JP6067741B2 - 落雷の電荷量推定システム、落雷の電荷量推定方法、及び、プログラム - Google Patents

落雷の電荷量推定システム、落雷の電荷量推定方法、及び、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、落雷の電荷量を推定する、落雷の電荷量推定システム、落雷の電荷量推定方法、及び、プログラムに関する。
落雷は、建築物、電気・通信設備等に破損、溶損等の様々なダメージを与える。このため、落雷の位置と電荷量を推定する技術の研究・開発が広く行われている。
落雷により生じる特徴的な電波を複数の地点で測定し、受信時刻の差や電波の到来方位をもとに、落雷の位置を推定する落雷位置標定システムが特許文献1に開示されている。
この落雷位置標定システムは、放電が雷雲から下降して大地に到達した直後に流れる大きな帰還電流のピーク値が電波の強度のピーク値と落雷からの距離とに比例する関係に基づいて、雷電流のピーク値を推定する。
しかし、落雷の影響を評価するためには、雷電流のピーク値を推定するだけでは足りず、雷電流により流れた電荷の総量を求める必要がある。しかし、この落雷位置標定システムは、電荷の総量を求めることができない。また、この落雷位置標定システムは、放電が大地から雷雲に向かつて上昇するタイプの落雷の電流を推定することができない。
落雷の電荷量を推定する技術として、被雷した構造物と大地との間に挿入されているシャント抵抗を流れる電流によって、シャント抵抗に生じる電圧から電荷量を推定する技術や、被雷した構造物に流れる電流が作る磁界をRogowskiコイルにより測定し、測定した磁界から電荷量を推定する技術が知られている。これらの技術では、観測施設に落雷し、かつ、測定データが得られた場合にのみ、電荷量を推定できる。また、得られる測定情報は、落雷が高頻度で発生する高い構造物への落雷等の特定の種類の落雷のデータに限られる。落雷は、現実には、いつ、どの地点で発生するか予測困難である。このため、このような従来の落雷による電荷量を推定する技術では、広い地域で様々な構造物への落雷の電荷量を求めることができない。
特開2006−194643号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、広い地域で様々な物体への落雷の電荷量を容易に推定することができる落雷の電荷量推定システムを提供することを目的とする。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムは
定された磁界に基づいて、落雷の電流を求め、求められた電流を積分して落雷による電荷量を求める電荷量算出手段を有し、
前記電荷量算出手段は、
前記測定された磁界に、予め設定されている磁界電流変換係数を乗算することにより前記落雷の電流を求める手段と、
前記求められた電流に、放電路の長さと傾きに基づく補正係数を乗算する手段と、
前記補正係数が乗算された電流を積分する積分手段と、を有する。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムは、200Hz以下の周波数を含む周波数帯域で、落雷により発生する磁界を測定する磁界測定手段を有していてもよい。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムは、落雷により発生した磁界を200Hz以下の低周波数帯域で測定したときの磁界が、その落雷による電流と相似であることを利用することにより、磁界から電流を求める。また、落雷の電荷量推定システムは、求められた電流を積分することにより、落雷により大地に流れた電荷量を求めて、落雷の電荷量を推定する。推定された落雷の電荷量と、落雷位置標定システム(LLS)等により求められた落雷位置の情報と組み合わせることにより、送電線の溶損等の落雷による潜在的なダメージの想定を行うことができ、被害対策の必要性の判断を行うための材料を提供することができる。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムは、200Hz以下の周波数を含む低周波数帯域で磁界を測定することにより、数百kmまで離れた場所で発生した落雷であっても遠隔観測することができる。このため、1台の観測装置で広範囲をカバーすることができ、観測効率が高い。また、観測装置の数を減らすことができ、新たな観測装置の設置コストを抑えることができる。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムにおいて、前記周波数帯域は、100Hz以下の周波数を広帯域で含むことが好ましい。この場合、測定される磁界波形と、電流波形とがよりよく一致し、電荷量の推定精度を高めることができる。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムは、前記磁界測定手段で測定された磁界に、高周波数側のカットオフ周波数が100Hzのフィルタをかけるフィルタ手段を有してもよい。この場合、前記電荷量算出手段は、前記フィルタ手段でフィルタをかけた後の磁界に基づいて前記落雷による電荷量を求めてもよい。この場合、フィルタをかけた後の磁界と、電流とがさらによく一致し、落雷による電荷量の推定精度を高めることができる。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムにおいて、
