JP4817038B2 - 歯科研磨用材料 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科研磨用材料、特に歯牙を研磨する工程を含む歯牙の接着方法に関するものである。さらに詳細には、歯牙の表面に存在する歯垢、歯石、汚れなどを除去したり、歯の治療を目的としてう蝕部を研削除去したり、金属、ガラス、セラミックスなどの表面の汚れや酸化物の除去あるいは微小な凹凸を形成するための研磨または研削するに好適な歯科研磨用材料、特にそれにより歯牙を研磨する工程を含む歯牙の接着方法に用いるのに適した歯科研磨用材料に関する。
歯牙表面の歯垢や歯石を取り除いたり、歯牙表面を研磨したり、あるいは歯牙を研削する歯科用研磨研削方法は、回転切削工具式と研磨研削用粉体噴射式とに大別される。前者は、マイクロモータハンドピース、エアタービンハンドピース等により回転する切削工具を歯表面に直接当てることにより、歯を研磨研削する構造である。一方、後者はハンドピース先端に研磨研削用粉体を噴射する噴射ノズルを備え、この噴射ノズルから研磨研削用粉体を空気や水などの流体と共に噴射して歯牙表面に当てることにより、研磨研削用粉体の衝突エネルギーによって歯牙を研磨研削する。そして、両者は用途別に使い分けられている。
術者である歯科医師は、回転切削工具式の研磨研削装置を用いる機会が多く、切削工具が必ず歯表面と直接接触する状態で治療を行うため、術者は歯表面の状態を触覚的に調べながら治療を行うことで、研磨切削の程度を制御してきた。しかしながら、回転切削工具から発する高音の回転音は患者の恐怖心をあおぎ、さらに、罹患部に工具が接する際に痛みを誘発する場合があるので予め麻酔を適用することになるが、麻酔の適用自体が患者への負担を大きくするという問題があった。
一方、研磨研削用粉体噴射式の研磨研削装置では、術者が使い慣れた接触型の回転研磨切削とは異なり、非接触型となるので使い慣れするには熟練が必要となる。しかしながら、非接触型であるがゆえに研磨切削の際に生じる患者の痛みを著しく抑制できるので麻酔せずに適用することが可能であり、さらに回転切削工具で生じる高音の回転音を発しないので、患者への恐怖心を低減できるという利点がある。
これまでに、噴射研磨切削用粉体として以下のような提案がなされてきた。
特許文献1には、噴射式研磨切削装置に関する提案がなされており、そこに好適で使用できる粉体として、アルミナや炭酸水素ナトリウム等の研磨研削剤の単体粉末が記載されている。しかしながら、アルミナ単体では切削力が過度に強く、健全な歯牙を過剰に研削除去してしまう可能性が高く、炭酸水素ナトリウム単体では、粘膜に対する刺激性が高く、治療後に歯肉部からの出血や疼痛を誘発する場合があった。また、噴射切削後には歯牙表面に切削粉体が突き刺さったままで残る場合があり、アルミナのような水洗では除去できない粉体を使用した場合には、切削面に接着材を適用しても従来の回転切削工具を使用した切削表面と比べて期待した接着強度が得られないという問題を抱えている。また、比較的水に溶解しやすい炭酸水素ナトリウムを使用した場合には、歯牙表面に突き刺さった粉体を多量の水で洗い流すことで除去可能であるものの、歯質表面付近に残存したアルカリ成分が接着材の機能を低下させてしまうという問題がある。
非特許文献1から7には、噴射切削用粉体として、シリコンカーバイド、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスビーズ、PMMA、桃種粉末およびキトサン粉末がそれぞれ提案されている。しかしながら、前述の問題を解決するには至っていない。
特許文献2には、歯牙表面に施すことにより、硬化性樹脂組成物との接着力を向上させることができる前処理剤および接着方法が提案されており、硫黄を含有する還元性無機組成物と水を、逐次的に適用するか、あるいは、混合して使用する方法が提案されている。しかしながら、研磨切削を目的とした粉体としての使用方法に関する記載は認められない。
実用新案登録 第3073535号 特開平6−40835号公報 日本歯科保存学雑誌:30巻、1424−1427、1987 日本歯科保存学雑誌:39巻、715−725、1996 日本歯科保存学雑誌:43巻、476−484、2000 日大歯学 74、276−283、2000 接着歯学 16、55−62、1998 歯界展望 94、1007−1012、1999 日本歯科保存学雑誌:44巻、2号、265−271、2001
本発明の目的は、噴射式研磨切削装置に使用でき、歯牙表面に適用した際、適用後に、突き刺さった粉体を水洗いによって除去可能であり、かつ、接着材の接着性能を損なわない歯科研磨用材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、歯牙を高圧噴射した粉末により研磨研削した後に、硬化性の樹脂または樹脂複合材料を接着するに際し、接着性組成物の性能を著しく低下させないかあるいは向上させる接着方法に用いるのに適した歯科研磨用材料を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、水溶性の還元性材料(A)を含有してなることを特徴とする歯科研磨用材料によって達成される。
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の歯科研磨用材料で歯牙を研磨または研削し、水洗いして歯牙表面に残存した材料(A)を洗い落とし、そしてその後、歯牙に、分子内に酸性基を有する重合性単量体(C)を含有する接着性組成物を適用する接着方法に用いるのに適した歯科研磨用材料によって達成される。

本発明は非接触型の噴射式の研磨切削であるがゆえに、回転切削工具で生じていた高音の回転音を発することなく、研磨切削の際に生じてきた患者の痛みを著しく抑制できるので患者への恐怖を与えずに、麻酔せずに研磨切削することが可能となり、さらには、従来から問題となっていた接着材の性能低下を生じることなく修復治療ができるという効果を発揮することができる。
本発明における(A)成分は、ラジカル重合性単量体を重合させる際に好適な水溶性の還元剤であることが必要である。前記還元剤は、室温において固体であることが好ましく、潮解性を有しないことが好ましい。前記還元剤は、空気、水分、乃至は人体組織などの有機物に接触することにより爆発的に反応するものではなく、勿論、顕著な毒性を有していないものである。
