JP6145009B2 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得る歯科材料、特に歯科用コンポジットレジンとして好適に使用できる歯科用硬化性組成物に関する。
重合性単量体と無機充填材を含む歯科用硬化性組成物は、コンポジットレジンと呼ばれ、歯の欠損部や虫歯を修復するための材料として今日最も多用される歯科材料となっている。このような歯科用硬化性組成物においては、以下のような特性が要求される。すなわち、重合硬化後の硬化物においては、天然歯と置換可能な十分な機械的強度、口腔内での噛み合わせに対する耐磨耗性、表面の滑沢性等が求められている。また、重合硬化前のペーストにおいては、歯科用充填器具(金属製やプラスチック製)へのベタツキが抑制されており、充填操作が容易であるようなペースト性状等が求められている。
コンポジットレジンに好適な歯科用硬化性組成物のペースト性状を向上させる方法として、高い界面活性を有する化合物を添加する方法が知られている。具体的に例えば、特許文献1には、重合性単量体、充填材、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び重合開始剤を含む歯科用硬化性組成物であって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均分子量が2000〜4000である歯科用硬化性組成物が開示されている。特許文献1に開示の歯科用硬化性組成物によれば、ペーストの形態保持性とシリンジ等の容器からの押し出し性が両立され、良好な取り扱い性が得られている。
また、特許文献2には、重合性単量体、平均粒子径0.03〜0.6μmの無機フィラー、界面活性剤、及び重合開始剤を含んでなる歯科用充填修復材が開示されている。特許文献2に開示の歯科用充填修復材によれば、良好な硬化体表面の光沢とその持続性、重合硬化時の小さい収縮率、及び口腔内でのペーストの充填操作がしやすいペースト性状が得られている。
特開2011−190254号公報 特開2008−037776号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の歯科用硬化性組成物では、その硬化物の機械的強度に改善の余地があることがわかった。また、硬化物の研磨性及び滑沢耐久性にも改善の余地があることがわかった。
特許文献2に記載の歯科用充填修復材でも、その硬化物の機械的強度に改善の余地があることがわかった。また、硬化物の研磨性及び滑沢耐久性にも改善の余地があることがわかった。
本発明は、高い界面活性を有する化合物を含む歯科用硬化性組成物の硬化物の機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性を改善することを目的とする。
本発明は、重合性単量体(A)、無機充填材(B)、及び分子内に(メタ)アクリル基を含み、界面活性剤として機能するノニオン系化合物(C)を含有してなる歯科用硬化性組成物である。
前記ノニオン系化合物(C)は、少なくとも1つの、ポリグリセリン骨格又はアルキレンオキサイド変性ポリグリセリン骨格を含むことが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、前記重合性単量体(A)100重量部に対して、前記ノニオン系化合物(C)を0.1〜25重量部含むことが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、さらに重合開始剤(D)を含むことが好ましい。
本発明によれば、硬化物にした際の機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に優れる、高い界面活性を有する化合物を含む歯科用硬化性組成物が提供される。
重合性単量体(A)
本発明で用いられる重合性単量体(A)は、公知の重合性単量体がなんら制限なく用いられるが、一般には、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。重合性単量体(A)におけるラジカル重合性単量体の具体例としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸などのエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体などが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリルの表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系及び(メタ)アクリルアミド誘導体系の重合性単量体の例を以下に示す。
(I)一官能性(メタ)アクリレート及び(メタ)一官能性アクリルアミド
メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
(II)二官能性(メタ)アクリレート
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート(2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、通称Bis−GMA)、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(通称UDMA)等が挙げられる。
(III)三官能性以上の(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
なお、歯質、金属、セラミックスなどに対する接着性を向上させる場合、本発明の歯科用硬化性組成物には、これらの被着体に対する接着性を付与する機能性モノマーを重合性単量体として含有させることが好ましい場合がある。
