JP4799343B2 - シートの製造方法及び加工装置 - Google Patents
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また、一対のロールをシートの流れ方向に複数配置して該シートに延伸加工を繰り返し施す技術も提案されている(下記特許文献5参照)。
図1及び2は本発明のシートの加工装置(以下、単に加工装置ともいう。)の一実施形態を模式的に示したものである。
本実施形態の加工装置1は、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれの一対のロール2、3が回転されているときに、基材シート10を、第1延伸部4Aにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給し、引き続き、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分及び第3延伸部4Cにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給することで、該基材シート10の流れ方向に延伸加工を複数回施し、該基材シート10に伸縮性を付与する。
また、本実施形態の加工装置1には、第1〜第3延伸部4A〜4Cそれぞれのロール2、3の噛み合い部分から、基材シート10の流れ方向に張力を加えながら該基材シート10を引き出す下流側張力付加手段6が設けられており、該張力付加手段6は、該一対のロール2,3毎に設けられている。
第1延伸部4Aの一対のロール2、3は同じ形態のロールで構成されている。ロール2、3に互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられているとは、図1に示すように、ロール2、3の回転軸と、歯20、30がロール2、3の幅方向に延びる方向とが、それぞれ平行になるように周面部に設けられ、歯20と歯20、又は歯30と歯30の間が溝になっていて、噛み合い部分では、互いのロールの歯が互いの溝に噛み合うように設けられていることを意味する。
張力付与手段又は下流側張力付与手段が一対のロール2,3毎に設けられているとは、一対のロール2,3毎に、そのロール2,3間に供給する基材シートの張力又はそのロール2,3間から引き出す基材シートの張力を個別に設定できることを意味する。
そして、第1延伸部4Aにおけるロール2,3の噛み合い部分から引き出した基材シート10を、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給する。そして、第2延伸部4Bにおけるロール2,3間においても、図3に示すように、基材シート10に延伸加工を施す。
更に、第2延伸部4Bにおけるロール2,3の噛み合い部分から引き出した基材シート10を、第3延伸部4Cにおけるロール2,3の噛み合い部分に供給する。そして、第3延伸部4Cにおけるロール2,3間においても、図3に示すように、基材シート10に延伸加工を施す。
例えば、基材シート10の破断荷重が100mm幅あたり約60Nの場合は、延伸加工前に加える張力は100mm幅あたり6〜54Nが好ましく、100mm幅あたり12〜48Nがより好ましい。従来の搬送張力は、一般に100mm幅あたり3〜5N程度であるので、高い張力をかけた状態で延伸加工を施すことになる。
最初の延伸加工時の張力を破断荷重の10〜90%とすることにより、基材シート10を構成する繊維層が延伸されやすくなること、また高い張力を与えることによって噛み合って回転するロール2,3間で該基材シート10の流れ方向すなわち延伸方向での滑り、収縮を抑えることの効果より、該基材シート10に効果的に延伸加工を施し、これによって張力を与えない場合と比べて高い伸縮性が発現される。
このように、それより上流のロール2,3間で延伸された後の基材シート10に延伸加工を施す際には、延伸により低下した強度を考慮し、延伸後の該基材シート10の破断荷重を基準とすることが、延伸加工後の材料の破断を防ぐ点から好ましい。該基材シート10に張力を与えながら、延伸加工を施すことによる効果は前述の通りである。
弾性層としては、繊維層からなるものに代えて、フィルム状のもの、ネット状のもの等を用いることもできる。フィルムやネットの形成材料としては、上記各種の弾性材料を用いることができる。
弾性成分としては、上述した弾性繊維の構成材料を挙げることができる。実質的に非弾性の成分としては、上述した非弾性繊維の構成材料が挙げられる。
しかも、一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際に、該基材シートに張力を加えながら供給するようにしたので、一対のロールの噛み合い部分において、歯の先端とシートとの間の滑りが生じることを防止でき、基材シートに対して設計値に近い延伸倍率による精度の高い延伸加工を安定して施すことができる。
本発明の他の実施形態のシートの製造方法は、図5及び図6に示すように、互いに噛み合う歯溝が周方向に沿うように周面部に設けられた一対のロール2,3を回転させ、それらの噛み合い部分に基材シート10を供給し、該基材シート10にその幅方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、一対のロール2,3を基材シート10の流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、各対のロール2,3の噛み合い部分に、基材シート10の幅方向に張力を加えながら該基材シート10を供給する。