例えば、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩などの無機硫酸塩、芳香族スルフィン酸塩を挙げることができる。具体的には、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムのような亜硫酸金属塩、亜硫酸アンモニウムのような亜硫酸非金属塩、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸水素金属塩、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na)、ピロ亜硫酸カリウム(K)等のようなピロ亜硫酸金属塩、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム(K)のようなチオ硫酸金属塩、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸非金属塩を挙げることができる。また、芳香族スルフィン酸塩としては、例えばベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸マグネシウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸ストロンチウム、ベンゼンスルフィン酸バリウムの如きベンゼンスルフィン酸アルカリ金属塩ないしアルカリ土類塩、ベンゼンスルフィン酸ブチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アニリン塩、ベンゼンスルフィン酸トルイジン塩、ベンゼンスルフィン酸フェニレンジアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジフェニルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸トリエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アンモニウム塩、ベンゼンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、ベンゼンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムの如きベンゼンスルフィン酸のアミン塩ないしアンモニウム塩、o−トルエンスルフィン酸リチウム、o−トルエンスルフィン酸ナトリウム、o−トルエンスルフィン酸カリウム、o−トルエンスルフィン酸カルシウムの如きo−トルエンスルフィン酸アルカリ金属塩ないしアルカリ土類塩、o−トルエンスルフィン酸シクロヘキシルアミン塩、o−トルエンスルフィン酸アニリン塩、o−トルエンスルフィン酸アンモニウム塩、o−トルエンスルフィン酸テトラエチルアンモニウムの如きo−トルエンスルフィン酸アミン塩ないしアンモニウム塩、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸バリウムの如きp−トルエンスルフィン酸アルカリ金属塩ないしアルカリ土類塩、p−トルエンスルフィン酸エチルアミン塩、p−トルエンスルフィン酸トルイジン塩、p−トルエンスルフィン酸N−メチルアニリン塩、p−トルエンスルフィン酸ピリジン塩、p−トルエンスルフィン酸アンモニウム塩、p−トルエンスルフィン酸テトラメチルアンモニウムの如きp−トルエンスルフィン酸アミン塩ないしアンモニウム塩、β−ナフタリンスルフィン酸ナトリウム、β−ナフタリンスルフィン酸ストロンチウムの如きβ−ナフタリンスルフィン酸アルカリ金属塩ないしアルカリ土類塩、β−ナフタリンスルフィン酸トリエチルアミン、β−ナフタリンスルフィン酸N−メチルトルイジン、β−ナフタリンスルフィン酸アンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムの如きβ−ナフタリンスルフィン酸アミン塩ないしアンモニウム塩などを挙げることができる。これらは1種または2種以上一緒に使用することができる。このうち、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウムが好ましい。
成分(A)は粉末の形態にあることが好ましい。粒径は、好ましくは、1〜500μm、より好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。下限値1μmを下回ると飛散した粉末による塵肺の懸念が高まり、上限値500μmを上回ると粉体噴霧ノズルの目詰まりなどによって噴射効率が著しく低下し、好ましくない場合がある。また、粉末の嵩比重は、好ましくは0.1〜5、より好ましくは、0.2〜3.5さらに好ましくは0.3〜2.5である。
本発明における(B)成分は、水に不溶性の粉体である。かかる(B)成分としては、例えば公知のアルミナ、シリコンカーバイド、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスビーズ、PMMA、桃種粉末、キトサン粉末などを挙げることができる。
成分(B)の粒径は、好ましくは1〜500μm、より好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。前記数値範囲の下限値1μmを下回ると飛散した粉末による塵肺の懸念が高まり、上限値500μmを上回ると粉体噴霧ノズルの目詰まりなどによって噴射効率が著しく低下し、好ましくない場合がある。また、粉末の嵩比重は、好ましくは0.1〜3.5、より好ましくは0.2〜3、さらに好ましくは0.3〜2.5である。
(B)成分は、(A)成分と混合して使用することができる。使用する(B)成分は、目的、用途、研磨表面の性質によって使い分けることができる。(A)成分と(B)成分の混合物は、単に両成分を混合した粉体として調製できあるいは予め(B)成分の表面の一部あるいは全部を(A)成分で被覆して調製することもできる。後者の混合物は、歯牙の表面に突き刺さった粉体を水洗で除去しやすくなるので好ましい。
