JP4817058B2 - プレボックス装置 - Google Patents

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本発明はプレボックス装置に関する。さらに詳しくは、研磨装置などの粉塵発生源と集塵機などの機器とのあいだに設置して、該粉塵発生源から発生した火の粉などの熱粒子が含まれる粉塵ガスから該熱粒子を分離し、かつ捕捉することにより前記機器の火災を防止することができるプレボックス装置に関する。
従来、特許文献1に示されるように、熱粒子が含まれる粉塵気体から火の粉である熱粒子を分離する技術はサイクロン式が一般的である。また、特許文献2には、除じん機の集塵室に、粉塵ガスであるスパッタ及び粗いヒュームを衝突させ落下させるための予め定めた枚数の衝突板と、該と、該スパッタによって発生する火の粉を回収するパンチングメタルフィルタと、該パンチングメタルフィルタに付着した粗いヒュームの油成分が火の粉によって引火されたことを検出する温度センサーとを備える焼損防止装置が記載されている。
特開平5−104033号公報 特開2002−186817号公報
しかしながら、前記特許文献1記載の装置では、装置が大きく、圧力損失も大きくなるとともに、設置スペースが広くなり、かつランニングコストがかかるという問題がある。また、前記特許文献2記載の装置では、予め定めた枚数の衝突板として、傾斜した衝突板と3枚の平行な衝突板を用いて、流入させた粉塵ガスを下降流からすぐに上昇流に変更させたのち、直ちに下降流に変更させている。このため、該粉塵ガスに含まれる熱粒子は、下降流と上昇流を繰り返して流される、つまり気流に乗せて流されるだけで、熱粒子を有効に分離して捕捉するには、衝突板の数を増やす必要があり、装置が大型になり圧力損失も大きくなる。また、3枚の平行な衝突板では、有効に分離されずに捕捉できないことから、結局パンチングメタルフィルタおよび温度センサーが必要になり、装置のコストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、簡易な構造で、火の粉などの熱粒子の高い除去率を維持することができるプレボックス装置を提供することを目的とする。
本発明のプレボックス装置は、研磨装置や溶接装置と集塵機とのあいだに設置して、前記研磨装置や溶接装置から発生した火の粉などの熱粒子が含まれる粉塵ガスから該熱粒子を分離し、かつ捕捉することにより前記集塵機の火災を防止するプレボックス装置であって、上部に前記粉塵ガスが流入する流入部、下部に該粉塵ガスから熱粒子を分離して貯留する捕捉部および中間部に吐出部を有するプレボックス内に、前記上部に配置される、前記プレボックスに流入する粉塵ガスの流入量を調整する流量調整手段としてのダンパと、前記プレボックスに流入した粉塵ガスを前記捕捉部の方向へ導入させる気流方向変換手段であって、前記吐出部の上方位置から斜め下方に傾斜する第1傾斜バッフルと該第1傾斜バッフルの端部から下方へ略垂直方向に延びる縦バッフルとを具備した気流方向変換手段と、前記吐出部の下方位置に配置される、前記捕捉部から吐出部に向けて粉塵ガスの流れを遮る気流遅延手段であって、下方にエアを噴射するエア噴射機構と当該噴射エアに向けて配置されるろ過助剤収納部とを具備した気流遅延手段と、を備えてなることを特徴としている。
なお、本発明における熱粒子とは、たとえば、引火の原因となる火の粉、スパッタまたは高熱粉塵を含むヒュームなどである。
本発明によれば、簡易な構造であり、また低圧損で、かつ火の粉などの熱粒子の高い除去率を維持することができる。
以下、添付図面に基づいて本発明のプレボックス装置を説明する。本発明の一実施の形態にかかわるプレボックス装置は、研磨装置や溶接装置などの粉塵発生源と集塵機などの機器とのあいだに設置されており、図1〜3に示されるように、上部に形成される、前記粉塵発生源で発生した火の粉などの熱粒子が含まれる粉塵ガスを流入させる流入部1、下部に設けられる捕捉部2および中間部に形成される吐出部3を有するプレボックス4と、前記上部に配置される流量調整手段Aと、前記吐出部3の上方位置に配置される気流方向変換手段Bと、前記吐出部3の下方位置に配置される気流遅延手段Cとを備えている。なお、図1中において、二点鎖線の矢印は粉塵ガスの流れを示す。前記流入部1は、集塵機などの機器に備えられる送風機の吸引により、粉塵発生源で発生した火の粉などの熱粒子が含まれる粉塵ガスを吸い込むための上流ダクト5に接続されている。また、前記吐出部3は、前記機器からの下流ダクト6に接続されている。本実施の形態では、流入部1から流入された粉塵ガスに含まれる熱粒子Eを分離して、前記捕捉部2に配置される回収ボックス7に貯留し、該熱粒子E以外の小さな粉塵などを吐出部3側に流出させるようにしている。