前記磁界測定手段は、落雷により発生する磁界の2つの直交成分を測定可能であってもよい。この場合、落雷の電荷量推定システムは、前記磁界測定手段で測定された前記磁界の各成分に基づいて、前記落雷位置の方位を求める方位推定手段を有していてもよい。この場合、落雷位置標定システム等と組み合わせることにより、落雷位置の測定精度を高めることができる。
本発明に係る落雷の電荷量推定システムにおいて、前記磁界測定手段は、前記測定された磁界が初期の極性と逆の極性の値を含まないよう、測定対象の周波数帯域に低周波領域を含んでいてもよい。あるいは、前記電荷量算出手段は、磁界または磁界に基づいて求めた電流が初期の極性と逆の極性の値を含まないよう補正した後、前記落雷による電荷量を求めてもよい。この場合、落雷による電荷量の推定精度を高めることができる。
前記磁界電流変換係数は、例えば、落雷地点から磁界測定地点までの距離に依存する磁界の減衰と電離層の状態に依存する磁界の減衰との少なくとも一方を考慮して設定されている。
また、本発明に係る落雷の電荷量推定方法は
定された磁界に基づいて、落雷の電流を求めるステップと、
求められた電流を積分して落雷による電荷量を求めるステップと、
を有し、
前記電荷量を求めるステップは、
前記測定された磁界に、予め設定されている磁界電流変換係数を乗算することにより落雷の電流を求めるステップと、
前記求められた電流に、放電路の長さと傾きに基づく補正係数を乗算するステップと、
前記補正係数が乗算された電流を積分する積分ステップと、
を有する。
本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、
測定された磁界に基づいて、落雷の電流を求めるステップと、
求められた電流を積分して落雷による電荷量を求めるステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記電荷量を求めるステップは、
前記測定された磁界に、予め設定されている磁界電流変換係数を乗算することにより落雷の電流を求めるステップと、
前記求められた電流に、放電路の長さと傾きに基づく補正係数を乗算するステップと、
前記補正係数が乗算された電流を積分する積分ステップと、
を有する
本発明によれば、落雷地点から遠隔に設置された観測施設を用いて、広い地域に渡って発生する落雷の電荷量を推定することができる。
本発明の実施の形態に係る落雷の電荷量推定システムのブロック図である。 図1に示す電荷量算出部の具体的構成例を示す図である。 図1に示す記憶部に記憶されるデータの構成例を示す図である。 落雷地点を求め、落雷地点までの距離を求める手法を説明する図である。 図1に示す磁界電流比テーブルに記憶されるデータの構成例を示す図である。 図1から図5に示す構成の落雷の電荷量推定システムの動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る落雷の電荷量推定システムに関し、尾神岳で発生した落雷について、尾神岳のロゴウスキーコイルで観測された電流波形の前半部分を示すグラフである。 本発明の実施の形態の落雷の電荷量推定システムに関し、尾神岳で発生した同じ落雷について、女川観測所のサーチコイル磁界計で観測された磁界成分の波形を示すグラフである。 図7に示す電流波形に、高周波側のカットオフ周波数が90Hzのフィルタ(減衰率:−6dB/オクターブ)をかけた後の電流波形を示すグラフである。 本発明の実施の形態の落雷の電荷量推定システムに関し、尾神岳で発生した雷から女川観測所までの296kmの、電磁パルスの電離層下での伝搬を再現するための円筒座標系FDTDシミュレーションの概要図である。 図10に示すシミュレーションにより得られた、雷から298kmの距離における水平磁界波形を示すグラフである。 図10に示すシミュレーションにより得られた、雷電流を半値幅4msのガウスパルスと仮定したときの、伝搬距離298kmの水平磁界波形を示すグラフである。 図12と同じ条件で、図4に示すシミュレーションにより得られた、水平磁界パルスの対数ピーク値と対数伝搬距離との関連を示すグラフである。 図13に示すシミュレーションにより得られた、電流パルスの半値幅を変えたときの、磁界パルスの両極性比率の伝搬距離依存性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態に係る落雷の電荷量推定システムを説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る落雷の電荷量推定システム100は、磁界測定部10と電荷量算出部20とを備える。
磁界測定部10は、南北方向と東西方向にそれぞれ指向性を有するサーチコイル磁界計から構成される。磁界測定部10は、200Hz以下の低周波数帯域で、落雷により発生する磁界の地理的な南北(緯度)方向と東西方向の水平2成分HnsとHewを測定する。磁界測定部10の測定範囲は、測定された磁界が負極性の成分を含まないよう、測定範囲が0.1Hz〜というように、低周波領域を含むことが望ましい。なお、測定範囲は、〜100Hzでもよい。ただし、100Hz近傍にも十分な感度を有することが望ましい。
磁界測定部10は、測定した南北方向の磁界成分Hnsと東西方向の磁界成分Hewとを電荷量算出部20に供給する。
