JP3568973B2 - 水系ベースコート組成物上に溶剤系クリアコート組成物を塗布する、しわのないコーティングの製造法 - Google Patents
水系ベースコート組成物上に溶剤系クリアコート組成物を塗布する、しわのないコーティングの製造法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、基材を水系ベースコート組成物で、さらにその上を溶剤系クリアコート組成物で、被覆する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被覆された物品の製造、特に自動車用コーティング、の従来の製法では、ベースコートおよびクリアコートの両方を使用する被覆方式が使用されている。従来、ベースコートおよびクリアコートは溶剤系組成物として塗布されている。しかし、最近では、製造業者にとって、溶剤系コーティング組成物の塗布および硬化の際に有機溶剤が大気中に放出されるために環境に対する悪影響が重要な問題になっている。この環境問題およびそれに関連する環境規制のために、水系コーティング組成物の需要が益々高まっている。
【0003】
遊離アミンを含む水系ベースコート組成物を基材に塗布し、次いで架橋性樹脂として単量体メラミンを含む従来の溶剤系クリアコート組成物を塗布する場合、それを硬化させたフィルムは「しわがよった」(wrinkled)様に見えることが分かっている。この外観は好ましくなく、商業的価値に欠ける。重合体メラミンを使用するクリアコート組成物は、このしわの問題を示さないことが分かっている。そのため、現在市販されているクリアコート組成物は、架橋性成分として、単量体メラミンではなく重合体メラミンを使用している。しかし、しわの問題さえ解決できれば、単量体メラミンを使用することにより、固形成分濃度をより高くすることができ、得られたコーティングの物理特性を改良することができよう。
【0004】
本発明者は予期せぬことに、上記の高固形物濃度および物理特性の改良は、酸触媒の含有量が高い溶剤系単量体メラミンクリアコート組成物を使用することにより達成できることを発見した。その様な組成物は予期せぬことに、フィルムの物理特性を改良すると共に、上記のしわの問題を完全に防止しながら、クリアコート組成物中の固形分を増加できることが分かった。
【0005】
しかし、「高水準の酸触媒」を単量体メラミンと組み合わせた組成物は新規ではない。その様な組成物は、「再仕上げ」業界、すなわち塗装が損傷を受けた自動車体パネルの再塗装に使用されている。しかし、その様な補修方法は、水系ベースコート組成物を、酸触媒濃度の高い、単量体メラミン含有クリアコート組成物と組み合わせて使用してはいない。すなわち、高濃度の酸触媒を含む単量体メラミン組成物の使用は、従来、溶剤系ベースコートと組み合わせた使用に限られている。さらに、その様な補修作業は低温(すなわち約160°F〜約210°Fの温度)で行われる。
【0006】
対照的に、本発明の方法では、高濃度の酸触媒を含む単量体メラミン組成物を、未硬化水系ベースコートの層の上に、無論さらに遊離アミンを含む水系ベースコートの上に塗布する。
【0007】
自動車用トップコートの製造分野では、「有機溶剤系」であるコーティング組成物に使用する有機溶剤は少ない方が好ましい。有機溶剤は、組成物中の重合体、オリゴマー、モノマーおよびその他の有機成分を分散(および溶解)させ、その分散液をスプレー、等で塗布できる様にその混合物の粘度を十分に低くするのに役立つ。しかし、コーティング組成物中に有機溶剤が存在すると、高温で行う硬化工程で有機溶剤が大気中に放出されることになる。大気中に放出される有機溶剤の量を低減させる一方法は、少量の有機溶剤で望ましい粘度が達成される様に、混合物中に低粘度成分を使用することである。その様な低粘度架橋剤の例は単量体メラミンである。
【0008】
上記の様に、アミンを含む水系ベースコート組成物上に溶剤系クリアコート組成物を塗布し、続いて、得られた未硬化の水系ベースコート組成物および未硬化の溶剤系クリアコート層コーティング組成物(クリアコート用の)の両方を同時に硬化させる場合、その溶剤系クリアコート組成物中に架橋剤として単量体メラミンが存在するのは好ましくない。単量体メラミンが存在すると、最も好ましくない「しわのある」外観を呈する硬化コーティングが生じる。その様なしわのあるコーティングには実質的な商業価値がない。
【0009】
しかし、本発明の方法は、単量体メラミンを含む溶剤系クリアコート組成物の未硬化層を、アミンを含む水系ベースコート組成物の未硬化層上に直接塗布し、次いで両層を同時に硬化させて、実質的にしわのない硬化コーティングを形成することができ方法を提供する。本方法の第一の利点は、必要な有機溶剤の量が少なくなる(したがって環境中に放出される有機溶剤の量も少なくなる)ことである。本方法の第二の利点は、溶剤系クリアコート組成物中に高濃度の固形物が存在できるので、必要な組成物の体積を低減できることである。本方法の第三の利点は、硬化により、物理特性が改良されたコーティングが得られることである。
【0010】
本発明の方法で、溶剤系クリアコート組成物中に比較的高い濃度の酸触媒を使用することにより、上記の利点が得られる。この高濃度の酸触媒により、クリアコート組成物中の有機重合体の架橋に対して十分な程度の触媒作用が確保される。すなわち、高濃度の酸触媒により、有機重合体の架橋に対して遅延効果を有する遊離アミンが存在するにも関わらず、硬化の際に十分な架橋反応が確保される。したがって酸触媒は、(1)クリアコート組成物の硬化に必要な架橋反応に必要な触媒作用を与えると共に(2)クリアコート組成物の架橋の好ましくない遅延を防止する、のに十分な量で存在する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、しわのないコーティングの製造方法に関する。本方法の第一工程は、基材に水系ベースコート組成物を塗布し、基材上に未硬化のベースコート層を形成する。本方法の第二工程では、第一の水系ベースコート組成物の未硬化層上に実質的に透明な1成分溶剤系クリアコート組成物を塗布し、未硬化の水系ベースコート層上に未硬化の溶剤系クリアコート層を形成する。本方法の第三工程では、未硬化の水系ベースコート層および未硬化の溶剤系クリアコート層の両方を同時に硬化させる。
【0012】
水系ベースコート組成物は、水、有機樹脂、架橋剤、および遊離アミンを含んでなる。溶剤系クリアコート組成物は、酸触媒、単量体メラミン架橋性樹脂、および単量体メラミンにより架橋可能な重合体を含んでなる。
【0013】
未硬化の水系ベースコート層ならびに未硬化の溶剤系クリアコート層の両方を同時に硬化させる際、下記の成分、すなわち
(1)水系ベースコート組成物の有機樹脂、
(2)溶剤系クリアコート組成物の架橋性樹脂、および
(3)溶剤系クリアコート組成物の架橋可能な重合体、
が架橋し、硬化したコーティングが形成される。
【0014】
溶剤系クリアコート組成物中に存在する具体的な酸触媒ならびにその量は、しわのないコーティングが製造される様に選択する。
【0015】
本発明の目的は、基材上に硬化した重合体コーティングを製造することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、基材上に、実質的にしわのないコーティングを製造することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、自動車体パネルとして使用するのに好適な基材上に自動車用品質のコーティングを製造することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、ベースコート層およびクリアコート層の両方からなる自動車用品質のコーティングを基材上に製造することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、メタリックフレーク顔料を含むコーティングを基材上に製造することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、アミンを含む水系コーティング組成物を使用することにより、コーティングを製造することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、単量体メラミンを含む溶剤系コーティング組成物を使用することにより、コーティングを製造することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、遊離アミンを含む水系ベースコート組成物および単量体メラミンおよび高濃度の酸触媒を含む溶剤系クリアコート組成物を使用することにより、実質的にしわのないコーティングを製造することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、単量体メラミン架橋剤を含む溶剤系コーティング組成物を、アミンを含む水系コーティング組成物上に塗布し、続いて両組成物を同時に硬化させることにより、しわのないコーティングを製造することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
一般的に本発明の方法により、どの様な基材でも被覆することができる。本発明の方法には、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、紙、木、その他の基材を使用することができる。特定の乾燥および(または)硬化条件は、基材の種類により異なることがある。しかし、本発明の方法は、金属基材用に、より詳しくは自動車用塗料仕上げを行うための方法として、特に適している。基材は裸の金属基材でも、耐腐食性を与えたり後に続くコーティング層に対する密着性を高めるためにプライマーを塗布してあってもよい。金属の中でも、鋼、アルミニウム、銅、マグネシウム、およびそれらの合金の様な金属を使用して金属基材を製造することができる。
【0025】
ここで使用する用語「有機樹脂」とは、水系ベースコート組成物中に存在する1種または多種の架橋可能な重合体化合物を意味する。さらに、「メラミンで架橋可能な重合体」および「架橋可能な重合体」とは、溶剤系クリアコート組成物中に存在する1種または多種の架橋可能な重合体化合物を意味する。「架橋性樹脂」とは、溶剤系クリアコート組成物中に存在する1種または多種の、反応して溶剤系クリアコート組成物中に存在する架橋可能な重合体を架橋させる化合物である。
【0026】
