JP4814806B2 - 制御装置、制御方法および制御プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、PID制御技術に係り、特に,制御対象が外乱で特性変動する場合に有効なPID調節計を用いた制御装置、制御方法および制御プログラムに関する。
比例(P)動作、積分(I)動作および微分(D)動作をするPID調節計を用いたプロセス制御は、各種プラント等の工業プロセスにおいて、制御対象における温度、圧力、流量等の制御量を最適化するために広く行われている。ここで、プロセスによってはその性質上、制御対象が例えば外乱等により特性変動し、それによる制御結果の乱れから、製品の品質あるいは生産効率等の低下が引き起こされることがある。以下、この外乱等により特性変動する制御対象を時変構造をもつ制御対象ともいう。
その典型的なプロセスとして、例えば、はんだゴテによるはんだ接合が挙げられる。制御対象であるはんだゴテでは、その内部にヒータが取り付けられ、コテ先に温度測定のための熱電対が温度センサとして配設されている。そして、PID調節計を有する温度制御装置を通してコテ先の温度が制御される。しかし、はんだ接合プロセスにおいて、このコテ先は、回路基板や電子部品などの母材との接触および非接触を繰り返す。また、コテ先と接触するはんだ自身も固相から液相へと状態変化する。更に、はんだゴテの着脱がそのジャケットとの間で繰り返される。このように、はんだゴテは、その負荷熱容量が時間的に変化し特性変動する時変構造の制御対象である。
このように時変構造を有するはんだゴテの温度制御では、上記負荷熱容量が時間的に変動するために、オーバーシュート、ハンティングが生じ易い。そして、近年の地球環境保全のためにSn−Pb系共晶はんだに替わる鉛を含まない、いわゆる非鉛系はんだを用いるはんだ接合が必須になり、はんだゴテの温度制御が従来に増して高精度になってくると、周知のPID制御パラメータ調整あるいはアンチリセットワインドアップの手法では、温度を上記非鉛系はんだを用いる接合プロセスの許容範囲内に制御することができなくなる。
そこで、例えば、PID調節計にフィードバックする温度測定値のサンプリング時間を短くすると共に、ヒータに対し電力量を高分解にして供給し、はんだゴテの温度を高精度に調節する制御系を構築することが考えられる。しかし、このような手法の場合、電力位相制御回路、パルス幅変調回路あるいは直流駆動回路等が必要となり、制御システムを含む装置全体が高コスト化する。
また、上記はんだゴテの負荷熱容量が時間的に変化し特性変動する場合に、その特性変動量に基づいてPID制御とPD制御を切り換える手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では、PD制御においては積分動作がなされないことから、制御量(温度)がその設定値に達しない温度で停留することがある。そして、はんだ接合の熱量不足が起こり製品不良の問題が発生し易くなる。
また、制御対象の外乱時に制御量(温度)がオーバーシュートする場合に、外乱発生と共にPID調節計の積分動作あるいは比例動作を抑制させる手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この手法は、はんだゴテのように特性変動し時変構造を有する制御対象の制御システムには適用できない。この場合、積分動作が継続されることから特許文献1の場合のような停留は生じないが、はんだゴテのように特性変動量が時間的に揺動する場合に制御量(温度)を許容範囲内に制御することができないからである。
このように、制御対象が外乱等で特性変動する場合に効果的に機能し、しかもその低コスト化が容易な制御システムは現状では未だ開発されていない。
特開2002−258952号公報 特開2002−108411号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、制御対象に外乱あるいは特性変動を生じさせる要因が作用しても、これら外乱等に伴う影響を抑制制御し、制御量を設定値に短時間で高精度に整定させることができるPID調節計を用いた制御装置、制御方法および制御プログラムを提供することを主目的とするものである。そして、制御対象を含む制御システムの低コスト化を容易にすることを目的とするものである。
上記目的を達成するために、第1の発明にかかる制御装置は、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定する偏差リミッタ値設定手段と、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱める積分演算抑制手段および微分演算抑制手段と、を有し、
前記微分演算抑制手段は、前記PID調節計の比例要素、積分器および微分器で演算される比例演算出力、積分演算出力、微分演算出力をそれぞれpmv、imv、dmvとし、前記操作量の最大値をUmax、dlimを0<dlim<1の成り立つ一定値とすると、前記微分演算出力dmvを(2)式、(3)式の成り立つ微分演算出力dmv'に弱めることを特徴とする制御装置
Figure 0004814806
Figure 0004814806
また、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、
前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定する偏差リミッタ値設定手段と、
前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱める積分演算抑制手段および微分演算抑制手段と、
を有し、
前記偏差リミッタ値設定手段は、前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとするとき、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差を算出し、
Figure 0004814806
i、jを0≦i<j≦100の成り立つ一定値とし、(4)式を満たす時に前記PID調節計の積分器で演算した積分演算出力を保存し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外から範囲内に変移する時に、前記積分器を前記保存した積分演算出力に初期化する積分初期化手段を有していることを特徴とする。
Figure 0004814806
また、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、
前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定する偏差リミッタ値設定手段と、
前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱める積分演算抑制手段および微分演算抑制手段と、
を有し、
前記偏差リミッタ値設定手段は、前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとするとき、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差を算出し、
Figure 0004814806
前記偏差が前記リミッタ値の範囲内外に変移するときの前記操作量に生じるジャンプ量を低減させるバンプレス型切り換え手段を有しており、
前記バンプレス型切り換え手段は、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインの逆数を前記ジャンプ量に乗じて前記PID調節計の積分器にフィードバックさせることを特徴とする。
