JP4799464B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等に処理液を供給して該基板に対して所定の湿式処理を施す基板処理装置に関するものである。
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程では、基板に薬液またはリンス液などの複数種類の処理液を順次供給して基板に対して所定の湿式処理が施される。例えば基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置では、基板を水平姿勢で回転させながら基板に複数種類の処理液を順次供給して各処理液ごとに基板に対して湿式処理を施している。ここで、基板から振り切られる処理液の散乱を防止するとともに薬液の再利用を可能とするため、基板から振り切られる処理液を処理液の種類ごとに分離して回収することが行われている(特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、基板を水平姿勢で保持して回転させるスピンチャックを包囲するように第1カップと第2カップとが設けられている。そして、回転する基板から振り切られる第1薬液を第1カップで受け止めて回収する一方、回転する基板から振り切られる第2薬液を第2カップで受け止めて回収している。つまり、互いに異なる薬液(第1薬液および第2薬液)を第1および第2カップにより分離して回収することが可能となっている。
また、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の基板処理装置では、処理液を貯留する処理槽内に複数枚の基板を浸漬させることにより該複数基板に対して湿式処理を施している。ここで、処理槽に貯留させる処理液を互いに異なる複数種類の処理液に順次交換していくことによって各処理液ごとに基板に対して湿式処理が施されることがある(特許文献2参照)。この特許文献2記載の装置では、処理槽から排出される処理液を処理液の種類ごとに分離して回収するように構成されている。具体的には、処理槽からオーバーフローされる処理液を1本の配管から処理液の種類の数だけ分岐した分岐配管を介して処理液の種類に応じた流出先に導いている。各分岐配管には開閉弁が介装されており、各開閉弁を開閉制御することで処理槽からオーバーフローされる処理液の流出先を切り換えている。これによって処理液の種類に応じた流出先に処理液を送り込んで処理液を分離回収するようにしている。すなわち、処理槽から第1薬液が排出される場合には、第1薬液用の分岐配管に介装された開閉弁のみを開いて、その他の分岐配管に介装された開閉弁を閉じた状態として第1薬液を回収する。また、処理槽から第2薬液が排出される場合には、第2薬液用の分岐配管に介装された開閉弁のみを開いて、その他の分岐配管に介装された開閉弁を閉じた状態として第2薬液を回収する。
特開平5−190442号公報(図1) 特開2000−286224号公報(図1)
ところで、特許文献1記載の装置では、基板から飛び出す処理液は飛沫化し、飛沫化した処理液が意図しない方向に飛散することがあった。その結果、第1薬液の飛沫が第2薬液回収用の第2カップに入り込んで第2薬液に第1薬液が混入したり、第2薬液の飛沫が第1薬液回収用の第1カップに入り込んで第1薬液に第2薬液が混入したりすることがあった。そして、このように回収される薬液へ他の種類の薬液が混入した場合には、薬液の再利用に支障を来し、結果として薬液の回収率の低下を招いていた。
また、特許文献1記載の装置では、湿式処理中に処理液が飛散することにより、カップ内に処理液のミストが漂う。例えば、第1薬液により薬液処理を行うと、カップ内は第1薬液の雰囲気になる。このような第1薬液の雰囲気は、後に同じ装置内で行われる第2薬液を用いた薬液処理またはリンス液を用いたリンス処理時に基板に悪影響を及ぼす。そこで、通常、基板周辺の雰囲気を清浄化するため該雰囲気を排気することが行われる。しかし、このような排気を行っている場合には、回収されるべき薬液が排気とともに引き込まれてカップに入らなかったり、排気の影響により他の種類の薬液回収用のカップに回収されることがあった。
また、特許文献2記載の装置では、各分岐配管に介装された開閉弁によって処理槽から排出される排液の流出先を切り換えることによって排液を分離回収している。このため、例えば第1薬液を第1薬液用の分岐配管を介して回収した後に、第2薬液を第2薬液用の分岐配管を介して回収した場合に次のような問題が発生することがあった。すなわち、第1薬液用の分岐配管に介装された開閉弁の上流側(処理槽側)の配管内に第1薬液が残留すると、第1薬液の回収率が低下するばかりか、第2薬液を第2薬液用の分岐配管を介して回収する際に第2薬液に第1薬液が混入してしまう。このため、第2薬液の再利用に支障を来し、第2薬液についても回収率が低下することとなっていた。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、互いに異なる複数種類の処理液を基板に順次供給することによって基板に対して所定の湿式処理を施す際に、複数種類の処理液を良好に分離して回収することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
この発明にかかる基板処理装置は、基板に処理液を供給して基板に対して所定の湿式処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、基板を配置する処理空間を有し、互いに異なる複数種類の処理液を処理空間に順次供給して各処理液ごとに基板に対して湿式処理を施す一方、湿式処理の実行ごとに湿式処理後の処理液を放出部から該処理空間の下方側の所定の方向に放出する処理ユニットと、放出部から順次放出される複数種類の処理液を処理液の種類ごとにそれぞれ所定の回収位置で回収する複数の液回収手段を有し、処理ユニットと分離して処理ユニットの下方側に配置された液回収ユニットと、処理ユニットと液回収ユニットとを相対的に移動させることにより放出部から放出される処理液の種類に対応した回収位置に複数の液回収手段のひとつを選択的に配置し、選択配置された液回収手段で放出部から放出される処理液を直接回収する選択配置手段とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明によれば、基板を配置する処理空間に互いに異なる複数種類の処理液が順次供給され、各処理液ごとに基板に対して湿式処理が施される。また、湿式処理の実行ごとに湿式処理後の処理液が放出部から順次放出されるが、処理ユニットと液回収ユニットとが相対的に移動することで放出部から放出される処理液の種類に対応した回収位置に液回収手段が選択的に配置される。これによって、処理液の種類ごとに処理液を液回収ユニットに分離して回収することができる。
