JP4816835B2 - 非導電性樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置 - Google Patents

非導電性樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC、LSI等の半導体素子をリードフレーム、ガラスエポキシ基板等に接着するのに好適な非導電性樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の実装方式は、高密度実装の点から、従来のピン挿入方式から表面実装方式へと移行しているが、基板への実装には基板全体を赤外線等で加熱するリフローソルダリングが用いられている。しかしながら、この方法では、半導体装置が200℃以上の高温にさらされるため、半導体装置内部、特に接着剤層中又は封止剤中に含まれる水分の急激な気化膨張により、リフロークラックと呼ばれるクラックが生じて、半導体装置の信頼性が大きく低下するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リフローソルダリング時の水分の急激な気化膨張によるパッケージの膨れを抑制し、リフロークラックが発生しない非導電性樹脂ペースト組成物及びこれを用いた信頼性の高い半導体装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)20℃で液状である芳香族基を有するエポキシ樹脂、
(B)エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物及び
(C)非導電性フィラー
を含有してなる非導電性樹脂ペースト組成物及びこの非導電性樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子と基板とを接着した後、封止してなる半導体装置に関する。
【0005】
本発明は、さらに(B)成分中のエポキシ化ポリブタジエンが一般式(I)
【化2】
Figure 0004816835
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す〕
で表される化合物である上記の非導電性樹脂ペースト組成物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の非導電性樹脂ペースト組成物は、前記のように、(A)〜(C)成分を含有するものであるが、(A)成分として用いられるエポキシ樹脂は、20℃(室温)で液状であり、芳香族基を有するエポキシ樹脂である。20℃で液状の樹脂としては、粘度が50ポイズ以下(20℃で)のものが好ましい。これ以外のエポキシ樹脂では耐リフロー性が劣る。前記エポキシ樹脂としては、希釈剤を低減できる点から、粘度の低いもの、具体的には粘度が20ポイズ以下(20℃)のものが好ましい。また、硬化性の点から、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。
【0007】
20℃で液状である、ベンゼン環等の芳香族基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔AER−X8501(旭化成工業(株)、商品名)等〕、ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔YDF−170(東都化成(株)、商品名)等〕、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂〔R−1710 (三井石油化学工業(株)、商品名)等〕、芳香族系のグリシジルアミン型エポキシ樹脂〔ELM−100(住友化学工業(株)、商品名)等〕、レゾルシン型エポキシ樹脂〔デナコールEX−201(ナガセ化成工業(株)、商品名)等〕、一般式(II)
【化3】
Figure 0004816835
〔式中、nは0〜5の整数を表す〕
で示されるエポキシ樹脂〔E−XL−24、E−XL−3L(三井東圧化学(株)、商品名)等〕などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、2種類以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0008】
(A)成分は、耐半田リフロー性の点から、(A)〜(C)成分の総量100重量部に対して10〜80重量部使用することが好ましく、20〜50重量部使用することが好ましい。
【0009】
また、上記のエポキシ樹脂のうち、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールAD型エポキシ樹脂は、粘度が低く、耐リフロー性に優れるので好ましい。なお、ビスフェノールFは、2つのヒドロキシフエニル基を結ぶ基がメチレン基の化合物であり、ビスフェノールADは、2つのヒドロキシフエニル基を結ぶ基が1,1−エチレン基である化合物である。
【0010】
本発明に(B)成分として用いられるエポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物に用いられるエポキシ化ポリブタジエンは、ポリブタジエンにエポキシ基が導入された構造を有するもので、市販品として、エポリードPB3600、PB4700(いずれもダイセル化学工業(株)、商品名)、日石ポリブタジエンE−1000−3.5(日本石油化学(株)、商品名)、R−15EPI、R−45EPI(いずれも出光石油化学(株)、商品名)などが挙げられる。これらのエポキシ化ポリブタジエンは、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0011】
これらのエポキシ化ポリブタジエンのうち、前記一般式(I)で表される化合物は、応力低減の効果が高く、耐リフロー性に優れるので、好ましい。前記の一般式(I)で表されるエポキシ化ポリブタジエンとしては、エポリードPB3600(式中のR1及びR2が水素原子)、エポリードPB4700(式中のR1及びR2が水酸基)(いずれもダイセル化学工業(株)製、商品名)などが挙げられる。
【0012】
本発明において、(B)成分の製造に用いられるフェノール樹脂としては、アリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。アリル化フェノール樹脂としては、一般式(III)
