JP2007121127A - 雷放電位置標定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】位置精度を向上し、落雷と雲間放電の判別が可能な雷放電位置標定システムを提供する。
【解決手段】雷放電による電磁波がアンテナ2で受信された時刻(雷放電受信時刻という)を検出するための受信局1を所定半径円内に3局以上設置し、各受信局1はVLF−MF帯の電磁界をアンテナ2で受信し、その受信信号から振幅が所定値以上のピークを検出し、そのピークの時刻を雷放電受信時刻とし、少なくとも3局の受信局1における雷放電受信時刻を二次元の到達時間差法に適用して雷放電が発生した二次元位置を標定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、位置精度を向上し、落雷と雲間放電のより正確な判別が可能な雷放電位置標定システムに関する。
落雷があったときに、その落雷による被害を確かめたり復旧作業を行うために、落雷があった場所を早急に特定しなければならない。このためのシステムを従来は落雷位置標定システムと呼んでいる。落雷位置標定システムには、以下の3つのものが知られている。
1)交会法(Direction Finding Method)によるもの
図7に示されるように、落雷により放出された電磁波を複数の受信局101a,101b,101cにおいてそれぞれ磁界アンテナ102で受信し、各々の受信局101a,101b,101cから見たその電磁波の到来方位を検出する。地図平面上に各受信局101a,101b,101cから到来方位に向けて直線を描くと、これらの直線の交点あるいは交点に囲まれたあたりが落雷位置であると標定できる。2局以上の受信局、好ましくは一直線上に並ばない3局以上の受信局を設置すれば標定が可能である。
2)到達時間差法(Time of Arrival Method)によるもの
図8に示されるように、落雷により放出された電磁波が複数の受信局111a,111b,111cにおいてそれぞれ電界アンテナ112で受信された時刻、すなわち落雷受信時刻を検出する。ある2つの受信局111a,111bに着目すると落雷受信時刻の差は、未知の落雷位置から一方の受信局111aまで電磁波が伝搬に要した時間t1と未知の落雷位置から他方の受信局111bまで電磁波が伝搬に要した時間t2との時間差、すなわち到達時間差を表している。このような到達時間差t1−t2をもたらす点の集合は地図平面上に双曲線L12で描くことができる。別の受信局の組からも同様に到達時間差t1−t3,t2−t3に基づいた双曲線L13,L23が得られるので、これらの双曲線L12,L13,L23の交点が落雷位置であると標定できる。二次元標定に必要な3局以上の受信局、好ましくはチェック用局も含めて4局以上の受信局を設置すれば標定が可能である。
3)ハイブリッド法
上記の交会法と到達時間差法とを混合した方法である。
4)到達時間差法によるリーダ検出
これは落雷位置を標定するものではないが、到達時間差法を使用するので、参考に説明しておく。落雷とは、雲と大地とが電気的につながった状態で大電流が流れる現象である。この落雷に至る前に雲あるいは大地から先駆リーダが伸びてくるので、その現象を検知するのがリーダ検出である。
Figure 2007121127
これらの落雷位置標定システムの細部の特徴と性能比較をまとめると表1のようになる。すなわち、交会法は、二次元の位置標定をするものであり、受信する信号は磁界の信号である。受信する信号の帯域はVLF〜LF帯域であり、受信局設置間隔(最寄りの受信局間距離のこと)は数百kmである。この方法による落雷位置標定誤差は数km程度である。
到達時間差法(従来)は、二次元の位置標定をするものであり、受信する信号は電界の信号である。受信する信号の帯域はVLF〜LF帯域であり、受信局設置間隔は数百kmである。この方法による落雷位置標定誤差は500m〜1km程度である。
ハイブリッド法は、二次元の位置標定をするものであり、受信する信号は電界の信号と磁界の信号である。受信する信号の帯域はVLF〜LF帯域であり、受信局設置間隔は数百kmである。この方法による落雷位置標定誤差は500m〜1km程度である。
到達時間差法によるリーダ検出は、三次元でのリーダ位置の標定をするものであり、受信する信号は電界の信号である。受信する信号の帯域はVHF帯域であり、受信局設置間隔は数十kmである。この方法での落雷位置標定誤差は不明である。