そして、第2の発明にかかる制御装置は、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、前記設定値wから前記測定値を減算した偏差eに対し絶対値がHLの上限値および下限値のリミッタ値を設定し、(1)式に基づいてリミッタ偏差erを算出する偏差リミッタ値設定手段と、前記偏差が前記リミッタ値の範囲内にある時に前記PID調節計が演算する操作量、および前記偏差が前記リミッタ値の範囲外にある時に前記PID調節計が積分演算出力と微分演算出力を抑制して演算する操作量を、それぞれuあるいはurとし、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインをK、前記PID調節計の積分器の積分時間をTi、Fを0<F<1の成り立つ一定値、微分演算子をsとするとき、(5)式、(6)式に基づいて可変設定値wrを演算する可変設定値演算手段と、を有し、前記測定値を前記可変設定値に追従させて制御する、構成になっている。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
Figure 0004814806
そして、第3の発明にかかる制御方法は、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱め
前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとして、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差erを算出するステップと、
前記偏差から前記リミッタ偏差を減算するQ=e−erの式を演算し、判定値Qを算出するステップと、
判定値Q≠0となる場合に、前記PID調節計における積分器の演算に用いる前記偏差の絶対値を所定の割合だけ減少させると共に、前記PID調節計の比例要素、積分器および微分器で演算される比例演算出力、積分演算出力、微分演算出力をそれぞれpmv、imv、dmvとし、前記操作量の最大値をUmax、dlimを0<dlim<1の成り立つ一定値として、(2)式、(3)式に基づき微分演算出力dmv'を算出するステップと、
を含むことを特徴とする。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
Figure 0004814806
また、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、
前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱め、
i、jを0≦i<j≦100の成り立つ一定値とし、(4)式を満たす時に前記PID調節計の積分器で演算した積分演算出力を保存し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外から範囲内に変移する時に、前記積分器を前記保存した積分演算出力に初期化することを特徴とする。
Figure 0004814806
また、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、
前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱め、
前記偏差が前記リミッタ値の範囲内外に変移するときに前記操作量に生じるジャンプ量に比例ゲインの逆数を乗じて前記PID調節計の積分器にフィードバックすることを特徴とする。
そして、第4の発明にかかる制御方法は、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、前記設定値wから前記測定値を減算した偏差eに対し絶対値がHLの上限値および下限値のリミッタ値を設定し、(1)式に基づいてリミッタ偏差erを算出するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲内にある時に前記PID調節計が演算する操作量、および前記偏差が前記リミッタ値の範囲外にある時に前記PID調節計が積分演算出力と微分演算出力を抑制し演算する操作量を、それぞれuあるいはurとし、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインをK、前記PID調節計の積分器の積分時間をTi、Fを0<F<1の成り立つ一定値、微分演算子をsとして、(5)式、(6)式に基づいて可変設定値wrを演算するステップと、を有し、前記測定値を前記可変設定値に追従させる構成になっている。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
Figure 0004814806
そして、第5の発明にかかる制御プログラムは、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、前記測定値と前記設定値との偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱めるステップとを、コンピュータに実行させ
前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとして、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差erを算出するステップと、前記偏差から前記リミッタ偏差を減算するQ=e−erの式から判定値Qを算出するステップとを、コンピュータに実行させ、
Figure 0004814806
前記判定値Q≠0となる場合に、前記積分演算出力を弱めるステップは、前記前記PID調節計における積分器の演算に用いる前記偏差の絶対値を所定の割合だけ減少させ、前記微分演算出力を弱めるステップは、前記PID調節計の操作量のうち比例要素、積分器および微分器で演算される比例演算出力、積分演算出力、微分演算出力をそれぞれpmv、imv、dmvとし、前記操作量の最大値をUmax、dlimを0<dlim<1の成り立つ一定値として、(2)式、(3)式に基づき微分演算出力dmv'を算出する
Figure 0004814806
Figure 0004814806
また、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、
前記測定値と前記設定値との偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱めるステップとを、コンピュータに実行させ、
前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとして、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差erを算出するステップと、前記偏差から前記リミッタ偏差を減算するQ=e−erの式から判定値Qを算出するステップとを、コンピュータに実行させ、
Figure 0004814806
i、jを0≦i<j≦100の成り立つ一定値として(4)式を演算するステップと、(4)式が満たされる時に前記PID調節計の積分器で演算した積分演算出力を保存するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外から範囲内に変移する時に前記積分器を前記保存した積分演算出力に初期化するステップとを、コンピュータに実行させる。
Figure 0004814806
また、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、
前記測定値と前記設定値との偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱めるステップとを、コンピュータに実行させ、
前記偏差が前記リミッタ値の範囲内外に変移するときに前記操作量に生じるジャンプ量に比例ゲインの逆数を乗じて前記PID調節計の積分器にフィードバックするステップを、コンピュータに実行させる