前記プレボックス4は、本実施の形態において、製作しやすいように、前記流量調整手段Aを配置する上部を形成する上段部材4aと、前記気流方向変換手段Bおよび気流遅延手段Cを配置する中間部および下部を形成する下段部材4bとからなる上下2段形状にされており、該下段部材4bに前記上段部材4aを戴置して溶接などにより組み立てられている。また、前記下段部材4bには、前記回収ボックス7および後述するろ過助剤収納部である収納ボックス32を取り替えるための取出し扉8が設けられている。なお、前記上段部材4aの流入部1は、後述する流入量調整用羽根であるダンパ12の形状と同一形状であれば、とくに限定されるものではないが、本実施の形態では、円形状にされている。
前記流量調整手段Aは、プレボックス4に流入する粉塵ガスの流量を調整するものであり、前記上段部材4aの側壁外に設けられる一対の軸受部11により回動自在にされるダンパ12とすることができる。このダンパ12の形状は、前記上段部材4aの形状と同じにされており、とくに限定されるものではない。また、このダンパ12は、前記一対の軸受部11のうち、一方の軸受部11からダンパ12の回動軸13を手動により、たとえばピンをばねにより回動軸端部に押し付けて回動軸の回転位置を固定するロック機構を操作して開度を調整することができる。また、ダンパ12の開度は、たとえば上流ダクト5内に設けられる流量計または流速計(図示せず)により所定の流入量になるように前記ダンパ12の開度を調節するための、前記軸受部11に連結される駆動モータおよび該駆動モータを制御する制御回路などを含む制御手段(図示せず)を用いることもできる。
前記気流方向変換手段Bは、前記プレボックス4に流入した粉塵ガスを前記捕捉部2の方向へ導入させるものであり、前記吐出部3の上方位置から斜め下方に傾斜する第1傾斜バッフル(邪魔板)21と、該第1傾斜バッフル21の端部から下方へ略垂直方向に延びる縦バッフル22とを具備している。前記第1傾斜バッフル21の傾斜としては、前記プレボックス4に流入した粉塵ガスの流れを滞留させずに方向を変えられるように、傾斜角度α1をたとえば50〜70度とすることができる。そして、前記プレボックス4に流入した粉塵ガスの流れは、前記第1傾斜バッフル21により、下流側に変更されたのち、縦バッフル22と下部部材4bの側壁とのあいだの狭まれた空間に集中されて、前記捕捉部2の方向に向けながら流速が加速される。この加速された粉塵ガスに含まれる熱粒子は、質量が大きいため、粉塵ガスから分離してそのまま前記回収ボックス7に落下し、貯留される。また、前記熱粒子以外の質量の小さい粉塵などは、吐出部3側に向かう気流に乗って排出される。なお、前記縦バッフル22の長さが短いと、前記捕捉部2の方向への粉塵ガスの加速が充分に得られず、該吐出部3側に向かう気流に乗って熱粒子が排出されやすくなる。また、前記縦バッフル22の長さが長くすると、前記吐出部3から排出される粉塵ガスの排気量が低下するおそれがある。このため、本実施の形態では、前記縦バッフル22の長さを長くもなく短くでもない所定の長さにして、前記捕捉部2の方向への粉塵ガスの加速が得られて、吐出部3側に向かう気流に乗って熱粒子がより確実に排出されないようにするとともに、粉塵ガスの排気量を確保するために、前記縦バッフル22の下端部から前記第1傾斜バッフル21の方向とは逆方向で、かつ前記吐出部の方向へ傾斜する第2傾斜バッフル23を設けるのが好ましい。該第2傾斜バッフル23の傾斜としては、垂直線から吐出部3の方向に向けた角度α2、たとえば30〜50度に傾斜することができる。また、前記縦バッフル22の所定の長さは、下流方向の流れを支配する幅Wと、横方向の流れを支配する高さ(後述する気流遅延手段Cにおけるボックス32までの距離)Hをほぼ同じにして気流に無駄な抵抗を加えないように設定することができる。
前記気流遅延手段Cは、前記捕捉部2から吐出部3に向けて粉塵ガスの流れを、たとえば一時的に遮るものであり、下方にエアを噴射するエア噴射機構31と、当該噴射エアに向けて配置されるろ過助剤収納部とを具備している。このエア噴射機構31は、吐出部3側に流出する粉塵ガスの流れを乱して熱粒子のエネルギーを奪う機能と、前記ろ過助剤収納部に収納されるろ過助剤を定期的に粉塵ガスの気流に混入させる機能を有しており、外部に配置されるエアポンプ(図示せず)と、複数の噴射ノズル、本実施の形態では、2つの噴射ノズル33が形成されるエア噴射配管34とから構成されている。前記エアポンプとエア噴射配管34は、ホース35により接続されている。前記ろ過助剤収納部は、吐出部3側に流出する粉塵ガスの流れを乱して熱粒子のエネルギーを奪う機能と、このろ過助剤収納部に収納されるろ過助剤を定期的に粉塵ガスの気流に混入させる機能をさせるために設けられており、本実施の形態では、ろ過助剤を収納したボックス32であり、前記下部部材4bの対向する側壁に設けられる一対の支持部36に差込により着脱できるように支持されている。また、前記支持部36の下部は、分離した熱粒子Eを前記回収ボックス7に貯留しやすいように屈曲されている。なお、前記ろ過助剤としては、たとえば炭酸カルシウムや珪藻土などの不活性粉体を用いることができる。
