JP4812969B2 - 換気装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋の床下や湿気をもち易い室内の換気に適用されるものであり、軽量にして成形加工性に優れ、且つ、極めて簡単に組立てることができる換気装置に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、家屋の床下や湿気をもち易い室内の換気を行うために、一般に多翼送風ファン（シロッコファン）を備えた換気装置が多用されているが、この換気装置の回転翼となるシロッコファンをはじめ、このシロッコファンを収納する筐体等の各部材の材質は、鉄やステンレススチール、或いは、アルミニウムやアルミ合金等からなる金属製のものが大半である。
そして、上記換気装置を構成する各部材を、溶接やビス止め、ボルト止め等の締結手段により組立てを行っていた。
【０００３】
上述の如く、従来の換気装置は、その構成部材が金属製のものが大半であるために、重量が嵩むばかりでなく、組立てに当っては手間と工数を要するので、結局は高価なものになってしまうという問題があった。
【０００４】
本発明は、上述の換気装置に見られるような課題を解決すべく為されたものであって、その目的とするところは、家屋の床下や室内の換気を十分に行うことができる機能を備えている上に、換気装置を構成する各部材を、極力、プラスチックに切替えることにより、換気装置の軽量化と、材料費並びに組立工数の削減を図って、安価な換気装置を提供せんとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の換気装置は、駆動モーター本体とこれに連結する回転軸と、軸受部を除く全ての部材が、プラスチックよりなる換気装置であって、前面板、底面板、背面板及び一側面板を一体成形品となし、前記前面板、底面板及び背面板の側縁部に他側面板を係着し、前記一側面板と他側面板の上縁部間に空気案内板を差渡し係着すると共に、当該空気案内板を覆うように取付固定板が取付けられて、これらにより形成される筐体と、当該筐体内に回転自在に収納される多翼送風ファンとから構成されるものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の換気装置の好適な実施形態について、図面に基づき具体的に説明する。
図１は本発明の換気装置を示す斜視図であり、図２は図１のＸ−Ｘ線矢視で示す断面図であり、図３は本発明の実施例を示す分解斜視図であり、図４は本発明に収納される多翼送風ファンの羽根を接合する状態を示す側面図であり、図５は筐体の一体成形品と他側面板との係着部を示す断面図である。
【０００７】
本発明は、図示したように、駆動モーター本体１１−３と、これに連結する回転軸１２４と、軸受部１２５を除く全ての部材が、プラスチックよりなる換気装置１であって、多数の空気孔を有する前面板１１２、底面板１１３、背面板１１４及び一側面板１１５を一体成形品１１１となし、上記前面板１１２、底面板１１３及び背面板１１４の側縁部で他側面板１１６を係着し、上記一側面板１１５と他側面板１１６の上縁部間に空気案内板１１８を差渡し係着すると共に、この空気案内板１１８を覆うように取付固定板１１７が取付けられて、これらにより形成される筐体１１−１と、この筐体１１−１内に回転自在に収納される多翼送風ファン１１−２とから構成されることを特徴とするものである。
【０００８】
そして、上記軸受部１２５を固着した軸受取付盤１２６を、上記筐体１１−１の一側面板１１５と他側面板１１６の各々に係着すると共に、多翼送風ファン１１−２の回転軸１２４を上記軸受取付盤１２６の軸受部１２５に差渡し挿着して、多翼送風ファン１１−２が回転自在に軸支されることを特徴とするものであり、また、上記多翼送風ファン１１−２は、プラスチックよりなる多数の羽根１２２と、この羽根１２２を固定する羽根固定円盤１２３とが、超音波溶接により接合一体化されてなることを特徴とするものである。
【０００９】
本発明は、上述の如く、駆動モーター本体１１−３とこれに連結する回転軸１２４と、軸受部１２５を除く全ての部材がプラスチックよりなるので、換気装置１全体が軽量化されると共に、その弾発性と強靭性を利用して、筐体１１−１を構成する各部材間や、筐体１１−１と多翼送風ファン１１−２間を、係着孔１２０に係止爪１２１を弾発掛止させるだけで、極めて簡単且つ確実に組立てることができる。
