JP2007313841A - 化粧部材、車両用内装材及び化粧部材の製造方法 - Google Patents

化粧部材、車両用内装材及び化粧部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度並びに剛性に優れた化粧部材を提供する。
【解決手段】木質化粧材2と、木質化粧材2に対して射出成形された発泡樹脂体3とからなり、発泡樹脂体3の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする化粧部材1を採用する。
【選択図】図2

Description

本発明は、化粧部材、車両用内装材及び化粧部材の製造方法に関する。
従来、自動車の内装部品、家具、電気機器などに、木目柄を有する化粧部材が広く使用されている。こうした化粧部材を製造するには、突板と呼ばれる木材の薄片、木材単板、合板、不織布等で裏打ちされた単板等の木質化粧材を射出成形金型内に配置し、合成樹脂を射出成形してインサート成形したり(例えば特許文献1)、あるいは合成樹脂成形体を表面にサンディング、塩素化処理等によって表面処理を施し、接着性を向上させた後、接着剤を塗布して、木質化粧材を圧着する方法などが採用されている。
ところで、特許文献1に記載の製造方法によれば、射出成形後の冷却固化時に合成樹脂の体積収縮が生じる一方、木質化粧材は体積収縮しないため、化粧部材において反りが発生し、化粧部材の外形寸法が安定しない等の問題があった。
そこで最近では、合成樹脂の射出成形時に、合成樹脂に発泡剤を添加し、発泡させながら射出成形を行うことにより、木質化粧材に対して発泡樹脂をインサート成形する方法が提案されている。この発泡成形法によれば、成形後の樹脂の体積収縮が小さくなって化粧部材における反りの発生が抑制され、また合成樹脂の使用量が低減されて材料コストの面で有利になり、化粧部材の軽量化も図られる。
特公平5−58890号公報
しかし、発泡樹脂の平均気孔径が大きくなると、発泡樹脂の弾性率が低下し、これにより化粧部材の強度や剛性が大幅に低下するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、反りが少なく、強度並びに剛性に優れた化粧部材、車両用内装材及び化粧部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の化粧部材は、木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形された発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の化粧部材は、木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形された発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下であることを特徴とする。
次に、本発明の車両用内装材は、先のいずれかに記載の化粧部材からなることを特徴とする。
次に、本発明の化粧部材の製造方法は、先のいずれかに記載の化粧部材の製造方法であって、溶融樹脂に発泡剤となる超臨界流体を拡散混合してから、前記木質化粧材に射出成形することにより、前記発泡樹脂体とすることを特徴とする。
ここで木質化粧材とは、木目柄からなる化粧面を有し、かつ、全部または一部が木質系材料からなるものを例示できる。また、木質系材料としては、木材単板材、木材合板材等を例示できる。
また、発泡樹脂体とは、発泡成形された樹脂体であれば良く、特に独立気泡を有するものが好ましい。更に発泡樹脂体は、木質化粧材の化粧面以外の部分に射出成形されていることが好ましい。
また、上記の製造方法における超臨界流体としては、例えば水や二酸化炭素を用いることが好ましい。
上記の化粧部材によれば、木質化粧材に対して射出成形された発泡樹脂体の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下なので、発泡樹脂体の弾性率を高めることが可能となり、化粧部材の強度並びに剛性が高められ、これにより反りが少なくなる。
また、発泡樹脂体の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下の場合にも、発泡樹脂体の弾性率を高めることが可能となり、化粧部材の強度並びに剛性が高められ、これにより反りが少なくなる。
また、上記の化粧部材の製造方法によれば、溶融樹脂に発泡剤となる超臨界流体を拡散混合してから木質化粧材に射出成形するので、発泡樹脂体の平均気孔径を小さくすることが可能となり、これにより反りが少なく、強度及び剛性に優れた化粧部材を製造できる。
