JP3561494B2 - 雷標定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、雷放電により発生する電磁波を受信し、その到来方位および到達時間差により雷放電位置を探知する雷標定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図、図8は従来の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図で、両図の伝送路11−1〜11―Mが接続されて両図は結合されている。図7と図8に示されているように、M箇所に設置されたアンテナ1−1〜1−M,アンテナ2−1〜2−M,アンテナ3−1〜3−M,GPS受信機4−1〜4−M,LF帯受信機5−1〜5−M,VHF〜UHF受信機(nチャンネル)6−1〜6−M,干渉計処理部8−1〜8−M,データ処理・伝送部9−1〜9−Mから受信局10−1〜10−Mが構成されている。データ処理・伝送路9−1〜9−Mからの雷情報信号を伝送路11−1〜11−Mを通して収集し、解析装置12で雷放電位置を算出する。なお、解析装置12は、収集処理部13,時刻照合部14,交会法標定部15,出力部19から構成されている。
【0003】
図7と図8の構成において、雷放電が発生すると、放電による電磁波がアンテナ3−1〜3−M,VHF〜UHF帯受信機6−1〜6−Mにより受信される。アンテナ3−1〜3−M,受信機6−1〜6−Mは干渉計の構成となっており、干渉計処理部8−1〜8−Mによって受信位相から雷放電による電磁波の到来方位を算出する。データ処理・伝送部9−1〜9−Mは、アンテナ1−1〜1−M,GPS受信機4−1〜4−Mにより計測された時刻情報を受信し、干渉計処理部8−1〜8−Mから入力された雷放電方位信号に時刻情報を付加して解析装置12に伝送する。解析装置12では、受信局10−1〜10−Mから受信した雷情報信号より時刻信号を基に同一雷放電からの電磁波であることを照合し、M地点からの電磁波到来方位の交点より雷放電の発生位置を標定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の雷標定装置では、N素子の電波干渉計用アンテナの位相差のみにより雷放電からの電磁波の到来方位を算出しているが、この場合にはアンテナへの受信波が微弱である場合や複数の受信波が到来した場合には、到来方位の測定精度が著しく低下するという欠点があった。
【0005】
また、従来の雷標定装置では、雷情報信号に付加された時刻情報の照合によって、同一の雷放電からの電磁波と判定しているため、複数の電磁波を受信した場合に異なる雷放電からの電磁波を同一雷放電から到来したものと誤る可能性があるという欠点があった。
【0006】
また、従来の雷標定装置では、標定位置の算出について、電磁波到来方位の交点より雷放電位置の標定を行なう交会法のみで算出していたため、標定精度が干渉計の方位精度に依存するため受信局から遠い地点の標定精度が低下するという欠点があった。
【0007】
さらに、従来の雷標定装置では、電磁波を受信した複数受信局からの方位の角度差が近い場合には交点を求める角度が近いことから標定精度が低下するという欠点があった。
【0008】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、雷放電による電磁波の識別の誤りが少なく、雷放電位置の標定についての高い標定精度の実現を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる雷標定装置は、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC( Multiple Signal Classification )処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたものである。
【0010】
また、この発明に係わる雷標定装置は、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、LF( low frequency )帯アンテナから雷放電によるLF帯の電磁波を得るLF帯用受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC( Multiple Signal Classification )処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報と上記LF帯用受信機からのLF帯の雷放電の電磁波情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたものである。
【0011】
また、前記解析装置は、上記M地点の受信局からの雷情報信号について、付加された時刻情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行なう雷情報照合部と、この雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の方位の交点から雷放電位置を求める交会法標定部と、上記雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の時刻情報による同一雷放電から受信局への到達時間差から雷放電位置を求める到達時間差標定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部とにより、雷放電位置を標定するものである。
【0012】
また、前記解析装置は、さらに、雷情報信号から空間の放電である空電と、雲と地上間の放電である対地放電とを判定する空電・対地雷判定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部と上記空電・対地雷判定部とにより、雷放電位置を標定するものである。
【0013】
