JP4809522B2 - 水性熱硬化型塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗膜の硬化性(特に低温硬化性)がすぐれ、しかも耐チッピング性、付着性などのすぐれた塗膜を形成する水性熱硬化型塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
水酸基を含有するアクリル樹脂やポリエステル樹脂に、架橋剤としてメラミン樹脂やポリイソシアネ−ト化合物を含有せしめた塗料組成物は公知であり、その塗膜は平滑性や耐候性などがすぐれており、自動車車体や家庭電気製品などの外板部の上塗り塗料として広く使用されている。しかしながら、これらの塗料に対する塗膜性能の一層の向上が強く要求されており、特に塗膜の硬化性、特に低温硬化性、耐チッピング性、付着性などの改良が指摘されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の水酸基含有と架橋剤を含有する塗料組成物において、平滑性や耐候性などを低下させることなしに、塗膜の硬化性、耐チッピング性、付着性などを改良するために鋭意研究を行った結果、これらの塗料組成物に特定組成からなるりん酸基含有樹脂を含有せしめることにより、目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
すなわち、本発明によれば、(A)水酸基含有樹脂((C)成分を除く)、(B)架橋剤及び(C)りん酸基含有樹脂を含有する水性熱硬化型塗料組成物であって、(C)りん酸基含有樹脂が、りん酸基含有単量体23〜27重量%、水酸基含有単量体23〜27重量%、メタクリル酸メチル46〜54重量%からなる単量体を構成成分とする重合体であることを特徴とする水性熱硬化型塗料組成物(以下、「本塗料」という)が提供される。
【0005】
さらに、本発明は、被塗物に本塗料を塗装し、必要に応じてその塗膜をプレヒートした後、有機溶剤型クリヤ塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜を一緒に硬化せしめることを特徴とする複層塗膜形成方法(以下、「本方法」という)が提供される。
【0006】
以下に、本塗料及び本方法について詳細に説明する。
【0007】
(A)成分:水酸基含有樹脂
具体的には、1分子中に2個以上の水酸基を有するアクリル樹脂やポリエステル樹脂などが好適に使用でき、これらの樹脂には、水に対する溶解又は分散を容易にするために、さらにカルボキシル基を有していることが好ましい。
【0008】
水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有単量体及びアクリル系単量体、さらに必要に応じてカルボキシル基含有単量体、その他の単量体を共重合せしめることにより得られる。
【0009】
水酸基含有単量体は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチルアクリレ−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、ヒドロキシプロピルメタクリレ−トなどの炭素数が2個以上、好ましくは2〜10個のグリコ−ル類とアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物。さらに、これらの単量体の水酸基にε−カプロラクトンのような環状エステルを開環付加反応させてその末端に水酸基を有せしめたものも水酸基含有単量体として包含される。
【0010】
アクリル系単量体として、例えば、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、ヘキシル(メタ)アクリレ−ト、オクチル(メタ)アクリレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−トなどのアクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜22の1価アルコ−ルとのモノエステル化物;エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ルなどの炭素数2〜10のグリコ−ルとアクリル酸又はメタクリル酸とのジエステル化物;(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステルなどがあげられる。
【0011】
カルボキシル基含有単量体は、1分子中にカルボキシル基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などがあげられる。
【0012】
その他の単量体は、上記の水酸基含有単量体、アクリル系単量体、カルボキシル基含有単量体を除く、1分子中に1個以上の重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどがあげられる。
