JP2004285938A - 送風ファン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】側板401には軸受に通す高剛性、高摺動性、高耐熱性の樹脂製の軸7を中央部にインサート成形し、軸7には凸状のリブ701とリブに合成樹脂が廻り込むように複数の円筒状の貫通孔702を設けている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製の軸を用い金属を含まない側板を形成し、リサイクル性及び加工性の向上を図った、空気調和機用等に使用される送風ファンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の樹脂製送風ファンは側板(端版)と翼部とボス組立部が一体構造とされていて、その構造体の合成樹脂材には、ファン全体にアクリロニトリル・スチレン系樹脂(以下、AS系樹脂と略す)にガラスファイバー(以下、GFと略す)を混入して強度の向上を図ったもの等が使用されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
ファンは、軸受けと連結する軸を有する側板と複数の羽根と仕切り板を有する翼部とファンモーターの軸を固定するボス部を有するボス組立部で構成されていている。各接合部は、超音波溶着加工によって接合され側板には金属製SUSの軸がインサートされている。尚、軸は側板のインサート部との接合力を確保するためインサート部の一部にローレット加工などを施し凹凸をつけている。また、特開2000−257585では、軸部に中空円筒状金属を使用して円筒内に樹脂を成形したものはあるが軸部全体を樹脂化したものはない。翼部は、通常7連〜13連程度の連結されたものが使用され、送風ファンの全長は600〜900mm程度のものまで使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−234795号公報
【特許文献2】
特開平9−317691号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の送風ファンの構成では、ファンの側板にSUSなどの金属製の軸を使用しているため、リサイクル時は同時粉砕は出来なく金属部を外して粉砕している。また、金属部の軸はSUS製の軸にローレット加工をするなど加工時間もかかり高価である。本発明は、このような従来の課題を解決するもので、軸受けと連結する側板全体に高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂を用い或いは側板に高剛性、高摺動性、高耐熱性の樹脂製の軸をインサート成形して一体化し、粉砕時に金属部の分離を必要とせず、リサイクル性・生産性・実用性の優れた空気調和機用の送風ファンを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するに本発明の送風ファンは、軸受けと連結する軸を有する側板と複数の羽根と仕切り板を有する翼部とファンモーターの軸を固定するボス部を有するボス組立部を高剛性、耐熱クリープ性に優れた合成樹脂AであるAS系樹脂或いは、高剛性、耐熱クリープ性、特に流動性に優れたスチレンと耐熱性を付与したモノマーとから生成される共重合樹脂耐熱PS系樹脂(以下、耐熱PS系樹脂と略す)にGFを20〜40重量%混入させた樹脂を用い、側板の全体に高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂Bを用い、或いは側板に高剛性、高摺動性、高耐熱性の樹脂Bの軸をインサート成形し一体化して構成している。
【0007】
上記構成によって、従来のSUS製の軸である金属をインサートした時には出来なかった、側板と軸の同時粉砕が可能となり金属製の軸が混入することも無くリサイクル性が向上する。軸のインサート成形部に、凸状のリブとリブに複数の円筒状の貫通孔を設ける事によって、高硬度のSUSに凹凸のローレット加工するような後加工も要らない。
【0008】
尚、軸部を含まない側板・翼部・ボス組立部或いは翼部・ボス組立部の合成樹脂Aを耐熱PS系樹脂にすることによって、流動性がよくなり、ボス組立部と翼部と側板或いは翼部・ボス組立部の成形時に、成型機の成形条件の調整が容易となり、また成形時にショートショットの発生も少なくなって多数個取りした時の歩留まりが良くなり、生産加工性を向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、複数の翼部を有するファンにおいて、軸受けと連結する軸を有する側板と複数の羽根と仕切り板を有する翼部とファンモーターの軸を固定するボス部を有するボス組立部が合成樹脂材で形成され、前記翼部とボス組立部に合成樹脂Aを用い、側板の全体を合成樹脂Bで構成したものである。この構成によれば、側板と翼部などの合成樹脂の同時粉砕が可能となりリサイクル性を向上さすことができる。また、側板に軸をインサート成形する必要がなく生産性に優れている。
