JP4807143B2 - 化粧部材、車両用内装材及び化粧部材の製造方法 - Google Patents
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そこで最近では、合成樹脂の射出成形時に、合成樹脂に発泡剤を添加し、発泡させながら射出成形を行うことにより、木質化粧材に対して発泡樹脂をインサート成形する方法が提案されている。この発泡成形法によれば、成形後の樹脂の体積収縮が小さくなって化粧部材における反りの発生が抑制され、また合成樹脂の使用量が低減されて材料コストの面で有利になり、化粧部材の軽量化も図られる。
本発明の化粧部材は、木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形されたガラス繊維を含有するABS樹脂からなる発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の化粧部材は、木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形されたガラス繊維を含有するABS樹脂からなる発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下であることを特徴とする。
次に、本発明の車両用内装材は、先に記載の化粧部材からなることを特徴とする。
次に、本発明の化粧部材の製造方法は、先に記載の化粧部材の製造方法であって、溶融樹脂に発泡剤となる超臨界流体を拡散混合してから、前記木質化粧材に射出成形することにより、前記発泡樹脂体とすることを特徴とする。
また、発泡樹脂体とは、発泡成形された樹脂体であれば良く、特に独立気泡を有するものが好ましい。更に発泡樹脂体は、木質化粧材の化粧面以外の部分に射出成形されていることが好ましい。
また、上記の製造方法における超臨界流体としては、例えば水や二酸化炭素を用いることが好ましい。
また、発泡樹脂体の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下の場合にも、発泡樹脂体の弾性率を高めることが可能となり、化粧部材の強度並びに剛性が高められ、これにより反りが少なくなる。
尚、これらの図は本実施形態に係る化粧部材等の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の化粧部材等の寸法関係とは異なる場合がある。
図1及び図2に示すように、本実施形態の化粧部材1は、木質化粧材2と、木質化粧材2に対して射出成形された発泡樹脂体3とから概略構成されている。この化粧部材1は後述するように、木質化粧材2を射出成形金型内に配置し、次いで発泡剤を含む溶融樹脂をインサート成形して発泡樹脂体3とすることで、発泡樹脂体3と木質化粧材2とを一体化させることにより得られる。
また、金属薄板2dには、耐食性、接着性を向上させるために、必要に応じて表面に化成被膜処理や酸化皮膜処理を施してもよい。
更に、金属薄板2dに代えて、不織布、繊維、織物、プリプレグを用いてもよい。
発泡倍率及び平均気泡径の好ましい範囲は、発泡倍率が1.5以下のときには平均気泡径が100μm以下であることが好ましい。また、発泡倍率が1.2以下のときには平均気泡径が200μm以下であってもよい。発泡倍率及び平均気泡径がこの範囲から外れると、化粧部材1の機械的強度及び剛性並びに弾性率保持率が大幅に低下し、反りが大きくなるので好ましくない。
尚、塗装膜4は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
次に、上記の化粧部材の製造方法について図面を参照して説明する。図5は本実施形態の化粧部材の製造方法を説明する工程図であり、図6は化粧部材の製造方法における射出成形工程を説明する工程図である。
まず、木質化粧材2を形成する工程では、図5Aに示すように、表木材板2b、接着層2e、金属薄板2d、接着層2e及び裏木材板2cを順次重ね合わせる。
次に図5Bに示すように、熱プレスによって表木材板2b、接着層2e、金属薄板2d、接着層2e及び裏木材板2cを一体化すると共に、両端部分を湾曲させて湾曲部2fを形成する。このようにして木質化粧材2を製造する。
そして図5Dに示すように、木質化粧材2の表木材板2b側に、表面塗装を施し、塗装膜4を形成する。このようにして化粧部材1が得られる。
また、発泡剤としては、溶融樹脂に対して超臨界状態で拡散混合できるものが好ましく、具体的には水または二酸化炭素が好ましく、特に二酸化炭素が好ましい。
更に、発泡剤として二酸化炭素を用いる場合には、二酸化炭素を超臨界状態にすべく、二酸化炭素の温度を31℃以上とし、二酸化炭素の圧力を7.5MPa以上とする条件で、二酸化炭素を溶融樹脂に拡散混合させることが好ましい。また、射出成形機内部における溶融樹脂については、二酸化炭素が超臨界状態を保持できる温度及び圧力以上にすることが好ましい。
図7に示す射出成形機31は、可塑化部32と、該可塑化部32の先端部に連絡されている攪拌部33と、該攪拌部33に発泡剤としての二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給装置(発泡剤供給装置)40を備えるものである。
また、可塑化スクリュ37の先端側には、攪拌−可塑逆流防止機構(第一の逆流防止機構)63が設けられている。攪拌−可塑逆流防止機構63は、攪拌部33から可塑化部32へと溶融樹脂および二酸化炭素が逆流するのを防止する機構である。
