JP4817233B2 - 細胞外基質沈着タンパク質 - Google Patents

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Description

本発明は、内皮細胞遺伝子座−1(Del−1)タンパク質の部分断片である細胞外基質沈着タンパク質に関する。また、本発明は、上記部分断片を用いた細胞外基質沈着部位の同定方法、及び、Del−1タンパク質と融合した目的分子(例えば、アルカリホスファターゼ)回収方法に関する。
Del−1(developmentally endothelial locus−1)タンパク質(単に「Del−1」、「全長Del−1」ともいう)は、EGF(上皮増殖因子、epithelial growth factor)類似のドメイン及びジスコイジンI類似ドメインを有するタンパク質である。このタンパク質は細胞外基質タンパク質であり、血管内皮細胞表面のαvβ3インテグリン受容体あるいはαvβ5インテグリン受容体と呼ばれるタンパク質とEGF類似ドメインを介して結合し、内皮細胞の細胞外基質への接着を促進することが知られている(Hidai,C.et al.,GENES & DEVELOPMENT 12:21−33,1998)。
近年、全長Del−1をコードする遺伝子がクローニングされた。全長Del−1はその一部あるいは全部を介して細胞外基質中のプロテオグリカンと結合することができると推察されている。そこで、全長Del−1を発現させて所定の分子(タンパク質、プロテオグリカン等)を全長Del−1に結合させ、全長Del−1に結合した分子(タンパク質、プロテオグリカン等)を回収する方法が知られている(例えば特表平11−507527号公報を参照)。
従って、これらの結合部位を特定し結合様式を解析することは、目的分子の回収、及び全長Del−1に結合する分子の研究解析のために重要である。
しかしながら、全長Del−1の細胞外基質沈着能はそれほど高くないため、当該全長Del−1に結合した目的分子を十分に回収することができなかった。
本発明は、細胞外基質に効率良く接着することができる領域を含むDel−1の部分断片を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ジスコイジンI類似ドメイン付近の領域が効率的に細胞外基質に沈着することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号18若しくは24に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号18若しくは24に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、細胞外基質への沈着活性を有するタンパク質
(2)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号6、8、10、12、18若しくは24に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号6、8、10、1218若しくは24に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、細胞外基質への沈着活性を有するタンパク質
(3)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号14に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、細胞外基質への沈着を抑制する活性を有するタンパク質
(4)以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号18若しくは24に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号18若しくは24に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、細胞外基質への沈着活性を有するタンパク質
(5)以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号6、8、10、12、18若しくは24に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号6、8、10、12、18若しくは24に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、細胞外基質への沈着活性を有するタンパク質
(6)以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号14に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、細胞外基質への沈着を抑制する活性を有するタンパク質
(7)以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号17若しくは23に示される塩基配列を含むDNA
(b)配列番号17若しくは23に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、細胞外基質への沈着活性を有するタンパク質をコードするDNA
(8)以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号5、7、9、11、17若しくは23に示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号5、7、9、11、17若しくは23に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、細胞外基質への沈着活性を有するタンパク質をコードするDNA
(9)以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号13に示される塩基配列を含むDNA
(b)配列番号13に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、細胞外基質への沈着を抑制する活性を有するタンパク質をコードするDNA
(10)(4)〜(9)のいずれか1項に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
(11)(10)記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(12)(11)記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からDel−1タンパク質の部分断片を採取することを特徴とするDel−1部分断片の製造方法。
(13)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のタンパク質と細胞外基質とを反応させることにより、前記タンパク質が前記細胞外基質に沈着する部位を同定する方法。
(14)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のタンパク質を含む、細胞外基質沈着部位同定用試薬。
