JP6577337B2 - 柔軟性シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性シートの製造方法に関する。
従来より、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールを備えた加工手段を使用し、該ロールを回転させてそれらの噛み合い部分に不織布等のシートを供給して、該シートに加工を施す技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、外周面に形成された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転する一対のロールの間隙に、予め、上流側の延伸ステップにて延伸された不織布を通すことにより、該不織布を更に長手方向に延伸する技術が提案されている。
また、上述したシートに加工を施す技術として、本出願人は、先に、基材シートを一対の駆動ロールから互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に供給して、一対の歯溝ロール間で基材シートを延伸加工する柔軟性シートの製造方法において、駆動ロールの周速と歯溝ロールの周速との関係を調整することにより、基材シートを延伸する技術を提案している(特許文献2参照)。
特開2008−156785号公報 特開2011−80172号公報
特許文献1には、噛み合わせながら回転する一対のロールに関して、一方のギアロールの歯と他方のギアロールの歯が接触すると、破断する等のダメージを不織布に与えてしまうことが記載されている。
しかし、一方のギアロールの歯と他方のギアロールの歯が接触しないようにするためには、例えば、両方のギアロールに駆動源であるモータ等を取り付ける必要があり、更に、一方のギアロールの歯と他方のギアロールの歯との位置関係に高い精度が求められと共にロールの回転中に高い同期精度が求められるようになる。また、両方のギアロールに駆動源を取り付けると共に同期精度を高めると、構造が複雑になり、コストが掛かると共にメンテナンスにも時間が掛かってしまう。
特許文献2に記載の技術によれば、シートの幅が縮み難く、高い柔軟性を有し、肌触りの優れた柔軟性シートを製造することができる。しかし、特許文献2には、構成がシンプルでメンテナンスし易い製造装置を用いて柔軟性シートの生産性を向上させる観点について、何ら記載されていない。
したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る柔軟性シートの製造方法を提供することにある。
本発明は、基材シートを一対のインフィードロールから互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に供給して、一対の該歯溝ロール間で該基材シートをその搬送方向に延伸加工する延伸工程と、一対の前記歯溝ロールで延伸加工された前記基材シートを一対のアウトフィードロールに供給して、一対の該アウトフィードロールで該基材シートにその搬送方向に張力を加えながら一対の該歯溝ロールから引き出す引き出し工程とを具備し、前記アウトフィードロールの周速度V3と前記インフィードロールの周速度V1との関係をV3>V1とした柔軟性シートの製造方法であって、前記延伸工程で用いる一対の前記歯溝ロールは、一方の歯溝ロールが駆動ロールであり且つ他方の歯溝ロールが連れ回りロールであり、該一方の歯溝ロールの複数の歯の内の2本の歯が、他方の歯溝ロールの複数の歯の内の2本の歯と接触することにより該他方の歯溝ロールが連れ回るように構成されており、前記一方の歯溝ロールの歯と前記他方の歯溝ロールの歯と接触する接点どうしの間隔が、該一方の歯溝ロールの歯のピッチの2倍以上である、柔軟性シートの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、シートに破断等のダメージが少なく、高い柔軟性を有し、肌触りの優れた柔軟性シートを製造することができる。また、本発明によれば、構成がシンプルでメンテナンスし易い製造装置を用いて柔軟性シートの生産性を向上させることができる。
図1は、本発明のシートの製造方法に用いられるシートの製造装置の一実施形態及びそれを用いたシートの製造工程を模式的に示す図である。 図2は、図1に示す製造装置における一対の歯溝ロールの部分拡大図である。 図3は、図1に示す製造装置において一対の歯溝ロール間で基材シートに延伸加工を施している状態を模式的に示す図である。 図4は、図3に示延伸加工を施している状態の図を更に拡大した要部拡大図である。
以下、本発明の柔軟性シートの製造方法をその好ましい実施態様に基づき、図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は、本発明の柔軟性シートの製造方法に用いられる製造装置の一実施形態を模式的に示したものである。
以下の説明では、基材シート10を搬送する方向をY方向、搬送する方向と直交する方向及び搬送される基材シート10の幅方向をX方向、搬送される基材シート10の厚み方向をZ方向として説明する。尚、後述する回転軸方向と基材シート10の幅方向(X方向)とは一致している。
図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向(X方向)に沿うように周面部に設けられた一対の歯溝ロール2,3を備えており、歯溝ロール2,3が回転されているときにそれらの噛み合い部分に供給された基材シート10にその搬送方向(Y方向)に延伸加工を施して柔軟性を付与する装置である。本実施形態の製造装置1では、歯溝ロール2,3は同じ形態のロールで構成されている。歯溝ロール2,3に互いに噛み合う歯溝が回転軸方向(X方向)に沿うように周面部に設けられているとは、図1に示すように、歯溝ロール2,3の回転軸と、歯20,30が歯溝ロール2,3上に延びる方向とが、それぞれ平行になるように周面部に設けられ、歯20と歯20、又は歯30と歯30の間が溝になっていて、噛み合い部分では、互いの歯溝ロールの歯が互いの溝に噛み合うように設けられている。
