JP4811072B2 - ピニオンシャフト - Google Patents

ピニオンシャフト Download PDF

Info

Publication number
JP4811072B2
JP4811072B2 JP2006078151A JP2006078151A JP4811072B2 JP 4811072 B2 JP4811072 B2 JP 4811072B2 JP 2006078151 A JP2006078151 A JP 2006078151A JP 2006078151 A JP2006078151 A JP 2006078151A JP 4811072 B2 JP4811072 B2 JP 4811072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tempering
pinion shaft
pinion
mass
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006078151A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007255485A (ja
Inventor
幸一 山本
浩道 武村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2006078151A priority Critical patent/JP4811072B2/ja
Publication of JP2007255485A publication Critical patent/JP2007255485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4811072B2 publication Critical patent/JP4811072B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • General Details Of Gearings (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

この発明は、プラネタリギヤ装置のサンギヤおよびリングギヤに螺合するピニオンギヤを、転動体を介して回転自在に支持するピニオンシャフトに関する。
ラジアルニードル軸受では、軸の面を内輪軌道面として使用する(すなわち、軸に転動体である針状ころを転がり接触させる)ことが多い。例えば、自動車用オートマチックトランスミッションの遊星歯車機構(プラネタリギヤ装置)では、ピニオンシャフトの長さ方向中央部の外周面が内輪軌道面に、ピニオンギヤの内周面が外輪軌道面になっており、ピニオンシャフトとピニオンギヤの間に多数の針状ころが配置されている。
このようなラジアルニードル軸受の軸は、転がり疲労特性を向上することと、衝撃荷重が大きい場合であっても塑性変形を生じ難くすることが課題となっている。この課題を解決するために、下記の特許文献1には、ラジアルニードル軸受の内輪を兼ねる軸(転動軸)を、0.5〜1.2wt%の炭素を含有する鋼で構成するとともに、芯部の残留オーステナイト量を0とし、表面層の窒素含有率を0.05〜0.4wt%とし、表面層の硬さをHv650以上とし、表面層の残留オーステナイト量を15〜40vol%とすることが開示されている。
また、この文献には、前記構成の軸の製造方法として、浸炭窒化後に焼入れ・調質(高温焼戻し)を施して、軸の全体の硬さをHv300〜500(望ましくはHv400〜500)にし、次いで高周波焼入れと焼戻しを行って表層部の硬さをHv650以上にする方法が記載されている。この方法では、芯部の残留オーステナイト量が0となり、芯部の硬さがHv300〜500(望ましくはHv400〜500)となる。
特開2002−4003号公報
近年、遊星歯車機構の使用条件は、高荷重(例えば4000N以上)、高速回転(例えば8000min-1以上)、高温(例えば120℃以上)、低潤滑油量(例えば、1ピニオン当たり供給量30ml/min以下)等のように過酷になってきており、このような過酷な条件での寿命が長いことが求められているが、特許文献1に記載の技術では不十分である。
本発明の課題は、このような過酷な条件での寿命が長いピニオンシャフトを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、プラネタリギヤ装置のサンギヤおよびリングギヤに螺合するピニオンギヤを、転動体を介して回転自在に支持するピニオンシャフトであって、「JIS G 4805」で規定されているSUJ1〜SUJ5のいずれかの鋼材を所定形状に加工した後、浸炭窒化、焼入れ、第1の焼戻し、転動体の軌道面となる部分への高周波焼入れ、第2の焼戻しをこの順に行うことにより製造され、第1の焼戻し温度は250〜500℃の範囲であり、第2の焼戻し温度は150〜180℃の範囲であり、前記軌道面の表層部(表面から深さ100μmまでの部分)は、炭素含有率0.97質量%以上1.8質量%以下、窒素含有率0.05質量%以上0.5質量%以下であり、硬さビッカース硬さ(Hv)で650以上900以下、残留オーステナイトが20体積%以上45体積%以下になっており、高周波焼入れにより形成された硬化層の深さ(d)がシャフトの直径(D)の3.0%以下であり(d/D≦0.030を満たしており)、芯部は、硬さビッカース硬さ(Hv)で50以上750以下であり、残留オーステナイト0になっていることを特徴とするピニオンシャフトを提供する。
