JP2009061743A - 伸縮シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸縮特性に優れ、且つシートを構成する各層間の接合強度が高く、実用上充分な強度を有する伸縮シートを提供すること。
【解決手段】伸縮シート10は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメント13が、実質的に非伸張状態で、それらの全長にわたり、非弾性繊維を含んで構成される伸張可能な不織布11,12に接合されてなるもので、弾性樹脂を含んでいる。弾性フィラメント13と不織布11,12との間の接合強度が10cN/25mm以上で、伸縮シート10を前記一方向に沿って50%伸長させた状態から伸長方向とは逆方向に25%収縮させたときの該伸縮シート10の強度が、該伸縮シート10中に含まれる前記弾性樹脂の坪量当たり1.0cN/{50mm・(g/m2)}以上、且つ弾性フィラメント13と不織布11,12を構成する繊維との間の平均接合割合が10〜60%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性フィラメントと不織布とを複合化してなる伸縮シートに関する。
弾性を有する繊維と不織布とを複合化してなる伸縮シートに関する従来の技術としては、例えば特許文献1及び2に記載の技術が知られている。同文献に記載の伸縮シートは、同文献の図1に記載されているように第1の不織布層122と、第2の不織布層126と、両不織布層間に位置するエラストマー層124とから構成されている。エラストマー層124はスクリム、穿孔フィルム、エラストマー織布、不織布から構成されている。同文献の図1には、エラストマー層124が、互いに直交する複数の第1のストランド125と、複数の第2のストランド127とからなるエラストマースクリム130から構成されていることが記載されている。エラストマー層124がこのような構造になっていることに起因して、特許文献1及び2に記載の伸縮シートは、それをある一方向に伸長させると、伸長方向と直交する方向のシート幅が狭くなる現象、即ち幅縮みの現象が起こる。したがって、この伸縮シートを例えばパンツ型おむつの外包材として用いると、幅縮みに起因しておむつがずれ落ちやすくなったり、おむつに皺が寄ったりする。また、ストランド125,127は、不織布層122,126へ熱及び圧力によって接合されているので、ストランド125,127が不織布層122,126内へ食い込んでしまい、不織布層122,126のふんわり感が損なわれる。更に、十分な接合強度を得ようとすると、熱及び圧力によって不織布が溶けてしまいフィルム化してしまうという問題があった。このため、不織布に融点の高いものを用いれば不織布繊維自体が溶けないですむが、エラストマースクリムとは融着しないものとなるため、シートとしての剥離強度が低下する。また、高い融点の不織布では、柔らかな風合いの良いシートを得ることが困難であった。
伸縮シートの他の技術として、特許文献3に記載の技術も知られている。同文献に記載の伸縮シートは、同文献の図1、図2及び図5に示されているように、ギア形状を有する波形部材20,21によってシート12に多数のアーチ部分13を形成し、そのアーチ部分13の頂部(底部)に弾性ストランド16を融着してなるものである。弾性ストランド16は、ダイ22から溶融状態で押し出され、未延伸の状態でシート12に融着する。したがって弾性ストランド16は、シート12と点接触で接合されることになり、それに起因して接合強度を高めることが容易でない。また同文献に記載の伸縮シートは、アーチ部分13が平たくなる以上には伸長することができず、いわゆる伸び止まりがある。更に、アーチ部分13を形成してシート12を弛ませている分だけシート12の使用量が多くなり経済的ではなく、通気性も低くなる。尚、同文献には、弾性ストランド16と接合される前のシート12をその原反の状態で既に伸長可能にした状態で該弾性ストランドと接合してもよいことが記載されている。しかし、流れ方向に伸長可能な不織布を、伸長させずに搬送することは困難である。更に巻き取り時の張力によって伸縮力が緩和されてしまうため、保存性に問題があった。
特表2003−524533号公報 特表2003−524534号公報 特表平10−501195号公報
従って、本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮シートを提供することにある。特に、本発明の目的は、伸縮特性に優れ、且つ伸縮シートを構成する各層間の接合強度が高く、風合いの良い、実用上充分な強度を有する伸縮シートを提供することにある。