本実施形態の製造装置1では、歯溝ロール2,3は、基材シート10に高い柔軟性等の改良効果が現れ、延伸後の基材シート10aの強度を保つ観点から、基材シート10を延伸倍率1.1倍以上5.0倍以下に延伸加工することが好ましく、1.5倍以上3.0倍以下に延伸加工することが更に好ましい。延伸加工の延伸倍率δは、図2に示す、隣接する歯20,30どうしのピッチP及び歯溝ロール2,3の歯20,30の噛み合い深さDにより、下記の数式1で求められる。
Figure 0006577337
延伸倍率を前記範囲にするために、図2に示すように、各歯溝ロール2,3における隣接する歯20,30どうしのピッチPは、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、各歯20,30の根本での歯厚T1と、各歯20,30の先端での歯厚T2との平均値Tは、前記ピッチPの0.5倍未満であり、且つ歯20,30の高さHは隣接する歯のピッチP以上であることが好ましい。ここで、歯溝ロール2,3における隣接する歯20,30どうしのピッチPとは、1つの歯の先端での歯厚T2を二等分する回転軸方向(X方向)に延びる中心線とそれと隣り合う歯の先端での歯厚T2を二等分する回転軸方向(X方向)に延びる中心線との距離をいう。歯溝ロール2,3の歯20,30の歯厚とは、1つの歯の歯厚をいう。歯の歯厚は均等でなく、歯の根本から歯の先端に向って細くなる台形型の歯であってもよい。歯溝ロール2,3の歯の高さHとは、歯20,30の根本から先端までの長さをいう。
各歯溝ロール2,3における隣接する歯20,30どうしのピッチPは、伸びの均一化を考慮すると、1.5mm以上3.5mm以下が更に好ましく、2.0mm以上3.0mm以下が特に好ましい。また、各歯溝ロール2,3における歯の根本での歯厚T1は、歯の強度を考慮すると、歯どうしのピッチPの0.25倍以上1.0倍未満が好ましく、0.3倍以上0.5倍以下がより好ましい。さらに、各歯溝ロール2,3の歯20,30の高さHは、材料に柔軟性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮するとある程度大きい方が好ましく、一方、回転時における上下の歯の干渉しないことや噛合い時の歯の強度を高くすることを考慮するとある程度小さい方が好ましい。これらのことを観点から、歯20,30のピッチPの1.0倍以上2.5倍以下が好ましく、1.25倍以上2.0倍以下がより好ましい。台形型の歯である場合には、各歯溝ロール2,3における歯20,30の根本での歯厚T1は、上述した範囲が好ましく、各歯溝ロール2,3における歯20,30の先端での歯厚T2は、歯の強度を考慮すると、歯20,30どうしのピッチPの0.2倍以上0.5倍以下が好ましく、0.25倍以上0.4倍以下が更に好ましい。
具体的に、各歯溝ロール2,3における歯の根本での歯厚T1は、0.375mm以上3.5mm未満が好ましく、0.45mm以上1.75mm以下が更に好ましい。
また、各歯溝ロール2,3における歯20,30の先端での歯厚T2は、0.3mm以上1.75mm以下が好ましく、0.375mm以上1.4mm以下が更に好ましい。
さらに、各歯溝ロール2,3の歯20,30の高さHは、1.5mm以上8.75mm以下が好ましく、1.875mm以上7.0mm以下が更に好ましい。
また、一方の歯溝ロール2の各歯20及び他方の歯溝ロール3の各歯30は、それぞれ、角部で基材シート10にダメージを与えない観点から、その先端がR加工されていることが好ましい。好適には、各歯溝ロール2,3における歯20,30の先端の角部は、図2に示すように、R加工により面取りされていることが好ましい。各角部の面取りの曲率半径は、歯20,30の先端での歯厚T2の10%以上50%以下であることが好ましく、歯20,30の先端での歯厚T2の20%以上40%以下であることが更に好ましい。具体的には、各角部の面取りの曲率半径は、0.03mm以上0.875mm以下が好ましく、0.06mm以上0.7mm以下が更に好ましい。尚、上述した各歯溝ロール2,3の歯厚T2の値は、面取り前の値である。
図2に示す歯溝ロール2,3の歯20,30の噛み合い深さDは、材料に優れた柔軟性を与えることを考慮すると、ピッチPが上記範囲の場合、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。同観点から、噛み合い深さDは、歯のピッチP以上となることが好ましい。ここで、歯の噛み合い深さDとは、歯溝ロール2,3同士を噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯20,30同士の重なり合う長さをいう。また、噛合い深さDは、各歯溝ロール2,3の歯20,30の歯底への干渉を考慮すると、歯溝ロール2,3の歯の高さH−0.1mm以下であることが好ましく、歯溝ロール2,3の歯の高さH−0.2mm以下であることが更に好ましい。