ここで使用する用語「ベースコート」とは、裸の基材上またはプライマーコーティングを施した基材の上に位置するコーティング層を意味する。より重要なのは、ベースコートはクリアコートの下に位置することである。用語「トップコート」とは、ベースコートとクリアコートを合わせたものを意味する。好ましくは基材は金属であり、基材は、ベースコートに対して良好な密着性を有する様にプライマー処理してあるのが好ましい。
【0027】
原則として、ベースコートは基材を着色するための一次層である。プライマー層(または裸の金属)が透けて見えない様に、また、プライマー層が紫外放射に露出されない様に、ベースコートは不透明であるのが好ましい。好ましくはベースコートは、ベースコートに色および不透明性を与える顔料粒子を含む。顔料粒子は有機顔料でもメタリック顔料でもよい。メタリック顔料は、塗装した基材にメタリック外観を与えるメタリックフレーク顔料を含むことができる。本発明の方法には、コーティング分野で一般的に有効であると認められているすべての顔料を使用することができる。
【0028】
ここで使用する用語「クリアコート」は、ベースコート上に位置するコーティング層を意味する。その上、クリアコートは一般的に最も外側に位置するコーティングである。したがって、クリアコートの外側表面は環境に直接さらされている。
【0029】
一般則として、クリアコートは実質的に透明であり、それによってクリアコートを通してベースコートを見ることができる。しかし、ベースコートと組み合わせた着色効果を得るために、クリアコートは顔料、染料、等を含むこともできる。クリアコートが顔料を含んでいても、その顔料が透明顔料であれば、クリアコートはなお実質的に透明であると考えられる。しかし、クリアコートは一般的に着色されてはおらず、したがって実質的に透明であると共に実質的に無色である。クリアコートは好ましくは主として、紫外光、水、極端な高温および低温、埃および汚れ、等による環境的な劣化に対する耐性が高い重合体網目構造(すなわち架橋した重合体)からなる。
【0030】
「溶剤系(solventborne)クリアコート組成物」は、本発明の方法において、ベースコート組成物の未硬化層上に塗布し、硬化させた時にクリアコートを形成する実質的に液体の組成物(すなわち重合体および他の成分の有機溶剤分散液または溶液)を意味する。
【0031】
本発明の方法は、水系ベースコート組成物の製造を含む。「水系(waterborne)ベースコート組成物」は有機樹脂ならびに他の成分の水中分散液または溶液である組成物を意味する。水系ベースコート組成物は、基材に塗布し、その後硬化させてベースコートを形成する。水は有機樹脂のためのキャリヤー、媒体または溶剤として作用する。樹脂の水中分散液になる様に、樹脂は水相に分散するのが好ましい。しかし、水に可溶な有機樹脂を使用することも可能であり、その場合、樹脂の水溶液になる。
【0032】
一般的に水系ベースコート組成物は、遊離アミンおよび有機樹脂を含む、どの様な水性コーティング組成物でもよい。しかし、好ましいベースコート組成物は、コーティングの分野で従来から使用されている好適なフィルム形成陰イオン性樹脂を含み、その樹脂がカルボキシル基を有する樹脂ものであるもの、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、等、およびそれらの混合物であるもの、である。ポリウレタン、アクリル樹脂およびポリエステルは、コーティング組成物に好適な樹脂の水分散液を得るには、遊離アミンの存在が必要である。ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、本発明の方法で使用するのに好ましい有機樹脂である。最も好ましい有機樹脂はポリウレタン樹脂である。
【0033】
一般的に、有機樹脂は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物全体の重量に対して約10重量%〜約70重量%の量で存在する。好ましくは、有機樹脂は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物全体の重量に対して約12重量%〜約25重量%の量で存在する。最も好ましくは、有機樹脂は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物全体の重量に対して約20重量%の量で存在する。
【0034】
ベースコート組成物にアクリル樹脂を使用する場合、その樹脂は熱硬化性アクリル樹脂または熱可塑性アクリル樹脂のどちらでもよい。(ここに参考として含める)米国特許第2,860,110号明細書に記載されている様なアクリル性ラッカーは、本発明の方法に有効な種類のフィルム形成組成物の一つである。アクリル性ラッカー組成物は、典型的にはメタクリル酸メチルの単独重合体ならびにメタクリル酸メチルの共重合体(特にアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、およびその他を含む)からなる。
【0035】
ベースコート組成物の成分としてアクリル系ラッカーを含む場合、そのアクリル系ラッカー重合体の相対粘度は約1.05(単位)〜約1.4(単位)であるのが好ましい。アクリル系ラッカー重合体の相対粘度が1.05(単位)より著しく低い場合、そこから得られるフィルムの耐溶剤性、耐久性、機械的特性は比較的低い。反対に、相対粘度が1.40(単位)よりも著しく高い場合、これらの樹脂から製造される塗料はスプレーし難く、融着温度(coalescing temp.)が高くなる。
【0036】
本発明の方法に有用なもう一つの種類のフィルム形成材料は、架橋剤とカルボキシ−ヒドロキシアクリル共重合体の組合わせである。カルボキシ−ヒドロキシアクリル共重合体中で共重合可能なモノマーには、アクリル酸およびメタクリル酸と、1〜12個の炭素原子を有するアルカノールのエステル、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、およびその他がある。その他のモノマーには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン、アルファ−メチルスチレン、酢酸ビニル等がある。これらのモノマーは、1個の重合可能なエチレン性不飽和基を含み、水酸基およびカルボキシル基を含まない。
【0037】
ヒドロキシ−カルボキシ共重合体と組み合わせて使用される架橋剤は、水酸基および(または)カルボン酸基と反応し得る成分である。その様な架橋剤の例は、ポリイソシアネート、(一般的にジ−および(または)トリ−イソシアネート)、ポリエポキシド、およびアミノプラスト樹脂である。特に好ましい架橋剤は、アミノプラスト樹脂である。
【0038】
ポリイソシアネートは、ヒドロキシルを有するポリエステルまたはポリエーテルまたはアクリル性重合体と反応した時に、本発明の方法においてベースコートおよびトップコートの両方に有用なウレタンフィルムを形成する。イソシアネート(−NCO)−ヒドロキシル(−OH)の反応は室温で容易に起こるので、常温および低温硬化が可能である。
【0039】
本発明の方法で使用する水系ベースコート組成物は有機樹脂に加えて、さらに遊離アミンを含む。一般的に、遊離アミンは、樹脂を水中に分散し易くするために、陰イオン性樹脂上の陽イオン性カルボキシル基を実質的に中和しなければならないので、遊離アミンは陰イオン系アミンである。好ましくは、遊離アミンは、アルキルアミン、アルカノールアミン、およびアンモニアからなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。より好ましくは、遊離アミンは、トリエチルアミンおよびジメチルエタノールアミンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。最も好ましくは、遊離アミンはジメチルエタノールアミンである。
【0040】
一般的に、遊離アミンは水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物の重量に対して約0.1〜約1.5重量%の量で存在する。好ましくは、遊離アミンは水系ベースコート組成物中に約0.3〜約0.7重量%の量で存在する。最も好ましくは、遊離アミンは水系ベースコート組成物中に約0.4重量%の量で存在する。
【0041】
水系ベースコート組成物はさらに架橋剤を含む。一般的に架橋剤は、ベースコート組成物中の樹脂を架橋させることができるなら、どの様な樹脂でもよい。好ましくは架橋剤は、アミノプラスト樹脂およびイソシアネート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。より好ましくは、架橋剤はアミノプラスト樹脂を含む。最も好ましくは、架橋剤は、アメリカン・シアナミド(米国コネチカット州ノーウォーク)から「サイメル327」の商品名で市販されているアミノプラスト樹脂である。もう一つの好ましい架橋剤は、モンサント・カンパニー(米国マサチューセッツ州スプリングフィールド)、により「レジメン747」の商品名で製造されているアミノプラスト樹脂である。
【0042】
一般的に架橋剤は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物の重量に対して約3〜約12重量%の量で存在する。好ましくは、架橋剤は水系ベースコート組成物中に約3〜約10重量%の量で、最も好ましくは約3重量%〜約6重量%の量で存在する。
【0043】
本発明の方法では、水系ベースコート組成物は、有機樹脂上に存在するカルボン酸基を中和するために、遊離アミンを含む。この中和により、樹脂が水中に分散し易くなる。一般的に遊離アミンは、樹脂を水に分散し易くするならどの様なアミンでもよい。一般的に遊離アミンは、樹脂を水中に分散し易くするのに十分な量で水系ベースコート組成物中に存在する。
【0044】
遊離アミンが水系ベースコートからクリアコートに移動すると、そのアミンが蒸発するまで架橋過程が妨害されたり遅延したりする。架橋過程は高温(すなわち240°F〜300°F)で規定の時間(すなわちほとんどの自動車組立て工場で15〜40分間)行う。クリアコートの硬化が遅延すると、おそらくクリアコートとベースコートの間の硬化速度に著しい差が生じるために、しわのある外観が生じる。しわ発生の問題の考えられるもう一つの原因は、クリアコート中に移動するアミンの量が場所により変動することである。その様な場所的な変動により、ある場所の架橋反応が他の場所よりも遅れるのであろう。
【0045】