本発明は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸張状態で、非弾性繊維を含んで構成される伸張可能な不織布に接合されてなる伸縮シートであって、前記伸縮シートは弾性樹脂を含み、前記弾性フィラメントと前記不織布との間の接合強度が10cN/25mm以上で、前記伸縮シートを前記一方向に沿って50%伸長させた状態から伸長方向とは逆方向に25%収縮させたときの該伸縮シートの強度が、該伸縮シート中に含まれる前記弾性樹脂の坪量当たり1.0cN/{50mm・(g/m2)}以上、且つ前記弾性フィラメントと前記不織布を構成する繊維との間の平均接合割合が10〜60%である伸縮シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、紡糸ノズルから紡出された溶融状態の多数の弾性フィラメントを所定速度で引き取って延伸しつつ、該弾性フィラメントの固化前に、該弾性フィラメントが互いに交差せず一方向に配列するように該弾性フィラメントを不織布に融着させ、次いで該弾性フィラメントが融着した不織布を、該弾性フィラメントの延びる方向に沿って延伸して該不織布に伸長性を付与する伸縮シートの製造方法であって、前記紡糸ノズルから紡出された前記弾性フィラメントが前記不織布と接触するまでの、該弾性フィラメントの該紡糸ノズルの先端からの移動距離が、600mm以下である伸縮シートの製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の伸縮シートにおいては、非弾性繊維を含んで構成される伸張可能な不織布に対して多数の弾性フィラメントが一方向に延びるように配列し、且つ弾性フィラメントと該不織布との間の接合強度、伸縮シート中の弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度、及び弾性フィラメントと該不織布を構成する繊維との間の平均接合割合が、それぞれ前記特定範囲にあるので、層間接合強度と伸縮特性とのバランスに優れており、幅縮みを起こさずに、該弾性フィラメントの延びる方向に該伸縮シートを伸長させることができ、また、伸縮シートを伸長させたときに、弾性フィラメントと不織布との剥離が起こりにくい。
以下、本発明の伸縮シートを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1には、本発明の伸縮シートの一実施形態の一部破断斜視図が示されている。
本実施形態の伸縮シート10は、第1の不織布11及び第2の不織布12の計2枚の不織布と、両不織布間に挟持された多数の弾性フィラメント13とから構成されている。具体的には、伸縮シート10は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメント13が、実質的に非伸張状態で、非弾性繊維を含んで構成される伸張可能な不織布11,12に接合されて構成されている。
伸縮シート10は、弾性樹脂を含んでいる。弾性樹脂は、伸縮シート10の伸縮性を司るものであり、本発明の伸縮シートの必須成分である。本発明の伸縮シートの構成部材である、弾性フィラメント及び伸張可能な不織布のうち、少なくとも弾性フィラメントは弾性樹脂を含んでいることが好ましい。伸張可能な不織布は、弾性樹脂を含んでいても良く、弾性樹脂を含んでいなくても良い。
弾性樹脂としては、弾性(伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質)を有する樹脂を用いることができ、例えば、後述する熱可塑性エラストマー(SBS、SIS等)やゴム等を用いることができる。
弾性フィラメントにおける弾性樹脂の含有率は、好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70〜100重量%である。これにより弾性樹脂の改質(成形性向上、酸化防止、着色、等)や弾性フィラメントと不織布との間の接合強度を向上させることができる。
伸張可能な不織布における弾性樹脂の含有量は、好ましくは0〜50重量%、更に好ましくは0〜20重量%である。不織布中に弾性樹脂を含むことにより戻り強度を上げるのみでなく、不織布に含まれる弾性樹脂と弾性フィラメント樹脂との相溶性により接合強度を上げることもできる。
また、本発明の伸縮シート中に含まれる弾性樹脂の坪量は、ごわつき感、肌ざわり、引裂き時の糸残り、戻り強度、弾性フィラメントと不織布との間の接合強度等の観点から、好ましくは1〜25g/m2、更に好ましくは4〜15g/m2である。該坪量は、後述する
方法により求められる。
弾性フィラメント13と不織布11との間の接合強度は、10cN/25mm以上、好ましくは20〜200cN/25mmである。弾性フィラメント13と不織布12との間の接合強度も、前記範囲にある。弾性フィラメント13と不織布11,12それぞれとの間の接合強度が10cN/25mm以上であることにより、伸縮シート10全体としての一体感が向上し、伸縮シート10を引き伸ばしたときや別のシートと接合した際に弾性フィラメント13が各不織布11,12から剥離する等の不都合を効果的に防止することができる。一方、弾性フィラメント13と不織布11,12それぞれとの間の接合強度が200cN/25mmを越えると、伸縮シート10の伸縮特性を低下させるおそれがあるため、該接合強度の上限は200cN/25mmとすることが好ましい。前記接合強度は、次のようにして測定される。