一対の歯溝ロール2,3は、何れか一方の歯溝ロールが駆動ロールであり且つ他方の歯溝ロールが連れ回りロールとなっており、本実施形態の製造装置1では、歯溝ロール2が駆動ロールであり且つ歯溝ロール3が連れ回りロールとなっている。好適には、一方の歯溝ロール2の複数の歯20,20,20,・・・の内の2本の歯20,20が、他方の歯溝ロール3の複数の歯30,30,30,・・・の内の2本の歯30,30と接触することにより該他方の歯溝ロール3が連れ回るように構成されている。更に好適には、本実施形態の製造装置1では、図3及び図4に示すように、歯溝ロール2の回転方向Rの上流側の歯20uと歯溝ロール3の上流側の歯30uとが上流側の接点Cuにて接触すると同時に、歯溝ロール2の回転方向Rの下流側の歯20dと歯溝ロール3の下流側の歯30dとが下流側の接点Cdにて接触して、駆動ロールである歯溝ロール2が回転方向Rに回転することにより歯溝ロール3が連れ回るようになっている。具体的には、一方の歯溝ロール2の軸芯と他方の歯溝ロール3の軸芯とを結ぶ仮想線を挟んで上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとで接触している。本実施形態の製造装置1では、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとで歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30とが同時に接触する以外は、歯溝ロール2の他の歯20と歯溝ロール3の他の歯30とは接触していない。
そして、一方の歯溝ロール2の歯20と他方の歯溝ロール3の歯30とが接触する接点Cu,Cdどうしの間隔L(図4参照)が、一方の歯溝ロール2の歯20のピッチPの2倍以上となっている。ここで、接点Cu,Cdどうしの間隔Lとは、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとの最短距離を意味する。このように接点Cu,Cdどうしの間隔L(図4参照)が歯溝ロール2の歯20のピッチPの2倍以上となっていれば、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとの間に、接触していない歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30とが複数個配されていることを意味する。言い換えれば、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとが歯溝ロール2の回転方向Rに隣り合っていないことを意味する。接点Cu,Cdどうしの間隔L(図4参照)は、肌触りの優れた柔軟性シートを製造する観点から、歯溝ロール2の歯20のピッチPの3倍以上となっていることが好ましく、歯溝ロール2の歯20のピッチPの5倍以上となっていることが更に好ましい。
一方の歯溝ロール2の歯20と他方の歯溝ロール3の歯30とが接触する接点は、シートを供給させずに一対の歯溝ロールを回転させた状態で歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30とが接触しているか否かで確認することができる。
上述のように上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとで歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30とを接触させる観点から、歯溝ロール2,3の歯20,30の噛み合い深さDと、歯20、30どうしのピッチPと歯20、30の先端から噛合い深さの位置での歯厚T’との差から求められる値との比D/(P−T’)が、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがさらに好ましい。
本実施形態の製造装置1は、図1に示すように、歯溝ロール2、3の上流側に、基材シート10の原反(基材シートロール)を取り付けた基材シート10を繰り出す繰り出しロール41と、繰り出しロール41と歯溝ロール2,3との間に配された一対のインフィードロール42,43と、歯溝ロール2、3とインフィードロール42,43との間の搬送経路上に配された張力検出器(図示せず)と、該張力検出器の検出出力に基づいてインフィードロール42,43の周速度V1を制御する制御部(図示せず)とを備えている。インフィードロール42,43は、一対の歯溝ロール2、3の間に基材シート10を供給する役割を担うロールである。本実施形態の製造装置1では、前記張力検出器の検出出力に基づいてインフィードロール42,43の周速度V1を互いに噛み合った状態での歯溝ロール2、3の周速度V2に対して所定速度に調整し、基材シート10に所望の張力を付与する。前記制御部による具体的な制御方法としては、所望の張力よりも大きな張力を検出した場合、歯溝ロール2、3の周速度V2よりインフィードロール42,43の周速度V1を微増することによって、この区間の張力を小さくし、所望の張力に近づくよう調整する。一方、所望の張力より小さい張力を検出した場合、歯溝ロール2、3の周速度V2よりインフィードロール42,43の周速度V1を微減することによって、この区間の張力を大きくし、所望の張力に近づくよう調整する。
尚、インフィードロール42,43の周速度V1を繰り出しロール41から繰り出される基材シート10の繰り出し速度V4に対して所定速度に調整し、基材シート10に所望の張力を付与することもできる。
また、本実施形態の製造装置1は、図1に示すように、歯溝ロール2、3の下流側に、歯溝ロール2、3間で延伸加工された基材シート10aを歯溝ロール2、3から引き出して次工程に搬送する一対のアウトフィードロール51,52と、アウトフィードロール51,52と歯溝ロール2、3との間の搬送経路上に配された張力検出器(図示せず)と、該張力検出器の検出出力に基づいてアウトフィードロール51,52の周速度を制御する制御部(図示せず)とを備えている。本実施形態の製造装置1では、前記張力検出器の検出出力に基づいてアウトフィードロール51,52の周速度V3を歯溝ロール2、3の周速度V2に対して所定速度に調整し、延伸加工した基材シート10aを歯溝ロール2、3から引き出すと共に、基材シート10aに所望の張力を付与した柔軟性シート11を製造する。 前記制御部による具体的な制御方法としては、所望の張力よりも大きな張力を検出した場合、歯溝ロール2、3の周速度V2よりアウトフィードロール51,52の周速度V3を微減することによって、この区間の張力を小さくすることによって、所望の張力に近づくよう調整する。一方、所望の張力より小さい張力を検出した場合、歯溝ロール2、3の周速度V2よりアウトフィードロール51,52の周速度V3を微増することによって、この区間の張力を大きくすることによって、所望の張力に近づくよう調整する。