また、液回収ユニットは処理ユニットと分離して処理ユニットの下方側に配置されるとともに、処理ユニットの放出部から処理空間の下方側の所定の方向に処理液が放出される。このため、放出部からの処理液の放出先が処理空間の下方側の所定の方向に限定されており、処理液が意図しない方向に飛散するのを防止することができる。これにより、放出部から放出される処理液を確実に液回収手段に回収させることができる。そして、このように放出部から放出される処理液を処理液の種類に対応した回収位置で回収することで複数種類の処理液を確実に分離して回収することができる。しかも、配管等を経由することなく放出部から放出される処理液を直接に液回収手段に回収させているので配管内に処理液が残留するのを防止することができる。このため、配管内での処理液の残留に起因して処理液の回収率が低下したり、回収した処理液に他の種類の処理液が混入するのを防止することができる。
ここで、放出部から鉛直方向下向きに処理液を放出する装置においては、選択配置手段は放出部の鉛直方向下方に放出部から放出される処理液の種類に対応した回収位置に液回収手段を配置させることが好ましい。この構成によれば、放出部から鉛直方向下向きに放出された処理液が放出部の鉛直方向下方に配置された液回収手段に回収される。このため、処理液が放出される方向と処理液に作用する重力の方向とを一致させることができ、処理液に作用する重力を利用して放出部からの処理液を液回収手段に回収することができ、処理液の回収が容易となる。
また、放出部を処理ユニットの最下端に1つ設けるように構成すると、処理ユニットからの処理液の放出を1箇所に限定することで、放出部から放出される処理液の放出範囲を比較的狭い範囲に限定することができ、放出部から放出される処理液を確実に液回収手段に回収させることができる。しかも、処理ユニットの最下端に放出部を設けることで、処理空間に供給された処理液を該処理液の自重により放出部から放出させることが可能となる。
また、複数の液回収ユニットの各々がその内部に処理液を回収するための回収空間を有する装置では、選択配置手段は放出部からの処理液の放出に先立って放出部を回収空間内に配置させることが好ましい。この構成によれば、放出部から放出される処理液を確実に液回収手段に回収させることができるとともに、回収空間内の処理液雰囲気が回収空間から液回収手段の外部空間に拡散するのを防止することができる。
また、複数の液回収手段の各々を箱形状に形成し、各液回収手段を水平方向に沿って互いに隣接して配置するように構成すると、複数の液回収手段が配置される占有面積を小さくすることができる。さらに、処理ユニットおよび複数の液回収手段の各々が扁平な箱形状に形成される装置においては、処理ユニットの短辺が延びる方向に沿って各液回収手段の短辺が位置するように複数の液回収手段を整列して配置することが好ましい。この構成によれば、処理ユニットの短辺が延びる方向において装置をコンパクトに構成し、装置の小型化を図ることができる。
この発明によれば、液回収ユニットが処理ユニットと分離して処理ユニットの下方側に配置されるとともに、処理ユニットの放出部から処理空間の下方側の所定の方向に処理液が放出される。このため、処理液の放出先が処理空間の下方側の所定の方向に限定されており、処理液が意図しない方向に飛散するのを防止することができる。これにより、放出部から放出される処理液を確実に液回収手段に回収させることができる。そして、このように放出部から放出される処理液を処理液の種類に対応した回収位置で回収させることで複数種類の処理液を確実に分離して回収することができる。しかも、配管等を経由することなく放出部から放出される処理液を直接に液回収ユニットに回収させているので配管内に処理液が残留するのを防止することができ、処理液の回収率が低下したり、回収した処理液に他の種類の処理液が混入するのを防止することができる。
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は半導体ウエハ等の略円盤状基板Wに対して洗浄処理およびエッチング処理などの所定の湿式処理を施すために用いられる枚葉式の基板処理装置である。より具体的には、基板Wに対して薬液による薬液処理およびDIW(deionized water:脱イオン水)などのリンス液によるリンス処理を施した後、リンス処理を受けた基板Wに溶剤蒸気および窒素ガスを供給して乾燥処理を行う装置である。以下、薬液およびリンス液を総称する場合は「処理液」といい、溶剤蒸気および窒素ガスを総称する場合は「乾燥ガス」という。
この基板処理装置は、基板Wに対して互いに異なる複数種類の処理液を順次供給して各処理液ごとに湿式処理を施す処理ユニット1と、処理ユニット1の鉛直方向下方に処理ユニット1から湿式処理の実行ごとに順次放出される湿式処理後の処理液を処理液の種類ごとに分離回収する液回収ユニット2とを備えている。処理ユニット1は、基板Wを直立姿勢に立てた状態で保持する複数個の保持ローラ11と、保持ローラ11に保持された基板Wと対向しながら離間配置される対向部材12A,12Bとを有している。この実施形態では、基板Wの表面Wf(パターン形成面)および裏面Wbに対して湿式処理を施すために基板表面Wfと対向しながら対向部材12Aが離間配置されるとともに基板裏面Wbと対向しながら対向部材12Bが離間配置されている。つまり、対向部材12Aと対向部材12Bとに挟まれた間隙空間S1(本発明の「処理空間」に相当)に基板Wが配置されている。
保持ローラ11は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、基板Wの円周方向に沿って等角度間隔で配置されている。このため、基板Wは各保持ローラ11の側面にその周端面が当接した状態で直立姿勢で保持される。複数個の保持ローラ11は、基板Wを保持した状態で基板Wを水平方向Xに延びる所定の回転軸J(水平軸)回りに回転させるべく、回転自在に設けられている。複数個の保持ローラ11のうち少なくとも1個の保持ローラ11には、モータを含む保持ローラ回転機構13が接続されており、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じて保持ローラ回転機構13を作動させることで保持ローラ11の駆動力によって基板Wが回転されるようになっている。これにより、基板Wは複数個の保持ローラ11に直立姿勢で保持された状態で回転軸J回りに回転する。