電荷量算出部20は、コンピュータ装置から構成され、機能的には、A/D変換器21、ローパスフィルタ(LPF)22、RTC23、記憶部24、距離判別部25、電離層情報収集部26、磁界電流比テーブル27、電流計算部28、乗算部29、積分部30、を備える。
A/D変換器21は、磁界測定部10が測定した南北方向の磁界成分Hnsと東西方向の磁界成分Hewを、デジタルデータに変換する。A/D変換器21のサンプリング周期Δtは、例えば、5ms〜10μs、望ましくは、100μs程度である。
ローパスフィルタ22は、ディジタルフィルタから構成され、カットオフ周波数約100Hzで、低周波成分を抽出して出力する。これにより、実測された磁界の波形と実際の磁界の波形の相似性が高められる。
RTC(Real Time Clock)23は、現在日時分秒を計測する。RTC23の構成自体は任意であり、例えば、自走タイマから構成されても、GPS(Global Positioning System)タイマから構成されてもよい。
記憶部24は、図3に例示するように、ローパスフィルタ22を通過した磁界成分HnsとHewを、RTC23により計測された現在時刻と対応付けて蓄積する。記憶部24は、また、測定された磁界の合成強度H=√(Hns+Hew)を求めて記憶する。
距離判別部25は、ローパスフィルタ22を通過した磁界成分HnsとHew、他地点に設置された落雷位置標定システムなどからの情報により、落雷地点を特定し、磁界測定部10の設置地点からの距離を求める。より具体的には、距離判別部25は、図4に例示するように、i)ローパスフィルタ22を通過した磁界成分HnsとHewから落雷の発生した方向DR1(東西方向を基準として傾き角φ=tan−1(Hns/Hew))を求め、ii)求めた方向DR1を他地点P2に設置された落雷方向推定システムが求めた落雷発生方向DR2と重ね合わせることにより、三角測量の要領により、落雷地点P3を特定し、iii)磁界測定部10の設置地点P1から落雷地点P3までの距離L(=√(x1−x3)+(y1−y3))を求める。
電離層情報収集部26は、ネットワークを介して電離層の状態を示す電離層情報を収集する。電離層情報に、昼夜の別等の情報を含めても良い。
磁界電流比テーブル27は、図5に例示するように、電離層の状態別に、磁界観測点から落雷地点までの距離L、観測された磁界の合成強度H=√(Hns+Hew)と落雷により流れた電流との相関を表す情報を対応付けて記憶する。これらの情報は、実測値や実験値を統計処理することにより、あるいは、シミュレーションなどにより求められる。なお、磁界の強度は、落雷の放電路の長さに影響されるため、磁界電流強度比は、放電路が長さDL(任意の定数)で、地面に垂直であると仮定した場合の値である。なお、これらの情報をテーブルに記憶する場合に限らず、距離Lと観測された磁界強度を変数とする関数の形態で電流を表す等してもよい。
電流計算部28は、記憶部24に記憶されている合成磁界強度H=√(Hns+Hew)が基準値を越えたこと、或いは、外部からの情報に応答して、落雷の発生を検出する。合成磁界強度が基準値を越えることを検出する前に、磁界強度HnsまたはHewの何れかが基準値を越えることを検出してもよい。落雷の発生を検出すると、電流計算部28は、記憶部24に記憶されている磁界強度のうち、落雷の発生から終了までのデータを特定する。次に、電流計算部28は、電離層情報収集部26により電離層の状態を示す情報を収集させる。また、電流計算部28は、距離判別部25により、磁界測定部10の設置点P1から落雷発生地点P3までの距離Lを求める。次に、電流計算部28は、電離層状態と距離Lに基づいて、磁界電流比テーブル27から、電離層の状態と距離Lに対応する磁界電流比を求める。電流計算部28は、記憶部24から、落雷発生から終了までの合成磁界強度H=√(Hns+Hew)を順次読み出し、これと磁界電流比とを乗算することにより、落雷により流れた電流の瞬時値を順次求める。
乗算部29は、電流計算部28で求められた値に、補正係数Kを乗算することにより、電流計算部28で求められた電流値を、落雷の放電路が地面に垂直な場合の電流値に補正する。
補正係数Kは次式で表される。
K=(放電路の実長/DL)*cosθ
ここで、放電路の実長は、落雷の発生地域、気象状況等に基づいて、統計処理、シミュレーション等により求められ、予め設定されている。
DLは、磁界電流比テーブル27に記憶されている磁界電流比Rを求める際に仮定した放電路の長さである。
θは、落雷の放電路の傾き角である。θは、落雷の発生地域、気象状況等に基づいて、統計処理、シミュレーション等により求められる。
なお、係数Kを地域と気象条件をパラメータとしてテーブルや関数の形態で表してもよい。
積分部30は、乗算部29の演算結果(電流の補正された瞬時値)を累算することにより、落雷の開始時点から終了時点までの電流を積分して、落雷により流れた電荷量Qを求める。
上述の電荷量算出部20は、ハードウエア的には、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202、入力装置203、通信装置204、出力装置205、A/D変換器21、RTC23、等を備えるコンピュータにより実現される。
メモリ202は、記憶部24として観測された磁界データを記憶すると共に、動作プログラム等を記憶し、さらに、CPU201のワークエリアとして機能する。