交会法、到達時間差法(従来)及びハイブリッド法は、少ない個数の受信局で数百kmの広域をカバーできるという利点がある反面、落雷位置標定誤差が500m〜1km程度と大きいという問題点がある。
到達時間差法によるリーダ検出(三次元)は、先駆リーダを検出するのが目的であって、落雷があったかどうかを特定することが難しく、落雷位置の標定には不適である。また、放電の極性が判定できないという問題もある。
特開2003−139868号公報 特開昭62−168074号公報 特開2003−294824号公報
既に述べたように、従来の落雷位置標定システムは、位置精度のよいものでも落雷位置標定誤差が500m〜1km程度である。これは、建造物や送電線への落雷被害の確認、あるいは復旧作業着手という観点からすると、現場に赴いて実際の被害箇所を見つけるには範囲が広すぎ、好ましい位置精度とは言えない。従って、可及的に位置精度を向上させる必要がある。
従来の落雷位置標定システムは、雲と大地との間に生じる落雷(対地雷とも言う)と、雲中あるいは雲と雲同士で起きる雲間放電(雲内放電とも言う)との判別をするものもあるが、それは電磁波の形状により判定するもので、誤判定が多い。つまり、ある場所で雲間放電が起きても、その場所に落雷が発生したと誤判定する場合もある。このことは、建造物や送電線への落雷被害の確認、あるいは復旧作業着手という観点からすると、誤報を出していることにほかならない。従って、落雷と雲間放電とをより正確に判別して放電位置が標定できるシステム(以下、これを雷放電位置標定システムと言う)が提供されることが望まれる。
特許文献1では、帰還電撃の電流値が大きいことをもって落雷という判定をしている。しかし、これは位置標定が二次元でしかできないので、間接的な現象で落雷と雲間放電とを判別しているに過ぎない。
また、雷放電観測や落雷報知の分野において、落雷位置だけでなく、雷電流の大きさや雷電流の極性(流れる方向のこと)を検出できることが望ましい。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、位置精度を向上し、落雷と雲間放電のより正確な判別が可能な雷放電位置標定システムを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、雷放電による電磁波がアンテナで受信された時刻(雷放電受信時刻という)を検出するための受信局を所定半径円内に3局以上設置し、各受信局はVLF−MF帯の電磁界をアンテナで受信し、その受信信号から振幅が所定値以上のピークを検出し、そのピークの時刻を雷放電受信時刻とし、少なくとも3局の受信局における雷放電受信時刻を二次元の到達時間差法に適用して雷放電が発生した二次元位置を標定するものである。
受信局は4局以上設置し、少なくとも4局の受信局における雷放電受信時刻を三次元の到達時間差法に適用して雷放電が発生した三次元位置を標定してもよい。
上記受信信号を所定のサンプリング周期でサンプリングし、その時系列から振幅が所定値以上のピークを検出してもよい。
上記サンプリング周期は100ns以下であってもよい。
上記半径が50kmであってもよい。
標定した雷放電位置の高さにより、落雷と雲内放電とを区別してもよい。
上記アンテナにより電磁界の微分信号を上記受信信号として出力し、一方、この受信信号を積分して電磁界信号を求め、この電磁界信号がしきい値を越えたことで雷放電があったというイベントを検出し、この雷放電イベント検出時にのみ上記受信信号からの雷放電受信時刻の検出を行ってもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)位置精度を向上させることができる。
(2)落雷と雲間放電のより正確な判別が可能となる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係る雷放電位置標定システムは、雷放電による電磁波がアンテナで受信された雷放電受信時刻を検出するための受信局1(1a,1b,1c,1d,…)を半径50kmの円内に4局以上設置し、各受信局1はVLF−MF帯の電磁界をアンテナ2で受信し、その受信信号を100ns以下のサンプリング周期でサンプリングし、その時系列から振幅が所定値以上のピークを検出し、そのピークの時刻を雷放電受信時刻とし、少なくとも4局の受信局1における雷放電受信時刻を三次元の到達時間差法に適用して雷放電が発生した三次元位置Pを標定するものである。
