JP4817665B2 - 落雷位置標定方法及びシステム - Google Patents

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Description

本発明は、落雷位置標定方法及びシステム、より詳細には、落雷から放射される電磁波パルスを受信し、その受信時刻を用いて到達時間差により落雷の位置を推定するための落雷位置標定方法及びそのためのシステムに関するものである。
実用化されている落雷位置標定手法は、落雷から放射される電磁波を複数の受信装置で受信し、同一の落雷から放射された電磁波の情報をグループ化し、それらを用いて落雷の位置を標定する。標定方法としては、受信装置から見た落雷の方位をもとに標定する交会法、電磁波の到達時間をもとに標定する到達時間差法、交会法と到達時間差法を併用して雷の位置を標定する手法があるが、GPS時計等の高精度時計装置の実用化により、到達時間差法が主に用いられている。到達時間差法による落雷位置標定システムの概念と基本構成を下記の図12に示す。
図12は、到達時間差法を用いる落雷位置標定システムの概念と基本的な構成を示す図で、図中、100は落雷、101〜103はアンテナ、104〜106は雷放電電磁波受信装置、107は通信回線、108は解析装置、109は落雷時刻,位置,電流値などの落雷データを示す。雷放電電磁波受信装置104〜106は、落雷100からの雷放電電磁波の伝播Pをアンテナ101〜103で受信して、解析装置108から落雷データ109を出力する。
図13は、落雷を模式的に示した図であり,図13(B)の静止画として撮影される落雷の時間変化を詳細に見ると図13(A)のように観測されることを示す。一般に落雷は、同じ放電路に沿って雷電流が流れる雷撃が約1秒以内に2回以上生じる多重雷である。第1雷撃では、図13に示すように、雷雲から下向きに階段状前駆放電が進展し、大地に達した瞬間に雷電流パルスが大地から雷雲に向かって上昇する帰還雷撃が発生し、第2雷撃以降の雷撃は後続雷撃と呼ばれ、一般に矢型前駆放電に続いて帰還雷撃が発生する。尚、この後続雷撃では、第1雷撃の後約1秒以内に同じ放電路を伝って前駆放電が降下して帰還雷撃に至る現象が数回発生する。
図14は、雷放電から放射される電磁波パルスの伝播様相を示す図である。このように、帰還雷撃から放射される電磁波パルスは、地上付近から放射され、地表に沿って伝搬し、大地の有限な導電率と山などの起伏により変歪する(特に山の陰などは減衰が大きい)。これに対して、雲放電や階段状前駆放電から放射される電磁波パルスは、空中から放射されるため、大地の影響を受けにくい。
従来の落雷位置標定システムは帰還雷撃において大地から電流パルスが上昇する際に放射される電磁波パルスを用いるので、図14に示すように受信される電磁波パルスは大地に沿って伝搬する地表波となる。帰還雷撃から放射される電磁波パルスは、10kHz付近から数MHzまで周波数が高くなるにつれて強度が小さくなる1/f特性を示す。その電磁波パルスの波頭部は地上付近から放射されるので、地表に沿って伝搬する際に大地の有限な導電率、起伏、地上構造物の影響により変歪するため、長距離伝搬した電磁波パルスを広帯域で受信すると波頭部の特定が困難になる。
大地の導電率の影響は、高周波の減衰と低周波の位相遅れとして現れるので、伝搬経路が海のような導電率の高い平坦地でなければ、電磁波パルスの受信時刻には誤差が生じる。例えば、導電率約1mS/mの大地に沿って約200km伝搬した電磁波パルスは、現在の商用システムで使われている周波数帯域の上限付近の400kHzで観測する場合、1/20以下に減衰し1μs以上遅れて受信される。このような電磁波パルスの変歪により、到達時間差法を用いるシステムでは条件によって約5kmもの標定誤差が生じることがある。
そこで、受信時刻の誤差を低減または補正する手法が検討されているが、大地の導電率は一様ではなく、起伏の影響も波長により異なるので、受信された電磁波パルスから伝搬経路の大地の導電率と起伏を推定することは困難である。また、前駆放電が下向きに進展する途中で枝分れした放電路がほぼ同時に大地に到達する場合があるが、ほぼ同時刻に近い位置に二つの帰還雷撃が生じると、そこから放射される電磁波パルスは重なって観測されるので、二つの帰還雷撃を分離して標定することは困難である。
以上のように、帰還雷撃から放射され地表波として大地に沿って伝搬した電磁波パルスを用いて落雷位置を標定する限り、大地導電率と伝搬経路の起伏の影響により電磁波パルスが変歪し、受信時刻に誤差が生じるので、標定結果には誤差が伴う。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、上記従来の問題点を解決し、帰還雷撃を誘起する階段状前駆放電からの電磁波パルスの3次元位置を求めることにより落雷の位置を高精度で標定するための落雷位置標定方法及びそのためのシステムを提供すること、を目的とする。
上記目的を解決するために、本発明は、従来の落雷位置の標定を目的とするシステムが帰還雷撃から放射される電磁波パルスに着目するのに対し、その帰還雷撃の直前に雷雲から下向きに進展して帰還雷撃を誘起する階段状前駆放電から放射される電磁波パルスに着目し、その3次元位置標定結果をもとに帰還雷撃の2次元位置を標定する。
本発明で着目する階段状前駆放電から放射される電磁波パルスは、空中から放射されるために受信装置まで空間波として伝搬するので、大地の有限な導電率や起伏の影響により地表波で生じる減衰や位相遅れが小さい。また、階段状前駆放電から放射される電磁波パルスは幅が数μs以下と短いので、ほぼ同時に発生した2地点の落雷において帰還雷撃の直前に階段状前駆放電から放射された電磁波パルスを分離できる。
而して、本発明の第1の技術手段は、複数個所で雷放電から放射される電磁波を、落雷近傍の強い静電界によるノイズの影響を抑えるために10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために1MHzを上限とする周波数帯域で受信し、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定し、各受信個所で測定されたそれらの受信時刻に基づいて到達時間差法により電磁波パルスの放射源の三次元位置を演算し、前記電磁波パルスの放射源の三次元位置と、前記各受信個所に設けられた受信装置の設置場所との水平距離及び高度差に基づいて電磁波パルスの伝搬の遅れ時間を求め、前記各受信個所における電磁波パルスの受信時刻を補正し、該補正した受信時刻に基づいて電磁波パルスの放射源の三次元位置を再度演算し標定位置を補正し、その位置の下方を落雷位置とすることを特徴としたものである。