(15)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のタンパク質と発現の目的分子とが連結した融合タンパク質。
(16)(15)記載の融合タンパク質を含有する薬物送達システム。
(17)(4)〜(9)のいずれか1項に記載の遺伝子と、発現の目的分子をコードする遺伝子とが連結された、融合タンパク質をコードする遺伝子。
(18)(17)記載の遺伝子を含む組換えベクター。
(19)(18)記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(20)(19)記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からDel−1タンパク質の部分断片と発現の目的分子との融合タンパク質を採取することを特徴とする該融合タンパク質の製造方法。
(21)(15)記載の融合タンパク質を細胞外基質に沈着させ、目的分子を採取することを特徴とする目的分子の回収方法。
(22)目的分子を沈着させる方法であって、以下の工程:
(a)(19)記載の形質転換体を培養することによって、発現の目的分子とDel−1タンパク質の部分断片との融合タンパク質を生産させる工程、及び
(b)前記融合タンパク質を細胞外基質に沈着させる工程
を含む前記方法。
(23)目的分子を回収する方法であって、以下の工程:
(a)(19)記載の形質転換体を培養することによって、発現の目的分子とDel−1タンパク質の部分断片との融合タンパク質を生産させる工程、
(b)前記融合タンパク質を細胞外基質に沈着させる工程、及び
(c)前記融合タンパク質から目的タンパク質を切断することによって、前記目的分子を採取する工程
を含む前記方法。
(24)配列番号2に示されるアミノ酸配列のうち、活性中心領域と陽性調節領域とを含む断片、及び/又は活性中心領域と陰性調節領域とを含む断片を細胞外基質と反応させることを特徴とする、細胞外基質への沈着活性を調節する方法。
(25)活性中心領域のアミノ酸配列が配列番号4に示されるものである(24)記載の方法。
(26)陽性調節領域のアミノ酸配列が配列番号20に示されるものである(24)記載の方法。
(27)陰性調節領域のアミノ酸配列が配列番号22に示されるものである(24)記載の方法。
本発明により、Del−1部分断片が提供される。Del−1部分断片の発現タンパク質は細胞外基質への沈着活性を有することから、Del−1部分断片を用いることによって、Del−1部分断片の発現タンパク質と結合した目的分子を細胞外基質に効率的に沈着させることができる。また当該沈着によって、目的分子を回収または除去することができる。
Del−1部分断片を用いて目的分子を細胞外基質上に沈着させることによって、当該目的分子を標的組織で濃縮、限局することができる。特に、当該目的分子を血漿への流出を防ぐことによって、他の組織への移行を防止できる。
また、本発明のDel−1部分断片の中には、細胞外基質への沈着を抑制する機能を有する蛋白を発現する断片も含まれている。従って、沈着活性を有する断片と細胞外基質への沈着を抑制する断片とを組み合わせて沈着活性を増減することによって、目的分子の回収、除去、濃縮等を制御することができる。
図1は、本発明のDel−1部分断片の塩基配列の概略と、各部分断片のアルカリホスファターゼ活性による沈着活性測定結果を示す図である。
図2は、本発明のDel−1部分断片の細胞外基質への結合活性を示す図である。
図3は、各肝臓から採取した血漿中のAP/Lac比を示す図である。
図4は、各肝臓から採取した肝組織中のAP/Lac比を示す図である。
図5は、各肝臓から採取した肝組織のアルカリホスファターゼ染色結果を示す図である。
図6は、ウェスタンブロットを示す図である。
図7は、アルカリホスファターゼの回収結果を示す図である。
本発明は、細胞外基質に特異的に結合する領域を含む全長Del−1タンパク質の部分断片、すなわちDel−1沈着蛋白及びDel−1沈着抑制蛋白(単に、「Del−1部分断片」ともいう)に関するものである。本発明のDel−1部分断片は、全長Del−1を種々の長さに切断することにより作製されたものであり、細胞外基質への沈着活性を有することを特徴とする。
本発明のDel−1部分断片は、全長Del−1遺伝子(配列番号1)の配列のうち、少なくとも1270〜1662番の塩基配列の領域によりコードされるアミノ酸(配列番号2に示すアミノ酸配列の218〜348番のアミノ酸配列)を含むものである。この領域の塩基配列を配列番号3に、これによりコードされるアミノ酸配列を配列番号4に示す。また、上記領域を含む本発明のDel−1部分断片は、配列番号5、7、9、11、13、15又は17に示す塩基配列を有するものであり、これらの塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を、それぞれ配列番号6、8、10、12、14,16又は18に示す。
上記Del−1部分断片は、それをコードするアミノ酸配列から、プロテオグリカンと結合することができると推察されている。
全長Del−1タンパク質またはDel−1部分断片の検出には、アルカリホスファターゼを用いた検出法が採用されている。すなわち、遺伝子組み換えにより全長Del−1タンパク質のN末端にアルカリホスファターゼを融合したタンパク質を細胞に発現させることによって、培養上清にも細胞外基質と同様にアルカリホスファターゼ活性を確認することができる。
また、本発明においては、上記アルカリホスファターゼを用いた検出法のほか、Del−1部分断片等の検出にウェスタンブロット法を用いることもできる。具体的には、アルカリホスファターゼと全長Del−1またはDel−1部分断片とを融合したタンパク質をコードする塩基配列をcos7細胞に導入し、一定時間培養後に培養液と細胞外基質を採取してウェスタンブロットを行うことによって検出できる。コントロールとしては例えばラミニンとアルブミンを用いることができる。なお、ウェスタンブロット法において、培養上清中のDel−1タンパク質またはDel−1部分断片の検出の感度を向上させるために、使用する培養液を増量し、タンパク質を濃縮してもよい。
上記検出法はどちらを採用することもできるが、アルカリホスファターゼを用いた検出法が好ましい。
本発明においては、既知の全長Del−1を種々の方法によって切断することによって得られた本発明のDel−1部分断片を作製し、当該Del−1部分断片をアルカリホスファターゼを用いた前記検出方法およびウェスタンブロット法による細胞外基質沈着能を調べた。また、Del−1部分断片の細胞外基質への沈着部位の同定、及び生体内特定部位へのDel−1部分断片の固定を行なった。さらに、Del−1部分断片を用いた目的遺伝子の発現産物の回収を行った。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
1.Del−1部分断片をコードするDNA
Del−1部分断片は、全長Del−1をコードするDNAを種々の長さに切断し、これを発現させることにより得ることができる。