図1には示さないが、各受信局1からデータ回線を介して雷放電受信時刻を収集して4つ以上の受信局が求めた雷放電受信時刻を到達時間差法に適用するホスト装置が存在する。ホスト装置は、全ての受信局1の設置位置をx,y,z軸の三次元座標で記憶しており、各受信局1の雷放電受信時刻を三次元の到達時間差法に適用することで、雷放電が発生した三次元位置Pを標定することができる。
なお、受信局1が4つというのは、到達時間差法による三次元の位置標定に最低限必要な条件であり、受信局1が5つあれば、位置の誤差を小さくすることができる。
図2の例では、受信局1は、電界アンテナ21、VLF−MF帯の電界アンプ22、A/Dコンバータ23、高精度時計24、データ処理用コンピュータ25、積分回路26、トリガ回路27を備える。
電界アンテナ21は、電磁波の電界Eの微分信号dE/dtを受信信号として出力するものである。ただし、電界アンテナ21の出力は微弱であるので、後段におけるサンプリングに適したダイナミックレンジにするために、次の電界アンプ22を使用する。
なお、アンテナは磁界アンテナでもよい。その場合、磁界アンテナは電磁波の磁界の微分信号を受信信号として出力することになる。電界アンテナ21を用いるか、磁界アンテナを用いるかは受信局設置場所の条件により選択してもよい。なお、磁界アンテナの場合は、地面に平行で互いに直交する2成分を同時に観測するが、回路構成は図2に準じる。
電界アンプ22は、電界アンテナ21の出力を増幅するものである。電界アンプ22は、少なくともVLF−MF帯(3kHz〜3MHz)の帯域で減衰なく増幅ができる周波数特性を有するものである。なお、VLF帯は3kHz〜30kHz、LF帯は30kHz〜300kHz、MF帯は300kHz〜3MHz、HF帯は3MHz〜30MHz、VHF帯は30MHz〜300MHzである。
A/Dコンバータ23のサンプリング周期は、100ns以下である。
高精度時計24は、他の受信局に収容されている同様の装置と時刻同期を図るためのものであり、例えば、ルビジウム高精度時計からなる。これらの高精度時計24は、GPSシステム等を利用して100ns以内の精度で同期を取るようにしてもよい。
データ処理用コンピュータ25は、A/Dコンバータ23を用いてサンプリングした時系列をソフトウェアにより処理するものである。処理の詳細は後述する。
積分回路26は、電界アンプ22で増幅された受信信号を積分するものである。受信信号が電界の微分信号dE/dtであるから、これを積分した積分回路26の出力は電界Eの大きさ及び極性を表した電界信号である。
トリガ回路27は、電界信号が雷放電の発生と関連する有意レベルに達したかどうかを判定する回路であり、電界信号がしきい値を越えたことで雷放電があったというイベントを検出するようになっている。トリガ回路27の出力であるトリガ信号は、データ処理用コンピュータ25に入力されている。
データ処理用コンピュータ25は、雷放電イベント検出時にのみ、つまりトリガ信号が到着したときのみ受信信号からの雷放電受信時刻の検出処理を実行するようになっている。
図3に、受信局1の動作、とりわけデータ処理用コンピュータ25が処理する動作を示す。また、図4(a)に受信信号(電界微分信号)の波形、図4(b)に電界信号(受信信号を積分した信号)の波形を示す。ただし、この電界信号は、積分回路26でアナログ積分した信号ではなく、データ処理用コンピュータ25が電界微分信号を積分して得たものである。
以下、図2〜図4を用いてひとつの受信局1の動作を説明する。
電界アンテナ21が電磁波の電界Eの微分信号dE/dtを受信し、電界アンプ22がこれを増幅して受信信号とする。A/Dコンバータ23は、このアナログの受信信号をサンプリング周期100ns以下でサンプリングし、時系列を得る。以下、デジタルデータ処理では、この時系列を受信信号と見なす。
図4(a)に示されるように、受信信号dE/dtは、振幅や周期が大小ランダムなピーク波形を時間的にランダムに含んでいる。図4(a)の電界微分信号は、ピーク波形41があるので、図4(b)の電界信号に比べて精度よくタイムスタンプが押せる(精度よく時刻検出が可能である)。なお、タイムスタンプとは、電界微分信号の時系列から最大値のサンプルを検出して、その時刻を検出することである。