本発明によれば、反りが少なく、強度並びに剛性に優れた化粧部材及び車両用内装材並びに化粧部材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態である化粧部材の一例を示す平面模式図であり、図2は図1のA−A’線に対応する断面模式図であり、図3は図2の一部を拡大した断面模式図であり、図4は化粧部材に備えられた発泡樹脂体を示す模式図である。
尚、これらの図は本実施形態に係る化粧部材等の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の化粧部材等の寸法関係とは異なる場合がある。
「化粧部材」
図1及び図2に示すように、本実施形態の化粧部材1は、木質化粧材2と、木質化粧材2に対して射出成形された発泡樹脂体3とから概略構成されている。この化粧部材1は後述するように、木質化粧材2を射出成形金型内に配置し、次いで発泡剤を含む溶融樹脂をインサート成形して発泡樹脂体3とすることで、発泡樹脂体3と木質化粧材2とを一体化させることにより得られる。
木質化粧材2は、図1〜図3に示すように、化粧面2aを有する表木材板2bと、裏木材板2cと、表木材板2b及び裏木材板2cの間に配置された金属薄板2dと、表木材板2b及び裏木材板2cと金属薄板2dとを相互に接着する接着層2e、2eとが積層されて概略構成されている。また、この木質化粧材2の両端部分には、裏木材板2c側に湾曲された湾曲部2fが形成されている。
表木材板2bと裏木材板2cは同じものを用いてもよいが、表木材板2bは化粧面2aを構成することから、木目柄の美しいものを用いることが好ましい。表木材板2bと裏木材板2cの厚みはそれぞれ、0.15〜0.5mm程度が好ましい。厚みが0.15mm未満では化粧部材1の機械的強度が低下するので好ましくなく、0.5mmを超えると化粧部材1が剛直化して形状追従性が低下するので好ましくない。また、表木材板2bと裏木材板2cはそれぞれ、木材単板でもよく、木材合板でもよい。
次に金属薄板2dは、可撓性で、かつ表木材板2b及び裏木材板2cを補強する強度を有するものが望ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、チタン、チタン系合金、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金、真鍮またはステンレス等の薄板が用いられる。金属薄板2dは、使用される金属によって厚さが選定される。例えばアルミニウム薄板では0.01〜0.5mmが好ましく、0.05〜0.2mmが好ましい。厚みが0.01mm未満では表木材板2b及び裏木材板2cに対する補強効果が得られないので好ましくなく、0.5mmを超えると剛性が高すぎてしまうので好ましくない。
また、金属薄板2dには、耐食性、接着性を向上させるために、必要に応じて表面に化成被膜処理や酸化皮膜処理を施してもよい。
更に、金属薄板2dに代えて、不織布、繊維、織物、プリプレグを用いてもよい。
次に、接着層2eは、接着剤のみからなるものでもよく、紙、不織布等の基材に接着剤を含浸させたものでもよい。使用する接着剤の種類に特に制限はないが、発泡樹脂体3をインサート成形することから、耐熱性の熱硬化型接着剤を用いることが好ましく、フェノール樹脂系、エポキシ樹脂系、メラミン樹脂系などの接着剤がより好ましい。
次に、発泡樹脂体3は、木質化粧材2の裏木材板2c側に配置され、木質化粧材2と一体化されている。図4に示すように、発泡樹脂体3の内部には多数の気泡3aが形成されている。また、気泡3aの大部分が独立気泡となっている。発泡樹脂体3を構成する合成樹脂は、一般的に射出成形に使用される樹脂であればどのような樹脂でもよい。例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリカーボネート樹脂、ポリシラスチレン樹脂、PPS樹脂等が好ましく、またこれらの樹脂にガラス繊維等を混合して強化したガラス繊維強化樹脂でもよい。
発泡樹脂体3は、木質化粧材2のバックアップ材としての役割を果たすものであり、その物理的特性が化粧部材1の機械的強度及び剛性に大きく影響する。特に、発泡樹脂体3の発泡倍率及び平均気泡径の関係が重要であり、これらの値が適正値から外れると、化粧部材1の機械的強度及び剛性並びに弾性率保持率が低下する。
発泡倍率及び平均気泡径の好ましい範囲は、発泡倍率が1.5以下のときには平均気泡径が100μm以下であることが好ましい。また、発泡倍率が1.2以下のときには平均気泡径が200μm以下であってもよい。発泡倍率及び平均気泡径がこの範囲から外れると、化粧部材1の機械的強度及び剛性並びに弾性率保持率が大幅に低下し、反りが大きくなるので好ましくない。