CPU201は、メモリ202に記憶されている動作プログラムを実行し、各部の処理を実行する。
入力装置203は、A/D変換器21が出力する磁界成分HnsとHewを取り込む。
通信装置204は、ネットワークを介して外部装置と通信、落雷の発生したこと、落雷の地点を特定するための情報、電離層情報などを取り込む。
出力装置205は、求めた落雷の電荷量Qを出力する。
次に上記構成を有する落雷の電荷量推定システム100により、落雷による電荷量を検出(測定)する動作を説明する。
磁界測定部10は、常時、南北方向の磁界成分Hnsと東西方向の磁界成分Hewとを測定して、測定データを電荷量算出部20に供給している。
電荷量算出部20のA/D変換器21は、磁界測定部10で観測された磁界成分HnsとHewを、一定のサンプリング周波数でサンプリングして、デジタルデータに変換して出力する。このデジタルデータは、入力装置203を介して、記憶部24として機能するメモリ202に蓄積・記憶される。
CPU201は、ローパスフィルタ22として、A/D変換器21から出力された磁界成分HnsとHewから、カットオフ周波数(=200Hz)以下の低周波成分を抽出し出力する。
さらに、CPU201は、ローパスフィルタ22を通過した磁界成分HnsとHewの値を、RTC23により計測された現在日時と共に図3に示すように記憶部24として機能するメモリ202に蓄積する。この際、CPU201は、合成磁界の大きさH=√(Hns+Hew)を求めて、併せて記憶する。
メモリ202への磁界データの蓄積と並行して、CPU201は、蓄積された合成磁界を監視しており、合成磁界の値が閾値を越えると、落雷が発生したと判別し、図6に示す落雷地点と電荷量を求める処理を実行する。なお、CPU201は、通信装置204を介して、外部装置より、落雷の発生が通知されると、同様の処理を開始する。
まず、CPU201は、電流計算部28として、合成磁界の強度Hの変化等から、落雷の開始時点と終了時点を特定する(ステップS1)。
次に、CPU201は、距離判別部25として、合成磁界の強度が基準レベル以上の時の、南北方向磁界強度Hnsと東西方向磁界強度Hewとの比(Hns/Hes)から、落雷地点の方向(φ=tan−1(Hns/Hew))を求める。CPU201は、他装置と協働して、図4に例示する三角測量の要領などを用いて、落雷地点P3を求め、磁界測定部10の設置場所P2との距離Lを求める(ステップS2)。
また、CPU201は、通信装置204を介して、外部にアクセスし、電離層の情報を示す情報を収集する(ステップS3)。
次に、CPU201は、メモリ202に記憶されている磁界電流比テーブル27から、電離層の状態と距離Lに合致する磁界電流比Rを求める(ステップS4)。
また、電荷量Qを初期化する(ステップS5)。
次に、CPU201は、落雷開始時点の合成磁界の強度Hを、メモリ202から順次読み出し(ステップS5)、磁界電流比Rとの積H・Rを求める(ステップS7)。これは、落雷開始時点で、落雷で流れた電流の平均値Iを示す。
さらに、CPU201は、乗算部29として、求めた電流の値Iに補正係数Kを乗算する。これにより、放電路の長さのばらつきや傾きが補正された電流値Iが求められる(ステップS8)。
さらに、CPU201は、求めた電流の値Iにサンプリング期間Δtを乗算する。これにより、サンプリング期間Δtに流れた電荷量qが求められる(ステップS9)。
さらに、CPU201は、積分部30として、乗算部29の出力を累算し、落雷による電荷量Qを求める(ステップS10)。
次に、CPU201は、落雷終了時点の測定磁界Hまで処理が終了したか否かを判別し、終了していなければ(ステップS11;No)、次の処理対象サンプリング期間の合成磁界の強度Hを読み出し(ステップS12)、ステップS7にリターンして同様の処理を行う。
ステップS11で、処理が終了していると判別されると(ステップS11;Yes)、求めた落雷による電荷量Qを出力する(ステップS13)。
このようにして、本実施形態によれば、落雷位置を特定すると共に落雷により流れた電荷量を求めることができる。
なお、落雷の電荷量推定システム100は、磁界測定部10の感度を100Hz以下とすることも可能である。ただし、電荷量推定の精度を落とさないようにするため、磁界測定部10自体は、200Hz程度まで感度を有することが望ましい。
また、ローパスフィルタ22のカットオフ周波数を200Hzとすることも可能である。また、ローパスフィルタ22をアナログフィルタとして、A/D変換器21の前に配置してもよい。
距離判別部25から落雷位置特定機能を取り外し、落雷位置の情報は外部から、例えば、外部の落雷位置標定システムから受信するように構成してもよい。
電荷量算出部20をデジタル回路(コンピュータ)で構成する例を示したが、アナログ回路で構成してもよい。
記憶部24に記憶される磁界の測定データが初期と逆の極性を示すことがある。例えば、測定データが、初期は正極性、続いて、負極性を示すことがある。これは、磁界測定部10の低周波側の感度が低いことが原因の1つである。このような事象が発生した場合には、低周波側の感度を補正して逆極性の信号を低減してから、電荷量をもとめてもよい。また、磁界測定部10の低周波領域の感度を向上してもよい。