さらに、前記雷情報照合部は、雷情報信号に付加された時刻情報と波形情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行うものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1を図を用いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1による雷標定装置の左半分を示すブロック構成図、図2はこの発明の実施の形態1による雷標定装置の右半分を示すブロック構成図で、両図の伝送路11−1〜11―Mが接続されて両図は結合されている。図において、1−1,1−2,・・・,1−Mは衛星からの電波を受信するGPS用アンテナ( GPS:global positioning system )、2−1,2−2,・・・,2−Mは雷放電により放射されたLF帯の電磁波を受信するLF帯アンテナ( LP:low frequency )、3−1,3−2,・・・,3−Mは雷放電により放射されたVHF〜UHF帯の電磁波を受信するVHF〜UHF帯の干渉計アンテナ、4−1,4−2,・・・,4−Mは衛星からの電波を受信し時刻信号を取り出すGPS受信機、5−1,5−2,・・・,5−MはLF帯受信機、6−1,6−2,・・・,6−MはVHF〜UHF帯受信機、7−1,7−2,・・・,7−MはMUSIC処理部( MUSIC:Multiple Signal Classification )、9−1,9−2,・・・,9−Mはデータ処理・伝送部で、これらから受信局10−1,10−2,・・・,10−Mが構成されている。11−1,11−2,・・・,11−Mは伝送路である。解析装置12は、収集処理部13、雷情報照合部20、交会法標定部15、到達時間差標定部16、空電・対地雷判定部17、総合判定部18、出力部19から構成される。なお、Mは2以上の整数である。
【0015】
アンテナ1−1〜1−Mは衛星から時刻信号を受信し、GPS受信機4−1〜4−Mはその時刻信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。
【0016】
雷放電による電磁波が到来すると、M地点に設置されている受信局10−1〜10−Mのアンテナ2−1〜2−M,LF帯受信機5−1〜5−MによりLF帯の電磁波が受信され、データ処理・伝送部9−1〜9−Mへ雷放電による電磁波を検波した波形を出力する。
【0017】
上記LF帯とは別に受信局10−1〜10−Mのアンテナ3−1〜3−M,VHF〜UHF帯受信機6−1〜6−Mにより、雷放電(雷雲の雲間放電および対地放電)により放射されたVHF〜UHF帯の電磁波が受信され、MUSIC処理部7−1〜7−Mへ受信信号が出力される。MUSIC処理部7−1〜7−Mでは、N素子( Nは3以上の整数 )のアンテナ3−1〜3−Mにて受信した電磁波の位相信号を基に、高分解能測角アルゴリズムであるMUSIC法による到来電波の方位測定処理を行ない、電磁波の到来方位の情報と波形信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。なお、MUSIC法を使用することにより複数の雲間放電により多くの電磁波が発生している場合の分離が可能であり、雑音や無線局等の雷標定への影響を低減することができる。なお、MUSIC法の詳しい解説は、IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION, VOL. AP−34, NO.3, MARCH 1986 P276〜P280 「Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation」PALPH O. SCHMIDTに記載されている。
【0018】
データ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、GPS受信機4−1〜4−Mから時刻信号を受信し、LF帯受信機5−1〜5−MによりLF帯の電磁波の検波波形を受信し、MUSIC処理部7−1〜7−Mからは電磁波の到来方位の情報と波形信号を受信する。この信号を受信したデータ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、LF帯受信機5−1〜5−MとMUSIC処理部7−1〜7−Mからのそれぞれの入力信号にGPS受信機4−1〜4−Mから受信した時刻信号を元に入力時刻の情報を付加する。時刻情報を付加された雷情報信号は伝送路11−1〜11−Mを介して解析装置12に出力する。
【0019】
M地点の受信局10−1〜10−Mから雷情報信号を受信した解析装置12の内部では、LF帯の受信情報とVHF〜UHF帯の受信情報を収集処理部13で受信し、雷情報照合部20に出力する。
【0020】
雷情報照合部20では、M地点の受信局10−1〜10−Mから受信したそれぞれの雷情報信号について、まず、付加された時刻情報によって同一の雷放電からの電磁波である可能性を伝搬時間を考慮し判定する。次に、時刻情報によって振り分けられた各受信局からの雷情報信号に含まれる電磁波の波形情報から、相関の高い物について同一の雷放電からの電磁波であると判定する。同一の雷放電からの雷情報信号と判定された情報はそれぞれを一組にして、交会法標定部15,到達時間差標定部16,空電・対地雷判定部17のそれぞれに出力される。
【0021】
交会法標定部15では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定された雷情報信号のそれぞれの組みに対して、交会法を用いて放電位置を標定する。
【0022】
図3は交会法による放電位置の標定の一例を示した図である。受信局Mが3局の場合には、その3局で受信した電磁波の到来方位から標定点を求める際に、各受信局の算出した到来方位と標定点の方位との角度差θ1〜θ3の和が最小となる位置を求めて標定点とする。
【0023】