また、木質化粧材2の表木材板2b側には、塗装膜4が形成されている。この塗装膜4は、無色透明塗料もしくは着色透明塗料が塗布されてなり、表木材板2bの化粧面2aを保護するともに、化粧面2aに光沢を与えて化粧面2aの美観性をより向上させる。
尚、塗装膜4は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
「化粧部材の製造方法」
次に、上記の化粧部材の製造方法について図面を参照して説明する。図5は本実施形態の化粧部材の製造方法を説明する工程図であり、図6は化粧部材の製造方法における射出成形工程を説明する工程図である。
上記の化粧部材1は、木質化粧材2を形成する工程と、木質化粧材2に発泡樹脂体3をインサート成形する射出成形工程とから概略構成されている。
まず、木質化粧材2を形成する工程では、図5Aに示すように、表木材板2b、接着層2e、金属薄板2d、接着層2e及び裏木材板2cを順次重ね合わせる。
次に図5Bに示すように、熱プレスによって表木材板2b、接着層2e、金属薄板2d、接着層2e及び裏木材板2cを一体化すると共に、両端部分を湾曲させて湾曲部2fを形成する。このようにして木質化粧材2を製造する。
次に射出成形工程では、図5Cに示すように、木質化粧材2の裏木材板2c側に、発泡樹脂体3をインサート成形する。このインサート成形については後ほど詳細に説明する。
そして図5Dに示すように、木質化粧材2の表木材板2b側に、表面塗装を施し、塗装膜4を形成する。このようにして化粧部材1が得られる。
次に、発泡樹脂体3のインサート成形方法の一例について詳細に説明すると、インサート成形するためにまず図6に示すように、木質化粧材2を射出成形用の金型5内に配置する。この金型5は、上型5aと下型5bとからなり、上型5aと下型5bが一体化されてキャビティ5cが形成され、このキャビティ5c内に木質化粧材2が配置される。また、下型5bには、キャビティ5cに溶融樹脂を注入するためのスプルー5dが設けられている。このスプルー5dを通じて、発泡剤入りの溶融樹脂をキャビティ5c内に射出することにより、発泡樹脂体3を発泡成形する。本実施形態では、後述する射出成形機を用いて、溶融樹脂に対して発泡剤として超臨界流体を拡散混合してから、木質化粧材2に射出成形して発泡樹脂体3を形成することにより、発泡樹脂体3における平均気泡径を100μm以下乃至200μm以下にすることが好ましい。
溶融樹脂には、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリカーボネート樹脂、ポリシラスチレン樹脂、PPS樹脂等を用いることが好ましく、またこれらの樹脂にガラス繊維等を混合して強化したガラス繊維強化樹脂を用いてもよい。
また、発泡剤としては、溶融樹脂に対して超臨界状態で拡散混合できるものが好ましく、具体的には水または二酸化炭素が好ましく、特に二酸化炭素が好ましい。
発泡樹脂体3の発泡倍率及び平均気泡径は、様々な方法で制御することが可能だが、例えば、溶融樹脂に対する発泡剤の混合率を調整することで制御すればよい。発泡剤の混合率の最適値は溶融樹脂の種類によって異なるので、樹脂に併せて適宜設定すればよい。
更に、発泡剤として二酸化炭素を用いる場合には、二酸化炭素を超臨界状態にすべく、二酸化炭素の温度を31℃以上とし、二酸化炭素の圧力を7.5MPa以上とする条件で、二酸化炭素を溶融樹脂に拡散混合させることが好ましい。また、射出成形機内部における溶融樹脂については、二酸化炭素が超臨界状態を保持できる温度及び圧力以上にすることが好ましい。
図7には、射出成形工程で使用される射出成形機31を示す。この射出成形機31は、樹脂の可塑化と射出とを別プロセスで行う、いわゆるプリプラ式射出成形機である。
図7に示す射出成形機31は、可塑化部32と、該可塑化部32の先端部に連絡されている攪拌部33と、該攪拌部33に発泡剤としての二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給装置(発泡剤供給装置)40を備えるものである。
可塑化部32は、合成樹脂の樹脂ペレット(図示せず)を可塑化のため溶融させるものであって、外周に複数のバンドヒータ34が装着された可塑化部加熱筒35aと、該可塑化部加熱筒35a内の軸線方向に形成された軸穴(可塑化空間)36に回転自在に配置された可塑化スクリュ37と、該可塑化スクリュ37の駆動および駆動制御を行う可塑化スクリュ駆動機構28と、可塑化空間36内に基体樹脂の樹脂ペレットを供給するホッパ−5とを備えた構成とされている。