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記電磁波パルスの放射源の三次元位置は、地表に近い複数点であることを特徴としたものである。
の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記電磁波パルスの受信時刻の補正は、下記の式
t=(0.29−0.35×log(f))×(−0.33−0.067×σ+log(D))/(1+2.0×f×30^log(H/√σ))(ただし、遅れ時間の補正値t[μs]、水平距離D[km]、高度差H[km]、大地導電率σ[mS/m]、周波数の上限f[MHz])
により、演算することを特徴としたものである。
の技術手段は、複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、第1〜第3のいずれか1の技術手段における方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差の距離と方向を補正値とし、当該雷撃に続く前駆放電を伴わない雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づいて推定した落雷位置を前記補正値により補正することを特徴としたものである。
の技術手段は、複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、第1〜第3のいずれか1の技術手段における方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差に基づいて各受信個所における帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値を演算し、当該雷撃に続く前駆放電を伴わない雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスの各受信個所における受信時刻を前記補正値により補正し、当該時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定することを特徴としたものである。
の技術手段は、複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、第1〜第3のいずれか1の技術手段における方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差の距離と方向を補正値とし、地域ごとの補正値を蓄積し、後の当該地域における雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づいて推定した落雷位置を前記補正値により補正することを特徴としたものである。
の技術手段は、複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、第1〜第3のいずれか1の技術手段における方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差に基づいて各受信個所における帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値を演算し、地域ごとの補正値を蓄積し、後の当該地域の雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスの各受信個所における受信時刻を前記補正値により補正し、当該時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定することを特徴としたものである。
第8の技術手段は、複数個所で雷放電から放射される電磁波を、落雷近傍の強い静電界によるノイズの影響を抑えるために10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために1MHzを上限とする周波数帯域で受信する手段と、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定する手段と、各受信個所で測定されたそれらの受信時刻に基づいて到達時間差法により電磁波パルスの放射源の三次元位置を演算する手段と、前記電磁波パルスの放射源の三次元位置と、前記各受信個所に設けられた受信装置の設置場所との水平距離及び高度差に基づいて電磁波パルスの伝搬の遅れ時間を求め、前記各受信個所における電磁波パルスの受信時刻を補正し、該補正した受信時刻に基づいて電磁波パルスの放射源の三次元位置を再度演算し標定位置を補正する手段と、を有し、当該位置の下方を落雷位置と推定することを特徴としたものである。
第9の技術手段は、複数個所で雷放電から放射される電磁波を、落雷近傍の強い静電界によるノイズの影響を抑えるために10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために1MHzを上限とする周波数帯域で受信する手段と、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定する手段と、前記階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を帰還雷撃のトリガ時刻を基準としてまとめる手段と、該帰還雷撃毎にまとめた各受信個所における電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により電磁波パルスの放射源の三次元位置を演算する手段と、を有し、当該位置の下方を落雷位置と推定することを特徴としたものである。
第10の技術手段は、第9の技術手段において、帰還雷撃に特有の低周波の電磁界変化を捉えるために10kHzを下限とし、80kHzを上限とする周波数帯域の電磁波パルスを数百μs以上の時間幅で調べた時に最大値が閾値を超える電磁波パルスの受信時刻を測定することにより帰還雷撃を検出し、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを数個以上検出するためにその時刻から100μs以上前までの間に受信した10kHzを下限とし、1MHzを上限とする周波数帯域の電磁波パルスを階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの間隔より小さい数μsの時間幅で調べた時に最大値が閾値を超える電磁波パルスの受信時刻を測定し、それらの受信時刻を帰還雷撃のトリガ時刻を基準としてまとめることを特徴としたものである。