全長Del−1遺伝子のクローニングは、公知手法に従って行うことができる(Hidai C.et al.,GENES & DEVELOPMENT,12:21−33,1998)。すなわち、ゲノムライブラリーからエクソントラッピングによりエクソンを得、これを用いてcDNAをクローニングすることができる。
例えば、ゲノムクローンの断片をスプライシングベクターに挿入し、mRNAの転写の際にスプライシングを起こさせる。次に、スプライスしたmRNAを逆転写及び増幅し、エクソンのシークエンスを行う。
得られたエクソンは、cDNAライブラリーから目的DNAを釣り上げるためのプローブとして用いるか、あるいは5’−RACE、3’−RACEのための遺伝子特異的プライマーの設計に用いられる。なお、RACE法を行うには、市販のキット(例えば、MarathonTM cDNA Amplification Kit、Clontech社)を用いることができる。
cDNAの塩基配列の決定は、公知の任意の手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定装置を用いて配列決定が行われる。
このようにして得られた全長cDNAの塩基配列を配列番号1に示す。また、配列番号1に示す塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を配列番号2に示す。
本発明の切断型Del−1部分断片の1つは、配列番号2に示すアミノ酸配列のうち1〜348番目のアミノ酸配列を含むものである。上記部分断片は、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAをExonuclease IIIとMung bean nucleaseを用いて3’末端から順次削除することにより得ることができる。削除される3’末端のDNAはExonuclease IIIの反応時間により決定される。この方法は市販の酵素(例えばExonuclease III:タカラバイオ社製)を用いることができる。
全長Del−1(Del−1 major)、本発明の切断型Del−1部分断片および当該部分断片の沈着活性に影響を与えるアミノ酸配列の模式図を図1の左側上部に示す。
図1において、CYは配列番号2に示すアミノ酸配列のうち218〜348番(配列番号4)、4−1は1〜348番(配列番号6)、4−14は1〜368番(配列番号10)、4−13は1〜385番(配列番号12)、CBは218〜480番(配列番号14)、XYは123〜348番(配列番号18)の領域のアミノ酸配列を有する。
これらのDel−1部分断片をコードするDNA(「本発明のDNA」という)は、CYについては、配列番号1に示す塩基配列の1270〜1662番(393bp,配列番号3)、4−1については619〜1662番(1044bp,配列番号5)、4−14については619〜1722番(1104bp,配列番号9)、4−13については619〜1773番(1155bp,配列番号11)、CBについては1270〜2058(789bp,配列番号13)、XYについては、985〜1662(678bp,配列番号17)の領域の塩基配列を有する。
また、ヒトの全長Del−1においても、マウス断片XY(配列番号18)に対応するhuman XY(配列番号24)の沈着活性を測定した。human XYをコードするDNAは、配列番号23の塩基配列を有する。
図1には示されていないが、本発明の切断型上記Del−1部分断片として、4−15は配列番号2に示すアミノ酸配列のうち1〜365番(配列番号8)、DEは218〜319番(配列番号16)の領域のアミノ酸配列を有する。これらのアミノ酸配列をコードするDNAは、4−15については、配列番号1に示す塩基配列の619〜1713番(1095bp,配列番号7)、DEについては1270〜1575(306bp,配列番号15)の領域のアミノ酸配列を有する。
また、図1において、本発明のDel−1部分断片の沈着活性を向上又は低減させるアミノ酸配列として、XCは123〜217番(配列番号20)、YBは349〜480(配列番号22)の領域のアミノ酸配列を有する。また、これらのアミノ酸配列をコードするDNAは、XCについては985〜1269(285bp,配列番号19)、YBについては1663〜2058(396bp,配列番号21)の領域の塩基配列を有する。
さらに、本発明の部分断片は、上記配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも218〜348番のアミノ酸配列(配列番号4)に示すCYを含むものである。また、本発明の部分断片は、上記配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも218〜348番のアミノ酸配列(配列番号4)を複数連結したタンパク質を含むものである。これらの領域は、細胞外基質への沈着活性を有する中心領域である。上記CYは、配列番号1に示す塩基配列の1270〜1662番の領域(配列番号3)によりコードされる。
また、配列番号20に示すアミノ酸配列(XC)は細胞外基質への沈着活性を向上させるものであり、当該沈着活性の陽性調節領域である。他方、配列番号22に示すアミノ酸配列(YB)は細胞外基質への沈着活性を低減させるものであり、当該沈着活性の陰性調節領域である。「陽性調節領域」とは、その領域だけでは沈着活性を生じないが、中心領域CYが含まれることにより沈着活性を引き起こすことができる領域を意味する。「陰性調節領域」とは、その全部又は一部の存在により、中心領域CYや陽性調節領域XCの存在にかかわらず、沈着活性が低下して、可溶性分画が増加する断片の領域を意味する。
本発明のDel−1部分断片(マウス及びヒト由来)の領域をまとめると表1の通りである。
Figure 0004817233
一度部分断片の領域が決定されると、その後は、当該領域を増幅させるようにプライマーを設計し、Del−1をコードするDNAを鋳型としてPCRを行うことにより、容易に部分断片をコードするDNAを得ることができる。
ここで、本発明においては、上記Del−1部分断片のアミノ酸配列からなるタンパク質が細胞外基質との沈着活性を有する限り、当該アミノ酸配列において少なくとも1個、好ましくは1個又は数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
例えば、配列番号6、8、10、12、18又は24に示すアミノ酸配列の1個又は数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号6、8、10、12、18又は24に示すアミノ酸配列に、1個又は数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号6、8、10、12、18又は24に示すアミノ酸配列の1個又は数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。従って、上記変異が導入されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子も、当該タンパク質が細胞外基質への沈着活性を有する限り本発明の遺伝子に含まれる。