【0013】
これらの単量体による共重合反応は既知の方法で行うことができ、かくして得られる水酸基含有アクリル樹脂は、通常、数平均分子量は2000〜50000、特に3000〜20000、水酸基価は10〜200mgKOH/g、特に20〜150mgKOH/g、酸価は80mgKOH/g以下、特に50mgKOH/g以下が適している。
【0014】
水酸基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコ−ルとを水酸基過剰の比率でエステル化反応させることにより得られる。
【0015】
多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、トリメリット酸及びこれらの無水物などがあげられる。多価アルコ−ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えばエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル、ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ルなどがあげられる。
【0016】
これらのエステル化反応は通常の方法により行うことができ、かくして得られる水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量が3000〜20000、特に5000〜13000、水酸基価が30〜150mgKOH/g、特に65〜120mgKOH/g、酸価は80mgKOH/g以下、特に50mgKOH/g以下が好ましい。
【0017】
さらに、このポリエステル樹脂中の水酸基にε−カプロラクトンのような環状エステルを開環付加させてその末端に水酸基を有せしめたものも包含される。
【0018】
(A)成分の水溶化又は水分散化を容易にするために、その分子中のカルボキシル基を塩基性化合物で中和しておくことが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどの水酸化物;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−またはジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどのポリアミンが使用できる。
【0019】
(B)成分:架橋剤
(A)成分と反応して三次元に架橋硬化せしめるための架橋剤であって、メラミン樹脂及び(又は)ブロックポリイソシアネ−ト化合物などが適用できる。
【0020】
メラミン樹脂として、メチロ−ル化メラミンのメチロ−ル基の一部又は全部を炭素数1〜8の1価アルコ−ルでエ−テル化したエ−テル化メラミン樹脂が使用できる。トリアジン核は1〜5核体で、数平均分子量が300〜2000のものが好ましい。エ−テル化を部分的に行い、メチロ−ル基及び/又はイミノ基が併存しているものも使用できる。これらは、親水性又は疎水性のいずれでもよい。
【0021】
ブロックポリイソシアネ−ト化合物は、ポリイソシアネ−ト化合物のイソシアネ−ト基をブロック剤で封鎖したものである。ポリイソシアネ−ト化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネ−ト基を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフタレンジイソシアネ−トなどの芳香族ジイソシアネ−ト;テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ダイマ−酸ジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−トなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−ト、メチルシクロヘキサンジイソシアネ−ト、シクロヘキサンジイソシアネ−ト及びシクロペンタンジイソシアネ−トなどの脂環族ジイソシアネ−トなどがあげられる。また、ブロック剤として、例えば、フェノ−ル類、オキシム類、ラクタム類、活性メチレン系、アルコ−ル類、酸アミド系、イミド系、アミン系、イミダゾ−ル系、尿素系、カルバミン酸系、イミン系、メルカプタン類などがあげられる。
【0022】
(A)成分と(B)成分との構成比率は、目的に応じて適宜に選択できるが、例えば、この両成分の固形分重量に基づいて、(A)成分は40〜90%、特に60〜80%、(B)成分は60〜10%、特に40〜20%の範囲内が適している。
【0023】
(C)成分:りん酸基含有樹脂
りん酸基含有単量体20〜30重量%、水酸基含有単量体20〜30重量%及びメタクリル酸メチル40〜60重量%からなる単量体成分を共重合体してなる樹脂である。
【0024】
りん酸基含有単量体は、1分子中に、重合性不飽和結合及び下記式(1)で示されるりん酸基をそれぞれ少なくとも1個有する化合物である。
【0025】
