Sbの2倍値2Sbとの関係は、図11のようになる。図から分かるように、加算信号Sabと2倍値2Saとの差は、画素信号Sbと画素信号Saとの差分(Sb−Sa)となる。よって、2倍値2Saは、加算信号Sabと差分(Sb−Sa)との差分となる。
ここで、加算信号Sabに対する周辺画素a,bの2倍画素値2Sa’,2Sb’を、信号変化量に応じて重付けを調整して求めるには、式(2)に示すように、信号変化量に応じて重付けが異なる関数f(Sb−Sa)を差分(Sb−Sa)に対して掛けてから、加算信号Sabから差し引く、もしくは加算すればよい。
重付けの調整の仕方は、雑音の影響が大きく、信号変化の小さな点では平均化の度合いを強めることにより雑音を見え難くする。この際には解像度は1/2になる。それに対して、雑音の影響が小さい信号変化の大きな点では平均化の度合いを弱める。これにより、コントラストを維持するので解像度の低下がない。
ここで、図11中の式の関数f(Sb−Sa)は、線形でも非線形、あるいは連続でも非連続でもよい。式(3)に示すように、2画素間の信号変化量|Sb−Sa|が小さい場合に出力値が小さく、信号変化量|Sb−Sa|値が大きい場合には出力値が大きくなる関数であればよい。
また、前述の例では、隣接する2画素の合成成分に応じた加算信号Sabと隣接する2画素の画素信号Sa,Sbの差分(Sb−Sa)との間で加減算処理を行なうとともに、差分(Sb−Sa)が大きいほど差分(Sb−Sa)に対する加減算の比率が高くなるように2倍画素値2Sa’,2Sb’の双方について信号変化量である差分(Sb−Sa)に応じて重付けを調整して求めていたが、これに限らない。少なくとも一方についての処理であってもよく、この場合でも、信号変化量が小さい場合には出力値が小さく、信号変化量が大きい場合には出力値が大きくなるように、信号変化量に応じて重付けを調整することとなり、雑音が目立たず、かつ、コントラストのある画像が取得可能である。もちろん、双方について処理した方が好ましいのは言うまでもない。
また、前述の例では、隣接する2画素の合成成分に応じた加算信号Sabと隣接する2画素の画素信号Sa,Sbの差分(Sb−Sa)との間で加減算処理における、差分(Sb−Sa)に対する重付けを差分(Sb−Sa)に応じて調整していたが、加算信号Sabと差分(Sb−Sa)に基づき、信号変化量が小さい場合には出力値が小さく、信号変化量が大きい場合には出力値が大きくなるように、画素信号Sa,Sbの少なくとも一方について調整するものであればよく、その演算式は、加減算処理によるものに限定されず、Sabと差分(Sb−Sa)とで与えられる関数である限り、種々の関数を利用することができる。
<第6実施形態>
図12は、図2に示した画素2を駆動して画素信号を読み出す第6実施形態の駆動・演算手法を説明する図である。第6実施形態の駆動・演算手法は、カラーフィルタを有する単板イメージセンサにおいて、第1実施形態の駆動・演算手法を適用する点に特徴を有する。
撮像部10は、たとえば、半導体基板上に、画素(ユニットセル)に対応して受光素子の一例であるフォトダイオードなどからなるセンサ部(感光部;フォトセル)が多数、水平(行)方向および垂直(列)方向において2次元マトリクス状に配列されている。これらセンサ部は、受光面から入射した入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。
撮像部10は単板式のものであり、センサ部には、カラー画像撮像用途として、光が入射されるフォトダイオードなどの受光面に、カラー画像を撮像するための複数色の色フィルタの組合せからなる色分離フィルタの何れかの色フィルタが設けられている。
たとえば、正方格子状に配されたセンサ部(画素)が赤(R),緑(G),青(B)の3色カラーフィルタ(原色フィルタ)に対応するように配される。あるいは、シアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y),緑(G)の4色を組み合わせた補色フィルタ構成のものとしてもよい。さらには、赤(R),緑(G),青(B)に加えて第4色としてエメラルド(E)を配したフィルタ構成のものとしてもよい。
図12に示した例は、いわゆるベイヤ(Bayer)配列の基本形のカラーフィルタを用いており、正方格子状に配されたフォトダイオード(PD)などの電荷生成部32(いわゆる画素)が赤(R),緑(G),青(B)の3色カラーフィルタに対応するように、色分離フィルタの繰返単位が2画素×2画素で配されて撮像部10を構成している。