第11の技術手段は、第9又は第10の技術手段において、雷放電から放射される電磁波の受信機能、受信データの伝送機能、データの解析機能を少なくとも有することを特徴としたものである。
本発明によれば、従来の帰還雷撃に伴う電磁波の受信時刻を用いて2次元位置標定を行う落雷位置標定システムでは多地点で同時に発生する落雷を区別して位置標定できなかったのに対して、帰還雷撃直前の階段状前駆放電に着目するため、階段状前駆放電に続いて異なる地点に生じる落雷を個別に位置標定できるので、ほぼすべての落雷を確実に捕捉できる。
また、階段状前駆放電は帰還雷撃の直前に生じるので、帰還雷撃の特徴的な電磁波パルスに着目してトリガをかける本発明では、階段状前駆放電を雲放電と区別することができるため、雲放電から放射される電磁波パルスを階段状前駆放電の代わりに誤標定することがなく、落雷判別に関する信頼度が高い。
また、帰還雷撃から放射される電磁波パルスは地表波として伝搬するため、大地の導電率や起伏の影響を受けて変歪するので、その受信時刻をもとに放射源である帰還雷撃の2次元位置を標定する従来の落雷位置標定システムでは標定誤差が生じた。しかし、階段状前駆放電から放射される電磁波パルスは空間波として伝搬するため、大地の導電率や小さな起伏の影響を受けにくく、その受信時刻を用いて放射源の3次元標定を行う本発明では、階段状前駆放電の位置を3次元標定できるので、その直下にある落雷の位置を高精度に推定できる。
また、最終的な高精度落雷位置を得る過程で、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値と、帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づく落雷位置の補正値が得られるので、これらをもとに標定地域に対する受信装置毎の各補正値を蓄積すると、より信頼度の高い補正値が利用できる。
また、従来の落雷位置標定システムでは、帰還雷撃の標定誤差が無視できなかったため、同じ放電路に沿って約1秒以内に繰り返し生じる雷撃を1つの多重雷にまとめる際に誤判定が少なくなかったが、本発明ではすべての雷撃を高精度に標定できるので、信頼度の高い多重雷に関する情報を得ることができる。
また、電磁波受信装置は波形判別を行わないので簡素化でき、解析装置では従来の標定計算技術を活用できるので、受信装置の間隔が狭くなる分コストは嵩むが、システム全体として低コスト化が実現できる。
本発明は、複数の電磁波受信装置により雷放電から放射される電磁波パルスを広帯域で受信し、帰還雷撃に伴う特徴的な電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定し、それらの時刻を帰還雷撃毎にまとめ、各受信装置で測定された電磁波パルスの受信時刻から到達時間差法によりパルスの放射源の3次元位置を求め、その下方を落雷位置と推定する。
まず、落雷近傍の強い静電界等によるノイズの影響を抑えるために約10kHzを下限とし、帰還雷撃に特有の低周波の電磁界変化を捉えるために約80kHzを上限とする周波数帯域で、数百μs以上の時間幅で調べたときに最大値が閾値を超える電磁波パルスを探すと、帰還雷撃に伴う特徴的な低周波の電磁波パルスを検出できるので、その波頭部のピークの時刻をトリガ時刻とする。
そして、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを数個以上検出するために、トリガ時刻から約100μs以上前までの間に、帰還雷撃の検出と同じ理由により約10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために約1MHzを上限とする周波数帯域で、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの間隔より小さい数μsの時間幅で調べた時に最大値がトリガに用いた電磁波パルスと同極性でしきい値を超える電磁波パルスを探すと、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを検出できるので、それらの受信時刻を測定する。
なお、電磁波パルスの受信時刻は、より高い周波数で構成される微分波形のピークの時刻を用いるとより高精度で測定できるので、これ以降では電界微分波形のピークの時刻を電磁波パルスの受信時刻として説明する。また、このようにして階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定すると、その中に電界微分波形で見た場合の帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻が含まれるので、トリガ時刻より標定に適した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻として利用する。
このようにして測定した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの極性、トリガ時刻、受信時刻、ならびに階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を、通信回線を介して解析装置に伝送し、トリガ時刻を基準に帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻を組合せ、その結果を基準に階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を組合せ、組合せ毎に到達時間差法により放射源の3次元位置を標定し、放射源から受信装置までの水平距離と高度差を、後述する図8に示す放射源高度毎の遅れ時間を表す式1に代入して、大地導電率の影響による遅れ時間の差を求め、その値を差し引いて補正した受信時刻をもとに放射源の3次元位置を再標定する。そして、得られた放射源から2次元位置の近い地表付近の放射源をグループ化し、その下端の2次元位置を落雷位置とする。