【００１０】
そして、プラスチックは成形加工性に優れているので、多数の空気孔１１２ａを有する前面板１１２と、底面板１１３、背面板１１４及び一側面板１１５が一連に形成された一体成形品１１１が容易に得られ、従って、筐体１１−１の組立てに要する手間や工数が少なくて済むものである。
【００１１】
また、筐体１１−１に収納される多翼送風ファン１１−２の羽根１２２と羽根固定円盤１２３との接合は、超音波溶接法による溶着手段を用いて迅速且つ確実に行うことができるので、多翼送風ファン１１−２の加工も容易であり、延いては、換気装置１の加工コストの低廉化に役立つ。
【００１２】
【実施例】
以下、本発明の換気装置１の実施例を図面を参照して説明する。
即ち、図１、図２に示すように、多翼送風ファン１１−２を囲繞する多数の空気孔１１２ａを有する前面板１１２、底面板１１３、背面板１１４及び一側面板１１５からなる一体成形品１１１と、他側面板１１６、空気案内板１１８及び取付固定板等から構成される筐体１１−１と、この筐体１１−１内で、駆動モーター本体１１−３により回転自在に収納される多翼送風ファン１１−２は、全て金属に代えてプラスチックを適用することができる。
【００１３】
上記プラスチックは、特にエンジニアリングプラスチックであることが好ましく、ＡＢＳ樹脂（アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂）、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ＰＰＯ樹脂（ポリフェニレンオキシド樹脂）、ポリスルホン樹脂や各種の繊維強化樹脂等から選ばれる、成形加工性、強靭性、並びに可撓性を兼ね備えたプラスチックが好適に使用される。
【００１４】
換気装置１の筐体１１−１を構成する一体成形品１１１は、図３に示すように、多数の空気孔１１２ａと係着孔１２０を備えた前面板１１２と、底面板１１３、係着孔１２０を備えた背面板１１４、及び、軸受取付孔部１１９と係着孔１２０を備えた一側面板１１５等が、射出成形法や真空成形法等のプラスチック成形加工手段により一体に成形して得られる。
なお、上記底面板１１３には、必要に応じて、多数の空気孔１１３ａが穿設される。
【００１５】
一方、上記一側面板１１５に対向配設される他側面板１１６の縁辺部には、一体成形品１１１の前面板１１２、底面板１１３及び背面板１１４の側縁部に穿設された係着孔１２０と符合する位置に、係止爪１２１が突設されると共に、中央部には軸受取付孔部１１９が穿設されて成形される。
【００１６】
上記前面板１１２、底面板１１３及び背面板１１４の一側縁部に穿設された係着孔１２０に、図３、図５に示すように、他側面板１１６の縁辺部に内向きに突設した係止爪１２１を掛止して、他側面板１１６を一体成形品１１１の一側面板１１５に対向配設すると共に、一側面板１１５の上縁部と他側面板１１６の上縁部に穿設された係着孔１２０，１２０に、空気案内板１１８の両側端に突設した係止爪１２１を掛止することにより、筐体１１−１の上縁部内側で前面板１１２寄りに空気案内板１１８が差渡し形成される。
【００１７】
また、上記一側面板１１５の成形加工時に、軸受取付孔部１１９と同時に、この軸受取付孔部１１９の周縁四ヶ所に係着孔１２０が穿設されるので、この係着孔１２０と符合する位置に係止爪１２１を有する軸受取付盤１２６を掛止して、軸受部１２５を内設した軸受取付盤１２６を、筐体１１−１の一側面板１１５にワンタッチで固定することができる。
そして、上記筐体１１−１の上縁部内側に係着される空気案内板１１８を覆うように、多数の空気孔１１７ａと、換気装置１取付けのためのビス止孔１１７ｂを穿設した取付固定板１１７が筐体１１−１に取付け固定される。この取付け固定作業は、超音波溶接機を用いて溶着一体化することができる。
【００１８】
上記筐体１１−１内に組込まれる多翼送風ファン１１−２は、図４に示すように、予め、超音波溶接機のホーンＡを用いて、中心に回転軸１２４を固定した羽根固定円盤１２３の周縁部に、多数の羽根１２２を溶接しておき、次いで、この羽根固定円盤１２３に羽根１２２が溶接されたもの同士を突合わせて、超音波溶接ホーンＡを当てて接合すると共に、得られた接合品の解放端面側に、更に、中心に回転軸１２４を固定した羽根固定円盤１２３をあてがい、超音波により溶接固定することにより得られる。