また、各保持ローラ11は基板Wの周端面を押圧する押圧状態と、基板Wの周端面から離れる解放状態との間を切り換え可能に構成されている。保持ローラ11には保持ローラ接離機構14が接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて保持ローラ接離機構14を作動させることで複数個の保持ローラ11を連動して押圧状態とし、または解放状態とすることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は保持ローラ接離機構14を作動させることで、保持ローラ11に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個の保持ローラ11を解放状態とし、基板Wに対して所定の表面処理を行う際には、複数個の保持ローラ11を押圧状態とする。押圧状態とすることによって、複数個の保持ローラ11は基板Wの周端面を挟持して基板Wを直立姿勢で保持することができる。
また、保持ローラ11に保持された基板Wの表裏面Wf,Wbにはそれぞれ、中心部に開口を有する円盤状の対向部材12A,12BがX方向に沿って移動自在に配置されている。対向部材12A,12Bには対向部材接離機構15A,15Bがそれぞれ連結されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて対向部材接離機構15A,15Bが作動することで対向部材12A,12Bが基板Wのごく近傍に設定された近接位置に移動したり(図1に示す位置)、逆に基板Wから離間した離間位置に移動するように構成されている。
2つの対向部材12A,12Bはともに同一構成を有しており、薬液供給ユニット16A〜16Cから洗浄またはエッチング処理に適した薬液の供給を受けて後述するように薬液処理を実行したり、リンス液供給ユニット17からDIWなどのリンス液の供給を受けて後述するようにリンス処理を実行する。また、対向部材12A,12Bは溶剤蒸気供給ユニット18およびガス供給ユニット19に接続されており、溶剤蒸気および窒素ガスの供給を受けて乾燥処理を実行する。より詳しくは、対向部材12A,12Bは以下のように構成されている。なお、両対向部材12A,12Bは同一構成であるため、ここでは対向部材12Aの構成を中心に説明し、対向部材12Bの説明を省略する。
この対向部材12Aは、側面121が基板W(基板表面Wf)と対向する基板対向面となっている。側面121の平面サイズは基板Wの直径と同等、好ましくは基板Wの直径よりも大きくなるように設定されている。このように側面121の平面サイズを基板Wの直径よりも大きくすることで基板Wの上方側の周縁部にも処理液を確実に行き渡らせて基板Wの表面処理の均一性を向上させることができる。また、近接位置に配置された対向部材12Aと基板Wとの間隔は1mm以下程度となるように設定される。
対向部材12Aの中心部にはX方向に管状に延びる供給部122が形成されている。供給部122の先端部、つまり側面121の中心部には供給口123が設けられており、供給口123から間隙空間S1に薬液、リンス液、溶剤蒸気および窒素ガスを選択的に供給可能となっている。すなわち、供給部122の基端部は、互いに異なる複数種類の薬液(この実施形態では3種類の薬液A〜C)を選択的に供給する薬液供給ユニット16A〜16Cと、DIWなどのリンス液を供給するリンス液供給ユニット17と、イソプロピルアルコール(IPA)の蒸気を供給する溶剤蒸気供給ユニット18と、窒素ガスを供給するガス供給ユニット19とに接続されている。なお、この実施形態では、対向部材12Aの側面121(基板対向面)の中心部に1つの供給口を設けているが、側面121に複数の供給口を設けるようにしてもよい。また、この実施形態では、間隙空間S1に処理液と乾燥ガスとを1つの供給口から供給しているが、間隙空間S1に処理液と乾燥ガスとを互いに異なる供給口から供給するように構成してもよい。
そして、制御ユニット4からの動作指令に応じてこれら供給ユニット16A〜16C,17〜19を作動させることによって供給口123から間隙空間S1に薬液A〜C、リンス液、溶剤蒸気および窒素ガスを選択的に供給可能となっている。なお、この実施形態では、溶剤蒸気供給ユニット18からIPA蒸気を供給しているが、エチルアルコールまたはメチルアルコール等のアルコール系溶剤の蒸気を供給するように構成してもよい。また、ガス供給ユニット19から窒素ガスを供給しているが、清浄な空気や他の不活性ガスなどを供給するように構成してもよい。
また、対向部材12Bも対向部材12Aと同一に構成されている。すなわち、側面121が基板W(基板裏面Wb)と対向する基板対向面となっており、制御ユニット4からの動作指令に応じて供給ユニット16〜19を作動させることによって、供給口123から間隙空間S1に薬液A〜C、リンス液、溶剤蒸気および窒素ガスを選択的に供給可能となっている。
図3は間隙空間に薬液を供給したときの様子を示した図である。薬液供給ユニット16Aからの薬液Aが間隙空間S1に供給されると、薬液Aの表面張力に起因する毛細管現象により間隙空間S1の全体に広がり、間隙空間S1が薬液Aにより液密に満たされる。これにより、基板の表裏面Wf,Wbに接液する薬液Aによって基板の表裏面Wf,Wbに対して薬液処理が施される。そして、間隙空間S1に薬液Aが供給され続けることによって間隙空間S1に存在する薬液が薬液供給ユニット16Aから供給されるフレッシュな薬液に置換しながら間隙空間S1から押し出され除去されていく。このように、薬液を置換しながら薬液処理が実行されることで表面処理の均一性を向上させることができる。間隙空間S1から押し出された薬液処理後の薬液Aは間隙空間S1から薬液Aの自重により鉛直方向(Z方向)下向きに落下することで放出される。すなわち、間隙空間S1と該間隙空間S1の鉛直方向下方に位置する下方空間S2とを連通する連通部124(本発明の「放出部」に相当)から下方空間S2に向けて薬液Aが放出される。
上記においては薬液Aを間隙空間S1に供給する場合について説明したが、薬液Aに代えて薬液B,Cおよびリンス液を間隙空間S1に供給する場合も上記と同様である。例えば、リンス液供給ユニット17から間隙空間S1にリンス液が供給されると、間隙空間S1の全体がリンス液により液密に満たされる。そして、間隙空間S1にリンス液が供給され続けることによって間隙空間S1に存在するリンス液がリンス液供給ユニット17から供給されるリンス液によって間隙空間S1から押し出され連通部124から鉛直方向下向きに落下する。