磁界電流比テーブル27に登録する「電離層の状態」は任意である。例えば、「電離層の状態」として、例えば、「昼の状態」、「夜の状態」というように分類してもよい。また、電離層の状態を1種類とし、実質的に、距離のみに基づいて、磁界電流比Rを設定してもよい。また、距離を一定と見なせるような環境では、電離層の状態のみに基づいて、磁界電流比Rを設定してもよい。即ち、磁界電流比テーブル27は、「電離層の状態」と距離の少なくとも一方に基づいて、磁界電流比Rを設定するものでもよい。
また、落雷地点を特定する手法として、三角測量の原理で落雷の位置を推定する例を示したがこれに限定されず、磁界測定点が3ヶ所以上ある場合には、各磁界測定点での磁界の受信時刻の差から、一般的な到達時間差法により落雷の位置を標定してもよい。また、磁界測定点から見た落雷の方位および磁界の受信時刻の差の両方を用いて落雷の位置を標定してもよい。また、送電線への落雷であれば、その落雷による故障の位置を落雷の位置としてもよい。本発明の実施の形態の落雷の電荷量推定システムではこうして求められた落雷の位置から磁界測定点までの距離を求めることができる。また、求めた磁界測定点までの距離の情報を、電荷量算出手段により推定された落雷の電荷量と組み合わせることにより、送電線の溶損等の落雷による潜在的なダメージの想定を行うことができ、被害対策の必要性の判断を行うための材料を提供することができる。
また、CPU201は、図6のステップS6の処理を開始する前に、メモリ202に記憶されている磁界の波形をチェックして、初期の極性と逆極性の部分があるか否かを判別し、逆極性の部分が存在すると判別した場合に、逆極性の部分を、例えば、小さくするように補正する処理を実行してもよい。また、CPU201は、逆極性の部分を検出したときに、記憶される磁界波形に低周波成分がより多く含まれるように、A/D変換部21の変換特性や、ローパスフィルタ22の特性を変更してもよい。
本発明の実施の形態の落雷の電荷量推定システムについて、落雷の観測および落雷に伴う電磁界のシミュレーションを行い、その構成や効果について検討を行った。また、測定された磁界波形から落雷の電荷量を求める具体的な手法についての検討も行った。
[落雷の観測]
ある落雷について、ロゴウスキーコイルおよびサーチコイル磁界計により観測を行った。ロゴウスキーコイルは、日本国新潟県の尾神岳(Mt.0gami)に設置されており、0.1Hz〜1MHzの周波数帯域で、電波塔を流れる電流波形を観測可能になっている。観測された電流波形は、1μsでサンプリングされ、GPS時計でタイムスタンプされる。なお、観測に使用した落雷は、尾神岳で発生し、そこの電波塔を流れたものである。
サーチコイル磁界計(実施形態の磁界測定部10)は、尾神岳から296km離れた宮城県の女川観測所(0nagawa)に設置されており、2〜90Hzの周波数帯域で、雷放電電磁界パルスを観測可能になっている。サーチコイル磁界計は、地理的な南北方向と東西方向の水平2成分を観測するようになっている。観測された電界波形は、16ビットの分解能で離散化されて記録される。
図7に示す、尾神岳で観測された電流波形は、サーチコイル磁界計により観測された磁界波形と比較するため、周波数帯域を90Hz以下に制限している。図7に示すように、電流は、小さな変化の後、最大値26kAまで増加し、その後減衰している。ここで、電流の積分は、落雷により流れた電荷量に相当する。図7に示す落雷の最初の正極性の部分の電荷量は474C、続く負極性の部分は−496Cである。電流波形の負極性の部分が、ロゴウスキーコイルの低周波での感度不足によるものであるとすると、この落雷に伴う実際の電荷量は、前半の正極性の部分より少し多いおおよそ540Cと推定される。
図8に、尾神岳で発生した同じ落雷に伴って女川観測所で観測された磁界成分の波形を示す。極性は、南西方向を正としている。両成分の波形は相似であり、NS方向成分に対するEW方向成分の比は、NS方向成分の絶対値が100nTを超える場合、図8中の黒丸で示すように、約0.70である。その比に基づく電磁パルスの入射方位は、南から54.8°西であり、尾神岳の方位に対しやや南にずれているが、ほぼ一致している。方位の僅かなずれは、主に直交磁界計(磁界測定部10)の設置、例えば磁界計セットの水平面内の回転、または感度の較正誤差によるものと推定される。また、電源線由来の50Hzの誘導ノイズの影響も考えられる。このように、磁界の各成分の波形から、落雷の方位を求めることができる。
磁界の各成分の波形から求めた落雷の方位を、落雷位置標定システム等と組み合わせることにより、落雷位置の測定精度を高めることができる。また、複数の位置で落雷の方位を求めることにより、落雷の位置を求めることもできる。
図7に示す電流波形と、図8に示す磁界波形とを比較するため、女川観測所での磁界の観測周波数帯域2〜90Hzに合わせて、電流波形に高周波側のカットオフ周波数が90Hzのフィルタ(減衰率:−6dB/オクターブ)をかけた。フィルタ適用後の波形を、図9に示す。図9に示すように、振幅と極性の違いを除くと、得られた波形は、図8に示す磁界波形によく一致していることが確認された。これは、図8に示す磁界波形は、主に雷電流に伴う誘導成分で構成されていることを示している。このことから、低周波数帯域で観測された磁界波形から、雷の電流波形を求めることができるといえる。その電流波形を積分することにより、落雷により流れた電荷量を求めて、落雷の電荷量を推定することができる。
[落雷に伴う電磁界のシミュレーション]