また、本発明においては、上記Del−1部分断片のアミノ酸配列からなるタンパク質が細胞外基質への沈着を抑制する機能を有する限り、当該アミノ酸配列において少なくとも1個、好ましくは1個又は数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
例えば、CB領域である配列番号14に示すアミノ酸配列の1個又は数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号14に示すアミノ酸配列に、1個又は数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号14に示すアミノ酸配列の1個又は数個、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。従って、上記変異が導入されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子も、当該タンパク質が細胞外基質への沈着を抑制する活性を有する限り本発明の遺伝子に含まれる。
上記欠失、置換、付加等の変異の導入は、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばGeneTailorTM Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社)、TaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Mutan−K、Mutan−Super Express Km等:タカラバイオ社製)を用いて行うことができる。
さらに、本発明においては、上記Del−1部分断片をコードするDNA(配列番号5、7、9、11、17又は23)に対し相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAであって細胞外基質に対し結合活性を有するタンパク質をコードするDNAも本発明の遺伝子に含まれる。ストリンジェントな条件とは、例えば、塩(ナトリウム)濃度が150〜900mMであり、温度が55〜75℃、好ましくは塩(ナトリウム)濃度が150〜200mMであり、温度が60〜70℃での条件をいう。
さらに、本発明においては、Del−1部分断片をコードするDNA(配列番号13に示す)に対し相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAであって細胞外基質への沈着を抑制する活性を有するタンパク質をコードするDNAも本発明の遺伝子に含まれる。
ここで、「細胞外基質」(ECM)とは、動物組織中の細胞外に存在する生体構造物であって、細胞内で合成され細胞外に分泌・蓄積した生体高分子の会合体を意味する。主要な構成成分はコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖タンパク質である。「沈着活性」とは、Del−1の全部又は一部の領域が細胞外基質に結合する活性を意味し、例えば全長Del−1よりも沈着活性が高いもの、全長Del−1よりも沈着活性が低いもの、あるいは全長Del−1より短いが沈着活性が同等であるものも含まれる。細胞外基質への沈着を抑制する活性とは、陰性調節領域の存在により、中心領域CYや陽性調節領域XCの存在にかかわらず、沈着活性が低下して、可溶性分画が増加する活性を意味する。沈着活性又は細胞外基質への沈着を抑制する活性の測定は、例えば以下の通り行われる。
本発明のDNAにアルカリホスファターゼなどのマーカーをコードするDNAを連結し、これを所定の細胞(例えばcos7細胞、CHO細胞、NIH3T3細胞等)に導入して培養する。培養容器からその培養上清及び細胞を除去した後、培養容器に残った細胞外基質にアルカリホスファターゼの基質を加えて発色させ、沈着活性を測定する。Del−1部分断片にはマーカー(アルカリホスファターゼ)も結合しているため、Del−1部分断片が細胞外基質に沈着すると、マーカーを指標として結合活性を測定することができるとともに、結合位置を同定することができる。例えば、可溶性アルカリホスファターゼ基質を用いると、基質が発色(例えば、黄色等に発色)するため、特異的な波長での吸光度を測定することで容易に沈着活性を測定することができる。また、沈着性アルカリホスファターゼを用いると、沈着部位が発色(例えば、紫等)するため、顕微鏡観察等によりその沈着部位を容易に同定することができる。
なお、マーカーはアルカリホスファターゼに限定されるものではなく、その他GFPとその変異型、mycやHisなどのtag、GST蛋白、アイソトープ、ビオチン化蛋白などを用いることができる。また、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、βガラクトシダーゼなどのレポーター遺伝子を用いてアッセイすることも可能である。
2.本発明のDNAを含む組換えベクター及び形質転換体の作製
(1)DNAを含む組換えベクターの作製
本発明のDNAを含む組換えベクターは、適当なベクターに本発明のDNAを連結(挿入)することにより得ることができる。本発明のDNAを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA、ウイルス等が挙げられる。
プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ等が挙げられる。またウイルスとしてはアデノウイルスやレトロウイルスなどが挙げられる。
本発明のベクターには、プロモーター、本発明のDNAのほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
(2)形質転換体の作製
本発明の形質転換体は、本発明の組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。ここで、宿主としては、本発明のDNAを発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、当分野において周知の細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞を用いることができる。また、マウスなどの実験動物やブタなどの家畜、イネ、トウモロコシなどの植物を用いることができる。
細菌を宿主とする場合は、本発明の組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列を含めることができる。細菌としては、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)などが挙げられる。プロモーターとしては、例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなどが用いられる。細菌への組換えベクターの導入方法は特に限定されるものではなく、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などが用いられる。この場合、プロモーターとしては酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が挙げられる。酵母への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞(cos7細胞)、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞、ラットGH3細胞、又はヒトFL、HEK293細胞などが用いられる。プロモーターとしては、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、β−アクチンプロモーター等が挙げられる。動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞、Sf21細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが用いられる。