次に、液回収ユニット2について説明する。液回収ユニット2は処理ユニット1の下方側に配置され、連通部124から順次放出される複数種類の処理液、つまり薬液A〜Cおよびリンス液を処理液の種類ごとに分離回収する。液回収ユニット2は複数種類の処理液、つまり薬液A〜Cおよびリンス液(廃液)に対応して複数の液回収槽21〜24(本発明の「液回収手段」に相当)を有している。複数の液回収槽21〜24の各々は、複数の液回収槽21〜24が配置される占有面積を小さくするため、扁平な箱形状に形成され、各液回収槽21〜24が水平方向(X方向)に沿って互いに隣接して配置されている。具体的には、複数の液回収槽21〜24は保持ローラ11に保持された基板Wの法線方向(X方向)に沿って配置されるとともに、各液回収槽21〜24は水平面内において基板Wの法線方向(X方向)におけるサイズが該基板Wの法線方向に直交する方向、つまり基板Wの径方向(Y方向)におけるサイズよりも小さく形成されている。すなわち、複数の液回収槽21〜24はX方向に沿って各液回収槽21〜24の短辺が位置するように整列して配置されている。
各液回収槽21〜24は上部に開口部を有し、その内部には処理液を回収するための回収空間が形成されている。各液回収槽21〜24の底部には、排液口(図示せず)が形成されており、各排液口は相互に異なるドレインに接続されている。例えばこの実施形態では、液回収槽21は薬液Aを用いた薬液処理後の使用済みの薬液Aを回収するための回収槽であり、薬液Aを回収して再利用するための回収ドレインに連通されている。また、液回収槽22は薬液Bを用いた薬液処理後の使用済みの薬液Bを回収するための回収槽であり、薬液Bを回収して再利用するための回収ドレインに連通されている。また、液回収槽23はリンス処理後の使用済みのリンス液を廃液するための廃液槽であり、廃棄処理のための廃棄ドレインに連通されている。さらに、液回収槽24は薬液Cを用いた薬液処理後の使用済みの薬液Cを回収するための回収槽であり、薬液Cを回収して再利用するための回収ドレインに連通されている。
また、液回収ユニット2はX方向に沿って移動自在とされている。液回収ユニット2は回収ユニット移動機構3に接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて回収ユニット移動機構3を駆動させることで液回収ユニット2をX方向に移動させることができる。そして、回収ユニット移動機構3の駆動により液回収ユニット2を段階的に移動させることで、連通部124から放出される処理液を処理液の種類に対応した回収位置に複数の液回収槽21〜24のひとつが選択的に配置される。これによって、連通部124から放出される処理液を液回収槽21〜24に分別して回収することが可能となっている。すなわち、薬液Aを用いた薬液処理時には、連通部124の直下(鉛直方向下方)に液回収槽21が位置(以下「薬液A回収位置」という)するように液回収ユニット2が移動される。これにより、連通部124から放出された薬液Aが液回収槽21に回収される。また、薬液Bを用いた薬液処理時には、連通部124の直下に液回収槽22が位置(以下「薬液B回収位置」という)するように液回収ユニット2が移動される。これにより、連通部124から放出された薬液Bが液回収槽22に回収される。また、リンス処理時には、連通部124の直下に液回収槽23が廃液のための回収位置(以下「廃液位置」という)に位置するように液回収ユニット2が移動される。これにより、連通部124から放出されたリンス液が液回収槽23に集められる。さらに、薬液Cを用いた薬液処理時には、連通部124の直下に液回収槽24が位置(以下「薬液C回収位置」という)するように液回収ユニット2が移動される。これにより、連通部124から放出された薬液Cが液回収槽24に回収される。このように、この実施形態では、回収ユニット移動機構3が本発明の「選択配置手段」として機能する。
次に、上記のように構成された基板処理装置における動作について図1ないし図3を参照しつつ説明する。基板搬送手段(図示せず)によって未処理の基板Wが装置内に搬入されると、制御ユニット4が装置各部を制御して基板Wに対して薬液処理、リンス処理および乾燥処理を実行する。ここでは、薬液処理として薬液A〜Cを基板Wに順次供給して基板Wを処理する場合について説明する。この実施形態では、基板Wは直立姿勢で装置内に搬入され、保持ローラ11が解放状態から押圧状態に切り換えられることによって基板Wが直立姿勢で保持される。なお、対向部材12A,12Bは離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
保持ローラ11に未処理の基板Wが保持されると、対向部材12A,12Bがそれぞれ近接位置まで水平移動され、基板Wの表裏面Wf,Wbに近接配置される。これにより、基板Wの表裏面Wf,Wbが両対向部材12A,12Bに近接した状態で覆われる。そして、液回収ユニット2を薬液A回収位置に移動させて基板Wに対して薬液Aを用いた薬液処理を実行する。すなわち、対向部材12Aと対向部材12Bとに挟まれた間隙空間S1に薬液Aが液密に満たされ基板Wの表裏面Wf,Wbが薬液Aによって処理される。このとき、基板Wを回転させることにより、基板Wの表裏面Wf,Wbに対する薬液処理の均一性を高めることができる。また、薬液供給ユニット16Aから間隙空間S1に薬液Aが供給され続けることによって間隙空間S1に存在する薬液Aが新たに供給される薬液Aに置換される。その結果、間隙空間S1から押し出された薬液Aが連通部124を介してその自重によって鉛直方向(Z方向)下向きに放出される。そして、このように放出された薬液Aはすべて連通部124の直下に位置する液回収槽21に回収され、適宜再利用される。すなわち、連通部124から放出される薬液Aは、薬液Aが意図しない方向に飛散することなく液回収槽21に回収される。
所定時間の薬液Aを用いた薬液処理が終了すると、間隙空間S1への薬液Aの供給を停止させる。そうすると、薬液Aがその表面張力によって間隙空間S1に満たされた状態となるが、基板Wから対向部材12A,12Bを離間させることにより薬液Aの表面張力によって間隙空間S1に保持された薬液Aの保持が解除される。これにより、間隙空間S1に満たされた薬液Aが落下して液回収槽21に回収される。