雷による電磁パルスが電離層下を放射状に伝搬するときの、電磁界のシミュレーションを行った。シミュレーションには、様々な状況での雷に伴う電磁界のシミュレーションに適用されている、FDTD法(時間領域差分法)を使用した。また、座標系として、円筒座標系を使用した。放電路を大地に垂直な単純なものとし、円筒座標系での軸対象条件を適用した。また、大地および複数層構造の電離層を、水平の平行平板と仮定した。入力する電流波形として、図9に示す電流波形を使用した。
図10に、尾神岳で発生した雷から女川観測所までの296kmの、電磁パルスの電離層下での伝搬を再現するための円筒座標系FDTDシミュレーションの概要図を示す。図10に示すように、シミュレーション空間の中心の垂直軸に沿って、長さ4kmの単純な雷放電路が地表に設置されている。また、シミュレーション空間の電磁界は、放電路の周囲の半径2kmにある磁界要素Hy(0,0)に配置された水平磁界により励振される。シミュレーションでは、放電路に沿って下向きに流れる正極性の電流が、Hy(0,0)において正の水平磁界を生じている。大地の導電率は、一様に1mS/mとした。電離層は、水平の7層から成り、昼と夜について、各層で異なる導電率(σD,σN)を設定した。ただし、比誘電率εrおよび比透磁率μrは、真空と同一にした。シミュレーション空間は、PML吸収境界により囲まれているが、端の壁はそこでの反射が観測点に影響を与えないように離している。
図11に、女川観測点に対応する、雷から298kmの距雛における水平磁界波形のシミュレーション結果を示す。図11に示す波形は、図9の波形と良く似ており、ほとんど誘導界で占められていることを示している。これは、90Hzで3300kmという電波の波長よりも、伝搬距離がはるかに短いためである。また、図8に示す磁界波形の第一パルスの負極性への振れは、図11に示すシミュレーションによる磁界波形の負極性への振れよりも深くなっている。これは、磁界観測の低周波側のカットオフ周波数が2Hzであり、電流観測の低域のカットオフ周波数0.1Hzより高いためである。
また、図11に示すように、シミュレーションにより得られた磁界のピーク値は、観測波形では見られない高周波の変化を無視すると、約800pTであった。観測された磁界のピーク値は、NS方向成分とEW方向成分とで構成され、480pTであった。観測されたピーク値は、シミュレーションにより得られたピーク値の0.6と小さい。磁界の振幅が放電路の長さに比例すると仮定すると、実際の放電路長は2.4kmと推定される。磁界から電流を推定する場合には、他の落雷観測により得られた放電路長を参考にすればよい。
電磁パルスの伝搬に及ぼす電離層の影響を調べるため、単純な電流パルスに伴う磁界を、異なる距離について求めた。雷電流を、ピーク値1kAで、半値幅が1、2、4msのガウスパルスとした。そのガウスパルスの立ち上りの周波数はおおよそ400、200、100Hzとなる。
図12に、雷電流を半値幅4msのガウスパルスと仮定したときのシミュレーションにより得られた、伝搬距離298kmの水平磁界波形を示す。図12に示すように、シミュレーションにより得られた磁界波形は、僅かな負極性への振れを除き、電離層の有無によらず、電流波形と良く似ている。これは、電流の波形と磁界の波形とが、相似になることを示している。昼と夜に電離層下を伝搬する電磁界の波形は、電離層が無い場合に比べ、信号強度が4.3倍または4.1倍となっている。
図13に、図12と同じ条件のシミュレーションにより得られた、水平磁界パルスの対数ピーク値と対数伝搬距離との関連を示す。図13に示すように、ピーク値は、電離層の有無によらず、伝搬距離が延びると減衰している。その平均の減衰率は、電離層がある場合には−0.8、電離層がない場合には−1.6であった。これは、電離層には、電離層が無い場合の距離に依存する磁界の減衰を、約1/10に抑える効果があることを示している。電離層が無い場合の尾神岳−女川観測所間の伝搬では、図13に示すように、磁界ピーク値の減衰率は1.8であった。ここで、完全導体の大地上の垂直な電気双極子は、地表に水平磁界を生じ、その磁界の誘導成分および放射成分は、それぞれ双極子からの距離の2乗および1乗に反比例して減衰する。また、実際の磁界の減衰は、両方の成分の減衰が混在したものとなる。このことから、尾神岳一女川観測所間を伝搬する磁界は、ほとんど電離層により減衰が抑えられた誘導成分であると考えられる。
図14に、電流パルスの半値幅を変えたときの、シミュレーションにより得られた磁界パルスの両極性比率の伝搬距離依存性を示す。ここで、磁界パルスの両極性比率とは、磁界波形の第一ピークに対する後続の負極性でのピークの比の絶対値である。また、図14は、電離層がある場合の昼でのシミュレーション結果である。図14に示すように、両極性比率は、伝搬距離が延びると、約0.3まで増加している。また、電流パルスの半値幅が増えると、両極性比率の曲線が伝搬距離の長い方に平行移動している。電離層が無い条件では、磁界パルスの両極性比率は伝搬距離が延びると1に近づくことから、電離層の効果により両極性比率の増加が抑えられることがわかる。
シミュレーションにより得られた磁界パルスが女川観測所で観測されるとすると、電流パルスの半値幅は、カットオフ周波数90Hzに相当する4ms、伝搬距離は296kmであるため、図14から、両極性比率は約5%となる。これは、電流波形と磁界パルスの波形との違いが小さいことを示している。図14から、磁界波形のピークの後の僅かな負極性への振れは、観測周波数の低域を延ばすことにより改善可能であり、それにより、磁界波形と電流波形とをよりよく一致させることができるといえる。