【0010】
本発明の請求項2記載の発明は、複数の翼部を有するファンにおいて、軸受けと連結する軸を有する側板と複数の羽根と仕切り板を有する翼部とファンモーターの軸を固定するボス部を有するボス組立部が合成樹脂材で形成され、前記ファンの軸受けと連結する合成樹脂Aの側板に、合成樹脂Bの軸をインサート成形し一体化して構成したものである。この構成によれば、側板と軸と翼部などの合成樹脂の同時粉砕が可能となりリサイクル性を向上さすことができる。
【0011】
本発明の請求項3記載の発明は、前記ファンの軸或いは側板全体の合成樹脂Bを、曲げ弾性率(JIS−K−7203)が8000MPa以上、摩擦係数(ASTM D1894 動摩擦、対鋼S45C)0.35以下、荷重たわみ温度(JIS−K−7206、荷重1.83MPa)が200℃以上にしたものである。この構成によれば、特にファンを長期使用した場合クリープ変形が少ない優れたファンを造ることができる。
【0012】
本発明の請求項4記載の発明は、前記ファンの軸或いは側板全体の合成樹脂Bを、フッ素系樹脂を混入したポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂(以下、PPS系樹脂と略す)或いはフッ素系樹脂とAS系樹脂或いはフッ素系樹脂と耐熱PS系樹脂を混入したPPS系樹脂で構成したものである。この構成によれば、特に摺動性が優れて高剛性で高耐熱の樹脂を用いることができ、側板と軸が合成樹脂で一体化できる。尚、摺動性が優れていめため使用時の軸の磨耗もなく、またリサイクル時に軸の材料が混入しても大きな物性低下を生じない。また、フッ素系樹脂とAS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂を混入したPPS系樹脂で構成した樹脂は、翼部やボス組立部に使用するAS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂にGFを混入した合成樹脂と同系材料を配合した場合は、さらに相用性は良くなりリサイクル時の詰まりなど少なくなりスムーズに成形できる。
【0013】
本発明の請求項5記載の発明は、前記ファンの軸を除く側板と翼部とボス組立部の合成樹脂A或いは翼部とボス組立部の合成樹脂Aを、AS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂に、GFを20〜40重量%混入した高剛性樹脂で構成したものである。この構成によれば、側板と翼部とボス組立部の各接合部の超音波溶着性も優れ、AS系樹脂は高剛性、耐熱クリープ性に優れている。また耐熱PS系樹脂は高剛性、耐熱クリープ性、特に流動性に優れ歩留まりが良くなり成形サイクルの向上が図れる。
【0014】
本発明の請求項6記載の発明は、前記ファンの軸のインサート成形部に、凸状のリブとリブに複数の円筒の貫通孔を設けたものである。この構成によれば、側板に樹脂をインサート成形するとき、貫通孔にAS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂が回り込み強固に一体化することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面及び表を参照して説明する。図1は、本発明のクロスフローファンの一実施例における合成樹脂製の軸をインサート成形した側板の縦断面部、図2は、同クロスフローファンの一実施例における合成樹脂製の軸の外観斜視図。図3は、本発明のクロスフローファンの一実施例における合成樹脂製の側板の縦断面部、図4は、従来のクロフスローファンの外観斜視図である。図5は、従来のクロフスローファンの側板の縦断面図である。また表1は、軸をインサート成形した実施例と従来例の材料構成と実用性、表2は、側板全体に合成樹脂を使用した時の実施例と従来例の材料構成と実用性、表3は、実施例及び従来例の側板と翼部とボス組立部或いは翼部とボス組立部に使用した合成樹脂の一般物性である。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