続いて、液回収ユニット2を薬液B回収位置に移動させて基板Wに対して薬液Bを用いた薬液処理を実行する。すなわち、間隙空間S1に薬液Bが液密に満たされ基板Wの表裏面Wf,Wbが薬液Bによって処理される。また、間隙空間S1から押し出された薬液Bが連通部124を介して鉛直方向下向きに放出され、液回収槽22に回収される。
なお、薬液Bを用いた薬液処理の実行前に間隙空間S1にリンス液(DIW)を供給して対向部材12A,12Bおよび基板Wに残留付着した薬液Aを洗い流すようにしてもよい。この場合、上記のように薬液Aの保持を解除した後のタイミングか、または薬液Aの供給を停止したタイミングで液回収ユニット2が廃液位置に移動された後、間隙空間S1にリンス液が供給される。このとき、間隙空間S1から連通部124を介して放出されるリンス液(薬液Aの残留成分を含む)は液回収槽23に集められ、廃棄される。これにより、薬液Bへの薬液Aの混入を確実に防止することができる。また、間隙空間S1へのリンス液の供給に代えて、薬液Bを用いた薬液処理の実行開始後、しばらくは回収した薬液B(薬液Aの残留成分を含む)を廃棄するようにしてもよい。このようにしても、薬液Bへの薬液Aの混入を確実に防止することができる。
続いて、薬液Cを用いた薬液処理が薬液A,Bを用いた薬液処理と同様にして実行される。すなわち、液回収ユニット2が薬液C回収位置に移動された後、間隙空間S1に薬液Cが液密に満たされ基板Wの表裏面Wf,Wbが薬液Cによって処理される。また、間隙空間S1から押し出された薬液Cが連通部124を介して鉛直方向下向きに放出され、液回収槽24に回収される。なお、薬液Cへの薬液Bの混入を防止するため、上記と同様に薬液Cを用いた薬液処理の実行前に間隙空間S1へのリンス液の供給を実行してもよいし、薬液Cを用いた薬液処理の実行開始後、しばらくは回収した薬液C(薬液Bの残留成分を含む)を廃棄するようにしてもよい。
こうして、薬液A〜Cを用いた薬液処理が終了すると、液回収ユニット2を廃液位置に移動させて基板Wに対してリンス処理を実行する。すなわち、間隙空間S1にリンス液(DIW)が供給され、間隙空間S1に残留する薬液成分がリンス液によって洗い流される。また、間隙空間S1にリンス液が供給され続けることによって間隙空間S1から押し出されたリンス液が連通部124を介してその自重によって鉛直方向下向きに放出される。そして、このように放出されたリンス液はすべて連通部124の直下に位置する液回収槽23に集められ、廃棄される。
所定時間のリンス処理が終了すると、間隙空間S1へのリンス液の供給を停止させる。そうすると、リンス液(DIW)がその表面張力によって間隙空間S1に液密に満たされた状態となる。そして、この状態で乾燥処理を実行する。すなわち、間隙空間S1にIPA蒸気を供給して、間隙空間S1に存在するリンス液をIPAに置換させながら間隙空間S1から排出させる。このように、リンス液をIPAに置換させることでIPAの揮発性により基板Wの乾燥を促進させることができる。さらに、IPA蒸気の供給後に間隙空間S1に窒素ガスを供給することによって、基板Wの表裏面Wf,Wbを乾燥させる。基板Wの乾燥処理が終了すると、対向部材12A,12Bが離間位置に配置された後、保持ローラ11による基板保持が解除され、処理済の基板Wが装置から搬出される。
以上のように、この実施形態によれば、薬液処理およびリンス処理の実行ごとに処理済の処理液(薬液およびリンス液)が連通部から順次放出されるが、処理ユニット1に対して液回収ユニット2が移動することで連通部124から放出される処理液の種類に対応した回収位置に複数の液回収槽21〜24のひとつが選択的に配置される。このため、処理液の種類ごとに処理液を液回収ユニット2に分離して回収することができる。
また、液回収ユニット2は処理ユニット1と分離して処理ユニット1の鉛直方向下方に配置されるとともに、各液回収槽21〜24は連通部124から間隙空間S1の鉛直方向下向きに放出される処理液を回収するように構成されている。このため、連通部124からの処理液の放出先が間隙空間S1の鉛直方向下方に限定されており、処理液が意図しない方向に飛散するのを防止することができる。これにより、連通部124から放出される処理液を確実に液回収槽21〜24に回収させることができる。しかも、配管等を経由することなく連通部124から放出される処理液を直接に液回収槽21〜24に回収させているので配管内に処理液が残留するのを防止することができる。このため、配管内での処理液の残留に起因して処理液の回収率が低下したり、回収した処理液に他の種類の処理液が混入するのを防止することができる。
さらに、処理液の放出先が間隙空間S1の下方側の所定の方向(鉛直方向)に限定されていることから、各液回収槽21〜24(液回収手段)が処理液と接液する接液面を比較的小さくすることができ、各液回収槽21〜24に残留する処理液の量を低減することができる。すなわち、特許文献1記載の装置では、基板の全周から振り切られる薬液を回収するために、カップ(液回収手段)は基板Wを回転可能に保持するスピンチャックを包囲するように配置されている。このため、カップの内壁面(接液面)の面積は比較的大きくなっており、基板から振り切られる薬液がカップの内壁面に付着する結果、カップ内に残留する薬液の量が多くなっていた。その結果、カップ内に残留する薬液に起因して基板が汚染されたり、薬液の回収率が低下するという問題が発生していた。これに対して、この実施形態によれば、処理液の放出先が限定されていることから、液回収手段への処理液の付着量を低減して上記した問題の発生を回避することができる。
また、この実施形態によれば、処理液が放出される方向を鉛直方向下向きとして処理液が放出される方向と処理液に作用する重力の方向とを一致させているので、処理液に作用する重力を利用して連通部124から放出される処理液を液回収槽21〜24に回収することが可能となり、処理液の回収が容易である。
<第2実施形態>
図4はこの発明にかかる基板処理装置の第2実施形態を示す図である。また、図5は図4の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この第2実施形態にかかる基板処理装置では、1枚の基板Wを処理槽内に収容した状態で処理槽に処理液を導入することによって基板Wに対して湿式処理が施される。この基板処理装置では、処理ユニット1Aは、扁平な箱形状に形成された処理槽51を備え、処理槽51の内部には基板Wを収容可能な収容空間S3(本発明の「処理空間」に相当)が形成されている。