なお、上述の手順により落雷位置を求めた帰還雷撃に続く後続雷撃において、帰還雷撃の直前に階段状前駆放電が観測されない場合は、求めた落雷位置に対応する帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻を落雷位置と比較して受信時刻の補正値を求め、それをもとに補正した後続雷撃の帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻をもとに落雷位置を標定する。同様に、落雷において階段状前駆放電が全く観測されない場合は、同地域の別の落雷で求めた帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値を用いて、帰還雷撃の電磁波パルスの受信時刻を補正し、落雷位置を標定する。
以下に、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻の遅れ時間の補正値を、放射源と電磁波受信装置の水平距離と高度差から推定する式を示す。
t=(0.29−0.35×log(f))×(−0.33−0.067×σ+log(D))/(1+2.0×f×30^log(H/√σ))・・・式1
ただし、遅れ時間の補正値t[μs]、水平距離D[km]、高度差H[km]、大地導電率σ[mS/m]、周波数の上限f[MHz]
なお、上記式1は電磁波伝搬経路の大地導電率が約1〜3mS/m程度の陸で伝搬距離が約60kmまでの場合に適用できる簡易式であり,周波数の上限fを1MHz、大地導電率を地域の代表値として約1〜3mS/mに設定する。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、帰還雷撃の直前に見られる階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを用いて落雷の2次元位置を高精度に標定する手順の一例を説明するためのフロー図である。まず、手順S1では、複数の電磁波受信装置で測定した同一の放電から放射された電磁波パルスの受信時刻を、標定計算の入力データとする。なお、空中の電磁波放射源の3次元位置を標定するには、電磁波放射源から電磁波受信装置までの電磁波伝搬経路に起伏等の障害物がなく、4地点以上で同一の放電に伴う電磁波パルスを受信し、そのうちの少なくとも1地点は電磁波放射源からの距離が他の局までの距離と異なる必要があるので、より多くの電磁波受信装置で受信できるよう、電磁波受信装置はより短い間隔で設置するのが好ましい。
図2は、本発明に係る電磁波受信装置の基本構成例を示すブロック図で、電磁波受信装置は、電界アンテナ1,電界微分信号出力回路2,AD変換部3,積分回路4,トリガ部5,波形解析部6,データ伝送部7,CPU9,及び高精度時計10を備え、通信回線8を介して後述する標定解析装置にデータを伝送する。電界アンテナ1と電界微分信号出力回路2により約10kHz〜約1MHzの周波数帯域で電磁波の微分信号を得て、AD変換部3によりサンプリング間隔100ns以下で離散化する。標定に利用できる電磁波の成分には垂直電界と水平磁界があるが、アンテナの構造が簡単で指向性がないために回路が一系統で済む垂直電界(以下、電界と呼ぶ)を受信する。電界微分信号出力回路2から出力される電界微分信号は、積分回路4で約10kHz〜約80kHzの周波数帯域で積分して電界波形に変換し、トリガ部5で約1msの時間幅で調べた時の最大値がしきい値を超える時刻を測定し、その時刻をトリガ時刻とする。
トリガ時刻は、落雷位置の標定に用いる帰還雷撃に伴う電磁波パルスとその直前に観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを解析する際の基準とする時刻なので、確実に近傍の帰還雷撃に伴う電磁波パルスを検出することが必要である。このため、トリガ部5で調べる信号は、雲放電に伴う電磁波パルスでトリガがかからないよう帰還雷撃に伴う電磁波パルスの特徴である低周波の電界パルスに着目し、帰還雷撃の近傍の強い静電界等によるノイズの影響を抑えるために周波数の下限を約10kHzとし、電磁波パルスのピーク付近によく見られる高周波のノイズの影響を抑えるために周波数の上限を約80kHzとする。
なお、周波数の下限は電磁波受信装置の設置間隔、感度、しきい値により、数kHz〜約20kHzの範囲で調整すればよい。同様に、周波数の上限は電磁波受信装置の設置間隔、感度、しきい値ならびに付近の大地導電率により、約60kHz〜約100kHzの範囲で調整すればよい。また、遠方の帰還雷撃から放射され電離層と大地の間を反射して伝搬した低周波の電磁波パルスでトリガがかからないようにするため、数百μs以上の時間幅で調べた時の最大値がしきい値を超える電磁波パルスのピーク時刻をトリガ時刻とすることにより、観測範囲の帰還雷撃を確実に検出することができる。
波形解析部6では、標定に用いる電磁波パルスの受信時刻を測定するので、周波数の下限はトリガ部5と同様に雷放電の近傍の強い静電界等によるノイズの影響を抑えるために約10kHzとし、周波数の上限は無線通信等による高周波ノイズの影響を避けるために約1MHzとする。なお、電磁波パルスの受信時刻の測定は、より高い周波数で構成される電界の微分信号のピーク時刻を受信時刻とすると、より高精度で測定できる。
図3は、着目する雷放電電磁波の様相、解析時間帯、トリガ時刻Tt、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻T0、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻T1、T2、T3・・・Tnの関係の一例を示す模式図である。図3(A)は電界波形を示し、図3(B)は電界微分波形を示す。同様に、図4は、帰還雷撃直前の電界微分信号を一定の時間幅で調べ、その中で最大値が閾値を越える時刻を検出し、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻とする手法の一例を示す模式図で、図中、W1〜W4は電磁波パルスのピークを抽出した時間範囲、T1〜T4は抽出したピークの時刻を示す。
図3及び図4において、階段状前駆放電に伴う電磁波パルス(パルス1〜n)は、トリガ時刻Ttの10ms以上前から多数観測されるが、そのうち帰還雷撃の位置の参考にできる電磁波パルスは帰還雷撃に近い期間に観測されるので、帰還雷撃に近い期間の数個を検出するのに必要な約100μs以上トリガ時刻Ttより前までの期間を解析期間とする。なお、SN比の良好な主要な電磁波パルスを抽出するため、電磁波パルスの最大値がしきい値以下となるパルスは除外する。また、この解析期間に含まれる帰還雷撃に伴う電磁波パルスは信号強度が抜きん出て大きいので、ピーク値が最大の電磁波パルスを帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻とする。同様に、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直後に検出される電磁波パルスも帰還雷撃に関連する電磁波パルスとして利用できる。
