JP4820973B2 - 履物 - Google Patents

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本発明は、健康増進、リハビリ等の目的で用いられる、底部に突起体を備え、履物が前後、左右に傾斜(ローリング)できるように構成した履物に関する。
脚力は、脚の筋力によって決定されるが、通常の歩行、屈伸等による脚筋は、大腿屈筋等特定の筋力に偏りがちであり、高齢者、療養者(リハビリ)など、こうした一般的運動による脚筋使用では、鍛え難い筋肉、例えば大腿内転筋(開脚ストレッチ等が有効)の衰えをカバー出来難いものである。
こうした全体的な筋力強化(及び血行改善)、特に、内転筋のような筋力強化を目的として、これまでに、ローリングが可能な履物(スリッパ、靴)が多数提案されている。
こうした履物を履いて歩行すると、足首から先が傾斜し、これに繋がる各筋肉が刺激を受けて、鍛えることができるというものである。
こうした履物としては、例えば次のものが挙げられる。
実用新案登録3063385号。 特開2005−169053。 特許公表2003−508098。
上述した従来の履物においては、履物の底面に突起を形成することで、接地に際して左右、前後に角度を持たせて、所謂ローリング状態を作り出すのであるが、その傾斜をどのように作り出すかについての工夫が多数なされているも、その傾斜角度については、何れも固定的なものである。
従って、特定の筋肉(内転筋)を刺激することはできるが、ローリングの程度(傾斜程度)を調節することができるものではない。
しかし、履物を使用する者の脚の状態は、高齢者、医療患者、リハビリ受療者等、各人異なるものであるので、大きな傾斜のローリングが行われることは必ずしも適正であるとは言えず、寧ろ危険を伴うものである。従って、その受療者の現況に合わせて好適の傾斜角度でローリングできるのが好ましい。
また、こうした履物でローリングを意図的に行う場合でも、最初は誰でも不慣れであり、特に高齢者、リハビリ受療者等は不安で、慣れが必要である。その為には、履物を通常の履物として履いて慣れた後、その履物で微傾斜のローリングを行い、暫時傾斜角度を大きくして行くという配慮も必要である。即ち、最初は、一般の運動靴のような安定した履物として利用し、暫時トレーニング用として用いることが安全上好ましい。
本発明は、かかる問題に鑑み、脚筋に対して刺激を与え、強化する履物として、その傾斜角度を容易に段階的に調節できるようにし、使用当初においては通常の履物のように安全に履くことが出来、その後、使用者の現況に合わせたトレーニングを行う好適使用形態が得られるようにすることを目的とする。
本発明にかかる履物は、上記目的を達成するために、
底部に突起体を備え、履物が前後、左右に傾斜できるように構成した履物であって、
前記突起体に対応する履物の底部周辺に、前記突起体よりも低い接地体を設け、且つ、
前記接地体と前記突起体とにより形成される接地角度を可変できるように、前記接地体又は前記突起体或いはその両方の底部からの高さを段階的に調節できるように構成し、
前記接地体に、前記突起体と同じ又はそれ以上の高さを有する安定姿勢接地体が敷設され、
前記安定姿勢接地体に切り込み目安線が設けられ、該切り込み目安線への切り込み又はそれに伴う一部切除によって前記安定姿勢接地体の強度を低下させ、履物の微傾斜を可能にするように構成されている、という解決手段を講じたものである。
又、本発明にかかる履物は、上記目的を達成するために、
底部に突起体を備え、履物が前後、左右に傾斜できるように構成した履物であって、
前記突起体に対応する履物の底部周辺に、前記突起体よりも低い接地体を設け、且つ、
前記接地体と前記突起体とにより形成される接地角度を可変できるように、前記接地体又は前記突起体或いはその両方の底部からの高さを段階的に調節できるように構成してある、
という解決手段を講じたものである。
本発明において、履物が前後、左右に傾斜するとは、突起体を中心として、360度の方向に傾斜することは勿論、前又は後の方向のみ、或いは右又は左の方向のみ傾斜することも含まれる。
本発明において、履物とは、スリッパ、運動靴、サンダル等、履物として用いられるものを全て含む。
そして、履物の底部に備えられた突起体とは、接地側に向けて突出するもので、少なくとも一つの突起が存在すればよく、お椀形状のような略円錐形であろうと、三角錐形であろうと、その形状については問わない。