機能性モノマーとして、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー、及び11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などのカルボン酸基を有するモノマーは、歯質や卑金属に対して優れた接着性を呈するので好ましい。
また、機能性モノマーとして、例えば、10−メルカプトデシル(メタ)アクリレート、6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン、特開平10−1473号公報に記載のチオウラシル誘導体や特開平11−92461号公報に記載のジスルフィド化合物などの硫黄元素を有するモノマーは、貴金属に対して優れた接着性を呈するので、好ましい。
さらに、機能性モノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの重合性基含有シランカップリング剤は、セラミックス、陶材、歯科用コンポジットレジンへの接着に効果的である。
これらの重合性単量体は、いずれも、それぞれ単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
なお、(A)と(C)という異なるアルファベットを使用していることからわかるように、言うまでもなく、重合性単量体(A)としては、後述の分子内に(メタ)アクリル基を含み、界面活性剤として機能するノニオン系化合物(C)とは異なる構造を有するものが用いられる。
無機充填材(B)
本発明に用いられる充填材(B)は、特に制限はなく、歯科用途に用いられる公知の無機充填材を使用できる。
無機充填材(B)は、組成物の硬化物の高い機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性、ならびにペーストの高い操作性が得られやすいことから、その平均一次粒子径が、0.05〜1.0μmであることが好ましく、0.08〜0.8μmであることがより好ましく、0.1〜0.7μmであることがさらに好ましい。平均一次粒子径が0.05μm未満の場合には、硬化物の研磨性は十分なものになるものの、ペーストに粘度上昇が生じやすくコンポジットレジンに好適な粘度のペーストを得られなくなるおそれがあり、また無機充填材(B)の含有量を高くすることが難しくなって機械的強度が低下するおそれがある。平均一次粒子径が1.0μmより大きい場合には、十分な機械的強度が得られるものの、初期の光沢を得るための研磨性が低下するおそれがある。研磨性が低下すると、臨床現場では、硬化物の光沢を得るために長時間の研磨を要し、処置時間が長くなるため好ましくない。加えて、臨床において重要となる長期間における研磨性、すなわち滑沢耐久性については、平均一次粒子径が1.0μmより大きい場合には、早期に低下してしまうおそれがある。なお、無機充填材(B)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
無機充填材(B)としては、各種ガラス類〔シリカを主成分とし、必要に応じ、重金属、ホウ素、アルミニウム等の酸化物を含有する。例えば、溶融シリカ、石英、ソーダライムシリカガラス、Eガラス、Cガラス、ボロシリケートガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)等の一般的な組成のガラス粉末;バリウムガラス、ストロンチウム・ボロシリケートガラス、ランタンガラスセラミックス、フルオロアルミノシリケートガラスなどの歯科用ガラス粉末〕、各種セラミック類、シリカ−チタニア及びシリカ−ジルコニア等の複合酸化物、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、マイカ、フッ化イッテルビウム、アルミナ、フッ化イッテルビウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、ヒドトキシアパタイト、二酸化ジルコニウム、フッ化イットリウム等が挙げられる。これらは市販品として入手できるものもあり、商品名として、例えば、ショット社製のGM27884、GM8235、GM31684、GM35429、G018−091、G018−117;ESSTECH社製のE2000、E3000、E4000;日本アエロジル社製のアエロジル、アエロジル130、アエロジル380、アエロジルR972、アエロジルOX−50、アエロキサイドAluC、アエロキサイドTiO2P25、アエロキサイドTiO2P25S、VP Zirconium Oxide 3−YSZ、VP Zirconium Oxide 3−YSZ PHなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、無機充填材(B)として、高い研磨性及び機械的物性を付与しながら、さらに高いペーストの取り扱い性を付与するために、凝集粒子より構成される無機充填材を使用することができる。その具体例としては、シリカゾル(スノーテックスシリーズ;日産化学製、カタロイドシリーズ;日揮触媒化成社製)、ジルコニアゾル(ナノユースシリーズ;日産化学製)を凝集させて得られる粒子、日揮触媒化成社製のシリカマイクロビードP500、シリカマイクロビードP1500等が挙げられる。
無機充填材(B)は、重合性単量体(A)と組み合わせて歯科用組成物に用いることから、無機充填材(B)と重合性単量体(A)との親和性を改善したり、無機充填材(B)と重合性単量体(A)との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。表面処理を施す場合、無機充填材(B)の平均粒子径としては、表面処理後の平均粒子径が測定対象となる。