本発明の方法は、(溶剤系クリアコート組成物中に)過剰の酸触媒を加え、上記の問題を起こす可能性がある遊離アミンの作用を無力化することにより、しわ形成の問題を解決する。
【0046】
溶剤系クリアコート組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含み、好ましくは少なくとも2種の有機溶剤の混合物を含む。一般的に有機溶剤は、塗布してコーティングを形成できる様な溶液または分散液が得られる程度に、酸触媒、架橋性樹脂、および架橋可能な重合体が溶解(または分散)するなら、一般的に使用されているどの様な有機溶剤でもよい。好ましくは有機溶剤は、トルエン、キシレン、芳香族溶剤の混合物、およびメタノールからなる群から選択された少なくとも1種の溶剤を含む。有用な、好ましい有機溶剤は、キシレンが32重量%、「ハイソル10」が32重量%、ブタノールが13重量%、メタノールが22重量%、エチルヘキサノールが6重量%、および酢酸第一アミルが5重量%、の混合物である。有機溶剤は、最適な塗布性および特性を持たせ、良好な外観を達成するために選択する。考慮すべき重要な点には、粘度、スプレー性、たるみ許容度、滑らかさ、および光沢(すなわち映像の明瞭度)がある。
【0047】
有機溶剤は、基材上に自動車用品質のコーティングが形成される様に塗布できる溶液または分散液を製造するのに有効な量で存在すべきである。好ましくは、有機溶剤は、溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約30重量%〜約60重量%の量で存在する。最も好ましくは、有機溶剤は約45重量%の量で存在する。
【0048】
溶剤系クリアコート組成物はさらに、水酸基を有し、メラミンで架橋可能な重合体を含む。好ましくは、架橋可能な重合体は、アクリル系重合体、アルキド重合体、ポリウレタン、およびポリエステルからなる群から選択された少なくとも1種の重合体である。より好ましい架橋可能な重合体は、アクリル系重合体、ポリウレタン、およびポリエステルからなる群から選択された少なくとも1種の重合体である。最も好ましくは、架橋可能な重合体はアクリル系樹脂である。
【0049】
好ましくは、架橋可能な重合体は、溶剤系クリアコート組成物の総重量に対して約10重量%〜約60重量%の量でクリアコート組成物中に存在する。より好ましくは、架橋可能な重合体は、溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約30重量%〜約45重量%の量でクリアコート組成物中に存在する。最も好ましくは、架橋可能な重合体は、溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約38重量%の量でクリアコート組成物中に存在する。
【0050】
溶剤系クリアコート組成物中に存在する架橋性樹脂は、単量体メラミン樹脂を含む。好ましくは架橋性樹脂は、「レジメン」の商品名を有する一連のアミノプラスト樹脂および「サイメル」の商品名を有する一連のアミノプラスト樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含むが、その樹脂(またはそれらの樹脂)は約80重量%〜約100重量%の固形分を有する。これらのアミノプラスト樹脂はそれぞれモンサント・カンパニーおよびアメリカン・シアナミド・コーポレーションにより製造されている。最も好ましくは、架橋性樹脂は商品名「レジメン755」樹脂である。
【0051】
一般的に架橋性樹脂は、架橋可能な樹脂を所望の程度に架橋するのに十分な量で溶剤系クリアコート組成物中に存在する。好ましくは、架橋性樹脂は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の総重量に対して約12重量%〜約22重量%の量で存在する。より好ましくは、架橋性樹脂は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の総重量に対して約15重量%〜約20重量%の量で存在する。最も好ましくは架橋性樹脂は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約18重量%の量で存在する。
【0052】
溶剤系クリアコート組成物は、さらに酸触媒を含む。触媒の種類と量は、最適な望ましい最終コーティング特性を達成し、フィルムのひどいしわ、および悪い外観を避けるために、注意深く選択する。自動車メーカーのコーティングに使用される通常の触媒量は、溶剤系組成物の重量に対して0.2%〜2%である。(上記の)移動したアミンを無力化するのに必要な触媒の量は、触媒の種類により異なる。一般的に、コーティングのしわの問題を防ぐためには、従来の装置で製造されるコーティング組成物に使用される量の2〜3倍の量の触媒が必要である。
【0053】
一般的に酸触媒は、単量体メラミンの硬化に触媒作用を及ぼすなら、どの様な化学物質でもよい。好ましくは、酸触媒は、酸無水物、酸性リン酸塩、モノまたはジスルホン酸、アルコキシ酸、その他の単量体メラミンの硬化に好適なすべての酸触媒からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。好ましくは、酸触媒は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、酸性リン酸フェニル、およびフェニル亜ホスホン酸(phenyl phosponous acid)からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。最も好ましくは、酸触媒は、酸性リン酸フェニル、およびフェニル亜ホスホン酸からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。
【0054】
一般的に本発明の方法では、架橋性樹脂として単量体メラミンを使用する場合、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、しわのないコーティングを形成するのに十分な量で存在する。好ましくは、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約1重量%〜約5重量%の量で存在する。より好ましくは、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、選択した触媒に応じて、約1.5重量%〜約5重量%の量で存在する。最も好ましくは、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、選択した触媒に応じて、約2重量%〜約4重量%の量で存在する。
【0055】
具体的な酸触媒(または酸触媒の群)ならびにその酸触媒の量は、実質的にしわのないコーティングが形成される様に選択しなければならない。酸触媒の種類の組合わせおよび酸触媒の量は、水系および溶剤系コーティング組成物の製造および使用の分野における当業者なら適切に選択することができる。しかし、本発明の方法に効果的な酸触媒の種類および酸触媒の量の幾つかの好ましい組合わせは、以下に示す通りである。
A.酸性リン酸フェニルは、溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約3重量%〜約5重量%の量で、
B.フェニル亜ホスホン酸は、溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約3重量%〜約5重量%の量で、
C.「ナキュア5543」[キング・インダストリーズ(米国コネチカット州ノーウォーク)から市販されているスルホン酸の商品名]は、溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約1.5重量%〜約3重量%の量で使用する。
溶剤系クリアコート組成物に使用する酸触媒の種類および量のこれらの好ましい組合わせは、本発明の方法を実行するのに有利であることが分かっている。
【0056】
水系ベースコート組成物および溶剤系クリアコート組成物を塗布した後、本方法における次の工程は、未硬化のベースコート層および未硬化のクリアコート層の両方を同時に硬化させることである。硬化により、少なくともコーティング層のそれぞれに架橋が起こる(すなわちベースコートにおいては有機樹脂と架橋剤が反応して架橋したマトリックスが形成され、クリアコートにおいては有機重合体と架橋性樹脂が反応して架橋したマトリックスが形成される)。しかし、硬化工程により一般的に(および好ましくは)、さらにベースコートとクリアコートが相互に架橋する。硬化工程により、有機樹脂、架橋性樹脂、および重合体が架橋する。この架橋の結果、硬化したコーティングが形成される。一般的に硬化工程は、得られるコーティングが所望の程度に架橋される様に、十分に高い温度で、十分に長い時間をかけて行う。好ましくは、硬化工程は約240°F〜約300°Fの温度で、約15〜約40分間かけて行う。より好ましくは、硬化工程は約265°F〜約300°Fの温度で、約15〜約30分間かけて行う。最も好ましくは、硬化工程は約285°Fの温度で、約20分間かけて行う。
【0057】
ベースコートおよびクリアコートは、はけ塗り、スプレー塗布、ディップ塗布、流し塗り、等のコーティング分野で一般的な方法により基材に塗布することができる。特に自動車塗装にはスプレー塗りが一般的である。圧搾空気スプレー、静電スプレー、熱スプレー技術、無空気スプレー技術、等の様々なスプレー方法が使用されている。これらの塗布技術は手作業で、あるいはロボット方式の様な特別に設計された自動塗布機械を使用して行うことができる。
【0058】
自動車用途で本発明のコーティング材料を塗布する前に、あるいは鉄基材を使用する場合、通常の耐腐食性プライマーを基材に塗布するのが一般的である。このプライマー処理した基材にベースコート組成物を塗布する。本発明の方法を実行する前に基材を被覆するのに使用できるプライマーコーティングには、ここに参考としてその全体を含める米国特許第4,575,224号および同第4,575,523号各明細書に記載されている架橋したアミン−エポキシ樹脂付加物の様な、この分野で公知の硬化したカソードエレクトロコートプライマーがある。他の種類の通常のプライマーには、スプレー、はけ塗り、等の通常の方法で塗布するエポキシ、アクリル、アルキド、ポリウレタン、およびポリエステルがある。プライマーコーティングは一般的に約0.5ミル〜約1.0ミルの厚さに塗布する。ベースコートは、一般的に約0.4ミル〜約2.0ミル、好ましくは約0.5ミル〜約1.0ミル、の厚さに塗布する。ベースコートの厚さは1回塗りで、または塗布毎に非常に短い時間乾燥(フラッシュ)させながら複数回塗布して達成することができる。