また、履物が前後、左右に傾斜できるとは、この履物を履いて立ったときに、足がその踝(が略中心)で傾斜することを意味するもので、そのジョイントで傾斜するので、恰もローリングするように動くということもできる。
更に、接地体とは、履物の底の周辺部位を指すが、これが、履物(靴)の底部そのものと言える場合も、実施例のように意図的にそこから下方(接地方向)に突出しているものである場合もある。
本発明の請求項1の発明によれば、突起体が接地しないような高さとなる安定姿勢接地体の存在により、当初においては安全な普通の履物として履くことができながら、慣れた後に切り込み目安線による切込によって安定姿勢接地体の強度を低下させ、履物を微傾斜させることで、小さなローリングを生み出し、脚筋への刺激を僅かに生じさせ、更に慣れると、この安定姿勢接地体を完全切除して、接地体と突起体とによる大きな傾斜角度を得て、筋肉への刺激を大きくし、筋力強化を図ることが出来る。
更に、請求項4の発明によれば、接地体と突起体の存在により、脚筋に対して刺激を与え、強化する履物として、その傾斜角度を容易に段階的に調節でき、使用者の現況に合わせた足の好適使用形態(傾斜角度)が得られ、使用する者の脚(その他の部位)の筋肉に対して、その者に応じた刺激を与え、極端な、或いは無理な傾斜に起因する転倒、捻挫を未然に回避し、安全性に優れた履物でありながら、脚筋を鍛錬、強化して健康増進、治療、回復(リハビリ)効果を得ることができる利点がある。
本発明にかかる実施例1の履物の正面図。 本発明にかかる実施例1の履物の裏面斜視図。 本発明にかかる実施例1における図1の要部のA−A線矢視断面図。 本発明にかかる実施例2の履物の正面図。 本発明にかかる実施例2における図4の要部のB−B線矢視断面図。 本発明にかかる実施例3の履物の正面図。 本発明にかかる実施例3における図6の要部のC−C線矢視断面図。 本発明にかかる実施例3における履物の一部切除状態の正面図。
本発明は次のように実施されるのが好ましい。
先ず、請求項1の発明について、前記切り込み目安線が、表記線、凹溝、凸条の何れか或いはそれらの組み合わせにより形成され、且つ、上下又は斜め上下の方向に設けられているのが好ましい。
このように、切り込み目安線を表記線、凹溝、凸条の何れか或いはそれらの組み合わせとすることで、安定姿勢接地体の強度を低下させるに、これを参考にして切り込みを入れ、或いは一部切除を行うことが容易である。
尚、表記線としては、所要の色の線をプリントしたり、引き剥がし自在の色彩テープを貼ったりすることも含まれる。
前記凹溝、凸条については、安定姿勢接地体の形成に際して一体成型で構成できる。
また、切り込みの深さは自在で、接地体の近傍まで入れることもでき、一部切除については、側面視で鋸刃の形状を呈するように行ってもよい。
また、前記安定姿勢接地体の底部には、底板が設けられているのが好ましい。
このように、履物の底部周辺の接地体に敷設した安定姿勢接地体だけでは接地状態が不安定となるので、ここに底板を設けることで、接地面を安定したものとすることができ、初期段階での不慣れな状態にあっては、先ず、底の高い普通の履物として使用でき、いきなりローリングすることによる転倒防止を図り、同じ履物で順次微傾斜から大きな傾斜へと調整して行くことが出来る。
また、請求項4の発明は次のように実施されるのが好ましい。
先ず、前記接地体が、前記履物の底部周辺から突設され、その高さ方向において、前記接地角度を複数段に選択できるように、切除表示部を備えている。
この切除表示部を備えることで、その特定の切除表示部で部分的に接地体を切除することで、その先端と突起体との成す傾斜角度を大きくし、傾斜を大きくすることで足の傾斜(ローリング)を大きくし、更に大きな刺激を脚筋(内転筋等)に与えることができ、これを段階的に行うことで、更にきめの細かな筋力強化調節を行うことができる。
また、前記突起体が、前記接地角度を複数段に選択できるように、その高さ方向において積層状に構成され、各積層体が着脱自在に構成されているのが好ましい。
このように、突起体を積層状に構成し、各積層体を着脱自在としたことで、この突起体の突出高さが調節可能となり、接地体との接地角度を調節できて、足の傾斜を段階的に調節可能とすることができて、好適のトレーニングを行い得る。
また、この突起体の構成と、接地体の切除表示部の構成とを並存させた場合には、何れの側においても傾斜角度を調節可能となり、そのくみあわせによっては、多段数の傾斜調節が可能となり、トレーニングに幅をもたせることができる。