そして、第6の発明にかかる制御プログラムは、制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、前記設定値wから前記測定値を減算した偏差eに対し絶対値がHLのリミッタ値を設定し、(1)式に基づいてリミッタ値設定後のリミッタ偏差erを算出するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲内にある時に前記PID調節計が演算する操作量、および前記偏差が前記リミッタ値の範囲外にある時に前記PID調節計が積分演算出力と微分演算出力を抑制し演算する操作量を、それぞれuあるいはurとし、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインをK、前記PID調節計の積分器の積分時間をTi、Fを0<F<1の成り立つ一定値、微分演算子をsとして、(5)式、(6)式に基づいて可変設定値wrを演算するステップと、前記測定値を前記可変設定値に追従させるステップとを、コンピュータに実行させる構成になっている。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
Figure 0004814806
本発明の構成により、時変構造を有する制御対象において、PID調節計を用いた制御装置により、外乱あるいは特性変動を生じさせる要因による影響を抑制制御すると共に制御対象の制御量をその設定値に短時間で高精度に整定させることができる。また、制御対象を含む制御システムの低コスト化が容易になる。
以下に本発明の好適な実施形態のいくつかについて図面を参照して説明する。なお、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略される。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる制御装置、制御方法、制御動作について図1ないし図3を参照して説明する。図1は本実施形態の制御装置の構成例を示すブロック図であり、図2は制御装置の動作を示すフローチャートである。図3は本実施形態の動作説明に供する制御特性図である。
図1に示すように、本実施形態の制御装置は、その主要構成として、PID調節計の比例要素11、積分器12および微分器13を備え、制御量測定値yの制御量設定値wからの偏差eにリミッタ値を設定する偏差リミッタ14、そして、偏差調節要素15、微分リミッタ16、積分演算出力を初期化する積分初期化手段17、演算切換器18を有している。ここで、その詳細は後述されるが、偏差調節要素15は積分器12からの積分演算出力を弱める積分演算抑制手段を構成し、微分リミッタ17は微分器13の微分演算出力を弱める微分演算抑制手段を構成している。そして、演算切換器18は、スイッチ19等と共に、上記比例要素11、積分器12および微分器13から成るPID調節計による通常のPID演算と、制御対象20の特性変動が生じ上記積分演算抑制手段および微分演算抑制手段が作動する演算(以下、Pid演算という)とを切り換える演算切り換え手段を構成している。
PID調節計は、種々の構成が可能であるが、図1には、比例要素11、積分器12および微分器13が並列配置した構成で示されている。そして、(7)式に示す操作量uを演算出力する。
Figure 0004814806
但し、pmv、imv、dmvは、それぞれ、比例要素11からの比例演算出力、積分器12からの積分演算出力、微分器13からの微分演算出力である
そして、これ等のpmv、imvおよびdmvはラプラス変換して、(8)式のように表される。
Figure 0004814806
但し、K、Ki、KdはPID制御パラメータであり、それぞれ比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインである。また、b、cは2自由度化パラメータであり、Nは実用的なPID制御則である不完全微分における高周波ゲインである。そして、W、Y、Eは、それぞれ制御量設定値w、制御量測定値yおよびその偏差e(=w−y)をラプラス変換した値であり、sはラプラス演算子である。
上記PID調節計は、微分器13が出力微分型(c=0)の構成となっている。そして、これ等の補償器には(8)式に示した伝達関数がそれぞれ表記されている。このようなPID調節計は一例であり、他の補償要素の構成であっても本発明は同様に適用される。
偏差リミッタ14は、制御対象20の外乱等に伴う特性変動を検出する機能をもつように設けられている。そこで、制御量設定値wと制御量測定値yの偏差eに対して、所定の上限値および下限値が設けられ、リミッタ値が設定される。例えば、絶対値HLのリミッタ値が設定されており、(1)式に示されるリミッタ偏差erが算出されるようになっている。
Figure 0004814806
このHLは制御対象の時変構造に応じて適宜に決められる一定のパラメータ値であり、制御装置に合わせて予め組み込まれるようになっていてもよいし、その設定値が書き換え自在になっていても構わない。
そして、この偏差リミッタ14において算出されるリミッタ偏差erと偏差eは比較減算器21おいて(9)式の減算処理がなされ判定値Qが算出されるようになっている。詳細は後述されるが、例えば上記特性変動によりQ≠0となり偏差eがリミッタ値の範囲外になると、上記Pid演算が行われる。そして、Q=0であり偏差eがリミッタ値の範囲内にあると、通常のPID演算がなされる。
Figure 0004814806
偏差調節要素15は、伝達関数Fを有しており、後述されるように判定値Q≠0となる場合に演算切換器18によりスイッチ19がオン状態になり、信号線22を介したフィードバックのマイナーループが形成されると、偏差eに伝達関数Fが作用した量を算出して積分器12に送信する。そして、信号線23を介したメインループによりフィードバックされる偏差eは、上記伝達関数Fが作用した量だけ減算され積分器12に入力される。ここで、伝達関数Fは0<F<1を満たす一定のパラメータ値である。このようにして、偏差eの絶対値が所定の割合で低減されて、PID調節計において積分器12の積分演算出力が抑制され弱められる。なお、Fが1に近いほど積分演算出力の制約が大きくなり、0に近いほど通常のPID制御出力に近くなる。
微分リミッタ16は、判定値Q≠0となる場合に演算切換器18により作動し、微分器13からの微分演算出力dmvをフィルタリングして(2)式、(3)式により算出されるdmv'に低減する。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
ここで、UmaxはPID調節計の最大出力量であり通常は100%にされる。また、dlimは0<dlim<1を満たすように設定された一定のパラメータ値である。
この微分リミッタ16により、制御装置においてPID制御の微分演算出力が制約を受け弱められる。そして、制御対象20の特性変動に伴う制御量測定値の急激な時間変動から生じる微分キックが抑制される。このようにして、ノイズ応答におけるような微分器13の誤作動が皆無になり、安定した制御動作が可能になる。
積分初期化手段17は、判定値Q=0であり、しかも、iおよびjを0≦i<j≦100を満たす設定値として(4)式が成立する時に積分器12で演算した積分演算出力を保存しておき、その後の判定値Q≠0からQ=0への変移において、上記保存した積分演算出力の値に積分器12を初期化するようになっている。
Figure 0004814806
演算切換器18は、上述した比較減算器21からの判定値Qの信号を受けて、通常のPID演算と上述したPid演算とを切り換えるようになっている。|w−y|≦HLの場合のQ=0なる判定値Q信号により、上述したようにスイッチ19がオフ状態になり、フィードバック信号は信号線23のメインループのみを介し、制御装置は通常のPID演算による制御動作になる。そして、図1に示した操作量u1が出力される。
一方、|w−y|>HLの場合のQ≠0なる判定値Q信号により、信号線23の例えばスイッチ19がオン状態になり上述したようにマイナーループが形成される。また、上述した微分リミッタ16が作動する。このように、積分演算出力に制約を与える偏差調節要素15、微分演算出力に制約を与える微分リミッタ16が作動することにより、制御装置はPid演算による制御動作になる。そして、図1に示した操作量u2が出力される。