ここで、インフィードロール42,43の周速度V1とは、各ロール42,43表面での速度のことであり、繰り出しロール41から繰り出される基材シート10の繰り出し速度V4とは、繰り出された基材シート10表面での速度のことを意味する。
また、アウトフィードロール51,52の周速度V3とは、インフィードロール42,43の周速度V1と同様に、各ロール51,52表面での速度のことである。
また、歯溝ロール2、3の周速度V2とは、歯20,30の先端での速度のことである。
製造装置1は、制御手段(図示せず)を備えており、該制御手段は、前記駆動手段、張力検出器による張力の検出、並びにそれに基づく繰り出しロール41、インフィードロール42,43、歯溝ロール2、3及びアウトフィードロール51,52それぞれの速度制御を、所定の動作シーケンスに従って制御している。
次に、本発明の柔軟性シートの製造方法の一実施態様を、製造装置1を用いて基材シート10に柔軟加工を施し、柔軟性シート11を製造する製造方法に基づいて説明する。
本実施態様の柔軟性シートの製造方法は、図1に示すように、基材シート10を一対のインフィードロール42,43から互いに噛み合う一対の歯溝ロール2,3の噛み合い部分に供給して、一対の歯溝ロール2,3間で基材シート10をその搬送方向(Y方向)に延伸加工する延伸工程を具備している。更に、本実施態様の柔軟性シートの製造方法は、一対の歯溝ロール2,3で延伸加工された基材シート10aを一対のアウトフィードロール51,52に供給して、一対のアウトフィードロール51,52で基材シート10aにその搬送方向(Y方向)に張力を加えながら一対の歯溝ロール2,3から引き出す引き出し工程を具備している。本実施態様では、アウトフィードロール51,52の周速度V3と、インフィードロール42,43の周速度V1との関係を、V3>V1に設定している。
以下、延伸工程、及び引き出し工程について説明する。
延伸工程の前工程では、ロール状の基材シート10の原反を取り付けた繰り出しロール41から基材シート10を繰り出し、繰り出された基材シート10がインフィードロール42,43に供給される。本実施態様においては、基材シート10の供給持のインフィードロール42,43の周速度V1と基材シート10の繰り出し速度V4とは等速(V1=V4)である。延伸工程では、図1及び図3に示すように、一対のインフィードロール42,43から基材シート10を、製造装置1における一対の歯溝ロール2,3を回転させながらそれら歯溝ロール2,3の噛み合い部分に供給し、基材シート10をその搬送方向(Y方向)に延伸加工する。
また、本実施態様の延伸工程に用いる一対の歯溝ロール2,3においては、図4に示すように、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとの2箇所の接点で、一対の歯溝ロール2,3の歯20,30どうしが接しているので、上流側の接点Cuよりも上流側の基材シート10のテンションが接点Cuでカットされるようになり易く、インフィードロール42,43の周速度V1を、歯溝ロール2,3の周速度V2以上の高速とすることができ、歯溝ロール2,3に供給する前に、基材シート10の幅を縮めないようにして、張力を付与された基材シート10を歯溝ロール2,3の噛み合い部分に供給することができる。また、インフィードロール42,43の周速度V1を歯溝ロール2,3の周速度V2以上の高速とする(V1≧V2)場合、言い換えれば、歯溝ロール2,3の周速度V2をインフィードロール42,43の周速度V1以下の低速にする場合には、張力を付与された基材シート10に必要以上にテンションがかからないので、歯溝ロール2,3の歯20,30の噛み合い深さDを、上述したように、深く設定することができる。このような観点から、インフィードロール42,43の周速度V1に対する歯溝ロール2,3の周速度V2の比率〔(V2/V1)×100〕は、60%〜90%であることが好ましく、70%〜85%であることが更に好ましく、70%〜80%であることが一層好ましい。
尚、本実施態様の延伸工程では、歯溝ロール2,3の周速度V2をインフィードロール42,43の周速度V1より低速にしているが、歯溝ロール2,3の歯20,30の噛み合い深さDが、上述したような深さに設定されているため、弛みを生じずに基材シート10を歯溝ロール2,3に供給することができる。また、本実施態様の延伸工程では、歯溝ロール2,3の周速度V2をインフィードロール42,43の周速度V1より高速にしてもよい。
本実施態様の延伸工程で基材シート10に付与される張力は、基材シート10の破断荷重の10%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることが更に好ましい。基材シート10に付与される張力は、例えば、基材シート10の破断荷重が100mm幅あたり約60Nの場合には、延伸加工前に加える張力は100mm幅あたり6〜30Nが好ましく、100mm幅あたり6〜24Nが更に好ましい。これは張力が小さい場合は延伸加工を行っても伸縮性が十分に発現されないことがあり、逆に張力が大きい場合はこの区間において材料が伸ばされて幅縮みが起こり、延伸加工後の所望のシート幅が得られないことがあるためである。