たとえば、奇数行奇数列には第1のカラー(赤;R)を感知するための第1のカラー画素を配し、奇数行偶数列および偶数行奇数列には第2のカラー(緑;G)を感知するための第2のカラー画素を配し、偶数行偶数列には第3のカラー(青;B)を感知するための第3のカラー画素を配しており、行ごとに異なったR/G、またはG/Bの2色のカラー画素が市松模様状に配置されている。このようなベイヤ配列の基本形のカラーフィルタの色配列は、行方向および列方向の何れについても、R/GまたはG/Bの2色が2つごとに繰り返される。
奇数行偶数列に配した第2のカラー(緑;G)を感知するための第2のカラー画素に代えて、第4のカラー(エメラルド;E)を感知するための第4のカラー画素を配してもよい。この場合でも、行ごとに異なったR/E、またはG/Bの2色のカラー画素が市松模様状に配置される。このような色配列は、行方向および列方向の何れについても、R/EまたはG/Bの2色が2つごとに繰り返される点においては、ベイヤ配列の基本形と同じである。
このように、物理量の一例である電磁波(ここでは光)を所定の波長成分に分離する波長分離部として色フィルタが設けられている撮像部10(いわゆる単板イメージセンサ)に第1実施形態の駆動・演算手法を適用する場合、同色の複数画素でフローティングディフュージョン38や増幅用トランジスタ42でなる画素信号生成部5を共有し、共有対象の複数の同色画素対で単位画素群3を構成した方が、共有画素間の信号変化率が低くなるため、コントラストの変化が小さくなる。このことから、高周波信号の劣化による画像信号の誤差を小さくすることができる。
たとえば、一般的に用いられるベイヤ配列のカラーフィルタを有する場合、図12に示すような共有構成が挙げられる。図12(A)および図12(B)は、画面に対して正方格子状に画素2が配列されている場合において、図12(A)は垂直方向、図12(B)は水平方向で、それぞれフローティングディフュージョン38や増幅用トランジスタ42でなるFDA構成の電荷−電圧変換部(すなわち画素信号生成部5)を共有し、かつ垂直方向もしくは水平方向の2ブロックを配線で接続した場合である。図12(A)ではR/G列やG/B列、図12(B)ではR/G行やG/B行の4画素で、1つの画素信号生成部5を共有するように配線を施している。
また、図12(C)は、特許文献2(特開平10−136391号公報)に記載のように、画面に対して斜めに画素2を配列した構成を採用する場合において、行方向および当該行方向に対して直交する列方向の双方にそれぞれ隣接する画素、すなわち斜め方向隣接画素でフローティングディフュージョン38や増幅用トランジスタ42でなるFDA構成の電荷−電圧変換部(すなわち画素信号生成部5)を共有し、かつ、垂直方向の2ブロックを配線で接続した場合である。4つのG画素で1つの信号生成部5を共有し、また2つのR画素と2つのB画素とで1つの信号生成部5を共有するように配線を施している。
何れも、共有対象の画素2としては、複数色が存在し得るが、一方の信号電荷を読み出し、それに対応した画素信号の取得後に行なわれる同色の他方の信号電荷の取得時には、同色間で非破壊読出しをすることで、同色の双方で検知された信号電荷を合成して読み出し、その後に、演算処理により他方の信号電荷に対応した画素信号を得るようにする。
加算平均化を行なうとコントラストの低下に繋がるため、異なる色間で処理を行なった場合に混色と同じ効果が発生する。しかしながら、第6実施形態のように、第1実施形態の駆動・演算手法を適用するに際して、同色の複数画素で検知された信号電荷を合成して読み出してから演算で他方の画素信号を取得するように処理すれば、前記の問題を解消できる。
<単位画素群の回路構成例>
図13は、第6実施形態における図12(A)もしくは図12(B)に示したカラーコーディングに対応した単位画素群3の一構成例の回路図である。単位画素群3は、寄生容量を持った拡散層であるフローティングディフュージョンを電荷蓄積部として利用するFDA構成を採る4TR構成のものとなっている。
図12に示したカラーコーディングに対応した単位画素群3の構成は、4画素間でFDA構成の電荷−電圧変換部(具体的には画素信号生成部5)を共有するように、4つの画素2で1つ単位画素群3を構成している。すなわち、電荷生成部32としては、4つの電荷生成部32a,32b,32c,32dを設けており、この4つの電荷生成部32a,32b,32c,32dに対して、共通の画素信号生成部5が設けられた構成となっている。
このため、読出選択用トランジスタ34が複数(本例では4つ)の電荷生成部32に蓄積された信号電荷を共通の画素信号生成部5に移送する手段として機能するべく、読出選択用トランジスタ34および転送駆動バッファ150も、独立して読出選択用トランジスタ34a,34b,34c,34d、転送駆動バッファ150a,150b,150c,150dが設けられており、電荷生成部32a,32b,34c,34dから信号電荷を独立にフローティングディフュージョン38に移送させる。