攪拌部加熱筒35bの内部には、軸線方向に向けた軸穴(攪拌空間)30が設けられ、該攪拌空間30に軸線回りに回転自在に、かつ軸線方向に移動自在に攪拌スクリュ57が挿入されている。また、攪拌部加熱筒35bの先端には、シャットオフノズル(射出ノズル)38が着脱可能に連結されている。
また、攪拌空間30に連通するシャットオフノズル38のノズル空間38aは、貯留部70となっており、攪拌空間30と可塑化部加熱筒35aの可塑化空間36とは、可塑化部加熱筒35aの先端と攪拌部加熱筒35bの中間部との間に設けた接続金具56aの内部の連通路56により連通されている。
ガス管43の昇圧ポンプ42の下流には、昇圧ポンプ42により昇圧された二酸化炭素の圧力を検知して表示する表示部44が配設されており、表示部44の下流側にはガス管43の開閉操作を行う開閉弁45が設けられている。開閉弁45および昇圧ポンプ42には、これらの作動を制御するガス供給制御部46が接続されている。
スクリュ回転駆動機構75は、攪拌スクリュ57を回転させるものであって、サーボモータ100と、該サーボモータ100の出力軸に固定して取り付けられた駆動プーリ101と、該駆動プーリ101からタイミングベルト102を介して駆動力が伝達される従動プーリ103とを備えており、この従動プーリ103は攪拌スクリュ57に一体的に連結されている。
固定盤88は、攪拌部加熱筒35bの射出方向、後方端部に固定されており、その中心には、攪拌スクリュ57が貫通する孔90が形成されている。また、固定盤88には、一定間隔を隔てて他の固定盤89が対向配置されており、これら固定盤88,89の間には、攪拌部加熱筒35bの軸線方向(射出方向)に平行に懸架されたガイド軸91が複数本配設されており、ガイド軸91には、移動盤87が前記軸線方向に移動自在に支持されている。
ボールネジ軸86は、一端側が従動プーリ85に一体的に連結されると共に、固定盤89に対して回転自在に、かつ射出方向の移動不能に取り付けられており、その外周にはボールネジが形成されている。移動盤87には、ボールネジ軸86のボールネジの他端側に螺合するボールナット(図示せず)が固定して設けられると共に、スクリュ回転駆動機構75が該移動盤87の移動に追従するように配置されている。
スクリュ制御装置77は、モータ制御部98およびモータ制御部99を制御して、即ち、可塑化スクリュ駆動機構28および攪拌スクリュ駆動機構29を制御して、計量による攪拌スクリュ57の後退完了後においても該攪拌スクリュ57および可塑化スクリュ37の回転を継続させるものであって、圧力センサ92(圧力検知具)とスクリュ制御部93とを備えるものである。
圧力センサ92は、射出ノズル38に取り付けられ、貯留部70内の発泡剤溶解樹脂の圧力を検知するものであって、検知した結果を常時スクリュ制御部93へ送信するように該スクリュ制御部93に接続されている。スクリュ制御部93は、圧力センサ92の検知した結果に基づいて、貯留部70内の発泡剤溶解樹脂の圧力を一定に維持するようにモータ制御部98,99、即ちサーボモータ78,82,100を制御するものである。
可塑化スクリュ37の回転により、ホッパー5内の樹脂ペレットは、可塑化スクリュ37に形成された螺旋溝66に供給された後、螺旋に沿って射出方向に移送される。この移送の過程においては、樹脂は、バンドヒータ34に与えられる熱および可塑化スクリュ37で混練される際のせん断による内部発熱により溶融状態になり該可塑化スクリュ37の先端に到達する。
そして、移動盤87の射出方向後方側への後退により、攪拌スクリュ57も同方向に移動する。このとき、攪拌スクリュ57には、移送される溶融樹脂の反力により後退する側へ押圧されるが、スクリュ移動駆動機構76により後退駆動が制御されて、上記樹脂に対して一定の圧力を与えた状態で、即ち背圧をかけた状態で後退する。
一方、可塑化スクリュ37の回転による攪拌空間30への溶融樹脂の供給により、攪拌空間30内の溶融樹脂の圧力が上昇し、これによりヘッド−攪拌逆流防止機構69が作動して、攪拌空間30と貯留部70とが連通される。これにより発泡剤溶解樹脂は貯留部70へ到達することができる。
貯留部70へ到達した発泡剤溶解樹脂は、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを閉じているため、貯留部70に貯留された状態でノズルヒータ39に加熱される。このときの発泡剤溶解樹脂の温度及び圧力は、発泡剤である二酸化炭素が超臨界状態を維持できる条件に設定することが好ましい。
射出工程が開始されると、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを開くと同時に、サーボモータ82が上記計量による後退時と逆方向に作動して、その回転が駆動プーリ83からタイミングベルト84を介して従動プーリ85に伝達される。これにより、後退時と同様の作用により攪拌スクリュ57が射出方向前方に移動して、攪拌スクリュ57の先端部に設けられたスクリュヘッド58が貯留部70の発泡剤溶解樹脂を押圧する。
射出工程が完了すると、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを閉じて、金型5cにおいては、冷却工程に移行し、射出成形機31においては、再び樹脂供給工程に移行して計量が開始される。かくして、発泡成形の一工程が完了する。