処理槽51の上部には供給部52が形成されており、供給部52を介して収容空間S3に薬液A〜C、リンス液、溶剤蒸気および窒素ガスを選択的に供給可能となっている。すなわち、供給部52の基端部は、薬液供給ユニット16A〜16Cと、リンス液供給ユニット17と、IPA蒸気を供給する溶剤蒸気供給ユニット18と、ガス供給ユニット19とに接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じてこれら供給ユニット16A〜16C,17〜19を作動させることによって供給部52から収容空間S3に薬液A〜C、リンス液、溶剤蒸気および窒素ガスを選択的に供給可能となっている。
また、処理槽51の最下端には収容空間S3に供給された処理液を排出するために管状に鉛直方向(Z方向)下向きに延設された排出部53が形成されており、排出部53から収容空間S3内の処理液を放出することが可能となっている。排出部53にはストップバルブ54が介装されており、ストップバルブ54の開閉動作により、収容空間S3からの処理液の放出/放出停止を制御することができる。すなわち、ストップバルブ54が開かれると、収容空間S3内の処理液がその自重によって鉛直方向下向きに落下することによって収容空間S3から放出される。つまり、収容空間S3の鉛直方向下方に位置する下方空間S4に向けて収容空間S3から処理液が放出される。その一方で、ストップバルブ54が閉じられると、収容空間S3からの処理液の放出が停止される。また、ストップバルブ54は開度を調整することで収容空間S3から放出される処理液の流量(排出量)を制御することができる。
また、収容空間S3内で第1実施形態と同様にして基板Wは複数個の保持ローラ11によって直立姿勢に立てた状態で回転可能に保持されている。すなわち、制御ユニット4からの動作指令に応じて保持ローラ回転機構13を作動させることで基板Wは複数個の保持ローラ11に直立姿勢で保持されながら水平軸回りに回転する。なお、この実施形態では、収容空間S3に基板Wを1枚だけ収容して枚葉処理を実行しているが、複数枚(例えば5枚)の基板Wを収容空間S3に収容して複数基板Wに対して一括して処理(バッチ処理)を実行してもよい。
また、処理ユニット1AはX方向に沿って移動自在とされている。すなわち、処理ユニット1Aは処理ユニット移動機構6(本発明の「選択配置手段」に相当)に接続されており、処理ユニット移動機構6を作動させることで処理ユニット1AをX方向に移動させることができる。具体的には、処理ユニット移動機構6は、2本のガイド61,61を備えており、2本のガイド61,61が処理ユニット1Aを両側から挟み込むとともに、X方向に伸びるようにして互いに平行に配置されている。また、ボールネジ62がX方向に延設されている。処理ユニット1Aの両側にはボールネジ62と螺合されたステイ63,63が連結されており、ステイ63,63によって処理ユニット1Aが液回収ユニット2の上方で支持されている。そして、制御ユニット4からの動作指令にしたがってモータ64を駆動すると、そのモータ駆動に応じてボールネジ62が回転する。これによって、ボールネジ62に螺合されたステイ63をX方向に往復移動可能としている。したがって、モータ64を駆動させることで液回収ユニット2の上方で処理ユニット1AをX方向に往復移動させることができる。
処理ユニット1Aの下方側には液回収ユニット2が配置されている。液回収ユニット2の構成は第1実施形態と同様であり、複数種類の処理液、つまり薬液A〜Cおよびリンス液に対応して複数の液回収槽21〜24を有している。複数の液回収槽21〜24は処理槽51の短辺が延びる方向、つまり処理槽51内に保持された基板Wの法線方向(X方向)に沿って各液回収槽21〜24の短辺が位置するように整列して配置されている。この構成によれば、X方向において装置をコンパクトに構成し、装置の小型化を図ることができる。
そして、モータ64の駆動により処理ユニット1Aを段階的に移動させることで、排出部53から放出される処理液を処理液の種類に対応した回収位置に複数の液回収槽21〜24のひとつが選択的に配置される。すなわち、薬液Aを用いた薬液処理時には、排出部53の直下に液回収槽21が位置(薬液A回収位置)するように処理ユニット1Aが移動される。これにより、排出部53から放出された薬液Aが液回収槽21に回収される。また、薬液Bを用いた薬液処理時には、排出部53の直下に液回収槽22が位置(薬液B回収位置)するように処理ユニット1Aが移動される。これにより、排出部53から放出された薬液Bが液回収槽22に回収される。また、リンス処理時には、排出部53の直下に液回収槽23が位置(廃液位置)するように処理ユニット1Aが移動される。これにより、排出部53から放出されたリンス液が液回収槽23に集められる。さらに、薬液Cを用いた薬液処理時には、排出部53の直下に液回収槽24が位置(薬液C回収位置)するように処理ユニット1Aが移動される。これにより、排出部53から放出された薬液Cが液回収槽24に回収される。
このように構成された装置では、基板Wが処理槽51内に搬入され、保持ローラ11に保持されると、次のようにして基板Wに対して薬液処理、リンス処理および乾燥処理が実行される。最初に処理ユニット1Aが液回収槽21の上方に位置(薬液A回収位置)するように移動され、薬液Aを用いた薬液処理が実行される。すなわち、収容空間S3に薬液Aが導入され収容空間S3が薬液Aにより満たされ基板Wの表裏面Wf,Wbが薬液Aによって処理される。このとき、基板Wを回転させることにより、基板Wの表裏面Wf,Wbに対する薬液処理の均一性を高めることができる。また、収容空間S3に薬液を供給し続けるとともに、ストップバルブ54を所定の開度に開くことによって収容空間S3の薬液の一部を放出することによって収容空間S3内に存在する薬液Aを供給部52から供給されるフレッシュな薬液Aに置換する。収容空間S3からの薬液Aは排出部53を介してその自重によって鉛直方向下向きに放出される。そして、このように放出された薬液Aはすべて排出部53の直下に位置する液回収槽21に回収され、適宜再利用される。
薬液Aを用いた薬液処理が終了すると、収容空間S3への薬液Aの供給を停止させる。そして、収容空間S3に残留する薬液Aを排出部53から放出させた後にストップバルブ54を閉じる。続いて、処理ユニット1Aが液回収槽22の上方に位置(薬液B回収位置)するように移動され、ストップバルブ54を開いて薬液Bを用いた薬液処理が実行される。このとき、収容空間S3から排出部53を介して放出される薬液Bは、液回収槽22に回収され、適宜再利用される。