本実施態様の引き出し工程では、図1に示すように、製造装置1における一対のアウトフィードロール51,52を回転させながらそれらの間に歯溝ロール2、3間で延伸加工された基材シート10aを供給して、基材シート10aに基材シート10aの搬送方向(Y方向)に張力を加えながら一対の歯溝ロール2,3間から引き出して、柔軟性シート11を製造する。具体的には、アウトフィードロール51,52の周速度V3を、歯溝ロール2,3の周速度V2より高速にして(V3>V2)、基材シート10aに所望の張力を加えることで弛ませずに基材シート10aを搬送することが好ましい。さらに、具体的には、延伸工程でのシート10aの延伸量を維持するために、歯溝ロール2,3の周速度V2と、アウトフィードロール51,52の周速度V3と、延伸倍率δとの関係が、V2×δ≦V3となるようにして、基材シート10aに所望の張力を加えることが好ましい。アウトフィードロール51,52の周速度V3に対する歯溝ロール2,3の周速度V2の比率〔(V2/V3)×100〕は、20%〜90%であることが好ましく、30%〜70%であることが更に好ましく、30%〜50%が一層好ましい。
尚、上述したように、本実施態様の柔軟性シートの製造方法では、アウトフィードロール51,52の周速度V3が、インフィードロール42,43の周速度V1よりも高速に(V3>V1)設定されている。このように設定することで、延伸加工された基材シート10aに弛みを生じさせずに後工程へ搬送することができる。ここで、アウトフィードロール51,52の周速度V3に対するインフィードロール42,43の周速度V1の比率〔(V1/V3)×100〕は、30%〜80%であることが好ましく、40%〜60%であることが更に好ましい。加えられる張力は、延伸加工後の基材シート10aの破断荷重の5%以上50%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることが更に好ましい。
このように、延伸工程後の基材シート10aの搬送の際には、上流の延伸により低下した強度を考慮し、延伸加工後の該基材シート10aの破断荷重を基準とすることが、引き出し工程後の基材シート10aの破断を防ぐ点から好ましい。即ち、延伸工程より上流側のインフィードロール42,43に供給するときの張力より、延伸工程より下流側のアウトフィードロール51,52に供給するときの張力を小さくすることが好ましい。
加工を施す基材シート10としては、特に制限はなく、例えば、紙、単層不織布、樹脂フィルム、2種以上の不織布の積層体、樹脂フィルムと不織布との積層体等が挙げられる。具体的に、基材シート10としては、ポリプロピレン繊維、ポリプロピレンとポリエチレンの組成物からなる繊維、及びポリプロピレンとポリエチレンのバイコンポネント繊維から選ばれるポリオレフィン繊維の熱可塑性重合体不織布が挙げられる。また、製造装置1による延伸加工によって、基材シート10に柔軟性を付与すると共に伸縮性を付与する観点から、弾性繊維を含む不織布が好ましい。弾性繊維を含む不織布としては、弾性繊維を含む弾性繊維層の少なくとも一面に、実質的に非弾性の繊維から構成された非弾性繊維層が配され、両繊維層は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、熱融着によって接合された伸縮性不織布(以下、伸縮性複合不織布という。)や、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されている伸縮不織布が挙げられる。
前記弾性繊維は、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ゴム等の弾性樹脂を原料とする繊維が用いられる。また、非弾性繊維は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維が用いられる。
伸縮性複合不織布としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、特開2008−179128号公報に記載の伸縮シート、特開2007−22066号公報に記載の伸縮性シート、特開2007−22066号公報に記載の伸縮性不織布の製造方法により製造される伸縮性不織布、特許3054930号公報等を用いることもできる。
以上説明した、製造装置1を用いて基材シート10に柔軟加工を施す本実施態様の柔軟性シート11の製造方法によれば、アウトフィードロール51,52の周速度V3と、インフィードロール42,43の周速度V1との関係を、V3>V1に設定している。また、本実施態様では、延伸工程で用いる一対の歯溝ロール2,3においては、図3及び図4に示すように、歯溝ロール2の回転方向Rの上流側の歯20uと歯溝ロール3の上流側の歯30uとが上流側の接点Cuにて接触すると同時に、歯溝ロール2の回転方向Rの下流側の歯20dと歯溝ロール3の下流側の歯30dとが下流側の接点Cdにて接触して、駆動ロールである歯溝ロール2が回転方向Rに回転することにより歯溝ロール3が連れ回るようになっている。そして、一方の歯溝ロール2の歯20と他方の歯溝ロール3の歯30と接触する接点Cu,Cdどうしの間隔L(図4参照)が、一方の歯溝ロール2の歯20のピッチPの2倍以上となっている。このように、2箇所の接点Cu,Cdで接触しているので、一対の歯溝ロール2,3の歯20,30の噛み合いの力が2箇所で分散し、基材シート10へのダメージが緩和され易くなっている。また、2箇所の接点Cu,Cdが歯溝ロール2の回転方向Rに隣り合っておらず、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとの間に、接触していない歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30とが複数個配されているので、延伸時間を長くすることができ(すなわち引張速度を遅くすることができ)、局所的な破断が減少し易く、高い柔軟性を有し、肌触りの優れた柔軟性シート11を製造することができる。しかも、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとの2箇所の接点で、一対の歯溝ロール2,3の歯20,30どうしが接しているので、上流側の接点Cuよりも上流側の基材シート10のテンションが接点Cuでカットされ、下流側の接点Cdよりも下流側の延伸工程後の基材シート10aのテンションが接点Cdでカットされるようになり易く、2箇所の接点Cu,Cdでの基材シート10,10aの滑りが抑えられ、基材シート10aに設計通りの延伸率を付与することができる。
