JP4806497B2 - 表面変性フィルム状感圧性接着剤および表面保護材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面変性フィルム状感圧性接着剤とこれを支持基材上に設けてなる表面保護材とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、支持基材上にイソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層を設けてなる表面保護材が知られている。
すなわち、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤は、アクリル系や天然ゴム系などの他の感圧性接着剤に比べて、日光の曝露下においても接着力が経時上昇しにくく、糊残りなく容易に再剥離できることから、表面保護材の製造に非常に有利であり、広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤は、上記のような利点を有する反面、撥水性や耐汚染性にすぐれた化粧鋼板などの、いわゆる難接着性被着体に対して、良好な初期接着力を発現させにくいという問題がある。また、自着性が高く、接着剤層同士が触れた場合に強固に接着して、剥離するのが困難となり、表面保護材として利用する際に、作業性の面で問題となる。
【0004】
イソブチレン系ポリマーに種々の粘着性付与剤を添加したり、適当な酸価値を有するワックスを添加するなどして、化粧鋼板などに対する初期接着性を改良する試みもある。しかし、これらの手段により上記の初期接着性を改良できても、自着性が高いことによる作業性の問題までは解決できない。
【0005】
本発明は、上記の事情に照らし、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の本来の利点(経時的な接着力維持性や耐候性)を損なうことなく、難接着性被着体に対する初期接着性を改良し、かつ接着剤層同士が触れた場合でも比較的容易に剥離でき、表面保護材として使用する際の作業性を改良できる感圧性接着剤とこれを用いた表面保護材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対し、鋭意検討した結果、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面に、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層を、反応性官能基同士を反応させる界面接触反応に供して、化学結合により固定させると、経時的な接着力維持性や耐候性を損なうことなく難接着性被着体に対する初期接着性を改良でき、しかも自着性が低下し、接着剤層同士が触れた場合でも比較的容易に剥離でき、表面保護材として使用する際の作業性を改良できることを知り、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、支持基材上で、イソブチレン系ポリマーを主成分とし反応性官能基を有する感圧性接着剤層の表面に、上記の反応性官能基と反応する反応性官能基を有する官能基含有化合物を界面接触反応させたのち、アクリル系ポリマーを主成分とし上記の官能基含有化合物の反応性官能基と反応する反応性官能基を有する感圧性接着剤の薄層を、界面接触反応させると共に、上記の両界面接触反応を起こさせる反応性官能基の組み合わせを、アミノ基(1級もしくは2級)とイソシアネート基、酸クロライド基、エポキシ基、酸無水物基またはカルボキシル基との反応の組み合わせとすることにより、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面にアクリル系ポリマーを主成分とする厚さが5μm以下である感圧性接着剤の薄層を固定した表面変性フィルム状感圧性接着剤を製造することにより、あるいは、剥離性基材上で上記の方法により上記と同様構成の表面変性フィルム状感圧性接着剤を製造したのちこれを支持基材上に移着することにより、支持基材上に上記構成の表面変性フィルム状感圧性接着剤を有する表面保護材を製造することを特徴とする表面保護材の製造方法に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層を作製する。これは、従来公知の方法によればよく、たとえば、剥離性基材上または支持基材上に、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の溶液または水分散液を、ロールやダイなどの適宜の手段により塗工したのち、乾燥して溶剤や水を除去する方法などが挙げられる。
【0011】