<弾性フィラメントと不織布との間の接合強度の測定方法>
(不織布が2枚の場合)
伸縮シートをその伸縮方向へ150mm、該伸縮方向と直交する方向へ25mmの大きさで切り出し試験片を得、この試験片を、一方の不織布と他方の不織布とに該伸縮方向に沿って約3cm剥離する。この剥離の際、弾性フィラメントは各々より強固に接合している不織布と一緒にする。こうして一部が剥離された試験片を、その伸縮方向が引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG-1kNIS)のチャック間(チャック間距離25mm)に装着した後、300mm/分の引張速度でチャック間距離が160mmになるまで引っ張って一方の不織布と他方の不織布とに剥離し、このときの剥離強度を計測する。剥離強度の計測区間はチャック間距離35〜150mmとし、平均剥離強度を算出する。計測は5回行い、これらの平均値を、弾性フィラメントと不織布との間の接合強度とする。
(不織布が1枚の場合)
試験片を引張試験機のチャック間に装着する際、一方のチャックに弾性フィラメントを装着し、他方のチャックに不織布を装着する点以外は、上記(不織布が2枚の場合)と同様に行う。
本実施形態の伸縮シート10は、弾性フィラメント13と不織布11,12それぞれとの間の接合強度が前記範囲内にあることに加えて、更に、伸縮シート10を一方向(弾性フィラメント13の延びる方向)に沿って50%伸長させた状態から伸長方向とは逆方向に25%収縮させたときの該伸縮シート10の強度(25%戻り強度)が、該伸縮シート10中に含まれる前記弾性樹脂の坪量当たり、1.0cN/{50mm・(g/m2)}以上、好ましくは2.0〜10cN/{50mm・(g/m2)}である。このように伸縮シート中の弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度が前記範囲内にあることにより、弾性フィラメントの延びる方向に伸縮シートを伸長させることが可能となり、使い捨ておむつの外装シートをはじめ、各種吸収性物品の構成材料として好適な風合いの良い伸縮シートとなる。伸縮シート中に含まれる弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度は、次のようにして測定される。
<伸縮シート中に含まれる弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度の測定方法>
後述する方法により伸縮シートの25%戻り強度を求め、別途求めておいた該伸縮シート中の弾性樹脂の坪量で割ることにより、目的とする、伸縮シート中の弾性樹脂坪量当たりの25%戻り強度を求める。
伸縮シート中の弾性樹脂の坪量は、該伸縮シートの製造時における弾性樹脂の仕込み量を、伸縮シートの面積で割ることにより求められる。弾性樹脂が溶媒等を用いることで伸縮シートから抽出可能な場合には、次の方法によって伸縮シートの弾性樹脂の坪量を求めることができる。即ち、伸縮シートから溶媒等により弾性樹脂を抽出し、その抽出分の成分割合をNMR等の分析により求め、その抽出割合から算出した弾性樹脂の含有量を、伸縮シートの面積で割ることにより求められる。この方法によれば、伸縮シートを構成する弾性フィラメント中に含まれる弾性樹脂を抽出できると共に、伸縮シートを構成する伸張可能な不織布中に弾性樹脂が含まれている場合には該不織布中に含まれる該弾性樹脂を抽出でき、伸縮シート中に含まれる弾性樹脂の坪量を正確に測定することができる。
弾性フィラメント13と不織布11,12との間の接合強度が10cN/25mm以上であり、且つ伸縮シート10中の弾性樹脂坪量当たりの25%戻り強度が2.5cN/{50mm・(g/m2)}以上である伸縮シートは、後述する本発明の製造方法によって製造することができる。このような層間接合強度と伸縮特性とのバランスに優れた伸縮シートを得る上で特に重要となるのは、その製造工程において、「溶融状態の弾性フィラメントの固化前に、該弾性フィラメントを不織布に融着させる」点である。即ち、弾性フィラメント13が不織布11,12に融着により接合していることが、上述した接合強度及び25%戻り強度の発現に大きく寄与する。弾性フィラメントと不織布との間の接合が該弾性フィラメントの融着以外の接合手段によりなされている伸縮シート、例えば、固化した弾性フィラメントと不織布とを重ね合わせた状態で加熱加圧することによりこれらを一体化させてなる伸縮シートでは、不織布の構成繊維の弾性フィラメントへの食い込みが不充分なため、上述の如き接合強度及び25%戻り強度の両立が困難である。
弾性フィラメント13と不織布11,12との間の接合強度、及び伸縮シート10中の弾性樹脂坪量当たりの25%戻り強度をそれぞれ前記特定範囲にするための具体的な方法としては、例えば後述する本発明の製造方法において、1)弾性フィラメントと不織布とを接合する際のニップ強度を調整する、2)弾性フィラメントと不織布とを接合するときに用いられる一対のロール間の隙間を調整する、3)溶融状態の弾性フィラメントを紡糸ノズルから紡出する時の該紡糸ノズルの先端から、弾性フィラメントと不織布とのニップ部までの距離を調整する等の方法が挙げられる。これら1)〜3)の全てを行うことにより、弾性フィラメントの形状をある程度保ったまま不織布に接合させることができる。