到達時間差標定部16では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定された雷情報信号のそれぞれの組みに対して、到達時間差を基に放電位置を標定する。図4は到達時間差による標定の一例を示した図である。図4の場合には、受信局Mが3局の場合を示しているが、雷情報信号に付加された電磁波の受信時刻により、2局間の到達時間差が求められるが、その2局間の到達時間差を表す双曲線が算出される。受信局1の受信時刻t1と受信局3の受信時刻t3の受信時刻の到達時間差(t1−t3)より求められる双曲線と、受信局2の受信時刻t2と受信局3の受信時刻t3の受信時刻の到達時間差(t2−t3)より求められる双曲線との2つの双曲線の交点が条件を満足する点として算出できる。受信局1の受信時刻t1と受信局2の受信時刻t2の受信時刻の到達時間差(t1−t2)より求められる双曲線も算出できるため、この3本の双曲線により求められる1〜3箇所の交点の中心としても標定点が求められる。
【0024】
空電・対地雷判定部17では、LF帯受信機により受信された電磁波の検波波形と電磁波の伝搬損失から、対地雷放電の帰還電撃の電流値を算出し、一定値以上のしきい値を超える場合には受信された電磁波が対地雷放電による電磁波であるものと判定する。
【0025】
総合判定部18では、交会法標定部15の標定結果と到達時間差標定部16の標定結果と空電・対地雷判定部17の空電・対地雷の判定結果を受信し、最終的な標定位置を決定する。まず交会法により算出された標定点と到達時間差による標定点を比較し、一定距離以上標定点がずれている標定点については誤った情報として雷情報信号を出力しない。これらにより、同時に発生した雷放電を分離し検出することが可能であり、雷放電の多重反射の影響による誤標定を防ぐことができる。また、到達時間差による標定では電磁波の受信局数が3局以上存在しない場合には標定できないが、到達時間差による双曲線と交会法標定部による標定点を合わせることで、雷放電による電磁波の受信局数が2局以上存在すれば最終的に雷放電の電磁波到来位置を算出することができる。
【0026】
さらに総合判定部18では、雷放電位置の標定結果について空電・対地雷の判定結果の情報を付加して出力する機能を有する。また、雷放電位置の標定結果以外に受信局10−1〜10−Mから受信した雷情報信号に含まれる電磁波の波形情報と、その波形情報から算出した雷放電の電流値も出力する機能を有する。
【0027】
出力部19では、総合判定部18から受信した雷放電位置の標定結果、電磁波の波形情報、放電電流値の情報を外部に出力する。外部への出力方法は、表示装置への表示、記録媒体への蓄積、伝送路を介しての外部機器への情報出力である。
【0028】
実施の形態2.
なお、上記発明の実施形態1では、LF帯とVHF〜UHF帯の2種類の電磁波を受信することにより雷放電位置の標定を行なう方法を示したが、VHF〜UHF帯のみの電磁波により雷放電位置の標定を行なっても良い。図5は実施の形態2の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図、図6は実施の形態2の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図で、両図の伝送路11−1〜11―Mが接続されて両図は結合されている。実施の形態1,その図1,図2と同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
実施の形態1と同様に、GPS受信機4−1〜4−Mはその時刻信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。MUSIC処理部7−1〜7−Mでは、N素子( Nは3以上の整数 )のアンテナ3−1〜3−Mにて受信した電磁波の位相信号を基に、高分解能測角アルゴリズムであるMUSIC法による到来電波の方位測定処理を行ない、電磁波の到来方位の情報と波形信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。
【0030】
データ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、GPS受信機4−1〜4−Mから時刻信号を受信し、MUSIC処理部7−1〜7−Mからは電磁波の到来方位の情報と波形信号を受信する。この信号を受信したデータ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、MUSIC処理部7−1〜7−Mからのそれぞれの入力信号にGPS受信機4−1〜4−Mから受信した時刻信号を基に入力時刻の情報を付加する。時刻情報を付加された雷情報信号は伝送路11−1〜11−Mを介して解析装置12に出力する。
【0031】
M地点の受信局10−1〜10−Mから雷情報信号を受信した解析装置12の内部では、VHF〜UHF帯の受信情報を収集処理部13で受信し、雷情報照合部20に出力する。雷情報照合部20では、M地点の受信局10−1〜10−Mから受信したそれぞれの雷情報信号について、まず、付加された時刻情報によって同一の雷放電からの電磁波である可能性を伝搬時間を考慮し判定する。次に、時刻情報によって振り分けられた各受信局からの雷情報信号に含まれる電磁波の波形情報から、相関の高い物について同一の雷放電からの電磁波であると判定する。同一の雷放電からの雷情報信号と判定された情報はそれぞれを一組にして、交会法標定部15,到達時間差標定部16,空電・対地雷判定部17のそれぞれに出力される。
【0032】
交会法標定部15では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定されたVHF〜UHF帯の受信情報に基因する雷情報信号のそれぞれの組みに対して、交会法を用いて放電位置を標定する。到達時間差標定部16では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定されたVHF〜UHF帯の受信情報に基因する雷情報信号のそれぞれの組みに対して、到達時間差を基に放電位置を標定する。空電・対地雷判定部17では、VHF〜UHF帯の受信情報により受信された電磁波の検波波形と電磁波の伝搬損失から、対地雷放電の帰還電撃の電流値を算出し、一定値以上のしきい値を超える場合には受信された電磁波が対地雷放電による電磁波であるものと判定する。そして、交会法標定部15,到達時間差標定部16と空電・対地雷判定部17の出力を総合して雷放電位置を標定する。
【0033】
実施の形態3.