以上により、帰還雷撃に特有の低周波を含む電磁波パルスを雲放電や階段状前駆放電に伴う電磁波パルスと確実に判別し、帰還雷撃に伴う電磁波パルスとその直前の階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を効率良く測定する。さらに、測定した電磁波パルスの受信時刻は、帰還雷撃の極性とトリガ時刻とともに、帰還雷撃毎にまとめてデータ伝送部7により通信回線8を介して標定計算を行う標定解析装置に伝送する。電磁波受信装置はCPU9によりプログラムに基づいて制御し、時刻は高精度時計10により相対誤差0.1μs以下で管理する。
図5は、本発明に係る標定解析装置の基本構成例を示すブロック図で、標定解析装置は、データ受信部11,標定計算部12,標定結果解析部13,落雷データ出力部14,データ記録部15,及びCPU16を備えている。データ受信部11では各地点の電磁波受信装置から通信回線8を介して伝送された電磁波受信時刻等のデータを受信し、それをもとに標定計算部12で電磁波パルスの放射源を標定する。標定結果解析部13ではその標定結果を解析し、電磁波パルスの受信時刻の補正を行って再標定を行うことにより標定の高精度化を図り、それに標定条件等の参考情報を添えて標定解析結果をまとめ、最終的な落雷データを落雷データ出力部14から得る。データ記録部15では受信したデータとともに標定解析結果を保存し、CPU16はプログラムに基づいて標定解析装置全体を制御する。
各地点で測定された電磁波パルスの受信時刻から到達時間差法を用いて放射源の位置を標定するには、同一の放電に伴う電磁波パルスの受信時刻をグループ化する必要がある。しかし、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスは落雷から遠い地点では減衰し、落雷に近い地点で捕捉される電磁波パルスに対応する電磁波パルスをすべて捕捉できるとは限らないので、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻データ同士の比較のみによりパルスの受信時刻を確実にグループ化することは難しい。これに対し、帰還雷撃は数ms以上の間隔で発生し、例えば30kmの間隔で設置された電磁波受信装置で測定されたトリガ時刻は誤差0.1ms以内で一致するので、トリガ時刻は確実にグループ化できる。
このため本発明では、図1において、最初に手順S2によりトリガ時刻のグループ化を行い、続いて手順S3により帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻のグループ化を行い、その結果を基準に手順S6により階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻のグループ化を行う。
図6は、異なる電磁波受信装置で測定された帰還雷撃パルスと前駆放電パルスの受信時刻を同一放電毎にグループ化する手順の一例を示す概念図である。尚、本例に示す受信装置1〜4は図2に示した電磁波受信装置と同じ構成とする。同一の帰還雷撃に対応するトリガ時刻Ttをグループ化し、それを基準に同一の帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻T0をグループ化し、さらにそれを基準に同一の階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻T1〜Tnをグループ化する。この手順により、受信時刻T2は受信装置4における欠測により3地点の測定時刻のグループ、受信時刻T3は受信装置3,4における欠測により2地点の測定時刻のグループとなるので3次元標定には適用できないが、T0、T1・・・Tnを確実にグループ化できる。
このように、図1における手順S3によりグループ化された3局以上の電磁波受信装置で測定された帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻をもとに、手順S4の到達時間差法による2次元標定計算を行うと、手順S5の1次の2次元落雷位置が求まる。さらに、手順S6によりグループ化された4局以上の電磁波受信装置で測定された階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻をもとに、手順S7の到達時間差法による3次元標定計算を行うと、手順S8の1次の3次元放電位置が求まる。なお、到達時間差法では真の位置を仮定したときに各電磁波受信装置における受信時刻の誤差が最小となる位置を探索する収束計算を行うので、同一の放電を捉える電磁波受信装置が多いほど高精度の位置標定が期待できる。また、最初に仮定する落雷位置には、真の位置に近い手順S5で求められた1次の2次元落雷位置を用いる。
図7は、階段状前駆放電に伴う電磁波放射源を大地に垂直な平面に投影したイメージの一例を示す図である。本例は、標定された帰還雷撃の2次元位置を0番、その直前に観測された階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの放射源の3次元位置を帰還雷撃に近い順に1番〜11番まで付番し、それらを大地に垂直な断面に投影した状態を示している。
図1における手順S5で得られた帰還雷撃の2次元位置は、従来の落雷位置標定装置で標定される位置と同様に、大地付近から放射され地表波として伝搬した電磁波パルスの受信時刻に基づいているので、伝搬経路の大地の導電率や起伏の影響による受信時刻の遅れに起因する誤差が含まれる。同様の誤差は、手順S8で得られた階段状前駆放電に伴うパルスの1次の3次元位置にも含まれるが、パルス放射源が高高度ほど電磁波は地表波ではなく空間波の様相を帯びるので、大地の影響を受けにくくより高い周波数が含まれるため標定誤差は小さいが、それでも伝搬距離が長いと誤差は無視できなくなる。空中から放射される電磁波パルスの受信時刻は、大地導電率の影響で放射源から遠い地点ほど遅れが大きく、その大きさは大地導電率と伝搬距離が既知でなければ推定できない。しかし、放射源の高度が高い場合は大地は平坦とみなすことができ、伝搬距離は放射源の高度と水平距離から推定できる。さらに、放射源の高度が高ければ、電磁波は空間波として伝搬するので、大地の導電率の影響は小さいため、約1〜3mS/mの陸地から受ける影響はほぼ同等とみなすことができる。なお,ラジオ放送等の中波帯の電波の強い地域では,周波数の上限を放送波の周波数より低く設定することにより,観測周波数の低下に伴う電磁波パルスの受信時刻の誤差を軽減できる。