イソブチレン系ポリマーには、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンを主成分(単量体全体の50重量%以上)としこれと他の単量体との共重合体、たとえば、イソブチレンとノルマルブチレンのランダム共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴムなど)や、これらの加硫物や変性物(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基で変性したもの)などがある。中でも、ポリイソブチレンが最も好ましく用いられる。このイソブチレン系ポリマーは、初期接着性や剥離作業性などの観点から、重量平均分子量が30万〜150万の範囲にあるのが好ましい。
【0012】
イソブチレン系ポリマーには、界面接触反応のため、化学反応性の高い反応性官能基が導入される。そのために、イソブチレン系ポリマーに反応性官能基を有する官能基含有化合物を0.1〜50重量%添加するのがよい。このような官能基含有化合物には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性官能基を有する化合物が用いられる。これらの化合物の中でも、イソブチレン系ポリマーを水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性官能基で変性したものが、イソブチレン系ポリマーとの相溶性を考慮した場合、とくに好ましく用いられる。
【0013】
また、官能基含有化合物とイソブチレン系ポリマーとの相溶性の改良のため、官能基含有化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。たとえば、イソブチレン系ポリマーに多官能イソシアネート基含有化合物をこれ単独で添加すると、両者の相溶性に問題を生じることがある。しかし、多官能イソシアネート基含有化合物と水酸基変性イソブチレン系ポリマーとを組み合わせて添加すると、両成分の水酸基とイソシアネート基とが反応して、イソシアネート基変性のイソブチレン系ポリマーが生成し、これとイソブチレン系ポリマーとの相溶性が良いため、多官能イソシアネート基含有化合物を相溶性良く混合できる。
【0014】
イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤には、必要により、老化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、軟化剤、充填剤、顔料、架橋剤などの各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合してもよい。粘着付与剤には、ロジン系、テルペン系、スチレン系、脂肪族石油系、キシレン系、フェノール系、クロマインデン系、それらの水素添加物などが用いられる。
【0015】
本発明においては、つぎに、上記したイソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面に、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層を、化学結合にて固定する。そのために、イソブチレン系ポリマーを主成分とし反応性官能基を有する感圧性接着剤層(固体相)と、アクリル系ポリマーを主成分とし上記反応性官能基と反応する反応性官能基を有する感圧性接着剤の液体相または気体相との界面で、界面接触反応させる。これにより、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面にアクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層が、共有結合、配位結合、水素結合、イオン結合、金属結合などの化学結合により強固に結合されて、固定される。
【0016】
界面接触反応を起こさせる反応性官能基の組み合わせには、たとえば、アミノ基(1級もしくは2級)とイソシアネート基、酸クロライド基、エポキシ基、酸無水基またはカルボキシル基との反応の組み合わせ、イソシアネート基と水酸基との反応の組み合わせ、カルボキシル基とアジリジン基との反応の組み合わせ、ヒドロシリル基と水酸基またはビニル基との反応の組み合わせ、エポキシ基と無水酸基との反応の組み合わせ、酸クロライド基と水酸基またはメルカプト基との反応の組み合わせなどがある。
【0017】
アクリル系ポリマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体または共重合体か、あるいは、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これに(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ビニルピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン、エチレンイミンなどの改質用モノマーを加えた単量体混合物の共重合体が用いられる。
【0018】
アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤において、界面接触反応を起こさせる反応性官能基は、この官能基を含有する官能基含有化合物をアクリル系ポリマー中に添加する方法により導入してもよいが、通常は、アクリル系ポリマーの分子中に導入しておくのが望ましい。そのためには、アクリル系ポリマーの生成に際して、改質用モノマーとして、ヒドロキシエチルアクリレートなどの水酸基含有モノマー、ビニルアミンなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマーなどの官能基含有モノマーを使用することにより、水酸基、アミノ基、エポキシ基などの反応性官能基を分子中に導入したアクリル系ポリマーを生成すればよい。
【0019】
アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤は、アクリル系ポリマー単独で構成してもよいし、必要により、アクリル系ポリマーにイソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の場合と同様の添加剤、たとえば、老化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、軟化剤、充填剤、顔料、架橋剤などを、本発明の効果を阻害しない範囲内で配合して、構成してもよい。
【0020】
また、本発明においては、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面にアクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層を化学結合にて固定するにあたり、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面に、一度目の界面接触反応によりアミノ基などの高反応性官能基を有するアクリル系ポリマー以外の化合物を化学結合させて、上記表面の高反応性官能基濃度を高めたのち、二度目の界面接触反応として、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤を界面接触反応させて、アクリル系ポリマー以外の化合物を介した化学結合により固定させてもよい。
【0021】
たとえば、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層が反応性官能基としてイソシアネート基を有するものでは、まず、一度目の界面接触反応により、上記感圧性接着剤層の表面にポリビニルアミンやポリアリルアミンなどのアミノ基含有化合物を、イソシアネート基とアミノ基との反応による化学結合にて固定する。つぎに、層表面に残存する高濃度のアミノ基の反応性を利用して、二度目の界面接触反応により、分子内にエポキシ基などを有するアクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤を、アミノ基とエポキシ基との反応による化学結合にて固定する。これにより、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面にアミノ基含有化合物を介してアクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層が化学結合にて固定される。
【0022】
本発明における界面接触反応は、以下のように、行うことができる。
イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層からなる固体相と、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤(または前記した高反応性官能基含有化合物)からなる液体相とを界面接触反応させるには、両相をディッピング、浸漬により接触させる方法を用いてもよいし、グラビア、キスなどのロールコーティング、ファンテンなどのダイコーティング、スクイズコーティング、スピンコーティングなどの公知の塗布方式によって、上記の固体相上に上記の液体相を塗布してもよいし、スプレーなどで噴霧塗布してもよい。
また、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層からなる固体相と、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤(または前記した高反応性官能基含有化合物)からなる気体相とを界面接触反応させるには、上記の固体相に直接上記の気体相を吹き付けてもよいし、上記の気体相を含むチャンバー内に上記の固体相を投入するようにしてもよい。
【0023】
これらの方法において、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤を薄層で形成するには、上記感圧性接着剤などの液体相や気体相の媒体が下地の固体相を溶解または膨潤させないことが望ましく、この観点より、通常は、水、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの媒体が用いられる。
【0024】