また、動物、植物に対する遺伝子導入にはウィルスベクターを用いる方法や、リポフェクション法などがある。また生殖細胞やES細胞に対して遺伝子を導入し、遺伝子組み換え動物を作製することも可能である。
3.本発明のDel−1部分断片の生産
本発明のDel−1部分断片は、前記形質転換体を培養あるいは飼育し、その培養物あるいは飼育産物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。「飼育産物」とは動物、植物の本体、組織、分泌物、排泄物およびそれらの加工品のいずれをも意味するものである。
本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
細菌や酵母等を宿主とする形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が用いられる。
無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、例えば37℃で12〜24時間行う。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)等を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI−1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。
培養は、通常、5%CO存在下、37℃で1〜4日行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することによりタンパク質を抽出する。また、タンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のDel−1部分断片を単離精製することができる。
動物(マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウシ等の実験動物又は家畜)、あるいは植物が形質変換体として用いられる場合、それらは通常の飼育、栽培方法以外に、無菌環境や特殊飼料など特殊な飼育培養方法を必要とする可能性もある。形質転換体が上記動物の場合、肉、卵、毛、母乳、尿、糞便などから、一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、本発明のDel−1部分断片を単離精製することができる。
また形質転換体が植物の場合、葉、花、実、根などのほか、栽培に用いた土や水などから、一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、本発明のDel−1部分断片を単離精製することができる。
本発明においては、in vitro翻訳によるDel−1部分断片の合成を採用することができる。この場合は、RNAを鋳型にする方法とDNAを鋳型にする方法(転写/翻訳)の2通りの方法を用いることができる。鋳型DNAとしては、翻訳開始点の上流にプロモーターとリボゾーム結合部位を有している上記DNA、あるいは翻訳開始点の上流に転写に必要なプロモーター等が組み込まれたDNAが挙げられる。in vitro翻訳システムは、市販のシステム、例えばExpresswayTMシステム(Invitrogen社)、TNTシステム(登録商標;Promega社)などを用いることができる。in vitro翻訳システムによるDel−1部分断片の翻訳後は、上記生化学的方法を単独で、又は適宜組み合わせることにより、目的の断片を単離精製することができる。
4.目的遺伝子の発現産物の回収
Del−1部分断片及び目的分子を発現する細胞系又は動植物は、目的遺伝子を発現させることにより、その発現産物である目的分子(例えば、タンパク質、抗体、ペプチド、天然若しくは合成化合物、他の細胞、又は可溶性分子)を回収するために使用することができる。また、Del−1部分断片を直接使用することもできる。
目的分子を回収する方法を以下に説明する。まず、目的分子とDel−1部分断片とが結合した融合タンパク質を作製する。すなわち、当該分子をコードするDNA及びDel−1部分断片コードするDNAを連結し、これを適当なベクターに連結する。これを宿主細胞に導入して培養し、目的分子が連結した融合タンパク質を作製する。ベクターへの連結、細胞への導入、形質転換細胞の培養法、形質転換体の飼育栽培法は前記2項,3項の説明と同様である。
形質転換細胞を用いる場合、上記融合タンパク質のうち、Del−1部分断片の全部又はその一部の領域は、培養容器上に広がる細胞外基質に沈着する。従って、培養後に培養上清及び細胞を除去しても、融合タンパク質は細胞外基質に沈着した状態で培養容器に残存している。そこで、培養容器から培養上清及び細胞を除去した後、融合タンパク質が沈着している細胞外基質を機械的にかきとることにより、目的分子を回収することができる。また、あらかじめ目的分子のDNA塩基配列とDel−1部分断片の塩基配列の間に特異的な酵素(例えばFactor Xa)の切断配列を挿入しておけば、その酵素を用いて目的分子のみ回収することも可能である。また、Del−1部分断片の陰性調節領域を加えることで溶液中に回収することも可能である。
ここで、Del−1部分断片と発現目的分子とが結合している融合タンパク質から、発現目的分子を同定し単離するために、Del−1部分断片に標識を付けることが必要である。Del−1部分断片は、アルカリホスファターゼ若しくは西洋わさびパーオキシダーゼ等の酵素、あるいはフルオレセインイソチオシアナート(FITC)、フィコシアニン若しくはローダミンを含む蛍光標識などの試薬を用いて標識することができる。
また、本発明のDel−1部分断片は、細胞外基質への沈着活性を有するため、結合検定、アフィニティークロマトグラフィー、免疫沈降法、ウエスタン法などに利用することができる。
Del−1部分断片と結合できる発現目的ポリペプチドの同定は、組換えDel−1部分断片によるペプチドライブラリーのスクリーニングによって行うことも可能である。
標識された前記融合タンパク質をランダムペプチドライブラリーとともにインキュベートし、Del−1部分断片とライブラリー中のペプチドとを結合させる。次にそのライブラリーを洗浄し、未結合のポリペプチドを除去する。アルカリホスファターゼ又はパーオキシダーゼの基質、たとえば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)を含むウェルにライブラリーのペプチドを添加し、数分インキュベートすると、アルカリホスファターゼ等が発色するため、目的分子を容易に同定し単離することができる。