まず、本発明の側板に軸をインサート成形した実施例1〜4について図1、2、4を用いて説明する。実施例1〜4は、構成材料は異なるが構造は同じである。図4に示すように複数の翼部を有するクロスフローファン1(以下、ファンと略す)は、軸受けと連結する側板4と、仕切り板5を有する中央部の翼部3と、ファンモータの軸と連結するボス組立部2で構成されてファンを回転させて送風させるものである。尚、モータは効率面からDC製のトランジスタモータを使用している。ファンの全長は約641mm、外形は約95mmで翼部が9連仕様のものを用いた。
【0020】
ボス組立部2には、ファンモータの軸と直接連結するアルミニウムとゴム製のボス部を、また側板401には軸受に通す高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂Bの軸7を中央部にインサート成形している。尚、軸7はインサート成形して側板と強固に一体化させるために軸にリブ701を設け、リブ701には側板の合成樹脂Aが廻り込むように円筒状の貫通孔702を設けている。尚、側板には超音波溶着時に翼部の羽根を接合勘合させるために外周近くに、羽根枚数と等しい凹状の窪みを施している。
【0021】
尚、ファンは、側板と翼部とボス組立部の接合部を超音波溶着加工した後に、成形歪と溶着歪を除去するためアニール処理を実施している。アニール処理方法は、90℃の温風循環炉にファン1を縦置き放置で置いて約8時間処理したものである。
【0022】
高剛性、高摺動性、高耐熱性の樹脂樹脂Aの軸7は、表1に示す曲げ弾性率(JIS−K−7203)、摩擦係数(ASTM D1894 動摩擦、対鋼S45C)、限界PV値(kgf/cm2・m/min)、荷重たわみ温度(JIS−K−7206、荷重1.83MPa)の特性のPPS系樹脂を用いている。実施例1と実施例2は、フッ素系樹脂とAS系樹脂を混入したPPS系樹脂を用い、実施例3は、フッ素系樹脂を混入したPPS系樹脂を用い、実施例4は、フッ素系樹脂と耐熱PS系樹脂を混入しPPS系樹脂を用いている。
【0023】
使用したPPS系樹脂の曲げ弾性率は実施例1が8000MPa、実施例2が10000MPa、実施例3が15000MPa、実施例4は12000MPaである。尚、曲げ弾性率は8000MPa以下であるとファンを高速回転(約2000rpm)した時に変形しやすく8000MPa以上が好ましい。また摩擦係数は0.15〜0.35の樹脂を用いて軸受けとの接合部の磨耗がないようにしている。摩擦係数0.40以上では温度が上昇し磨耗しやすい傾向があり0.35以下が好ましい。荷重たわみ温度は、実施例1が200℃、実施例2が230℃、実施例3が260℃、実施例4が220℃の樹脂を使用している。荷重たわみ温度が200℃以下であると、軸の熱変形が大きくなる傾向があるため200℃以上が好ましい。また、軸を含まない側板401と翼部3とボス組立部2の合成樹脂Aは、表3に示す。
【0024】
尚、限界PV値とは、材料の摺動表面が摩擦発熱によって変形もしくは溶融してすべり性能を維持できなくなる限界の圧力(P)と速度(V)の積の値で、限界PV値が高いほど、すべり性能に優れている材料といわれている。限界PV値は、耐熱性の高い樹脂ほど高くなる。
【0025】
尚、使用した軸受けは、空気調和機で主流に使用されている旭ポリスライダー製の樹脂軸受けであり、構成はリチーム系グリースをホールドできる凹部を3ケ所程度設けた円筒状の軸受けでポリアセタール樹脂製である。この樹脂製の軸受けは、絶えずグリースが軸7と接触する構成になって摩擦による磨耗や傷付きが極力無いようにしている。摩擦係数μは、一般に摩擦力Fと荷重Wとは正比例し、その比例定数を摩擦係数として表している。実施例1〜実施例4に使用した軸7のPPS系樹脂の限界PV値は(耐鋼・SCM21)700kgf/cm2・m/min以上のものを使用している。
【0026】
表1に示すファンの実用性は、リサイクル性と軸の振れとファン完成品の耐熱静止たわみを評価して判断した。図3は、リサイクル性は、翼部3と軸7をインサートした側板401を粉砕・混練した場合の再生可能性から、同時粉砕ができて再生可能なものを○、従来例のように樹脂と金属とは相溶性が悪く分離再生しないと再生できないものは×とした。
【0027】
尚、リサイクル時に、翼部の羽根に金属製のバランス調整用ウエイトがある場合やボス組立部を再生する場合は、バランスウエイトや金属製のボス部に関しては事前に取り除いておいた。従来は、側板とボス組立部の両サイド部は事前に裁断機なとでカットして取り除いている。尚、リサイクル時に側板や翼部の合成樹脂に軸の材料が比率で2重量%未満混入しても大きな物性低下は生じない。
【0028】
軸の振れに関しては、ファン完成状態で両端を側板の軸とボス組立部のボス部に軸と同径の治具を通して、両端の高さを一定にしVブロック上に載せて均等の高さに固定し、ダイアルゲージを用いて軸の先端から5mm程度の箇所に当て、ファンを3回転程度廻した時の軸の芯振れ量を測定し、MAX値を確認したものである。