このような界面接触反応によると、イソブチレン系ポリマーの感圧性接着剤層の表面に化学結合にて固定されるアクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤は、その層厚を数十nm〜数μmの間で制御でき、通常は、薄層として、10μm以下、とくに好ましくは5μm以下(通常、0.01μmまで)の厚さとすることができる。また、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の厚さtに対して、通常は、(1/5)t以下、好ましくは(1/10)t以下、より好ましくは(1/20)t以下、さらに好ましくは(1/30)t以下〔通常、(1/1,000)tまで〕の厚さとするのがよい。
【0025】
本発明の表面変性フィルム状感圧性接着剤は、上記のように、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面にアクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層を化学結合にて固定したことを特徴としており、上記の表面が上記薄層で化学的強固に変性されていることにより、化粧鋼板などの難接着性被着体に対する初期接着性にすぐれたものとなり、また自着性が低下して、接着剤層同士が触れた場合でも比較的容易に剥離することができ、表面保護材として使用する際の作業性にもすぐれたものとなる。
【0026】
一方、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤は、本来、日光の曝露下で接着力の急激な経時上昇が起こりやすく、糊残りなく容易に再剥離できず、またバルクの弾性率が高いため、日光に長期間曝露すると、温度変化による膨張や収縮などで基材端部に塗膜段差などの変形が生じやすい。しかし、本発明の上記構成では、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤が専ら表面変性のための薄層として形成されているため、上記問題はとくに起こらず、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層本来の性能がほとんどそのまま発現され、経時的な接着力維持性や耐候性にいぜんとしてすぐれている。
【0027】
本発明の表面変性フィルム状感圧性接着剤は、上記の性能から、塗装板、金属板、樹脂板、自動車のボディーや部品などの表面保護材用として、有用である。表面変性フィルム状感圧性接着剤を支持基材上で製造したものでは、これをそのまま表面保護材として利用でき、また剥離性基材上で製造したものでは、これを支持基材上に移着することで、表面保護材として利用できる。表面保護材は、とくに限定するわけではないが、厚さが5〜300μm、とくに10〜100μmの支持基材上に表面変性フィルム状感圧性接着剤よりなる層を1〜200μm、とくに1〜50μmの厚さに設けたものであるのが望ましい。
【0028】
支持基材としては、表面保護材の基材として従来公知のもの、好ましくはプラスチックフィルム、たとえばポリプロピレン系フィルム、ポリエチレン系フィルム、それらをブレンドしたポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられ、これらの中でも、ポリオレフィン系フィルムが最も好ましい。なお、これらの支持基材は、必要に応じて、コロナ処理、下塗処理を施してもよく、また背面処理などを施してもよい。さらに、支持基材には、必要に応じて、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下に記載の「実施例1,2」のうち、「実施例2」が特許請求の範囲に含まれる本発明の表面保護材の製造例を示したものであり、「実施例1」は特許請求の範囲には含まれない参考例としての表面保護材の製造例を示したものである。
【0030】
実施例1
重量平均分子量が80万のポリイソブチレンを、固形分が10重量%となるように、トルエンに溶解した.このポリイソブチレン溶液に、ポリイソブチレン固形分87重量%に対して、多官能イソシアネート化合物〔日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートL」〕3重量%と、数平均分子量が5,600の両末端水酸基変性ポリイソブチレン(鐘淵化学社製)10重量%とを加えて、均一に混合した。この混合溶液を、支持基材としてポリプロピレン/ポリエチレン(重量比=9/1)からなる厚さが40μmのプラスチックフィルム上に塗布し、80℃で3分間乾燥処理して、厚さが15μmのポリイソブチレン系感圧性接着剤層を作製した。この層中には反応性官能基としてイソシアネート基が含まれている。
【0031】
つぎに、2−エチルヘキシルアクリレート30重量%/エチルアクリレート70重量%/メチルメタクリレート5重量%/ヒドロキシエチルアクリレート4重量%の共重合組成からなる重量平均分子量が約50万のアクリル系ポリマーを、固形分が0.5重量%となるように、酢酸エチルに溶解して、アクリル系感圧性接着剤溶液を調製した。アクリル系ポリマーの分子中には、反応性官能基としてヒドロキシエチルアクリレートに由来する水酸基が含まれている。
【0032】