【化4】
Figure 0004816835
〔式中、mは1以上の整数である〕
で表されるものが好ましく、この市販品としてはAL−VR−9300(三井東圧化学(株)、商品名)などが挙げられる。一般式(III)において、繰り返し数を示すmは、10以下の整数であることが好ましい。
【0013】
エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物は、エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂とを、ベンジルジメチルアミン等の触媒の存在で加熱反応させることによって得られる。
【0014】
エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との配合量は、耐リフロー性等の点から、エポキシ化ポリブタジエン100重量部に対して5〜100重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましく、10〜30重量部が特に好ましい。このような割合で配合したエポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂に、触媒として0.1重量部程度のベンジルジメチルアミンを添加し、120℃で1時間加熱反応させることにより、エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物を得ることができる。
【0015】
また、(B)成分であるエポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物の配合量は、耐半田リフロー性などの点から(A)〜(C)成分の総量100重量部に対して10〜80重量部が好ましく、20〜50重量部がより好ましい。
【0016】
本発明に(C)成分として用いられる非導電性フィラーとしては、特に制限はなく、各種のものが用いられるが、例えば、窒化硼素、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、接着性に優れ、イオン不純物の少ない窒化硼素及び酸化アルミニウムが好ましい。
非導電性フィラーの形状は、フレーク状、球状、不定形状等があり、特に制限はないが、接着性に優れたフレーク状が好ましい。その数平均粒径としては、特に制限はないが、非導電性等の点から50μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。平均粒子径はマスターサイザー(マルパン社製)等により測定することができる。
【0017】
(C)成分の非導電性フィラーの配合量は、接着性、作業性等の点から、(A)〜(C)の総量100重量部に対してl〜80重量部が好ましく、50〜40重量部がより好ましい。
【0018】
さらに、本発明の非導電性樹脂ペースト組成物には、必要に応じて硬化促進剤を添加することができる。硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、有機ボロン塩〔EMZ・K、TPP(北興化学株式会社製、商品名)等〕、三級アミン類及びその塩〔DBU、U−CAT102、106、830、840、5002(いずれもサンアプロ株式会社製、商品名)等〕、イミダゾール類〔キュアゾール2P4MHZ、Cl7Z、2PZ−O(いずれも四国化成株式会社製、商品名)等〕、アセチルアセトン金属塩(金属としてA1、Cu、Co、Ni、Zn等)などが挙げられる。必要に応じて添加される硬化促進剤は単独で用いてもよく、複数種の硬化促進剤を適宜組み合わせて用いてもよい。これらを用いる場合、その量は(A)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して0.l〜20重量部が好ましく、l〜10重量部がより好ましい。
【0019】
本発明になる非導電性樹脂ペースト組成物には、ペースト組成物の作成時の作業性及び使用時の塗布作業性をより良好ならしめるため、必要に応じて希釈剤を添加することができる。これらの希釈剤としては、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、α−テルピネオールなどの比較的沸点の高い有機溶剤、PGE(日本化薬株式会社製、商品名)、PP−101(東都化成株式会社製、商品名)、ED−502、503、509(旭電化株式会社製、商品名)、YED−122 (油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)、KBM−403、LS−7970(信越化学工業株式会社製、商品名)、TSL−8350、TSL−8355、TSL−9905(東芝シリコーン株式会社製、商品名)などのl分子中にl〜2個のエポキシ基を有する反応性希釈剤が挙げられる。
これらは、耐リフロー性の観点からは少ない方が好ましく、具体的には非導電性樹脂ぺースト組成物中10重量%以下とするのが好ましい。
【0020】
本発明になる非導電性樹脂ペースト組成物には、さらに必要に応じてシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の接着力向上剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤などを適宜添加することができる。
【0021】
本発明の樹脂ペースト組成物を製造するには、前記の(A)、(B)及び(C)成分並びに必要に応じて添加される硬化促進剤、希釈剤及び各種添加剤を、一括又は分割して攪拌器、らいかい器、3本ロール、プラネタリーミキサー等の分散・溶解装置又はこれらを適宜組み合わせた装置に投入し、必要に応じて加熱して混合、溶解、解粒混練又は分散して均一なペースト状とすればよい。
【0022】
本発明においては、さらに、上記のようにして製造した樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子と基板とを接着した後、封止することにより半導体装置とすることがてきる。本発明の樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子をリードフレーム等の基板に接着させるには、まず、基板上に樹脂ペースト組成物をディスペンス法、スクリーン印刷法、スタンピング法などにより塗布した後、半導体素子を圧着し、その後オーブン、ヒートブロック等の加熱装置を用いて、例えば120〜250℃に加熱硬化することにより行うことができる。さらに、ワイヤボンド工程を経た後、通常の方法、例えば各種封止剤を用いて封止することにより完成された半導体装置とすることができる。
