JP4829416B2 - 水性着色ベース熱硬化型塗料とそれを使用した塗膜形成方法 - Google Patents

水性着色ベース熱硬化型塗料とそれを使用した塗膜形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車外板等の保護、美粧に有用な水性着色ベース熱硬化型塗料、及びそれを使用した塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、上塗り塗膜、特に自動車外板用上塗り塗膜において、着色ベース熱硬化型塗料(例えば、メタリックベースコート塗料)を塗布し、続いて未硬化のままでクリヤートップコートを塗装し同時に加熱硬化させる、いわゆる2コート1ベーク方式が主流を占めている。現在、これらに使用されているメタリックベース塗料として、アクリルもしくはポリエステルをメラミンで硬化させる有機溶剤系塗料が多く使用されており、このために塗装、及び焼き付け時に多量の有機溶剤を発生するために環境汚染や安全性の点から問題があり、有機溶剤含有量の少ない水性ベース塗料の開発が強く望まれている。
【0003】
水性着色ベース熱硬化型塗料として、例えば特公平3−14869号公報等には重合体微粒子を水性着色ベース熱硬化型塗料中に含有させることによって、メタリック粉末のフリップフロップ効果を最大限に発揮させ、仕上り外観がメタリック感に優れ、かつクリヤー塗膜の表面光沢が高い塗膜を形成する組成物が提案されている。しかしながら、該組成物は塗装条件、特に湿度の変化によりタレ、ムラ等の塗膜欠陥が生じやすいという欠陥があった。
【0004】
その問題を改良するために、塗料にチキソトロピー性を付与するために多くの提案がなされている。従来のチキソトロピー剤としては有機ベントナイト、シリカなどがある。しかしながら、これらを用いると特に低湿度の条件下において仕上がり塗膜の光沢が低下するという欠点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、2コート1ベークに使用されているアニオン型の水性着色ベース熱硬化型塗料中に、カチオン性重合体微粒子を含有することによって問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
1.水酸基価が1〜100mgKOH/g、酸価が1〜100mgKOH/gのアニオン性重合体微粒子(B)及び架橋剤(C)を含むアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)、及び水酸基価が5〜100mgKOH/gのカチオン性重合体微粒子(A)を含んでなる水性着色ベース熱硬化型塗料、
2.カチオン性重合体微粒子(A)が、水及びカチオン性乳化剤(a)の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて乳化重合して得られるものである1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料、
3.カチオン性重合体微粒子(A)が、水及び乳化剤の存在下で、アミノ基含有重合性不飽和単量体(b)を含む重合性不飽和単量体を用いて乳化重合して得られるものである1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料、
4.アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)が、アニオン性重合体微粒子(B)、架橋剤(C)を含有し、該アニオン性重合体微粒子(B)が、水及びアニオン性乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合してなる乳化重合体であって、且つ多段のうち最後の段階の乳化重合で、長鎖アルキル基含有重合性不飽和単量体(c)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(d)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(e)を共重合成分として含む乳化重合体である1項ないし3項のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料、
5.アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)が、アニオン性重合体微粒子(B)、架橋剤(C)を含有し、該アニオン性重合体微粒子(B)が、水及びアニオン性乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合して製造される乳化重合体であって、且つ多段のうち最後の段階の乳化重合で、環状飽和炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(f)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(g)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(h)を共重合成分として含む乳化重合体である1項ないし3項のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料、
6.さらに水溶性樹脂(D)を含む1項ないし5項のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料、
7.被塗装物に1項ないし6項のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料を塗装し、続いてクリアー熱硬化型塗料を塗装した後、これらの塗膜を加熱することにより両塗膜を硬化させる塗膜形成方法、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水性着色ベース熱硬化型塗料は、アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)とカチオン性重合体微粒子(A)を含んでなるものである。