かかる表面処理剤としては、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物を用いることができる。有機金属化合物を2種以上使用する場合は、2種以上の金属化合物の混合物の表面処理層としてもよいし、複数の有機金属化合物層が積層した複層構造の表面処理層としてもよい。さらに、表面処理剤としては有機リン化合物を用いることもできる。
有機ケイ素化合物としては、R1 nSiX4-nで表される化合物が挙げられる(式中、R1は、炭素数1〜12の置換又は無置換の炭化水素基であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nは、0〜3の整数である。R1及びXが複数ある場合にはそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
この中でも、重合性単量体(A)と共重合し得る官能基を有するカップリング剤、例えばω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が特に好ましく用いられる。
有機チタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニルアセテート等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウム有機酸塩キレート化合物等が挙げられる。
有機リン化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。
無機充填材(B)の含有量としては、所望の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、ペーストの操作性と硬化物の機械的強度の観点から、重合性単量体(A)100重量部に対して、100〜2000重量部が好ましく、120〜1500重量部がより好ましく、150〜1200重量部がさらに好ましい。
分子内に(メタ)アクリル基を含み、界面活性剤として機能するノニオン系化合物(C)
本発明に用いられるノニオン系化合物(C)は、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリル基を含み、ノニオン系界面活性剤として機能する化合物である限り特に制限はない。
(メタ)アクリル基は、重合性単量体(A)の重合性基との反応性が高いため、ノニオン系化合物(C)は重合性単量体(A)と容易に共重合し得る。その結果、高い界面活性を有する化合物を含む歯科用硬化性組成物の硬化物の機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性を向上させることができる。(メタ)アクリル基は、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基として含有されることが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基として含有されることが好ましい。(メタ)アクリル基の数は1〜6個が好ましい。6個より多い場合には、ペースト粘度が高くなりすぎるなど不具合を生じるおそれがある。
本発明において、ノニオン系化合物(C)は、重合性基である(メタ)アクリル基を含むが、前述のように重合性単量体(A)とは異なる構造を有する。そして、界面活性剤としての機能を有し、ノニオン系化合物(C)の界面活性の程度としては、親水親油バランスの指標であるHLBが、2以上であることが好ましく、3〜18であることがより好ましい。
本発明に用いられるノニオン系化合物(C)は、界面活性の観点から、少なくとも1つの、ポリグリセリン骨格又はアルキレンオキサイド変性ポリグリセリン骨格を含有することが好ましい。これらの骨格に含まれるポリグリセリンは、水酸基当量から得られる平均重合度が2〜12であることが好ましく、より好ましくは4〜10である。平均重合度が2未満の場合、硬化性が低下するおそれがある。また、平均重合度が12より大きい場合には、精製工程で水洗ができないなど、製造面で不利となるおそれがある。前記アルキレンオキサイド変性ポリグリセリン骨格のアルキレンオキサイドの例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。これらは1種又は2種以上含まれていてもよい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、ポリグリセリンの水酸基1当量に対してアルキレンオキサイド0.5〜3.5モルが好ましく、より好ましくは1〜3モルである。ノニオン系化合物(C)としては、ポリグリセリン−(メタ)アクリル酸のエステル化物及び/又はアルキレンオキサイド変性ポリグリセリン−(メタ)アクリル酸のエステル化物が特に好ましい。
ノニオン系化合物(C)の粘度は、特に限定されないが、ペーストの粘度及び操作性の観点から、25℃での粘度が2000mPa・s以下であることが好ましい。
ノニオン系化合物(C)の含有量としては、重合性単量体(A)100重量部に対して0.1〜25重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.3〜15重量部がさらに好ましい。0.1重量部より少ない場合には、操作性等が低下するおそれがある。25重量部よりも多い場合には、硬化物の水溶性が高くなるため、硬化物の硬度が低下するおそれがある。
重合開始剤(D)