また、発泡樹脂体3の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下の場合にも、発泡樹脂体3の弾性率を高めることが可能となり、化粧部材1の強度並びに剛性が高められ、反りを少なくできる。
また、上記の発泡倍率及び平均気泡径を有する発泡樹脂体3を備えることで、化粧部材1の弾性率保持率を0.7以上にすることができ、化粧部材1の剛性を高めることができる。
(実施例1)
表木材板及び裏木材板として厚さ0.2mmのメープル単板を用意し、接着層として厚さ0.1mmのフェノール樹脂含浸紙を用意し、金属薄板として厚さ0.1mmのアルミニウム板を用意した。そして、裏木材単板、接着層、金属薄板、接着層、表木材板の順に重ね合わせ、150℃、1MPaの条件で熱プレス成形することにより、横220mm、縦80mm、厚み0.7mmの木質化粧部材を製造した。
次に、合成樹脂としてガラス繊維が20質量%含有されたABS樹脂を用意し、このABS樹脂を180℃に加熱して溶融樹脂とし、この溶融樹脂に対して温度180℃、圧力20MPaの状態の二酸化炭素を拡散混合させた。そして、射出成形金型内に木質化粧材を設置し、射出成形金型のキャビティ内に、二酸化炭素が混合された溶融樹脂を温度180℃で射出し、成形と同時に発泡させた。このようにして、質化粧部材の裏木材板側に発泡樹脂体を形成することにより、実施例1の化粧部材を製造した。化粧部材は全部で30個製造した。各化粧部材の外形寸法は、横220mm、縦80mm、厚み15mmであった。
また、各化粧部材の発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
二酸化炭素の圧力を30MPaとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例2の化粧部材を30個製造した。
そして、実施例1と同様にして、実施例2の化粧部材について、反り量、標準偏差、平均質量、曲げ弾性率を測定するとともに、発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
ガラス繊維が20質量%含有されたABS樹脂からなるペレットを用意し、このペレットをブタンガス(発泡剤)と共にオートクレーブ内に導入して、ABS樹脂にブタンを含浸させてブタン含浸樹脂とした。
次いで、射出成形金型内に木質化粧材を設置し、射出成形金型のキャビティ内に射出成形機によってブタン含浸樹脂を温度180℃で射出し、成形と同時に発泡させた。このようにして、比較例1の化粧部材を30個製造した。
そして、実施例1と同様にして、比較例1の化粧部材について、反り量、標準偏差、平均質量、曲げ弾性率を測定するとともに、発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
発泡剤である二酸化炭素を溶融樹脂に拡散混合させなかったこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例2の化粧部材を30個製造した。
そして、実施例1と同様にして、比較例2の化粧部材について、反り量、標準偏差、平均質量、曲げ弾性率を測定するとともに、発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
また、実施例1〜2の化粧部材は、射出成形時に発泡剤を添加しなかった比較例2と比べて、平均重量が25g程度小さくなっており、軽量化されていることがわかる。また、この25gの差は、ABS樹脂の使用量の差でもあり、このことから実施例1〜2ではABS樹脂の使用量が低減され、材料コストが約33%程度低減できていることがわかる。
更に、実施例1及び2の化粧部材は、比較例1と比べて、平均気泡径が小さく、これにより曲げ弾性率が大きくなり、より剛性に優れていることがわかる。
溶融樹脂に対する二酸化炭素の混合率を変更することにより、発泡倍率を1〜1.69倍としたこと以外は上記実施例1と同様にして、発泡倍率が1〜1.69倍であり、平均気泡径が100μmである発泡樹脂体を備えた化粧部材を製造した。
また、表2及び図8に示すように、弾性率保持率を0.7以上にするには、平均気泡径100μmでは発泡倍率を1.5以下にする必要があり、平均気泡径200μmでは発泡倍率を1.2以下にする必要があることがわかる。
Claims (4)
- 木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形されたガラス繊維を含有するABS樹脂からなる発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする化粧部材。
- 木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形されたガラス繊維を含有するABS樹脂からなる発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下であることを特徴とする化粧部材。
- 請求項1または請求項2に記載の化粧部材からなることを特徴とする車両用内装材。
- 請求項1または請求項2に記載の化粧部材の製造方法であって、
溶融樹脂に発泡剤となる超臨界流体を拡散混合してから、前記木質化粧材に射出成形することにより、前記発泡樹脂体とすることを特徴とする化粧部材の製造方法。
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