【0007】
カチオン性重合体微粒子(A)
まず、カチオン性重合体微粒子(A)について説明する。本発明においてカチオン性重合体微粒子は、アニオン型水性熱硬化型樹脂に含まれるアニオン性基、例えばカルボキシル基に作用して、塗料の粘度を上昇せしめ、特にメタリック塗装塗膜における仕上り外観を向上させるために配合されるものである。
【0008】
上記カチオン性重合体微粒子(A)は、水、及び乳化剤の存在下で重合性不飽和単量体を乳化重合して得られる乳化重合体が好適に使用でき、後述の架橋剤(C)と架橋させるため、また仕上り外観、及び粒子の安定性向上のために水酸基を有するものが好ましい。カチオン性重合体微粒子(A)の水酸基価としては1〜200mgKOH/g、好ましくは5〜150mgKOH/g、好ましくは5〜100mgKOH/gの範囲が好適である。水酸基価が1mgKOH/g未満では、架橋が不充分であり、必要とする耐久性が得られない。また、塗装作業性に十分な効果が見られず良好な仕上がり外観が得られないこともあり、一方、200mgKOH/gを越えるとカチオン性重合体微粒子(A)の安定性が悪くなり、また、得られた塗膜の仕上り性が悪くなるので好ましくない。
【0009】
本発明においてカチオン性重合体微粒子(A)として、水及びカチオン性乳化剤(a)の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて乳化重合してなる乳化重合体(カチオン性重合体微粒子(A1)とする)が特に好適に使用できる。
【0010】
上記、カチオン性乳化剤(a)としては、例えば、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミンナトリウム塩、アルキルアミンクロライド、アルキルアミンブロマイド等が挙げられる。また、これらの化合物と不飽和基を一分子中に有するカチオン性反応性乳化剤も使用することができる。
【0011】
該カチオン性反応性乳化剤としては、例えば下記式
【0012】
【化1】
Figure 0004829416
【0013】
(式中、Rは置換基を有してもよい炭素数8〜22の炭化水素基を、RおよびRは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは水素原子またはメチル基を示し、X(-)は1価の陰イオンを示す。)で表わされるものが挙げられる。本発明においては、メタリック塗膜の仕上り性が良好なことから、特に上記式で表されるカチオン性反応性乳化剤のなかでもアルキルアミン酢酸塩の反応性乳化剤が好適に使用できる。また、本発明においては、カチオン性重合体微粒子(A1)の水中での安定性を向上させるために、カチオン性乳化剤の他にノニオン性乳化剤、両性イオン性乳化剤などの乳化剤を適宜選択して併用してもよい。
【0014】
上記ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
【0015】
両性イオン性乳化剤としては、ジメチルアルキルベダイン類、ジメチルアルキルラウリルベダイン類、アルキルグリシン類等が挙げられる。
【0016】
カチオン性乳化剤(a)とノニオン性乳化剤及び/または両性イオン性乳化剤の濃度としては、それらの固形分の合計量がカチオン性重合体微粒子(A1)の固形分に対して、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の範囲がよい。
【0017】
重合性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜24のモノアルコール類とのモノエステル類、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン、フェニルエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独、もしくは2種以上の適宜選択して使用することができる。
【0018】
本発明では、カチオン性重合体微粒子(A1)に1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和結合を有する多ビニル化合物を重合し、粒子内を架橋させてもよい。該多ビニル化合物としては具体的にはアリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0019】
また、カチオン性重合体微粒子(A)としては、水及び乳化剤の存在下で、アミノ基含有重合性不飽和単量体(b)を含む重合性不飽和単量体を用いて乳化重合してなる乳化重合体(カチオン性重合体微粒子(A2)とする)も好適に使用できる。アミノ基含有重合性不飽和単量体(b)としては例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等があげられる。また、カチオン性重合体微粒子(A1)の説明で列記した重合性不飽和単量体、及び多ビニル化合物を必要に応じて適宜選択し、併用して共重合してもよい。
【0020】
カチオン性重合体微粒子(A2)において、使用可能な乳化剤としては、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両性イオン性乳化剤が挙げられる。アニオン性乳化剤も使用できるが、重合安定性を保持するためにはアルキル硫酸ナトリウム系の乳化剤の使用が好ましい。
【0021】
アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)
本発明で使用されるアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)は、従来から公知の水性着色ベース塗料組成物に使用される、アニオン性基を有する樹脂であれば特に制限なく使用できる。特に本発明においては、アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)がアニオン性重合体微粒子(B)、架橋剤(C)を含む組成物が好適である。