可塑化スクリュ37は、ホッパー5から供給された樹脂ペレットを可塑化のために溶融させ、溶融樹脂を前方に移送するものであって、その外周面には螺旋状に形成されたフライト61が突設されており、隣接するフライト61および上記外周面により螺旋溝66が形成されている。
また、可塑化スクリュ37の先端側には、攪拌−可塑逆流防止機構(第一の逆流防止機構)63が設けられている。攪拌−可塑逆流防止機構63は、攪拌部33から可塑化部32へと溶融樹脂および二酸化炭素が逆流するのを防止する機構である。
可塑化スクリュ駆動機構28は、ホッパー5から供給される樹脂ペレットを溶融させるために可塑化スクリュ37を回転させるものであって、サーボモータ78と、該サーボモータ78の出力軸に固定して取り付けられた駆動プーリ79と、該駆動プーリ79からタイミングベルト80を介して駆動力が伝達される従動プーリ81とを備えており、この従動プーリ81は可塑化スクリュ37に一体的に連結されている。また、サーボモータ78には、該サーボモータ78の回転駆動を制御するモータ制御部98が接続されている。
攪拌部33は、二酸化炭素供給装置40により供給される二酸化炭素と可塑化スクリュ37により移送された溶融樹脂とを攪拌するものであって、攪拌部加熱筒35bと攪拌スクリュ57と攪拌スクリュ駆動機構29とを備えた構成とされている。
攪拌部加熱筒35bの内部には、軸線方向に向けた軸穴(攪拌空間)30が設けられ、該攪拌空間30に軸線回りに回転自在に、かつ軸線方向に移動自在に攪拌スクリュ57が挿入されている。また、攪拌部加熱筒35bの先端には、シャットオフノズル(射出ノズル)38が着脱可能に連結されている。
シャットオフノズル38は、内部に前記攪拌空間30に連通するノズル空間38aと、該ノズル空間38aを外部に開口する射出口38bとを有すると共に、上記ノズル空間38aに射出口38bを開閉するニードル弁38cが収納された構成となっている。
また、攪拌空間30に連通するシャットオフノズル38のノズル空間38aは、貯留部70となっており、攪拌空間30と可塑化部加熱筒35aの可塑化空間36とは、可塑化部加熱筒35aの先端と攪拌部加熱筒35bの中間部との間に設けた接続金具56aの内部の連通路56により連通されている。
攪拌部加熱筒35bの外周には複数のバンドヒータ34が、シャットオフノズル38の外周にはノズルヒータ39がそれぞれ装着されており、これらは、上記攪拌空間30、貯留部70を加熱するものであって、図示しない加熱制御部により制御されている。なお、上記接続金具56aの外周に、連通路56を加熱するバンドヒータを装着することもできる。
一方、攪拌部加熱筒35bの中間部には、二酸化炭素供給装置40が設けられている。二酸化炭素供給装置40は、二酸化炭素供給源(発泡剤供給源)41と、該二酸化炭素供給源41から供給される二酸化炭素を昇圧する昇圧ポンプ42と、該昇圧ポンプ42により昇圧された二酸化炭素を攪拌部加熱筒35bの攪拌空間30へ導くガス管(導入路)43とを備えている。
ガス管43の昇圧ポンプ42の下流には、昇圧ポンプ42により昇圧された二酸化炭素の圧力を検知して表示する表示部44が配設されており、表示部44の下流側にはガス管43の開閉操作を行う開閉弁45が設けられている。開閉弁45および昇圧ポンプ42には、これらの作動を制御するガス供給制御部46が接続されている。
また、ガス管43と攪拌空間30との間には、流入防止機構47が設けられている。流入防止機構47は、攪拌空間30からガス管43へ溶融した溶融樹脂が流入したり、攪拌空間30に流入した二酸化炭素が逆流することを防止する機構である。
また、攪拌スクリュ57は、二酸化炭素供給装置40から供給された二酸化炭素と可塑化スクリュ37により移送された溶融樹脂とを攪拌して、該二酸化炭素(発泡剤)を溶融樹脂に溶解させると共に、この二酸化炭素が溶解された溶融樹脂(以下、発泡剤溶解樹脂と呼ぶ)を貯留部70内に移送して貯留させ、また貯留された発泡剤溶解樹脂をシャットオフノズル38より射出させるものである。また、攪拌スクリュ57には、ヘッド−攪拌逆流防止機構(第二の逆流防止機構)69が設けられている。このヘッド−攪拌逆流防止機構69は、シャットオフノズル38のノズル空間38aにおける、スクリュヘッド58の前方に形成された貯留部70に貯留された発泡剤溶解樹脂が攪拌空間30へ逆流を防止する機構である。
次に、攪拌スクリュ駆動機構29は、攪拌スクリュ57の駆動および駆動制御を行うものであって、スクリュ回転駆動機構75とスクリュ移動駆動機構76とモータ制御部99とを備えた構成とされている。