【0059】
ベースコートを塗布した後、常温で約30秒間〜約10分間、好ましくは約1〜約30分間、乾燥させてから、実質的に透明なクリアコートを塗布する。ベースコートは、より高い温度でも、より長い時間乾燥させることができるが、短時間乾燥させるだけでも非常に優れた製品を製造することができる。ベースコート層とクリアコート層が完全に混じり合うのを防止するために、ベースコート層はある程度乾燥させる必要がある。しかし、コーティングの最良の外観を達成するには最少限度のベースコート−クリアコートの相互作用(すなわち混合)が望ましい。
【0060】
クリアコートはベースコートよりも厚く(好ましくは約1.8〜約2.3ミル)塗布するのが好ましく、やはり1回または複数回塗布することができる。
【0061】
クリアコートを塗布したら、その系を再度30秒間〜10分間乾燥させ、基材をその上の未硬化コーティング層と共に、すべての溶剤を除去する(熱可塑性層の場合)のに十分な温度で、あるいは硬化および架橋させる(熱硬化性層の場合)のに十分な温度で、焼き付ける。その様な温度は常温から約400°Fの範囲でよい。一般的に、熱硬化性材料の場合、約265°Fの温度で、例えば約30分間焼き付ける。
【0062】
当業者には明らかな様に、本発明の方法は、印刷、非自動車コーティング用途、容器コーティング、等の特定のコーティング分野で一般的な幾つかの方法で実行することができる。コーティングの厚さならびに乾燥および硬化の時間および機構も同様にコーティング技術内で変えることができる。
【0063】
下記の諸例で示す部数は、他に指示がない限り、問題とする組成物の重量に対する重量部で示す。
【0064】
【実施例】
例1
下記の成分を組合せて水系ベースコート組成物を製造した。
2.5部の水、
42.4部の、下記のモノマー、すなわち
二量体脂肪酸 38.20%
イソフタル酸 10.97%
1,6−ヘキサンジオール 20.38%
ジメチロールプロピオン酸 3.56%
ネオペンタングリコール 1.19%
イソホロンジイソシアネート 20.13%
トリメチロールプロパン 3.21%
ジメチルエタノールアミン 2.36%
の反応生成物を含む、水に分散可能なポリウレタン樹脂、
5.2部の商品名「サイメル327」のメラミン樹脂[アメリカン・シアナミド(米国コネチカット州スタンダード)から市販]、
17.5部の顔料ペースト(37%固形分)、
0.5部の商品名「ブチルセロソルブ」の溶剤[ユニオン・カーバイド(米国コネチカット州ダンベリー)から市販]、
0.1部のジメチルエタノールアミン(遊離アミン)、
31.5部の、クレーレオロジー調整剤分散ペースト、および
0.4部のトリアゾールUV吸収剤。
【0065】
次いでこれらの成分を、空気駆動モーターミキサーを使用して室温で少なくとも15分間十分に混合した。この水系ベースコート組成物の総体積は約1ガロンであった。
【0066】
下記の成分を組み合わせて、溶剤系クリアコート組成物を製造した。
4.86部のブタノール、
2.09部の2−エチルヘキサノール、
1.83部のメタノール、
1.24部のキシレン、
1.37部の「ソルベッソ」[アシュランド・ケミカル(米国オハイオ州コランバス)から市販]、
14.11部のポリ(メタクリル酸ヒドロキシプロピル−コ−アクリル酸n−ブチル−コ−スチレン−コ−メタクリル酸)(39.0/35.3/23.5/2.2)(61.5%固形分)、
14.11部のポリ(アクリル酸n−ブチル−コ−メタクリル酸ヒドロキシプロピル−コ−メタクリル酸ブチル−コ−メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)(39.8/21.9/20.8/14.9/2.5)(75%固形分)、
28.23部のポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル−コ−メタクリル酸イソデシル−コ−メタクリル酸イソボルニル−コ−メタクリル酸)(39/34/25/2)(61.5%固形分)、
56.45部のアクリル樹脂(平均固形分約68%)、
16.33部の単量体メラミン樹脂[「レジメン755」、モンサント・ケミカル・カンパニー(米国マサチューセッツ州スプリングフィールド)]、
2.81部の重合体メラミン樹脂[「ルヴィパル010」(BASF・アクチエンゲゼルシャフト、ドイツ国トヴィヒスハーフェン)から市販]、
4.02部の添加剤(アクリル系流動助剤、シリコーン流動助剤、UV吸収剤、および光安定剤)、および
9.00部のアミン−ブロックド酸性リン酸フェニル触媒[商品名「ナキュアXP−267」キング・インダストリーズ(米国コネチカット州ノーウォーク)]。
【0067】
次いでこれらの成分を、空気駆動モーターミキサーを使用して室温で15分間十分に混合した。このクリアコート組成物の総体積は約1ガロンであった。
【0068】
次いで、得られた水系ベースコート組成物に重量で5:1の脱イオン水:ブチルセロソルブを加えて粘度を#2フィッシャーカップで38秒間に下げ、ベースコート組成物を噴霧するサイホンスプレーガンを使用して、プライマー処理済冷間圧延鋼製のテストパネルに塗布した。ベースコート組成物は、硬化フィルム厚が約0.6ミルになる様に塗布した。塗布した鋼製パネルを110°Fのオーブン中に入れ、その中に約3分間保持して、短時間蒸発によりコーティングを乾燥させた。
【0069】
次いで、被覆したパネルをオーブンから取り出し、溶剤系クリアコート組成物にキシレンを加えて粘度を#4フォードカップで48秒間に下げ、水系ベースコート組成物の塗布と同じ方法で、ただし硬化フィルム厚が約1.6〜2.0ミルになる様に、塗布した。
【0070】
次いで、パネルを単に室温で約7分間保持して有機溶剤を蒸発させた。最後に、被覆したパネルを285°Fのオーブンに約20分間入れてコーティングを硬化させた。得られたパネルは優れた物理特性を示し、自動車メーカーの規格に適合する外観を有していた。
【0071】
比較用パネルは、同じ方法および同じ水系ベースコート組成物を使用し、通常の量の触媒(クリアコート組成物中の固体の重量に対して約0.5〜1.0重量%の活性触媒)を含む一般的なハイソリッドクリアコート配合で製造した。比較用パネルはクリアコートのしわがひどく、外観は自動車用には適していなかった。
【0072】
例2〜11
例1における様な、しわのないコーティングを製造するための触媒の種類および量を評価するために試験を行った。これらの試験では、溶剤系クリアコート組成物の酸触媒の種類および量を変えた以外は、方法および製造はすべて例1と同じであった。下記の表中、他に指示がない限り、触媒はすべて組成物の樹脂固体に対する活性触媒の重量%として表示する。例1における溶剤系クリアコート組成物は、樹脂固体に対して4%の活性酸性リン酸フェニルを含む。
【0073】
「ナキュア5543」は、キング・インダストリーズ(米国コネチカット州ノーウォーク)から市販されているアミン・ブロックド・ドデシルベンゼンスルホン酸である。
【0074】
【0075】
例2〜11において、テストパネルは例1と同様にして調製した。例2〜11において、例4および6でクリアコートがある程度のしわを示した以外は、すべて優れた外観を有するパネルが製造された。例4および6により製造したコーティングは、自動車体パネル用途の商業的標準には適合していなかった。例4および6の結果は、例1〜3、5、および7〜11の結果と比較して、しわのない外観を達成するのに必要な酸触媒の通常量よりも多くの酸触媒を使用することにより、有利な効果が得られることを立証していると考えられる。
【産業上の利用分野】
本発明は、基材を水系ベースコート組成物で、さらにその上を溶剤系クリアコート組成物で、被覆する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被覆された物品の製造、特に自動車用コーティング、の従来の製法では、ベースコートおよびクリアコートの両方を使用する被覆方式が使用されている。従来、ベースコートおよびクリアコートは溶剤系組成物として塗布されている。しかし、最近では、製造業者にとって、溶剤系コーティング組成物の塗布および硬化の際に有機溶剤が大気中に放出されるために環境に対する悪影響が重要な問題になっている。この環境問題およびそれに関連する環境規制のために、水系コーティング組成物の需要が益々高まっている。
【0003】
遊離アミンを含む水系ベースコート組成物を基材に塗布し、次いで架橋性樹脂として単量体メラミンを含む従来の溶剤系クリアコート組成物を塗布する場合、それを硬化させたフィルムは「しわがよった」(wrinkled)様に見えることが分かっている。この外観は好ましくなく、商業的価値に欠ける。重合体メラミンを使用するクリアコート組成物は、このしわの問題を示さないことが分かっている。そのため、現在市販されているクリアコート組成物は、架橋性成分として、単量体メラミンではなく重合体メラミンを使用している。しかし、しわの問題さえ解決できれば、単量体メラミンを使用することにより、固形成分濃度をより高くすることができ、得られたコーティングの物理特性を改良することができよう。
【0004】
本発明者は予期せぬことに、上記の高固形物濃度および物理特性の改良は、酸触媒の含有量が高い溶剤系単量体メラミンクリアコート組成物を使用することにより達成できることを発見した。その様な組成物は予期せぬことに、フィルムの物理特性を改良すると共に、上記のしわの問題を完全に防止しながら、クリアコート組成物中の固形分を増加できることが分かった。
【0005】
しかし、「高水準の酸触媒」を単量体メラミンと組み合わせた組成物は新規ではない。その様な組成物は、「再仕上げ」業界、すなわち塗装が損傷を受けた自動車体パネルの再塗装に使用されている。しかし、その様な補修方法は、水系ベースコート組成物を、酸触媒濃度の高い、単量体メラミン含有クリアコート組成物と組み合わせて使用してはいない。すなわち、高濃度の酸触媒を含む単量体メラミン組成物の使用は、従来、溶剤系ベースコートと組み合わせた使用に限られている。さらに、その様な補修作業は低温(すなわち約160°F〜約210°Fの温度)で行われる。
【0006】
対照的に、本発明の方法では、高濃度の酸触媒を含む単量体メラミン組成物を、未硬化水系ベースコートの層の上に、無論さらに遊離アミンを含む水系ベースコートの上に塗布する。
【0007】