なお、実施の形態1では、VHF〜UHF帯の電磁波とLP帯の電磁波とを受信することにより雷放電位置の標定を行なうものを示したが、VHF帯及びUHF帯のいずれか一方の帯域の電磁波とLP帯の電磁波とを受信することにより雷放電位置の標定を行なっても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の雷標定装置によれば、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたので、2種類の標定により雷放電位置を標定できるから、高い標定精度が得られる。
【0035】
また、この発明の雷標定装置によれば、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、LF帯アンテナから雷放電によるLF帯の電磁波を得るLF帯用受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報と上記LF帯用受信機からのLF帯の雷放電の電磁波情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたものであるので、2種類の標定により雷放電位置を標定できるから、高い標定精度が得られる。
【0036】
また、前記解析装置は、上記M地点の受信局からの雷情報信号について、付加された時刻情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行なう雷情報照合部と、この雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の方位の交点から雷放電位置を求める交会法標定部と、上記雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の時刻情報による同一雷放電から受信局への到達時間差から雷放電位置を求める到達時間差標定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部とにより、雷放電位置を標定するので、高い標定精度が得られる。
【0037】
また、前記解析装置は、さらに、雷情報信号から空間の放電である空電と、雲と地上間の放電である対地放電とを判定する空電・対地雷判定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部と上記空電・対地雷判定部とにより、対地雷放電位置を標定するので、高い標定精度が得られる。
【0038】
さらにまた、前記雷情報照合部は、雷情報信号に付加された時刻情報と波形情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行うので、雷放電による電磁波の識別の誤りが少なく、雷放電位置の標定についての高い標定精度の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による雷標定装置の左半分を示すブロック構成図である。
【図2】図1と接続されるこの発明の実施の形態1による雷標定装置の右半分を示すブロック構成図である。
【図3】交会法による放電位置の標定の一例を示す図である。
【図4】到達時間差による標定の一例を示す図である。
【図5】実施の形態2の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図である。
【図6】図5と接続される実施の形態2の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図である。
【図7】従来の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図である。
【図8】図7と接続される従来の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1−1〜1−M GPS用アンテナ 2−1〜2−M LF帯アンテナ
3−1〜3−M VHF〜UHF帯の干渉計アンテナ
4−1〜4−M GPS受信機 5−1〜5−M LF帯受信機
6−1〜6−M VHF〜UHF帯受信機
7−1〜7−M MUSIC処理部 8−1〜8−M 干渉計処理部
9−1〜9−M データ処理・伝送部 10−1〜10−M 受信局
11−1〜11−M 伝送路 12 解析装置
13 収集処理部 15 交会法標定部
16 到達時間差標定部 17 空電・対地雷判定部
18 総合判定部 19 出力部
20 雷情報照合部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、雷放電により発生する電磁波を受信し、その到来方位および到達時間差により雷放電位置を探知する雷標定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図、図8は従来の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図で、両図の伝送路11−1〜11―Mが接続されて両図は結合されている。図7と図8に示されているように、M箇所に設置されたアンテナ1−1〜1−M,アンテナ2−1〜2−M,アンテナ3−1〜3−M,GPS受信機4−1〜4−M,LF帯受信機5−1〜5−M,VHF〜UHF受信機(nチャンネル)6−1〜6−M,干渉計処理部8−1〜8−M,データ処理・伝送部9−1〜9−Mから受信局10−1〜10−Mが構成されている。データ処理・伝送路9−1〜9−Mからの雷情報信号を伝送路11−1〜11−Mを通して収集し、解析装置12で雷放電位置を算出する。なお、解析装置12は、収集処理部13,時刻照合部14,交会法標定部15,出力部19から構成されている。
【0003】
図7と図8の構成において、雷放電が発生すると、放電による電磁波がアンテナ3−1〜3−M,VHF〜UHF帯受信機6−1〜6−Mにより受信される。アンテナ3−1〜3−M,受信機6−1〜6−Mは干渉計の構成となっており、干渉計処理部8−1〜8−Mによって受信位相から雷放電による電磁波の到来方位を算出する。データ処理・伝送部9−1〜9−Mは、アンテナ1−1〜1−M,GPS受信機4−1〜4−Mにより計測された時刻情報を受信し、干渉計処理部8−1〜8−Mから入力された雷放電方位信号に時刻情報を付加して解析装置12に伝送する。解析装置12では、受信局10−1〜10−Mから受信した雷情報信号より時刻信号を基に同一雷放電からの電磁波であることを照合し、M地点からの電磁波到来方位の交点より雷放電の発生位置を標定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の雷標定装置では、N素子の電波干渉計用アンテナの位相差のみにより雷放電からの電磁波の到来方位を算出しているが、この場合にはアンテナへの受信波が微弱である場合や複数の受信波が到来した場合には、到来方位の測定精度が著しく低下するという欠点があった。