スクリュ回転駆動機構75は、攪拌スクリュ57を回転させるものであって、サーボモータ100と、該サーボモータ100の出力軸に固定して取り付けられた駆動プーリ101と、該駆動プーリ101からタイミングベルト102を介して駆動力が伝達される従動プーリ103とを備えており、この従動プーリ103は攪拌スクリュ57に一体的に連結されている。
スクリュ移動駆動機構76は、射出および射出完了後の計量時等で攪拌スクリュ57を軸線方向に移動させるものであって、サーボモータ82と、該サーボモータ82の出力軸に固定して取り付けられた駆動プーリ83と、該駆動プーリ83からタイミングベルト84を介して駆動力が伝達される従動プーリ85と、ボールネジ軸86と、移動盤87と、固定盤88、89とを備えた構成とされている。
固定盤88は、攪拌部加熱筒35bの射出方向、後方端部に固定されており、その中心には、攪拌スクリュ57が貫通する孔90が形成されている。また、固定盤88には、一定間隔を隔てて他の固定盤89が対向配置されており、これら固定盤88,89の間には、攪拌部加熱筒35bの軸線方向(射出方向)に平行に懸架されたガイド軸91が複数本配設されており、ガイド軸91には、移動盤87が前記軸線方向に移動自在に支持されている。
ボールネジ軸86は、一端側が従動プーリ85に一体的に連結されると共に、固定盤89に対して回転自在に、かつ射出方向の移動不能に取り付けられており、その外周にはボールネジが形成されている。移動盤87には、ボールネジ軸86のボールネジの他端側に螺合するボールナット(図示せず)が固定して設けられると共に、スクリュ回転駆動機構75が該移動盤87の移動に追従するように配置されている。
また、上記サーボモータ100およびサーボモータ82には、該サーボモータ100の回転駆動を制御するモータ制御部99が接続されており、このモータ制御部99および上記モータ制御部98はスクリュ制御装置77に接続されてこれに制御されるようになっている。
スクリュ制御装置77は、モータ制御部98およびモータ制御部99を制御して、即ち、可塑化スクリュ駆動機構28および攪拌スクリュ駆動機構29を制御して、計量による攪拌スクリュ57の後退完了後においても該攪拌スクリュ57および可塑化スクリュ37の回転を継続させるものであって、圧力センサ92(圧力検知具)とスクリュ制御部93とを備えるものである。
圧力センサ92は、射出ノズル38に取り付けられ、貯留部70内の発泡剤溶解樹脂の圧力を検知するものであって、検知した結果を常時スクリュ制御部93へ送信するように該スクリュ制御部93に接続されている。スクリュ制御部93は、圧力センサ92の検知した結果に基づいて、貯留部70内の発泡剤溶解樹脂の圧力を一定に維持するようにモータ制御部98,99、即ちサーボモータ78,82,100を制御するものである。
上記の構成の射出成形機31により、発泡成形を行う手順を以下に説明する。まず、樹脂供給工程における計量が開始される。即ち、モータ制御部98に制御されてサーボモータ78が作動して、その回転が駆動プーリ79からタイミングベルト80を介して従動プーリ81に伝達される。この従動プーリ81の回転によって、従動プーリ81に連結された可塑化スクリュ37も回転する。
可塑化スクリュ37の回転により、ホッパー5内の樹脂ペレットは、可塑化スクリュ37に形成された螺旋溝66に供給された後、螺旋に沿って射出方向に移送される。この移送の過程においては、樹脂は、バンドヒータ34に与えられる熱および可塑化スクリュ37で混練される際のせん断による内部発熱により溶融状態になり該可塑化スクリュ37の先端に到達する。
この溶融樹脂の供給により、可塑化空間36においては、連通路56に対して可塑化スクリュ37側の内圧が高くなり、この圧力により、攪拌−可塑逆流防止機構(第一の逆流防止機構)63が作動して、可塑化スクリュ37の先端に到達した溶融樹脂が連通路56へ送出される。連通路56は、可塑化空間36と攪拌空間30とを連通するものなので、可塑化空間36から連通路56へ到達した溶融樹脂は、攪拌空間へ到達することができる。
一方、サーボモータ78の作動の際には、モータ制御部99の制御によりサーボモータ82、100も作動する。そして、サーボモータ82の回転は、駆動プーリ83からタイミングベルト84を介して従動プーリ85に伝達される。この従動プーリ85の回転によって、一端側が従動プーリ85に連結されたボールネジ軸86も回転するので、このボールネジ軸86が螺合するボールナットを介して移動盤87がガイド軸91に案内されて射出方向後方側へ後退する。