そこで、積分回路26が受信信号を積分することで電界Eを表した電界信号を作り、トリガ回路27がその電界信号が雷放電の発生と関連する有意レベルに達したかどうかを判定する。ここで、図4(b)の電界信号を見ると、図4(a)の受信信号に雷放電によるピーク波形41が現れた瞬間、電界信号にも大きなピーク波形44が現れている。つまり、トリガ回路27は、電界信号がしきい値を越えたことで雷放電があったというイベントを検出する。このトリガ信号がデータ処理用コンピュータ25に入力されると、データ処理用コンピュータ25は、受信信号に対しての雷放電受信時刻の検出処理の実行を開始する。このように、イベントの検出は、電界信号(アナログ信号)がしきい値を越えたことを検出することでなされる。
データ処理用コンピュータ25は、雷放電による電磁界微分信号のピークが抽出された瞬間を雷放電受信時刻とする。この動作をタイムスタンプと言い、雷放電受信時刻をタイムスタンプデータという。このとき、サンプリング周期が100ns以下であるから、このサンプリング周期に同期されて検出される雷放電受信時刻は誤差が100ns+時計の精度以下である。
次いで、データ処理用コンピュータ25は、抽出した雷放電によるピークの波高値を記録する。データ処理用コンピュータ25は、雷放電受信時刻と波高値をデータ回線に出力してホスト装置に通知する。
次に、ホスト装置における処理を説明する。
図1の各受信局1a,1b,1c,1dにおいて、それぞれ図4(a)のような時系列から雷放電受信時刻t1,t2,t3,t4が得られる。ホスト装置は、全ての受信局1の設置位置をx,y,z軸の三次元座標で記憶しており、各受信局1a,1b,1c,1dの設置位置を示した三次元空間において、各受信局1a,1b,1c,1dにおける雷放電受信時刻t1,t2,t3,t4を三次元の到達時間差法に適用することで、雷放電が発生した三次元位置Pを標定する。
具体的には、ホスト装置は、受信局1a,1b間の到達時間差t1−t2をもたらす点の集合として回転双曲面S1(図示困難のため図示せず)を計算する。別の受信局の組からも同様に到達時間差t2−t3,t3−t4に基づいた回転双曲面S2,S3(図示せず)を計算する。これらの回転双曲面S1,S2,S3の交点が三次元位置Pであるから、ホスト装置は、回転双曲面S1,S2の交線K12を計算し、回転双曲面S2,S3の交線K23を計算し、交線K12と交線K23との交点Pを計算する。
回転双曲面S1,S2,S3が図示できないので、参考のため、回転双曲面S1と大地(XY平面)との交線K10、回転双曲面S2と大地との交線K20、回転双曲面S3と大地との交線K30が示してある。これらの交線K10,K20,K30はいずれも双曲線となる。
ここで、本発明と従来技術との比較をする。
本発明の最大の要点は、受信局間距離を従来より短くしたことである。受信局間距離が長いということは、雷放電発生位置から受信局までの距離も長いということである。従来技術は受信局間距離が長いために、次のような問題がある。
1)雷放電による電磁波が受信局まで伝搬していく過程において、途中の地形の複雑さとかそのローカルな場所特有の大地導電率の違いによって到達時間に誤差が生じる。ここで言う誤差とは、途中の地形が全くフラットで、大地導電率が無限大である場合における到達時間に比べた時間差のことである。雷放電発生位置から受信局までの距離が長ければ長いほど、この種の誤差、つまり電磁波自体が遅れて変歪して伝わることによる到達時間の誤差が大きくなる。
しかし、従来は経済的理由から受信局の設置数を極力少なくし、その少ない受信局でできるだけ広範囲を対象にした位置標定ができることを目指していたため、受信局間距離を長くすることになり、その結果、到達時間の誤差が大きくなることは避けられなかった。
2)時間計測における100nsの誤差は距離に換算して30mの誤差となる。信号をデジタル処理しようとすると、サンプリング周期に起因する誤差は避けられない。サンプリング周期が長いと、それだけ位置標定の精度が低くなる。それならば、サンプリング周期を極力短くすれば、位置標定の精度向上に寄与するはずであると本出願人は考えた。
ところが、実際は、従来技術において、仮にサンプリング周期を短くしても、位置標定の精度向上に寄与する情報を得ることができない。その理由は次の項目で述べるので省くが、従来技術ではサンプリング周期を短くする意味がないため、サンプリング周期を短くすることは、検討されてこなかった。また、従来は100nsの誤差が問題視されるほどの高速サンプリング技術が提供されていなかったためもあって、サンプリング周期を短くすることは、検討されてこなかった。