図8は、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻の放射源高度毎の遅れ時間の一例を示す図で、図中、縦軸は遅れ時間(μs)、横軸は伝播距離(km)を示す。これは、雷カメラ等による多くの落雷の観測から得られた電磁波パルスの受信時刻の遅れ時間であり、電磁波放射源と電磁波受信装置の水平距離と高度差に依存していることを示す。また、水平距離が約64km以内の場合、水平距離の異なる地点で測定される電磁波パルスの受信時刻の遅れ時間の差は、前述した式1で表される。このため本発明では、図1における手順S9により式1を用いてパルス受信時刻を補正し、その結果を用いて手順S10の3次元標定計算を行うことにより、手順S11の2次の3次元放電位置を高精度に標定し、手順S12において求められた階段状前駆放電の放射源の下方を最終の2次元落雷位置とすることにより高精度の落雷位置を求める。
電磁波パルスの1次の3次元位置から得られる高度と電磁波受信装置までの水平距離から、標定に必要な電磁波受信装置間の電磁波パルスの受信時刻の差を誤差0.1μs以下で求めることができる。例えば高度100mの放射源の3次元標定に用いると、電磁波受信時刻の測定誤差を0.2μs、それに相当する電磁波伝搬距離60mから標定誤差を40m、落雷位置との水平距離を20mと見積もると、最終的な落雷位置は誤差60m以下で標定できる。なお、同一の放電に伴う電磁波パルスを受信する電磁波受信装置が多数ある場合、放電からの水平距離が抜きん出て大きい地点の受信時刻を標定に使わないことが望ましい。ただし、この場合の水平距離の差は式1のように対数距離なので、例えば2〜4km、4〜8km、8〜16km、16〜32kmの各々の範囲内であれば水平距離の差は同程度とみなせる。
また、階段状前駆放電の放射源の下方を最終の2次元落雷位置とする際、放射源が多数ある場合は、高度の低い放射源数点を選定してグループ化した時の標準偏差が小さくなる組合せを探索し、それらの2次元位置の平均を落雷位置とする。例えば、前述の図7では帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づく0番の標定位置の上に1、2、3、4・・・の階段状前駆放電に伴う電磁波放射源があり、放射源1、2、3は垂直に並ぶので2次元位置の標準偏差は小さいが、それに放射源4を追加すると2次元位置の標準偏差が増大するので、放射源4を放射源1、2、3のグループに追加せず、放射源1、2、3の2次元位置の平均を最終的な落雷位置とする。
図9は、進展途中で枝分かれした階段状前駆放電がほぼ同時に大地に達して2地点で落雷が発生する場合の階段状前駆放電に伴う電磁波放射源を大地に垂直な平面に投射したイメージの一例を示す図で、帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づく0番と1番の標定位置の上に2,4,5,・・・と、1,3,6,・・・の階段状前駆放電に伴う電磁波放射源がある。このように2地点にほぼ同時に落雷がある場合も、階段状前駆放電は落雷の上方に分布するので、同じ手順で2次元位置の近い放射源を二つのグループにまとめてその下方を最終的な落雷位置とする。
なお、到達時間差法では真の位置を仮定したときに各電磁波受信装置における受信時刻の誤差が最小となる位置を探索する収束計算を行うので、同一の放電を捉える電磁波受信装置が多いほど高精度の位置標定が期待できる。また、最初に仮定する落雷位置には、真の位置に近い手順S5で求められた1次の2次元落雷位置を用いる。
図1における手順S5で得られた帰還雷撃の2次元位置は、従来の落雷位置標定装置で標定される位置と同様に、大地付近から放射され地表波として伝搬した電磁波パルスの受信時刻に基づいているので、伝搬経路の大地の導電率や起伏の影響による受信時刻の遅れに起因する誤差が含まれる。同様の誤差は、手順S8で得られた階段状前駆放電に伴うパルスの1次の3次元位置にも含まれるが、パルス放射源が高高度ほど電磁波は地表波ではなく空間波の様相を帯びるので、大地の影響を受けにくくより高い周波数が含まれるため標定誤差は小さいが、それでも伝搬距離が長いと誤差は無視できなくなる。このため本発明では、標定に用いる電磁波パルスの受信時刻として、高周波ノイズの比較的少ない約1MHzを上限とする周波数帯域で電磁波を観測する。このようにして受信される電磁波受信時刻の遅れ時間の差は、電磁波放射源と電磁波受信装置の水平距離と高度差に基づいて式1より算出する。
本発明では、図1における手順S9により図8を参照するか式1を用いて電磁波パルスの受信時刻を補正し、その結果を用いて手順S10の3次元標定の再計算を行うことにより、手順S11の2次の3次元放電位置を高精度に標定し、手順S12において求められた階段状前駆放電の放射源の下方を最終の2次元落雷位置とすることにより高精度の落雷位置を求める。
以上により階段状前駆放電に続く帰還雷撃の2次元位置を高精度に標定できるが、第2雷撃以降の後続雷撃では階段状前駆放電が見られないことが多いので、その場合は第1雷撃の高精度標定の過程で得られた情報をもとに、後続の帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻を補正して標定の再計算を行うことにより最終的な落雷位置を標定する第1の手法と、1次の2次元落雷位置に直接補正を加えることにより最終的な2次元落雷位置を得る第2の手法を、条件により使い分けることにより高精度の2次元落雷位置を得る。
図10は、2次元落雷位置と電磁波パルス受信時刻の補正値を求める手順の一例を説明するためのフロー図である。図11は、帰還雷撃の直前に階段状前駆放電が見られない場合に落雷の2次元位置を高精度に標定する手順の一例を説明するためのフロー図である。