一般に、本発明のように細いフィラメントと不織布とを接合する場合、フィラメントよりはるかに幅広のフィルムと不織布とを接合する場合と比べて、フィラメントが細いため接合時に特にダメージを受け易い。このダメージとは、伸縮シートの伸縮方向に対して弾性フィラメントの断面積が減少することを意味し、弾性フィラメントが斯かるダメージを受けることにより、伸縮シートの戻り強度の低下が生じる。しかしながら、前記1)〜3)の方法によれば、このような不都合を生じさせることなく、上述した接合強度及び25%戻り強度それぞれを、前記特定範囲にすることができる。
また、本実施形態の伸縮シート10は、弾性フィラメント13と不織布11,12それぞれとの間の接合強度が前記範囲内にあること、及び伸縮シート10中の弾性樹脂坪量当たりの25%戻り強度が前記範囲内にあることに加えて、更に、弾性フィラメントと伸張可能な不織布11,12を構成する繊維(不織布構成繊維)との間の平均接合割合が10〜60%、好ましくは20〜50%である。該平均接合割合が前記範囲内にある伸縮シートは、充分な剥離強度を有すると共に、弾性フィラメントと該不織布構成繊維との間の接合により硬くなりすぎず風合いに優れる。また、該平均接合割合を前記範囲内とすることで、伸縮シート10の伸縮特性に対して弾性フィラメント13自体の伸縮特性に近づけることができる。弾性樹脂フィルムを含む通常の伸縮シートは、弾性樹脂の坪量が30〜80g/m2(伸縮シート10中の弾性樹脂坪量当たりの25%戻り強度0.6cN/{50mm・(g/m2)})であるのに対し、本発明の伸縮シートは、より少ない坪量の弾性樹脂で高い25%戻り強度と接合強度を得ることができる。
弾性フィラメントと前記不織布構成繊維との間の平均接合割合を前記特定範囲にするための具体的な方法としては、前記1)〜3)の方法に加え、4)弾性樹脂の溶融温度(成形温度)を、不織布構成繊維のうち最も融点の低い低融点成分の該融点よりも125℃〜180℃高くする、5)不織布構成繊維の繊維密度を、通常のものに比して比較的低い0.05〜0.12g/cm3とする、等の方法が挙げられる。前記5)のように不織布構成繊維の繊維密度を低くすることにより、弾性フィラメントと不織布の表面の繊維が融着し、伸縮阻害を起こさず戻り強度の高いものが得られる。
弾性フィラメントと不織布構成繊維との間の平均接合割合は、次のようにして測定される。
<弾性フィラメントと不織布を構成する繊維(不織布構成繊維)との間の平均接合割合の測定方法>
1本の弾性フィラメントと不織布との接合部分について、伸縮シートの伸縮方向と直交する方向の断面を100〜1000倍の倍率にてSEM観察し、弾性フィラメントと不織布構成繊維との接合部分の該弾性フィラメントの周方向に沿った長さ(接合している周長)、及び弾性フィラメントと不織布構成繊維との非接合部分の該弾性フィラメントの周方向に沿った長さ(接合していない周長)をそれぞれ求め、次式により、弾性フィラメント1本の接合割合を求める。 弾性フィラメント1本の接合割合(%)={接合している周長/(接合している周長+接合していない周長)}×100
各SEM観察において、n=10について平均したものを、弾性フィラメントと不織布構成繊維との平均接合割合とする。
以下、本実施形態の伸縮シート10について更に説明する。
各弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12と接合している。第1の不織布11と第2の不織布12は、同種のものでもよく、或いは異種のものでもよい。ここで言う同種の不織布とは、不織布の製造プロセス、不織布の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、不織布の厚みや坪量等がすべて同じである不織布どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には異種の不織布であるという。
各不織布11,12は何れも伸長可能なものである。各不織布11,12は、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に伸長可能になっている。伸長可能とは、(イ)不織布11,12の構成繊維自体が伸長する場合と、(ロ)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。
各不織布11,12は、弾性フィラメント13と接合される前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。或いは、弾性フィラメント13と接合される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメント13と接合された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものであってもよい。不織布を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。後述する伸縮シート10の好適な製造方法に鑑みると、弾性フィラメント13を不織布11,12に融着させるときの該不織布11,12の搬送性が良好になる点から、不織布11,12はその原反の状態では伸長可能でないことが好ましい。