【0005】
また、従来の雷標定装置では、雷情報信号に付加された時刻情報の照合によって、同一の雷放電からの電磁波と判定しているため、複数の電磁波を受信した場合に異なる雷放電からの電磁波を同一雷放電から到来したものと誤る可能性があるという欠点があった。
【0006】
また、従来の雷標定装置では、標定位置の算出について、電磁波到来方位の交点より雷放電位置の標定を行なう交会法のみで算出していたため、標定精度が干渉計の方位精度に依存するため受信局から遠い地点の標定精度が低下するという欠点があった。
【0007】
さらに、従来の雷標定装置では、電磁波を受信した複数受信局からの方位の角度差が近い場合には交点を求める角度が近いことから標定精度が低下するという欠点があった。
【0008】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、雷放電による電磁波の識別の誤りが少なく、雷放電位置の標定についての高い標定精度の実現を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる雷標定装置は、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC( Multiple Signal Classification )処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたものである。
【0010】
また、この発明に係わる雷標定装置は、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、LF( low frequency )帯アンテナから雷放電によるLF帯の電磁波を得るLF帯用受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC( Multiple Signal Classification )処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報と上記LF帯用受信機からのLF帯の雷放電の電磁波情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたものである。
【0011】
また、前記解析装置は、上記M地点の受信局からの雷情報信号について、付加された時刻情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行なう雷情報照合部と、この雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の方位の交点から雷放電位置を求める交会法標定部と、上記雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の時刻情報による同一雷放電から受信局への到達時間差から雷放電位置を求める到達時間差標定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部とにより、雷放電位置を標定するものである。
【0012】
また、前記解析装置は、さらに、雷情報信号から空間の放電である空電と、雲と地上間の放電である対地放電とを判定する空電・対地雷判定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部と上記空電・対地雷判定部とにより、雷放電位置を標定するものである。
【0013】
さらに、前記雷情報照合部は、雷情報信号に付加された時刻情報と波形情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行うものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1を図を用いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1による雷標定装置の左半分を示すブロック構成図、図2はこの発明の実施の形態1による雷標定装置の右半分を示すブロック構成図で、両図の伝送路11−1〜11―Mが接続されて両図は結合されている。図において、1−1,1−2,・・・,1−Mは衛星からの電波を受信するGPS用アンテナ( GPS:global positioning system )、2−1,2−2,・・・,2−Mは雷放電により放射されたLF帯の電磁波を受信するLF帯アンテナ( LP:low frequency )、3−1,3−2,・・・,3−Mは雷放電により放射されたVHF〜UHF帯の電磁波を受信するVHF〜UHF帯の干渉計アンテナ、4−1,4−2,・・・,4−Mは衛星からの電波を受信し時刻信号を取り出すGPS受信機、5−1,5−2,・・・,5−MはLF帯受信機、6−1,6−2,・・・,6−MはVHF〜UHF帯受信機、7−1,7−2,・・・,7−MはMUSIC処理部( MUSIC:Multiple Signal Classification )、9−1,9−2,・・・,9−Mはデータ処理・伝送部で、これらから受信局10−1,10−2,・・・,10−Mが構成されている。11−1,11−2,・・・,11−Mは伝送路である。解析装置12は、収集処理部13、雷情報照合部20、交会法標定部15、到達時間差標定部16、空電・対地雷判定部17、総合判定部18、出力部19から構成される。なお、Mは2以上の整数である。
【0015】
アンテナ1−1〜1−Mは衛星から時刻信号を受信し、GPS受信機4−1〜4−Mはその時刻信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。
【0016】
雷放電による電磁波が到来すると、M地点に設置されている受信局10−1〜10−Mのアンテナ2−1〜2−M,LF帯受信機5−1〜5−MによりLF帯の電磁波が受信され、データ処理・伝送部9−1〜9−Mへ雷放電による電磁波を検波した波形を出力する。