また、演算切換器18は、Q≠0からQ=0への変移において、操作量uにおけるu2からu1の間のジャンプ量を低減させるために、上述したように積分初期化手段17における積分演算出力の初期化を作動させるようになっている。この初期化作動により、Pid演算に基づく制御モードからPID演算に基づく制御モードへの変移において、操作量uのジャンプ量が極めて容易に低減されるようになる。そして、一般のバンプ切り換えにおけるような追従性能の低下は防止される。
上記制御装置の操作量uは制御対象20の制御入力部または駆動部に送信される。そして、この制御入力部または駆動部において、例えば制御対象20がはんだゴテのような場合、操作機器であるリレー、SSR等が、はんだゴテのヒータに電力供給する電力電源のオン/オフ制御により出力制御するようになっている。
そして、本実施形態の制御装置は、上記制御対象20の制御入力部または駆動部を含むものであっても構わない。また、制御装置において上述したところの各構成要素は個別の電子機器から成り、上記制御装置は、これ等により組み上げられたハイブリッド構造になっていてもよいし、マイクロプロセッサのように半導体集積回路装置として集積化された回路構成になっていても構わない。このような集積化した構成においては、上述した演算切り換え手段は、積分演算抑制手段、微分演算抑制手段、積分初期化手段等に組み込まれるようになっていても構わない。
また、上記PID調節計は、アナログ式PID調節計、ディジタル式PID調節計のどちらであってもよい。なお、例えば制御量の計測機器、出力制御部の操作機器等の機器と制御装置との間に、必要に応じてD/A変換器、A/D変換器が適宜に配置される。
次に、本実施形態の制御装置における特徴的な動作について図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示すように、ステップS1において、制御対象20の制御(量)測定値yが制御装置に入力されると、ステップS2において、制御装置内の比較器により制御量設定値wとの偏差eを偏差演算する。ここで、制御量測定値yにノイズ応答がある場合には、フィルタによるノイズ除去が施される。
そして、ステップS3において、上記偏差リミッタ14による偏差リミッタ動作を実行し、(1)式によりリミッタ偏差erを算出する。更に、ステップS4において、(9)式により判定値Qを演算する。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
ここで、ステップS4において、制御対象20の外乱等による特性変動が生じ判定値Q≠0となると、ステップS5において、上述したようなマイナーループ作動を実行し、積分器12における積分演算出力に制約を加え抑制する。但し、マイナーループ作動の実行において積分演算出力を零にはしない。
そして、ステップS6において、(2)式、(3)式に基づいた微分リミッタ動作を実行させる。この動作はマイナーループ動作と同時に行うと好適であるが相前後してもよい。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
このようにして、ステップS7において、積分器12に対する積分演算抑制手段および微分器13に対する微分演算抑制手段が働いたPid演算を行い、制御装置はこのPid演算した操作量u2を制御対象20側に出力する。
他方、ステップS4において、制御対象20の外乱等による特性変動がなく判定値Q=0であると、ステップS8において、判定値Q≠0からQ=0に変移したのかどうかの判定を行い、YESの場合に積分器初期化を実行する。NOの場合はこの積分初期化は行わない。そして、ステップS10において通常のPID演算を行う。ここで、上記初期化では、後述のステップ12において積分出力保存されている積分演算出力が用いられる。この積分出力保存は、ステップS11に示した条件(4)式が成立する場合に実行する。
Figure 0004814806
上記積分器初期化および積分出力保存について、図3を参照して具体的に説明する。図の縦軸は制御量測定値yであり横軸は整定の時間tである。図3において、破線の範囲が|w−y|≦HLとなるQ=0領域であり、この領域においてはPID演算が実行される。そして、|w−y|>HLとなるQ≠0領域においてPid演算が実行される。ここで、制御対象20の特性変動によるQ≠0領域からQ=0に変移するt0においては、そのQ≠0領域で実行したPid演算の累積した積分演算出力値を用いない。その代わりに、上記Q≠0領域以前の直近のQ=0領域のPID演算において積分出力保存されている積分演算出力、すなわち図3の制御特性曲線において、上述の(4)式が成立する点線で示したところの積分演算出力が、上記初期化において使用される。
このようにすることにより、Pid演算により出力される操作量u2からPID演算による操作量u1へのジャンプ量が低減し、微分キック等が抑制され安定した制御動作が可能になる。
以上、本実施形態では、PID調節計を用いた制御装置により、時変構造を有する制御対象において外乱あるいは特性変動を生じさせる要因による影響があった場合でも、そして、その特性変動量が時間的に揺動しても、制御対象の高精度の制御が可能になる。また、制御対象の制御量をその設定値に短時間に整定させることができる。これは、本実施形態による制御では、上記特性変動があると上述したようなPid演算が自在に働いて特性変動に伴う影響が抑制制御されるからである。
例えば、時変構造を有する制御対象において、その制御量の生成源、例えば制御対象がはんだゴテの場合のヒータ(熱源)の能力が過大になる場合であっても、制御対象の高精度の制御が可能になる。一般に、生成源になる熱源の容量が負荷熱容量に較べて高くなると、制御偏差の変動に対して過大応答が生じ易く制御が不安定になり易いが、本実施形態の制御では、この過大応答が抑制されて高精度の制御が可能になる。
また、制御量の計測機器による制御量測定値のサンプリング時間が、制御対象の制御量の変化に較べて長くなる場合であっても、本実施形態の制御では、制御対象におけるオーバーシュートあるいはハンティングが抑制できる。これは、サンプリング時間が相対的に長くなり上述した過大応答が生じても、Pid演算がそれに即応して働き、過大応答によるオーバーシュートあるいはハンティングが抑制されるからである。
また、制御対象あるいは制御装置に内蔵される出力制御部において、高性能で高価な電力位相制御回路、パルス幅変調回路あるいは直流駆動回路等は必ずしも必要でなくなる。例えば、制御対象がはんだゴテの場合、ヒータ電力源として50Hzあるいは60Hz周波数の商用交流電源を使用しても、制御対象は高精度に制御できることから、制御対象を含む制御システムの低コスト化が容易になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかる制御装置、制御方法、制御動作について図4および図5を参照して説明する。図4は本実施形態の制御装置の構成例を示すブロック図であり、図5は制御装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態の特徴は、第1の実施形態で説明した積分初期化手段17に代えて、バンプレス型切換え手段を用いるところにある。
図4に示すように、本実施形態では、第1の実施形態で説明したようなPID調節計と制御対象20との間にバンプレス型切換器24が挿設されている。ここで、制御対象20の入力操作量ur(図4ではu2)として、操作量u(図4ではu1)と上記入力操作量urを比較減算処理する比較減算器25、操作量u1とu2のジャンプ量を低減させるためのジャンプ調節要素26が備えられている。これ等のバンプレス型切換器24、比較減算器25、ジャンプ調節要素26はバンプレス型切り換え手段を構成している。