ここで、薬液Bを用いた薬液処理の実行前に収容空間S3にリンス液(DIW)を供給して処理槽51内および基板Wに残留した薬液Aを置換して洗い流すようにしてもよい。この場合、薬液Aの供給が停止されたタイミングで処理ユニット1Aが液回収槽23の上方に位置(廃液位置)に移動された後、収容空間S3にリンス液が供給される。または薬液Aを放出した後のタイミングでリンス処理してもよい。収容空間S3から排出部53を介して放出されるリンス液(薬液Aの残留成分を含む)は液回収槽23に集められ、廃棄される。これにより、薬液Bへの薬液Aの混入を確実に防止することができる。また、収容空間S3へのリンス液の供給に代えて、薬液Bを用いた薬液処理の実行開始後、しばらくは回収した薬液B(薬液Aの残留成分を含む)を廃棄するようにしてもよい。
続いて、ストップバルブ54を閉じた状態で処理ユニット1Aが液回収槽24の上方に位置(薬液C回収位置)に移動される。そして、ストップバルブ54を開いた状態で薬液Cを用いた薬液処理が実行される。このとき、収容空間S3から排出部53を介して放出される薬液Cは、液回収槽24に回収され、適宜再利用される。
こうして、薬液A〜Cを用いた薬液処理が終了すると、ストップバルブ54を閉じた状態で処理ユニット1Aが液回収槽23の上方に位置(廃液位置)に移動される。そして、ストップバルブ54を開いた状態で基板Wに対してリンス処理が実行される。すなわち、収容空間S3にリンス液を供給し続けるとともに、ストップバルブ54を開くことによって収容空間S3に残留する薬液成分をリンス液によって洗い流す。収容空間S3から排出部53を介して放出されるリンス液は、液回収槽23に集められ、廃棄される。
リンス処理が終了すると、収容空間S3へのリンス液の供給を停止させる。その後、収容空間S3にIPA蒸気および窒素ガスが導入されることによって基板Wの乾燥処理が実行される。
以上のように、この実施形態によれば、薬液処理およびリンス処理の実行ごとに処理済の処理液(薬液およびリンス液)が排出部53から順次放出されるが、処理ユニット1Aが移動することで排出部53から放出される処理液の種類に対応した回収位置に複数の液回収槽21〜24のひとつが選択的に配置される。このため、処理液の種類ごとに処理液を複数の液回収ユニット2に分離して回収することができる。
また、第1実施形態と同様に、液回収ユニット2は処理ユニット1Aと分離して処理ユニット1の鉛直方向下方に配置されるとともに、各液回収槽21〜24は排出部53から鉛直方向下向きに放出される処理液を回収するように構成されている。このため、排出部53からの処理液の放出先が収容空間S3の鉛直方向下方に限定されており、処理液が意図しない方向に飛散するのを防止することができる。これにより、排出部53から放出される処理液を確実に液回収槽21〜24に回収させることができる。
しかも、第1実施形態と同様に、配管等を経由することなく排出部53から放出される処理液を直接に液回収槽21〜24に回収させているので配管内に処理液が残留するのを防止することができる。このため、配管内での処理液の残留に起因して処理液の回収率が低下したり、回収した処理液に他の種類の処理液が混入するのを防止することができる。
さらに、この実施形態によれば、処理ユニット1Aの最下端に1つの排出部53を設けているので、処理ユニット1Aからの処理液の放出が1箇所に限定される。このため、排出部53(放出部)から放出される処理液の放出範囲を比較的狭い範囲に限定することができ、排出部53から放出される処理液を確実に液回収槽21〜24に回収させることができる。しかも、処理ユニット1Aの最下端に放出部を設けることで、収容空間S3に供給された処理液を該処理液の自重により排出部53から放出させることが可能となる。
<第3実施形態>
図6はこの発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。ここで、同図(a)は装置の全体図であり、同図(b)は装置の要部拡大図である。この第3実施形態にかかる基板処理装置が第2実施形態と大きく相違する点は、湿式処理時(処理液回収時)に排出部53を液回収槽の内部空間に配置させている点である。なお、その他の構成および動作は第2実施形態と同様であるため、ここでは同一符号を付して説明を省略する。
この実施形態では、処理ユニット1AはX方向に加えてZ方向にも移動自在に支持されている。処理ユニット1Aは処理ユニット移動機構6Aに接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて処理ユニット移動機構6Aを駆動させることで処理ユニット1AをX方向に水平移動させるとともに、Z方向で上下に昇降させることができる。
また、液回収ユニット2Aが有する複数の液回収槽21A〜24Aの各々の上部には、箱形状の槽本体部201から上方に延設された、内部が中空の延設部202が設けられている。すなわち、延設部202を除く槽本体部201の上面は塞がれており、処理液は延設部202を介して回収されるように構成されている。延設部202の開口径は排出部53の外径よりも大きく形成されており、後述するように排出部53を延設部202の中空部(液回収槽の内部空間)に入り込ませることが可能となっている。また、延設部202の開口形状は、排出部53の外径の形状(円形)に対応して円形に、つまり相似形に形成されている。
そして、湿式処理(薬液処理およびリンス処理)が実行される際には、排出部53からの処理液の放出に先立って処理ユニット1Aが処理液の種類に対応した液回収槽21A〜24Aの上方位置に移動された後、下降される。これによって、排出部53が液回収槽21A〜24Aの内部空間に入り込む。すなわち、複数の液回収槽21〜24の各々には、処理液を回収するための回収空間S5が形成されており、処理液の放出口が形成された排出部53の先端部(下端部)53aが回収空間S5内に配置される(図6(b))。具体的には、排出部53の先端部53aが延設部202の上端部202aよりも下方に位置するように処理ユニット1Aが移動される。そして、このように排出部53の先端部が回収空間S5内に配置された状態で排出部53から処理液が放出され、液回収槽21A〜24Aに回収される。このため、排出部53から放出される処理液を確実に液回収槽21A〜24Aに回収させることができる。また、回収空間S5内の処理液雰囲気が回収空間S5から液回収槽21A〜24Aの外部空間に拡散するのを防止することができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記第1実施形態では、基板Wを直立姿勢で立てた状態で湿式処理を施しているが、これに限定されない。例えば、上記第1実施形態では、基板Wを傾斜姿勢で保持しながら対向部材12A,12Bを基板Wの表裏面に対向させながら近接配置してもよい(図7)。このような配置姿勢で湿式処理を実行しても、間隙空間S1から連通部124を介して間隙空間S1の下方側の方向に放出される処理液を処理液の種類に応じて良好に分離して回収することができる。同様にして、上記第2実施形態でも、処理槽51を傾斜して配置することで基板Wを傾斜姿勢にして湿式処理を実行してもよい(図8)。この場合でも、収容空間S3から排出部53を介して収容空間S3の下方側の方向に放出される処理液を処理液の種類に応じて良好に分離して回収することができる。
