JP4814732B2 - トラクタの走行変速構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの動力が伝達される変速装置と、この変速装置に直列的に接続された第1クラッチとを備え、変速装置及び第1クラッチの伝動下手側に順に、変速装置と第2クラッチとを備えたトラクタの走行変速構造に関する。
従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、エンジンの動力が伝達される変速装置(特許文献1の図1の13〜16)と、この変速装置に直列的に接続された第1クラッチ(特許文献1の図1の9,12)とを備え、変速装置及び第1クラッチの伝動下手側に順に、第2クラッチ(特許文献1の図1の6)と、変速装置(特許文献1の図1の46)とを備えたトラクタの走行変速構造に関する技術が知られている。
特開2003−343712号公報(図1参照)
特許文献1に開示されているトラクタの走行変速構造においては、第2クラッチの伝動下手側に変速装置が配置されていたため、第2クラッチ(特許文献1の図1の6)から走行装置(特許文献1の図1の53,54)までの間の伝動経路の慣性重量が重く第2クラッチを切り替える際のショックが比較的大きなものになっていた。そのため、変速装置の伝動下手側に第2クラッチを配置することで、第2クラッチから走行装置までの間の伝動経路の慣性重量を軽くすることができて、第2クラッチを切り替える際のショックを小さくすることができると考えられる。
このように、変速装置の伝動下手側に第2クラッチを配置して変速装置を変速する場合には、第2クラッチを切り操作した上で、変速レバーを変速操作して変速装置の変速を行うことが考えられる(例えば、第2クラッチを操作するクラッチペダルを足で踏み込んで切り操作した上で、手で変速レバーを変速操作して変速装置の変速を行うことが考えられる)。
しかし、第1クラッチが入り操作されている状態で第2クラッチのみを切り操作しても、エンジンの動力は変速装置に伝達されているため、変速装置の第1クラッチ側と第2クラッチ側の回転数差が大きく変速装置を変速する際のショックが大きくなるおそれがある。具体的に説明すると、例えば、第1クラッチ(例えば、図1の9,12)が入り操作されている状態で第2クラッチ(例えば、図1の75,76)のみを切り操作しても、エンジンの動力は変速装置(例えば、図1の44)の第1クラッチ側の伝動ギア(例えば、図1の45及び46)に伝達される。そのため、ギア変速式の変速装置(例えば、図1の44)を変速操作しようとすると、エンジンの動力が伝達されて回転している第1クラッチ側の伝動ギア(例えば、図1の45又は46)に、第2クラッチの切り操作によって回転し難くなった第2クラッチ側のシフト部材(例えば、図1の47)を咬合させる必要がある。そうすると、シフト部材(例えば、図1の47)と伝動ギア(例えば、図1の45又は46)の回転数差が大きく、シフト部材と伝動ギアの噛み合いが悪くなって、変速装置を変速する際のショックが大きくなるおそれがある。
本発明は、変速装置及び第1クラッチの伝動下手側に順に、変速装置と第2クラッチを配置する構成を採用しても、変速装置の変速を無理なく行うことができるトラクタの走行変速構造を実現することを目的とする。
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、トラクタの走行変速構造を次のように構成することにある。
エンジンの動力が伝達される複数段に変速自在なギア変速式の変速装置を備え、油圧多板式の第1クラッチを前記変速装置に直列的に接続して、前記変速装置及び第1クラッチの伝動下手側に、複数段に変速自在なギア変速式の変速装置を備え、前記変速装置の伝動下手側に油圧多板式の第2クラッチを備えて、前記変速装置を変速操作する変速レバーを備え、前記副変速装置を変速操作する副変速レバーを、前記主変速レバーとは別に備え、前記副変速レバーの握り部にクラッチボタンを備えると共に、前記クラッチボタンの操作に基づいて前記第1クラッチ及び第2クラッチを切り操作する制御手段を備える。
(作用)
本発明の第1特徴によると、変速装置を変速操作する変速レバーの握り部にクラッチボタンを備え、クラッチボタンの操作に基づいて第1クラッチ及び第2クラッチを切り操作する制御手段を備えることにより、変速レバーを変速操作して変速装置を変速する際にクラッチボタンを操作すると、第1クラッチと第2クラッチを切り操作することができ、エンジンと変速装置との間の動力の伝達、及び、変速装置の伝動下手側の動力の伝達を遮断することができる。そのため、エンジンの動力が変速装置に伝達され難くなって、変速装置の第1クラッチ側と第2クラッチ側の回転数差を抑えることができて、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができる。
具体的に説明すると、例えば、変速装置を、第2クラッチ側のシフト部材(例えば、図1の47)と第1クラッチ側の伝動ギア(例えば、図1の45又は46)とを備えて構成した場合には、第2クラッチ(例えば、図1の75,76)の切り操作によって変速装置の伝動下手側の動力の伝達が遮断されると、第2クラッチ側のシフト部材(例えば、図1の47)が回転し難くなって、第1クラッチ(例えば、図1の9,12)の切り操作によってエンジンと変速装置との間の動力の伝達が遮断されると、第1クラッチ側の伝動ギア(例えば、図1の45又は46)が回転し難くなる。そうすると、シフト部材(例えば、図1の47)と伝動ギア(例えば、図1の45又は46)の回転数差が小さくなって、シフト部材と伝動ギアを噛み合わせる際のショックを小さくすることができ、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができる。
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができるため、変速装置の変速を無理なく行うことができて、トラクタの乗り心地を向上させることができるとともに、変速装置を構成する機器(例えば、上述したシフト部材や伝動ギア等)の破損を防止することができる。
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴のトラクタの走行変速構造において、次のように構成することにある。
前記クラッチボタンの操作に基づいて前記第1クラッチ及び第2クラッチを切り操作すると共に前記変速装置中立位置に変速操作するように前記制御手段を構成する。
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によれば、クラッチボタンの操作に基づいて変速装置が中立位置に操作されるように制御手段を構成することにより、変速レバーを変速操作して変速装置を変速する際にクラッチボタンを操作すると、エンジンと変速装置との間に位置する変速装置を中立位置に操作することができ、エンジンと変速装置との間の動力の伝達を、第1クラッチと変速装置の2箇所で遮断することができる。そのため、例えば、エンジンと変速装置との間の動力の伝達を1箇所で遮断する場合に比べてエンジンの動力が変速装置に伝達され難くなって、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができる。
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができるため、変速装置の変速操作を無理なく行うことができて、トラクタの乗り心地を向上させることができる。
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1特徴又は第2特徴のトラクタの走行変速構造において、次のように構成することにある。
前記第1クラッチと前記変速装置のシフト部材との間の伝動経路に位置する伝動軸に、この伝動軸の回転を抑制することが可能なブレーキ装置を備えて、前記クラッチボタンの操作に基づいて前記ブレーキ装置が作動するように前記制御手段を構成する。