そして、移動盤87の射出方向後方側への後退により、攪拌スクリュ57も同方向に移動する。このとき、攪拌スクリュ57には、移送される溶融樹脂の反力により後退する側へ押圧されるが、スクリュ移動駆動機構76により後退駆動が制御されて、上記樹脂に対して一定の圧力を与えた状態で、即ち背圧をかけた状態で後退する。
一方、連通路56を経て攪拌空間30へ到達した溶融樹脂に対しては、二酸化炭素供給装置40が作動して、発泡剤として加圧された二酸化炭素が所定量供給される。即ち、先ず、ガス供給制御部46が昇圧ポンプ42を制御して二酸化炭素供給源41から供給された二酸化炭素を昇圧させた後に、開閉弁45を制御して昇圧された二酸化炭素をガス管43を通して流入防止機構47へ送出する。昇圧されている二酸化炭素により流入防止機構47が作動し、これにより昇圧された二酸化炭素が攪拌空間30へ導入される。
一方、サーボモータ100の作動により、その回転が駆動プーリ101からタイミングベルト102を介して従動プーリ103に伝達される。この従動プーリ103の回転によって、従動プーリ103に連結された攪拌スクリュ57も軸線回りに回転する。そのため、攪拌空間30内へ導入された二酸化炭素は、この攪拌空間30内において、攪拌スクリュ57の回転により溶融樹脂と攪拌されて該溶融樹脂内に溶解して、二酸化炭素が溶解された溶融樹脂は発泡剤溶解樹脂としてシャットオフノズル38へと移送される。この際、二酸化炭素の供給圧力は、上記攪拌スクリュ57の後退時にかけられる背圧よりも高く設定されているため、二酸化炭素は支障なく攪拌空間30内へ導入される。
この二酸化炭素は、昇圧された状態で攪拌空間30内へ導入されるため、攪拌空間30の内圧が高くなる。これにより攪拌−可塑逆流防止機構63が作動して、溶融樹脂および二酸化炭素が攪拌スクリュ57から可塑化スクリュ37へ逆流することが防止される。
一方、可塑化スクリュ37の回転による攪拌空間30への溶融樹脂の供給により、攪拌空間30内の溶融樹脂の圧力が上昇し、これによりヘッド−攪拌逆流防止機構69が作動して、攪拌空間30と貯留部70とが連通される。これにより発泡剤溶解樹脂は貯留部70へ到達することができる。
貯留部70へ到達した発泡剤溶解樹脂は、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを閉じているため、貯留部70に貯留された状態でノズルヒータ39に加熱される。このときの発泡剤溶解樹脂の温度及び圧力は、発泡剤である二酸化炭素が超臨界状態を維持できる条件に設定することが好ましい。
次に、サーボモータ78,100が作動を停止するとともに、可塑化スクリュ37および攪拌スクリュ57の回転も停止して射出工程に移行する。射出工程においては、先ず、シャットオフノズル38の射出口38bが開くことによって、貯留部70に貯留されている発泡剤溶解樹脂が図示しない金型へ向けて射出可能状態になる。
射出工程が開始されると、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを開くと同時に、サーボモータ82が上記計量による後退時と逆方向に作動して、その回転が駆動プーリ83からタイミングベルト84を介して従動プーリ85に伝達される。これにより、後退時と同様の作用により攪拌スクリュ57が射出方向前方に移動して、攪拌スクリュ57の先端部に設けられたスクリュヘッド58が貯留部70の発泡剤溶解樹脂を押圧する。
この押圧と、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを開けていることにより、発泡剤溶解樹脂はシャットオフノズル38の射出口38bから金型5内のキャビティ5cへ所定の射出圧力で所定量充填される。射出工程開始と同時に、充填した発泡剤溶解樹脂の反力によりヘッド−攪拌逆流防止機構69が作動して、発泡剤溶解樹脂が貯留部70から攪拌スクリュ57へ逆流することが防止される。この後、キャビティ5c内に充填された発泡剤溶解樹脂は、所定時間、保圧されて射出工程が完了する。
射出工程が完了すると、シャットオフノズル38のニードル弁38cが射出口38bを閉じて、金型5cにおいては、冷却工程に移行し、射出成形機31においては、再び樹脂供給工程に移行して計量が開始される。かくして、発泡成形の一工程が完了する。
射出成形によって、発泡剤溶解樹脂に含まれていた二酸化炭素(発泡剤)が超臨界流体状態から気体状態に移行し、溶融樹脂が冷却固化する際に樹脂中に気泡を形成する。このようにして発泡樹脂体3が形成される。形成された発泡樹脂体3は、発泡倍率が1.5以下になるとともに平均気泡径が100μm以下となるか、あるいは、発泡倍率が1.2以下になるとともに平均気泡径が200μm以下になる。