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合硬化を容易にするために、重合開始剤(D)をさらに含んでいてもよい。
重合開始剤(D)としては、公知の重合開始剤を使用することができ、通常、重合性単量体(A)の重合性と重合条件を考慮して選択する。
常温重合を行う場合には、例えば、有機過酸化物/アミン系、有機過酸化物/アミン/スルフィン酸(又はその塩)系等のレドックス系の重合開始剤が好適に用いられる。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、酸化剤と還元剤が別々に包装された包装形態をとり、使用する直前に両者を混合する必要がある。酸化剤としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシカーボネート類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物を挙げることができる。具体的には、ジアシルパーオキサイド類としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。パーオキシカーボネート類としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。還元剤としては、通常第三級アミンが用いられ、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。上記の他、クメンヒドロパーオキサイド/チオ尿素系、アスコルビン酸/Cu2+塩系、有機スルフィン酸(又はその塩)/アミン/無機過酸化物系等の酸化−還元系開始剤の他、トリブチルボラン、有機スルフィン酸なども好適に用いられる。
可視光線照射による光重合を行う場合には、α−ジケトン/第3級アミン、α−ジケトン/アルデヒド、α−ジケトン/メルカプタン等の酸化−還元系開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、例えば、α−ジケトン/還元剤、ケタール/還元剤、チオキサントン/還元剤等が挙げられる。α−ジケトンの例としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなどが挙げられる。ケタールの例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チオキサントンの例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。還元剤の例としては、ミヒラーケトン等;2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、ジメチルアミノフェナントール等の第三級アミン;シトロネラール、ラウリルアルデヒド、フタルジアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド類;2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、4−メルカプトアセトフェノン、チオサリチル酸、チオ安息香酸等のチオール基を有する化合物等をあげることができる。これらの酸化−還元系に有機過酸化物を添加したα−ジケトン/有機過酸化物/還元剤の系も好適に用いられる。
紫外線照射による光重合を行う場合には、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が好適である。さらに、アシルフォスフィンオキサイド系やビスアシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤も好適に用いられる。かかるアシルフォスフィンオキサイドとしては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。前記ビスアシルフォスフィンオキサイドとしては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。さらに、これらの(ビス)アシルフォスフィンオキサイドは、水溶性の置換基を含有しても構わない。これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤は、単独もしくは各種アミン類、アルデヒド類又はメルカプタン類、スルフィン酸塩等の還元剤と併用することもできる。上記可視光線の光重合開始剤とも好適に併用することができる。
上記重合開始剤は単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。
重合開始剤(D)の含有量は、重合性単量体(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5.0重量部がより好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物には、上記の成分以外に、重合禁止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、顔料等の添加剤を原料として配合してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−t−ブチルフェノール、4−メトキシフェノール等が挙げられ、これらを1種又は2種以上配合しても良い。
本発明の歯科用硬化性組成物は、当業者に公知の方法により、製品形態(1ペースト形態、2ペースト形態、粉−液形態、成型された形態)に応じて製造することができる。なお、歯科用硬化性組成物が化学重合タイプ、又は化学重合性及び光重合性を併せ持つデュアルキュアタイプの場合には、酸化剤を含む組成物と還元剤を含む組成物とが別々に包装された製品形態をとることが好ましく、当該製品形態では、使用直前に両組成物が混合される。