【0022】
上記アニオン性重合体微粒子(B)は、水、及びアニオン性乳化剤の存在下で重合性不飽和単量体を乳化重合して得られる乳化重合体が好適に使用でき、水酸基価が1〜100mgKOH/g、好ましくは10〜80mgKOH/g、酸価が1〜100mgKOH/g、好ましくは10〜80mgKOH/gの範囲が好適である。水酸基価が1mgKOH/g未満ではエマルション安定性が悪くなり、また、架橋性が不十分となるので必要とする耐久性がえられない。一方、100mgKOH/gを超えると塗膜耐水性が悪くなるので好ましくない。また、酸価が1mgKOH/g未満では、中和後の微粒子に適度な粘度上昇が得られず充分な仕上がり感、特にメタリック感が得られず、一方100mgKOH/gを超えると中和後の粘度の上昇が顕著となり得られた塗料粘度があがりすぎて塗装作業性が困難となり好ましくない。
【0023】
該アニオン性乳化剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられる。またこれらアニオン性基とポリオキシエチレン、あるいはポリオキシプロピレン鎖等のノニオン性基を1分子中に有するノニオン性アニオン性乳化剤やこれらアニオン性基と重合性不飽和基を1分子中に有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。また、必要に応じて上記カチオン性重合体微粒子(A)の説明で列記したノニオン性乳化剤を適宜選択して併用してもよい。
【0024】
アニオン性重合体微粒子(B)における上記乳化剤の濃度としてはそれらの固形分の合計量が、アニオン性重合体微粒子(B)の固形分に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲がよい。
【0025】
本発明においては、アニオン性重合体微粒子(B)が、水及びアニオン性乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合してなる乳化重合体であって、且つ多段のうち最後の段階の乳化重合で、長鎖アルキル基含有重合性不飽和単量体(c)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(d)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(e)を共重合成分として含む乳化重合体(アニオン性重合体微粒子(B1)とする)が好適に使用できる。
【0026】
また、本発明においては、アニオン性重合体微粒子(B)が、水及びアニオン性乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合してなる乳化重合体であって、且つ多段のうち最後の段階の乳化重合で、環状飽和炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(f)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(g)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(h)を共重合成分として含む乳化重合体(アニオン性重合体微粒子(B2)とする)も同様に好適に使用できる。
【0027】
上記アニオン性重合体微粒子(B1)、及び(B2)は、まず内層成分を形成する単量体混合物を、アニオン性乳化剤の存在下で重合開始剤を使用して第1段階の乳化重合を行い共重合体水分散液を得た後、該水分散液中に、外層成分を形成する単量体混合物を重合開始剤を使用して第2段階以降の乳化重合を行い、複層構造粒子水分散液として得られるものである。第2段階以降の乳化重合時には、通常、乳化剤を添加しないか、あるいは添加したとしても新しい粒子を形成しない程度の量とすることが望ましい。
【0028】
アニオン性重合体微粒子(B1)、及び(B2)における第1段目の反応に用いる重合性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜24のモノアルコール類とのモノエステル類、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン、フェニルエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独、もしくは2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0029】
本発明では、重合安定性を向上させるため、及び高湿度条件下における塗膜の仕上り性を確保するために、該アニオン性重合体微粒子(B1)、及び(B2)の内層成分に1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和結合を有する多ビニル化合物を重合し、粒子の内層を架橋することが好適である。1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和結合を有する多ビニル化合物の具体例としては、カチオン性重合体微粒子(A)の項で列記したものが挙げられ、これらの中から適宜選択して使用できる。
【0030】
アニオン性重合体微粒子(B1)において、最外層成分を形成する重合性不飽和単量体は、長鎖アルキル基含有重合性不飽和単量体(c)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(d)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(e)を含む。
【0031】
長鎖アルキル基含有不飽和単量体(c)としては、分子中に平均1個の重合性不飽和基と分子末端にC以上、好ましくはC18以上の長鎖アルキル基を含有するエチレン性不飽和単量体が使用でき、具体的には2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が使用できる。また、以下の化学式(1)、(2)に示すようなポリオキシアルキレン基を含有する長鎖アルキル基含有重合性不飽和単量体も使用できる。