なお、プラネタリギヤ装置のサンギヤおよびリングギヤに螺合するピニオンギヤを、転動体を介して回転自在に支持するピニオンシャフトの製造方法であって、「JIS G 4805」で規定されているSUJ1〜SUJ5のいずれかの鋼材を所定形状に加工した後、浸炭窒化、焼入れ、第1の焼戻し、転動体の軌道面となる部分への高周波焼入れ、第2の焼戻しをこの順に行い、第1の焼戻し温度は250〜500℃の範囲とし、第2の焼戻し温度は150〜180℃の範囲とし、前記軌道面の表層部(表面から深さ100μmまでの部分)は、炭素含有率を0.97質量%以上1.8質量%以下、窒素含有率を0.05質量%以上0.5質量%以下、硬さをビッカース硬さ(Hv)で650以上900以下、残留オーステナイトが20体積%以上45体積%以下に、芯部は、硬さをビッカース硬さ(Hv)で450以上750以下、残留オーステナイトを0にすることを特徴とするピニオンシャフトの製造方法で製造されるピニオンシャフトは、下記の構成(1) 〜(6) を満たす。
(1) 「JIS G 4805」で規定されているSUJ1〜SUJ5のいずれかの鋼材を所定形状に加工した後、浸炭窒化、焼入れ、第1の焼戻し、転動体の軌道面となる部分への高周波焼入れ、第2の焼戻しをこの順に行うことにより製造されたものである。
(2) 第1の焼戻し温度は250〜500℃の範囲であり、第2の焼戻し温度は150〜180℃の範囲である。第2の焼戻し温度は通常の低温焼戻し温度である。
(3) 前記軌道面の表層部は、炭素含有率が0.97質量%以上1.8質量%以下、窒素含有率が0.05質量%以上0.5質量%以下である。
(4) 前記軌道面の表層部は、硬さがビッカース硬さ(Hv)で650以上900以下、残留オーステナイトが20体積%以上45体積%以下になっている。
(5) 芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で450以上750以下になっている。
(6) 芯部の残留オーステナイトが0になっている。
このピニオンシャフトは、所定形状に加工された鋼材(SUJ1〜SUJ5のいずれか)に対する熱処理を、浸炭窒化、焼入れ、第1の焼戻し、転動体の軌道面となる部分への高周波焼入れ、第2の焼戻しの順に行うことで得られるが、その際に、第1の焼戻し温度を250〜500℃の範囲で行うことにより、500℃を超える温度で行った場合と比較して、熱処理後の残留オーステナイトのバラツキを少なくすることができるとともに、高周波焼入れ時の熱変形を小さくすることができる。好ましくは300〜450℃の範囲で行う。
第1の焼戻し温度が500℃を超えると、焼戻し過程で、Fe3 C(セメンタイト)の凝集による粗大化、低炭素マルテンサイト中からのセメンタイトの析出により、マルテンサイトが炭素量の著しく少ないα相(フェライト)に変化し、同様に炭窒化物や窒化物が析出して、α相の窒素濃度が著しく低下する。すなわち、パーライト組織中に固溶している炭素および窒素濃度が著しく低下する。そして、次工程の高周波焼入れ時に、これらの炭化物、炭窒化物、窒化物がオーステナイト相に溶け込み難くなり、その含有率にバラツキが生じることで、熱処理後の残留オーステナイトのバラツキが大きくなるとともに、軸の長さ方向のバラツキが大きくなる。さらに、表層部の残留オーステナイト量を20体積%以上にできなくなる場合がある。
第1の焼戻し温度が250℃未満であると、芯部の残留オーステナイトを0にすることができない。芯部の残留オーステナイトが0であることにより、高温で使用した時に残留オーステナイトが分解して塑性変形が生じることが防止され、ピニオンシャフトの曲がりや膨張が軽減される。その結果、プラネタリギヤ装置(ラジアルニードル軸受)とした時に、ニードルとピニオンシャフトの接触がエッジロード(端部に局所的な面圧が生じる状態)となって転がり寿命が低下することを防止できる。
芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で450未満であると、ピニオンシャフトの弾性変形による曲がりが大きくなり、プラネタリギヤ装置(ラジアルニードル軸受)とした時に、ニードルとピニオンシャフトの接触がエッジロードとなって、転がり寿命の低下につながる。芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で750を超えると、ピニオンシャフトとして使用した時に衝撃荷重で折損し難くなるための十分な靱性が得られない。
なお、芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で450以上であっても、500℃を超える温度で第1の焼戻しを行った場合には、表層部の残留オーステナイト量が不足する場合や、炭化物や炭窒化物が粗大化する場合がある、という理由で転がり寿命が低下する。
ピニオンシャフトの転動体の軌道面となる部分の表層部の炭素含有率が0.97質量%未満であると、表層部の残留オーステナイト量が20体積%未満となる場合がある。前記表層部の炭素含有率が1.8質量%を超えると、粗大炭化物が生成し易くなり、転動寿命を低下させる恐れがある。前記表層部の窒素含有率が0.05質量%未満であると、微細な炭窒化物が減少し、耐摩耗性が不足する恐れがある。前記表層部の窒素含有率が0.5質量%を超えると、炭窒化物が多くなって加工し難くなり易い。Ms点が低下し過ぎず、残留オーステナイト量が多くなり過ぎないためには、前記表層部の窒素含有率が0.3質量%以下であることが好ましい。