本発明の歯科研磨用材料により切削された表面に使用できる歯科用接着性組成物は、例えばプライマー、ボンディング材、セメント、コンポジットレジン、矯正用接着材、根管充填用シーラー、裏層材などである。これには、さらに、エッチング材、コンディショナーなどといわれる表面処理材を組み合わせて使用することができる。かかる歯科用接着性組成物としては、具体的には、(C)分子内に酸性基を有する重合性単量体を含有する組成物が好ましい。かかる組成物は、その他に、その他の共重合可能な重合性単量体および/または重合開始剤、またはそれらに加えて無機充填剤および/または有機充填剤および、必要に応じその他の添加物から構成される。かかる接着性組成物としては、化学重合型(常温付近で重合するタイプ)、光重合型(光を照射することによって重合硬化するタイプ)あるいはデュアル重合型(化学重合型と光重合型の両方の重合方式を有するタイプ)のコンポジットレジン、ボンディング材、コーティング材、コア用レジン、ポスト用レジン、シーラー材、裏層材などが挙げられる。例えば、歯牙欠損の修復には、歯牙の欠損部の実質上全部分ないし一部分を充填し、かつ、噛み合わせ時の力学的強度および必要に応じて審美性を、担う充填材と、前記充填材と歯質部とを固定接着する接着剤よりなる補綴材ないしはそれらを用いた補綴方法が好適である。本発明における接着性組成物がこのような充填材を含むものであるときには、専ら、このような充填材において、好適に本発明の効果が奏せられるので、以下、本発明における接着性組成物として、充填材を含む例について説明する。
本発明の(C)成分は、歯牙との接着に必要なものであり、歯牙以外に金属、ポーセレン、セラミックスへの接着にも有効である。かかる分子内に酸性基を有する重合性単量体の重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、アリル基などを有するラジカル重合可能な不飽和基を挙げることができる。重合性単量体は1分子内に上記の重合性基から選択される基を少なくとも1個含有している。以下に記述する重合性単量体における重合性基は、すべてこれと同様に解釈されるべきである。また、分子内に酸性基を有する重合性単量体の酸性基としては、例えばカルボン酸基、リン酸基、チオリン酸基、スルホン酸基およびスルフィン酸基などを挙げることができる。(C)成分はこれらの酸性基のうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。
(C)成分として使用できる重合性単量体のうち、1分子中にカルボン酸基またはその無水物基を有する単官能重合性単量体としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸およびポリカルボン酸またはその無水物を挙げることができる。ここで、具体的化合物としては、例えば特公平6−62688号公報に記載されているカルボン酸または/およびその無水物を挙げることができる。特に、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸の如きビニル基に直接カルボン酸基が単数または複数結合した(メタ)アクリル酸、p−ビニル安息香酸のようなビニル基に芳香環が直接結合した芳香族カルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)のようなアルキル基末端が(メタ)アクリロイルオキシ基で置換されたカルボキシル基を1つ以上有する脂肪酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸のようなジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸のような(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を少なくとも1つ有するナフタレンポリ(またはモノ)カルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸の如き4−(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸およびそれらの無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシブチル]トリメリット酸のような水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルキルトリメリット酸およびその無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートのようなカルボキシル基を1つ以上有するベンゾイルオキシ基を1つ以上有するアルキル(メタ)アクリレート、2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸のような(メタ)アクリロイルオキシを有する安息香酸、N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニンのようなN−および/またはO−(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸のようなN−(メタ)アクリロイルオキシアミノ安息香酸、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンのようなN−芳香族グリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸のような水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルキルアミノフタル酸、3または4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸のような水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアルキル基を有する3級アミンを有するフタル酸、(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、(メタ)アクリロイルオキシサリチル酸のような(メタ)アクリロイル基を有するサリチル酸誘導体などを挙げることができる。このうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)またはその無水物(4−META)が好ましく用いられる。(C)成分として使用できる多官能重合性単量体で、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する重合性単量体としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物(PMDM)、2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと1モルの無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などを反応させた付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパンなどを挙げることができる。
1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェートのような(メタ)アクリロイルオキシポリメチレンアシドホスフェート(ポリメチレン鎖の非末端位置に(メタ)アクリロイルオキシ基および/またはアシドホスフェート基が有るものを含む)、ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル}アシドホスフェートのような2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシポリメチレン基を有するアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェートのような(メタ)アクリロイルオキシとアシドホスフェートの間にアルキレングリコール基やフェニレングリコール基が適宜挿入されたアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換えることができる。チオリン酸基を有する重合性単量体としては、特開昭54−21438号、特開昭59−140276号および特開昭59−142268号に記載されているものを使用することができる。具体的には下記(a)〜(m)の化合物を挙げることができ、[ ]で示した互変異性体((a’)、(b’))であってもよい。
Figure 0004817038
このうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体は単独または組み合わせて使用できる。
1分子中にスルホン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレートのようなスルホポリメチレン(メタ)アクリレート(ポリメチレン鎖の非末端位置にスルホ基および/または(メタ)アクリレート基有る場合を含む)、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレートのようにさらにハロゲン(臭素など)を有するもの、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレートのようにさらにアルコキシ基(メトキシ等)を有するもの、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸のように(メタ)アクリルアミド基を有するものなどを挙げることができる。このうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。
(C)成分は酸性基の一部または全部を1価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩に変えて使用することもできる。この場合、通常、他の酸性化合物と併用して接触した際に(C)成分が酸として働くようにすることが好ましい。上記の(C)成分はすべて単独で、または組み合わせて使用することができる。
(C)成分は、(C)と共重合可能な重合性単量体と混合して使用することができる。ここで好ましく使用できる重合性単量体は、(メタ)アクリル酸のアルキルあるいは芳香族エステル(炭素数 1〜20)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(炭素数 2〜20)、エチレングリコールオリゴマー(メタ)アクリレート(2〜30量体)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(1分子中にエトキシ基2〜10個)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の単官能性あるいは多官能性の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート2モルとジイソシアネート1モルとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。また、接着性組成物で提案されているような単量体等が好適であり、これらの単量体は単独で、あるいは2種類以上混合して使用することが好ましい。
さらに(C)成分は重合開始剤と混合して使用することができる。ここで、好ましく使用できる重合開始剤としては、例えば有機過酸化物、無機過酸化物、アルキルボラン、アルキルボランの部分酸化物、α−ジケトン化合物、フェニルホスフィンオキシド誘導体などを挙げることができる。また、重合開始剤と組み合わせて使用するに好適な還元剤としては、例えば有機アミン化合物、有機スルフィン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは1種または2種以上用いることができる。
化学重合タイプで使用される過酸化物(重合開始剤)としては、例えばジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシドのようなアルキルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドのような過酸化ベンゾイル誘導体をはじめとする過酸化酸無水物などの有機過酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これらのうちでは、BPOが好ましい。