式(1) …… −OPO(OH)(R1 )
(式中、R1 は水酸基、フェニル基または炭素数1〜20のアルキル基である。)
かかるりん酸基含有単量体として、例えば、(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、(2−アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェ−ト、(2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェ−ト、10−アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェ−ト、10−メタクリロイルオキシデシルアシッドホスフェ−トなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜20)アシッドホスフェ−トなどがあげられる。さらに、グリシジル(メタ)アクリレ−トとモノアルキル(炭素数1〜20)リン酸との等モル付加物も、りん酸基含有不飽和単量体として使用できる。
【0026】
水酸基含有単量体は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、具体的には、上記の(A)成分における水酸基含有アクリル樹脂の説明で例示したものが好適に使用できる。メタクリル酸メチルはメタクリル酸のメチルエステルである。
【0027】
(C)成分は、上記のりん酸基含有単量体、水酸基含有単量体及びメタクリル酸メチルからなる単量体成分を共重合せしめることにより得られ、これらの単量体の比率は、これらの合計重量に基いて、りん酸基含有単量体は20〜30重量%、好ましくは23〜27重量%、水酸基含有単量体は20〜30重量%、好ましくは23〜27重量%及びメタクリル酸メチルは40〜60重量%、、好ましくは46〜54重量%の範囲内が適している。これらの範囲内から逸脱すると本発明の目的を達成することが困難である。また、(C)成分は、りん酸基含有単量体、水酸基含有単量体及びメタクリル酸メチルからなる単量体成分に、これら以外のその他の重合性単量体を、この単量体成分100重量部あたり100重量部以下の範囲内で併用することも可能である。
【0028】
(C)成分のりん酸基に基づく酸価は10〜150、特に20〜130mmKOH/g、数平均分子量は1000〜100000、特に3000〜50000で、そして水酸基価は5〜150、特に10〜100mmKOH/gが適している。
【0029】
本塗料において、(C)成分の配合比率は、固形分比で、(A)成分と(B)成分との合計100重量部あたり、0.1〜50重量部、特に1〜20重量部が適している。
【0030】
本塗料は、上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を水に溶解又は分散せしめることにより調製することができ、さらに必要に応じて、顔料、紫外線吸収剤、硬化触媒、親水性有機溶剤などを含有せしめることができる。
【0031】
顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カ−ボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロ−、酸化クロム、プルシアンブル−、コバルトブル−、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;タルク、クレ−、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウム粉末、蒸着アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などのメタリック顔料などを使用することができる。顔料の比率は、(A)成分と(B)成分との合計固形分100重量部あたり、250重量部以下、特に1〜150重量部が適している。
【0032】
本塗料は、自動車車体や家庭電気製品などの外板部の上塗り塗料として特に有用である。例えば、金属製又はプラスチック製のこれらの被塗物に直接、又は下塗り塗料、中塗り塗料(これは省略することもありうる)を塗装してから、上塗り塗料として本塗料を塗装することが好ましい。
【0033】
具体的には、本塗料の粘度を20〜40秒/フォ−ドカップ#4/20℃になるように水を加えて調整し、静電塗装、エアレススプレ−、エアスプレ−などにより塗装することができる。その塗装膜厚は硬化塗膜で10〜60μm、特に15〜40μmの範囲内が好ましい。この塗膜は、約60〜約180℃の温度で、約10〜約40分加熱することにより硬化させることができる。
【0034】
本塗料は、メタリック塗料、ソリッドカラ−塗料、光干渉性塗料、クリヤ塗料として使用することができ、このうち、メタリック顔料を含有せしめたメタリック塗料として使用することが最も好ましい。
【0035】