前記表層部の残留オーステナイトが20体積%未満であると、プラネタリギヤ装置(ラジアルニードル軸受)とした時の表面起点剥離に対する耐性が不十分となる。前記表層部の残留オーステナイトが45体積%を超えると、硬さが不十分となり、軌道面として必要な機械的強度が得られない。
前記表層部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で650未満であると、軸受として必要な機械的強度が得られない。前記表層部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で900を超えると、残留オーステナイト20体積%以上を確保できない。
本発明のピニオンシャフト、プラネタリギヤ装置のサンギヤおよびリングギヤに螺合するピニオンギヤを、転動体を介して回転自在に支持するピニオンシャフトであって、上記構成(1) 〜(4)(6)および下記の構成(7) (8) を満たすことを特徴とする。
(7) 芯部の硬さがビッカース硬さ(Hv)で650以上750以下になっている。
(8) 高周波焼入れにより形成された硬化層の深さ(d)がシャフトの直径(D)の3.0%以下である(d/D≦0.030を満たしている)。なお、前記構成(4) を満たすための、シャフトの直径に対する硬化層深さの比「d/D」の下限値は0.005(dがDの0.5%)である。
この比「d/D」が大きいほど、ピニオンシャフトの径方向で残留オーステナイトが0でない部分の割合が高くなり、使用中に残留オーステナイト量の分解による塑性変形が大きくなって、ピニオンシャフトが曲がり易くなる。ピニオンシャフトの直径(D)は7mm〜20mm程度であるため、d/D≦0.030を満たすための硬化層深さ(d)の好ましい上限は0.21mm〜0.60mm程度となる。
転がり軸受の最大剪断応力は、接触表面から0.05〜0.20mm程度の深さとされており、0.10mm以下の深さ位置に亀裂が発生して転がり疲労が生じることが多い。d/D≦0.030を満たしているピニオンシャフトがこの剪断応力を受ける場合、芯部の硬さがHv650(HRC58)以上を満たしていると、剪断応力による転がり寿命の低下を抑制できる。
よって、上記構成(1) 〜(4)(6)〜(8) を満たすことにより、剪断応力による転がり寿命の低下を抑制できる。
た、プラネタリギヤ装置のサンギヤおよびリングギヤに螺合するピニオンギヤを、転動体を介して回転自在に支持するピニオンシャフトとして、上記構成(1) 〜(6) および下記の構成(9) 満たすことを特徴とするピニオンシャフトが挙げられる。
(9) 転動体の軌道面となる部分の表層部の硬さから芯部の硬さを差し引いた値がビッカース硬さ(Hv)で100以上300以下である。
この硬さの差がビッカース硬さ(Hv)で100未満であると、衝撃荷重で折損し易くなる。300を超えると、ピニオンシャフトの弾性変形による曲がりが大きくなり、プラネタリギヤ装置(ラジアルニードル軸受)とした時に、ニードルとピニオンシャフトの接触がエッジロードとなって、転がり寿命の低下につながる。
本発明のピニオンシャフトによれば、特許文献1に記載の転動軸と比較して、過酷な条件での寿命が長くなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
ピニオンシャフト用の素材として、SUJ2とSUJ3からなる棒状素材を用意し,これらを加工して、直径12.45mm、長さ40mmの軸を得た。この軸(ピニオンシャフト1)は、図1に示すように、軸線に沿って延びる平行路21と、軸の長さ方向中心位置で、軸の径方向に沿って延びる垂直路22とからなる油穴2を有する。
次に、各軸に対して、浸炭窒化、焼入れ、第1の焼戻し、転動体の軌道面となる部分への高周波焼入れ、第2の焼戻しの順に、図2に示す熱処理を行った。また、各サンプルで第1の焼戻しの温度を下記の表1に示す値に変えた。第1の焼戻しの保持時間は3H、第2の焼戻しの保持時間は1.2Hとした。
浸炭窒化の雰囲気は、Rxガス+エンリッチガス+アンモニアガス(アンモニアガス濃度1〜7vol %)雰囲気とした。
高周波焼入れは、周波数30kHz、電圧10kV、電流10A、送り速度8〜15mm/秒、冷却水量35リットル/分の条件で行った。また、各サンプルで高周波焼入れ深さ(d)を変えることで、シャフトの直径(D)に対する比(d/D)を変えた。
熱処理後のサンプルNo. 1〜27のピニオンシャフトについて、表層部の硬さ(Hv)および残留オーステナイト量(γR )と、芯部の残留オーステナイト量(γR )と硬さ(Hv)を測定した。
これらの結果も下記の表1に示す。
また、表層部(表面から深さ100μmまでの部分)の炭素含有率と窒素含有率を測定したところ、炭素含有率は1.1〜1.5質量%であり、窒素含有率は0.1〜0.2質量%であった。。
また、各サンプルのピニオンシャフト1を組み込んだプラネタリギヤ装置を、図1に示す試験機にかけて下記の条件で転がり疲れ寿命試験を行った。
この試験機は、ピニオンシャフト1の一端を固定する一方のキャリア3を回転させる回転軸4と、サンギヤ5の回転軸6を回転自在に支持する支持構造7を備えている。ピニオンシャフト1の他端は他方のキャリア8に固定される。キャリア3とその回転軸4はボルト43により固定されている。キャリア3と回転軸4には、ピニオンシャフト1の油穴2に通じる油穴31,41が形成されている。
ピニオンシャフト1とピニオンギヤ11との間に、針状ころ12とこれを保持する保持器13が配置されている。サンギヤ5とピニオンギヤ11が螺合している。ピニオンシャフト1の両端のキャリヤ8,3とピニオンギヤ11との間の部分に、ワッシャー91,92が取り付けられている。