本発明の歯科用硬化性組成物は、良好なペースト性状を有し、操作性に優れる。また、本発明の歯科用硬化性組成物の硬化物は、機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に優れる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科用接着剤、歯科用セメント、歯科用コンポジットレジン、金属やセラミックスの歯科用前処理材などの各種歯科材料に用いることができ、中でも、天然歯の一部分又は全体を代替し得る歯科材料として好適に使用でき、歯科用コンポジットレジンとして特に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
分子内に(メタ)アクリル基を含み、界面活性剤として機能するノニオン系化合物(C)の製造例
c−1
ジグリセリン332g(2モル)にエチレンオキシド352g(8モル)を付加させた化合物に対して、アクリル酸634g(8.8モル)を85℃で12時間反応させた。続いて、トルエン3000g及び水3000gを加えて、水酸化ナトリウムを徐々に添加して、中和させた。分液ロートで有機層を取り出し、エバポレーターにてトルエンを留去し、ジグリセリンエチレンオキシド(4モル)付加物のアクリレート反応物(c−1)を得た。生成物の粘度は、230mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して80%であった。
c−2
エチレンオキシドの量を880g(20モル)に変更した以外は、c−1と同様の反応を行い、ジグリセリンエチレンオキシド(10モル)付加物のアクリレート反応物(c−2)を得た。生成物の粘度は、290mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して85%であった。
c−3
ジグリセリン332g(2モル)をテトラグリセリン628g(2モル)に、アクリル酸の量を1298g(18モル)に、反応時間を18時間に変更した以外は、c−1と同様の反応を行い、テトラグリセリンエチレンオキシド(4モル)付加物のアクリレート反応物(c−3)を得た。生成物の粘度は、380mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して93%であった。
c−4
ジグリセリン332g(2モル)をデカグリセリン1516g(2モル)に、エチレンオキシドの量を2112g(48モル)に、アクリル酸の量を2594g(36モル)に、反応時間を18時間に変更した以外は、c−1と同様の反応を行い、デカグリセリンエチレンオキシド(24モル)付加物のアクリレート反応物(c−4)を得た。生成物の粘度は、890mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して93%であった。
c−5
アクリル酸2594g(36モル)をメタクリル酸3099g(36モル)に変更した以外は、c−4と同様の反応を行い、デカグリセリンエチレンオキシド(24モル)付加物のメタクリレート反応物(c−5)を得た。生成物の粘度は、790mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたメタクリル酸の反応割合は、水酸基に対して92%であった。
c−6
テトラグリセリン332g(2モル)に対して、アクリル酸1298g(18モル)を85℃で15時間反応させた。続いて、トルエン4000g及び水4000gを加えて、水酸化ナトリウムを徐々に添加して、中和させた。分液装置で有機層を取り出し、エバポレーターにてトルエンを留去し、テトラグリセリンのアクリレート反応物(c−6)を得た。生成物の粘度は、510mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して88%であった。
c−7
デカグリセリン1516g(2モル)に対して、アクリル酸2594g(36モル)を85℃で15時間反応させた。続いて、トルエン6000g及び水6000gを加えて、水酸化ナトリウムを徐々に添加して、中和させた。分液装置で有機層を取り出し、エバポレーターにてトルエンを留去し、デカグリセリンのアクリレート反応物(c−7)を得た。生成物の粘度は、710mPa・s(25℃)であり、けん化価から算出されたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して89%であった。
比較用の界面活性剤として機能するノニオン系化合物
c−8:デカグリセリンモノラウレート(理研ビタミン株式会社製、ポエムJ−0021)
c−9: ソルビタンモノステアレート(理研ビタミン株式会社製、リケマールL−250A)
c−10:ポリエチレングリコールモノステアレート(花王製、エマノーン3199V)
c−11:デカオレイン酸デカグリセリル(平均分子量3395)
c−12:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王製、エマルゲン103)
重合性単量体組成物の製造例
表1又は2に示す重合性単量体総量100重量部に対して、カンファーキノン0.20重量部、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル0.30重量部、トリメチルジフェニルホスフィンオキシド0.25重量部、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.05重量部、チヌビン(326)0.3重量部、及び蛍光顔料ルミノックスブルー0.05重量部を混合し、重合性単量体組成物を得た。なお、表中の重合性単量体の略号は以下の通りである。