そして、第1の実施形態で説明したような偏差リミッタ値設定手段、演算切り換え手段、積分演算抑制手段および微分演算抑制手段の各構成要素が備えられている。
上記バンプレス型切換器24は、第1の実施形態で説明した演算切換器18により作動し、判定値Q=0におけるPID演算と判定値Q≠0におけるPid演算との間の演算切り換えにおいて、入力操作量urの操作量u1あるいはu2への切り換え操作をする。この切り換え操作では、切り換え前の操作量ui(i=1又は2)は、図示しないが制御装置のメモリ部に保存されている値(図4では操作量u2)が用いられる。
比較減算器25は、上記PID演算とPid演算の切り換えにおけるジャンプ量(u−ur)を算出する。
ジャンプ調節要素26は、ジャンプ量(u−ur)に1/Kを作用させて積分器12の積分項にマイナーフィードバックするようになっている。ここで、KはPID制御パラメータの比例ゲインである。
このように、本実施形態の制御装置の場合、操作量u(u1、u2)はバンプレス型切り換え手段を介して、操作量u1およびu2の間の切り換えのジャンプ量が抑制されて制御対象20の出力制御部に送信されるようになっている。そして、この出力制御部等の構成は第1の実施形態で説明したのと同様な構成になっている。
次に、本実施形態の制御装置における動作について図5のフローチャートを参照して説明する。図5に示すように、第1の実施形態で説明したのと同様に、ステップS13において、制御対象20の制御(量)測定値yが制御装置に入力されると、ステップS14において、制御装置内の比較器により制御量設定値wとの偏差eを偏差演算する。そして、ステップS15において、第1の実施形態で説明したように、偏差リミッタ14による偏差リミッタ動作を実行しリミッタ偏差erを算出する。また、ステップS16において、上述した判定値Qを演算する。
このステップS16において、制御対象20の外乱等による特性変動が生じ判定値Q≠0になると、ステップS17において、判定値Q=0からQ≠0に変移したのかどうかの判定を行い、YESの場合はステップS18においてPID演算からPid演算へ変移における上述したようなバンプレス型切換えを実行する。NOの場合にはバンプレス型切換えは行わない。そして、ステップS19、ステップS20およびステップ21により、第1の実施形態で説明したマイナーループ作動、微分リミッタ動作およびPid演算を実行する。
ステップS16において、制御対象20の外乱等による特性変動がなく判定値Q=0であると、ステップS22において、判定値Q≠0からQ=0に変移したのかどうかの判定を行い、YESの場合はステップS23においてPid演算からPID演算への変移における上述したバンプレス型切換えを実行する。NOの場合にはバンプレス型切換えは行わない。そして、ステップS24において、通常のPID演算を実行する。
本実施形態では、第1の実施形態で説明したのと同じ効果が生じる。更に、第1の実施形態の積分初期化手段に代えてバンプレス型切り換え手段を用いることにより、制御装置の構成が単純化する。そして、制御装置内蔵のメモリ部のメモリ容量あるいは制御調整に必要なパラメータ値が減少し、制御装置の低コスト化と共に汎用性の向上が容易になる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる制御装置、制御方法、制御動作について図6、図7および図8を参照して説明する。図6は本実施形態の制御装置の構成例を示すブロック図である。図7は、第2の実施形態で説明した図4において微分リミッタ16を除いた構成が等価になる制御装置の構成例のブロック図である。そして、図8は本実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態の特徴は、制御量設定値wを一定値にする第1,2の実施形態と異なり、制御量設定値を可変にし、その可変設定値wrに制御量測定値yをトラッキングさせるところにある。
図6に示すように、本実施形態の制御装置は、PID調節計の比例要素11、積分器12および微分器13を備え、制御量測定値yの制御量設定値wからの偏差eにリミッタ値を設定する偏差リミッタ14を有している。そして、比例減算器21からの判定値Qにより演算処理する可変演算器27を備えている。
PID調節計の比例要素11、積分器12および微分器13は、第1の実施形態で説明したような従来の補償要素の構成になっている。また、偏差リミッタ14および比例減算器21も第1の実施形態で説明したのと同じ機能構成になっている。
可変演算器27は、制御対象20の特性変動を検出する偏差リミッタ14、および比例減算器21からの判定値Qにより、(5)式、(6)式に基づいた演算処理を行い、制御量設定値wから可変設定値wrを算出する
Figure 0004814806
Figure 0004814806
但し、er、e、ur、uは、第1あるいは第2の実施形態で説明したそれぞれリミッタ偏差、偏差、入力操作量、操作量である。そして、sは微分演算子(ラプラス演算子)、TiはK/Kiであり積分時間となる。
可変演算器27で用いられる(5)式は以下のようにして導出することができる。第2の実施形態の説明に用いた図4の微分リミッタ16を除いたブロック図は、等価的に図7のブロック図のように改良される。図7において、図4に示したジャンプ調節要素26は、伝達関数F1(s)なる作用素をもつジャンプ調節要素28に置き換えられている。また、図4に示した偏差調節要素15、演算切換器18およびスイッチ19は、伝達関数F2(s)なる作用素をもつ偏差調節要素29に置き換えられている。
図6から、以下の(10)式が得られ、(10)式を変形して(11)式が導出される。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
但し、式中のsはラプラス演算子であり、その他の英字記号は第1,2の実施形態で説明したものである。
また、図7において、簡便にするために伝達関数F1(s)を1/Kaとし、伝達関数F2(s)を1/Kbにする。このようにして、図7から、(12)式が得られる。そして、(11)式および(12)式から(13)式が導出される。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
(13)式において、Gw1(s)、Gw2(s)は一般に極と零点をもつ動的な伝達関数となる。そこで、Ka=KとすることによりGw1(s)は(14)式になるようにする。また、Gw2(s)のKbは(6)式を満たすようにする。
Figure 0004814806
Figure 0004814806
但し、式中の英字記号は第1,2の実施形態で説明したものである。
このようにして、最終的に(5)式が導出される。
Figure 0004814806
本実施形態の制御装置では、第1および第2の実施形態における微分リミッタ16の微分演算抑制手段は省いてもよいし、(5)式に基づく演算のアルゴリズムとは別に第1の実施形態で説明した微分演算抑制手段に基づくアルゴリズムを導入しても構わない。
次に、本実施形態の制御装置における動作について図8のフローチャートを参照して説明する。図8に示すように、第1の実施形態で説明したのと同様に、ステップS25における制御(量)測定値yの制御装置への入力、ステップS26における制御量設定値wとの偏差eの算出、ステップS27における偏差リミッタ14による偏差リミッタ動作を実行する。そして、リミッタ偏差erを算出する。
次に、比較減算器21による判定値Qを演算し、偏差リミッタ14および比例減算器21からの判定値Qにより、ステップS28において、可変演算器27が制御量設定値wから可変設定値wrを算出する。そして、ステップS29において、可変設定値wrをトラッキングするように通常のPID演算を実行する。このようなトラッキングであると、可変設定値wrから制御量測定値yを減算した偏差量は、リミッタ値の範囲内に入るようになる。逆に、偏差リミッタ値設定手段で設定されるリミッタ値の範囲内に入るように可変設定値wrが演算されるといえる。