ピニオンギヤ11と針状ころ12はSUJ2製で、ずぶ焼き後に焼戻し処理がなされた通常品を使用した。針状ころ12の直径は3.0mmとした。
なお、潤滑油は、油路41,31,2を介してピニオンシャフト1とピニオンギヤ11の間に供給し、ピニオンシャフト1、ピニオンギヤ11、針状ころ12のいずれかに破損が生じた時点までの回転時間を「転がり寿命疲れ寿命」とした。また、SUJ2からなる素材を用い、熱処理として、820℃での「ずぶ焼き」後に200℃で焼戻しを行って得られた通常品のピニオンシャフト(表層部の硬さHv738、表層部の残留オーステナイト9、芯部の硬さHv725、芯部の残留オーステナイト10)を用いて同じ試験を行い、その時の「転がり寿命疲れ寿命」を「1」とした時の寿命比を算出した。
<回転試験条件>
ピニオンシャフトの自転速度:10000min-1
基本動定格荷重(C):15700N
基本静定格荷重(C0):15400N
ラジアル荷重:5000N
計算寿命:L10=76時間
P/C=0.32
潤滑油:ATF
油温度:100℃
潤滑油供給量:10ml/min
また、No. 1〜27のピニオンシャフトと前述の通常品のピニオンシャフトについて、アムスラー試験機を用いた折損試験を行った。具体的には、ピニオンシャフトの両端をVブロックで固定し、ピニオンシャフトの中央に固定用キーを置いて瞬時に力を加え、ピニオンシャフトが破損する時の荷重を測定して「折損荷重」とした。また、各サンプルの荷重測定値について、通常品のピニオンシャフトの値を「1」とした比を算出した。
これらの結果も下記の表1に併せて示す。
Figure 0004811072
この表から、本発明の実施例に相当する、前記構成(1) 〜(6) を満たすサンプルNo. 2〜5,7〜10,15〜19,21〜25のピニオンシャフトは、寿命比が3.5〜7.9で、折損荷重比が2.0〜3.8であったのに対して、比較例に相当する、前記構成(1) 〜(6) を満たさないサンプルNo. 1,6,11〜14,20,26,27は、寿命比が1.4〜2.6で、折損荷重比が1.4〜4.9であった。なお、No. 12は特許文献1の転動軸に相当する。
また、本発明の実施例のうち、前記構成(1) 〜(4)(6)〜(8) を満たすサンプルNo. 3、16、18、19は寿命比が6.3〜7.9であり、特に寿命が長いことが分かる。
また、本発明の実施例のうち、前記構成(9) を満たすサンプルNo. 2〜5、7,8,15〜19,21〜23は寿命比が3.7〜7.9であり、前記構成(9) を満たさないサンプルNo. 9,10,24,25よりも寿命が長いことが分かる。
また、サンプルNo. 2〜5,7〜10,15〜19,21〜26の結果を、寿命(比)と第1の焼戻し温度との関係で表したグラフを図3に示す。No. 26は前記構成(1) (3) 〜(6) を満たすが前記構成(2) の「第1の焼戻し温度500℃以下」を満たさない例である。このグラフから、500℃を超える温度で第1の焼戻しを行ったピニオンシャフトは、プラネタリギヤ装置とした時に、上述の過酷な条件で十分な寿命が得られないことが分かる。
〔表層部の残留オーステナイト量のバラツキについて〕
第1の焼戻し温度の違いによる、表層部の残留オーステナイト量のバラツキの違いを調べた。先ず、前記と同じ方法でピニオンシャフトを作製する際に、第1の焼戻し温度を、SUJ2からなる素材を用いたものについては300℃、480℃、520℃の各温度で行い、SUJ3からなる素材を用いたものについては250℃、450℃、670℃の各温度で行った。各条件のものを100本ずつ作製した。
各ピニオンシャフトの高周波焼入れされた部分を、表面から深さ50μmまで電解研磨し、この研磨面の残留オーステナイト量をX線回折装置により測定した。その結果を、素材がSUJ2であるものについては図4に、素材がSUJ3であるものについては図5に、それぞれ度数分布グラフとして示す。
SUJ2製のピニオンシャフトで、残留オーステナイト量の平均値は、300℃の時に28体積%、480℃の時に26体積%、520℃の時に24体積%であり、バラツキを示す「残留オーステナイト量の最大値と最小値の差」は、300℃の時に10体積%、480℃の時に10体積%、520℃の時に14体積%であった。
SUJ3製のピニオンシャフトで、残留オーステナイト量の平均値は、250℃の時に39体積%、450℃の時に37体積%、670℃の時に34体積%であり、バラツキを示す「残留オーステナイト量の最大値と最小値の差」は、250℃の時に9体積%、450℃の時に10体積%、670℃の時に15体積%であった。
このように、残留オーステナイト量のバラツキは、第1の焼戻し温度が250〜480℃の場合には10体積%以下になっているが、520℃の場合には14体積%、670℃の場合いは15体積%となっていた。
実施形態で作製したピニオンシャフトおよびその試験に使用した装置を示す断面図である。 実施形態で行った熱処理を示す図である。 実施形態の試験結果を、寿命(比)と第1の焼戻し温度との関係で表したグラフである。 第1の焼戻し温度を300℃、480℃、520℃として作製した各100本のSUJ2製ピニオンシャフトについて、表層部の残留オーステナイト量の測定結果を示す度数分布グラフである。 第1の焼戻し温度を250℃、450℃、670℃として作製した各100本のSUJ3製ピニオンシャフトについて、表層部の残留オーステナイト量の測定結果を示す度数分布グラフである。
符号の説明
1 ピニオンシャフト
11 ピニオンギヤ
12 針状ころ
13 保持器
2 油穴
3 キャリア
4 回転軸
41 油穴
5 サンギヤ
6 回転軸
8 キャリア