G色用の電荷生成部32aと読出選択用トランジスタ34aと画素信号生成部5とで第1の画素2aが構成され、R色用もしくはB色用の電荷生成部32bと読出選択用トランジスタ34bと画素信号生成部5とで第2の画素2bが構成され、G色用の電荷生成部32cと読出選択用トランジスタ34cと画素信号生成部5とで第3の画素2cが構成され、R色用もしくはB色用の電荷生成部32dと読出選択用トランジスタ34dと画素信号生成部5とで第4の画素2dが構成されると見ることができる。
つまり、このような構成では、全体としては、7つのトランジスタで単位画素群3が構成されているが、それぞれの電荷生成部32a,32b,34c,34dから見た場合には、4つのトランジスタで画素2が構成された4TR構成である。
図12(C)に示したカラーコーディングに対応した単位画素群3とする場合、全ての電荷生成部32a,32b,32c,32dをG色用にし、あるいは2つの電荷生成部(たとえば32a,32c)をR色用にするとともに2つの電荷生成部(たとえば32b,32d)をB色用にすればよい。
なお、図12および図13に示した構成においては、4つの画素2で1つ単位画素群3を構成したが、これに限らず、たとえば、8画素で1つ単位画素群3を構成してもよい。たとえば、図12(A)や図12(C)に対しては垂直方向に、また図12(B)に対しては水平方向に、それぞれ4ブロックを配線で接続するように変形すればよい。あるいは、図12(A)と図12(B)とを組み合わせて、垂直方向の2列分もしくは水平方向の2行分についての2ブロック内の全ての画素(8画素)で、1つ単位画素群3を構成してもよい。
また、図12および図13に示した構成においては、同色画素だけに限らず、複数色でFDA構成の電荷−電圧変換部(画素信号生成部5)を共有するように構成していたが、同色画素だけでFDA構成の電荷−電圧変換部(画素信号生成部5)を共有するように構成してもよい。
たとえば、図12(A)や図12(B)に対しては、垂直方向あるいは水平方向の2ブロック内で、G色のみの2画素およびR色のみの2画素、もしくはG色のみの2画素およびB色のみの2画素で、それぞれ1つの画素信号生成部5を共有するように接続配線を変形すればよい。また、図12(C)に対しては、垂直方向の2ブロック内で、G色のみの4画素で1つの画素信号生成部5を共有し、かつR色のみの2画素およびB色のみの2画素で、それぞれ1つの画素信号生成部5を共有するように接続配線を変形すればよい。
<第7実施形態>
図14は、上述した第1〜第6実施形態で説明した、合成成分Sabと画素信号Saの差分をとる処理や加算平均化処理(単純加算および重付け加算の双方を含む)などの演算処理を行なう機能ブロックの配置位置に着目したシステム構成例を説明する図である。
これらの演算処理機能部は、撮像部10の後段に設けられる外部回路に配置する。ここで、外部回路は、先にも述べたように、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子と同一の半導体基板上に構成してもよいし、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子とは別の基板(プリント基板もしくは半導体基板)上に構成してもよい。
たとえば、図14(A)に示すように、撮像部810を主要部とするイメージセンサチップ802上に、演算処理部804をも搭載する。この構成であれば、画像出力信号は従来のイメージセンサのものと同じにすることが可能である。ただし、この構成ではイメージセンサチップ802の設計コストや面積増大などの弊害もある。
これに対して、別の手法として、たとえば図14(B)に示すように、イメージセンサチップ802とは別のDSP(Digital Signal Processor)チップ803に、演算処理部804を搭載する構成を採ることができる。撮像部810(イメージセンサ)の出力信号はカラー信号の画素補間を行なうため処理チップで処理することが一般的である。このため、このようなDSPチップ803に、第1〜第6実施形態で説明した演算処理を行なう演算処理部804を組み込むのは格別困難なことではない。
また、パーソナルコンピュータなど汎用プロセッサ(汎用計算機)を搭載する機器に接続するような構成の場合は、ソフトウェアによる処理が可能である。つまり、CPU(Central Processing Unit)やメモリを利用してソフトウェア的にシステムを構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどのコンピュータ(電子計算機)の機能を利用してシステムをソフトウェア的に実現することができる。