自動車用トップコートの製造分野では、「有機溶剤系」であるコーティング組成物に使用する有機溶剤は少ない方が好ましい。有機溶剤は、組成物中の重合体、オリゴマー、モノマーおよびその他の有機成分を分散(および溶解)させ、その分散液をスプレー、等で塗布できる様にその混合物の粘度を十分に低くするのに役立つ。しかし、コーティング組成物中に有機溶剤が存在すると、高温で行う硬化工程で有機溶剤が大気中に放出されることになる。大気中に放出される有機溶剤の量を低減させる一方法は、少量の有機溶剤で望ましい粘度が達成される様に、混合物中に低粘度成分を使用することである。その様な低粘度架橋剤の例は単量体メラミンである。
【0008】
上記の様に、アミンを含む水系ベースコート組成物上に溶剤系クリアコート組成物を塗布し、続いて、得られた未硬化の水系ベースコート組成物および未硬化の溶剤系クリアコート層コーティング組成物(クリアコート用の)の両方を同時に硬化させる場合、その溶剤系クリアコート組成物中に架橋剤として単量体メラミンが存在するのは好ましくない。単量体メラミンが存在すると、最も好ましくない「しわのある」外観を呈する硬化コーティングが生じる。その様なしわのあるコーティングには実質的な商業価値がない。
【0009】
しかし、本発明の方法は、単量体メラミンを含む溶剤系クリアコート組成物の未硬化層を、アミンを含む水系ベースコート組成物の未硬化層上に直接塗布し、次いで両層を同時に硬化させて、実質的にしわのない硬化コーティングを形成することができ方法を提供する。本方法の第一の利点は、必要な有機溶剤の量が少なくなる(したがって環境中に放出される有機溶剤の量も少なくなる)ことである。本方法の第二の利点は、溶剤系クリアコート組成物中に高濃度の固形物が存在できるので、必要な組成物の体積を低減できることである。本方法の第三の利点は、硬化により、物理特性が改良されたコーティングが得られることである。
【0010】
本発明の方法で、溶剤系クリアコート組成物中に比較的高い濃度の酸触媒を使用することにより、上記の利点が得られる。この高濃度の酸触媒により、クリアコート組成物中の有機重合体の架橋に対して十分な程度の触媒作用が確保される。すなわち、高濃度の酸触媒により、有機重合体の架橋に対して遅延効果を有する遊離アミンが存在するにも関わらず、硬化の際に十分な架橋反応が確保される。したがって酸触媒は、(1)クリアコート組成物の硬化に必要な架橋反応に必要な触媒作用を与えると共に(2)クリアコート組成物の架橋の好ましくない遅延を防止する、のに十分な量で存在する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、しわのないコーティングの製造方法に関する。本方法の第一工程は、基材に水系ベースコート組成物を塗布し、基材上に未硬化のベースコート層を形成する。本方法の第二工程では、第一の水系ベースコート組成物の未硬化層上に実質的に透明な1成分溶剤系クリアコート組成物を塗布し、未硬化の水系ベースコート層上に未硬化の溶剤系クリアコート層を形成する。本方法の第三工程では、未硬化の水系ベースコート層および未硬化の溶剤系クリアコート層の両方を同時に硬化させる。
【0012】
水系ベースコート組成物は、水、有機樹脂、架橋剤、および遊離アミンを含んでなる。溶剤系クリアコート組成物は、酸触媒、単量体メラミン架橋性樹脂、および単量体メラミンにより架橋可能な重合体を含んでなる。
【0013】
未硬化の水系ベースコート層ならびに未硬化の溶剤系クリアコート層の両方を同時に硬化させる際、下記の成分、すなわち
(1)水系ベースコート組成物の有機樹脂、
(2)溶剤系クリアコート組成物の架橋性樹脂、および
(3)溶剤系クリアコート組成物の架橋可能な重合体、
が架橋し、硬化したコーティングが形成される。
【0014】
溶剤系クリアコート組成物中に存在する具体的な酸触媒ならびにその量は、しわのないコーティングが製造される様に選択する。
【0015】
本発明の目的は、基材上に硬化した重合体コーティングを製造することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、基材上に、実質的にしわのないコーティングを製造することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、自動車体パネルとして使用するのに好適な基材上に自動車用品質のコーティングを製造することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、ベースコート層およびクリアコート層の両方からなる自動車用品質のコーティングを基材上に製造することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、メタリックフレーク顔料を含むコーティングを基材上に製造することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、アミンを含む水系コーティング組成物を使用することにより、コーティングを製造することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、単量体メラミンを含む溶剤系コーティング組成物を使用することにより、コーティングを製造することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、遊離アミンを含む水系ベースコート組成物および単量体メラミンおよび高濃度の酸触媒を含む溶剤系クリアコート組成物を使用することにより、実質的にしわのないコーティングを製造することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、単量体メラミン架橋剤を含む溶剤系コーティング組成物を、アミンを含む水系コーティング組成物上に塗布し、続いて両組成物を同時に硬化させることにより、しわのないコーティングを製造することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
一般的に本発明の方法により、どの様な基材でも被覆することができる。本発明の方法には、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、紙、木、その他の基材を使用することができる。特定の乾燥および(または)硬化条件は、基材の種類により異なることがある。しかし、本発明の方法は、金属基材用に、より詳しくは自動車用塗料仕上げを行うための方法として、特に適している。基材は裸の金属基材でも、耐腐食性を与えたり後に続くコーティング層に対する密着性を高めるためにプライマーを塗布してあってもよい。金属の中でも、鋼、アルミニウム、銅、マグネシウム、およびそれらの合金の様な金属を使用して金属基材を製造することができる。
【0025】
ここで使用する用語「有機樹脂」とは、水系ベースコート組成物中に存在する1種または多種の架橋可能な重合体化合物を意味する。さらに、「メラミンで架橋可能な重合体」および「架橋可能な重合体」とは、溶剤系クリアコート組成物中に存在する1種または多種の架橋可能な重合体化合物を意味する。「架橋性樹脂」とは、溶剤系クリアコート組成物中に存在する1種または多種の、反応して溶剤系クリアコート組成物中に存在する架橋可能な重合体を架橋させる化合物である。
【0026】
ここで使用する用語「ベースコート」とは、裸の基材上またはプライマーコーティングを施した基材の上に位置するコーティング層を意味する。より重要なのは、ベースコートはクリアコートの下に位置することである。用語「トップコート」とは、ベースコートとクリアコートを合わせたものを意味する。好ましくは基材は金属であり、基材は、ベースコートに対して良好な密着性を有する様にプライマー処理してあるのが好ましい。
【0027】
原則として、ベースコートは基材を着色するための一次層である。プライマー層(または裸の金属)が透けて見えない様に、また、プライマー層が紫外放射に露出されない様に、ベースコートは不透明であるのが好ましい。好ましくはベースコートは、ベースコートに色および不透明性を与える顔料粒子を含む。顔料粒子は有機顔料でもメタリック顔料でもよい。メタリック顔料は、塗装した基材にメタリック外観を与えるメタリックフレーク顔料を含むことができる。本発明の方法には、コーティング分野で一般的に有効であると認められているすべての顔料を使用することができる。
【0028】
ここで使用する用語「クリアコート」は、ベースコート上に位置するコーティング層を意味する。その上、クリアコートは一般的に最も外側に位置するコーティングである。したがって、クリアコートの外側表面は環境に直接さらされている。
【0029】
一般則として、クリアコートは実質的に透明であり、それによってクリアコートを通してベースコートを見ることができる。しかし、ベースコートと組み合わせた着色効果を得るために、クリアコートは顔料、染料、等を含むこともできる。クリアコートが顔料を含んでいても、その顔料が透明顔料であれば、クリアコートはなお実質的に透明であると考えられる。しかし、クリアコートは一般的に着色されてはおらず、したがって実質的に透明であると共に実質的に無色である。クリアコートは好ましくは主として、紫外光、水、極端な高温および低温、埃および汚れ、等による環境的な劣化に対する耐性が高い重合体網目構造(すなわち架橋した重合体)からなる。
【0030】
「溶剤系(solventborne)クリアコート組成物」は、本発明の方法において、ベースコート組成物の未硬化層上に塗布し、硬化させた時にクリアコートを形成する実質的に液体の組成物(すなわち重合体および他の成分の有機溶剤分散液または溶液)を意味する。
【0031】
本発明の方法は、水系ベースコート組成物の製造を含む。「水系(waterborne)ベースコート組成物」は有機樹脂ならびに他の成分の水中分散液または溶液である組成物を意味する。水系ベースコート組成物は、基材に塗布し、その後硬化させてベースコートを形成する。水は有機樹脂のためのキャリヤー、媒体または溶剤として作用する。樹脂の水中分散液になる様に、樹脂は水相に分散するのが好ましい。しかし、水に可溶な有機樹脂を使用することも可能であり、その場合、樹脂の水溶液になる。
【0032】