各不織布11,12は伸長可能であり、且つ実質的に非弾性である。弾性とは、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質であるところ、各不織布11,12は、かかる性質を有していない。各不織布11,12が弾性を有する場合には、その構成繊維として弾性樹脂を含む繊維が必要となり、弾性樹脂を含む繊維は、不織布の風合いを低下させる一因となるべたつき感を呈する傾向にある。したがって本実施形態においては、各不織布11,12を実質的に非弾性となして、その風合いの低下を防止している。
各弾性フィラメント13は、伸縮シート10の全長にわたって実質的に連続している。弾性フィラメント13は弾性樹脂を含んでいる。各弾性フィラメント13は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。但し、伸縮シート10の製造条件の不可避的な変動に起因して、意図せず弾性フィラメント13が交差することは許容される。各弾性フィラメント13は、互いに交差しない限り、直線状に延びていてもよく、或いは蛇行しながら延びていてもよい。弾性フィラメント13の延びる方向は、第1及び第2の不織布11,12の製造時の流れ方向と一致していてもよく、或いは不織布11,12の製造時の流れ方向と直交していてもよい。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13の延びる方向は、第1及び第2の不織布11,12の製造時の流れ方向と一致する。
弾性フィラメント13は、実質的に非伸長状態で不織布11,12に接合されている。弾性フィラメント13が伸長していないため、伸長による緩和(クリープ)が起こらず、該弾性フィラメント13を不織布11,12と貼り合わせた後の原反保存時や延伸等の加工後における伸縮性の低下がないという利点がある。また、巻き取られた原反の巻き締まりによる変形もない。更に、例えば弾性フィラメント13を2倍に伸長させて不織布11,12と貼り合わせた場合に、初期の1.3倍まで仮に戻ったとすると、この状態からは1.7倍までしか伸ばすことができないが、非伸長状態で貼り合わせを行った場合には、伸縮シートを伸長させたときの初期原点が異なるため、不織布11,12の伸長可能な長さまで又は弾性フィラメント13の最大伸度まで伸ばすことが可能となるという利点がある。
弾性フィラメント13は、糸状の合成ゴム糸や天然ゴムであり得る。或いは乾式紡糸(溶融紡糸)や、湿式紡糸によって得られたものであり得る。このうち、後述する好適な製造方法に鑑みると、弾性フィラメント13は、これを一旦巻き取ることなしに直接溶融紡糸によって得られたものであることが好ましい。
弾性フィラメント13は、未延伸糸を延伸して得られたものであることが好ましい。延伸することで、弾性フィラメント13を構成する高分子が、該弾性フィラメント13の長さ方向に分子配向するので、後述する25%伸長時の行き/戻り比が高まり、ヒステリシスロスが小さくなる。また、延伸によって細い弾性フィラメントが得られる。この観点から、弾性フィラメント13は、1.1〜400倍、特に4〜100倍に延伸されたものであることが好ましい。これに対して、先に述べた特許文献3においては、ダイから溶融状態で押し出された弾性ストランドが未延伸の状態でシートに接合されるので、該弾性ストランドのヒステリシスロスは十分に高いものとはならない。
特に、弾性フィラメント13は、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成されたものであることが好ましい。弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されることで、弾性フィラメント13を非伸長状態で不織布11,12に接合させることが可能になる。本実施形態における延伸の具体的な操作としては、(イ)弾性フィラメント13の原料となる樹脂を溶融紡糸して一旦未延伸糸を得、その未延伸糸の弾性フィラメントを再度加熱して軟化温度(ハードセグメントのガラス転移点温度Tg)以上の状態で延伸する操作や、(ロ)弾性フィラメント13の原料となる樹脂を溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸する操作が挙げられる。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13は、溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸することで得られる。
延伸により得られた弾性フィラメント13は、その直径が10〜200μm、特に20〜130μmであることが好ましい。この範囲は、伸縮シート10の風合いや、弾性フィラメント13の生産性を考慮して決定されたものである。詳細には、弾性フィラメント13の直径が大きすぎると、伸縮シート13に触れたときに、弾性フィラメント13に起因する段差が知覚されやすくなってしまう。この段差は、伸縮シート10の風合いにマイナスに作用するものである。この観点からは、弾性フィラメント13の直径は小さいほど、各不織布11,12の風合いのみが知覚されやすくなるので好ましい。また、弾性フィラメント13に隠蔽性を持たせる意味でも細い方が好ましい。更に、後述する歯溝ロールによる延伸において、弾性フィラメント13の直径を歯溝ロール間の歯と歯のクリアランス以下(好ましいクリアランスとしては歯の耐久性を高める点と噛み込み量による延伸倍率を高くする点でクリアランスが小さくなり、250μm以下、より好ましくは200μm以下である)にすることで、延伸時に弾性フィラメントがダメージ(亀裂や切断)を受けにくくなるので、細い方が好ましい。弾性フィラメントの直径と上記クリアランスとの比は0.2〜1、特に0.2〜0.5が好ましい。尤も、弾性フィラメント13が細径になる程その製造が容易でなくなる。これらを考慮すると、弾性フィラメント13の直径は前記の範囲内であることが好ましい。
上述の段差を発生させないようにする観点から、伸縮シート10の厚みに対する、弾性フィラメント13の伸縮シートの厚み方向の直径(厚み方向直径)の割合は、1〜30%、特に5〜12%であることが好ましい。
弾性フィラメント13は、その断面が円形であり得るが、場合によっては、伸縮シート10の厚み方向へ偏平した長方形や楕円形の断面のこともある。例えば後述する製造方法に従い伸縮シート10を製造する場合には、弾性フィラメント13の断面は楕円形になりやすい傾向にある。この場合、伸縮シート10中において、弾性フィラメント13は、楕円形の長軸が伸縮シート10の平面方向と同方向になり、且つ短軸が伸縮シート10の厚さ方向と同方向になるように配置されることが好ましい。尚、本明細書においては、弾性フィラメントにおいて、伸縮シートの平面方向の直径を「面内方向直径」、伸縮シートの厚み方向の直径を「厚み方向直径」とする。
弾性フィラメント13の断面が楕円形である場合、長軸/短軸の比率(平均偏平率)は1.0〜7.0、特に1.1〜3.0であることが、伸縮特性及び弾性フィラメント13と不織布11,12の構成繊維との接合強度、及び伸縮シート11の隠蔽性が増す点から好ましい。断面が楕円形である弾性フィラメント13は、その長軸方向が、伸縮シート11の平面方向とほぼ一致するように配されている。尚、弾性フィラメント13の断面が楕円形である場合、弾性フィラメント13の直径とは、特に断らない限り、長軸径と短軸径を数平均したもの、即ち、平均直径を意味する。
弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12の色と異なる色に着色されていることも好ましい。これによって、弾性フィラメント13が第1の不織布11及び/又は第2の不織布12越しに透けて見えて、伸縮シート10が縞模様を呈するようになるという意匠的な効果が奏される。このような効果は、特に各不織布の厚み及び坪量が後述する範囲内であると一層顕著なものとなる。
伸縮シート10が十分な伸縮性を発現する観点、布様の良好な風合いを発現させる観点、及び必要に応じ上述の意匠的な効果を発現させる観点から、隣り合う弾性フィラメント13のピッチ(隣り合う弾性フィラメントの断面中心間の距離)は、該弾性フィラメント13の直径が上述した範囲であることを条件として、0.1〜5mm、特に0.4〜1mmであることが好ましい。
本実施形態においては、弾性フィラメント13は、その全長にわたって各不織布11,12に接合している。換言すれば、弾性フィラメント13と不織布11,12それぞれとの間の接合部が、該弾性フィラメント13の長手方向の全長にわたって連続的に形成されている。ここで、「その全長にわたって接合している」とは、弾性フィラメント13と接触しているすべての繊維(不織布11,12の構成繊維)が、該弾性フィラメント13と接合していることを要せず、弾性フィラメント13に、意図的に形成された非接合部が存在しないような態様で、弾性フィラメント13と不織布11,12の構成繊維とが接合されていることを言う。弾性フィラメント13が各不織布11,12にその全長にわたって接合していることで、弾性フィラメント13と各不織布11,12との接合強度を十分に高めることができ、上述した接合強度をより確実に実現することが可能となる。その結果、伸縮シート10を引き伸ばしても、弾性フィラメント13が各不織布11,12から剥離しづらくなる。弾性フィラメント13が各不織布11,12から剥離してしまうと、自然状態(弛緩状態)において、弾性フィラメント13と各不織布11,12との間に浮きが生じて、伸縮シート10に皺が発生しやすくなり、伸縮シート10全体としての一体感に欠けるものとなる。