Claims (1)

  1. プラネタリギヤ装置のサンギヤおよびリングギヤに螺合するピニオンギヤを、転動体を介して回転自在に支持するピニオンシャフトであって、
    「JIS G 4805」で規定されているSUJ1〜SUJ5のいずれかの鋼材を所定形状に加工した後、浸炭窒化、焼入れ、第1の焼戻し、転動体の軌道面となる部分への高周波焼入れ、第2の焼戻しをこの順に行うことにより製造され、第1の焼戻し温度は250〜500℃の範囲であり、第2の焼戻し温度は150〜180℃の範囲であり
    前記軌道面の表層部は、炭素含有率0.97質量%以上1.8質量%以下、窒素含有率0.05質量%以上0.5質量%以下であり、硬さビッカース硬さ(Hv)で650以上900以下、残留オーステナイトが20体積%以上45体積%以下になっており、
    高周波焼入れにより形成された硬化層の深さ(d)がシャフトの直径(D)の3.0%以下であり(d/D≦0.030を満たしており)、
    芯部は、硬さビッカース硬さ(Hv)で50以上750以下であり、残留オーステナイト0になっていることを特徴とするピニオンシャフト。
JP2006078151A 2006-03-22 2006-03-22 ピニオンシャフト Active JP4811072B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006078151A JP4811072B2 (ja) 2006-03-22 2006-03-22 ピニオンシャフト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006078151A JP4811072B2 (ja) 2006-03-22 2006-03-22 ピニオンシャフト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007255485A JP2007255485A (ja) 2007-10-04
JP4811072B2 true JP4811072B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=38629935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006078151A Active JP4811072B2 (ja) 2006-03-22 2006-03-22 ピニオンシャフト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4811072B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105838867A (zh) * 2016-03-29 2016-08-10 苏州恩欧西智能科技有限公司 用于激光打标装置的传动轴的热处理工艺