一般的に水系ベースコート組成物は、遊離アミンおよび有機樹脂を含む、どの様な水性コーティング組成物でもよい。しかし、好ましいベースコート組成物は、コーティングの分野で従来から使用されている好適なフィルム形成陰イオン性樹脂を含み、その樹脂がカルボキシル基を有する樹脂ものであるもの、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、等、およびそれらの混合物であるもの、である。ポリウレタン、アクリル樹脂およびポリエステルは、コーティング組成物に好適な樹脂の水分散液を得るには、遊離アミンの存在が必要である。ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、本発明の方法で使用するのに好ましい有機樹脂である。最も好ましい有機樹脂はポリウレタン樹脂である。
【0033】
一般的に、有機樹脂は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物全体の重量に対して約10重量%〜約70重量%の量で存在する。好ましくは、有機樹脂は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物全体の重量に対して約12重量%〜約25重量%の量で存在する。最も好ましくは、有機樹脂は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物全体の重量に対して約20重量%の量で存在する。
【0034】
ベースコート組成物にアクリル樹脂を使用する場合、その樹脂は熱硬化性アクリル樹脂または熱可塑性アクリル樹脂のどちらでもよい。(ここに参考として含める)米国特許第2,860,110号明細書に記載されている様なアクリル性ラッカーは、本発明の方法に有効な種類のフィルム形成組成物の一つである。アクリル性ラッカー組成物は、典型的にはメタクリル酸メチルの単独重合体ならびにメタクリル酸メチルの共重合体(特にアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、およびその他を含む)からなる。
【0035】
ベースコート組成物の成分としてアクリル系ラッカーを含む場合、そのアクリル系ラッカー重合体の相対粘度は約1.05(単位)〜約1.4(単位)であるのが好ましい。アクリル系ラッカー重合体の相対粘度が1.05(単位)より著しく低い場合、そこから得られるフィルムの耐溶剤性、耐久性、機械的特性は比較的低い。反対に、相対粘度が1.40(単位)よりも著しく高い場合、これらの樹脂から製造される塗料はスプレーし難く、融着温度(coalescing temp.)が高くなる。
【0036】
本発明の方法に有用なもう一つの種類のフィルム形成材料は、架橋剤とカルボキシ−ヒドロキシアクリル共重合体の組合わせである。カルボキシ−ヒドロキシアクリル共重合体中で共重合可能なモノマーには、アクリル酸およびメタクリル酸と、1〜12個の炭素原子を有するアルカノールのエステル、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、およびその他がある。その他のモノマーには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン、アルファ−メチルスチレン、酢酸ビニル等がある。これらのモノマーは、1個の重合可能なエチレン性不飽和基を含み、水酸基およびカルボキシル基を含まない。
【0037】
ヒドロキシ−カルボキシ共重合体と組み合わせて使用される架橋剤は、水酸基および(または)カルボン酸基と反応し得る成分である。その様な架橋剤の例は、ポリイソシアネート、(一般的にジ−および(または)トリ−イソシアネート)、ポリエポキシド、およびアミノプラスト樹脂である。特に好ましい架橋剤は、アミノプラスト樹脂である。
【0038】
ポリイソシアネートは、ヒドロキシルを有するポリエステルまたはポリエーテルまたはアクリル性重合体と反応した時に、本発明の方法においてベースコートおよびトップコートの両方に有用なウレタンフィルムを形成する。イソシアネート(−NCO)−ヒドロキシル(−OH)の反応は室温で容易に起こるので、常温および低温硬化が可能である。
【0039】
本発明の方法で使用する水系ベースコート組成物は有機樹脂に加えて、さらに遊離アミンを含む。一般的に、遊離アミンは、樹脂を水中に分散し易くするために、陰イオン性樹脂上の陽イオン性カルボキシル基を実質的に中和しなければならないので、遊離アミンは陰イオン系アミンである。好ましくは、遊離アミンは、アルキルアミン、アルカノールアミン、およびアンモニアからなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。より好ましくは、遊離アミンは、トリエチルアミンおよびジメチルエタノールアミンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。最も好ましくは、遊離アミンはジメチルエタノールアミンである。
【0040】
一般的に、遊離アミンは水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物の重量に対して約0.1〜約1.5重量%の量で存在する。好ましくは、遊離アミンは水系ベースコート組成物中に約0.3〜約0.7重量%の量で存在する。最も好ましくは、遊離アミンは水系ベースコート組成物中に約0.4重量%の量で存在する。
【0041】
水系ベースコート組成物はさらに架橋剤を含む。一般的に架橋剤は、ベースコート組成物中の樹脂を架橋させることができるなら、どの様な樹脂でもよい。好ましくは架橋剤は、アミノプラスト樹脂およびイソシアネート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。より好ましくは、架橋剤はアミノプラスト樹脂を含む。最も好ましくは、架橋剤は、アメリカン・シアナミド(米国コネチカット州ノーウォーク)から「サイメル327」の商品名で市販されているアミノプラスト樹脂である。もう一つの好ましい架橋剤は、モンサント・カンパニー(米国マサチューセッツ州スプリングフィールド)、により「レジメン747」の商品名で製造されているアミノプラスト樹脂である。
【0042】
一般的に架橋剤は水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物の重量に対して約3〜約12重量%の量で存在する。好ましくは、架橋剤は水系ベースコート組成物中に約3〜約10重量%の量で、最も好ましくは約3重量%〜約6重量%の量で存在する。
【0043】
本発明の方法では、水系ベースコート組成物は、有機樹脂上に存在するカルボン酸基を中和するために、遊離アミンを含む。この中和により、樹脂が水中に分散し易くなる。一般的に遊離アミンは、樹脂を水に分散し易くするならどの様なアミンでもよい。一般的に遊離アミンは、樹脂を水中に分散し易くするのに十分な量で水系ベースコート組成物中に存在する。
【0044】
遊離アミンが水系ベースコートからクリアコートに移動すると、そのアミンが蒸発するまで架橋過程が妨害されたり遅延したりする。架橋過程は高温(すなわち240°F〜300°F)で規定の時間(すなわちほとんどの自動車組立て工場で15〜40分間)行う。クリアコートの硬化が遅延すると、おそらくクリアコートとベースコートの間の硬化速度に著しい差が生じるために、しわのある外観が生じる。しわ発生の問題の考えられるもう一つの原因は、クリアコート中に移動するアミンの量が場所により変動することである。その様な場所的な変動により、ある場所の架橋反応が他の場所よりも遅れるのであろう。
【0045】
本発明の方法は、(溶剤系クリアコート組成物中に)過剰の酸触媒を加え、上記の問題を起こす可能性がある遊離アミンの作用を無力化することにより、しわ形成の問題を解決する。
【0046】
溶剤系クリアコート組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含み、好ましくは少なくとも2種の有機溶剤の混合物を含む。一般的に有機溶剤は、塗布してコーティングを形成できる様な溶液または分散液が得られる程度に、酸触媒、架橋性樹脂、および架橋可能な重合体が溶解(または分散)するなら、一般的に使用されているどの様な有機溶剤でもよい。好ましくは有機溶剤は、トルエン、キシレン、芳香族溶剤の混合物、およびメタノールからなる群から選択された少なくとも1種の溶剤を含む。有用な、好ましい有機溶剤は、キシレンが32重量%、「ハイソル10」が32重量%、ブタノールが13重量%、メタノールが22重量%、エチルヘキサノールが6重量%、および酢酸第一アミルが5重量%、の混合物である。有機溶剤は、最適な塗布性および特性を持たせ、良好な外観を達成するために選択する。考慮すべき重要な点には、粘度、スプレー性、たるみ許容度、滑らかさ、および光沢(すなわち映像の明瞭度)がある。
【0047】
有機溶剤は、基材上に自動車用品質のコーティングが形成される様に塗布できる溶液または分散液を製造するのに有効な量で存在すべきである。好ましくは、有機溶剤は、溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約30重量%〜約60重量%の量で存在する。最も好ましくは、有機溶剤は約45重量%の量で存在する。
【0048】
溶剤系クリアコート組成物はさらに、水酸基を有し、メラミンで架橋可能な重合体を含む。好ましくは、架橋可能な重合体は、アクリル系重合体、アルキド重合体、ポリウレタン、およびポリエステルからなる群から選択された少なくとも1種の重合体である。より好ましい架橋可能な重合体は、アクリル系重合体、ポリウレタン、およびポリエステルからなる群から選択された少なくとも1種の重合体である。最も好ましくは、架橋可能な重合体はアクリル系樹脂である。
【0049】
好ましくは、架橋可能な重合体は、溶剤系クリアコート組成物の総重量に対して約10重量%〜約60重量%の量でクリアコート組成物中に存在する。より好ましくは、架橋可能な重合体は、溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約30重量%〜約45重量%の量でクリアコート組成物中に存在する。最も好ましくは、架橋可能な重合体は、溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約38重量%の量でクリアコート組成物中に存在する。
【0050】
溶剤系クリアコート組成物中に存在する架橋性樹脂は、単量体メラミン樹脂を含む。好ましくは架橋性樹脂は、「レジメン」の商品名を有する一連のアミノプラスト樹脂および「サイメル」の商品名を有する一連のアミノプラスト樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含むが、その樹脂(またはそれらの樹脂)は約80重量%〜約100重量%の固形分を有する。これらのアミノプラスト樹脂はそれぞれモンサント・カンパニーおよびアメリカン・シアナミド・コーポレーションにより製造されている。最も好ましくは、架橋性樹脂は商品名「レジメン755」樹脂である。