図14に示す両極性比率が十分に小さい周波数および伝搬距離の範囲では、磁界波形から元の雷電流波形を容易に再現することができる。このような低周波成分で構成される再現された電流波形により、雷により引き起こされる設備の損傷に関連する電荷量を高精度で推定することができる。すなわち、再現された電流波形を積分することにより、落雷により流れた電荷量を推定することができる。推定された落雷の電荷量と、落雷位置標定システム(LLS)等により求められた落雷位置の情報と組み合わせることにより、送電線の溶損等の落雷による潜在的なダメージの想定を行うことができ、被害対策の必要性の判断を行うための材料を提供することができる。
磁界波形から元の雷電流波形を再現するときに、両極性比率を5%まで許容する場合には、図14から、半値幅4msのとき、観測周波数100Hz以下、観測距離300km以下、半値幅2msのとき、観測周波数200Hz以下、観測距離150km以下、半値幅1msのとき、観測周波数400Hz以下、観測距離70km以下となる。また、両樋性比率を10%まで許容する場合には、半値幅4msのとき、観測周波数100Hz以下、観測距離400km以下、半値幅2msのとき、観測周波数200Hz以下、観測距離250km以下、半値幅1msのとき、観測周波数400Hz以下、観測距離150km以下となる。さらに、両様性比率を20%まで許容する場合には、半値幅4msのとき、観測周波数100Hz以下、観測距離1000km以下、半値幅2msのとき、観測周波数200Hz以下、観測距離500km以下、半値幅1msのとき、観測周波数400Hz以下、観測距離300km以下となる。
電流波形を積分して電荷量を求めるため、電流の速い変化(高周波数成分)は、電荷量に影響しない。このため、数百msオーダーの継続時間の電流波形を積分することを考慮すると、その時間分解能は数十msあれば十分だと考えられる。このことから、例えば、電流パルス幅を10ms程度とすると、観測周波数は約25Hz以下となり、許容できる両極性比率を5%とすると、誘導磁界の観測距離は、800km〜1000km以下になる。この場合、例えば、日本全体を3箇所の観測点でカバーすることができる。
[落雷の電荷量を求める具体的な手法の検討]
以上の落雷の観測および落雷に伴う電磁界のシミュレーションの結果に基づいて、測定された磁界波形から落雷の電荷量を求める具体的な手法の検討を行った。まず、方位推定手段や落雷位置標定システム等を利用して求められた落雷の位置から、磁界測定手段による磁界測定点までの距離を求め、その距離における磁界の大きさに対する雷電流の比を、図13から求める。その比を、磁界測定手段により測定された図8に示すような磁界波形に掛けると、放電路長が4kmの場合の雷電流波形が得られる。
得られた雷電流波形に、放電路の実長/4kmの比を掛けると、放電路が垂直の場合の雷電流波形が得られる。ここで、放電路の実長は、他の落雷観測により得られた放電路長を参考にすることができる。さらに、得られた雷電流波形に、1/cosθ(θは放電路の傾斜角)を掛けると、傾斜した放電路を流れる雷電流波形が得られる。ここで、θは、観測で得られている平均的な値を参考にすることができる。
なお、雷電流波形と磁界波形との関係には歪が含まれるため、図14から、歪の小さい地点で観測された磁界波形を利用することにより、信頼度の高い雷電流波形を推定することができる。こうして得られた落雷の電流波形を積分することにより、落雷により大地に流れた電荷の量を求めることができる。
以上の手順に従って、実際に図13の磁界波形から落雷の電荷量を推定した。図13に示す観測された磁界のNS方向成分のピーク値は390pT、EW方向成分のピーク値は270pTであった。これらから、NS方向成分の2乗とEW方向成分の2乗との和の平方根から求められる合成磁界のピーク値は、480pTと算出される。図13から、尾神岳で発生した落雷の放電路長が4km、電流値が1kAの時、尾神岳からの距離が296kmの女川観測所で観測される磁界は50pTである。この関係から、電流値は、1kA×480pT/50pT=10kAと算出される。放電路長を、尾神岳を含むエリアでの冬期の雷の平均的な放電路長の3kmとし、放電路の平均的な傾斜を45°とすると、磁界を生じる垂直な等価放電路長は、3km/√2=約2.1kmと推定される。この長さと、想定した放電路長4kmとの比から、電流ピーク値は、10kA×4km/2.1km=19kAと推定される。この値は、図9に示す実測の電流ピーク値18kAとほぼ一致している。同様に、図11に示す磁界波形を電流波形に換算して積分すると、電荷量530と算出される。この値は、図9に示す電流波形の積分により得られる電荷量540とほぼ一致している。
以上の考察より、本願実施形態に係る落雷の電荷量推定システム100により、落雷の電荷量を適切に推定できることが確認された。
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、メモリ202に記憶されている動作プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布されてもよい。その動作プログラムがコンピュータにインストールされることにより、電荷量推定システムの機能を実現することもできる。