光重合型開始剤としては、例えばα−ジケトンと3級アミンからなるもの、α−ジケトンと過酸化物、フェニルホスフィンオキシド化合物等、従来公知の開始剤が挙げられる。
還元剤としては、有機還元性化合物として、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン(DEPT)、N,N−ジメチル−p−tert−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチル−p−クロルアニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)などの芳香族アミン類、N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などを併用することができる。これらの中では、DMPT、DEPT、DEABA、DMABAd、NPG、NTGが好ましく使用できる。
特に、上記硬化性組成物を確実に硬化させ、さらに歯質に対する接着性を向上させるために、下記式(I)
Figure 0004817038
ここで、RおよびRは互いに独立に水素原子であるかあるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアルキル基でありそしてRは水素原子または金属原子である、または、下記式(II)
Figure 0004817038
ここで、RおよびRは互いに独立に水素原子またはアルキル基でありそしてRは水素原子であるかあるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアルキル基またはアルコキシル基である、で表わされるアミン化合物の少なくとも一種を含有させることが好ましい。
上記式(I)に含まれるアミン化合物としては、例えば既に記載したNPG、NTGおよびNPG−GMAなどを挙げることができる。このうちNPGが特に好ましく用いられる。上記式(II)に含まれるアミン化合物としては、例えば既に記載したN,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステルの他、N,N−ジプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N−イソプロピル−N−メチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルなどで代表される脂肪族アルキルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル類、DMABAd、N,N−ジエチルアミノベンツアルデヒド、N,N−ジプロピルアミノベンツアルデヒド、N−イソプロピル−N−メチルアミノベンツアルデヒドなどで代表される脂肪族アルキルアミノベンツアルデヒド類、N,N−ジメチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジエチルアミノアセチルベンゼン、N,N−ジプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピルアミノアセチルベンゼン、N−イソプロピル−N−メチルアミノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類などを挙げることができる。これらのアミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用できる。
有機還元性化合物としては、本発明の(A)成分を使用することができる。
また、(C)成分は充填材(フィラー)を混合して使用することができる。好ましく使用できる充填材としては、例えば従来から使用されている各種の無機,有機,または無機・有機複合充填材を使用できる。その具体例として、二酸化珪素(例えば石英、石英ガラス、シリカゲル)、アルミナを挙げることができる。珪素を主成分とし各種重金属とともにホウ素および/またはアルミニウムを含有する各種ガラス類、各種セラミックス類、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等も使用できる。フィラーの表面処理には、通常使用されるシランカップリング剤、例えば、ω−メタクリロキシアルキルトリメトキシシラン(メタクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−メタクリロキシアルキルトリエトキシシラン(メタクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等の有機珪素化合物が使用される。さらに、本発明で使用する光重合硬化性組成物には必要に応じ有機溶剤、水、安定剤、顔料等の一般的な添加物を配合することもある。
これらの成分としては、具体的には特開平6−9327公報、特開平7−97306公報に記載されているものを使用することができ、またその光硬化性組成物も使用することができる。
発明の実施形態を以下に説明する。
(噴射研磨切削用粉体の調製)
比較例1以外は、噴射研磨切削用粉体の原材を乳鉢で磨り潰して、ふるい(NNAKA RIKAKI.,LTD.:JIS Z8801)を用いて、目の開き53μmを通過した粉末を使用した。走査電子顕微鏡(JSM−5610LV、日本電子)にてサイズを観察した。
(粒度測定方法)
測定装置としてX-100(Leeds&Northrup社)粒度分布計を用い、分散助剤なしで測定試料を所定溶媒中に測定可能な濃度に調製し、超音波1分(出力25W)付与するという測定条件にて粒度を測定した。
(歯質切削面の観察、接着試験方法)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結し保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研削し、平滑な面を得た。本発明の粉末をアルミナサンドブラスターJet Blast II(モリタ製作所)に装備し、空気圧0.35MPa、噴射口径1.5mm、噴射距離5mm、噴射時間10秒の条件下にて研削面が均一に粉体で研磨されるよう噴射を施した。噴射面を気銃にて汚れを除去した後(水洗なし表面:試料1)、引き続き、十分に水洗した(水洗あり表面:試料2)。水洗なし表面ならびに水洗あり表面を走査電子顕微鏡(SEM)にて表面観察した。