上述の第1の手法では、図10に示すとおり、図1における手順S5で得られた第1雷撃の1次の2次元落雷位置を同図の手順S12で得られた第1雷撃の最終の2次元落雷位置に補正するために必要な補正値(位置の差の距離と方位)を手順S13の比較により求め、それを手順14の後続雷撃の1次の2次元落雷位置の補正値とし、それを図11の手順5で得られた後続雷撃の1次の2次元落雷位置に加えて手順S17の補正計算を行うことにより、手順S18の最終の2次元落雷位置を得る。この補正手法では、第1雷撃と後続雷撃の標定に使われる受信時刻の測定地点が異なる場合であっても、同じ補正値が補正に使われる。
また、補正値は同じ多重雷の第1雷撃と後続雷撃の間に適用できるだけでなく、別の落雷で使われた補正値であっても同地域の落雷に関する補正値であれば利用可能であり、特に補正値を蓄積して平均的な補正値が求められれば、非常に信頼度の高い補正値が得られる。
第2の手法では、第1の手法と同様に、図1における手順S3で得られた第1雷撃の帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻をもとに標定した2次元位置を補正する。同図の手順S12で得られた第1雷撃の最終の2次元落雷位置となるような電磁波パルスの受信時刻の補正値を手順S15の比較により求め、それを手順S16の後続雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値とし、それを図11に示す手順S3で得られている後続雷撃の帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に加える補正を手順S19の補正計算において行い、それにより補正した受信時刻をもとに手順S4の2次元標定計算を行って手順S20の最終の2次元落雷位置を得る。この手法では、後続雷撃の標定に使われる受信時刻の測定地点の補正値が手順S16で得られた補正値に無い場合、2次元標定計算に用いる地点の受信時刻の組合せを変える必要がある。しかし、標定地域に対する受信装置毎の受信時刻の遅れ時間の特性を把握できるため、補正値を蓄積して解析すると電磁波伝搬様相を解明できるので、最終的には標定地域に対する電磁波受信装置毎の受信時刻の補正値が得られる。
以上に説明した本発明の落雷位置標定方法(手順)、電磁波受信装置、及び標定解析装置により、落雷位置を高精度かつ確実に標定することができる。なお、本発明は、上述した落雷位置標定システム(電磁波受信装置及び標定解析装置)としての機能をコンピュータシステムに実現させることができるプログラムやこのプログラムを格納した記録媒体の形態をとることもできる。
本発明によるプログラムやデータを格納した記録媒体の実施形態について説明する。記録媒体としては、具体的には、CD−ROM(R/RW)、光磁気ディスク、DVD−ROM(R/RW/RAM)、FD、HD、フラッシュメモリ、メモリカードや、メモリスティック及びその他各種ROMやRAM等が想定でき、これら記録媒体に上述した本発明の各実施形態の落雷位置標定システムとしての機能を実行させるためのプログラムを記録して流通させることにより、当該機能の実現を容易にする。そしてコンピュータシステムに上記のごとくの記録媒体を装着してコンピュータシステムによりプログラムを読み出すか、若しくはコンピュータシステムが備えている記憶媒体に当該プログラムを記憶させておき、必要に応じて読み出すことにより、本発明に関わる落雷位置標定機能を実行することができる。
帰還雷撃の直前に見られる階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを用いて落雷の2次元位置を高精度に標定する手順の一例を説明するためのフロー図である。 本発明に係る電磁波受信装置の基本構成例を示すブロック図である。 着目する雷放電電磁波の様相、解析時間帯、トリガ時刻、帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻の関係の一例を示す模式図である。 帰還雷撃直前の電界微分信号を一定の時間幅で調べ、その中で最大値が閾値を越える時刻を検出し、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻とする手法の一例を示す模式図である。 本発明に係る標定解析装置の基本構成例を示すブロック図である。 異なる電磁波受信装置で測定された帰還雷撃パルスと前駆放電パルスの受信時刻を同一放電毎にグループ化する手順の一例を示す概念図である。 階段状前駆放電に伴う電磁波放射源を大地に垂直な平面に投影したイメージの一例を示す図である。 階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻の放射源高度毎の遅れ時間の一例を示す図である。 進展途中で枝分かれした階段状前駆放電がほぼ同時に大地に達して2地点で落雷が発生する場合の階段状前駆放電に伴う電磁波放射源を大地に垂直な平面に投射したイメージの一例を示す図である。 2次元落雷位置と電磁波パルス受信時刻の補正値を求める手順の一例を説明するためのフロー図である。 帰還雷撃の直前に階段状前駆放電が見られない場合に落雷の2次元位置を高精度に標定する手順の一例を説明するためのフロー図である。 到達時間差法を用いる落雷位置標定システムの概念と基本的な構成を示す図である。 落雷を模式的に示した図である。 雷放電から放射される電磁波パルスの伝播様相を示す図である。
符号の説明
1…電界アンテナ、2…電界微分信号出力回路、3…AD変換部、4…積分回路、5…トリガ部、6…波形解析部、7…データ伝送部、8,107…通信回線、9,16…CPU、10…高精度時計、11…データ受信部、12…標定計算部、13…標定結果解析部、14…落雷データ出力部、15…データ記録部、100…落雷、101〜103…アンテナ、104〜106…雷放電電磁波受信装置、108…解析装置、109…落雷データ。

Claims (11)

  1. 複数個所で雷放電から放射される電磁波を、落雷近傍の強い静電界によるノイズの影響を抑えるために10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために1MHzを上限とする周波数帯域で受信し、
    帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定し、
    各受信個所で測定されたそれらの受信時刻に基づいて到達時間差法により電磁波パルスの放射源の三次元位置を演算し、
    前記電磁波パルスの放射源の三次元位置と、前記各受信個所に設けられた受信装置の設置場所との水平距離及び高度差に基づいて電磁波パルスの伝搬の遅れ時間を求め、