D2.6E:2,2−ビス(メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン
実施例1〜12及び比較例1〜7
表1又は2に示す無機充填材及び重合性単量体組成物を混合し、実施例1〜12及び比較例1〜7のペースト状の歯科用コンポジットレジンを調製した。調製した歯科用コンポジットレジンペーストについて以下の特性評価試験を実施した。試験結果を表1及び2に示す。なお、表中の無機充填材の略号は以下の通りであり、平均粒子径の測定方法を以下に示す。
NF 180 MPS:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで処理したSCHOTT社製GM27884 NanoFine 180(平均粒子径0.18μm;シラン処理量7%)
UF0.4:SCHOTT社製GM27884 UF0.4(平均粒子径0.4μm)
UF0.7:SCHOTT社製GM27884 UF0.7(平均粒子径0.7μm)
P500:日揮触媒化成社製シリカマイクロビードP500(超微粒子;平均粒子径12nm、凝集体平均粒子径2μm)
〔無機充填材(B)の平均粒子径の測定法〕
無機充填材(B)の平均粒子径は体積中位粒径のことであり、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
測定機:SALD−2100型(島津製作所製)
解析方法:光透過式遠心沈降法
分散液:0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム
分散条件:前記分散液20mLに試料15mgを添加し、超音波分散機にて30分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を測定し、体積中位粒径及び0.01〜100μmの粒子径を有する粒子数の割合を求める。
〔ペースト性状〕
金属製の充填器具を用いてプラスチック製の模擬窩洞(5級窩洞を模した3mm×4mm×2mmの穴)に25℃でペースト充填操作を行う。充填操作のしやすさの観点から、以下の基準に従い評価点をつける。1及び2である場合を合格品とする。
1.ベタツキを感じない
2.ややベタツキを感じる
3.ひどいベタツキを感じる
〔研磨性〕
テフロン型(φ10mm、厚み2.0mm)にペーストを充填し、照射器(ペンキュア2000、モリタ製)で10秒間光照射を行う。テフロン型から試験片を取り出し、綺麗な平滑面を#600研磨紙にて乾燥条件下で研磨する。さらに、技工用エンジンとしてVolvere RX (NSK社製)を使用し、注水条件下、シリコンポイント茶色(松風社製)を用いて回転速度約5000rpmで10秒間研磨し、続けてシリコンポイント青色(松風社製)を用いて回転速度約5000rpmで10秒間研磨する。その後、この研磨面の光沢を光沢度計(日本電色社製VG−2000、測定角度60度)を用いて測定し、鏡を100%とした時の割合(光沢度)で示す。光沢度が60%以上の場合に、研磨性が良好とする。
〔滑沢耐久性〕
テフロン型(φ10mm、厚み2.0mm)にペーストを充填し、照射器(ペンキュア2000、モリタ製)で10秒間光照射を行う。テフロン型から試験片を取り出し、綺麗な平滑面を#1500研磨紙、#2000研磨紙、#3000研磨紙の順に乾燥条件下で研磨し、最後に、光沢度計(日本電色社製VG−2000、測定角度60度)を用いて測定した研磨面の光沢度が90%となるまで、ダイヤモンドペーストで研磨する。ここで作製した試験片を、歯ブラシ磨耗試験{歯ブラシ:ビットウィーンライオン(硬さふつう)、歯磨き粉:デンタークリアーMAX(ライオン社製)、荷重:250g、試験溶液:蒸留水/歯磨き粉=90/10wt%(50mL)、磨耗回数:4万回}した後の試験片の光沢度を測定する。磨耗後の光沢度が60%以上のものを、滑沢耐久性が良好とする。
〔曲げ強さ〕
ペーストをステンレス製の金型(寸法2mm×2mm×25mm)に充填後、上下をスライドガラスで圧接し、歯科用技工用光照射器(モリタ製、アルファーライトII)で両面から各2分間ずつ光を照射して硬化させる。各実施例及び比較例について、硬化物を5本ずつ作製し、硬化物は、金型から取り出した後、37℃の蒸留水中に24時間保管する。インストロン万能試験機を用いて、スパン:20mm、クロスヘッドスピード:1mm/minの条件下で曲げ強度を測定し、各試験片の測定値の平均値を算出し、曲げ強度とする。曲げ強度が130MPa以上である場合を合格品とする。
Figure 0006145009
Figure 0006145009
本発明の歯科用硬化性組成物は、各種歯科材料に用いることができ、特に天然歯の一部分又は全体を代替し得る歯科材料として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 重合性単量体(A)、無機充填材(B)、及び分子内に(メタ)アクリル基を含み、界面活性剤として機能するノニオン系化合物(C)を含有し、前記ノニオン系化合物(C)が、少なくとも1つの、ポリグリセリン骨格又はアルキレンオキサイド変性ポリグリセリン骨格を含む歯科用硬化性組成物。
  2. 前記重合性単量体(A)100重量部に対して、前記ノニオン系化合物(C)を0.1〜25重量部含む請求項に記載の歯科用硬化性組成物。
  3. さらに重合開始剤(D)を含む請求項1又は2に記載の歯科用硬化性組成物。
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