試料1および2を再度、気銃で噴射面を乾燥した後、直ちに接着面積を規定するための直径5.1mmの円孔のあいた両面テープ(非接着面は剥離紙が付いたまま)を張り付け、接着試験に使用した。
歯科用接着性組成物を面積規定した接着面に適用して、直径6mmの穴の開いた厚さ1mmのモールドを接着性組成物が露出するように固定して、穴の開いた部分に歯科用コンポジットレジン(METAFIL C、サンメディカル)を充填してポリエステルフィルムを介して圧接した後、可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて20秒間光照射して硬化させた。ポリエステルフィルムを剥がし、スーパーボンドC&B(サンメディカル)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。
作製したサンプルを37℃の水中に24時間浸漬した後、引張接着試験(クロスヘッドスピード2mm/min)を行い、単位面積あたりの接着破壊強度を算出した。
(抗菌性試験方法)
ヒト口腔内細菌をカルチュレットにて採取し、直ぐにリン酸緩衝溶液中に分散させ所定量を嫌気性菌用羊血液寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン)に塗抹した。次に、試験化合物の水溶液をペーパーディスクに染み込ませ寒天培地上に置き、嫌気性下で37℃にて24時間培養させた。24時間後のペーパーディスク周辺の菌の発育状況を観察し、発育阻止斑の発現状況を以下の基準で判定した。
− :ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が全く認められない。
± :ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が幅約1mm未満のリング状で認められる。
+ :ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が幅約1〜2mmのリング状で認められる。
++:ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が幅約2mmを超えるリング状で認められる。
実施例1
亜硫酸ナトリウム(特級、和光純薬(株)製)30gを噴射研磨切削用粉体の原材として用いて、前記処方の噴射研磨切削用粉体の調製を行って噴射切削粉末を得た。粒子サイズは50μm以下となり、約50μmの大きい粒子と10〜15μmの粒子の存在が多く認められた。
エタノール溶媒中でレーザー回折散乱法(測定条件:懸濁用液体250ml、測定試料20mg、試料投下から測定完了まで5分以内――以下の実施例も同じ)を用いて測定した平均粒径は49μmであった。
次にこの噴射切削粉末を使用して噴射切削した。噴射切削後の表面をSEMにて観察したところ、水洗なし象牙質表面には通常確認できるはずの象牙細管が認められず無構造な表面が観察された。また、水洗あり表面でも類似の表面が認められ、水洗の有無による明確な相違は認められなかった。
歯科用接着性組成物としてAQボンドプラス(サンメディカル(株)製)を使用し、ボンド液2滴に対してキャタスポンジを1個で調製した液を噴射切削した象牙質表面に適用し、ハロゲン系光照射器トランスルクスCL(Kulzer社製)にて5秒間光照射した。
その結果、水洗なし表面に対する接着強さは5.1MPa、水洗あり表面に対する接着強さは7.3MPaと良好な値であった。
オートクレーブにて滅菌処理した水を用いて亜硫酸ナトリウム水溶液濃度が0.5、1、5、10%の水溶液になるようにそれぞれ調製した。これらの水溶液をペーパーディスク(直径8mm、厚さ1.5mm)に75μL染み込ませ、予めヒト口腔内細菌を塗抹した寒天培地に置き嫌気性下で24時間嫌気培養した。その後、ペーパーディスク周囲の菌の発育状況を観察し上記の方法で判定を行った。その結果を表1に示す。設定した濃度において菌の発育阻止斑が認められたので、抗菌性を有することがわかった。
実施例2
亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬(株)製)30gを噴射研磨切削用粉体の原材に用いて、前記処方の噴射研磨切削用粉体の調製を行って噴射切削粉末を得た。粒子サイズは、実施例1とほとんど同じであり、約50μmの大きい粒子と10〜15μmの粒子の存在が多く認められた。
エタノール溶媒中でレーザー回折散乱法を用いて測定した平均粒径は51μmであった。
次にこの噴射切削粉末を使用して噴射切削した。噴射切削後の表面をSEMにて観察したところ、水洗なし象牙質表面には通常確認できるはずの象牙細管が認められず無構造な表面が観察された。また、水洗あり表面でも類似の表面が認められ、水洗の有無による明確な相違は認められなかった(下記実施例4とほとんど同じ)。
歯科用接着性組成物としてAQボンドプラス(サンメディカル(株)製)を使用し、ボンド液2滴に対してキャタスポンジを1個で調製した液を噴射切削した象牙質表面に適用し、ハロゲン系光照射器トランスルクスCL(Kulzer社製)にて5秒間光照射した。
その結果、水洗なし表面に対する接着強さは5.5MPa、水洗あり表面に対する接着強さは7.1MPaと良好な値であった。
実施例3
p−トルエンスルフィン酸ナトリウム・四水和物(和光純薬(株)製)30gを噴射研磨切削用粉体の原材に用いて、前記処方の噴射研磨切削用粉体の調製を行って噴射切削粉末を得た。粒子サイズは、実施例1とほとんど同じであり、約50μmの大きい粒子と10〜15μmの粒子の存在が多く認められた。しかし、粒子は層状構造を呈していた。
トルエン溶媒中でレーザー回折散乱法を用いて測定した平均粒径は119μmであった。これは、粒子が凝集していた結果、大きく見積もられたものと推測した。