本発明にかかる履物の好適実施例を図面に基づいて以下詳述する。
実施例1
図1に示すのは、履物の実施例1の全体の正面図であり、図2は、図1の裏面を示す斜視図であり、図3は、図1の要部のA−A矢視断面図で、接地を示す傾斜仮想線を3本描いてある。尚、図1は、傾斜していない状態を示している。
この履物は、ここでは、運動靴について適用したものを示す。
先ず、底部1に突起体2を備え、履物が前後、左右に傾斜できるように構成されている。この突起体2は、ここでは、比較的硬質のウレタンで成型されたものである。勿論、運動靴の底と同じ、例えば、天然ゴムで形成してもよい。この突起体2は、靴底の長手方向中央部、幅方向中央部が最も突出するなだらかな傾斜(等高線)の山形に形成されている。勿論、その最突出位置は、履物の中央位置でなくともよく、また、その形状も略円錐形、さい頭円錐形、四角錐等、適宜の形状のものを採用してよい。
前記突起体2に対応する履物の底部周辺に、前記突起体2よりも低い接地体3を設けている。ここでは、この接地体3は、履物の底部周辺に沿って伸びる所定の厚みを有する壁状を呈している。この接地体3についても、前記突起体2と同様の比較的強度のあるウレタンで、同様に一体成型されてなるものである。即ち、履物が傾斜したときに、この接地体3が地面(床)に接当することで、履物の傾斜を止める機能を発揮するものである。尚、前記接地体3は、連続したものでなくともよい。
更に、本発明では、前記接地体3と前記突起体2とにより形成される接地角度を可変できるように、前記接地体3又は前記突起体2或いはその両方の底部からの高さを段階的に調節できるように構成するが、ここでは、前記接地体3により実現するべく、前記接地体3が、前記履物の底部周辺から突設され、その高さ方向において、前記接地角度を複数段、ここでは3段に選択できるように、切除表示部4を備えているのである。この切除表示部4は、ここでは、2本の溝部4A、4Bと、使用するべき傾斜角度表示4Cとから構成されているが、少なくともこれらの一つが備えられればよい。また、その他に、切り取り部位の目安となる切り取り線を所要位置に付してもよい。
この実施例では、前記3段の傾斜として、初期形成の接地体3の所定高さにより、傾斜角度10度とし、第1の溝部4Aでの切除で、傾斜角度20度とし、第2の溝部4Bでの切除で、傾斜角度30度として、その傾斜仮想線を図3に描いているが、これらの傾斜角度は、使用対象者に応じて、別途、適宜の数値に設定したものが準備されてよいものである。
実施例2
図4に示すのは、履物の実施例2における全体の正面図であり、図5は、図3の要部のB−B矢視断面図である。履物の基本構造は、実施例1とおなじである。
ここでは、前記突起体2が、前記接地角度を複数段に選択できるように、その高さ方向において積層状に構成され、各積層体2A、2B、2Cが、嵌合方式で着脱自在に構成されている。各積層体2A、2B、2Cの嵌合方式は、一方に凸部2aを他方2bに凹部を形成して嵌合できる構造を採用している。
即ち、この実施例では、実施例1の如き壁状の接地体3が存在せず、接地体3は、履物の底周辺部により形成されている。従って、履物の底周辺部の接地体3の高さ変動はなく、前記突起体2の高さ変動を行うことによって、この突起体2と接地体3とによる傾斜角度を調節しようとするものである。
従って、この実施例の場合では、当初は、履物の底に近い基本突起の積層体2Aのみが設けられている状態で、傾斜角度10度を得、これに積層体2Bを嵌合させて高さを得た状態で、傾斜角度20度を得、積層体2Cを嵌合させた突出大の状態で、傾斜角度30度を得るようにしている。
尚、上記各積層体2A、2B、2Cの嵌合については、これを他の手段、例えば、接着剤、面ファスナー等に代えてもよい。
また、実施例1の接地体3と、実施例2の突起体2とを並存させる構成を採用してもよい。この場合に、両者の高さ調節により、傾斜角度の段数を増やすことも可能である。
実施例3
図6乃至図8に基づいて説明すると、ここでは、接地体3に安定姿勢接地体5が敷設されているのが特徴である。図6は、履物の正面図であり、図7は、図6のC−C矢視断面図、図8は、一部切除状態を示す正面図である。
即ち、底部1に突起体2を備え、履物が前後、左右に傾斜できるように構成した履物であって、前記突起体2に対応する履物の底部周辺に、前記突起体2よりも低い接地体3を設け、且つ、前記接地体3と前記突起体2とにより形成される接地角度を可変できるように、前記接地体3又は前記突起体2或いはその両方の底部からの高さを段階的に調節できるように構成した点において、上述の実施例と同じである。