【0032】
【化2】
Figure 0004829416
【0033】
(nは1〜10の整数)
本発明においては、得られる塗膜の平滑性が特に良好なことから長鎖アルキル基含有不飽和単量体(c)として、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレートが好適に使用できる。
【0034】
ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(d)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートか2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートをラクトンと付加した付加生成物(ダイセル社製、商品名、プラクセルFA、及びFMシリーズ)等が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、併用しても良い。
【0035】
カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(e)としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でもメタクリル酸を使用すると、粘度発現が顕著であり、高湿度条件下での仕上り性が良好であるために特に好ましい。
【0036】
また、その他の重合性不飽和単量体として、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜24のモノアルコール類とのモノエステル類、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン等の重合性不飽和単量体を必要に応じて適宜選択して併用してもよい。
【0037】
上記、長鎖アルキル基含有重合性不飽和単量体(c)の含有量は、最外層成分で使用した全重合性不飽和単量体中に1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含有することが好適である。1重量%未満では、仕上り性、特に光沢感、平滑性が不十分であり、20重量%を超えると、後述のクリヤー熱硬化型塗料による塗膜との付着性やリコート付着性が不十分となり、好ましくない。
【0038】
アニオン性重合体微粒子(B2)において最外層成分を形成する重合性不飽和単量体は、環状飽和炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(f)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(g)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(h)を含む。
該環状飽和炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(f)としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(g)は、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(d)で例示した中から適宜選択して使用できる。カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(h)はカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(e)で例示したなかから適宜選択して使用できるが、特にメタクリル酸を使用すると、粘度発現が顕著であり、高湿度条件下での仕上り性が良好であるために好ましい。
【0039】
また、その他の重合性不飽和単量体として、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜24のモノアルコール類とのモノエステル類、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン等の重合性不飽和単量体を必要に応じて適宜選択して併用してもよい。
【0040】
環状飽和炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(f)の含有量は、最外層成分で使用した全重合性不飽和単量体中に1〜60重量%、好ましくは10〜40重量%含有することが好適である。1重量%未満では、塗膜の仕上り性、特に光沢感、平滑性が不十分であり、一方、60重量%を超えると、適度な粘度の発現が得られず十分な仕上り感、特にメタリック感が得られず好ましくない。
【0041】
上記アニオン性重合体微粒子(B1)、及び(B2)において最外層成分以外の内層成分と最外層成分の固形分重量比は、合成のし易さ、及び得られた塗膜の仕上がり外観の点から、例えば2段階の重合の場合、1段階目の成分と2段階目の成分の総合計量100重量%に対し、1段階目の成分が99〜20重量%、好ましくは90〜50重量%、2段階目の成分が1〜80重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲が好ましい。
【0042】
上記アニオン性重合体微粒子(B1)、及び(B2)は水及びアニオン性乳化剤の存在で重合開始剤の存在下で重合性不飽和単量体を乳化重合してなるものであるが、該重合開始剤の種類としては、過硫酸アンモニウム、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)などが挙げられ、開始剤濃度としては内層成分重合時には、内層成分に使用される全重合性不飽和単量体に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲がよい。最外層重合時には、最外層成分に使用される全重合性不飽和単量体に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%が好ましい。