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
例えば、第1クラッチを切り操作することによってエンジンと変速装置との間の動力の伝達を遮断しても、第1クラッチと変速装置のシフト部材との間の伝動経路に位置する伝動軸(例えば、図1の6,8,11等)や伝動軸に連結された変速装置の伝動ギア(例えば、図1の45,46)等は、その伝動軸及び伝動ギア自体の慣性によって回転する。そのため、この伝動軸の慣性による回転を抑制することができれば、伝動軸に連結された変速機構の伝動ギアの慣性による回転を抑制することができて、変速装置のシフト部材と伝動ギアの回転数差を抑えることができる。そうすると、変速装置のシフト部材と伝動ギアを噛み合わせる際のショックが小さくなって、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができる。
本発明の第3特徴によれば、第1クラッチと変速装置のシフト部材との間の伝動経路に位置する伝動軸に、この伝動軸の回転を抑制することが可能なブレーキ装置を備えて、クラッチボタンの操作に基づいてブレーキ装置が作動するように制御手段を構成することにより、第1クラッチを切り操作した際に、第1クラッチと変速装置のシフト部材との間の伝動経路に位置する伝動軸の慣性による回転をブレーキ装置によって抑制することができて、伝動軸に連結された変速機構の伝動ギアの回転を抑制することができる。すなわち、ブレーキ装置によって変速装置の伝動ギアの慣性による回転を抑制することができて、変速装置のシフト部材と伝動ギアの回転数差を抑えることができ、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができる。
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができるため、変速装置の変速を無理なく行うことができて、トラクタの乗り心地を向上させることができる。
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第3特徴のトラクタの走行変速構造において次のように構成することにある。
前記クラッチボタンの操作に基づいて前記ブレーキ装置が間欠作動するように前記制御手段を構成する。
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
例えば、請求項3に係る発明のように、クラッチボタンの操作に基づいてブレーキ装置が作動するように制御手段を構成すると、ブレーキ装置によって回転が抑制された伝動軸の回転位置によっては、この伝動軸に連結された変速装置の第1クラッチ側の伝動ギア(例えば、図1の45,46)と、第2クラッチ側のシフト部材(例えば、図1の47)とがうまく噛み合わないおそれがある。
本発明の第4特徴によると、クラッチボタンの操作に基づいてブレーキ装置が間欠作動するように制御手段を構成することにより、変速装置の伝動ギアとシフト部材が噛み合う回転位置をブレーキ装置の間欠作動により変更することができる。そのため、変速装置の伝動ギアとシフト部材が噛み合い易くなって、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができる。
具体的に説明すると、例えば、伝動軸にブレーキ装置を作動させた状態からブレーキ装置の作動を解除すると、伝動軸に少し流れる動力によって伝動軸及び伝動軸に連結された伝動ギアが回転し、この状態で再びブレーキ装置を作動させることによって、伝動ギアとシフト部材の噛み合う回転位置を変更することができる。
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、変速装置を変速する際のショックを小さくすることができるため、変速装置の変速を無理なく行うことができて、トラクタの乗り心地を向上させることができる。
[V]
(構成)
本発明の第5特徴は、本発明の第1〜第4特徴のいずれか一つのトラクタの走行変速構造において次のように構成することにある。
前記副変速装置の伝動下手側に、前後進切換装置としての油圧多板式の前進クラッチ及び後進クラッチを備え、前記第2クラッチを前記前進クラッチ及び後進クラッチで構成する。
[1]
図1は四輪駆動型の農用トラクタの走行伝動系を示しており、まず、主変速装置に相当する第1〜第4主変速装置13,15,14,16について説明する。
図1に示すように、エンジン1の動力が伝動軸2に伝達され、後述する[4]に記載のようにPTO軸3に伝達される。伝動軸2に円筒状の伝動軸4が相対回転自在に外嵌されており、伝動軸2,4と平行に第1主伝動軸7及び第3主伝動軸8が配置されて、第1及び第3主伝動軸7,8の間に第1伝動クラッチ9(第1クラッチに相当)が備えられている。伝動軸2,4と平行に第2主伝動軸10及び第4主伝動軸11が配置されて、第2及び第4主伝動軸10,11の間に第2伝動クラッチ12(第1クラッチに相当)が備えられている。第1及び第2伝動クラッチ9,12は油圧多板式で摩擦式に構成されており、作動油が供給されることにより伝動状態に操作され、作動油が排出されることにより遮断状態に操作されるように構成されている。
図1に示すように、伝動軸2と第1主伝動軸7との間にシンクロメッシュ型式の第1主変速装置13が備えられて、伝動軸2と第2主伝動軸10との間にシンクロメッシュ型式の第2主変速装置15が備えられている。伝動軸2に第1ギア17、第2ギア18、第3ギア19、第4ギア20が固定されている。第1主伝動軸7に相対回転自在に外嵌された低速ギア21及び高速ギア22が第1ギア17及び第3ギア19に咬合しており、シフト部材23がスプライン構造により第1主伝動軸7に一体回転及びスライド自在に外嵌されて、第1主変速装置13が構成されている。第2主伝動軸10に相対回転自在に外嵌された低速ギア24及び高速ギア25が第2ギア18及び第4ギア20に咬合しており、シフト部材26がスプライン構造により第2主伝動軸10に一体回転及びスライド自在に外嵌されて、第2主変速装置15が構成されている。
図1に示すように、伝動軸4と第3主伝動軸8との間にシンクロメッシュ型式の第3主変速装置14が備えられ、伝動軸4と第4主伝動軸11との間にシンクロメッシュ型式の第4主変速装置16が備えられている。伝動軸4に低速ギア27及び高速ギア28が固定されており、第3主伝動軸8に相対回転自在に外嵌された低速ギア29及び高速ギア30が低速ギア27及び高速ギア28に咬合し、シフト部材31がスプライン構造により第3主伝動軸8に一体回転及びスライド自在に外嵌されて、第3主変速装置14が構成されている。第4主伝動軸11に相対回転自在に外嵌された低速ギア32及び高速ギア33が低速ギア27及び高速ギア28に咬合し、シフト部材34がスプライン構造により第4主伝動軸11に一体回転及びスライド自在に外嵌されて、第4主変速装置16が構成されている。
以上の構造により、後述する[5]に記載のように、伝動軸2の動力が第1及び第3主伝動軸7,8を介して伝動軸4に伝達される状態(第1伝動クラッチ9の伝動状態)、並びに伝動軸2の動力が第2及び第4主伝動軸10,11を介して伝動軸4に伝達される状態(第2伝動クラッチ12の伝動状態)が得られる。
図1に示すように、伝動軸2の動力が第1及び第3主伝動軸7,8を介して伝動軸4に伝達される状態(第1伝動クラッチ9の伝動状態)において、伝動軸2の動力が第1主変速装置13、第1主伝動軸7、第1伝動クラッチ9、第3主伝動軸8及び第3主変速装置14を介して4段に変速されて伝動軸4に伝達される(後述する1速位置、3速位置、5速位置、7速位置)。
図1に示すように、伝動軸2の動力が第2及び第4主伝動軸10,11を介して伝動軸4に伝達される状態(第2伝動クラッチ12の伝動状態)において、伝動軸2の動力が第2主変速装置15、第2主伝動軸10、第2伝動クラッチ12、第4主伝動軸11及び第4主変速装置16を介して4段に変速されて伝動軸4に伝達される(後述する2速位置、4速位置、6速位置、8速位置)。