本実施態様の柔軟性シート11の製造方法によれば、延伸工程で用いる一対の歯溝ロール2,3に関し、一方の歯溝ロール2が駆動ロールであり、他方の歯溝ロール3が連れ回りロールとなっている。そして、図4に示すように、歯溝ロール2の回転方向Rの上流側の歯20uと歯溝ロール3の上流側の歯30uとが上流側の接点Cuにて接触すると同時に、歯溝ロール2の回転方向Rの下流側の歯20dと歯溝ロール3の下流側の歯30dとが下流側の接点Cdにて接触して、駆動ロールである歯溝ロール2が回転方向Rに回転することにより歯溝ロール3が連れ回るようになっている。その為、一方の歯溝ロール2の歯20と他方の歯溝ロール3の歯30との位置関係に高い精度が求められることが無く、ロール2,3の回転中に高い同期精度が求められることも無い。その為、本実施態様の柔軟性シート11の製造方法に用いる製造装置1は、構成がシンプルでメンテナンスがし易いにも拘らず、柔軟性シート11の生産性を向上させることができる。
また、本実施態様の柔軟性シートの製造方法によれば、インフィードロール42,43の周速度V1を歯溝ロール2,3の周速度V2以上の高速とする(V1≧V2)ことができる。その為、シート10aの歯溝ロール2,3への供給時の張力を抑えることができ、シート10aの幅縮みを抑制する効果を奏することが可能となる。
また、本実施態様の柔軟性シートの製造方法によれば、延伸工程で用いる一対の歯溝ロール2,3に関し、各歯20,30の先端がR加工されている歯20,30を用いれば、基材シート10を延伸する際に基材シート10にダメージを与え難く、局所的な破断が更に減少し易く、高い柔軟性を有し、肌触りの更に優れた柔軟性シート11を製造することができる。
本発明の柔軟性シートの製造方法は、上述の実施態様の製造方法に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述の本実施態様の柔軟性シートの製造方法に用いられる製造装置1は、図1に示すように、延伸工程において歯溝ロール2,3を一対のみ設けているが、基材シート10の搬送方向(Y方向)に直列に複数対設け、基材シート10に延伸工程を繰り返し施すことにより、基材シート10に更に高い柔軟性を付与することができる。
また、上述の本実施態様の柔軟性シートの製造方法に用いられる製造装置1は、上流側の接点Cuと下流側の接点Cdとで歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30とが同時に接触する以外は、歯溝ロール2の他の歯20と歯溝ロール3の他の歯30とは接触していないが、延伸加工中のある瞬間においては、それ以外の箇所で歯溝ロール2の歯20と歯溝ロール3の歯30が接触しても構わない。その場合であっても、上流側の接点Cu、下流側の接点Cdのどちらか一方のみで接触する瞬間は存在しない。
また、上述の本実施態様の柔軟性シートの製造方法においては、基材シート10の供給持のインフィードロール42,43の周速度V1と基材シート10の繰り出し速度V4とは等速(V1=V4)であるが、インフィードロール42,43の周速度V1を、基材シート10の繰り出し速度V4より高速にし、次工の延伸工程前に、基材シート10を予備延伸してもよい。即ち、インフィードロール42,43の周速度V1と基材シート10の繰り出し速度V4との周速差ΔV(=V1−V4)により、基材シート10が予備延伸されてもよい。インフィードロール42,43の周速度V1に対する基材シート10の繰り出し速度V4の比率〔(V4/V1)×100〕は、80%〜100%であることが好ましく、90%〜98%であることが更に好ましい。付与される張力は、基材シート10の破断荷重の10%以上50%以下であることが好ましく、10%以上20%以下であることが更に好ましい。基材シート10に付与される張力は、例えば、基材シート10の破断荷重が100mm幅あたり約60Nの場合には、延伸加工前に加える張力は100mm幅あたり6〜30Nが好ましく、100mm幅あたり6〜12Nが更に好ましい。
また、上述の本実施態様の柔軟性シートの製造方法に用いられる製造装置1には、必要に応じてヒーターを設けてもよい。具体的には、図1に示すインフィードロール42,43、アウトフィードロール51,52及び歯溝ロール2,3にヒーターを設けてもよい。インフィードロール42,43、アウトフィードロール51,52、又は歯溝ロール2,3にヒーターを設けることにより、シートに熱を与えることによりシートが変形しやすくなり、ダメージを与えずに延伸しやすく、より伸びやすくなる効果を奏する。
また、上述の本実施態様の柔軟性シートの製造方法に用いられる製造装置1には、必要に応じて吸引手段を設けてもよい。具体的には、図1に示すインフィードロール42,43及びアウトフィードロール51,52の周面に複数個の開孔およびロール内部にその開孔と通じる通路を設けて吸引路を形成し、ロール外の吸引装置とをつなげることによって吸引路を通してロールの周面に吸引力を与え、加工済みのシートを搬送できるようにしてもよい。
本発明の製造方法により製造された柔軟性シートは、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、体液吸収パッド等に代表される吸収性物品のトップシート、バックシート、立体ギャザー、外装材等の構成材料に好適に用いることができる。
上述した実施形態に関し、さらに以下の柔軟性シートの製造方法を開示する。
<1>