【0043】
本発明においては、アニオン性重合体微粒子(B1)、及び(B2)の最外層成分重合時の開始剤の濃度が0.01重量%未満では重合率が低下し、一方、5重量%を超えると分子量が低下し、塗料粘度が低下して特にメタリック塗膜の仕上り性が不十分となり、好ましくない。
【0044】
架橋剤(C)
本発明で使用するアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)に含まれる架橋剤(C)としては、カチオン性重合体微粒子(A)及びアニオン性重合体微粒子(B)に含まれる水酸基等の活性水素と反応し、架橋構造を形成するものが好適であり、具体的にはブロックイソシアネート、アミノ樹脂などが使用される。中でもアミノ樹脂、特に、メラミン樹脂がタレ、ムラのない塗装仕上がり性及び耐久性に優れた塗膜が形成できることから、このものを用いることが望ましい。
【0045】
架橋剤(C)の配合割合は、カチオン性重合体微粒子(A)、及びアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)の樹脂固形分の合計100重量%に対して約5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲が望ましい。配合割合が約5重量%未満では塗膜性能が低下し、一方、配合割合が約70重量%を越えると塗料貯蔵安定性、塗膜性能が低下するので好ましくない。
【0046】
水溶性樹脂(D)
本発明で使用するアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)は、必要に応じて通常水性塗料の塗膜形成成分として使用される水溶性樹脂(D)を含んでいてもよい。このものとしては、樹脂中に含まれるカルボキシル基等のアニオン性基を中和して水溶化、または水分散してなる組成物が挙げられるが、例えば、水溶性アクリル樹脂、水溶性アルキド系樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0047】
上記水溶性樹脂(D)の配合量は、カチオン性重合体微粒子(A)、及びアニオン性重合体微粒子(B)の樹脂固形分の合計に対して1〜90重量%、好ましくは5〜60重量%が好適である。該水溶性樹脂の配合量が1重量%未満では塗膜の耐チッピング、リコート性が低下するので好ましくなく、一方、90重量%を上回ると塗装時にタレを生じやすいので好ましくない。
【0048】
中和アミン(D)
上記で得られたアニオン水性熱硬化型樹脂組成物(I)に含まれるアニオン性基は中和アミン(D)によって中和される。中和アミン(D)としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質;アンモニア水、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2メチル−1−プロパノール等が挙げられる。中和方法、順番としては、特に制限がないが、アニオン性重合体微粒子(B)を製造してからこれを部分的に中和を行い、その後これに架橋剤(C)や水溶性樹脂(D)を混合してから再度中和を行う方法が挙げられる。
【0049】
中和アミン(D)の中和当量としては、カチオン性重合体微粒子(A)、アニオン性重合体微粒子(B)、水溶性樹脂(D)に含まれるカルボキシル基等のアニオン性基の合計に対し0.3〜1.5当量程度が好適である。0.3当量未満では仕上がり性が低下し、1.5当量を越えると塗膜の耐水性が悪くなり好ましくない。
【0050】
本発明における水性着色ベース熱硬化型塗料は、上記で得られたカチオン性重合体微粒子(A)、及びアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)を含有し、さらに顔料ペーストを含むものである。
【0051】
本発明で使用する顔料としては、金属フレーク粉末(例えばアルミニウム粉末、青銅粉)、着色マイカ粉末、着色剤(例えば二酸化チタン、カーボンブラックなどの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンなどの有機顔料)が挙げられる。これらは必要に応じて適宜選択し使用できる。
【0052】
本発明組成物においては、さらに必要に応じて粘度調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の塗料用添加物や有機溶剤を配合してもよい。
【0053】
本発明は、被塗物に本発明の水性着色ベース熱硬化型塗料を塗装し、該塗面上にクリヤー熱硬化型塗料組成物を塗装した後、両塗膜を加熱により同時に硬化させてなる塗膜形成方法も提供するものである。
【0054】
被塗物としては、例えば金属又はプラスチックなどの素材に表面処理を施したもの又は未処理のもの又はこれらの素材にプライマー(電着塗料など)及び中塗り塗装を施したものが使用できる。
塗装方法としては、エアースプレーガン、エアレススプレーガン、エアースプレー方式静電塗装機、エアレススプレー方式静電塗装機、回転霧化式静電塗装機等を使用することができる。
【0055】
塗膜形成方法としては、水性着色ベース熱硬化型塗料を、10〜50μm程度の乾燥塗膜になるように塗装し、必要に応じてセッティングを行った後、次いで風乾又は温風乾燥などにより揮発成分が25重量%以下程度になるまでに乾燥させ、ついで該塗面上にクリヤー熱硬化型塗料を乾燥膜厚15〜70μm程度になるように塗り重ね、必要に応じてセッティングを行った後、120〜160℃程度で15〜30分程度加熱して両塗膜を硬化させる方法が挙げられる。
【0056】