【0017】
上記LF帯とは別に受信局10−1〜10−Mのアンテナ3−1〜3−M,VHF〜UHF帯受信機6−1〜6−Mにより、雷放電(雷雲の雲間放電および対地放電)により放射されたVHF〜UHF帯の電磁波が受信され、MUSIC処理部7−1〜7−Mへ受信信号が出力される。MUSIC処理部7−1〜7−Mでは、N素子( Nは3以上の整数 )のアンテナ3−1〜3−Mにて受信した電磁波の位相信号を基に、高分解能測角アルゴリズムであるMUSIC法による到来電波の方位測定処理を行ない、電磁波の到来方位の情報と波形信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。なお、MUSIC法を使用することにより複数の雲間放電により多くの電磁波が発生している場合の分離が可能であり、雑音や無線局等の雷標定への影響を低減することができる。なお、MUSIC法の詳しい解説は、IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION, VOL. AP−34, NO.3, MARCH 1986 P276〜P280 「Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation」PALPH O. SCHMIDTに記載されている。
【0018】
データ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、GPS受信機4−1〜4−Mから時刻信号を受信し、LF帯受信機5−1〜5−MによりLF帯の電磁波の検波波形を受信し、MUSIC処理部7−1〜7−Mからは電磁波の到来方位の情報と波形信号を受信する。この信号を受信したデータ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、LF帯受信機5−1〜5−MとMUSIC処理部7−1〜7−Mからのそれぞれの入力信号にGPS受信機4−1〜4−Mから受信した時刻信号を元に入力時刻の情報を付加する。時刻情報を付加された雷情報信号は伝送路11−1〜11−Mを介して解析装置12に出力する。
【0019】
M地点の受信局10−1〜10−Mから雷情報信号を受信した解析装置12の内部では、LF帯の受信情報とVHF〜UHF帯の受信情報を収集処理部13で受信し、雷情報照合部20に出力する。
【0020】
雷情報照合部20では、M地点の受信局10−1〜10−Mから受信したそれぞれの雷情報信号について、まず、付加された時刻情報によって同一の雷放電からの電磁波である可能性を伝搬時間を考慮し判定する。次に、時刻情報によって振り分けられた各受信局からの雷情報信号に含まれる電磁波の波形情報から、相関の高い物について同一の雷放電からの電磁波であると判定する。同一の雷放電からの雷情報信号と判定された情報はそれぞれを一組にして、交会法標定部15,到達時間差標定部16,空電・対地雷判定部17のそれぞれに出力される。
【0021】
交会法標定部15では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定された雷情報信号のそれぞれの組みに対して、交会法を用いて放電位置を標定する。
【0022】
図3は交会法による放電位置の標定の一例を示した図である。受信局Mが3局の場合には、その3局で受信した電磁波の到来方位から標定点を求める際に、各受信局の算出した到来方位と標定点の方位との角度差θ1〜θ3の和が最小となる位置を求めて標定点とする。
【0023】
到達時間差標定部16では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定された雷情報信号のそれぞれの組みに対して、到達時間差を基に放電位置を標定する。図4は到達時間差による標定の一例を示した図である。図4の場合には、受信局Mが3局の場合を示しているが、雷情報信号に付加された電磁波の受信時刻により、2局間の到達時間差が求められるが、その2局間の到達時間差を表す双曲線が算出される。受信局1の受信時刻t1と受信局3の受信時刻t3の受信時刻の到達時間差(t1−t3)より求められる双曲線と、受信局2の受信時刻t2と受信局3の受信時刻t3の受信時刻の到達時間差(t2−t3)より求められる双曲線との2つの双曲線の交点が条件を満足する点として算出できる。受信局1の受信時刻t1と受信局2の受信時刻t2の受信時刻の到達時間差(t1−t2)より求められる双曲線も算出できるため、この3本の双曲線により求められる1〜3箇所の交点の中心としても標定点が求められる。
【0024】
空電・対地雷判定部17では、LF帯受信機により受信された電磁波の検波波形と電磁波の伝搬損失から、対地雷放電の帰還電撃の電流値を算出し、一定値以上のしきい値を超える場合には受信された電磁波が対地雷放電による電磁波であるものと判定する。
【0025】
総合判定部18では、交会法標定部15の標定結果と到達時間差標定部16の標定結果と空電・対地雷判定部17の空電・対地雷の判定結果を受信し、最終的な標定位置を決定する。まず交会法により算出された標定点と到達時間差による標定点を比較し、一定距離以上標定点がずれている標定点については誤った情報として雷情報信号を出力しない。これらにより、同時に発生した雷放電を分離し検出することが可能であり、雷放電の多重反射の影響による誤標定を防ぐことができる。また、到達時間差による標定では電磁波の受信局数が3局以上存在しない場合には標定できないが、到達時間差による双曲線と交会法標定部による標定点を合わせることで、雷放電による電磁波の受信局数が2局以上存在すれば最終的に雷放電の電磁波到来位置を算出することができる。
【0026】
さらに総合判定部18では、雷放電位置の標定結果について空電・対地雷の判定結果の情報を付加して出力する機能を有する。また、雷放電位置の標定結果以外に受信局10−1〜10−Mから受信した雷情報信号に含まれる電磁波の波形情報と、その波形情報から算出した雷放電の電流値も出力する機能を有する。
【0027】
出力部19では、総合判定部18から受信した雷放電位置の標定結果、電磁波の波形情報、放電電流値の情報を外部に出力する。外部への出力方法は、表示装置への表示、記録媒体への蓄積、伝送路を介しての外部機器への情報出力である。
【0028】
実施の形態2.