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしても良い。
また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の機能を達成することができる。
更に、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の機能を達成することができる。
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等しても良い。
本出願は、平成24年11月15日に出願された日本国特許出願2012−251493号に基づく。本明細書中に、本国特許出願2012−251493号の内容を取り込むものとする。
本願発明は、落雷の電荷量を推定する場合に広く利用可能である。
10 磁界測定部
20 電荷量算出部
21 A/D変換器
22 ローパスフィルタ(LPF)
23 RTC
24 記憶部
25 距離判別部
26 電離層情報収集部
27 磁界電流比テーブル
28 電流計算部
29 乗算部
30 積分部(累算部)
100 落雷の電荷量推定システム
201 CPU
202 メモリ
203 入力装置
204 通信装置
205 出力装置

Claims (10)

  1. 定された磁界に基づいて、落雷の電流を求め、求められた電流を積分して落雷による電荷量を求める電荷量算出手段を有し、
    前記電荷量算出手段は、
    前記測定された磁界に、予め設定されている磁界電流変換係数を乗算することにより前記落雷の電流を求める手段と、
    前記求められた電流に、放電路の長さと傾きに基づく補正係数を乗算する手段と、
    前記補正係数が乗算された電流を積分する積分手段と、
    を有することを特徴とする落雷の電荷量推定システム。
  2. 200Hz以下の周波数を含む周波数帯域で、落雷により発生する磁界を測定する磁界測定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の落雷の電荷量推定システム。
  3. 前記周波数帯域は、100Hz以下の周波数を含むことを特徴とする請求項に記載の落雷の電荷量推定システム。
  4. 前記磁界測定手段で測定された磁界に、高周波数側のカットオフ周波数が100Hzのフィルタをかけるフィルタ手段を有し、
    前記電荷量算出手段は、前記フィルタ手段でフィルタをかけた後の磁界に基づいて前記落雷による電荷量を求めることを特徴とする請求項またはに記載の落雷の電荷量推定システム。
  5. 前記磁界測定手段は、落雷により発生する磁界の2つの直交成分を測定し、
    前記磁界測定手段で測定された前記磁界の各成分に基づいて、前記落雷の方向を求める方位推定手段を更に有する、
    ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の落雷の電荷量推定システム。
  6. 前記磁界測定手段は、前記測定された磁界が初期の極性と逆の極性の値を含まないよう、測定対象の周波数帯域に低周波領域を含んでいることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の落雷の電荷量推定システム。
  7. 前記電荷量算出手段は、磁界または磁界に基づいて求めた電流が初期の極性と逆の極性の値を含まないよう補正した後、前記落雷による電荷量を求めることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の落雷の電荷量推定システム。
  8. 前記磁界電流変換係数は、落雷地点から磁界測定地点までの距離に依存する磁界の減衰と電離層の状態に依存する磁界の減衰との少なくとも一方を考慮して設定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の落雷の電荷量推定システム。
  9. 定された磁界に基づいて、落雷の電流を求めるステップと、
    求められた電流を積分して落雷による電荷量を求めるステップと、
    を有し、
    前記電荷量を求めるステップは、
    前記測定された磁界に、予め設定されている磁界電流変換係数を乗算することにより落雷の電流を求めるステップと、
    前記求められた電流に、放電路の長さと傾きに基づく補正係数を乗算するステップと、
    前記補正係数が乗算された電流を積分する積分ステップと、
    を有することを特徴とする落雷の電荷量推定方法。
  10. コンピュータに、
    測定された磁界に基づいて、落雷の電流を求めるステップと、
    求められた電流を積分して落雷による電荷量を求めるステップと、
    を実行させるプログラムであって、
    前記電荷量を求めるステップは、
    前記測定された磁界に、予め設定されている磁界電流変換係数を乗算することにより落雷の電流を求めるステップと、
    前記求められた電流に、放電路の長さと傾きに基づく補正係数を乗算するステップと、
    前記補正係数が乗算された電流を積分する積分ステップと、
    を有するプログラム
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