次にこの噴射切削粉末を使用して噴射切削した。噴射切削後の表面をSEMにて観察したところ、水洗なし象牙質表面には通常確認できるはずの象牙細管が認められず、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム・四水和物と思われる層状構造体が表面一面に観察された。また、水洗あり表面では、層状構造体は認められなくなり、象牙質の象牙細管に形成されるスメアプラグおよび研削傷が確認できた。
歯科用接着性組成物としてAQボンドプラス(サンメディカル(株)製)を使用し、ボンド液2滴に対してキャタスポンジを1個で調製した液を噴射切削した象牙質表面に適用し、ハロゲン系光照射器トランスルクスCL(Kulzer社製)にて5秒間光照射した。
その結果、水洗なし表面に対する接着強さは6.5MPa、水洗あり表面に対する接着強さは11MPaと良好な値であった。
比較例1
平均粒径50μmのアルミナ粉末を噴射切削粉末として使用した。噴射切削後の表面をSEMにて観察したところ、水洗なし象牙質表面には象牙細管の所在が一部に認められるものの、表面に非常に多くのアルミナ粉末が認められ、その多くは象牙質表面に突き刺さり埋もれていた。
歯科用接着性組成物としてAQボンドプラス(サンメディカル(株)製)を使用し、ボンド液2滴に対してキャタスポンジを1個で調製した液を噴射切削した象牙質表面に適用し、ハロゲン系光照射器トランスルクスCL(Kulzer社製)にて5秒間光照射した。
その結果、水洗なし表面に対する接着強さは2.2MPa、水洗あり表面に対する接着強さは3.4MPaと著しく低い値であった。
比較例2
炭酸水素ナトリウム(和光純薬(株)製)30gを噴射研磨切削用粉体の原材に用いて、前記処方の噴射研磨切削用粉体の調製を行って噴射切削粉末を得た。粒子サイズは、約50μmの大きい粒子と約15μmの粒子が多く確認された。
エタノール溶媒中でレーザー回折散乱法を用いて測定した平均粒径は57μmであった。
この噴射切削粉末を使用して噴射切削した。噴射切削後の表面をSEMにて観察したところ、水洗なし象牙質表面には通常確認できるはずの象牙細管が認められず無構造な表面が観察された。また、水洗あり表面でも類似の表面が認められ、水洗の有無による明確な相違は認められなかった。
歯科用接着性組成物としてAQボンドプラス(サンメディカル(株)製)を使用し、ボンド液2滴に対してキャタスポンジを1個で調製した液を噴射切削した象牙質表面に適用し、ハロゲン系光照射器トランスルクスCL(Kulzer社製)にて5秒間光照射した。
その結果、水洗なし表面に対する接着強さは4.1MPa、水洗あり表面に対する接着強さは3.9MPaと低い値であった。
実施例1で用いた亜硫酸ナトリウムを炭酸水素ナトリウムに変えた水溶液を実施例1と同様の濃度になるように調製し、実施例1と同様の評価を行った。設定した濃度において菌の発育阻止斑が認められず、抗菌性は認められなかった。
実施例4
実施例1で用いた亜硫酸ナトリウムを安息香酸ナトリウムに変えた水溶液を実施例1と同様の濃度になるように調製し、実施例1と同様の評価を行った。設定した濃度において菌の発育阻止斑が認められたので、抗菌性を有することがわかった(表1)。
Figure 0004817038
以上のように、本発明の(A)成分は口腔内細菌の発育抑制が期待でき、齲蝕部分を噴射によって切削して表面に細菌が残存したとしても(A)成分によって発育を抑制する可能性が認められた。
実施例5
L−アスコルビン酸(和光純薬製試薬特級)30gを噴射研磨切削用粉体の原材に用いて、前記処方の噴射研磨切削用粉体の調製を行って噴射切削粉末を得た乳鉢で磨り潰して、実施例1と同様に走査電子顕微鏡にてサイズを観察した。粒子サイズは、実施例1とほとんど同じであり、約50μmの大きい粒子と10〜15μmの粒子の存在が多く認められた。その他に、細かい粒子が存在していた。
象牙質が過度に変色している場合には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を予め塗布し、その後水洗乾燥する場合がある。このような場合を想定して、噴射切削する前に象牙質表面に次亜塩素酸ナトリウムが含有するADゲル(クラレメディカル)を塗布して1分間静置後に水洗乾燥し、その表面に本発明前記の噴射研磨切削粉末として、実施例4のL−アスコルビン酸を使用した。噴射切削後の表面をSEMにて観察したところ、水洗なし象牙質表面には通常確認できるはずの象牙細管が認められず、粉末がつぶれて付着した構造体が表面全体に観察された。
水洗あり表面では、粉末由来の構造体は認められなくなり、象牙質の象牙細管の存在が部分的に認められたが、噴射切削する前の磨耗痕が多く確認できるので、切削量は非常に少ないと推測できるものであった。
歯科用接着性組成物としてスーパーボンドC&B(サンメディカル)を使用し、はじめに表面処理材グリーンにて噴射切削した表面に塗布して10秒後に十分に水洗してエアブローによって乾燥した。接着面積を規定してモノマー4滴、キャタリスト1滴で混合した活性化液とポリマー粉末クリアを用いて筆積みにてΦ6mm長さ25mmのアクリルロッドを接着させた。室温で約15分間静置した後、作製したサンプルを37℃の水中に24時間浸漬して引張接着試験(クロスヘッドスピード2mm/min)を行い、単位面積あたりの接着破壊強度を算出した。
その結果、水洗なし表面に対する接着強さは13.2MPa、水洗あり表面に対する接着強さは15.7MPaと高い値であった。
ポーセレンヘの接着試験
歯科用ポーセレン(スーパーボーセレンAAA、E3(ノリタケ製);15×15×10)の一面を回転式研点機ECOMET−III(BUEHLER社製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#2000まで研磨して平らな面を得た。研磨面を本発明の粉材で噴射処理して表面を均一に粗くし、水中超音波洗浄後にエアブローによって乾燥した。噴射研磨した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。4−MET(2.5重量部)とシランカップリング剤としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ−METS;2.5重量部)とメタクリル酸メチル(MMA)95重量部からなる溶液を使用直前に調製して0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥した。この表面に対して、スーパーボンド(サンメディカル製)にてアクリル棒を植立して30分間静置した。37℃水中に24時間浸漬後、ならびに、5℃と55℃の水中に各1分間浸漬することを1サイクルとして繰り返す熱サイクル浸漬5000回後に引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行い、接着強さを算出した。