ついで、このアクリル系感圧性接着剤溶液中に、上記のイソシアネート基を含有するポリイソブチレン系感圧性接着剤層を、イソシアネート基が十分に活性なうちに1分間浸漬させて、イソシアネート基と水酸基との界面接触反応を起こさせ、40mm/分の速度で垂直方向に引き上げて、80℃で3分間乾燥処理した。これにより、ポリイソブチレン系感圧性接着剤層の表面にアクリル系感圧性接着剤の薄層を化学結合にて固定した表面変性フィルム状感圧性接着剤が得られ、これを支持基材上に有する表面保護材を製造した。
【0033】
実施例2
実施例1の方法で、イソシアネート基を含有するポリイソブチレン系感圧性接着剤層を作製したのち、この感圧性接着剤層を、そのイソシアネート基が十分に活性なうちに、ポリアリルアミン〔日東紡績(株)製の「PAA−10C」、分子量約1万〕の0.02重量%水溶液中に浸漬して、イソシアネート基とアミノ基との界面接触反応を起こさせ、40mm/分の速度で垂直方向に引き上げ、表面を室温で自然乾燥させた。これにより、ポリイソブチレン系感圧性接着剤層の表面に1級のアミノ基を化学結合にて高濃度で固定した。
【0034】
つぎに、ブチルアクリレート100重量%/グリシジルメタクリレート1重量%の共重合組成からなる、重量平均分子量が約80万のアクリル系ポリマーを、固形分が0.5重量%となるように、酢酸エチルに溶解して、アクリル系感圧性接着剤溶液を調製した。アクリル系ポリマーの分子中には、反応性官能基としてグリシジルメタクリレートに由来するエポキシ基が含まれている。
【0035】
ついで、このアクリル系感圧性接着剤溶液中に、上記の表面に1級のアミノ基を固定したポリイソブチレン系感圧性接着剤層を、1分間浸漬させて、アミノ基とエポキシ基との界面接触反応を起こさせ、40mm/分の速度で垂直方向に引き上げて、80℃で3分間乾燥処理した。
これにより、ポリイソブチレン系感圧性接着剤層の表面にアクリル系感圧性接着剤の薄層を化学結合にて固定した表面変性フィルム状感圧性接着剤が得られ、これを支持基材上に有する表面保護材を製造した。
【0036】
比較例1
実施例1の方法で、イソシアネート基を含有するポリイソブチレン系感圧性接着剤層を作製し、この接着剤層を界面接触反応に供することなくそのままフィルム状感圧性接着剤とし、これを支持基材上に有する表面保護材を製造した。
【0037】
比較例2
2−エチルヘキシルアクリレート30重量%/エチルアクリレート70重量%/メチルメタクリレート5重量%/ヒドロキシエチルアクリレート4重量%の共重合組成からなる重量平均分子量が約50万のアクリル系ポリマーを、固形分が30重量%となるように、酢酸エチルに溶解して、アクリル系感圧性接着剤溶液を調製した。このアクリル系感圧性接着剤溶液を、実施例1と同じ支持基材上に塗布し、80℃で3分間乾燥処理して、厚さが15μmのアクリル系感圧性接着剤層を作製し、この接着剤層をフィルム状感圧性接着剤として、これを支持基材上に有する表面保護材を製造した。
【0038】
上記の実施例1,2の表面保護材に関し、支持基材上の表面変性フィルム状感圧性接着剤について、その表面の構成元素組成を、X線光電子分光分析(ESCA分析)により、下記の装置および測定条件で、測定した。この結果は、表1に示されるとおりであった。
装置:アルバック・ファイ(株)製の「ESCA5400」
X線源:Mg 出力:300W 加速電圧:15KV
光電子取出し角:90°
分析面積:1.5×3mm
【0039】
なお、表1には、参考のために、実施例1,2の表面保護材に関し、表面変性フィルム状感圧性接着剤の表面の構成元素組成として、上記実測値のほかに、配合組成により理論的に計算して求めた計算値も併記した。また、比較例1の表面保護材に関し、フィルム状感圧性接着剤(表面変性を行わないポリイソブチレン系感圧性接着剤層)の表面の構成元素組成として、配合組成により理論的に計算して求めた計算値と、さらに、比較例2の表面保護材に関し、フィルム状感圧性接着剤(アクリル系感圧性接着剤層)の表面の構成元素組成として、配合組成により理論的に計算して求めた計算値を、併記した。
【0040】
【0041】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例2の表面保護材は、表面変性フィルム状感圧性接着剤の表面の構成元素組成について、その実測値が理論計算値にほぼ近い値になっており、比較例1のフィルム状感圧性接着剤(表面変性を行わないポリイソブチレン系感圧性接着剤層)の構成元素組成とは大きく異なっていることから、フィルム状感圧性接着剤の層表面がアクリル系感圧性接着剤によりほぼ変性されているものであることがわかる。
【0042】
このことをさらに確認するため、上記の実施例1,2の表面保護材のうち、実施例2の表面保護材について、その表面変性フィルム状感圧性接着剤に関して、下記の方法により、TEM(Transmission Electron Microscopy)による、表面近傍の断面写真観察を行った。その結果は、図1に示されるとおりであった。
【0043】
<TEMによる断面写真観察>