【0051】
一般的に架橋性樹脂は、架橋可能な樹脂を所望の程度に架橋するのに十分な量で溶剤系クリアコート組成物中に存在する。好ましくは、架橋性樹脂は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の総重量に対して約12重量%〜約22重量%の量で存在する。より好ましくは、架橋性樹脂は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の総重量に対して約15重量%〜約20重量%の量で存在する。最も好ましくは架橋性樹脂は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の重量に対して約18重量%の量で存在する。
【0052】
溶剤系クリアコート組成物は、さらに酸触媒を含む。触媒の種類と量は、最適な望ましい最終コーティング特性を達成し、フィルムのひどいしわ、および悪い外観を避けるために、注意深く選択する。自動車メーカーのコーティングに使用される通常の触媒量は、溶剤系組成物の重量に対して0.2%〜2%である。(上記の)移動したアミンを無力化するのに必要な触媒の量は、触媒の種類により異なる。一般的に、コーティングのしわの問題を防ぐためには、従来の装置で製造されるコーティング組成物に使用される量の2〜3倍の量の触媒が必要である。
【0053】
一般的に酸触媒は、単量体メラミンの硬化に触媒作用を及ぼすなら、どの様な化学物質でもよい。好ましくは、酸触媒は、酸無水物、酸性リン酸塩、モノまたはジスルホン酸、アルコキシ酸、その他の単量体メラミンの硬化に好適なすべての酸触媒からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。好ましくは、酸触媒は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、酸性リン酸フェニル、およびフェニル亜ホスホン酸(phenyl phosponous acid)からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。最も好ましくは、酸触媒は、酸性リン酸フェニル、およびフェニル亜ホスホン酸からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む。
【0054】
一般的に本発明の方法では、架橋性樹脂として単量体メラミンを使用する場合、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、しわのないコーティングを形成するのに十分な量で存在する。好ましくは、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約1重量%〜約5重量%の量で存在する。より好ましくは、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、選択した触媒に応じて、約1.5重量%〜約5重量%の量で存在する。最も好ましくは、酸触媒は溶剤系クリアコート組成物中に、選択した触媒に応じて、約2重量%〜約4重量%の量で存在する。
【0055】
具体的な酸触媒(または酸触媒の群)ならびにその酸触媒の量は、実質的にしわのないコーティングが形成される様に選択しなければならない。酸触媒の種類の組合わせおよび酸触媒の量は、水系および溶剤系コーティング組成物の製造および使用の分野における当業者なら適切に選択することができる。しかし、本発明の方法に効果的な酸触媒の種類および酸触媒の量の幾つかの好ましい組合わせは、以下に示す通りである。
A.酸性リン酸フェニルは、溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約3重量%〜約5重量%の量で、
B.フェニル亜ホスホン酸は、溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約3重量%〜約5重量%の量で、
C.「ナキュア5543」[キング・インダストリーズ(米国コネチカット州ノーウォーク)から市販されているスルホン酸の商品名]は、溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して約1.5重量%〜約3重量%の量で使用する。
溶剤系クリアコート組成物に使用する酸触媒の種類および量のこれらの好ましい組合わせは、本発明の方法を実行するのに有利であることが分かっている。
【0056】
水系ベースコート組成物および溶剤系クリアコート組成物を塗布した後、本方法における次の工程は、未硬化のベースコート層および未硬化のクリアコート層の両方を同時に硬化させることである。硬化により、少なくともコーティング層のそれぞれに架橋が起こる(すなわちベースコートにおいては有機樹脂と架橋剤が反応して架橋したマトリックスが形成され、クリアコートにおいては有機重合体と架橋性樹脂が反応して架橋したマトリックスが形成される)。しかし、硬化工程により一般的に(および好ましくは)、さらにベースコートとクリアコートが相互に架橋する。硬化工程により、有機樹脂、架橋性樹脂、および重合体が架橋する。この架橋の結果、硬化したコーティングが形成される。一般的に硬化工程は、得られるコーティングが所望の程度に架橋される様に、十分に高い温度で、十分に長い時間をかけて行う。好ましくは、硬化工程は約240°F〜約300°Fの温度で、約15〜約40分間かけて行う。より好ましくは、硬化工程は約265°F〜約300°Fの温度で、約15〜約30分間かけて行う。最も好ましくは、硬化工程は約285°Fの温度で、約20分間かけて行う。
【0057】
ベースコートおよびクリアコートは、はけ塗り、スプレー塗布、ディップ塗布、流し塗り、等のコーティング分野で一般的な方法により基材に塗布することができる。特に自動車塗装にはスプレー塗りが一般的である。圧搾空気スプレー、静電スプレー、熱スプレー技術、無空気スプレー技術、等の様々なスプレー方法が使用されている。これらの塗布技術は手作業で、あるいはロボット方式の様な特別に設計された自動塗布機械を使用して行うことができる。
【0058】
自動車用途で本発明のコーティング材料を塗布する前に、あるいは鉄基材を使用する場合、通常の耐腐食性プライマーを基材に塗布するのが一般的である。このプライマー処理した基材にベースコート組成物を塗布する。本発明の方法を実行する前に基材を被覆するのに使用できるプライマーコーティングには、ここに参考としてその全体を含める米国特許第4,575,224号および同第4,575,523号各明細書に記載されている架橋したアミン−エポキシ樹脂付加物の様な、この分野で公知の硬化したカソードエレクトロコートプライマーがある。他の種類の通常のプライマーには、スプレー、はけ塗り、等の通常の方法で塗布するエポキシ、アクリル、アルキド、ポリウレタン、およびポリエステルがある。プライマーコーティングは一般的に約0.5ミル〜約1.0ミルの厚さに塗布する。ベースコートは、一般的に約0.4ミル〜約2.0ミル、好ましくは約0.5ミル〜約1.0ミル、の厚さに塗布する。ベースコートの厚さは1回塗りで、または塗布毎に非常に短い時間乾燥(フラッシュ)させながら複数回塗布して達成することができる。
【0059】
ベースコートを塗布した後、常温で約30秒間〜約10分間、好ましくは約1〜約30分間、乾燥させてから、実質的に透明なクリアコートを塗布する。ベースコートは、より高い温度でも、より長い時間乾燥させることができるが、短時間乾燥させるだけでも非常に優れた製品を製造することができる。ベースコート層とクリアコート層が完全に混じり合うのを防止するために、ベースコート層はある程度乾燥させる必要がある。しかし、コーティングの最良の外観を達成するには最少限度のベースコート−クリアコートの相互作用(すなわち混合)が望ましい。
【0060】
クリアコートはベースコートよりも厚く(好ましくは約1.8〜約2.3ミル)塗布するのが好ましく、やはり1回または複数回塗布することができる。
【0061】
クリアコートを塗布したら、その系を再度30秒間〜10分間乾燥させ、基材をその上の未硬化コーティング層と共に、すべての溶剤を除去する(熱可塑性層の場合)のに十分な温度で、あるいは硬化および架橋させる(熱硬化性層の場合)のに十分な温度で、焼き付ける。その様な温度は常温から約400°Fの範囲でよい。一般的に、熱硬化性材料の場合、約265°Fの温度で、例えば約30分間焼き付ける。
【0062】
当業者には明らかな様に、本発明の方法は、印刷、非自動車コーティング用途、容器コーティング、等の特定のコーティング分野で一般的な幾つかの方法で実行することができる。コーティングの厚さならびに乾燥および硬化の時間および機構も同様にコーティング技術内で変えることができる。
【0063】
下記の諸例で示す部数は、他に指示がない限り、問題とする組成物の重量に対する重量部で示す。
【0064】
【実施例】
例1
下記の成分を組合せて水系ベースコート組成物を製造した。
2.5部の水、
42.4部の、下記のモノマー、すなわち
二量体脂肪酸 38.20%
イソフタル酸 10.97%
1,6−ヘキサンジオール 20.38%
ジメチロールプロピオン酸 3.56%
ネオペンタングリコール 1.19%
イソホロンジイソシアネート 20.13%
トリメチロールプロパン 3.21%
ジメチルエタノールアミン 2.36%
の反応生成物を含む、水に分散可能なポリウレタン樹脂、
5.2部の商品名「サイメル327」のメラミン樹脂[アメリカン・シアナミド(米国コネチカット州スタンダード)から市販]、
17.5部の顔料ペースト(37%固形分)、
0.5部の商品名「ブチルセロソルブ」の溶剤[ユニオン・カーバイド(米国コネチカット州ダンベリー)から市販]、
0.1部のジメチルエタノールアミン(遊離アミン)、
31.5部の、クレーレオロジー調整剤分散ペースト、および
0.4部のトリアゾールUV吸収剤。
【0065】
次いでこれらの成分を、空気駆動モーターミキサーを使用して室温で少なくとも15分間十分に混合した。この水系ベースコート組成物の総体積は約1ガロンであった。
【0066】
下記の成分を組み合わせて、溶剤系クリアコート組成物を製造した。
4.86部のブタノール、
2.09部の2−エチルヘキサノール、
1.83部のメタノール、
1.24部のキシレン、
1.37部の「ソルベッソ」[アシュランド・ケミカル(米国オハイオ州コランバス)から市販]、