本方法は、本塗料、特に好ましくは、上記した(A)成分、(B)成分及び(C)成分に、さらにメタリック顔料を含有せしめた本塗料を被塗物に塗装し、必要に応じてその塗膜をプレヒートしてから、有機溶剤型クリヤ塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜を一緒に硬化せしめることを特徴とする複層塗膜形成方法に関する。
【0036】
被塗物として、金属製又はプラスチック製の自動車車体や家庭電気製品などの外板部などが特に有用であり、これらの被塗物は、本塗料の塗装に先立ち、あらかじめそれ自体既知の下塗り塗料、中塗り塗料などを必要に応じて塗装しておくことが好ましい。
【0037】
本塗料の塗装は、粘度を20〜40秒/フォ−ドカップ#4/20℃になるように水を加えて調整した本塗料を、上記の被塗物に、静電塗装、エアレススプレ−、エアスプレ−などにより塗装することができる。その塗装膜厚は硬化塗膜で10〜50μm、特に15〜40μmの範囲内が好ましい。
【0038】
本方法において、被塗物に本塗料を塗装し、その塗膜を加熱硬化させることなく、好ましくはその塗膜をプレヒートして乾燥させてから、有機溶剤型クリヤ塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜を一緒に硬化せしめることが適している。プレヒートは、その塗膜を架橋硬化させることなしに、塗膜中の固形分含有率が80重量%以上、特に85〜100重量%なるように乾燥させることが好ましく、具体的には50〜100℃で1〜20分程度乾燥することによって行われる。
【0039】
本塗料の未硬化の塗面に塗装する有機溶剤型クリヤ塗料は、無色透明又は有色透明の塗膜を形成する塗料であって、それ自体既知のもが使用できる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂及びこれらの官能基と反応しうるメラミン樹脂、エポキシ基含有化合物(又は樹脂)、カルボキシル基含有化合物などの架橋剤を含有する有機溶剤型クリヤ塗料があげられる。クリヤ塗料の塗装は、粘度を20〜40秒/フォ−ドカップ#4/20℃になるように有機溶剤を加えて調整し、本塗料の未硬化塗面に、静電塗装、エアレススプレ−、エアスプレ−などにより塗装することができる。その塗装膜厚は硬化塗膜で20〜100μm、特に25〜80μmの範囲内が好ましい。
【0040】
本塗料及びクリヤ塗料を上記のように塗装した後、約100〜約180℃の温度で、約10〜約40分加熱して両塗膜を一緒に硬化させることにより、本方法が達成される。
【0041】
【発明の効果】
水酸基含有樹脂及び架橋剤を含む塗料組成物に、特定組成のりん酸基含有ビニル樹脂を含有せしめてなる本塗料は、貯蔵安定性がすぐれており、しかも本方法により形成された複層塗膜は平滑性や耐候性を低下させることなく、硬化性(特に低温硬化性)、耐チッピング性、リコート付着性などを一層改良することができた。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明に関する実施例及び比較例について説明する。部及び%はいずれも重量を基準にしており、塗膜の膜厚は硬化塗膜についてである。
【0043】
実施例 1
スチレン15部、メチルメタクリレ−ト20部、エチルアクリレ−ト25部、ブチルアクリレ−ト20部、ヒドロキシエチルアクリレ−ト15部及びアクリル酸5部を重合開始剤α,α´−アゾビスイソブチロニトリルを用いてブチルセロソルブ中で重合させ、樹脂固形分70%のアクリル樹脂溶液を得た。この溶液100部に対して4.3部のジメチルアミノエタノ−ルを加えた後、水を加えて水酸基含有アクリル樹脂の水溶液(固形分含有率55%)を得た。この水酸基含有アクリル樹脂の水溶液127部、80%「サイメル325」(三井化学社製、商品名、メラミン樹脂)37部、りん酸基含有樹脂(注1)10部(固形分)、「アルミペ−スト#4919」(東洋アルミニウム社製、商品名)10部、「アルミペ−スト#55−519」(東洋アルミニウム社製、商品名)20部、イソプロピルアルコ−ル30部を混合し、水で粘度25秒/フォ−ドカップ#4/20℃に調整し、本塗料を得た。
【0044】
(注1)りん酸基含有樹脂:アシッドホスホキシエチルメタクリレ−ト25部、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト25部、メチルメタクリレ−ト50部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量13000、水酸基価120mgKOH/g、酸価104mgKOH/g。
【0045】
比較例 1
上記の実施例1の本塗料から、「りん酸基含有樹脂(注1)10部」を除去した以外は、すべて実施例1と同様にして水性塗料を得た。
【0046】
実施例 2