上述の第1〜第6実施形態で説明した駆動手法を適用した本発明に係る物理情報取得方法および物理情報取得装置を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
たとえば、図14(C)に示すように、コンピュータ(電子計算機)の機能を備えた汎用プロセッサ820は、CPU822、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)823、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)825、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)826を有している。
上記において“揮発性の記憶部”とは、画像処理端末6の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、画像処理端末6のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。
また、汎用プロセッサ820は、図示しないが、ユーザインタフェースをなす機能部として、操作キーなどを有する指示入力部と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をユーザに提示する表示出力部と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部なども有する。
このような構成において、CPU822は、図示しないシステムバスを介してシステム全体の制御を行なう。ROM823は、CPU822の制御プログラムなどを格納する。RAM825は、SRAM(Static Random Access Memory)などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。また、RAM825は、所定のアプリケーションプログラムとの連動によって撮像部810で取得した撮像画像やその他のデータをなどを一時的に格納する領域を含んでいる。
電子計算機に第1〜第6実施形態で説明した一連の演算処理機能をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU822、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
なお、ソフトウェアを構成するプログラムが、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
近年の汎用プロセッサは非常に高速な処理が可能であり、かつ、第1〜第6実施形態で説明した演算処理は簡単な演算であるため、高解像度の画像を動画処理するのでなければソフトウェア処理で十分対応可能である。この構成であれば、カメラ部の構成要素を低減でき、コスト削減が可能である。
また、演算処理機能部分の全てをソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムを構築することができるようになる。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下を防ぐことができ、高いスループットを得ることができる。
<<デジタルスチルカメラの全体構成>>
図15は、本発明に係る半導体装置の一実施形態である固体撮像素子を備えた電子機器の一実施形態であるカメラシステムを示す概略構成図である。この図15で示すカメラシステムは、半導体装置の一実施形態である固体撮像装置902を撮像手段として使用し、固体撮像素子(デバイス)910の後段に周辺回路を接続し、筐体に収容することで、カラー画像を撮像し得るデジタルスチルカメラ901として適用されるようになっている。なお、デジタルスチルカメラ901は、固体撮像装置902を撮像手段として利用した電子機器の一例である。
図示するように、デジタルスチルカメラ901は、CMOS型の撮像部を主要部とする固体撮像素子910、撮像レンズ950、および固体撮像素子910を駆動する駆動部996を有する撮像モジュール903と、撮像モジュール903により得られる撮像信号に基づいて映像信号を生成しモニタ出力したり所定の記憶メディアに画像を格納したりする本体ユニット904とを備えてなるデジタルスチルカメラ901として構成されている。
また、このデジタルスチルカメラ901の処理系統は、大別して、光学系905、信号処理系906、記録系907、表示系908、および制御系909から構成されている。なお、撮像モジュール903および本体ユニット904が、図示しない外装ケースに収容されて、実際の製品(完成品)が仕上がるのは言うまでもない。