【0023】
【実施例】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた材料は、下記の方法で作製したもの、あるいは入手したものである。
【0024】
(1)エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物の作成
エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB4700)100重量部にフェノール樹脂(三井東圧化学株式会社製、商品名AL−VR−9300)20重量部及び触媒としてベンジルジメチルアミン (東京化成工業株式会社製、試薬)0.12重量部を加え、120℃に加熱し、1時間攪拌を続け、エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物を得た。
【0025】
(2)比較例で用いたフェノール樹脂溶液の調整
フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、商品名H−1、OH当量=106)1重量部及び希釈剤としてアルキルフエニルグリシジルエーテル(東都化成株式会社製、商品名PP−101、エポキシ当量=230)2重量部を100℃に加熱し、1時間攪拌を続け、均一なフェノール樹脂溶液を得た。
(3)希釈剤
アルキルフエニルグリシジルエーテル(東都化成株式会社製、商品名PP−101)
【0026】
(4)硬化促進剤
2−フエニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール(四国化成株式会社製、2P4MHZ)
(5)非導電性フィラー
窒化硼素フィラー(電気化学工業株式会社製、BN−GP)
【0027】
実施例1〜2及び比較例1〜3
表1に示す配合割合で各成分を混合し、3本ロールを用いて混練した後、5トル(Torr)以下で10分間脱泡処理を行い、非導電性樹脂ペースト組成物を得た。
この非導電性樹脂ペースト組成物の特性(粘度、接着強度、ピール強度及び耐リフロー性)を下記の方法で測定し、結果を表1に示す。
【0028】
▲1▼ 粘度
EHD型回転粘度計(東京計器株式会社製)を用いて25℃における粘度(Pa・s)を測定した。
▲2▼ 接着強度
非導電性樹脂ペースト組成物をAgめっき付銅リードフレーム上に約80μg塗布し、この上に2mm×2mmのSiチップ(厚さ約0.4mm)を圧着し、さらに200℃に設定したヒートブロック上に載せ、60秒加熱した。この試料について自動接着力試験装置(Dage社製、マイクロテスター)を用いて室温における剪断接着強度(kg/チップ)を測定した。
▲3▼ ピール強度
非導電性樹脂ペースト組成物を42アロイ上に約1.0mg塗布し、この上に8mm×8mmのSiチップ(厚さ約0.4mm)を圧着し、さらに200℃に設定したヒートブロック上に載せ、60秒加熱した。この試料について自動接着力試験装置(日立化成工業(株)製)を用いて240℃における引き剥がし強さ(kg/チップ)を測定した。
【0029】
▲4▼ 耐リフロー性
上記実施例及び比較例により得た非導電性樹脂ペースト組成物を用い、42アロイのリードフレームと8mm×10mmのSiチップ(厚さ約0.4mm)を、180℃まで30分で昇温し、180℃で6時間加熱して硬化するという硬化条件により硬化し、接着した。その後、日立化成工業(株)製エポキシ封止材(商品名CEL−4620)により封止し、半田リフロー試験用パッケージ(QFP、大きさ14mm×20mm×2mm)を得た。同じ試験用パッケージを5個作製した。各パッケージを温度及び湿度がそれぞれ85℃及び85%の条件に設定された恒温恒湿槽中に48時間放置し、吸湿させた。その後、240℃/10秒のリフロー条件で半田リフローを行い、パッケージの外部クラックの発生数を顕微鏡(倍率15倍)で観察した。5個のサンプルについてクラックの発生したパッケージ数を示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004816835
【0031】
表1に示した結果から、エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物を用いていない比較例1では、全てのパッケージに外部クラックが発生し、エポキシ化ポリブタジエン及びフェノール樹脂のいずれか一方しか用いていない比較例2及び3でも高い割合でパッケージに外部クラックが発生するため、半導体装置の信頼性低下を招く。それに対して実施例1及び2に示した本発明の非導電性樹脂ペースト組成物を用いた場合は、パッケージの外部クラックの発生も抑制され、信頼性の高いパッケージが得られることが確認された。
【0032】
【発明の効果】
本発明の非導電性樹脂ペースト組成物は、リフローソルダリング時の水分の急激な気化膨張によるパッケージの膨れを抑制し、リフロークラックが発生しないものであり、特に、エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物として一般式(I)で示した化合物を用いた場合には、さらに、応力の低減効果が得られ、リフロークラック抑制効果がいっそう顕著になる。
本発明の半導体装置は、リフローソルダリング時の水分の急激な気化膨張によるパッケージの膨れを抑制し、リフロークラックが発生しないため、半導体装置としての信頼性が高い。

Claims (2)

  1. (A)20℃で液状である芳香族基を有するエポキシ樹脂、(B)エポキシ化ポリブタジエンとフェノール樹脂との反応物及び(C)非導電性フィラーを含有してなる、半導体素子と基板との接着用の非導電性樹脂ペースト組成物。
  2. 請求項1記載の非導電性樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子と基板とを接着した後、封止してなる半導体装置。
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