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022108449A (ja) * 2021-01-13 2022-07-26 Ntn株式会社 軸部材

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4423754B2 (ja) * 2000-06-22 2010-03-03 日本精工株式会社 転動軸の製造方法
JP2002021858A (ja) * 2000-07-06 2002-01-23 Ntn Corp 車輪軸受装置
JP2005140275A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Nsk Ltd プラネタリギヤ装置
JP2005351292A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Nsk Ltd プラネタリーギヤ装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105838867A (zh) * 2016-03-29 2016-08-10 苏州恩欧西智能科技有限公司 用于激光打标装置的传动轴的热处理工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007255485A (ja) 2007-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6562151B2 (en) Rolling shaft made by high-frequency quenching
KR20030044797A (ko) 베어링 부품, 그 열처리 방법 및 구름 베어링
JP5168958B2 (ja) 転動軸
JP2013011010A (ja) 転がり軸受およびその製造方法
US20070269336A1 (en) Ball-and-Roller Bearing
WO2013084800A1 (ja) 転がり軸受およびその製造方法
JP2007297676A (ja) 軸の製造方法およびこの方法で得られた軸
JP2007177287A (ja) 軸の製造方法、ピニオンシャフト
JP5168898B2 (ja) 転動軸
JP2008285725A (ja) 転動部材、転がり軸受および転動部材の製造方法
JP4811072B2 (ja) ピニオンシャフト
JP5076274B2 (ja) 転がり軸受
JP2009222076A (ja) 4列円錐ころ軸受
JP2007177897A (ja) ころ軸受
JP2010001521A (ja) 軸、ピニオンシャフト
JP2005114144A (ja) 転がり軸受
Girodin Deep nitrided 32CrMoV13 steel for aerospace bearings applications
JP2005140275A (ja) プラネタリギヤ装置
JP2003183771A (ja) 転がり軸受
KR20040071326A (ko) 인성 및 준고온역에서의 구름접촉 피로수명이 우수한표면경화 베어링용 강
JP2007024250A (ja) ピニオンシャフト
JP5119717B2 (ja) 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受
JP2008025010A (ja) 転動部品および転がり軸受
JP2006002194A (ja) 軸の製造方法
JP2006138376A (ja) ラジアルニードルころ軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110726

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110808

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

S801 Written request for registration of abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801

ABAN Cancellation of abandonment
R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350