ここで、上述した微分演算抑制手段を用いたアルゴリズムを導入する場合には、図6には図示しなかったが、第1の実施形態で説明したように比較減算器21からの判定値Qによる微分リミッタ16の作動を考慮することになる。
本実施形態では、第1の実施形態で説明したのと同じ効果が生じる。更に、制御装置の動作に必要なプログラム量が大幅に低減し、メモリ容量を小さくすることが容易になる。そして、制御装置の低消費電力化が可能になりその適用分野の範囲が拡大する。
第3の実施形態の制御では、LAN、Ethernet(登録商標)等の通信による遠隔操作の制御方式も可能である。この場合には、図6に示した偏差リミッタ14、比較減算器21、可変演算器27の機能は、PID調節計の設置場所とは異なる所に配置された例えばパソコンにより行われ、パソコンからの演算処理の指令信号あるいはデータ信号が上記通信回線を通してPID調節計を制御するような構成になる。
以下、実施例により本発明の効果について具体的に説明する。ここでは、制御装置は、非鉛系はんだ接合用のはんだゴテを制御対象とし、本発明の第1〜3の実施形態で説明した制御構成が実装された温度制御装置である。なお、この温度制御装置に用いたPID調節計は東邦電子(株)社製のTTM−000シリーズのPID温調計である。そして、はんだゴテのヒータ容量は、50Hz周波数の商用交流電力において標準タイプを1キロワットとした。
上記温度制御装置および比較例とした従来の温度制御装置を用い、回路基板への非鉛系はんだ接合をした場合のはんだゴテの温度制御特性を調べた。以下、その特性評価を行った具体例を示す。ここで、PID温調計のPID制御パラメータ調整は、エンドユーザーが実製品で使用する条件で行い、温調計に搭載のオートチューニングを用いた。また、全ての特性評価において同じ条件で実際のはんだ付けを行った。そして、制御量設定値wは350℃とし、評価結果の温度制御特性図に示されている300秒付近からの温度波形の振動は、はんだ付け作業を3秒間隔で断続して行った結果である。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでないことに言及しておく。
(実施例1)
温度制御装置は、第1の実施形態の制御装置にTTM−000シリーズのPID温調計を組み込んでものである。ここで、第1の実施形態で説明したリミッタ値は、その絶対値をHLとして上限値および下限値を±50℃とした。また、偏差調節要素における伝達関数Fは0.7の一定値とした。そして、微分リミッタおよび積分初期化手段におけるパラメータ値は最適化した値である。
この温度制御装置を用いた非鉛系はんだ接合した場合のはんだゴテの温度制御特性を一例の温度制御特性図である図9に示している。この場合、室温から温度設定値までの起動時の整定時間は40秒程度と極めて短く、しかも、オーバーシュートおよびハンティングが全く生じないことが判る。また、はんだ付け作業を示す300秒付近からの温度波形の振動は、はんだ付け作業後に停止し、はんだゴテの温度は、作業後にオーバーシュートおよびハンティングが全くなく温度設定値に速やかに整定されることが判る。また、3秒間隔で断続する各はんだ付けにおける速応性の高いことが判る。ここで、温度波形の上下振動において、下側への温度の振れは、はんだゴテが回路基板に接触しその負荷熱容量が大きくなって生じるが、この温度の下振れも小さく制御されている。
(実施例2)
温度制御装置は、第2の実施形態の制御装置にTTM−000シリーズのPID温調計を組み込んでものである。ここで、第1の実施形態の積分初期化手段をバンプレス型切換え手段に変えて実装した以外は第1の実施形態の場合と同じである。
この温度制御装置を用いた非鉛系はんだ接合した場合のはんだゴテの温度制御特性を一例の温度制御特性図である図10に示している。この場合も、起動時のの整定時間は40秒程度と極めて短くすることができる。但し、はんだゴテの起動時およびはんだ付け作業終了後において僅かなオーバーシュートが生じているが、非鉛系はんだ接合における実用上の問題はない。また、3秒間隔の断続した各はんだ付け直後の温度の跳ね上がりが小さくなることが判る。この場合も、温度波形の振動において、温度の下振れは小さく制御されている。
(実施例3)
温度制御装置は、第3の実施形態の制御装置にTTM−000シリーズのPID温調計を組み込んでものである。ここで、可変演算器により演算した可変温度設定値に温度をトラッキングさせた以外は第1の実施形態の場合と同じである。
この温度制御装置を用いた非鉛系はんだ接合した場合のはんだゴテの温度制御特性を一例の温度制御特性図である図11に示している。この場合であっても、室温から温度設定値までの起動時の整定時間は40秒程度と極めて短くすることができる。但し、この起動時において僅かなオーバーシュートが生じているが、非鉛系はんだ接合における実用上の問題はない。また、3秒間隔の断続した各はんだ付け直後の温度の跳ね上がりが最も小さくなることが判る。この場合も、温度波形の振動において、温度の下振れは小さく制御されている。
この実施例3において、はんだゴテのヒータ容量を変化させた場合の温度制御特性の結果について図12に示している。ここで、図12(a)、図12(b)および図12(c)は、上記標準ヒータ容量のそれぞれ20%、100%、180%の場合の結果である。これ等の図から、ヒータ容量が上記標準値より小さい場合は、図11で説明したのとほぼ同様な温度制御特性であるが、温度の下振れが大きくなることが判る。これに対して、ヒータ容量が上記標準より大きい場合は、図11で説明したような僅かなオーバーシュートがなくなり、温度の下振れが小さくなることが判る。
(比較例)
比較例の温度制御装置は、一般的なPID温調計を用いた従来の温度制御装置である。
従来の温度制御装置を用いた非鉛系はんだ接合した場合のはんだゴテの温度制御特性を一例の温度制御特性図である図13に示している。この場合は、起動時の整定時間が40秒程度になるようにPID制御パラメータを調整すると、80℃程度のオーバーシュートが生じる。また、はんだ付け作業終了後においても40℃程度のオーバーシュートが生じることが判る。そして、3秒間隔の断続した各はんだ付け直後の温度の跳ね上がりが大きく、しかも、温度波形の振動において、温度の下振れが大きくなることが判る。但し、従来の温度制御装置であっても、起動時の整定時間を長くすると、上記のようなオーバーシュートはなくなる。
(評価)
上述した結果から、一般的なPID温調計を用いた従来の温度制御装置では、短タクトタイムが必須な非鉛系はんだ接合作業において、はんだゴテ温度の実用的な整定はできなかった。
これに対して、実施例1の温度制御装置は、負荷外乱による特性変動が大きな制御対象であるはんだゴテに対して、温度設定値への最も高いトラッキング性能を示す。また、実施例2の温度制御装置では、僅かなオーバーシュートがみられるが実用上の問題はなく、逆に、断続した各はんだ付け直後の温度の跳ね上がりが小さくなり、非鉛系はんだ接合作業における温度波形の上下振動の範囲が低減する。そして、実施例3の温度制御装置により、非鉛系はんだ接合作業における温度波形の振動範囲は更に低減する。このため、許容範囲が小さく温度の高精度の制御が必須になる非鉛系はんだ接合作業にあっては、はんだ接合作業における上記振動範囲が低減する実施例2、3の場合が、実施例1の場合よりもむしろ好適になることが確認された。
また、ヒータ容量の大小に関わらず、温度制御装置は効果的に機能することから、実施例1,2,3の温度制御装置は、特性変動が大きくまたその特性変動量が時間的に揺動する制御対象にあっても、その温度制御に好適に適用できることが確認された。
以上に説明したように、実施例で示した温度制御装置は、非鉛系はんだ接合のプロセス作業において、はんだ接合の温度管理を簡便にし、しかもその管理レベルを大幅に向上させることから、これまで高い熟練技能と経験を要していた上記接合作業における製品品質および生産効率が大幅に向上するようになる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