    前記各受信個所における電磁波パルスの受信時刻を補正し、
    該補正した受信時刻に基づいて電磁波パルスの放射源の三次元位置を再度演算し標定位置を補正し、
    その位置の下方を落雷位置とすることを特徴とする落雷位置標定方法。
  2. 前記電磁波パルスの放射源の三次元位置は、地表に近い複数点であることを特徴とする請求項1に記載の落雷位置標定方法。
  3. 前記電磁波パルスの受信時刻の補正は、下記の
    t=(0.29−0.35×log(f))×(−0.33−0.067×σ+log(D))/(1+2.0×f×30^log(H/√σ))(ただし、遅れ時間の補正値t[μs]、水平距離D[km]、高度差H[km]、大地導電率σ[mS/m]、周波数の上限f[MHz])
    により、演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の落雷位置標定方法。
  4. 複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差の距離と方向を補正値とし、
    当該雷撃に続く前駆放電を伴わない雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づいて推定した落雷位置を前記補正値により補正することを特徴とする落雷位置標定方法。
  5. 複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差に基づいて各受信個所における帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値を演算し、
    当該雷撃に続く前駆放電を伴わない雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスの各受信個所における受信時刻を前記補正値により補正し、
    当該時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定することを特徴とする落雷位置標定方法。
  6. 複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差の距離と方向を補正値とし、
    地域ごとの補正値を蓄積し、
    後の当該地域における雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスに基づいて推定した落雷位置を前記補正値により補正することを特徴とする落雷位置標定方法。
  7. 複数の受信個所で受信した帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定し、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法を用いて標定した落雷位置を真の位置と仮定して前記推定位置との差に基づいて各受信個所における帰還雷撃に伴う電磁波パルスの受信時刻の補正値を演算し、
    地域ごとの補正値を蓄積し、
    後の当該地域の雷撃について帰還雷撃に伴う電磁波パルスの各受信個所における受信時刻を前記補正値により補正し、
    当該時刻に基づいて到達時間差法により落雷位置を推定することを特徴とする落雷位置標定方法。
  8. 複数個所で雷放電から放射される電磁波を、落雷近傍の強い静電界によるノイズの影響を抑えるために10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために1MHzを上限とする周波数帯域で受信する手段と、
    帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定する手段と、
    各受信個所で測定されたそれらの受信時刻に基づいて到達時間差法により電磁波パルスの放射源の三次元位置を演算する手段と、
    前記電磁波パルスの放射源の三次元位置と、前記各受信個所に設けられた受信装置の設置場所との水平距離及び高度差に基づいて電磁波パルスの伝搬の遅れ時間を求め、前記各受信個所における電磁波パルスの受信時刻を補正し、該補正した受信時刻に基づいて電磁波パルスの放射源の三次元位置を再度演算し標定位置を補正する手段と、
    を有し、
    当該位置の下方を落雷位置と推定することを特徴とする落雷位置標定システム。
  9. 複数個所で雷放電から放射される電磁波を、落雷近傍の強い静電界によるノイズの影響を抑えるために10kHzを下限とし、無線通信等による高周波ノイズの混入を抑えるために1MHzを上限とする周波数帯域で受信する手段と、
    帰還雷撃に伴う電磁波パルスの直前に同極性で観測される階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を測定する手段と、
    前記階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの受信時刻を帰還雷撃のトリガ時刻を基準としてまとめる手段と、
    該帰還雷撃毎にまとめた各受信個所における電磁波パルスの受信時刻に基づいて到達時間差法により電磁波パルスの放射源の三次元位置を演算する手段と、
    を有し、
    当該位置の下方を落雷位置と推定することを特徴とする落雷位置標定システム。
  10. 帰還雷撃に特有の低周波の電磁界変化を捉えるために10kHzを下限とし、80kHzを上限とする周波数帯域の電磁波パルスを数百μs以上の時間幅で調べた時に最大値が閾値を超える電磁波パルスの受信時刻を測定することにより帰還雷撃を検出し、階段状前駆放電に伴う電磁波パルスを数個以上検出するためにその時刻から100μs以上前までの間に受信した10kHzを下限とし、1MHzを上限とする周波数帯域の電磁波パルスを階段状前駆放電に伴う電磁波パルスの間隔より小さい数μsの時間幅で調べた時に最大値が閾値を超える電磁波パルスの受信時刻を測定し、それらの受信時刻を帰還雷撃のトリガ時刻を基準としてまとめることを特徴とする請求項9に記載の落雷位置標定システム。
  11. 雷放電から放射される電磁波の受信機能、受信データの伝送機能、データの解析機能を少なくとも有することを特徴とする請求項9又は10に記載の落雷位置標定システム。
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