しかも、一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際に、該基材シートに張力を加えながら供給するようにしたので、基材シートに付与される伸縮性の伸縮方向が異なる以外は、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
前記実施形態の加工装置1は、JIS B1701に規定されている標準基準ラック寸法に準じた寸法形状の規定から外れるような形態の歯溝を有するロールを使用したが、これは高い張力をかけながら高い延伸倍率で延伸加工を施すことによって、伸縮性に優れたシートが得られるからである。本発明のシートの製造方法は、該規定に適合する歯溝を有するロールを使用することもでき、その場合にも同様の効果が奏される。
また、加工装置における張力付加手段及び下流側張力付加手段は、ダンサーロール等であっても良い。更に、基材シートの流れ方向の最も上流側に位置する延伸部に対応する張力付加手段は繰り出しロールであっても良く、基材シートの流れ方向の最も下流側に位置する延伸部に対応する下流側張力付加手段は巻き取りロールであっても良い。
また、基材シートを幅方向に延伸する延伸部に基材シートを供給する際の基材シートの張力は、上流側の延伸部に供給するときの張力より、下流側の延伸部に供給するときの張力を大きくしても良い。
2、3 ロール
20、30 歯
5 張力付与手段
6 下流側張力付与手段
10,10A 基材シート
Claims (8)
- 互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを回転させ、それらの噛み合い部分に基材シートを供給し、該基材シートにその流れ方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、
前記一対のロールを前記基材シートの流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、前記各対のロールの噛み合い部分に、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを供給し、
前記基材シートの流れ方向の最も上流側に位置する一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際には、その破断荷重の10〜90%の張力を加えながら該基材シートを供給する、シートの製造方法。 - 前記基材シートの流れ方向の上流側から2つ目以降の一対のロールの噛み合い部分に基材シートを供給する際には、それより前の延伸加工を経た後の基材シートの破断荷重の5〜90%の張力を加えながら該基材シートを供給する請求項1記載のシートの製造方法。
- 前記各対のロールの噛み合い部分から、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを引き出す請求項1又は2記載のシートの製造方法。
- 前記基材シートが不織布からなり、複数回の前記延伸加工によって該基材シートの流れ方向に伸縮性を付与する請求項1〜3の何れか1項記載のシートの製造方法。
- 前記基材シートの流れ方向の上流側に配置した一対のロールから下流側に配置した一対のロールに向かって、ロール間に供給する前記基材シートに加える前記張力を低下させる請求項1〜4の何れか1項記載のシートの製造方法。
- 請求項1に記載のシートの製造方法の実施に用いるシートの加工装置であって、
互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを、前記基材シートの流れ方向に複数備えており、
前記一対のロールの噛み合い部分に供給される前記基材シートに対して、該基材シートの流れ方向に張力を加える張力付加手段が設けられており、該張力付加手段は、該一対のロール毎に設けられているシートの加工装置。 - 前記一対のロールの噛み合い部分から、前記基材シートの流れ方向に張力を加えながら該基材シートを引き出す下流側張力付加手段が設けられており、該張力付加手段は、該一対のロール毎に設けられている請求項6記載のシートの加工装置。
- 互いに噛み合う歯溝が周方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを回転させ、それらの噛み合い部分に基材シートを供給し、該基材シートにその幅方向に延伸加工を施す工程を具備するシートの製造方法であって、
前記一対のロールを前記基材シートの流れ方向に複数配置して該基材シートに前記延伸加工を繰り返し施すと共に、前記各対のロールの噛み合い部分に、前記基材シートの幅方向に張力を加えながら該基材シートを供給し、
前記延伸加工時に前記基材シートに対して付加する張力は、該基材シートの流れ方向の上流側の延伸加工時に付加する張力より、下流側の延伸加工時に付加する張力を小さくする、シートの製造方法。
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