【0029】
耐熱静止たわみとは、試験前後のファンのバランス変化量を測定しファンの耐熱クリープ性を評価するものである。この数値は、出来るだけ小さい方か優れている。特に製品が長期保管や高温雰囲気に暴露された場合には、この変化量が小さいと変化量も少なく優れている。耐熱静止たわみの試験法は次に示す通りである。試験は、70℃の恒温層にファン1の両端2点を支え、水平に168h放置した前後のアンバランス変化量を、ファン専用のバランスマシーン測定機で計測したものである。熱変形が大きくなると数値が大きくなりバランス不良が発生する。バランス変化量が軸側で2g・cm以上また中央部で4g・cm以上を超えると、空気調和機本体の振動が大きくなり、異常音等による不具合を生じることがある。単位はg・cmで表示する。尚、本発明では軸側の変化量を用いている。
【0030】
実施例1〜実施例4と従来例に使用した合成樹脂Aの特性は、表3に示すように実施例1はAS系樹脂にGF20重量%、実施例2と従来例はAS系樹脂にGF30重量%、実施例3はAS系樹脂にGF40重量%、実施例4は耐熱PS系樹脂にGF30重量%のものを使用している。
【0031】
耐熱PS系樹脂とは、スチレンと耐熱性を付与したモノマー、すなわちアクリル系のモノマーやマレイン系のモノマーやNフェニルマレイミド系のモノマーやメタクリル系モノマーとの共重合体やシンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)樹脂であって、耐熱温度を上げることが可能になり、実施例4では荷重たわみ温度が約106℃の樹脂を使用している。従来品のAS系樹脂にGF30重量%と比較しても1℃高く、一般的なポリスチレン(PSと略す)樹脂をベースにした場合を比較すると(PS樹脂+GF30重量%)荷重たわみ温度は約95℃である為、11℃程度高くすることができる。尚、本実施例4はアクリル系の耐熱樹脂とPS樹脂とを重合させた耐熱PS系樹脂を用い、この樹脂にGFを均等分散させて製造し強度の高いものを使用している。尚、GFは樹脂材料製造時に成形機のサイドフィーダーより一定量を均一分散して混入させている。また、実施例1〜実施例4の軸側の耐熱静止たわみは、全て1g・cm以内であり良好な状態である。
【0032】
ファンの実用性の結果において軸振れ量は、実施例1が0.06mm、実施例2と実施例3が0.04mm、実施例4が0.05mmで、従来例は0.06mmと同程度であり良好な結果である。また、ファンとして重要な耐熱静止たわみは軸側のバランス変化量として、実施例1が1.4g・cm、実施例2が1.0g・cm、実施例3と実施例4で0.7g・cmで、従来例の0.8g・cmと同程度で1.5g・cm以内の数値であり良好な結果である。またリサイクル性に関しては、実施例1〜実施例4は翼部4と軸7をインサートした側板401を同時粉砕ができる。尚従来例は、SUS製の軸であり分離しないと再生できない。また、図5に示すように従来例は、側板4のインサート部にローレット加工を施したSUS420製の軸6を用いたものである。
【0033】
また、ファンの側板及び翼部及びボス組立部の接合部はファンの引張り強度を計ると実施例−1〜実施例4と従来例は400kg/本以上あり、AS系樹脂とPS系樹脂にGF20〜40重量%のものは強固に接合されている。
【0034】
次に、本発明の側板全体に高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂Bを用いた実施例5〜8について説明する。実施例5〜8は、構成材料は異なるが構造は同じである。軸受けと連結する高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂製の側板8と、仕切り板5を有する中央部の翼部3と、ファンモータの軸と連結するボス組立部2で構成されてファンを回転させて送風させるものである。尚、側板8には表2に示す特性の高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂Bを用い、翼部とボス組立部には表3に示す合成樹脂Aを用いて構成している。
【0035】
また、使用しているモータやファンの大きさ、ファンの実用性の評価でリサイクル性と軸の振れとファン完成品の耐熱静止たわみの評価法や、側板と翼部とボス組立部の超音波溶着による接合方式や、溶着後のアニール処理内容については、前記の軸7をインサートした実施例と同様のものを使用し、同様の評価法で実施しているので詳細は省略する。
【0036】