[2]
次に、副変速装置44について説明する。
図1に示すように、伝動軸2,4と平行に伝動軸5が配置され、伝動軸5に円筒状の伝動軸6(伝動経路に位置する伝動軸に相当)が相対回転自在に外嵌されており、伝動軸6に固定された伝動ギア43が高速ギア28に咬合している。伝動軸5,6の間に、シンクロメッシュ型式の副変速装置44が備えられている。
図1に示すように、伝動軸6に伝動ギア45が固定され、伝動軸5に伝動ギア46が相対回転自在に外嵌されており、シフト部材47(変速装置のシフト部材に相当)がスプライン構造により伝動軸5に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。伝動軸5,6と平行に配置された伝動軸48,49が備えられており、伝動軸48に伝動ギア50,51が相対回転自在に外嵌されて、伝動軸48に伝動ギア52が固定され、伝動ギア45,50が咬合し、伝動ギア46,52が咬合している。伝動軸49に伝動ギア54,55が固定され、伝動ギア51,54が咬合しており、シフトギア56がスプライン構造により伝動軸48に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。シフト部材47をスライド操作する副変速レバー106(図2参照)が備えられており、運転者が副変速レバー106を人為的に操作する。また、シフトギア56をスライド操作する超低速レバー(図示せず)が備えられており、運転者が超低速レバーを人為的に操作する。以上のようにして、副変速装置44が構成されている。
これにより、図1に示すように、シフト部材47を伝動軸6に咬合させると、伝動軸5,6が連結された状態となって、伝動軸4の動力が高速ギア28及び伝動ギア43、伝動軸6を介して伝動軸5に伝達される(副変速装置44の高速位置H)。
シフトギア56を伝動ギア55から離間させて伝動ギア51に咬合させた状態で、シフト部材47を伝動ギア46に咬合させると、伝動軸4の動力が高速ギア28及び伝動ギア43,45,50、伝動軸48、伝動ギア52,46を介して伝動軸5に伝達される(副変速装置44の低速位置L)。
シフト部材47を伝動ギア46に咬合させ、シフトギア56を伝動ギア51から離間させて伝動ギア55に咬合させると、伝動軸4の動力が高速ギア28及び伝動ギア43,45,50,51、伝動ギア54,55及び伝動軸49、シフトギア56、伝動軸48、伝動ギア52,46を介して伝動軸5に伝達される(副変速装置44の超低速位置)。
[3]
次に、前進及び後進クラッチ75,76(第2クラッチに相当)を備えた前後進切換装置67、及び、この前後進切換装置67から前輪77及び後輪78までの伝動系について説明する。
図1に示すように、伝動軸5と同芯状に伝動軸66が配置されており、伝動軸5,66の間に油圧クラッチ型式の前後進切換装置67が備えられている。
図1に示すように、円筒状の伝動軸68が伝動軸2に相対回転自在に外嵌されて、伝動軸68に伝動ギア69,70が固定されており、伝動軸5に固定された伝動ギア71が伝動ギア69に咬合している。伝動軸66に伝動軸72が連結され、伝動軸72が伝動軸5と同芯状に配置されており、伝動軸72に相対回転自在に外嵌された伝動ギア73が中間ギア74を介して伝動ギア70に咬合している。伝動ギア71と伝動軸72との間に、油圧多板式で摩擦式の油圧クラッチである前進クラッチ75が備えられ、伝動ギア73と伝動軸72との間に、油圧多板式で摩擦式の油圧クラッチである後進クラッチ76が備えられており、前進及び後進クラッチ75,76は作動油が供給されることにより伝動状態に操作され、作動油が排出されることにより遮断状態に操作されるように構成されている。以上のようにして、前後進切換装置67が構成されている。
これにより、図1に示すように、前進クラッチ75を伝動状態に操作し、後進クラッチ76を遮断状態に操作すると、伝動軸5,72が連結された状態となって、伝動軸5の動力が前進クラッチ75を介して前進状態で伝動軸72,66に伝達される。後進クラッチ76を伝動状態に操作し、前進クラッチ75を遮断状態に操作すると、伝動軸5の動力が伝動ギア71,69、伝動軸68、伝動ギア70、中間ギア74、伝動ギア73及び後進クラッチ76を介して後進状態で伝動軸72,66に伝達される。伝動軸66に対して後輪デフ機構79及び遊星減速機構80が備えられており、伝動軸66の動力が後輪デフ機構79及び遊星減速機構80を介して、右及び左の後輪78に伝達される。
図1に示すように、伝動軸66と平行に伝動軸81が配置され、伝動軸66に固定された伝動ギア82と伝動軸81に固定された伝動ギア83とが咬合しており、伝動軸81と前輪伝動軸84との間に、油圧クラッチ型式の前輪変速機構85が備えられ、前輪伝動軸84に対して前輪デフ機構86及び遊星減速機構87が備えられている。これにより、伝動軸66の動力が伝動ギア82,83、伝動軸81、前輪変速機構85、前輪デフ機構86及び遊星減速機構87を介して、右及び左の前輪77に伝達される。
図1に示すように、前輪変速機構85は前輪77及び後輪78が同じ速度で駆動される標準状態、前輪77が後輪78よりも高速で駆動される増速状態に操作自在に構成されている。前輪77が直進位置、直進位置から右及び左の設定角度の範囲内に操向操作されている状態では、前輪変速機構85が標準状態に操作されており、前輪77が右又は左の設定角度を越えて右又は左に操向操作されると、前輪変速機構85が増速状態に操作されて小回り旋回が円滑に行われる。
[4]
次に、PTO軸3への伝動系について説明する。
図1に示すように、伝動軸2に伝動ギア88が固定されて、伝動軸2の動力が伝動ギア88及び中間ギア89を介して油圧ポンプ90に伝達されており、エンジン1が作動している状態では、油圧ポンプ90に常に動力が伝達されて、油圧ポンプ90が駆動されている。
図1に示すように、伝動軸2と同芯状に伝動軸91が配置されており、伝動ギア88と伝動軸91との間にPTOクラッチ92及びPTO変速装置93が備えられている。PTOクラッチ92は油圧多板式で摩擦式に構成されており、作動油が供給されることにより伝動状態に操作され、作動油が排出されることにより遮断状態に操作されるように構成されている。
図1に示すように、PTOクラッチ92に伝動ギア94が固定され、円筒状の伝動軸95が伝動軸66に相対回転自在に外嵌されて、伝動軸95に伝動ギア96,97,98が固定されており、伝動ギア94,98が咬合している。伝動軸91に伝動ギア99,100が相対回転自在に外嵌されて、伝動ギア96,99が咬合し、伝動ギア97,100が咬合しており、シフト部材101,102がスプライン構造により伝動軸91に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。伝動軸66に伝動ギア103が固定され、伝動軸91に伝動ギア104が相対回転自在に外嵌されており、伝動ギア103,104が咬合している。以上のようにして、PTO変速装置93が構成されている。
これにより、図1に示すように、シフト部材101を伝動ギア99に咬合させると、PTOクラッチ92の動力が伝動ギア94,98、伝動軸95、伝動ギア96,99を介して、低速状態で伝動軸91及びPTO軸3に伝達される。シフト部材102を伝動ギア100に咬合させると、PTOクラッチ92の動力が伝動ギア94,98、伝動軸95、伝動ギア97,100を介して、中速状態で伝動軸91及びPTO軸3に伝達される。シフト部材102を伝動ギア94に咬合させると、PTOクラッチ92及び伝動軸91が連結された状態となって、PTOクラッチ92の動力が高速状態で伝動軸91及びPTO軸3に伝達される。シフト部材101を伝動ギア104に咬合させると、伝動軸66の動力が伝動ギア103,104を介して、伝動軸91及びPTO軸3に伝達される。
[5]