弾性フィラメント13と、第1及び第2の不織布11,12との接合の様式としては、例えば融着、接着剤による接着などが挙げられる。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13は、各不織布11,12に融着により接合される。この方法によれば、各不織布11,12に外部から熱は加えられず、溶融紡糸により得られた弾性フィラメント13の固化前に、該弾性フィラメント13を不織布に融着させるので、該弾性フィラメント13の周囲に存在する繊維のみが該弾性フィラメント13と接合し、それよりも離れた位置にある繊維は不織布11,12の風合いを維持したままになっているので、上述したように層間接合強度と伸縮特性とのバランスのとれた伸縮シート10が得られることに加えて、伸縮シート10の風合いが良好に保たれるという利点がある。この場合、各不織布11,12と弾性フィラメント13とを接合させる前に、補助的な接合手段として接着剤を塗布することができる。或いは、各不織布11,12と弾性フィラメント13とを接合させた後に、補助的な接合手段として、熱処理(スチームジェット、ヒートエンボス)や、機械交絡(ニードルパンチ、スパンレース)などを行うこともできる。尤も、これらの補助的な接合手段は、得られる伸縮シート10の風合いを損なったり、弾性フィラメント13にダメージを与えたりする場合がある。したがって、弾性フィラメント13をその溶融熱で不織布11,12と融着することが好ましい。但し、補助的な接合手段として、エアスルー法による熱風吹き付けからなる熱処理を用いた場合には、得られる伸縮シート10の風合いは損なわれず、また不織布11,12の接合強度の高いものが得られる点で好ましい。
伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に伸縮可能になっている。伸縮シート10の伸縮性は、弾性フィラメント13の弾性に起因して発現する。伸縮シート10を、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に引き伸ばすと、弾性フィラメント13並びに第1及び第2の不織布11,12が伸長する。そして伸縮シート10の引き伸ばしを解除すると、弾性フィラメント13が収縮し、その収縮に連れて第1及び第2の不織布11,12が引き伸ばし前の状態に復帰する。
先に述べた特許文献1及び2に記載のシートと異なり、本実施形態の伸縮シート10においては、弾性フィラメント13と直交した状態で結合している他の弾性フィラメントは存在していない。したがって伸縮シート10を、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に引き伸ばしたときには、該伸縮シート10が幅縮みをほとんど起こさずに伸長する。つまり、伸縮シート10はその引き伸ばし状態において、その長手方向にわたり幅がほぼ一様になっている。その結果、伸縮シート10を、その伸長状態で搬送させてこれを加工するときのハンドリング性が良好になる。また、伸縮シート10を例えばパンツ型おむつの外包材として用いた場合、おむつの着用中にずれ落ちが起こったり、皺が寄ったりすることが効果的に防止される。この観点から、伸縮シート10は、これを1.5倍に伸長したときの幅縮みの割合が、伸長前の幅の90%〜99%、特に95%〜99%であることが好ましい。幅縮みは伸長後の幅を伸長前の幅で割った値として求めることができる。測定は長さ1m、幅300mmのサンプルを切り出し、伸長する両端の間隔を幅300mmに保った状態で1.5倍に伸長させて行う。伸長後の幅の測定位置は中央部とする。
図2(a)及び(b)には、本実施形態の伸縮シート10における弾性フィラメント13の延びる方向に沿う縦断面図が示されている。図2(a)は、自然状態(弛緩状態)における伸縮シート10の縦断面図であり、図2(b)は、伸長状態における伸縮シート10の縦断面図である。自然状態においては、伸縮シート10は、頂部14’及び谷部14”が交互に配列した波形形状になっている。頂部14’と谷部14”とは稜線部15’を介して連なっている。頂部14’及び谷部14”の厚みに対して、稜線部15’の厚みは若干小さくなっており、頂部14’及び谷部14”よりも光を透過させやすくなっている。伸縮シート10を平面視したとき、頂部14’、稜線部15’及び谷部14”は、伸縮シート10の伸長方向と直交する方向へ延びている。したがって伸縮シート10には、その自然状態において、光を透過させやすい稜線部15’と、それよりも光を透過させにくい頂部14’及び谷部14”に起因する横縞模様がうっすらと現れる。この横縞模様は、伸縮シート10を伸長させると一層顕著なものとなる。