形質転換体が動植物の場合、上記融合タンパク質を特定の部位に発現させると、本発明のDel−1部分断片は細胞外基質に沈着するため、目的タンパクはその組織で濃縮される。従ってその農畜産物を直接食することや生化学的に抽出することで効率的に目的分子を回収し利用できる。
5.細胞外基質への沈着部位の同定
前記1項において説明したように、本発明のDel−1部分断片は、細胞外基質への沈着活性を有する。沈着性マーカーを使用することにより、本発明のDel−1部分断片は、視覚的に細胞外基質への沈着部位を観察することができる。
従って、本発明のDel−1部分断片は、細胞外基質への沈着部位を同定するための試薬として使用することができ、マーカー、発色基質、マーカーに対する抗体等とともに、細胞外基質沈着部位同定用キットに含めることができる。
6.生物活性物質の生体内特定部位への固定
目的分子と本発明のDel−1部分断片とからなる融合タンパク質を特定組織内で発現させた場合、その目的分子は細胞外基質の所定の部位に固定され他の部位へ移行しない。結果として、その部位で濃縮される。
これによって、本発明のDel−1部分断片をコードする塩基配列は、適切な細胞、組織又は臓器に特異的なプロモーター配列と組み合わせて、目的分子を特定組織に発現させ、固定、限定、濃縮するためのベクターとして使用することができる。
さらにBCIPを用いた染色により、細胞外アルカリホスファターゼ活性は細胞外基質に存在することがわかった。(実施例2)
このように、Del−1タンパク質の部分断片は、全長Del−1タンパク質よりはるかに強力な細胞外基質沈着能を有し、アルカリホスファターゼのような他のタンパク質を細胞外基質に固定する働きがあることを意味している。
7.生物活性物質による人工物の修飾
ある生物活性物質とDel−1部分断片の融合蛋白を産生する大腸菌や細胞を人工物上で培養することで、人工物に生物活性物質をその生物学的機能を損なうことなく沈着させることができる。例えば、図2の結果は、培養皿という人工物がアルカリホスファターゼという活性物質で修飾されたことを示している。血液透析の膜や植え込み用人工素材の修飾に応用できる。
8.沈着活性の調節、薬物送達システム
本発明のDel−1部分断片は、目的分子を結合することにより当該目的分子を細胞外基質に沈着させることができる。また、本発明のDel−1部分断片は、陽性調節領域と陰性調節領域を利用することで、沈着活性を人為的に調節することができる。例えば、図1に示すYB領域又はXC領域の存在又は不存在により、あるいはこれらの領域の長さを適宜変えることにより、沈着活性の程度を変えることができる(図1の4−8,4−13,4−1,XY等)。具体的には、配列番号2に示されるアミノ酸配列のうち、活性中心領域CY(配列番号4、5)と陽性調節領域(配列番号19、20)とを含む断片、活性中心領域CY(配列番号4、5)と陰性調節領域(配列番号21、22)とを含む断片、あるいはこれらの両者を、細胞外基質と反応させることにより、陽性調節又は陰性調節によって種々の強さの沈着活性を得る。従って、目的分子を所定の薬理作用を有するタンパク質とすれば、本発明の融合タンパク質を薬物送達システム(ドラッグデリバリーシステム:DDS)として使用することも可能である。例えば、中心領域及び陽性調節領域を含む4−1と、抗ガン剤の前駆体を抗ガン剤に変換する酵素の融合蛋白をコードする遺伝子をガン組織に遺伝子導入しておく。その後、抗ガン剤の前駆体を大量に投与すると、ガン組織で健常組織に対して高い薬物濃度を得ることができる。治療後に陰性調節領域を含むCB(配列番号13、14)の遺伝子を導入することにより、先に導入した遺伝子産物が血中に遊離し、血液透析などで除去することが可能になる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 Del−1部分断片の作製
受精後9から12日のマウス胎児よりTRIzol(Invitrogen社)を用いてRNAを抽出した。それを鋳型とし、Superscrpt II(Invitrogen社)を用いて逆転写反応を行いcDNAを作製した。配列番号2に示すアミノ酸配列のうち、シグナルペプタイドの配列を除いた塩基配列697〜2089を、PCRで増幅した後にベクターに挿入できる様に、プライマーの5末端に制限酵素認識配列を入れた。プライマーの塩基配列は以下の通りである。
Figure 0004817233
PCRは、以下の反応液組成を用いて、94℃で30秒、62℃で30秒、72℃で1分30秒の反応を35回行った。
Figure 0004817233
このPCR産物を制限酵素のBgl IIとXho Iで処理し、プラスミドpAPtag−5(フナコシ社)に連結した。この様にして作製したプラスミドをXho Iで切断した後、Exonuclease III(タカラバイオ社)で10秒から2分処理して、図1に示す様々な長さのDel−1部分断片(4−8,4−13,4−14,4−1,4−11,2−6,Del−1 minor,1−1,2−3)を作製した。また、PCRを用いて図1に示す様々な長さのDel−1部分断片(CB,CY,YB,XY,XC,human XY,AP only)、および、図1に示されていない、Del−1部分断片FB(配列番号1に示す塩基配列の1576〜2058番)、4−15(配列番号8)、CE(配列番号16)を作製した。
〔実施例2〕 Del−1部分断片の細胞外基質への沈着活性
(1)実施例1で作製した部分断片のうち、4−8,4−13,4−14,4−1,4−11,2−6,Del−1 minor,1−1,2−3をプラスミドpAPtag−5(フナコシ社)に連結し、cos7細胞に導入した。導入後3日後に培養上清、細胞及び細胞外基質を採取した。まず上清を採取した後、0.05%EDTAを含むPBSを加えてインキュベートすることで細胞が培養皿の底から剥がれて採取可能になり、培養皿の底には細胞外基質が残される。こうしてそれぞれに含まれるアルカリホスファターゼ活性を検出した。対照として、野生型全長Del−1(AP4Del−1)及び培地のみのサンプルを作製し、アルカリホスファターゼ活性を検出した。アルカリホスファターゼ活性は、上清の活性に対する細胞外基質の比(AP活性比 ECM/Medium)として求め、図1の右側にグラフで表示した。
図1より、4−1、4−8,4−14及び4−13が野生型Del−1(Del−1 major)よりも活性が強く、4−11及び2−6は野生型Del−1よりも活性は低下し、Del−1 minorではほとんど活性が認められなかった。
沈着活性の中心領域を検討するため、CB(配列番号1に示す塩基配列の1270〜2058番)、CY、YB、XY、XC、human XYおよびAP onlyを発現させて上記と同様にしてアルカリホスファターゼ活性を測定した。
その結果、XYとhuman XYでは、野生型全長Del−1よりも高いアルカリホスファターゼ活性が認められ、またCBとCYでは、野生型全長Del−1よりは高くないが、ある程度のアルカリホスファターゼ活性が認められた。これに対し、XCとYBではアルカリホスファターゼ活性が認められなかった。