14.11部のポリ(メタクリル酸ヒドロキシプロピル−コ−アクリル酸n−ブチル−コ−スチレン−コ−メタクリル酸)(39.0/35.3/23.5/2.2)(61.5%固形分)、
14.11部のポリ(アクリル酸n−ブチル−コ−メタクリル酸ヒドロキシプロピル−コ−メタクリル酸ブチル−コ−メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)(39.8/21.9/20.8/14.9/2.5)(75%固形分)、
28.23部のポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル−コ−メタクリル酸イソデシル−コ−メタクリル酸イソボルニル−コ−メタクリル酸)(39/34/25/2)(61.5%固形分)、
56.45部のアクリル樹脂(平均固形分約68%)、
16.33部の単量体メラミン樹脂[「レジメン755」、モンサント・ケミカル・カンパニー(米国マサチューセッツ州スプリングフィールド)]、
2.81部の重合体メラミン樹脂[「ルヴィパル010」(BASF・アクチエンゲゼルシャフト、ドイツ国トヴィヒスハーフェン)から市販]、
4.02部の添加剤(アクリル系流動助剤、シリコーン流動助剤、UV吸収剤、および光安定剤)、および
9.00部のアミン−ブロックド酸性リン酸フェニル触媒[商品名「ナキュアXP−267」キング・インダストリーズ(米国コネチカット州ノーウォーク)]。
【0067】
次いでこれらの成分を、空気駆動モーターミキサーを使用して室温で15分間十分に混合した。このクリアコート組成物の総体積は約1ガロンであった。
【0068】
次いで、得られた水系ベースコート組成物に重量で5:1の脱イオン水:ブチルセロソルブを加えて粘度を#2フィッシャーカップで38秒間に下げ、ベースコート組成物を噴霧するサイホンスプレーガンを使用して、プライマー処理済冷間圧延鋼製のテストパネルに塗布した。ベースコート組成物は、硬化フィルム厚が約0.6ミルになる様に塗布した。塗布した鋼製パネルを110°Fのオーブン中に入れ、その中に約3分間保持して、短時間蒸発によりコーティングを乾燥させた。
【0069】
次いで、被覆したパネルをオーブンから取り出し、溶剤系クリアコート組成物にキシレンを加えて粘度を#4フォードカップで48秒間に下げ、水系ベースコート組成物の塗布と同じ方法で、ただし硬化フィルム厚が約1.6〜2.0ミルになる様に、塗布した。
【0070】
次いで、パネルを単に室温で約7分間保持して有機溶剤を蒸発させた。最後に、被覆したパネルを285°Fのオーブンに約20分間入れてコーティングを硬化させた。得られたパネルは優れた物理特性を示し、自動車メーカーの規格に適合する外観を有していた。
【0071】
比較用パネルは、同じ方法および同じ水系ベースコート組成物を使用し、通常の量の触媒(クリアコート組成物中の固体の重量に対して約0.5〜1.0重量%の活性触媒)を含む一般的なハイソリッドクリアコート配合で製造した。比較用パネルはクリアコートのしわがひどく、外観は自動車用には適していなかった。
【0072】
例2〜11
例1における様な、しわのないコーティングを製造するための触媒の種類および量を評価するために試験を行った。これらの試験では、溶剤系クリアコート組成物の酸触媒の種類および量を変えた以外は、方法および製造はすべて例1と同じであった。下記の表中、他に指示がない限り、触媒はすべて組成物の樹脂固体に対する活性触媒の重量%として表示する。例1における溶剤系クリアコート組成物は、樹脂固体に対して4%の活性酸性リン酸フェニルを含む。
【0073】
「ナキュア5543」は、キング・インダストリーズ(米国コネチカット州ノーウォーク)から市販されているアミン・ブロックド・ドデシルベンゼンスルホン酸である。
【0074】
【0075】
例2〜11において、テストパネルは例1と同様にして調製した。例2〜11において、例4および6でクリアコートがある程度のしわを示した以外は、すべて優れた外観を有するパネルが製造された。例4および6により製造したコーティングは、自動車体パネル用途の商業的標準には適合していなかった。例4および6の結果は、例1〜3、5、および7〜11の結果と比較して、しわのない外観を達成するのに必要な酸触媒の通常量よりも多くの酸触媒を使用することにより、有利な効果が得られることを立証していると考えられる。
Claims (19)
- A.基材に、水、ポリウレタン樹脂、架橋剤、ならびにアンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、およびそれらの混合物から選択される遊離アミンを含む水系ベースコート組成物を塗布し、前記基材上に未硬化のベースコート層を形成する工程、
B.前記未硬化のベースコート層上に、
i.酸触媒、
ii. 単量体メラミン架橋性樹脂、および
iii.メラミンにより架橋可能な重合体
を含んでなる実質的に透明な溶剤系クリアコート組成物を塗布して、未硬化のベースコート層上に未硬化のクリアコート層を形成する工程、
C.前記未硬化のベースコート層および前記未硬化のクリアコート層の両方を同時に硬化させ、それによって有機樹脂、架橋剤、重合体、および架橋性樹脂を架橋させ、硬化したコーティングを形成する工程、
からなり、酸触媒が溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して1重量%〜5重量%の量で存在することを特徴とする、しわのないコーティングの製造法。 - ウレタン樹脂が、水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物の重量に対して10重量%〜70重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ウレタン樹脂が、水系ベースコート組成物中に、その水系ベースコート組成物の重量に対して12重量%〜25重量%の量で存在することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 架橋性樹脂が、溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の重量に対して10重量%〜40重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 架橋性樹脂が、溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の重量に対して12重量%〜22重量%の量で存在することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 重合体が、溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の重量に対して10重量%〜60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 重合体が、溶剤系クリアコート組成物中に、その溶剤系クリアコート組成物の重量に対して30重量%〜45重量%の量で存在することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 酸触媒が、酸無水物、酸性リン酸塩、モノスルホン酸、ジスルホン酸、およびアルコキシ酸からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 酸触媒の種類および量が、
A.溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して3重量%〜5重量%の量で存在する酸性リン酸フェニル、
B.溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して3重量%〜5重量%の量で存在するフェニル亜ホスホン酸、および
C.溶剤系クリアコート組成物中の固体の重量に対して1.5重量%〜3重量%の量で存在するスルホン酸、
からなる群から選択された1項に記載されていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。 - 水系ベースコート組成物に含まれる架橋剤がアミノプラスト樹脂およびイソシアネート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含むこと、を特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 遊離アミンが、ベースコート組成物の重量に対して0.1〜1.5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 遊離アミンが、ベースコート組成物の重量に対して0.3〜0.7重量%の量で存在することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 硬化を、未硬化のベースコート層および未硬化のクリアコート層を115℃(240°F)〜150℃(300°F)の温度、で、15〜40分間加熱することにより行うことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 硬化を、未硬化のベースコート層および未硬化のクリアコート層を130℃(265°F)〜150℃の温度で加熱することにより行うことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- 硬化を、15〜30分間加熱することにより行うことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- ベースコート組成物が、有機顔料およびメタリック顔料およびそれらの混合物から選択された顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも1種の顔料が不透明であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- 前記コーティングが自動車体パネルに塗布されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記自動車体パネルがその上にプライマーコーティングを有することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
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