以上説明したように、上記の化粧部材1によれば、木質化粧材2に対して射出成形された発泡樹脂体3の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下なので、発泡樹脂体3の弾性率を高めることが可能となり、化粧部材1の強度並びに剛性が高められ、また反りを少なくすることができる。
また、発泡樹脂体3の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下の場合にも、発泡樹脂体3の弾性率を高めることが可能となり、化粧部材1の強度並びに剛性が高められ、反りを少なくできる。
また、上記の発泡倍率及び平均気泡径を有する発泡樹脂体3を備えることで、化粧部材1の弾性率保持率を0.7以上にすることができ、化粧部材1の剛性を高めることができる。
また、上記の化粧部材の製造方法によれば、溶融樹脂に発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を拡散混合してから木質化粧材2に射出成形するので、発泡樹脂体3の平均気孔径を小さくすることが可能となり、これにより反りが少なく、強度及び剛性に優れた化粧部材1を製造できる。
また、本実施形態においては、上記の化粧部材1を例えば自動車の内装材として使用することができる。自動車等の車両の室内は、特に夏期に室内温度が上昇し、これにより内装材に反り等が発生する虞があるところ、本実施形態の化粧部材1を内装材として使用することによって、反りの発生や、弾性率の径時劣化を抑制することができる。
また本実施形態では、発泡樹脂体3の形成方法として、超臨界状態の二酸化炭素を発泡剤として用いる例を説明したが、本発明はこれに限らず、ブタン等の発泡剤を予め樹脂に含浸させ、この発泡剤含浸樹脂を射出成形機に導入して射出成形を行ってもよい。
「実験例1」
(実施例1)
表木材板及び裏木材板として厚さ0.2mmのメープル単板を用意し、接着層として厚さ0.1mmのフェノール樹脂含浸紙を用意し、金属薄板として厚さ0.1mmのアルミニウム板を用意した。そして、裏木材単板、接着層、金属薄板、接着層、表木材板の順に重ね合わせ、150℃、1MPaの条件で熱プレス成形することにより、横220mm、縦80mm、厚み0.7mmの木質化粧部材を製造した。
次に、合成樹脂としてガラス繊維が20質量%含有されたABS樹脂を用意し、このABS樹脂を180℃に加熱して溶融樹脂とし、この溶融樹脂に対して温度180℃、圧力20MPaの状態の二酸化炭素を拡散混合させた。そして、射出成形金型内に木質化粧材を設置し、射出成形金型のキャビティ内に、二酸化炭素が混合された溶融樹脂を温度180℃で射出し、成形と同時に発泡させた。このようにして、質化粧部材の裏木材板側に発泡樹脂体を形成することにより、実施例1の化粧部材を製造した。化粧部材は全部で30個製造した。各化粧部材の外形寸法は、横220mm、縦80mm、厚み15mmであった。
実施例1の化粧部材について、発泡樹脂体側を下にして平坦な基台上に載置し、化粧部材の中央部における基台に対する中央部の浮き量を計測し、これを反り量とした。30個の化粧部材について反り量をそれぞれ計測するとともに、標準偏差を求めた。また、化粧部材自体の平均質量も測定した。更に、化粧部材の曲げ弾性率を測定した。
また、各化粧部材の発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
二酸化炭素の圧力を30MPaとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例2の化粧部材を30個製造した。
そして、実施例1と同様にして、実施例2の化粧部材について、反り量、標準偏差、平均質量、曲げ弾性率を測定するとともに、発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
ガラス繊維が20質量%含有されたABS樹脂からなるペレットを用意し、このペレットをブタンガス(発泡剤)と共にオートクレーブ内に導入して、ABS樹脂にブタンを含浸させてブタン含浸樹脂とした。
次いで、射出成形金型内に木質化粧材を設置し、射出成形金型のキャビティ内に射出成形機によってブタン含浸樹脂を温度180℃で射出し、成形と同時に発泡させた。このようにして、実施例3の化粧部材を30個製造した。
そして、実施例1と同様にして、実施例3の化粧部材について、反り量、標準偏差、平均質量、曲げ弾性率を測定するとともに、発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
発泡剤である二酸化炭素を溶融樹脂に拡散混合させなかったこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例1の化粧部材を30個製造した。