次に、第1主変速装置13及び第3主変速装置14、第2主変速装置15及び第4主変速装置16の操作構造について説明する。
図1及び図2に示すように、第1主変速装置13において、シフト部材23をスライド操作する複動型で油圧シリンダ型式のアクチュエータ35、アクチュエータ35に作動油を給排操作する制御弁39が備えられ、第3主変速装置14において、シフト部材31をスライド操作する複動型で油圧シリンダ型式のアクチュエータ36、アクチュエータ36に作動油を給排操作する制御弁40が備えられている。アクチュエータ35はシフト部材23が低速ギア21に咬合する低速位置L、シフト部材23が高速ギア22に咬合する高速位置H及び中立位置Nに作動自在に構成されており、アクチュエータ36はシフト部材31が低速ギア29に咬合する低速位置L、及びシフト部材31が高速ギア30に咬合する高速位置Hに作動自在に構成されている。
図1及び図2に示すように、第2主変速装置15において、シフト部材26をスライド操作する複動型で油圧シリンダ型式のアクチュエータ37、アクチュエータ37に作動油を給排操作する制御弁41が備えられ、第4主変速装置16において、シフト部材34をスライド操作する複動型で油圧シリンダ型式のアクチュエータ38、アクチュエータ38に作動油を給排操作する制御弁42が備えられている。アクチュエータ37はシフト部材26が低速ギア24に咬合する低速位置L、シフト部材26が高速ギア25に咬合する高速位置H及び中立位置Nに作動自在に構成されており、アクチュエータ38はシフト部材34が低速ギア32に咬合する低速位置L、及びシフト部材34が高速ギア33に咬合する高速位置Hに作動自在に構成されている。
図2に示すように、前進クラッチ75に作動油を給排操作する電磁比例減圧弁型式の制御弁59、後進クラッチ76に作動油を給排操作する電磁比例減圧弁型式の制御弁60、第1伝動クラッチ9に作動油を給排操作する電磁比例減圧弁型式の制御弁61、及び第2伝動クラッチ12に作動油を給排操作する電磁比例減圧弁型式の制御弁62が備えられている。
以上の構造により図1及び図8に示すように、伝動軸2の動力が第1及び第3主伝動軸7,8を介して伝動軸4に伝達される状態(第1伝動クラッチ9の伝動状態)において、シフト部材31の低速位置Lでシフト部材23の低速位置Lが1速位置、シフト部材31の低速位置Lでシフト部材23の高速位置Hが3速位置、シフト部材31の高速位置Hでシフト部材23の低速位置Lが5速位置、シフト部材31の高速位置Hでシフト部材23の高速位置Hが7速位置となる。前述の1速及び3速位置において、第2伝動クラッチ12が遮断状態に操作され、シフト部材26が中立位置Nでシフト部材34が低速位置Lに位置している。5速及び7速位置において、第2伝動クラッチ12が遮断状態に操作され、シフト部材26が中立位置Nでシフト部材34が高速位置Hに位置している。
図1及び図8に示すように、伝動軸2の動力が第2及び第4主伝動軸10,11を介して伝動軸4に伝達される状態(第2伝動クラッチ12の伝動状態)において、シフト部材34の低速位置Lでシフト部材26の低速位置Lが2速位置、シフト部材34の低速位置Lでシフト部材26の高速位置Hが4速位置、シフト部材34の高速位置Hでシフト部材26の低速位置Lが6速位置、シフト部材34の高速位置Hでシフト部材26の高速位置Hが8速位置となる。前述の2速及び4速位置において、第1伝動クラッチ9が遮断状態に操作され、シフト部材23が中立位置Nでシフト部材31が低速位置Lに位置している。6速及び8速位置において、第1伝動クラッチ9が遮断状態に操作され、シフト部材23が中立位置Nでシフト部材31が高速位置Hに位置している。
図2に示すように、1〜8速位置に操作自在な主変速レバー63及び前後進レバー57が備えられ、突出側に付勢された操作スイッチ65が主変速レバー63の握り部に備えられており、主変速レバー63及び前後進レバー57、操作スイッチ65の操作位置が、制御装置64(制御手段に相当)に入力されている。7セグメントの表示部53が備えられており、主変速レバー63の操作位置又は第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16の変速位置(1速位置〜8速位置)(図8参照)が、表示部53に表示される。
図2に示すように、制御装置64は後述する[6][7][8]に記載のように、主変速レバー63及び前後進レバー57の操作位置、操作スイッチ65の操作位置(第1及び第2変速モード)に基づいて、制御弁39〜42,59〜62を操作して、アクチュエータ35〜38を作動させ、前進及び後進クラッチ75,76、第1及び第2伝動クラッチ9,12を伝動及び遮断状態に操作する。前後進レバー57を前進位置Fに操作すると、前進クラッチ75が伝動状態に操作されて後進クラッチ76が遮断状態に操作され、前後進レバー57を後進位置Rに操作すると、後進クラッチ76が伝動状態に操作されて前進クラッチ75が遮断状態に操作される。
前進及び後進クラッチ75,76に対して、人為的に踏み操作自在なクラッチペダル(図示せず)が備えられて、クラッチペダルの操作位置が制御装置64に入力されている。これにより、前後進レバー57が前進位置Fに操作されている状態(前進クラッチ75が伝動状態に操作されて後進クラッチ76が遮断状態に操作された状態)において、クラッチペダルを踏み操作すると前進クラッチ75が遮断状態に操作され、クラッチペダルを戻し操作すると前進クラッチ75が伝動状態に操作される。前後進レバー57が後進位置Rに操作されている状態(後進クラッチ76が伝動状態に操作されて前進クラッチ75が遮断状態に操作された状態)において、クラッチペダルを踏み操作すると後進クラッチ76が遮断状態に操作され、クラッチペダルを戻し操作すると後進クラッチ76が伝動状態に操作される。
[6]
この農用トラクタでは第1変速モード及び第2変速モードが制御装置64に備えられており、運転者が操作スイッチ65により第1変速モード及び第2変速モードを選択する。操作スイッチ65を押し操作せずに主変速レバー63を操作すると、第1変速モードが選択され、操作スイッチ65を押し操作して主変速レバー63を操作すると、第2変速モードが選択される。
次に、第1変速モードの前半について、図3,5,6に基づいて説明する。
主変速レバー63及び操作スイッチ65を操作する前の状態において、現在の第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16の変速位置(1速位置〜8速位置)が、表示部53に表示されている(ステップS1)。この状態において、操作スイッチ65を押し操作せずに(ステップS2)、主変速レバー63を操作すると(ステップS3)、第1変速モードが設定される。
後述するように第1変速モードにおいては、主変速レバー63をある操作位置から別の操作位置に操作した場合、主変速レバー63の操作に追従するように、主変速レバー63の操作前の操作位置に対応する変速位置(1速位置〜8速位置)から、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16が1段ずつ操作されて、主変速レバー63の操作後の操作位置(主変速レバー63が停止した操作位置)に対応する変速位置(1速位置〜8速位置)に達するように操作される。
例えば、主変速レバー63を1速位置から5速位置に操作すると、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16において、1速位置から2速位置への操作が行われ、2速位置から3速位置への操作が行われ、3速位置から4速位置への操作が行われ、4速位置から5速位置への操作が行われる。例えば、主変速レバー63を6速位置から3速位置に操作すると、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16において、6速位置から5速位置への操作が行われ、5速位置から4速位置への操作が行われ、4速位置から3速位置への操作が行われる。