なお、上記発明の実施形態1では、LF帯とVHF〜UHF帯の2種類の電磁波を受信することにより雷放電位置の標定を行なう方法を示したが、VHF〜UHF帯のみの電磁波により雷放電位置の標定を行なっても良い。図5は実施の形態2の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図、図6は実施の形態2の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図で、両図の伝送路11−1〜11―Mが接続されて両図は結合されている。実施の形態1,その図1,図2と同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
実施の形態1と同様に、GPS受信機4−1〜4−Mはその時刻信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。MUSIC処理部7−1〜7−Mでは、N素子( Nは3以上の整数 )のアンテナ3−1〜3−Mにて受信した電磁波の位相信号を基に、高分解能測角アルゴリズムであるMUSIC法による到来電波の方位測定処理を行ない、電磁波の到来方位の情報と波形信号をデータ処理・伝送部9−1〜9−Mへ出力する。
【0030】
データ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、GPS受信機4−1〜4−Mから時刻信号を受信し、MUSIC処理部7−1〜7−Mからは電磁波の到来方位の情報と波形信号を受信する。この信号を受信したデータ処理・伝送部9−1〜9−Mでは、MUSIC処理部7−1〜7−Mからのそれぞれの入力信号にGPS受信機4−1〜4−Mから受信した時刻信号を基に入力時刻の情報を付加する。時刻情報を付加された雷情報信号は伝送路11−1〜11−Mを介して解析装置12に出力する。
【0031】
M地点の受信局10−1〜10−Mから雷情報信号を受信した解析装置12の内部では、VHF〜UHF帯の受信情報を収集処理部13で受信し、雷情報照合部20に出力する。雷情報照合部20では、M地点の受信局10−1〜10−Mから受信したそれぞれの雷情報信号について、まず、付加された時刻情報によって同一の雷放電からの電磁波である可能性を伝搬時間を考慮し判定する。次に、時刻情報によって振り分けられた各受信局からの雷情報信号に含まれる電磁波の波形情報から、相関の高い物について同一の雷放電からの電磁波であると判定する。同一の雷放電からの雷情報信号と判定された情報はそれぞれを一組にして、交会法標定部15,到達時間差標定部16,空電・対地雷判定部17のそれぞれに出力される。
【0032】
交会法標定部15では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定されたVHF〜UHF帯の受信情報に基因する雷情報信号のそれぞれの組みに対して、交会法を用いて放電位置を標定する。到達時間差標定部16では、雷情報照合部20から受信した同一の雷放電からの電磁波と判定されたVHF〜UHF帯の受信情報に基因する雷情報信号のそれぞれの組みに対して、到達時間差を基に放電位置を標定する。空電・対地雷判定部17では、VHF〜UHF帯の受信情報により受信された電磁波の検波波形と電磁波の伝搬損失から、対地雷放電の帰還電撃の電流値を算出し、一定値以上のしきい値を超える場合には受信された電磁波が対地雷放電による電磁波であるものと判定する。そして、交会法標定部15,到達時間差標定部16と空電・対地雷判定部17の出力を総合して雷放電位置を標定する。
【0033】
実施の形態3.