基材シートを一対のインフィードロールから互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に供給して、一対の該歯溝ロール間で該基材シートをその搬送方向に延伸加工する延伸工程と、
一対の前記歯溝ロールで延伸加工された前記基材シートを一対のアウトフィードロールに供給して、一対の該アウトフィードロールで該基材シートにその搬送方向に張力を加えながら一対の該歯溝ロールから引き出す引き出し工程とを具備し、
前記アウトフィードロールの周速度V3と前記インフィードロールの周速度V1との関係をV3>V1とした柔軟性シートの製造方法であって、
前記延伸工程で用いる一対の前記歯溝ロールは、一方の歯溝ロールが駆動ロールであり且つ他方の歯溝ロールが連れ回りロールであり、該一方の歯溝ロールの複数の歯の内の2本の歯が、他方の歯溝ロールの複数の歯の内の2本の歯と接触することにより該他方の歯溝ロールが連れ回るように構成されており、
前記一方の歯溝ロールの歯と前記他方の歯溝ロールの歯と接触する接点どうしの間隔が、該一方の歯溝ロールの歯のピッチの2倍以上である、柔軟性シートの製造方法。
<2>
前記インフィードロールの周速度V1と前記歯溝ロールの周速度V2との関係をV1≧V2とした、前記<1>に記載の柔軟性シートの製造方法。
<3>
前記一方の歯溝ロールの各歯及び前記他方の歯溝ロールの各歯は、それぞれ、その先端がR加工されている、前記<1>又は<2>に記載の柔軟性シートの製造方法。
<4>
一対の前記歯溝ロールの周速度V2と、前記アウトフィードロールの周速度V3および前記基材シートの延伸倍率δの関係を、V2×δ≦V3とした、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<5>
一対の前記歯溝ロールの互いに噛み合う歯溝は、回転軸方向に沿うように周面部に設けられている、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<6>
一対の前記歯溝ロールの互いに噛み合う歯溝は、回転軸方向に沿うように周面部に設けられている、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<7>
前記基材シートは、延伸倍率1.1倍以上5.0倍以下に延伸加工されることが好ましく、1.5倍以上3.0倍以下に延伸加工されることが更に好ましい、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<8>
一対の前記歯溝ロールにおける隣接する歯どうしのピッチは、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、前記基材シートの伸びの均一化を考慮すると、1.5mm以上3.5mm以下が更に好ましく、2.0mm以上3.0mm以下が特に好ましい、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<9>
一対の前記歯溝ロールの各歯の根本での歯厚T1と、各歯の先端での歯厚T2との平均値Tは、前記ピッチPの0.5倍未満であることが好ましい、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<10>
一対の前記歯溝ロールの各歯の根本での歯厚T1は、歯どうしのピッチPの0.25倍以上1.0倍未満が好ましく、0.3倍以上0.5倍以下がより好ましい、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<11>
一対の前記歯溝ロールの各歯の高さHは、各歯のピッチPの1.0倍以上2.5倍以下が好ましく、1.25倍以上2.0倍以下がより好ましい、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<12>
一対の前記歯溝ロールの各歯の先端での歯厚T2は、歯どうしのピッチPの0.2倍以上0.5倍以下が好ましく、0.25倍以上0.4倍以下が更に好ましい、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<13>
一対の前記歯溝ロールの各歯の根本での歯厚T1は、0.375mm以上3.5mm未満が好ましく、0.45mm以上1.75mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<14>
一対の前記歯溝ロールの各歯の先端での歯厚T2は、0.3mm以上1.75mm以下が好ましく、0.375mm以上1.4mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<13>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<15>
一対の前記歯溝ロールの各歯の高さHは、1.5mm以上8.75mm以下が好ましく、1.875mm以上7.0mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<16>
一対の前記歯溝ロールの各歯の先端はR加工により面取りされており、面取りの曲率半径は、0.03mm以上0.875mm以下が好ましく、0.06mm以上0.7mm以下が更に好ましい、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<17>
一対の前記歯溝ロールの各歯の噛み合い深さDは、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい、前記<1>〜<16>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<18>
一方の前記歯溝ロールの歯と他方の前記歯溝ロールの歯とが接触する接点Cu,Cdどうしの間隔Lは、前記一方の歯溝ロールの歯のピッチPの2倍以上が好ましく、3倍以上が更に好ましく、5倍以上が特に好ましい、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<19>