例えば、主変速レバー63を1速位置に操作している状態(シフト部材23が低速位置L、シフト部材26が中立位置N、シフト部材31,34が低速位置L、前進クラッチ75(後進クラッチ76)及び第1伝動クラッチ9が作動圧P1で伝動状態、第2伝動クラッチ12が作動圧P0で遮断状態に操作された状態)において、例えば、主変速レバー63を高速側に操作し始めて(ステップS3),5速位置で操作を止めたとする(主変速レバー63が5速位置で停止した状態)(ステップS19)、主変速レバー63が停止した5速位置が目標変速位置として設定される(ステップS20)。この場合、後述するように主変速レバー63を1速位置から操作し始めると、主変速レバー63の操作に追従するように、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16が操作され始める。
前述のように、主変速レバー63を1速位置に操作している状態から主変速レバー63を操作し始めると(ステップS3)(時点T11)、シフト部材26が中立位置Nから低速位置Lに操作される(ステップS4,S5)(時点T11から時点T12)。これにより、シフト部材23,31が1速位置の状態で、シフト部材26,34が2速位置の状態となる。この場合、シフト部材34は高速位置Hに操作されずに低速位置Lに残される(ステップS6を通過)(図8参照)。
シフト部材26が低速位置L(2速位置の状態)に操作されると(ステップS5)(時点T12)、前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P2(作動圧P0,P1の間の中間)に速やかに減圧されて、半伝動状態に操作される(ステップS7)(時点T12)(実線A3参照)。これと略同時に、第2伝動クラッチ12が作動圧P0から比較的速やかに昇圧されて伝動状態に操作されながら(時点T12から時点T13)(点線A2参照)、第1伝動クラッチ9が作動圧P1から比較的速やかに減圧されて遮断状態に操作される(ステップS8)(時点T12から時点T13)(一点鎖線A1参照)。
これにより、図1に示すように、シフト部材23,31が1速位置の状態での動力が伝動軸4に伝達されるのと同時に、シフト部材26,34が2速位置の状態での動力が伝動軸4に伝達されて合流する二重伝動状態が発生するのであり、二重伝動状態においてトルクの変動が生じても、半伝動状態の前進クラッチ75(後進クラッチ76)がある程度滑ることによりトルクの変動が吸収されて、トルクの変動の少ない動力が前輪77及び後輪78に伝達される。
第2伝動クラッチ12が作動圧P1で伝動状態に操作され、第1伝動クラッチ9が作動圧P0で遮断状態に操作されると(時点T13)、シフト部材23が中立位置Nに操作される(ステップS9)(時点T13から時点T14)。この場合、シフト部材31は高速位置Hに操作されずに低速位置Lに残される(ステップS10を通過)(図8参照)。シフト部材23が中立位置Nに操作されると(時点T14)、前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P2から漸次的に昇圧されて作動圧P1に達し伝動状態に操作される(ステップS11)(時点T14から時点T15)。
以上のようにして、1速位置から2速位置への操作が終了するのであり、操作後の第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16の変速位置(2速位置)が表示部53に表示される(ステップS18)。
[7]
次に、第1変速モードの後半について、図6に基づいて説明する。
前項[6]に記載のような1速位置から2速位置への操作が終了すると、ステップS22,S4からステップS12に移行し、シフト部材26,34が2速位置の状態で、シフト部材23,31が3速位置の状態に操作される(ステップS12)。この場合、シフト部材31は高速位置Hに操作されずに低速位置Lに残される(ステップS13を通過)(図8参照)。前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P2(作動圧P0,P1の間の中間)に速やかに減圧されて、半伝動状態に操作され(ステップS14)、これと略同時に第1伝動クラッチ9が作動圧P0から比較的速やかに昇圧されて伝動状態に操作されながら、第2伝動クラッチ12が作動圧P1から比較的速やかに減圧されて遮断状態に操作される(ステップS15)。
これにより、図1に示すように、シフト部材26,34が2速位置の状態での動力が伝動軸4に伝達されるのと同時に、シフト部材23,31が3速位置の状態での動力が伝動軸4に伝達されて合流する二重伝動状態が発生するのであり、二重伝動状態においてトルクの変動が生じても、半伝動状態の前進クラッチ75(後進クラッチ76)がある程度滑ることによりトルクの変動が吸収されて、トルクの変動の少ない動力が前輪77及び後輪78に伝達される。
第1伝動クラッチ9が作動圧P1で伝動状態に操作され、第2伝動クラッチ12が作動圧P0で遮断状態に操作されると、シフト部材26が中立位置Nに操作される(ステップS16)。この場合、シフト部材34は高速位置Hに操作されずに低速位置Lに残される(ステップS17を通過)(図8参照)。シフト部材26が中立位置Nに操作されると、前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P2から漸次的に昇圧されて作動圧P1に達し伝動状態に操作される(ステップS11)。
以上のようにして、2速位置から3速位置への操作が終了するのであり、操作後の第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16の変速位置(3速位置)が表示部53に表示される(ステップS18)。
前述のように2速位置から3速位置への操作が終了すると、次にシフト部材23,31が3速位置の状態及びシフト部材26,34が4速位置の状態での3速位置から4速位置への操作が、前項[6]及びステップS4〜S11に基づいて行わる(この場合に、シフト部材34,31は高速位置Hに操作されずに低速位置Lに残される(ステップS6,S10を通過)(図8参照)。
次にシフト部材26,34が4速位置の状態及びシフト部材23,31が5速位置の状態での4速位置から5速位置への操作が、本項[7]及びステップS4,S12〜S17,S11に基づいて行われる(この場合、ステップS13において、シフト部材31が低速位置Lから高速位置Hに操作されるのであり、ステップS17において、シフト部材34が低速位置Lから高速位置Hに操作される)(図8参照)。
以上のようにして、1段ずつの操作及び操作後の第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16の変速位置の表示が繰り返されて、主変速レバー63が停止した目標変速位置(5速位置)に達すると(ステップS22)、操作が終了する。
[8]
次に、第2変速モードについて、図4,5,7に基づいて説明する。
主変速レバー63及び操作スイッチ65を操作する前の状態において、現在の第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16の変速位置(1速位置〜8速位置)が、表示部53に表示されている(ステップS1)。この状態において、操作スイッチ65を押し操作すると(ステップS2)、第2変速モードが設定される。
後述するように第2変速モードにおいては、主変速レバー63をある操作位置から別の操作位置に操作した場合、主変速レバー63の操作前の操作位置に対応する変速位置(1速位置〜8速位置)から、主変速レバー63の操作後の操作位置(主変速レバー63が停止した操作位置)に対応する変速位置(1速位置〜8速位置)に、途中の変速位置を経由せずに、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16が一気に操作される(例えば、主変速レバー63を1速位置に操作した状態から、操作スイッチ65を押し操作して主変速レバー63を4速位置に操作すると、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16が、2速及び3速位置を経由せずに1速位置から4速位置に一気に操作される)。