試料をエポキシ樹脂に包埋したのちに、ウルトラミクロトームにて面出しし、金属酸化物による染色処理を施して、超薄切片法にて観察断面を作成し、TEM観察を実施した。この観察は、(株)UBE科学分析センターに依頼して、行ったものである。使用した装置の仕様は、下記のとおりである。
装置:HITACHI H−7100FA
加速電圧:100KV
【0044】
上記の図1から、実施例2の表面保護材は、その表面変性フィルム状感圧性接着剤として、ポリイソブチレン系感圧性接着剤層の上に、約50nmのポリアリルアミン層と思われる薄層が存在し、さらにその上に100〜200nmのアクリル系ポリマー層と思われる薄層が存在する、つまりアクリル系感圧性接着剤の薄層が存在することを、明らかに確認できる。ここで、上記表面変性層の厚さは、ポリイソブチレン系感圧性接着剤層の厚さtに対し、およそ(1/100)t〜(1/60)tに相当する。
実施例1の表面保護材については、上記した断面写真観察を行っていないが、表面変性層の作成条件の類似性から判断して、実施例2の表面保護材と類似した厚さの表面変性層が形成されているものと推測される。
【0045】
つぎに、上記の実施例1,2および比較例1,2の各表面保護材について、下記の方法により、難接着性被着体に対する初期接着性、自着剥離性および跡付き性(再剥離性)を評価した。結果は、表2に示されるとおりであった。
【0046】
<難接着性被着体に対する初期接着性>
表面保護材を幅25mmに切り出して、難接着性被着体(アクリル−メラミン系化粧銅板)に、2Kgのゴムローラを用いて、1往復圧着し、貼り付けた。このサンプルについて、貼り付け後、30分後に、引張試験機により300mm/分の引き剥がし速度で、180°剥離強度を測定した。
【0047】
<接着剤層同士の自着剥離性>
表面保護材を幅25mmに切り出して折り曲げ、接着剤層同士を軽く指で貼り合わせて、再度剥離した。そのときの剥離のしやすさを官能的に判定し、剥離しやすいものを良好、剥離しにくいものを不良、と評価した。
【0048】
<加熱促進試験による跡付き性(再剥離性)>
表面保護材を幅25mmに切り出して、難接着性被着体(アクリル−メラミン系化粧銅板)に、2Kgのゴムローラを用いて、1往復圧着し、貼り付けた。このサンプルについて、80℃で4日間の加熱促進試験を実施したのちに、剥離して、上記被着体への跡付き性を官能的に判定し、跡付きがみられないものを良好、跡付きがみられるものを不良、と評価した。
【0049】
【0050】
上記表2の結果から明らかなように、本発明の実施例2の表面保護材は、比較例1の表面保護材に比べて、難接着性被着体に対する初期接着性にすぐれ、また接着剤層同士の自着性が低く、表面保護材の貼り付け使用時の作業性にすぐれており、そのうえ、比較例2の表面保護材に比べて、被着体への跡付き性が良好であり、再剥離になんら支障をきたさないことがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面に、アクリル系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の薄層を、界面接触反応を利用して、化学結合にて固定する構成としたことにより、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤の本来の利点(経時的な接着力維持性や耐候性)を損なわずに、難接着性被着体に対する初期接着性を改良でき、かつ自着性の低下により、接着剤層同士が触れた場合でも比較的容易に剥離でき、表面保護材として使用する際の作業性を改良できる、実用性にすぐれた表面変性フィルム状感圧性接着剤とこれを用いた表面保護材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の表面保護材における表面変性フィルム状感圧性接着剤に関し、TEMによる表面近傍の断面写真を示したものである。
Claims (1)
- 支持基材上で、イソブチレン系ポリマーを主成分とし反応性官能基を有する感圧性接着剤層の表面に、上記の反応性官能基と反応する反応性官能基を有する官能基含有化合物を界面接触反応させたのち、アクリル系ポリマーを主成分とし上記の官能基含有化合物の反応性官能基と反応する反応性官能基を有する感圧性接着剤の薄層を、界面接触反応させると共に、上記の両界面接触反応を起こさせる反応性官能基の組み合わせを、アミノ基(1級もしくは2級)とイソシアネート基、酸クロライド基、エポキシ基、酸無水物基またはカルボキシル基との反応の組み合わせとすることにより、イソブチレン系ポリマーを主成分とする感圧性接着剤層の表面にアクリル系ポリマーを主成分とする厚さが5μm以下である感圧性接着剤の薄層を固定した表面変性フィルム状感圧性接着剤を製造することにより、あるいは、剥離性基材上で上記と同様の方法にて上記と同様構成の表面変性フィルム状感圧性接着剤を製造したのちこれを支持基材上に移着することにより、支持基材上に上記構成の表面変性フィルム状感圧性接着剤を有する表面保護材を製造することを特徴とする表面保護材の製造方法。
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