3)雷放電発生位置から受信局までの距離が長いということは、電磁波の伝搬距離が長いということである。伝搬距離が長いと高周波ほど減衰しやすい。従って、雷放電発生位置において低周波から高周波までの電磁波が存在しても、受信局には低周波しか届かず、高周波は届かない。これは位置標定に利用可能な情報が伝搬途中で失われることを意味している。
このように、雷放電発生位置からの距離が長い受信局では、雷放電による電磁波のうち、高周波を受信できない。言い換えると、立ち上がりあるいは立ち下がりが急峻な受信信号が存在しない。具体的に言えば、図4(a)のピーク波形が存在しない。従って、前述したサンプリング周期の短縮を図っても意味がないことになる。
4)雷放電は地表面からせいぜい15km以下の高さで起きている。従来技術では受信局間距離が数百kmであるため、雷放電発生位置から受信局までの距離も数百km程度のことが多いと思われる。このような水平方向の広がりに対して高さ方向の広がりはほとんどないに等しい。仮に10kmの高さで雲内放電が起きても、受信局から見た仰角はゼロに近いことになる。また、数百kmの距離を地上波として伝搬する電磁波の経路はもはや直線ではなく、地球の曲面に沿った曲線として扱わなければならない。このような距離では、図1の原理による三次元位置標定は不可能である。従って、高さを含めた位置標定を行うことは困難である。
本発明は、以上の問題点1)〜4)を全て解決している。
1)の問題点は、受信局を半径50kmの円内に4局以上設置したことで、受信局間隔が50km程度以内に短くなることで、直接的に解決されている。すなわち、受信局間隔が50km程度以内であるため、雷放電による電磁波が受信局まで伝搬する距離も応分に短くなる。このため、電磁波が途中の地形効果や有限な大地導電率による影響を受けにくく、電磁波自体が遅れて伝わることによる到達時間の誤差が抑制できる。
2)の問題点は、3)が解決されていること、つまり図4(a)のピーク波形が得られることが前提であるが、サンプリング周期を100ns以下と短くしたことで、図4(a)のように多様なピーク波形を含んだ受信信号を漏らさず時系列として取り込むことができ、その結果、雷放電によるピーク波形を抽出できるようになる。このようにして、タイムスタンプの誤差が抑制できるので、位置標定の精度向上が期待できる。なお、サンプリング周期は好ましくは50ns以下である。
3)の問題点は、受信局を半径50kmの円内に4局以上設置したことで、受信局間隔が50km程度以内となったので、電磁波の伝搬距離も応分に短くなり、高周波が減衰する前の電磁波を受信することができる。高周波受信のために、電界アンテナ21及び電界アンプ22にはVLF−MF帯において減衰がないものを使用する。これにより、受信局で高周波を受信して位置標定に利用することができる。具体例を図5、図6に示す。両図は比較のため縦軸スケール、横軸スケールとも統一してある。
図5に示した信号波形は、50km以内の雷放電から得られたものである。図5(a)の東西方向の磁界波形、図5(b)の南北方向の磁界波形、図5(c)の電界波形を見ると、同一の雷放電に起因してそれぞれの信号が特徴的な立ち上がりを示しており、かつ信号の大きさも十分大きいので、いずれの信号でもタイムスタンプに利用することができる。一方、図6に示した信号波形は、50km以遠の雷放電から得られたものである。図6(a)の東西方向の磁界波形、図6(b)の南北方向の磁界波形、図6(c)の電界波形を見ても、タイムスタンプに利用できそうな特徴的な立ち上がりはない。
なお、受信局で高周波を受信して位置標定に利用することが有利と述べたが、ここで言う高周波とはMF帯のことである。VHF帯は、別の理由で利用不可能である。すなわち、受信局に到達するVHF帯の信号は発生源、発生原因が落雷とは異なる。VHF帯の信号は主として雲内の放電の前駆現象(リーダ等)として活発に発生する。落雷の際には、VHF帯の信号はほとんど発生せず、位置標定に利用することができない。
以上のように、1)〜3)の問題点が解決されたことで、発明が解決しようとする課題の欄で述べた位置精度の不足という課題が解決されることになる。