高剛性、高摺動性、高耐熱性の合成樹脂Bの側板8は、表2に示すPPS系樹脂を用いている。実施例5と実施例6は、フッ素系樹脂とAS系樹脂を混入しPPS系樹脂を用い、実施例7は、フッ素系樹脂を混入したPPS系樹脂を用い、実施例8は、フッ素系樹脂と耐熱PS系樹脂を混入しPPS系樹脂を用いている。
【0037】
使用したPPS系樹脂の曲げ弾性率は、実施例1〜4と同特性の材料を用い、実施例5が8000MPa、実施例6が10000MPa、実施例7が15000MPa、実施例8は12000MPaである。尚、曲げ弾性率は8000MPa以下であるとファンを高速回転(約2000rpm)した時に変形しやすく8000MPa以上が好ましい。また摩擦係数は0.15〜0.35の樹脂を用いて軸受けとの接合部の磨耗がないようにしている。摩擦係数0.40以上では温度が上昇し磨耗しやすい傾向があり0.35以下が好ましい。
【0038】
荷重たわみ温度は、実施例5が200℃、実施例6が230℃、実施例7が260℃、実施例8が220℃の樹脂を使用している。荷重たわみ温度が200℃以下であると、軸の熱変形が大きくなる傾向があるため200℃以上が好ましい。
【0039】
また、側板8と翼部3とボス組立部2の合成樹脂Bは表3に示す。尚、側板の軸部の立ち上がりは強度面から、軸部の周辺を2段にして肉厚を確保している。
【0040】
ファンの実用性の結果において軸振れ量は、実施例5が0.07mm、実施例6が0.04mmで、実施例7と実施例8が0.05mmで、従来例の0.06mmと同程度であり良好な結果である。また、ファンとして重要な耐熱静止たわみは軸側のバランス変化量として、実施例1が1.3g・cm、実施例2が1.2g・cm、実施例3が0.8g・cm、実施例4が0.7g・cmで、従来例の0.8g・cmと同程度で1.5g・cm以内の数値であり良好な結果である。またリサイクル性に関しては、実施例5〜実施例8は翼部4と側板8を同時粉砕ができる。
【0041】
尚、実施例1、2、4と実施例5、6、8のフッ素系樹脂とAS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂を混入したPPS系樹脂で構成した合成樹脂Bは、翼部やボス組立部に使用するAS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂にGFを混入した合成樹脂Aと同系材料を配合しているため、フッ素系樹脂を混入したPPS系樹脂よりさらに相溶性は良くなり、リサイクル時の詰まりなど少なくなりスムーズに成形できる。
【0042】
また、ファンの側板及び翼部及びボス組立部の接合部はファンの引張り強度を計ると実施例−1〜実施例8は従来例と同様に400kg/本以上あり、AS系樹脂とPS系樹脂にGF20〜40重量%のものは強固に接合されている。
【0043】
また、本発明の軸部の表面精度は、材料組成にもよるが表面あらさ(Ry)2.0s以下、軸の真円度は3μm以内としている。尚、従来例の軸はSUS420J2の焼き入れ材で表面あらさ(Ry)0.5s、軸の真円度は1μm以下、仕上げは仕上げ記号で▽▽▽▽のものを使用している。
【0044】
また、本発明はフッ素系樹脂を混入したPPS系樹脂を用いて説明したが高剛性、高摺動性、高耐熱性の樹脂として、ポリエーテルサルホン(PES)やポリエーテルエーテルケトンをベースとした摺動樹脂やチタン酸カリームのウィスカなどで強化したポリアミド系樹脂や高剛性・高摺動性を有するポリアセタール樹脂においても成形時に同時粉砕して再生ができる。また、GFの変わりに強化材として高剛性のCF(カーボンファイバー)や摺動性のある酸化亜鉛ウィスカも適している。
【0045】
尚、本発明の送風ファンは空気調和機用以外にも温風暖房等を行う温風機器または暖房機器用も利用でき、また本発明の技術は樹脂製の羽根車が使用される他の送風機分野で広く利用できる。
【0046】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、軸部を有する側板の全体を合成樹脂で構成しているため、側板と翼部などの合成樹脂との同時粉砕が可能となりリサイクル性を向上さすことができる。また、側板に軸をインサート成形する必要がなく生産性に優れている。
【0047】
また、請求項2記載の発明によれば、合成樹脂の軸を側板にインサート成形しているため、金属製の軸を分離する必要がなく、側板と軸と翼部の合成樹脂との同時粉砕が可能となりリサイクル性を向上することができる。
【0048】