なお、実施の形態1では、VHF〜UHF帯の電磁波とLP帯の電磁波とを受信することにより雷放電位置の標定を行なうものを示したが、VHF帯及びUHF帯のいずれか一方の帯域の電磁波とLP帯の電磁波とを受信することにより雷放電位置の標定を行なっても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の雷標定装置によれば、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたので、2種類の標定により雷放電位置を標定できるから、高い標定精度が得られる。
【0035】
また、この発明の雷標定装置によれば、GPS用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、LF帯アンテナから雷放電によるLF帯の電磁波を得るLF帯用受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報と上記LF帯用受信機からのLF帯の雷放電の電磁波情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えたものであるので、2種類の標定により雷放電位置を標定できるから、高い標定精度が得られる。
【0036】
また、前記解析装置は、上記M地点の受信局からの雷情報信号について、付加された時刻情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行なう雷情報照合部と、この雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の方位の交点から雷放電位置を求める交会法標定部と、上記雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の時刻情報による同一雷放電から受信局への到達時間差から雷放電位置を求める到達時間差標定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部とにより、雷放電位置を標定するので、高い標定精度が得られる。
【0037】
また、前記解析装置は、さらに、雷情報信号から空間の放電である空電と、雲と地上間の放電である対地放電とを判定する空電・対地雷判定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部と上記空電・対地雷判定部とにより、対地雷放電位置を標定するので、高い標定精度が得られる。
【0038】
さらにまた、前記雷情報照合部は、雷情報信号に付加された時刻情報と波形情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行うので、雷放電による電磁波の識別の誤りが少なく、雷放電位置の標定についての高い標定精度の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による雷標定装置の左半分を示すブロック構成図である。
【図2】図1と接続されるこの発明の実施の形態1による雷標定装置の右半分を示すブロック構成図である。
【図3】交会法による放電位置の標定の一例を示す図である。
【図4】到達時間差による標定の一例を示す図である。
【図5】実施の形態2の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図である。
【図6】図5と接続される実施の形態2の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図である。
【図7】従来の雷標定装置の左半分を示すブロック構成図である。
【図8】図7と接続される従来の雷標定装置の右半分を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1−1〜1−M GPS用アンテナ 2−1〜2−M LF帯アンテナ
3−1〜3−M VHF〜UHF帯の干渉計アンテナ
4−1〜4−M GPS受信機 5−1〜5−M LF帯受信機
6−1〜6−M VHF〜UHF帯受信機
7−1〜7−M MUSIC処理部 8−1〜8−M 干渉計処理部
9−1〜9−M データ処理・伝送部 10−1〜10−M 受信局
11−1〜11−M 伝送路 12 解析装置
13 収集処理部 15 交会法標定部
16 到達時間差標定部 17 空電・対地雷判定部
18 総合判定部 19 出力部
20 雷情報照合部。
Claims (5)
- GPS( global positioning system )用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、VHF〜UHF帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC( Multiple Signal Classification )処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えた雷標定装置。
- GPS( global positioning system )用アンテナから時刻信号を得るGPS受信機と、LF( low frequency )帯アンテナから雷放電によるLF帯の電磁波を得るLF帯用受信機と、VHF〜UHF帯帯干渉計アンテナから雷放電による電磁波を得るVHF〜UHF帯受信機と、上記VHF〜UHF帯受信機からの電磁波の位相信号を基に電磁波到来方位を演算するMUSIC( Multiple Signal Classification )処理部と、このMUSIC処理部からの雷放電の電磁波到来方位情報と上記LF帯用受信機からのLF帯の雷放電の電磁波情報に上記GPS受信機による時刻情報を付加した雷情報信号を得るデータ処理・伝送部とをそれぞれ有するM地点(Mは2以上の整数)の受信局、及び
上記M地点の受信局のデータ処理・伝送部の各雷情報信号に基づく、到来方位の交点と、雷放電から受信局への到達時間差により、雷放電位置を標定する解析装置を備えた雷標定装置。 - 前記解析装置は、
上記M地点の受信局からの雷情報信号について、付加された時刻情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行なう雷情報照合部と、この雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の方位の交点から雷放電位置を求める交会法標定部と、上記雷情報照合部で同一雷放電からの雷情報信号とされた組における各雷情報信号の時刻情報による同一雷放電から受信局への到達時間差から雷放電位置を求める到達時間差標定部を備え、
上記交会法標定部と上記到達時間差標定部とにより、雷放電位置を標定する請求項1または請求項2記載の雷標定装置。 - 前記解析装置は、さらに、雷情報信号から空間の放電である空電と、雲と地上間の放電である対地放電とを判定する空電・対地雷判定部を備え、上記交会法標定部と上記到達時間差標定部と上記空電・対地雷判定部とにより、雷放電位置を標定する請求項3記載の雷標定装置。
- 前記雷情報照合部は、雷情報信号に付加された時刻情報と波形情報によって同一雷放電からの雷情報信号か否かの照合を行う請求項3記載の雷標定装置。
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