撮像モジュール903内の駆動部996には、固体撮像素子910を駆動するための各種のパルス信号を生成するタイミング信号生成部940と、このタイミング信号生成部940からのパルス信号を受けて、固体撮像素子910を駆動するためのドライブパルスに変換する走査部942と、固体撮像素子910から出力信号を取り出すための制御信号を生成する制御信号生成部946とが設けられている。なお、タイミング信号生成部940と制御信号生成部946とを纏めてタイミング制御部ともいう。
光学系905は、シャッタ952、被写体の光画像を集光するレンズ954、および光画像の光量を調整する絞り956を有する撮像レンズ950と、集光された光画像を光電変換して電気信号に変換する固体撮像素子910とから構成されている。被写体Zからの光Lは、シャッタ952およびレンズ954を透過し、絞り956により調整されて、適度な明るさで固体撮像素子910に入射する。このとき、レンズ954は、被写体Zからの光Lからなる映像が、固体撮像素子910上で結像されるように焦点位置を調整する。
信号処理系906は、固体撮像素子910の撮像部からのアナログ撮像信号を増幅する増幅アンプや、増幅された撮像信号をサンプリングすることによってノイズを低減させるCDS機能などを有するプリアンプ部961(カラム処理部26に相当)、プリアンプ部961が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換部964、A/D変換部964から入力されるデジタル信号に所定の画像処理を施すDSP(Digital Signal Processor)で構成された画像処理部966から構成される。
記録系907は、画像信号を記憶するフラッシュメモリなどのメモリ(記録媒体)972と、画像処理部966が処理した画像信号を符号化してメモリ972に記録し、また、読み出して復号し画像処理部966に供給するCODEC(Compression/Decompression)974とから構成されている。
表示系908は、画像処理部966が処理した画像信号をアナログ化するD/A(Digital/Analog)変換回路982、入力されるビデオ信号に対応する画像を表示することによりファインダとして機能する液晶(LCD;Liquid Crystal Display)などよりなるビデオモニタ984、およびアナログ化された画像信号を後段のビデオモニタ984に適合する形式のビデオ信号にエンコードするビデオエンコーダ986から構成されている。
制御系909は、先ず、図示しないドライブ(駆動装置)を制御して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリに記憶されている制御用プログラムを読み出し、読み出した制御用プログラム、あるいはユーザからのコマンドなどに基づいてデジタルスチルカメラ901の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)などよりなる中央部992を備える。
また制御系909は、画像処理部966に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにシャッタ952や絞り956を制御する露出コントローラ994、固体撮像素子910から画像処理部966までの各機能部の動作タイミングを制御するタイミング信号生成部(タイミングジェネレータ;TG)940を具備した駆動部996、ユーザがシャッタタイミングやその他のコマンドを入力する操作部998を有する。中央部992は、デジタルスチルカメラ901のバス999に接続された画像処理部966、CODEC974、メモリ972、露出コントローラ994、およびタイミング信号生成部940を制御している。
このデジタルスチルカメラ901では、画像処理部966を中心として、フリッカ補正、γ補正、シェーディング補正、カラーバランスなどの処理をデジタル領域で行なう。また、デジタルスチルカメラ901は、図14(B)に示したと同様に、イメージセンサチップである固体撮像素子910とは別のDSPチップ(画像処理部966)に、上述の第1〜第6実施形態で説明した演算処理を行なう演算処理部を搭載する構成を採っている。
またデジタルスチルカメラ901では、オートフォーカス(AF)、オートホワイトバランス(AWB)、自動露光(AE)などの自動制御装置を備えている。これらの制御は、固体撮像装置902から得られる出力信号を使用して処理する。たとえば、露出コントローラ994は、画像処理部966に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにその制御値が中央部992により設定され、その制御値に従って絞り956を制御する。