上記で用いられるクリヤー熱硬化型塗料組成物としては、従来から公知の熱硬化型のクリヤー塗料組成物が使用でき、具体的には、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂系などの基体樹脂に、アミノ樹脂、メラミン樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、ポリカルボン酸、無水酸、反応性シラン化合物等の硬化剤を、基体樹脂が含有する反応性官能基と適宜組み合わせてなる塗料組成物が使用できる。
【0057】
また、クリアー熱硬化型塗料としては、環境問題、省資源の観点からは、有機溶剤の使用量の少ないハイソリッド型のものが望ましく、更に粉体塗料を用いることもできる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例を挙げて詳細に説明する。製造例及び実施例中の「部」及び「%」は重量基準である。
【0059】
カチオン性重合体微粒子(A)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水131.1部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、90℃に昇温した。次いで「VA−086」(注1)の2.4%水溶液14.2部を反応容器内に導入し、攪拌して15分間90℃で保持した。その後、下記の組成のモノマー乳化物▲1▼の1%分を反応容器内に導入し、20分間90℃で保持した。その後、モノマー乳化物▲1▼の残りに「VA−086」(注1)の2.4%水溶液を14.2部加え、これを5時間かけて定量ポンプで反応容器内に滴下した。滴下終了後、2時間熟成を行い、50℃まで冷却し、「KP−152K」(注2)2.5部と 脱イオン水8.8部を反応容器に加えた後100メッシュのナイロンクロスでろ過、排出し、平均粒子径0.1μm、不揮発分29.7重量%、pH5.12、水酸基価48.4mgKOH/gのカチオン性重合体微粒子(A−1)を得た。
【0060】
モノマー乳化物▲1▼
脱イオン水 43部
スチレン 45部
n−ブチルアクリレート 41部
ヒドロキシルエチルアクリレート 10部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 4部
「ラテムルK−180AC」(注3) 2部
「KP−152K」(注2) 2.5部
注1)「VA−086」;和光純薬工業株式会社製、商品名、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピルアミド}
注2)「KP−152K」;第1工業製薬社製、商品名、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、有効成分80%
注3)「ラテムルK−180AC」;花王株式会社製、商品名、アルキルアミン酢酸塩系のカチオン性反応性乳化剤、有効成分100%。
【0061】
製造例2
使用するモノマー乳化物を下記モノマー乳化物▲2▼とする以外は製造例1と同様にして、平均粒子径0.1μm、不揮発分29.9重量%、pH5.2、水酸基価19.3mgKOH/gのカチオン性重合体微粒子(A−2)を得た。
モノマー乳化物▲2▼
脱イオン水 43部
スチレン 35部
「KBM−503」(注4) 20部
n−ブチルアクリレート 37部
ヒドロキシルエチルアクリレート 4部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 4部
「ラテムルK−180AC」(注3) 2部
「KP−152K」(注2) 2.5部
注4)「KBM−503」;信越シリコーン株式会社製、商品名、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン。
【0062】
製造例3
使用するモノマー乳化物を下記モノマー乳化物▲3▼とする以外は製造例1と同様にして、平均粒子径0.1μm、不揮発分29.5重量%、水酸基価19.3mgKOH/gのカチオン性重合体微粒子(A−3)を得た。
モノマー乳化物▲3▼
脱イオン水 43部
スチレン 45部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 10部
n−ブチルアクリレート 31部
ヒドロキシルエチルアクリレート 4部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 10部
「NEWCOL562SN」(注5) 2部
「KP−152K」(注2) 2.5部
注5)「Newcol562SN」;日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレンアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、有効成分60%。
【0063】
アニオン性重合体微粒子(B−1)の製造
製造例4
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水144.5部、「Newcol 562SF」(注6)1.2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物▲4▼のうちの1%と3%過硫酸アンモニウム水溶液5.2部とを反応容器内に導入し15分間80℃で保持した。その後、残りのモノマー乳化物▲4▼を3時間かけて定量ポンプで反応器内に滴下し、滴下終了後1時間、熟成を行った。
【0064】
その後、下記のモノマー乳化物▲5▼を2時間かけて滴下し、0.5時間熟成した後、1.5%ジメチルエタノールアミン水溶液89部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスでろ過、排出し、平均粒子径0.1μm、不揮発分25.2%、酸価30.7mgKOH/g、水酸基価22.1mgKOH/gのアニオン性重合体微粒子(B−1)を得た。
【0065】
モノマー乳化物▲4▼
脱イオン水 94.3部
メチルメタクリレート 17部
n−ブチルアクリレート 80部
アリルメタクリレート 3部