有機無機複合材料ヘの接着試験
硬質レジン(インフィス ペーストボディー(A3-B、サンメディカル);15×15×10mm)の一面を回転式研点機ECOMET−III(BUEHLER社製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#2000まで研磨して平らな面を得た。研磨面を本発明の粉材で噴射処理して表面を均一に粗くし、水中超音波洗浄後にエアブローによって乾燥した。噴射研磨した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。4−MET(2.5重量部)とシランカップリング剤としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ−METS;2.5重量部)とメタクリル酸メチル(MMA)95重量部からなる溶液を使用直前に調製して0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥した。この表面に対して、スーパーボンド(サンメディカル製)にてアクリル棒を植立して30分間静置した。37℃水中に24時間浸漬後、ならびに、5℃と55℃の水中に各1分間浸漬することを1サイクルとして繰り返す熱サイクル浸漬5000回後に引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行い、接着強さを算出した。
歯科用貴金属(金銀パラニウム)への接着試験
歯科用貴金属(金銀パラジウム合金:プライムキャスト(石福金属製)10×10×3mm)の面を回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER社製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研磨して平らな面を得た。研磨面を本発明の研磨粉末または比較としてアルミナサンドブラスト(Sahara(JELENKO);50μmアルミニウムオキシド)で5kg/cmにて約10秒間処埋して水中超音波洗浄後エアブローによって乾燥した。処理面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。6−(4−ビニルペンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン(VTD,0.5重量部)とアセトン(99.5重量部)からなる溶液を約0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥した。この表面に対して、スーパーボンド(サンメディカル製)にてアクリル棒を植立して30分間静置した。5℃と55℃の水中に各1分間浸漬することを1サイクルとして繰り返す熱サイクル浸漬5000回後に引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行い、接着強さを算出した。
実施例6
実施例3で使用した粉末を使用してポーセレン表面に噴射切削を行った。その結果、接着強さは24時間浸漬後では19MPaでポーセレンの凝集破壊であり、熱サイクル浸漬後では18MPaでポーセレンの凝集破壊と接着材の凝集破壊を含む混合破壊であった。
実施例7
実施例3で使用した粉末を使用して有機無機複合材料に噴射切削を行った。その結果、接着強さは24時間浸漬後では12MPaで複合材料の凝集破壊であり、熱サイクル浸漬後では10MPaで複合材料の凝集破壊と接着材の凝集破壊を含む混合破壊であった。
実施例8
実施例1で使用した粉末を使用して金属表面に噴射切削を行った。その結果、熱サイクル浸漬後では24MPaで接着材の凝集破壊を含む混合破壊であった。
噴射研磨切削法の利点は研磨切削の際に生じる患者の痛みを著しく抑制できるので麻酔せずに研削できること、さらに回転切削工具で生じる高音の回転音を発しないため患者への恐怖心を低減できることである。しかしながら、研磨研削用粉体が歯牙表面に適用した際に突き刺さり、その後の修復治療に使用する接着材の性能を著しく低下させる問題があった。そこで、本発明の水溶性で、かつ、接着材の接着性能を損なわない還元性粉体を用いることで、噴射研磨切削法の利点を生かしながら接着性能の著しい低下なしに修復治療が可能とすることにある。また、粉末成分が口腔内細菌の発育抑制効果を示すため、切削表面に細菌が残存したとしても繁殖が抑制されると期待できた。

Claims (7)

  1. 水溶性の還元性材料(A)を含有してなることを特徴とする歯科研磨用材料。
  2. 水に不溶な粉体(B)をさらに含有する請求項1の歯科研磨用材料。
  3. 材料(A)が粉体である請求項1または2に記載の歯科研磨用材料
  4. 材料(A)が亜硫酸塩および/またはスルフィン酸塩からなる請求項1〜3のいずれかに記載の歯科研磨用材料。
  5. 粉体(B)が無機酸化物である請求項2〜4のいずれかに記載の歯科研磨用材料。
  6. 粉体(B)が、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよびチタニアよりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項2〜5のいずれかに記載の歯科研磨用材料。
  7. 水溶性の還元性材料(A)を含有する歯科研磨用材料で歯牙を研磨または研削し、水洗いして歯牙表面に残存した材料(A)を洗い落とし、そしてその後、歯牙に、分子内に酸性基を有する重合性単量体(C)を含有する接着性組成物を適用する接着方法に用いるための、上記水溶性の還元性材料(A)を含有する歯科研磨用材料
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