これらの結果から、活性中心領域は配列番号3で示されるCY(配列番号1に示す塩基配列の1270〜1662番目の領域)、配列番号2に示すアミノ酸配列の218〜348番目のアミノ酸配列の領域であると考えられた。
CYにXCを連結させたXYは、前記活性中心領域CYのみに比べて約10倍の沈着活性を有する。また、XCのみでは、沈着活性をほとんど有しない。したがって、XCは細胞外基質への沈着活性を向上させる、細胞外基質への沈着活性の陽性調節領域であると考えられた。
他方、CYにYBを連結させたCBは、前記活性中心領域CYのみに比べて、沈着活性が約0.5倍に低減する。したがって、YBは細胞外基質への沈着活性を低減させる、細胞外基質への沈着活性の陰性調節領域であると考えられた。
(2)さらに、実施例1で作製したDel−1部分断片のうち、Del−1 minor(配列番号1に示す塩基配列の619〜1271番)又は4−1をプラスミドpAPtag−5(フナコシ社)に連結し、cos7細胞に導入した。導入後3日後に培養上清、細胞及び細胞外基質を採取した。まず上清を採取した後、0.05%EDTAを含むPBSを加えてインキュベートすることで細胞が培養皿の底から剥がれて採取可能になり、培養皿の底には細胞外基質が残される。そして、それぞれに含まれるアルカリホスファターゼ活性を検出した。
結果を図2に示す。図2において、A〜DはDel−1 minorを用いて作製したサンプルの結果であり、E〜Hは、4−1を用いて作製したサンプルの結果である。また、A及びEは細胞を沈着性アルカリホスファターゼ基質(BCIP)で染色したものである。B及びFは、細胞を0.05%EDTAを用いて剥がした後、残った細胞外基質をBCIPで染色した結果である。C及びGは、細胞を0.05%EDTAを用いて剥がした後、残った細胞外基質に可溶性アルカリホスファターゼ基質(PNPP)を加えて発色させたときの結果である。D及びHは、従来行われていたように、細胞培養液(培養上清)にPNPPを加え発色反応させたときの結果である。
紫色に染まった箇所がアルカリホスファターゼ活性部位、すなわち4−1の沈着部位である(E,F)。図2E及びFの結果から、4−1は細胞及び細胞外基質に沈着したことが分かる。これに対し、Del−1 minorは、細胞及び細胞外基質のいずれにも沈着しなかった(A,B)。
同様に、4−1を用いたときは、細胞外基質は可溶性基質であるPNPPによって黄色に染色されたのに対し(G)、Del−1 minorを用いたときは全く染色されなかった(C)。また、細胞培養液にPNPPを加え発色反応を行なった場合において、Del−1 minorを用いたときは培養液が黄色に染色されたのに対し(D)、4−1を用いたときは発色しなかった(H)。従って、4−1は細胞外基質に沈着し、Del−1 minorはほとんど沈着しなかったことが分かる。
ところで、本発明においては、図2Gに示すように可溶性アルカリホスファターゼを用いて基質を発色させることにより、そのまま吸光度計などを用いて細胞外基質中のアルカリホスファターゼ活性を測定することができる。
そこで、Del−1部分断片(4−1)及び全長Del−1について、細胞外基質内及び培養上清中のアルカリホスファターゼ活性を測定し、両者を比較したところ、Del−1部分断片(4−1)は全長Del−1より2.5倍も基質への沈着活性が高かった。
(3)実施例1で作製したDel−1部分断片のうち、配列番号17で示す切断型Del−1遺伝子配列(XY)とアルカリホスファターゼ遺伝子とを連結したDNA(AP/XY)を導入したマウスの肝臓と、その対照として、アルカリホスファターゼ遺伝子(AP)のみ導入したマウスの肝臓を調製した。遺伝子導入から24時間後に、各肝臓から血漿と肝組織を採取して、アルカリホスファターゼ活性を測定した。
ここで、遺伝子導入効率を標準化するため、ベーターガラクトシダーゼ遺伝子を、前記AP/XYまたはAPと同時に導入し、アルカリホスファターゼ活性と共にベーターガラクトシダーゼ活性も測定した。そして、測定されたベーターガラクトシダーゼ活性をベーターガラクトシダーゼ活性の値で割った商を測定値(AP/Lac比)とした。また、アルカリホスファターゼ遺伝子(AP)のみを導入したマウスの肝臓から採取した血漿または肝組織のAP/Lac比を「1」とした場合の、XYとアルカリホスファターゼ遺伝子とを連結したDNA(AP/XY)を導入したマウスの肝臓から採取した血漿または肝組織中のAP/Lac比をグラフに示した。図3は各肝臓から採取した血漿中のAP/Lac比を示したものであり、図4は各肝臓から採取した肝組織中のAP/Lac比を示したものである。
肝組織中のAP/Lac比に関しては、AP/XYを導入した肝臓から採取した肝組織の方が、APのみを導入した肝臓から採取した肝組織に比べて約8倍のAP/Lac比を示した(図4)。これに対し、血漿中のAP/Lac比に関しては、AP/XYを導入した肝臓から採取した血漿では、AP活性がほとんど検出されなかったため、そのAP/Lac比もほとんど0であった。
(4)(3)で調製した、AP/XYを導入したマウスの肝臓から肝組織の凍結切片を3つ作製した(B,E,F)。同様に、APのみ導入したマウスの肝臓から肝組織の凍結切片をそれぞれ3つ作製した(A,C,D)。
図5は、各肝臓から採取した肝組織の凍結切片を用いてアルカリホスファターゼ染色(A,B,C,E)とβガラクトシダーゼ(D,F)による染色を示す図である。AとBは40倍、C,D,E,Fは200倍の倍率での観察である。AP(A)に対し、AP/XY(B)が著明に沈着していることがわかる。 C,DとE,Fはそれぞれ連続切片であり、アルカリホスファターゼ染色とβガラクトシダーゼ染色の両方で染色した。AP(C,D)でもAP/XY(E,F)同様にβガラクトシダーゼ染色(D,F)で染まっており、遺伝子導入効率に差がないことがわかる。
(5)次に、ウェスタンブロット法を用いて、全長Del−1および実施例1で作製したDel−1部分断片であるXYを検出した。具体的には、下記の3種の遺伝子を用意し、各遺伝子をcos7細胞に導入した。
(i)配列番号1で示す全長Del−1遺伝子配列(Del−1 major)とアルカリホスファターゼ遺伝子とを連結したDNA(AP/Del−1)
(ii)配列番号17で示す切断型Del−1遺伝子配列(XY)とアルカリホスファターゼ遺伝子とを連結したDNA(AP/XY)
(iii)また、その対照として、アルカリホスファターゼ遺伝子のみ(AP)と遺伝子を導入していない(NC)cos7細胞も用意した。
次に、前記4種のcos7細胞をそれぞれ72時間培養し、培養液(medium)と細胞外基質(ECM)を採取してウェスタンブロットを行った。コントロールとしてラミニン(Laminin)とアルブミン(Albmin)を用いた。
図6は、ウェスタンブロット法による電気泳動を示す写真である。ラミニンをコントロールとして用いた電気泳動を示す写真が上段に、アルブミンをコントロールとして用いた電気泳動を示す写真が下段に配置されている。