「Newcol562SF」(注6) 1.2部
モノマー乳化物▲5▼
脱イオン水 39部
メチルメタクリレート 15.4部
ヒドロキシルエチルアクリレート 5.9部
メタクリル酸 5.1部
ステアリルアクリレート 2.94部。
「Newcol562SF」(注6) 0.52部
注6)「Newcol 562SF」;日本乳化剤株式会社製、商品名、ポリオキシエチレンアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、有効成分60%。
【0066】
製造例5
使用するモノマー乳化物を下記モノマー乳化物とする以外は製造例4と同様にして、平均粒子径0.11μm、不揮発分25.0%、酸価35.5mgKOH/g、水酸基価22.1mgKOH/gのアニオン性重合体微粒子(B−2)を得た。
モノマー乳化物▲6▼
脱イオン水 94.3部
メチルメタクリレート 17部
n−ブチルアクリレート 80部
アリルメタクリレート 3部
「Newcol562SF」(注6) 1.2部
モノマー乳化物▲7▼
脱イオン水 39部
メチルメタクリレート 8.8部
ヒドロキシルエチルアクリレート 5.9部
メタクリル酸 5.9部
イソボルニルアクリレート 8.8部
「Newcol562SF」(注6) 0.52部。
【0067】
製造例6
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水70部、「Newcol707SF」(注7)2.5部を仕込み窒素気流中で60℃まで昇温し、3%過硫酸アンモニウム水溶液3部を反応容器に加えた。次いで、80℃に温度を上昇せしめた後、下記のモノマー乳化物▲6▼を4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に滴下した。滴下終了後1時間熟成を行い、温度を80℃に保持し、さらに、下記のモノマー乳化物▲7▼に3%過硫酸アンモニウムを4部加え、これを1.5時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に滴下した。滴下終了後1時間熟成を行い、30℃に冷却し200メッシュのナイロンクロスでろ過、排出した。このものに、脱イオン水とジメチルエタノールアミンでpH、不揮発分を調整し、pH7.5、平均粒径0.1μm、不揮発分40%のアニオン性重合体微粒子(B−3)を得た。
注7)「Newcol707SF」;日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレンアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、有効成分30%
モノマー乳化物▲8▼
脱イオン水 42部
メチルメタクリレート 55部
スチレン 10部
n−ブチルアクリレート 9部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 1部
「Newcol707SF」(注7) 2.5部
モノマー乳化物▲9▼
脱イオン水 30部
メチルメタクリレート 5部
n−ブチルアクリレート 7部
2−エチルヘキシルアクリレート 5部
メタクリル酸 3部
「Newcol 707SF」(注7) 0.5部。
【0068】
水溶性樹脂(D)の製造
製造例7
反応容器にジエチレングリコールブチルエーテルを35部を仕込み、窒素気流中で115℃に昇温した。115℃に達した後、下記のモノマー混合物を3時間かけて反応容器に滴下し、さらに2時間熟成を行った。反応終了後、ジメチルエタノールアミンで当量中和し、さらにブチルセロソルブを25部加えて酸価47.mgKOH/g、ガードナー粘度Z4、固形分57%のアクリル系水溶性樹脂(D−1)を得た。
モノマー混合物
スチレン 30部
n−ブチルメタクリレート 30部
2−エチルヘキシルアクリレート 21部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 13部
アクリル酸 6部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
ブチルセロソルブ 15部。
【0069】
アルミニウムペーストの製造
製造例8
アルミニウム顔料ペースト「MG−51」(注8)17部とブチルセロソルブ20部を容器に配合し、攪拌混合することによってアルミニウムペーストを得た。
(注8)「MG−51」;旭化成株式会社製、商品名、金属含有量66.3%。
【0070】
実施例1
容器に「SETAL6306」(注9)を25部、「サイメル325」(注10)を33.3部を仕込みディスパーで撹拌し、これにアニオン性重合体微粒子(B−1)を160部加え攪拌し、アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物を得た。ついで、該組成物に製造例1で得たカチオン性重合体微粒子(A−1)50部を滴下し、添加したところ、徐々に粘度が上昇した。その後、ジメチルエタノールアミンでpHを8.5に調整し、脱イオン水233.4部、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル5部を加えたのち、アルミニウムペーストを13.3部を混合し、水性着色ベース塗料(T−1)を得た。その時の粘度は、25℃でB型粘度計NO3ローター回転速度6rpmの条件で2285mPa・sであった。
注9)「SETAL6306」;アクゾ社製、商品名、水溶性ポリエステル樹脂、固形分60%
注10)「サイメル325」;三井サイアナミド株式会社製、商品名、メラミン架橋剤、固形分90%。
【0071】
実施例2
実施例1において配合する組成を下記表1とする以外は実施例1と同様の操作を行い、水性着色ベース熱硬化型塗料(T−2)〜(T−9)を得た。尚、表中の数字は固形分を表す。
【0072】
【表1】
Figure 0004829416
【0073】
塗装
実施例8〜13、及び比較例4〜7