そして、実施例1と同様にして、比較例1の化粧部材について、反り量、標準偏差、平均質量、曲げ弾性率を測定するとともに、発泡樹脂体における平均気泡径及び発泡倍率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2007313841
表1に示すように、実施例1〜3の化粧部材は、比較例1に比べて反り量が小さく、またそのバラツキ(標準偏差)も小さくなっており、外形寸法の安定性に優れていることがわかる。
また、実施例1〜3の化粧部材は、射出成形時に発泡剤を添加しなかった比較例1と比べて、平均重量が25g程度小さくなっており、軽量化されていることがわかる。また、この25gの差は、ABS樹脂の使用量の差でもあり、このことから実施例1〜3ではABS樹脂の使用量が低減され、材料コストが約33%程度低減できていることがわかる。
更に、実施例1及び2の化粧部材は、実施例3と比べて、平均気泡径が小さく、これにより曲げ弾性率が大きくなり、より剛性に優れていることがわかる。
「実験例2」
溶融樹脂に対する二酸化炭素の混合率を変更することにより、発泡倍率を1〜1.69倍としたこと以外は上記実施例1と同様にして、発泡倍率が1〜1.69倍であり、平均気泡径が100μmである発泡樹脂体を備えた化粧部材を製造した。
また、溶融樹脂に対する二酸化炭素の混合率を変更することにより、発泡倍率を1〜1.75倍としたこと以外は上記実施例2と同様にして、発泡倍率が1〜1.75倍であり、平均気泡径が50μmである発泡樹脂体を備えた化粧部材を製造した。
更に、溶融樹脂に対するブタンの混合率を変更することにより、発泡倍率を1〜1.51倍としたこと以外は上記実施例3と同様にして、発泡倍率が1〜1.51倍であり、平均気泡径が200μmである発泡樹脂体を備えた化粧部材を製造した。
得られた化粧部材の発泡樹脂体について、25℃における弾性率保持率を測定した。弾性率保持率、発泡倍率及び平均気泡径の関係を表2及び図8に示す。表2では、例えば、発泡倍率が1.21で平均気泡径が200μmのときの弾性率保持率は0.72になることを示している。
Figure 2007313841
表2及び図8に示すように、平均気泡径が50μmまたは100μmの場合、平均気泡径200μmのものと比べて、弾性率保持率の低下が少なくなっていることがわかる。
また、表2及び図8に示すように、弾性率保持率を0.7以上にするには、平均気泡径100μmでは発泡倍率を1.5以下にする必要があり、平均気泡径200μmでは発泡倍率を1.2以下にする必要があることがわかる。
図1は本発明の実施形態である化粧部材の一例を示す平面模式図である。 図2は図1のA−A’線に対応する断面模式図である。 図3は図2の一部を拡大した断面模式図である。 図4は化粧部材に備えられた発泡樹脂体を示す模式図である。 図5は本発明の実施形態である化粧部材の製造方法を説明する工程図である。 図6は化粧部材の製造方法における射出成形工程を説明する工程図である。 図7は化粧部材の製造方法における射出成形工程に使用される射出成形機を示す概略構成図である。 図8は化粧部材の弾性率保持率と発泡樹脂体の発泡倍率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…化粧部材、2…木質化粧材、3…発泡樹脂体

Claims (4)

  1. 木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形された発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.5以下であるとともに平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする化粧部材。
  2. 木質化粧材と、前記木質化粧材に対して射出成形された発泡樹脂体とからなり、前記発泡樹脂体の発泡倍率が1.2以下であるとともに平均気泡径が200μm以下であることを特徴とする化粧部材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の化粧部材からなることを特徴とする車両用内装材。
  4. 請求項1または請求項2に記載の化粧部材の製造方法であって、
    溶融樹脂に発泡剤となる超臨界流体を拡散混合してから、前記木質化粧材に射出成形することにより、前記発泡樹脂体とすることを特徴とする化粧部材の製造方法。

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