例えば、主変速レバー63を1速位置に操作している状態(シフト部材23が低速位置L、シフト部材26が中立位置N、シフト部材31,34が低速位置L、前進クラッチ75(後進クラッチ76)及び第1伝動クラッチ9が作動圧P1で伝動状態、第2伝動クラッチ12が作動圧P0で遮断状態に操作された状態)において、操作スイッチ65を押し操作して(操作スイッチ65を押し操作してから戻し操作して)(ステップS2)、第2変速モードが設定されたとする。
これにより、前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P0に速やかに減圧されて、遮断状態に操作され(ステップS31)(時点T21)(実線A3参照)、主変速レバー63を1速位置から操作していくのに伴って、主変速レバー63の現在の操作位置が表示部53に表示されるのであり(ステップS32,S33)、主変速レバー63を止めた操作位置(主変速レバー63が停止した状態)が目標変速位置として設定される(ステップS34)。表示部53には主変速レバー63が停止した操作位置が表示されているので、表示部53を目視することにより、目標変速位置を確認することができる。
前述のように目標変速位置が設定されると(ステップS34)、第1及び第3主変速装置13,14(シフト部材23,31)、第2及び第4主変速装置15,16(シフト部材26,34)が目標変速位置に一気に操作されて(ステップS35)(図8参照)、第1及び第2伝動クラッチ9,12が目標変速位置に対応するように(図8参照)、伝動及び遮断状態に操作される(ステップS36)。
例えば、主変速レバー63が1速位置から4速位置に操作されて、4速位置が目標変速位置として設定されると(ステップS34)、シフト部材23が低速位置Lから中立位置Nに操作され、シフト部材26が中立位置Nから高速位置Hに操作される(時点T22から時点T23)(シフト部材31,34は低速位置Lに保持されている)。これと同時に、第1伝動クラッチ9が作動圧P0に速やかに減圧されて遮断状態に操作され(一点鎖線A1参照)(時点T22)、第2伝動クラッチ12が作動圧P1に速やかに昇圧されて伝動状態に操作される(点線A2参照)(時点T22)。
次に前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P0から漸次的に昇圧されて作動圧P1に達し(実線A3参照)、前進クラッチ75(後進クラッチ76)が伝動状態に操作される(ステップS37)(時点T24)(実線A3参照)。以上のようにして、操作を終了する。
例えば、主変速レバー63を2速位置から1速位置に操作する場合、図8に示すようにシフト部材23,26(シフト部材31,34は低速位置Lに保持されている)が操作されるのに加えて、図4において第1及び第2伝動クラッチ9,12の状態が逆転し、第1伝動クラッチ9が遮断状態から伝動状態に操作され、第2伝動クラッチ12が伝動状態から遮断状態に操作されるのであり、図4の実線A3に示すように前進クラッチ75(後進クラッチ76)の減圧及び昇圧が行われる。
例えば、主変速レバー63を1速位置から3速位置に操作する場合、図8に示すようにシフト部材23が操作されるが、シフト部材26は中立位置Nのままで(シフト部材31,34は低速位置Lに保持されている)、第1伝動クラッチ9が伝動状態に保持され、第2伝動クラッチ12が遮断状態に保持されて、図4の実線A3に示すように前進クラッチ75(後進クラッチ76)の減圧及び昇圧が行われる。
例えば、主変速レバー63を2速位置から4速位置に操作する場合、図8に示すようにシフト部材26が操作されるが、シフト部材23は中立位置Nのままで(シフト部材31,34は低速位置Lに保持されている)、第1伝動クラッチ9が遮断状態に保持され、第2伝動クラッチ12が伝動状態に保持されて、図4の実線A3に示すように前進クラッチ75(後進クラッチ76)の減圧及び昇圧が行われる。
前項[6][7]に記載の第1変速モードにおいて、主変速レバー63をある操作位置から別の操作位置に操作し、主変速レバー63の操作に追従するように(主変速レバー63が停止した目標変速位置を目指すように)、第1及び第3主変速装置13,14、第2及び第4主変速装置15,16が1段ずつ操作されていたとする(図6のステップS4〜S22)。この状態において操作スイッチ65を押し操作すると(ステップS21)、図7のステップS34に移行して、第1及び第2主変速装置13,14(シフト部材23,31)、第2及び第4主変速装置15,16(シフト部材26,34)が目標変速位置に一気に操作される(ステップS35〜S37)。
[9]
次に、ブレーキ装置110の構造について、図9及び図10に基づいて説明する。
図9及び図10に伝動軸6の回転を抑制することが可能なブレーキ装置110の構造を示す。図9及び図10に示すように、この農用トラクタのブレーキ装置110は、ブレーキドラム111、ブレーキアーム112、ブレーキシリンダ113、ブレーキライニング116等によって、伝動軸6の回転を抑制することが可能に構成されている。
伝動軸5を内嵌した伝動軸6が、ミッションケース109にベアリング114を介して回動自在に支持されており、この伝動軸6の外周部にスプライン溝が加工されている。伝動軸6のスプライン溝には、ブレーキドラム111が伝動軸6と一体回動可能に外嵌されている。
ブレーキドラム111の下方側には、ブレーキアーム112がその上端部の揺動軸115の軸心P3周りに揺動自在に支持されている。ブレーキアーム112は、ブレーキドラム111に接当する部分がブレーキアーム112の外周部の円弧に沿った円弧状に成形されており、この円弧状に成形された部分にブレーキライニング116が脱着交換可能に取り付けられている。ブレーキアーム112の下端部には、長孔112aが成形されており、この長孔112aに後述するブレーキシリンダ113のシリンダロッド113aの先端部が連係されている。
ブレーキシリンダ113は、シリンダロッド113aが伸びた状態に付勢するスプリング113bを内蔵した片ロッドの油圧式単動シリンダに構成されており、シリンダロッド113a側に位置するシリンダポート113cから作動油を供給するとブレーキシリンダ113が短縮し、シリンダポート113cから作動油を排出するとスプリング113bの付勢力によってブレーキシリンダ113が伸長するようになっている。
ブレーキシリンダ113は、そのシリンダチューブ113d側の端部が支軸117によって軸心P4周りにミッションケース109に回動自在に支持された状態で、支軸117の左方に位置するピン118によって、その方向を位置決めされてミッションケース109に固定されている。つまり、ブレーキシリンダ113は支軸117とピン118によって揺動しないようにミッションケース109に固定されている。ブレーキシリンダ113のシリンダロッド113aの先端には連結ピン119の一端がブレーキシリンダ113の伸縮方向の軸心P5周りに回動自在に取り付けられており、連結ピン119の他端は上述したブレーキアーム112の下端部に設けた長孔112aに遊嵌されている。
ミッションケース109の左側下部には、電磁弁105に配管接続された油圧継手120が取り付けられており、この油圧継手120からミッションケース109の内面側を沿うように鋼管製の配管パイプ121が延出されて、ブレーキシリンダ113のシリンダポート113cに油圧継手122を介して接続されている。