冷延ダル鋼板にりん酸亜鉛処理で化成処理した「パルボンド#3020」(日本パーカライジング社製、商品名)にアミン変性エポキシ樹脂カチオン電着を乾燥膜厚が25μmになるように塗装し、170℃で30分間加熱硬化させた。そののち「ルーガベークAM」(商品名、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂/メラミン樹脂系自動車用中塗り塗料)を乾燥膜厚が30μmになるように塗装し、140℃で30分間焼き付け、これを被塗物とした。
塗装時のブース環境は、25℃、相対湿度40%の低湿度条件下の場合と25℃、相対湿度85%の場合の高湿度条件下の2通りにて行った。
各ブース環境にて上記被塗物に、上記で得られた各水性着色ベース熱硬化型塗料(T−1)〜(T−9)をエアースプレー塗装により乾燥膜厚が8〜20μmとなるように塗装した。次に、80℃、10分でプレヒートを行い、各塗面上に続けて「マジクロンHK−4」(関西ペイント社製、商品名 、アクリルメラミン系有機溶剤型クリヤートップコート用塗料)を乾燥膜厚が30〜50μとなるように塗装した。次いで、各ブース環境下にて10分間放置してセッティングを行ったのち、熱風電気乾燥機を用いて140℃、30分間焼き付けを行い、各塗板を得、下記項目の評価を行った。
【0074】
試験方法
タレ抵抗性:
各条件での塗装時における塗膜のタレ性を調べた。
〇は異常無し、△は若干認められる、×は著しく認められる。
メタリック感:
各塗板を正面からみたメタルのキラリ感、及び白さを目視により評価した。
〇はキラリ感があり白い 、△はキラリ感がなく白さに劣る、×はキラリ感が及び白さが全くない。
リコート付着性:
実施例8〜13及び比較例4〜7で得られた塗板にこれと同様の組み合わせの各着色ベ−ス塗料及びクリヤ−塗料を塗り重ね、120℃×30分間焼付けて塗膜を得た。得られた塗膜にカッタ−ナイフでクロスカットを入れその塗面にセロハンテープを貼着しそれを急激に剥し1回目と2回目の塗膜間(クリヤ−塗膜/ベ−ス塗膜)での付着性を評価した。○全く剥離が認められない、△わずかに剥離が認められる、×著しい剥離が認められる。
【0075】
【表2】
Figure 0004829416
【0076】
【表3】
Figure 0004829416
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば高湿度条件下で塗装してもタレず、低湿度条件下で塗装しても塗膜表面に平滑感のある仕上り性の良好な水性着色ベース塗料が得られる。とくにメタリック顔料を使用した場合において、アニオン性の樹脂組成物にカチオン性の重合体微粒子を添加することにより粘度が発現し、これにより塗膜中でのメタリック顔料の配向が制御され、メタリック感、平滑性が共に良好な塗膜が得られる。

Claims (7)

  1. 水酸基価が1〜100mgKOH/g、酸価が1〜100mgKOH/gのアニオン性重合体微粒子(B)及び架橋剤(C)を含むアニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)、及び水酸基価が5〜100mgKOH/gのカチオン性重合体微粒子(A)を含んでなる水性着色ベース熱硬化型塗料。
  2. カチオン性重合体微粒子(A)が、水及びカチオン性乳化剤(a)の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて乳化重合して得られるものである請求項1記載の水性着色ベース熱硬化型塗料。
  3. カチオン性重合体微粒子(A)が、水及び乳化剤の存在下で、アミノ基含有重合性不飽和単量体(b)を含む重合性不飽和単量体を用いて乳化重合して得られるものである請求項1記載の水性着色ベース熱硬化型塗料。
  4. アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)が、アニオン性重合体微粒子(B)、架橋剤(C)を含有し、該アニオン性重合体微粒子(B)が、水及びアニオン性乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合してなる乳化重合体であって、且つ多段のうち最後の段階の乳化重合で、長鎖アルキル基含有重合性不飽和単量体(c)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(d)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(e)を共重合成分として含む乳化重合体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料。
  5. アニオン型水性熱硬化型樹脂組成物(I)が、アニオン性重合体微粒子(B)、架橋剤(C)を含有し、該アニオン性重合体微粒子(B)が、水及びアニオン性乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合して製造される乳化重合体であって、且つ多段のうち最後の段階の乳化重合で、環状飽和炭化水素基を有する重合性不飽和単量体(f)、ヒドロキシル基含有重合性不飽和単量体(g)、及びカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(h)を共重合成分として含む乳化重合体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料。
  6. さらに水溶性樹脂(D)を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料。
  7. 被塗装物に請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性着色ベース熱硬化型塗料を塗装し、続いてクリアー熱硬化型塗料を塗装した後、これらの塗膜を加熱することにより両塗膜を硬化させる塗膜形成方法。
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