本実施の形態では、図4に示されるように、流入部1に流入する粉塵ガスは、0〜90度に角度調整できるダンパ12によりプレボックス装置本体内に流入する粉塵ガスの流量が調整される。なお、図4中の破線Lは粉塵ガスの流れを模式的に示している。ついで、この粉塵ガスは、第1傾斜バッフル21と縦バッフル22により流速が加速されて、捕捉部2側に送り込まれる。このとき、該捕捉部2側に送り込まれる粉塵ガスのうち、該粉塵ガスに含まれる粉塵より質量の大きい熱粒子が回収ボックス7へと分離する。そして、熱粒子が分離した粉塵ガスは、噴射ノズル33側とろ過助剤収納ボックス32側とに分岐される。そして、この噴射ノズル33側に流れる粉塵ガスは噴射ガス33aにより遮られて流速が低下したのち、吐出部3側に流出する粉塵ガスと合流して該吐出部3から排出される。このとき、前記第1傾斜バッフル21の下方と縦バッフル22および第2傾斜バッフル23とに囲まれる領域Sは、気流が滞留する領域であり、有限要素法を用いた流体解析により確認される、いわゆる無風空間が形成されるため、粉塵ガスの巻上げが抑えられる。また、前記ろ過助剤収納ボックス32の側部に流れた粉塵ガスや下部に巻き込んだ粉塵ガスも、流速が低下したのち、前記噴射ノズル33側に流れる粉塵ガスへの合流と前記吐出部3側に流出する粉塵ガスへの合流を経て、該吐出部3から排出される。これにより、前記粉塵ガスの加速により、分離できずに粉塵ガス中に残った熱粒子を冷却して排出させることができる。
本実施の形態では、火の粉の光および熱を赤外線として感知することができるセラミックセンサを用いて測定した結果、火の粉除去率が約70(%)であり、圧損も約0.20(kPa)であり、サイクロン式と比べて圧力損失が1/3(3分の1)以下であることが検証されたため、簡易な構造でありながら、低圧損で、かつ火の粉除去率を高く維持することができることがわかった。これにより、本実施の形態におけるプレボックス装置は、レーザ切断用、プラズマ切断用、溶接用など広く火の粉発生の集塵を対象とする集塵機に適用することができる。
本発明の一実施の形態にかかわるプレボックス装置の面図の概略図である。 図1のプレボックス装置の断面とは直交する断面の概略図である。 図1のプレボックス装置を上から見た概略図である。 図1のプレボックス装置における粉塵ガスの流れを説明する図である。
符号の説明
A 流量調整手段
B 気流方向変換手段
C 気流遅延手段
E 熱粒子
1 流入部
2 捕捉部
3 吐出部
4 プレボックス
4a 上段部材
4b 下段部材
5 上流ダクト
6 下流ダクト
7 回収ボックス
8 取出し扉
11 軸受部
12 ダンパ
13 回動軸
21 第1傾斜バッフル
22 縦バッフル
23 第2傾斜バッフル
31 エア噴射機構
32 ろ過助剤収納ボックス
33 噴射ノズル
33a 噴射ガス
34 エア噴射配管
35 ホース
36 支持部

Claims (2)

  1. 研磨装置や溶接装置と集塵機とのあいだに設置して、前記研磨装置や溶接装置から発生した火の粉などの熱粒子が含まれる粉塵ガスから該熱粒子を分離し、かつ捕捉することにより前記集塵機の火災を防止するプレボックス装置であって、
    上部に前記粉塵ガスが流入する流入部、下部に該粉塵ガスから熱粒子を分離して貯留する捕捉部および中間部に吐出部を有するプレボックス内に、
    前記上部に配置される、前記プレボックスに流入する粉塵ガスの流入量を調整する流量調整手段としてのダンパと、
    前記プレボックスに流入した粉塵ガスを前記捕捉部の方向へ導入させる気流方向変換手段であって、前記吐出部の上方位置から斜め下方に傾斜する第1傾斜バッフルと該第1傾斜バッフルの端部から下方へ略垂直方向に延びる縦バッフルとを具備した気流方向変換手段と、
    前記吐出部の下方位置に配置される、前記捕捉部から吐出部に向けて粉塵ガスの流れを遮る気流遅延手段であって、下方にエアを噴射するエア噴射機構と当該噴射エアに向けて配置されるろ過助剤収納部とを具備した気流遅延手段と、を備えてなるプレボックス装置。
  2. 前記縦バッフルの下端部から前記第1傾斜バッフルの方向とは逆方向で、かつ前記吐出部の方向へ傾斜する第2傾斜バッフルを具備してなる請求項1記載のプレボックス装置。
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