4)の問題点も受信局間隔を50km以内としたことで解決される。つまり、本出願人は、受信局間距離を短くすれば、雷放電発生位置から受信局までの距離も短くなり、それに伴って高さ方向の標定誤差が小さくできると考えた。そして、高さ方向の標定誤差が小さくなれば、その標定結果を落雷と雲内放電の判別に利用できると考えた。落雷と雲内放電の判別が可能であれば、発明が解決しようとする課題の欄で述べた落雷と雲内放電の判別ができないという課題が解決されることになる。しかも、特許文献1のように間接的な現象で落雷と雲間放電とを判別するのではなく、標定した三次元の位置そのものが地面か空間かを表しているので、直接的に落雷と雲間放電とを判別できる。
なお、位置標定の基準点となる受信局の三次元位置は、例えば地図データであり、高さは標高(海抜)で表されるから、標定された雷放電の位置も高さは標高で表される。よって、その雷放電の位置が地面か空間かは、水平座標で地図データを参照して雷放電位置における地面の高さを得れば判定できる。地面の高さより所定値以上高い位置での雷放電は雲間放電という判定ができる。
なお、上記の実施形態では、受信局を半径50kmの円内に4局以上設置するものとしたが、3局であっても本発明は実施できる。仮に、半径50kmの円内に3局しか受信局が存在しないとしても、3つの雷放電受信時刻から二次元での標定が可能であり、その場合でも、円外にある4局目の受信局を利用して三次元の標定を行うようにすれば、それなりの高い精度が得られる。
本発明の一実施形態を示す雷放電位置標定システムの原理図である。 本発明の受信局を構成する回路構成図である。 本発明の受信局における処理手順図である。 本発明の受信局における信号波形の図であり、(a)は磁界微分信号の波形、(b)は磁界信号((a)を積分したもの)の波形を示す。 50km以内の雷放電から得られる信号波形の図であり、(a)は東西方向の磁界波形、(b)は南北方向の磁界波形、(c)は電界波形を示す。 50km以遠の雷放電から得られる信号波形の図であり、(a)は東西方向の磁界波形、(b)は南北方向の磁界波形、(c)は電界波形を示す。 従来の交会法の原理図である。 従来の二次元位置標定を行う到達時間差法の原理図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d 受信局
2 アンテナ

Claims (7)

  1. 雷放電による電磁波がアンテナで受信された時刻(雷放電受信時刻という)を検出するための受信局を所定半径円内に3局以上設置し、各受信局はVLF−MF帯の電磁界をアンテナで受信し、その受信信号から振幅が所定値以上のピークを検出し、そのピークの時刻を雷放電受信時刻とし、少なくとも3局の受信局における雷放電受信時刻を二次元の到達時間差法に適用して雷放電が発生した二次元位置を標定することを特徴とする雷放電位置標定システム。
  2. 受信局は4局以上設置し、少なくとも4局の受信局における雷放電受信時刻を三次元の到達時間差法に適用して雷放電が発生した三次元位置を標定することを特徴とする請求項1記載の雷放電位置標定システム。
  3. 上記受信信号を所定のサンプリング周期でサンプリングし、その時系列から振幅が所定値以上のピークを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の雷放電位置標定システム。
  4. 上記サンプリング周期は100ns以下であることを特徴とする請求項3記載の雷放電位置標定システム。
  5. 上記半径が50kmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の雷放電位置標定システム。
  6. 標定した雷放電位置の高さにより、落雷と雲内放電とを区別することを特徴とする請求項2記載の雷放電位置標定システム。
  7. 上記アンテナにより電磁界の微分信号を上記受信信号として出力し、一方、この受信信号を積分して電磁界信号を求め、この電磁界信号がしきい値を越えたことで雷放電があったというイベントを検出し、この雷放電イベント検出時にのみ上記受信信号からの雷放電受信時刻の検出を行うことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の雷放電位置標定システム。
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