一対の歯溝ロールの各歯の噛み合い深さDと、各歯どうしのピッチPと各歯の先端から噛合い深さの位置での歯厚T’との差から求められる値との比D/(P−T’)が、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがさらに好ましい、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<20>
前記インフィールドロールの周速度V1に対する前記歯溝ロールの周速度V2の比率〔(V1/V2)×100〕は、60%〜90%であることが好ましく、70%〜85%であることが更に好ましく、70%〜80%であることが一層好ましい、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<21>
アウトフィードロールの周速度V3を、歯溝ロールの周速度V2より高速にして(V3>V2)、前記基材シートに所望の張力を加える、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<22>
歯溝ロールの周速度V2と、アウトフィードロールの周速度V3と、延伸倍率δとの関係が、V2/V3≦1/δとなるようにして、前記基材シートに所望の張力を加えることが好ましい、前記<1>〜<21>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<23>
前記アウトフィードロールの周速度V3に対する前記歯溝ロールの周速度V2の比率〔(V2/V3)×100〕は、20%〜90%であることが好ましく、30%〜70%であることが更に好ましく、30%〜50%が一層好ましい、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<24>
前記アウトフィードロールの周速度V3に対する前記インフィードロールの周速度V1の比率〔(V1/V3)×100〕は、30%〜80%であることが好ましく、40%〜60%であることが更に好ましい、前記<1>〜<23>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<25>
前記基材シートの供給持の前記インフィードロールの周速度V1と、前記基材シートの繰り出し速度V4とが等速(V1=V4)である、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<26>
前記インフィードロールの周速度V1に対する前記基材シートの繰り出し速度V4の比率〔(V4/V1)×100〕は、80%〜100%であることが好ましく、90%〜98%であることが更に好ましい、前記<1>〜<25>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<27>
前記歯溝ロールにヒーターが設けられている、前記<1>〜<26>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
<28>
柔軟性シートは、吸収性物品の構成材料に用いられる、<1>〜<27>の何れか1に記載の柔軟性シートの製造方法。
1 製造装置
2,3 歯溝ロール
20,30 歯
41 繰り出しロール
42,43 インフィードロール
51,52 アウトフィードロール
10 歯溝ロール2、3による延伸加工前の基材シート
10a 歯溝ロール2、3により延伸加工された基材シート
11 柔軟性シート
V1 インフィードロールの周速度
V2 歯溝ロールの周速度
V3 アウトフィードロールの周速度
V4 繰り出しロールの周速度

Claims (5)

  1. 基材シートを一対のインフィードロールから互いに噛み合う一対の歯溝ロールの噛み合い部分に供給して、一対の該歯溝ロール間で該基材シートをその搬送方向に延伸加工する延伸工程と、
    一対の前記歯溝ロールで延伸加工された前記基材シートを一対のアウトフィードロールに供給して、一対の該アウトフィードロールで該基材シートにその搬送方向に張力を加えながら一対の該歯溝ロールから引き出す引き出し工程とを具備し、
    前記アウトフィードロールの周速度V3と前記インフィードロールの周速度V1との関係をV3>V1とした柔軟性シートの製造方法であって、
    前記延伸工程で用いる一対の前記歯溝ロールは、一方の歯溝ロールが駆動ロールであり且つ他方の歯溝ロールが連れ回りロールであり、該一方の歯溝ロールの複数の歯の内の2本の歯が、他方の歯溝ロールの複数の歯の内の2本の歯と接触することにより該他方の歯溝ロールが連れ回るように構成されており、
    前記一方の歯溝ロールの歯と前記他方の歯溝ロールの歯と接触する接点どうしの間隔が、該一方の歯溝ロールの歯のピッチの2倍以上である、柔軟性シートの製造方法。
  2. 前記インフィードロールの周速度V1と前記歯溝ロールの周速度V2との関係をV1≧V2とした請求項1に記載の柔軟性シートの製造方法。
  3. 前記一方の歯溝ロールの各歯及び前記他方の歯溝ロールの各歯は、それぞれ、その先端がR加工されている請求項1又は2に記載の柔軟性シートの製造方法。
  4. 一対の前記歯溝ロールの周速度V2と、前記アウトフィードロールの周速度V3および前記基材シート延伸倍率δの関係を、V2×δ≦V3とした請求項1〜3の何れか1項に記載の柔軟性シートの製造方法。
  5. 一対の前記歯溝ロールの互いに噛み合う歯溝は、回転軸方向に沿うように周面部に設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の柔軟性シートの製造方法。
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