図6によれば、APのみを導入したcos7細胞では、遺伝子を導入されていない(NC)cos7細胞と同様、細胞外基質にアルカリホスファターゼの組換えタンパク質が検出されなかったが、培地では前記組換えタンパク質が検出された。これに対し、AP/Del−1またはAP/XYを導入したcos7細胞では、細胞外基質においてアルカリホスファターゼの組換えタンパク質が高度に検出された。
〔実施例3〕 目的分子の回収
本実施例は、アルカリホスファターゼを目的遺伝子の発現産物として回収した例を示すものである。アルカリホスファターゼの回収は、アルカリホスファターゼの基質との発色反応により検出を行うことで確認した。
アルカリホスファターゼ遺伝子と切断型Del−1遺伝子配列(4−1)を連結したDNAを導入したcos7細胞と、対照として、野生型cos7細胞およびアルカリホスファターゼ遺伝子のみ導入したcos7細胞を調製した。
それらの細胞を3日間培養した後に、0.05%EDTA溶液で細胞を取り除き、スクレーパーで底面の細胞外基質を回収した。回収したサンプルを遠心器にかけて、遠心の後の上清を取り除くことによってペレットを作製した後、実施例2(図3B,F)と同様の操作を行いアルカリホスファターゼの基質であるBCIPを加えて発色させた。
結果を図7に示す。図7において、(a)は野生型cos7細胞、(b)はアルカリホスファターゼ遺伝子のみを導入したcos7細胞、(c)は4−1部分断片とアルカリホスファターゼ遺伝子を連結した融合遺伝子を導入したcos7細胞の結果である。図4に示したように、Del−1部分断片(4−1)を導入したサンプル(c)ではペレットが濃青紫に染色された。これによって、不溶性の細胞外基質にDel−1部分断片(4−1)を介してアルカリホスファターゼが回収されたことがわかった。これに対し、対照ではほとんど発色しなかったことから、アルカリホスファターゼはほとんど回収されないことが示された。
本発明のDel−1部分断片を用いることによって、目的分子を細胞外基質や人工素材に効率的に沈着させることができ、また当該沈着によって、目的分子を回収又は除去に用いることができる。 本発明によりDel−1部分断片を用いて目的分子を細胞外基質上に沈着させ、血漿への流出を高度に防止することができるため、本発明のDel−1部分断片と当該目的分子とを有する融合タンパク質は、副作用の少ないドラッグデリバリーシステムとして用いることができる。さらに、本発明のDel−1部分断片を用いて沈着活性を調整することによって、当該目的分子の局所における濃縮や限局の程度を高度にコントロールすることができ、極めて高機能なドラッグデリバリーシステムとして用いることができる。

Claims (18)

  1. 以下の (a)又は(b)のタンパク質。
    (a) 配列番号6、8、10、12、18若しくは24に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質のうち、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる活性中心領域と配列番号20に示されるアミノ酸配列からなる陽性調節領域とを含み、かつ配列番号22に示されるアミノ酸配列からなる陰性調節領域を含まない部分断片からなるタンパク質
  2. 以下の (a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
    (a) 配列番号6、8、10、12、18若しくは24に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質のうち、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる活性中心領域と配列番号20に示されるアミノ酸配列からなる陽性調節領域とを含み、かつ配列番号22に示されるアミノ酸配列からなる陰性調節領域を含まない部分断片からなるタンパク質
  3. 配列番号5、7、9、11、17若しくは23に示される塩基配列からなるDNAを含む遺伝子
  4. 請求項2又は3記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  5. 請求項4記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  6. 請求項5記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からDel-1タンパク質の部分断片を採取することを特徴とするDel-1部分断片の製造方法。
  7. 請求項1記載のタンパク質と細胞外基質とを反応させることにより、前記タンパク質が前記細胞外基質に沈着する部位を同定する方法。
  8. 請求項1記載のタンパク質を含む、細胞外基質沈着部位同定用試薬。
  9. 請求項1記載のタンパク質と発現の目的分子とが連結した融合タンパク質。
  10. 請求項9記載の融合タンパク質を含有する薬物送達システム。
  11. 請求項2又は3記載の遺伝子と、発現の目的分子をコードする遺伝子とが連結された、融合タンパク質をコードする遺伝子。
  12. 請求項11記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  13. 請求項12記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  14. 請求項13記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からDel-1タンパク質の部分断片と発現の目的分子との融合タンパク質を採取することを特徴とする該融合タンパク質の製造方法。
  15. 請求項9記載の融合タンパク質を細胞外基質に沈着させ、目的分子を採取することを特徴とする目的分子の回収方法。
  16. 目的分子を沈着させる方法であって、以下の工程:
    (a) 請求項13記載の形質転換体を培養することによって、発現の目的分子とDel-1タンパク質の部分断片との融合タンパク質を生産させる工程、及び
    (b) 前記融合タンパク質を細胞外基質に沈着させる工程
    を含む前記方法。
  17. 目的分子を回収する方法であって、以下の工程:
    (a) 請求項13記載の形質転換体を培養することによって、発現の目的分子とDel-1タンパク質の部分断片との融合タンパク質を生産させる工程、
    (b) 前記融合タンパク質を細胞外基質に沈着させる工程、及び
    (c) 前記融合タンパク質から目的タンパク質を切断することによって、前記目的分子を採取する工程
    を含む前記方法。
  18. 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質のうち、活性中心領域と陽性調節領域とを含み、かつ陰性調節領域は含まない部分断片を細胞外基質と反応させることを含む、細胞外基質への沈着活性を調節する方法であって、前記活性中心領域のアミノ酸配列が配列番号4に示されるものであり、前記陽性調節領域のアミノ酸配列が配列番号20に示されるものであり、前記陰性調節領域のアミノ酸配列が配列番号22に示されるものである、前記方法。
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