また、請求項3記載の発明によれば、曲げ弾性率(JIS−K−7203)が8000MPa以上、摩擦係数(ASTM D1894 動摩擦、対鋼S45C)0.35以下、荷重たわみ温度(JIS−K−7206、荷重1.83MPa)が200℃以上の高剛性・高摺動性・高耐熱の合成樹脂を使用しているため、特にファンを長期使用した場合クリープ変形が少ない優れたファンを造ることができる。
【0049】
また、請求項4記載の発明によれば、特に0.35以下の摩擦係数の小さく高摺動・高剛性・高耐熱のPPS系樹脂を軸或いは側板全体に使用しているため、エアコン使用時の軸の磨耗もなく、リサイクル時に側板や翼部の合成樹脂に軸の材料が混入し、或いは軸部を有する側板と翼部を粉砕再生しても大きな物性低下を生じない。
【0050】
また、請求項5記載の発明によれば、軸を除く側板と翼部とボス組立部或いは翼部とボス組立部の合成樹脂をAS系樹脂あるいは耐熱PS系樹脂にGFを20〜40重量%混入した高剛性樹脂を使用しているため、側板と翼部とボス組立部の各接合部の接合強度が高く、超音波溶着性も優れている。さらに耐熱PS系樹脂は、従来品よりも成形時の流動性がよくなり、成形時にファン部材すなわち端板、仕切り板を含む翼部にショートショットが発生しにくく、成形時に2ケから4ケ取りなど多数個取りが容易になり、より生産性の向上を図ることができる。
【0051】
また、請求項6記載の発明によれば、凸状のリブとリブに複数の円筒の貫通孔を設けているため、側板に樹脂をインサート成形するとき、貫通孔にAS系樹脂或いは耐熱PS系樹脂が回り込み強固に一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクロスフローファンの一実施例における合成樹脂製の軸をインサート成形した側板の縦断面図
【図2】同クロスフローファンの一実施例における合成樹脂製の軸の外観斜視図
【図3】本発明のクロスフローファンの一実施例における合成樹脂製の側板の縦断面図
【図4】従来のクロフスローファンの外観斜視図
【図5】従来のクロフスローファンの側板の縦断面図
【符号の説明】
1 クロスフローファン
2 ボス組立部
3 翼部
7 高剛性・高摺動性・高耐熱の合成樹脂製の軸
8 高剛性・高摺動性・高耐熱の合成樹脂製の側板
401 側板
702 貫通孔
Claims (6)
- 複数の翼部を有するファンにおいて、軸受けと連結する軸を有する側板と複数の羽根と仕切り板を有する翼部とファンモーターの軸を固定するボス部を有するボス組立部が合成樹脂で形成され、前記翼部とボス組立部に合成樹脂Aを用い、側板全体に合成樹脂Bを用いたことを特徴とする送風ファン。
- 前記ファンの軸受けと連結する合成樹脂Aの側板に、合成樹脂Bの軸をインサート成形し一体化したことを特徴とする送風ファン。
- 前記ファンの軸或いは側板全体の合成樹脂Bを、曲げ弾性率(JIS−K−7203)が8000MPa以上、摩擦係数(ASTM D1894 動摩擦、対鋼S45C)0.35以下、荷重たわみ温度(JIS−K−7206、荷重1.83MPa)が200℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載の送風ファン。
- 前記ファンの軸或いは側板全体の合成樹脂Bを、フッ素系樹脂を混入したポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂或いはフッ素系樹脂とアクリロニトリル・スチレン系樹脂を混入したポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂或いはフッ素系樹脂とスチレンと耐熱性を付与したモノマーとから生成される共重合樹脂(耐熱PS系樹脂)を混入したポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂で構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の送風ファン。
- 前記ファンの軸を除く側板と翼部とボス組立部或いは翼部とボス組立部の合成樹脂Aを、アクリロニトリル・スチレン系樹脂或いはスチレンと耐熱性を付与したモノマーとから生成される共重合樹脂(耐熱PS系樹脂)に、ガラスファイバーを20〜40重量%混入した高剛性樹脂で構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の送風ファン。
- 前記ファンの軸のインサート成形部に、凸状のリブとリブに複数の円筒の貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1、3、5のいずれかに記載の空気調和機用の送風ファン。
Priority Applications (1)
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