タイミング信号生成部940は、中央部992により制御され、固体撮像素子910、プリアンプ部961、A/D変換部964、および画像処理部966の動作に必要とされるタイミングパルスを発生し、各部に供給する。操作部998は、ユーザが、デジタルスチルカメラ901を動作させるとき操作される。
撮像モジュール903内の固体撮像素子910と、プリアンプ部961と、A/D変換部964と、駆動部996とにより固体撮像装置902が構成される。固体撮像装置902は、固体撮像素子910、プリアンプ部961、A/D変換部964、および駆動部996が、1枚の回路基板上に配されたもの、あるいは1つの半導体基板上に形成されたものとして提供されるものであるのがよい。
なお、ここで示した構成は一例であって、たとえば、固体撮像素子910を備える半導体チップ上に、上述の第1〜第6実施形態で説明した演算処理を行なう演算処理部を組み込んで撮像モジュール903を構成してもよいし、プリアンプ部961やA/D変換部964あるいは駆動部996(それぞれ全体でもよいし、その一部でもよい)を、固体撮像素子910を備える半導体チップとは別の回路基板(半導体チップを含む)にて構成するなど、様々な変形が可能である。
たとえば、図示した例は、信号処理系906のプリアンプ部961およびA/D変換部964を撮像モジュール903に内蔵しているが、このような構成に限らず、プリアンプ部961やA/D変換部964を本体ユニット904内に設ける構成を採ることもできる。またD/A変換部を画像処理部966内に設ける構成を採ることもできる。
また、タイミング信号生成部940を撮像モジュール903に内蔵しているが、このような構成に限らず、タイミング信号生成部940を本体ユニット904内に設ける構成を採ることもできる。またタイミング信号生成部940と走査部942と制御信号生成部946とが別体のものとしているが、このような構成に限らず、これらを一体化させたものとしてもよい。こうすることで、よりコンパクトな(小型の)デジタルスチルカメラ901を構成できる。
また、タイミング信号生成部940や走査部942や制御信号生成部946は、それぞれ個別のディスクリート部材で回路構成されたものでもよいが、1つの半導体基板上に回路形成されたIC(Integrated Circuit)として提供されるものであるのがよい。さらに好ましくは、固体撮像素子910とともに1つの半導体基板上に回路形成されたものとするのがよい。CMOS型の撮像素子の場合には、このような構成を採ることが非常に容易である。こうすることで、固体撮像装置902をコンパクトにできるだけなく、部材の取扱いが容易になるし、これらを低コストで実現できる。また、デジタルスチルカメラ901の製造が容易になる。
また、使用する固体撮像素子910との関わりの強い部分である、タイミング信号生成部940や走査部942や制御信号生成部946を固体撮像素子910と共通の基板に搭載することで一体化させる、あるいは撮像モジュール903内に搭載することで一体化させると、部材の取扱いや管理が簡易になる。また、これらがモジュールとして一体となっているので、デジタルスチルカメラ901(の完成品)の製造も容易になる。なお、撮像モジュール903は、駆動部996を含まずに、固体撮像素子910および光学系905から構成されていてもよい。
また、このような構成に限らず、タイミング信号生成部940を、固体撮像素子910とは別の装置として構成して、固体撮像素子910や走査部942などの周辺回路を含む撮像装置(いわゆる撮像デバイス)と、外部のタイミング信号生成部940や画像処理部966などとで、固体撮像装置902を構成するようにしてもよい。すなわち、固体撮像素子910や走査部942など、センサチップ側の他の機能要素とは独立して、タイミング信号生成部940や画像処理部966などで物理情報取得装置を構成し、この物理情報取得装置を、別の半導体集積回路として提供してもよい。この場合、固体撮像装置902は、撮像レンズ950や周辺の信号処理回路(画像処理部966など)や電源回路なども組み込まれた撮像モジュールとして提供されてもよい。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記各実施形態で説明した駆動手法と演算処理は、グローバルシャッタモードでの読出しにも適用できる。MOSイメージセンサでのフォーカルプレーン現象を抑制するためのメカシャッタを使用したグローバルシャッタモードにおいては読出時間を短くした分、露光時間が増加するために真の信号量が単独面素読出しよりも多くなる。高フレームレートであるほど読出時間の低減による真の信号増加は大きく、SNRが改善される。また、前述の加算平均化処理を適用すれば、さらに雑音比率が低減する。