上記実施形態において、偏差リミッタ値設定手段は、制御量測定値yの制御量設定値wからの偏差eに対して、その上限値および下限値の絶対値が同じ±HLにより偏差リミッタ値設定する場合に限らず、その上限値および下限値の絶対値が互いに異なるように偏差リミッタ値が設定される構成になっていてもよい。
また、本発明を適用した温度制御装置は、制御対象がはんだゴテ以外に、包装機、半導体製造装置、樹脂等の成形機、ごみ処理プラント等、温度制御が必要な熱系プラントに使用しても構わない。
更に、上記制御装置は、温度制御に限らず、圧力制御、流量制御、変位制御、濃度制御等の種々の制御に使用しても構わない。
本発明の第1の実施形態にかかる制御装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態にかかる制御装置の動作を示すフローチャートである。 上記制御装置の動作説明に供する制御特性図である。 本発明の第2の実施形態にかかる制御装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態にかかる制御装置の動作を示すフローチャートである。 発明の第3の実施形態にかかる制御装置の構成例を示すブロック図である。 図4に対して微分リミッタ16を除き等価になる制御装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態にかかる制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施例1の温度制御装置における温度制御特性図である。 本発明の実施例2の温度制御装置における温度制御特性図である。 本発明の実施例3の温度制御装置における温度制御特性図である。 本発明の実施例3の温度制御装置における別の温度制御特性図である。 従来の技術の温度制御装置における温度制御特性図である。
符号の説明
11 比例要素
12 積分器
13 微分器
14 偏差リミッタ
15,29 偏差調節要素
16 微分リミッタ
17 積分初期化手段
18 演算切換器
19 スイッチ
20 制御対象
21,25 比較減算器
22,23 信号線
24 バンプレス型切換器
26,28 ジャンプ調節要素
27 可変演算器

Claims (12)

  1. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、
    前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定する偏差リミッタ値設定手段と、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱める積分演算抑制手段および微分演算抑制手段と、
    を有し、
    前記微分演算抑制手段は、前記PID調節計の比例要素、積分器および微分器で演算される比例演算出力、積分演算出力、微分演算出力をそれぞれpmv、imv、dmvとし、前記操作量の最大値をUmax、dlimを0<dlim<1の成り立つ一定値とすると、前記微分演算出力dmvを(2)式、(3)式の成り立つ微分演算出力dmv'に弱めることを特徴とする制御装置
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
  2. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、
    前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定する偏差リミッタ値設定手段と、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱める積分演算抑制手段および微分演算抑制手段と、
    を有し、
    前記偏差リミッタ値設定手段は、前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとするとき、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差を算出し、
    Figure 0004814806
    i、jを0≦i<j≦100の成り立つ一定値とし、(4)式を満たす時に前記PID調節計の積分器で演算した積分演算出力を保存し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外から範囲内に変移する時に、前記積分器を前記保存した積分演算出力に初期化する積分初期化手段を有していることを特徴とする制御装置。
    Figure 0004814806
  3. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、
    前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定する偏差リミッタ値設定手段と、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱める積分演算抑制手段および微分演算抑制手段と、
    を有し、
    前記偏差リミッタ値設定手段は、前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとするとき、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差を算出し、
    Figure 0004814806
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲内外に変移するときの前記操作量に生じるジャンプ量を低減させるバンプレス型切り換え手段を有しており、
    前記バンプレス型切り換え手段は、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインの逆数を前記ジャンプ量に乗じて前記PID調節計の積分器にフィードバックさせることを特徴とする制御装置。
  4. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置であって、
    前記設定値wから前記測定値を減算した偏差eに対し絶対値がHLの上限値および下限値のリミッタ値を設定し、(1)式に基づいてリミッタ偏差erを算出する偏差リミッタ値設定手段と、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲内にある時に前記PID調節計が演算する操作量、および前記偏差が前記リミッタ値の範囲外にある時に前記PID調節計が積分演算出力と微分演算出力を抑制して演算する操作量を、それぞれuあるいはurとし、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインをK、前記PID調節計の積分器の積分時間をTi、Fを0<F<1の成り立つ一定値、微分演算子をsとするとき、(5)式、(6)式に基づいて可変設定値wrを演算する可変設定値演算手段と、を有し、
    前記測定値を前記可変設定値に追従させて制御することを特徴とする制御装置。
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
  5. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、
    前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱め
    前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとして、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差erを算出するステップと、