また、上記第1実施形態では、処理ユニット1を固定配置した状態で液回収ユニット2を移動させて処理液を分離回収するように構成しているが、液回収ユニット2を固定配置した状態で処理ユニット1を移動させて処理液を分離回収するように構成してもよい。また、上記第2および第3実施形態では、液回収ユニット2,2Aを固定配置した状態で処理ユニット1Aを移動させて処理液を分離回収するように構成しているが、処理ユニット1Aを固定配置した状態で液回収ユニット2,2Aを移動させて処理液を分離回収するように構成してもよい。さらに、処理ユニットと液回収ユニットとを同時に相対移動させるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、1つの処理ユニットから放出される処理液を複数の液処理槽のうちのひとつに回収するように構成しているが、これに限定されず、複数の処理ユニットから同時に放出される処理液をそれぞれ、処理液の種類に対応した液回収槽に選択的に回収させるようにしてもよい。例えば、上記第2実施形態では、図9に示すように、2つの処理槽51A,51Bにおいて同時に薬液処理を実行し(処理槽51Aでは薬液Aを用いた薬液処理を実行する一方、処理槽51Bでは薬液Bを用いた薬液処理を実行する)、各処理槽51A,51Bから放出される薬液A,Bをそれぞれ薬液の種類に対応した液回収槽21,22に回収させるようにしてもよい。このように湿式処理を行うことで、基板Wを1枚ずつ処理(枚葉処理)しながらも装置のスループットを向上させることができる。
また、上記実施形態では、湿式処理が実行される間、処理空間(間隙空間S1または収容空間S3)から処理液を放出させ続けているが、これに限定されず、処理空間に処理液を溜めた状態で基板Wに対して湿式処理を施し、湿式処理後に処理空間から放出部を介して処理液を放出させるようにしてもよい。
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板全般に対して処理液を供給して所定の湿式処理を施す基板処理装置に適用することができる。
この発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。 図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。 間隙空間に薬液を供給したときの様子を示した図である。 この発明にかかる基板処理装置の第2実施形態を示す図である。 図4の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。 この発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。 この発明にかかる基板処理装置の変形形態を示す図である。 この発明にかかる基板処理装置の変形形態を示す図である。 この発明にかかる基板処理装置の変形形態を示す図である。
符号の説明
1,1A…処理ユニット
2,2A…液回収ユニット
3…回収ユニット移動機構(選択配置手段)
6,6A…処理ユニット移動機構(選択配置手段)
21〜24…液回収槽(液回収手段)
21A〜24A…液回収槽(液回収手段)
53…排出部(放出部)
124…連通部(放出部)
S1…間隙空間(処理空間)
S3…収容空間(処理空間)
S5…回収空間
W…基板
X…処理ユニットの短辺が延びる方向

Claims (6)

  1. 基板に処理液を供給して前記基板に対して所定の湿式処理を施す基板処理装置において、
    前記基板を配置する処理空間を有し、互いに異なる複数種類の処理液を前記処理空間に順次供給して各処理液ごとに前記基板に対して前記湿式処理を施す一方、前記湿式処理の実行ごとに前記湿式処理後の処理液を放出部から該処理空間の下方側の所定の方向に放出する処理ユニットと、
    前記放出部から順次放出される前記複数種類の処理液を前記処理液の種類ごとにそれぞれ所定の回収位置で回収する複数の液回収手段を有し、前記処理ユニットと分離して前記処理ユニットの下方側に配置された液回収ユニットと、
    前記処理ユニットと前記液回収ユニットとを相対的に移動させることにより前記放出部から放出される前記処理液の種類に対応した前記回収位置に前記液回収手段を選択的に配置し、選択配置された液回収手段で前記放出部から放出される前記処理液を直接回収する
    選択配置手段と
    を備えたことを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記放出部から鉛直方向下向きに前記処理液を放出する請求項1記載の基板処理装置であって、
    前記選択配置手段は前記放出部の鉛直方向下方に前記放出部から放出される処理液の種類に対応した前記回収位置に前記液回収手段を配置させる基板処理装置。
  3. 前記放出部は前記処理ユニットの最下端に1つ設けられる請求項1または2記載の基板処理装置。
  4. 前記複数の液回収手段の各々がその内部に前記処理液を回収するための回収空間を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記選択配置手段は前記放出部からの処理液の放出に先立って前記放出部を前記回収空間内に配置させる基板処理装置。
  5. 前記複数の液回収手段の各々は箱形状に形成され、各液回収手段は水平方向に沿って互いに隣接して配置される請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
  6. 前記処理ユニットおよび前記複数の液回収手段の各々が扁平な箱形状に形成される請求項5記載の基板処理装置であって、
    前記処理ユニットの短辺が延びる方向に沿って各液回収手段の短辺が位置するように前記複数の液回収手段が整列して配置される基板処理装置。
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