なお、上記回転軸１２４は、多翼送風ファン１１−２の両端部だけでなく全体を通して設けてもよいが、重量が嵩むので好ましくない。
【００１９】
上記多翼送風ファン１１−２を筐体１１−１内へ組込むには、筐体１１−１の他側面板１１６を外しておき、この取外し開口側から多翼送風ファン１１−２を入れ、一方の回転軸１２４を、一側面板１１５の軸受取付孔部１１９に係着固定されている軸受取付盤１２６の軸受部１２５へ遊嵌し、次いで、他方の回転軸１２４を、他側面板１１６の軸受取付盤１２６の軸受部１２５へ遊嵌し、図５に示すように、他側面板１１６の係止爪１２１を、一体成形品１１１の側縁部の係着孔１２０にワンタッチ掛止して、多翼送風ファン１１−２を筐体１１−１内へ簡単に組込むことができる。
【００２０】
本発明品は、駆動モーター本体１１−３と、これに連結する回転軸１２４と軸受部１２５を除く全ての部材、即ち、一体成形品１１１、他側面板１１６、空気案内板１１８及び取付固定板１１７からなる筐体１１−１や軸受取付盤１２６、そして、多翼送風ファン１１−２の羽根１２２や羽根固定円盤１２３、更には、駆動モーター本体１１−３を覆うモーターカバー１１−３ａ等々がプラスチックよりなるので、換気装置１全体が軽量化されると共に、筐体１１−１の組立てや、筐体１１−１内へ多翼送風ファン１１−２を組込む際など、係着孔１２０に係止爪１２１を掛止するだけで、極めて簡単且つ確実に組立てできるので、組立て作業工数が少なくて済むものである。
【００２１】
そして、筐体１１−１を構成する一体成形品１１１、他側面板１１６及び空気案内板１１８や軸受取付盤１２６、更に、多翼送風ファン１１−２を構成する羽根１２２や羽根固定円盤１２３等が、プラスチック成形加工技術や超音波溶接技術により簡単且つ低廉コストで得られるので、換気装置１を安価に提供できるという作用効果も奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の換気装置を示す斜視図である。
【図２】図１のＸ−Ｘ線矢視で示す断面図である。
【図３】本発明の実施例を示す展開斜視図である。
【図４】本発明に収納される多翼送風ファンの羽根を接合する状態を示す側面図である。
【図５】筐体の一体成形品と他側面板との係着部を示す断面図である。
【符号の説明】
１ 換気装置
１１−１ 筐体
１１−２ 多翼送風ファン
１１−３ 駆動モーター本体
１１−３ａ モーターカバー
１１１ 一体成形品
１１２ 前面板
１１２ａ 空気孔
１１３ 底面板
１１３ａ 空気孔
１１４ 背面板
１１５ 一側面板
１１６ 他側面板
１１７ 取付固定板
１１７ａ 空気孔
１１７ｂ ビス止孔
１１８ 空気案内板
１１９ 軸受取付孔部
１２０ 係着孔
１２１ 係止爪
１２２ 羽根
１２３ 羽根固定円盤
１２４ 回転軸
１２５ 軸受部
１２６ 軸受取付盤
Ａ 超音波溶接ホーン

Claims (3)

1. 駆動モーター本体とこれに連結する回転軸と、軸受部を除く部材が、プラスチックよりなる換気装置であって、前面板、底面板、背面板及び一側面板を一体成形品となし、前記前面板、底面板及び背面板の側縁部に他側面板を係着し、前記一側面板と他側面板の上縁部間に空気案内板を差渡し係着すると共に、当該空気案内板を覆うように取付固定板が取付けられて、これらにより形成される筐体と、当該筐体内に回転自在に収納される多翼送風ファンとから構成されている換気装置において、
   前記多翼送風ファンの軸受取付盤と前記一側面板及び他側面板とが、前記他側面板と 前記前面板、底面板及び背面板とが、及び前記空気案内板と前記一側面板及び他側面板 とがいずれも、係着孔に対して係止爪を弾発係止することによって互いに係着されてい る
   ことを特徴とする換気装置。
2. 軸受部を固着した前記軸受取付盤を、筐体の前記一側面板と前記他側面板の各々に係着すると共に、前記多翼送風ファンの回転軸を前記軸受取付盤の軸受部に差渡し挿着して、前記多翼送風ファンが回転自在に軸支される、請求項１に記載の換気装置。
3. 前記多翼送風ファンは、プラスチックよりなる多数の羽根と、当該羽根を固定する羽根固定円盤とが、超音波溶接により接合一体化されてなる、請求項１又は請求項２に記載の換気装置。

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