そして、前記接地体3に、前記突起体2と同じ又はそれ以上の高さを有する安定姿勢接地体5が敷設されているのである。
この安定姿勢接地体5は、現実的には、前記接地体3と一体成型とされている。勿論、別体成型として後に接着により一体化するようにしてもよい。素材としては、硬質合成樹脂で、容易に変形しない素材を用いている。しかし、カッターナイフ等で切り込みを入れることが可能な硬度のものである。
また、前記安定姿勢接地体5には切り込み目安線5Aが設けられ、該切り込み目安線5Aへの切り込みにより、前記安定姿勢接地体5の強度を低下させ、履物の微傾斜を可能にするように構成されている。
ここでは、図8に示すように、前記切り込みにより、安定姿勢接地体5の一部を切除することで、側面視で鋸刃のような形状として、その強度を低下させるようにしている。
この前記安定姿勢接地体5は、最終段階のトレーニングにおいては、完全除去され、前記接地体3が機能することになる。
前記切り込み目安線5Aは、ここでは、彩色(白色、黒色を含む)の表記線を用いて構成しており、これが、前記安定姿勢接地体5の上下及び斜め上下の方向にプリントされている。
しかし、この切り込み目安線5Aは、安定姿勢接地体5の構造としての凹溝、凸条としてもよいものである。或いは、彩色の表記線を含め、それらの組み合わせにより形成されてもよい。
また、前記安定姿勢接地体5の底部には、図示省略するが、底板が設けられてもよい。この場合、底板は、ポリウレタン等のクッション性に高いものが好ましい。
この底板の存在は、履物の底部周辺の接地体に敷設した安定姿勢接地体だけでは接地状態が不安定となるのを防止するものであって、ここに底板を設けることで、接地面を安定したものとすることができ、初期段階での不慣れな状態にあっては、先ず、底の高い普通の履物として使用でき、いきなりローリングすることによる転倒防止を図るためのものである。
本発明にかかる履物は、足の関節、筋力の鍛錬に役立つもので、単に履くだけのことで、効果が期待できるので、血行改善によるエコノミー症候群の回避、老人医療、リハビリ等その適用範囲は広い。
1:底部
2:突起体
3:接地体
4:切除表示部
5:安定姿勢接地体

Claims (6)

  1. 底部に突起体を備え、履物が前後、左右に傾斜できるように構成した履物であって、
    前記突起体に対応する履物の底部周辺に、前記突起体よりも低い接地体を設け、且つ、
    前記接地体と前記突起体とにより形成される接地角度を可変できるように、前記接地体又は前記突起体或いはその両方の底部からの高さを段階的に調節できるように構成し、
    前記接地体に、前記突起体と同じ又はそれ以上の高さを有する安定姿勢接地体が敷設され、
    前記安定姿勢接地体に切り込み目安線が設けられ、該切り込み目安線への切り込み又はそれに伴う一部切除によって前記安定姿勢接地体の強度を低下させ、履物の微傾斜を可能にするように構成されている、
    ことを特徴とする履物。
  2. 前記切り込み目安線が、表記線、凹溝、凸条の何れか或いはそれらの組み合わせにより形成され、且つ、上下又は斜め上下の方向に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1の履物。
  3. 前記安定姿勢接地体の底部には、底板が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2の履物。
  4. 底部に突起体を備え、履物が前後、左右に傾斜できるように構成した履物であって、
    前記突起体に対応する履物の底部周辺に、前記突起体よりも低い接地体を設け、且つ、
    前記接地体と前記突起体とにより形成される接地角度を可変できるように、前記接地体又は前記突起体或いはその両方の底部からの高さを段階的に調節できるように構成してある、
    ことを特徴とする履物。
  5. 前記接地体が、前記履物の底部周辺から突設され、その高さ方向において、前記接地角度を複数段に選択できるように、切除表示部を備えていることを特徴とする請求項4の履物。
  6. 前記突起体が、前記接地角度を複数段に選択できるように、その高さ方向において積層状に構成され、各積層体が着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5の履物。
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