    前記偏差から前記リミッタ偏差を減算するQ=e−erの式を演算し、判定値Qを算出するステップと、
    判定値Q≠0となる場合に、前記PID調節計における積分器の演算に用いる前記偏差の絶対値を所定の割合だけ減少させると共に、前記PID調節計の比例要素、積分器および微分器で演算される比例演算出力、積分演算出力、微分演算出力をそれぞれpmv、imv、dmvとし、前記操作量の最大値をUmax、dlimを0<dlim<1の成り立つ一定値として、(2)式、(3)式に基づき微分演算出力dmv'を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
  6. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、
    前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱め
    i、jを0≦i<j≦100の成り立つ一定値とし、(4)式を満たす時に前記PID調節計の積分器で演算した積分演算出力を保存し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外から範囲内に変移する時に、前記積分器を前記保存した積分演算出力に初期化することを特徴とする制御方法。
    Figure 0004814806
  7. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、
    前記測定値と前記設定値の偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定し、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱め
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲内外に変移するときに前記操作量に生じるジャンプ量に比例ゲインの逆数を乗じて前記PID調節計の積分器にフィードバックすることを特徴とする記載の制御方法。
  8. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を用いた制御方法であって、
    前記設定値wから前記測定値を減算した偏差eに対し絶対値がHLの上限値および下限値のリミッタ値を設定し、(1)式に基づいてリミッタ偏差erを算出するステップと、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲内にある時に前記PID調節計が演算する操作量、および前記偏差が前記リミッタ値の範囲外にある時に前記PID調節計が積分演算出力と微分演算出力を抑制し演算する操作量を、それぞれuあるいはurとし、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインをK、前記PID調節計の積分器の積分時間をTi、Fを0<F<1の成り立つ一定値、微分演算子をsとして、(5)式、(6)式に基づいて可変設定値wrを演算するステップと、を有し、
    前記測定値を前記可変設定値に追従させることを特徴とする制御方法。
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
  9. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、
    前記測定値と前記設定値との偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱めるステップとを、コンピュータに実行させ、
    前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとして、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差erを算出するステップと、前記偏差から前記リミッタ偏差を減算するQ=e−erの式から判定値Qを算出するステップとを、コンピュータに実行させ、
    Figure 0004814806
    前記判定値Q≠0となる場合に、前記積分演算出力を弱めるステップは、前記前記PID調節計における積分器の演算に用いる前記偏差の絶対値を所定の割合だけ減少させ、前記微分演算出力を弱めるステップは、前記PID調節計の操作量のうち比例要素、積分器および微分器で演算される比例演算出力、積分演算出力、微分演算出力をそれぞれpmv、imv、dmvとし、前記操作量の最大値をUmax、dlimを0<dlim<1の成り立つ一定値として、(2)式、(3)式に基づき微分演算出力dmv'を算出する制御プログラム。
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
  10. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、
    前記測定値と前記設定値との偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱めるステップとを、コンピュータに実行させ、
    前記偏差をe、前記リミッタ値の絶対値をHL、リミッタ値設定後のリミッタ偏差をerとして、(1)式に基づいて前記リミッタ偏差erを算出するステップと、前記偏差から前記リミッタ偏差を減算するQ=e−erの式から判定値Qを算出するステップとを、コンピュータに実行させ、
    Figure 0004814806
    i、jを0≦i<j≦100の成り立つ一定値として(4)式を演算するステップと、(4)式が満たされる時に前記PID調節計の積分器で演算した積分演算出力を保存するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外から範囲内に変移する時に前記積分器を前記保存した積分演算出力に初期化するステップとを、コンピュータに実行させる制御プログラム。
    Figure 0004814806
  11. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、
    前記測定値と前記設定値との偏差に対し所定の上限値および下限値のリミッタ値を設定するステップと、前記偏差が前記リミッタ値の範囲外になると、前記PID調節計の積分演算出力および微分演算出力をそれぞれに弱めるステップとを、コンピュータに実行させ、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲内外に変移するときに前記操作量に生じるジャンプ量に比例ゲインの逆数を乗じて前記PID調節計の積分器にフィードバックするステップを、コンピュータに実行させる制御プログラム。
  12. 制御対象の制御量の測定値あるいは設定値に基づいて前記制御対象に対する操作量を演算するPID調節計を備えた制御装置を動作させるためのプログラムであって、
    前記設定値wから前記測定値を減算した偏差eに対し絶対値がHLのリミッタ値を設定し、(1)式に基づいてリミッタ値設定後のリミッタ偏差erを算出するステップと、
    前記偏差が前記リミッタ値の範囲内にある時に前記PID調節計が演算する操作量、および前記偏差が前記リミッタ値の範囲外にある時に前記PID調節計が積分演算出力と微分演算出力を抑制し演算する操作量を、それぞれuあるいはurとし、前記PID調節計の比例要素の比例ゲインをK、前記PID調節計の積分器の積分時間をTi、Fを0<F<1の成り立つ一定値、微分演算子をsとして、(5)式、(6)式に基づいて可変設定値wrを演算するステップと、前記測定値を前記可変設定値に追従させるステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
    Figure 0004814806
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