以上のようにブレーキ装置110を構成することで、電磁弁105から配管パイプ121を介してブレーキシリンダ113に作動油が供給されると、ブレーキシリンダ113が短縮してシリンダロッド113aに遊嵌したブレーキアーム112の下端部をブレーキシリンダ113側に引っ張る。そうすると、ブレーキアーム112が揺動軸115の軸心P3周りに揺動して、ブレーキライニング116がブレーキドラム111の外周面に接当して、ブレーキシリンダ113の引張力が、揺動軸115の軸心P3を支点として、ブレーキライニング116とブレーキドラム111の接当面に摩擦力として作用する。この摩擦力によって、ブレーキドラム111と一体回動する伝動軸6の回転を抑制することができる。
一方、電磁弁105を切り替えてブレーキシリンダ113に供給した作動油を排出すると、ブレーキシリンダ113がスプリング113bの付勢力によって伸長して、シリンダロッド113aに遊嵌したブレーキアーム112の下端部をブレーキシリンダ113側とは逆側に押す。そうすると、ブレーキアーム112が揺動軸P3周りに揺動して、ブレーキライニング116がブレーキドラム111の外周面から離れて、ブレーキ装置110が解除された状態に復帰する。
このように、ブレーキシリンダ113を揺動しないようにミッションケース109に固定して、ブレーキシリンダ113の伸縮とブレーキアーム112の下端部に設けた長孔112aの融通によって、ブレーキライニング116をブレーキドラム111に接当させる構成を採用することによって、ブレーキシリンダ113のシリンダポート113cの位置を固定することができる。そのため、油圧ホース(図示せず)ではなく、鋼管製の配管パイプ121で油圧配管することができて、油圧ホースを採用することによる製造コストのアップや油圧ホースの経年劣化の心配がなくなって、油圧配管の低コスト化を図ることができるとともに、油圧配管の信頼性を向上させることができる。
[10]
次に、クラッチ切り制御の前半について、図2及び図11に基づいて説明する。
図2に示すように、この農用トラクタの制御装置64には、ブレーキシリンダ113に作動油を給排操作する電磁比例減圧弁型式の電磁弁105を備え、制御装置64から電磁弁105に電流を供給することでブレーキシリンダ113を短縮することができ、制御装置64から電磁弁105への電流の供給を止めることでブレーキシリンダ113が伸長することができるように構成されている。
この農用トラクタの操縦部(図示せず)には、副変速装置44を変速する副変速レバー106を備え、副変速レバー106を高速位置Hに変速操作するとシフト部材47が伝動ギア45に咬合して、副変速レバー106を低速位置Lに変速操作するとシフト部材47が伝動ギア46に咬合するように構成されている。この副変速レバー106の握り部106aには、副変速レバー106を片手で握って親指で押し操作可能で突出側に付勢されたクラッチボタン107が設けられている。このクラッチボタン107は制御装置64に接続されており、クラッチボタン107を押すと、後述するクラッチ切り制御を行うように構成されている。
図11に本発明に係るクラッチ切り制御の制御フローを示す。図11に示すように、副変速レバー106に設けたクラッチボタン107を押すと(ステップS41)、第2クラッチに相当する前進及び後進クラッチ75,76に作動油を給排操作する制御弁59,60に制御装置64から第2クラッチ切り指令を発し(ステップS42)、前進及び後進クラッチ75,76を遮断状態に切り操作する。次に、第1クラッチに相当する第1及び第2伝動クラッチ9,12に作動油を給排操作する制御弁61,62に制御装置64から第1クラッチ切り指令を発し(ステップS43)、第1及び第2伝動クラッチ9,12を遮断状態に切り操作する。
次に、変速装置に相当する第1及び第2主変速装置13,15を操作するアクチュエータ35,37に作動油を給排操作する制御弁39,41に制御装置64から変速装置中立指令を発し(ステップS44)、第1及び第2主変速装置13,15を中立位置Nに操作する。そして、ブレーキシリンダ113を間欠作動させるための後述するブレーキ装置間欠作動制御(ステップS45)に移行する。
このように、クラッチボタン107を押すと(ステップS41)、前進及び後進クラッチ75,76、第1及び第2伝動クラッチ9,12のすべてが切り操作されて各クラッチの前後の動力の伝達が遮断され、かつ、第1及び第2主変速装置13,15が中立位置Nに操作されて第1及び第2主変速装置13,15における動力の伝達が遮断されるように構成されている(ステップS42〜44)。
[11]
次に、ブレーキ装置間欠作動制御について、図12及び図13に基づいて説明する。
図12にブレーキ装置間欠作動制御の制御フローを示す。図12に示すように、クラッチボタン107が押されて(ステップS41〜44)、ブレーキシリンダ間欠作動制御に移行すると(ステップS45)、ブレーキシリンダ113に作動油を供給する電磁弁105へ電流を供給し、ブレーキシリンダ113を短縮させてブレーキ装置110を作動させる(ステップS51)。ブレーキ装置110を作動させる時間はタイマー1において設定されており(第1設定時間t1)、このタイマー1において設定した第1設定時間t1の間ブレーキ装置110を作動させる(ステップS52・NO,S53・YES)。
タイマー1において設定した第1設定時間t1を経過すると(ステップS52・YES)、電磁弁105への電流の供給を遮断し、ブレーキシリンダ113を伸長させてブレーキ装置110を解除させる(ステップS54)。ブレーキ装置110を解除させる時間はタイマー2において設定されており(第2設定時間t2)(ステップS55・NO,S56・YES)、このタイマー2において設定した第2設定時間t2が経過すると(ステップS55・YES)、再び電磁弁105へ電流を供給し(ステップS57)、ブレーキシリンダ113を短縮させてブレーキ装置110を作動させる。ブレーキ装置110を作動させる時間はタイマー3において設定されており(第2設定時間t2)(ステップS58・NO,S59・YES)、このタイマー3において設定した第2設定時間t2の間ブレーキ装置110を作動させる。
タイマー3において設定した第2設定時間t2が経過すると(ステップS58・YES)、再び電磁弁105への電流の供給を遮断し(ステップS54)、ブレーキシリンダ113を伸長させてブレーキ装置110を解除させる。以降は、このブレーキ装置110の作動と解除の動作を繰り返す(ステップS54〜S58・YES)。
図13にブレーキ装置間欠作動制御における電磁弁105のON及びOFFのタイムチャートを示す。図13に示すように、クラッチボタン107を押した直後は、第1設定時間t1の間電磁弁105に電流を供給しブレーキ装置110を作動させることで、伝動軸6の回転を抑制した上で、第2設定時間t2ごとに電磁弁105への電流の供給をON又はOFFすることで、ブレーキ装置110を間欠作動させることができる。なお、第2設定時間t2は第1設定時間t1より短く設定されており、クラッチボタン107を押した直後にブレーキ装置110の摩擦力を長く作用させることができるように構成されている。
図12に示すように、タイマー1又はタイマー3において設定した時間内にクラッチボタン107の押し操作が解除された場合(ステップS53・NO,S59・NO)には、直ちに電磁弁105への電流の供給を遮断しブレーキ装置110を解除して、ブレーキ装置間欠作動制御を終了するように構成されており(ステップS60)、タイマー2において設定した時間内にクラッチボタン107の押し操作が解除された場合には、ブレーキ装置間欠作動制御を終了するように構成されている(ステップS56・NO)。
[12]
次に、クラッチ切り制御の後半について、図11に基づいて説明する。