りん酸亜鉛処理鋼板に「エレクロン#9400」(関西ペイント(株)製、商品名、ポリアミド変性エポキシ樹脂・ブロックポリイソシアネ−ト系カチオン電着塗料)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して硬化させ、ついで中塗塗料(「ルーガベーク中塗り」関西ペイント(株)製、商品名、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を膜厚40μmになるように塗装し140℃で30分加熱して硬化させてなる被塗物に、実施例1で得た水性塗料組成物をエアスプレ−で膜厚15μmになるように塗装し、70℃で5分間乾燥してから(塗膜中の固形分含有率は85%)、「マジクロンクリヤ」(関西ペイント(株)製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型クリヤ塗料)をエアスプレ−で膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して両塗膜を一緒に硬化させた。
【0047】
比較例 2
りん酸亜鉛処理鋼板に「エレクロン#9400」(関西ペイント(株)製、商品名、ポリアミド変性エポキシ樹脂・ブロックポリイソシアネ−ト系カチオン電着塗料)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して硬化させ、ついで中塗塗料(「ルーガベーク中塗り」関西ペイント(株)製、商品名、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を膜厚40μmになるように塗装し140℃で30分加熱して硬化させてなる被塗物に、比較例1で得た水性塗料組成物をエアスプレ−で膜厚15μmになるように塗装し、70℃で5分間乾燥してから(塗膜中の固形分含有率は85%)、「マジクロンクリヤ」(関西ペイント(株)製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型クリヤ塗料)をエアスプレ−で膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して両塗膜を一緒に硬化させた。
【0048】
性能試験結果
実施例1及び比較例1で得た水性塗料組成物の貯蔵安定性、及び実施例2及び比較例2で得た複層塗膜の塗膜性能試験を行った。その結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
試験方法は下記のとおりである。
【0051】
貯蔵安定性:粘度25秒/フォ−ドカップ#4/20℃に調整した実施例1及び比較例1の塗料を密閉した容器に入れ、40℃で7日間貯蔵した後の粘度(フォ−ドカップ#4/20℃)を測定した。
【0052】
仕上り外観:塗膜の光沢感、平滑性などについて目視評価した。○はこれらの性能がすべて良好、△はこれらの性能が少し劣る、×はこれらの性能が非常に劣ることを示す。
【0053】
低温硬化性:ガラス板に、実施例1及び比較例1で得た塗料組成物をエアスプレ−で膜厚20μmになるように塗装し、室温で3分間放置してから、120℃で30分加熱した後、その塗膜をガラス板から削り取り、アセトンとメタノ−ルとの等重量混合溶剤の還流温度下で8時間抽出した後の塗膜の残存率を算出した。
【0054】
耐チッピング性:試験機として「QGR−グラベロメ−タ」(Qパネル社製、商品名)を用い、JIS−A5001の7号砕石約700gを、4Kg/cm2のエア圧、−20℃の温度雰囲気で、実施例2及び比較例2で得た塗面に対して30゜の角度で吹き付けて塗膜に衝撃を与えた後の塗面状態を目視観察した。○は上塗り塗膜の一部に衝撃によるキズが僅かに認められる、△は上塗り塗膜に衝撃によるキズが少し認められる、×は上塗り塗膜に衝撃によるキズが多く認められることを示す。
【0055】
リコ−ト付着性:実施例2及び比較例2で得た複層塗膜のクリヤ塗面に、実施例1及び比較例1で得た塗料組成物をエアスプレ−で膜厚15μmになるように塗装し、70℃で5分間乾燥してから、「マジクロンクリヤ」をエアスプレ−で膜厚35μmになるように塗装し、120℃で30分加熱して両塗膜を同時に硬化させてなる複層塗膜に、素地に達するようにカッタで切り込み、1mm×1mmのゴバン目を100個作り、その塗面に粘着セロハンテ−プを貼着し、20℃でそれを急激に剥離した後の残存ゴバン目塗膜数を調べた。
Claims (2)
- (A)水酸基含有樹脂((C)成分を除く)、(B)架橋剤及び(C)りん酸基含有樹脂を含有する水性熱硬化型塗料組成物であって、(C)りん酸基含有樹脂が、りん酸基含有単量体23〜27重量%、水酸基含有単量体23〜27重量%、メタクリル酸メチル46〜54重量%からなる単量体を構成成分とする重合体であることを特徴とする水性熱硬化型塗料組成物。
- 被塗物に請求項1記載の水性熱硬化型塗料組成物を塗装し、必要に応じてその塗膜をプレヒートした後、有機溶剤型クリヤ塗料を塗装し、加熱してこの両塗膜を一緒に硬化せしめることを特徴とする複層塗膜形成方法。
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