図11に示すように、クラッチボタン107の押し操作が解除されてブレーキ装置間欠作動制御が終了すると、第2クラッチに相当する前進及び後進クラッチ75,76に作動油を給排操作する制御弁59,60に制御装置64から第2クラッチ入り指令を発し(ステップS46)、前進及び後進クラッチ75,76を伝動状態に入り操作する。次に、第1クラッチに相当する第1及び第2伝動クラッチ9,12に作動油を給排操作する制御弁61,62に制御装置64から第1クラッチ入り指令を発し(ステップS47)、第1及び第2伝動クラッチ9,12を伝動状態に入り操作する。さらに、変速装置に相当する第1及び第2主変速装置13,15を操作するアクチュエータ35,37に作動油を給排操作する制御弁39,41に制御装置64から変速装置復帰指令を発し(ステップS48)、第1及び第2主変速装置13,15を中立位置Nに操作する前の変速位置(L又はH)に操作する。
このように、クラッチボタン107を押し操作が解除されると、前進及び後進クラッチ75,76、第1及び第2伝動クラッチ9,12のすべてが入り操作され、かつ、第1及び第2主変速装置13,15が中立位置Nに操作する前の変速位置(L又はH)に操作されて、クラッチボタン107を押す前の状態に復帰させるように制御装置64が構成されている(ステップS46〜48)。
なお、この農用トラクタにおいては、副変速装置44を変速操作する超低速レバーの変速操作に基づいて、上述したクラッチ切り制御及びブレーキ装置間欠作動制御を行うように制御装置64を構成している。具体的には、超低速レバーの握り部(図示せず)に、第2クラッチボタン(図示せず)を設け、超低速レバーを変速操作して副変速装置44のシフト部材56を伝動ギア51又は伝動ギア55に咬合させる際に、第2クラッチボタンを押すとクラッチ切り制御及びブレーキ装置間欠作動制御を行うように制御装置64を構成している。
このように、副変速レバー106だけでなく超低速レバーを変速操作する際においてもクラッチ切り制御及びブレーキ装置間欠作動制御を行うように制御装置64を構成することによって、副変速装置44のシフト部材56を伝動ギア51又は伝動ギア55に咬合させる際のショックを小さくすることができて、超低速レバーによる副変速装置44の変速を無理なく行うことができる。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、変速装置に相当する第1及び第3主変速装置13,14と、第2及び第4主変速装置15,16の2系統を設けて、8速に変速可能に変速装置を構成した例を示したが、複数段に変速自在なギア変速式の変速装置であれば、変速段数や、第1〜第4主変速装置13〜16の組み合わせ等は異なるものであってもよい。例えば、第1及び第3主変速装置13,14、又は、第2及び第4主変速装置15,16のいずれか1系統のみによって変速装置を構成してもよく、第1主変速装置13と第2主変速装置15との組み合わせによって変速装置を構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、変速装置に相当する第1及び第3主変速装置13,14の間、及び、第2及び第4主変速装置15,16の間に直列的に第1クラッチに相当する第1及び第2伝動クラッチ9,12を接続した例を示したが、第1クラッチを変速装置に直列的に接続する構成であれば、変速装置に対して異なる位置に第1クラッチを接続する構成を採用してもよい。例えば、第1及び第2主変速装置13,15の伝動上流側に第1及び第2伝動クラッチ9,12を接続してもよく、第3及び第4主変速装置14,16の伝動下流側に第1及び第2伝動クラッチ9,12を接続してもよい。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、伝動軸6にブレーキ装置110を備えて、伝動軸6の回転を抑制可能に構成した例を示したが、第1クラッチに相当する第1及び第2伝動クラッチ9,12と副変速装置44のシフト部材47との間の伝動経路に位置する伝動軸であれば、他の伝動軸にブレーキ装置110を備える構成を採用してもよく、例えば、伝動軸4、第3及び第4主伝動軸8,11、伝動軸48等にブレーキ装置110を備える構成を採用してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、ブレーキ装置110を間欠作動させる時間として、タイマー2及び3を同じ第2設定時間t2に設定し、第2設定時間t2を第1設定時間t1より短くに設定した例を示したが、タイマー1〜3の設定時間は異なる設定時間であってもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、油圧式のブレーキシリンダ113をブレーキ装置110に採用した例を示したが、ブレーキ装置110を作動させるアクチュエータとしては、油圧式のものに限らず、電動シリンダ(図示せず)等の電動式のものを採用してもよい。また、ブレーキ装置110の構造についても、伝動軸6の回転を抑制することのできる構造であれば、ブレーキドラム111やブレーキアーム112を用いた構成に限らず、他の構造をブレーキ装置110に採用してもよい。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]において、農用トラクタの走行変速構造を例に示したが、前輪77及び後輪78に代えて右及び左のクローラ走行装置(図示せず)を備えたトラクタにも適用できる。
走行伝動系を示す概略図 制御装置の入出力状態を示すブロック図 第1変速モードにおいて、1速位置から2速位置への操作を示す図 第2変速モードにおいて、1速位置から4速位置への操作を示す図 第1及び第2変速モードの選択の流れを示す図 第1変速モードの流れを示す図 第2変速モードの流れを示す図 1〜8速位置でのシフト部材、第1及び第2伝動クラッチの状態を示す図 ブレーキ装置の構造を示す縦断背面図 ブレーキ装置の構造を示す縦断側面図 クラッチ切り制御の制御フローを示すフローチャート ブレーキ装置間欠作動制御の制御フローを示すフローチャート 電磁弁の作動状態を示すタイムチャート
1 エンジン
6 伝動軸
9,12 伝動クラッチ(第1クラッチ)
13,14,15,16 主変速装
44 副変速装
47 シフト部材
63 主変速レバー
64 制御装置(制御手段)
67 前後進切換装置
75,76 前進及び後進クラッチ(第2クラッチ)
106 副変速レバ
106a 握り部
107 クラッチボタン
110 ブレーキ装置

Claims (5)

  1. エンジンの動力が伝達される複数段に変速自在なギア変速式の変速装置を備え、油圧多板式の第1クラッチを前記変速装置に直列的に接続して、前記変速装置及び第1クラッチの伝動下手側に、複数段に変速自在なギア変速式の変速装置を備え、前記変速装置の伝動下手側に油圧多板式の第2クラッチを備えて、
    前記変速装置を変速操作する変速レバーを備え、前記副変速装置を変速操作する副変速レバーを、前記主変速レバーとは別に備え、
    前記副変速レバーの握り部にクラッチボタンを備えると共に、前記クラッチボタンの操作に基づいて前記第1クラッチ及び第2クラッチを切り操作する制御手段を備えてあるトラクタの走行変速構造。
  2. 前記クラッチボタンの操作に基づいて前記第1クラッチ及び第2クラッチを切り操作すると共に前記変速装置中立位置に変速操作するように前記制御手段を構成してある請求項1記載のトラクタの走行変速構造。
  3. 前記第1クラッチと前記変速装置のシフト部材との間の伝動経路に位置する伝動軸に、この伝動軸の回転を抑制することが可能なブレーキ装置を備えて、前記クラッチボタンの操作に基づいて前記ブレーキ装置が作動するように前記制御手段を構成してある請求項1又は2記載のトラクタの走行変速構造。
  4. 前記クラッチボタンの操作に基づいて前記ブレーキ装置が間欠作動するように前記制御手段を構成してある請求項3記載のトラクタの走行変速構造。
  5. 前記副変速装置の伝動下手側に、前後進切換装置としての油圧多板式の前進クラッチ及び後進クラッチを備え、前記第2クラッチを前記前進クラッチ及び後進クラッチで構成してある請求項1〜4のいずれか一項に記載のトラクタの走行変速構造。
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