即ち、図2(b)に示すように、伸長状態の伸縮シート10においては、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って、高坪量部分14と低坪量部分15とが交互に配列している。各部分14,15は、弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向にそれぞれ帯状に延びている。高坪量部分14と低坪量部分15とは、一定の周期で交互に配列している。高坪量部分14については、シート10の上側に突出しているものと、シート10の下側に突出しているものとが交互に配置されている。シート10の上側に突出している高坪量部分14は、図2(a)に示す自然状態のシート10における頂部14’に由来している。一方、シート10の下側に突出している高坪量部分14は、図2(a)に示す自然状態のシート10における谷部14”に由来している。また、低坪量部分15は図2(a)に示す自然状態のシート10における稜線部15’に由来している。高坪量部分14と低坪量部分15とでは、それらの坪量差に起因して光の透過の程度に差がある。その結果、伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向に延びる横縞模様を呈するようになり、意匠性が高くなる。特に、先に述べたとおり、伸縮シート10は弾性フィラメント13に起因する縞模様も呈するので、伸縮シート10は、この縞模様と、高坪量部分14及び低坪量部分15に起因する縞模様が組み合わされた格子状の模様も呈することになり、意匠性が一層高くなる。
高坪量部分14は、低坪量部分15に比較して坪量が大きく且つ厚みも大きくなっている。それに起因して、高坪量部分14と低坪量部分15とでは光の透過の程度が相違し、その相違に起因して縞模様が呈される。各高坪量部分14は互いに実質的に等幅であり、同様に各低坪量部分15も互いに実質的に等幅である。
高坪量部分14の厚みは、0.3〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。低坪量部分15の厚みは、伸縮特性及び通気性の観点から0.1〜3mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。厚みの測定は、伸縮シート10を20±2℃、65±5%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、次の方法にて求める。先ず伸縮シート10を1.5倍に伸長方向へ伸ばした状態にて、0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟む。断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、三視野の厚みの平均値として求める。高坪量部分14及び低坪量部分15は、後述する製造方法に従い伸縮シート10を製造することで容易に形成される。
次に、伸縮シート10を構成する第1及び第2の不織布11,12並びに弾性フィラメント13の構成材料について説明する。各不織布11,12を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。前述したように、不織布11,12は、弾性樹脂を含む繊維を含んでいても良い。各不織布11,12を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でもよく、親水性でも撥水性でもよい。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。各不織布11,12は、連続フィラメント又は短繊維の不織布であり得る。特に、伸縮シート10を厚みのある嵩高なものとする観点からは、各不織布11,12は、短繊維の不織布であることが好ましい。伸縮シート10を、肌に接触する部材として用いる場合には、肌の接触する側に風合いの良い短繊維不織布を用い、その反対面に強度の高い連続フィラメントの不織布を用いてもよい。
各不織布11,12は、非弾性繊維を含んでいる。非弾性繊維は、弾性(伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに繊維自体が収縮する性質)を有していない繊維である。非弾性繊維には捲縮繊維など構造的に伸縮する繊維も含まれる。各不織布11,12それぞれの構成繊維に占める非弾性繊維の割合は、巻き状態におけるブロッキングや摩擦係数(ベタツキ感)の観点から、好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは100重量%である。不織布11,12が非弾性繊維以外の他の繊維を含有する場合、該他の繊維としては、弾性を有する弾性繊維、弾性と非弾性の中間的性質を示す繊維(樹脂ブレンドや樹脂変性によるもの)、パルプ繊維、レーヨン繊維、等を用いることができる。
前記非弾性繊維は、その長さ方向において繊維の太さが一様になっていないことによって特徴付けられる(以下、この繊維を不定径繊維ともいう)。即ち、各不織布11,12は、非弾性繊維として、不定径繊維を含んでいる。本実施形態においては、各不織布11,12に含まれている非弾性繊維の全てが、不定径繊維である。
不定径繊維は、その長さ方向に沿ってみたときに、繊維断面積(直径)が大きい部分もあれば、小さい部分もある。不定径繊維においては、その太さが最も細い部分から最も太い部分まで連続的に太さが変化していてもよい。或いは、未延伸糸の延伸工程で観察されるネッキング現象のように、繊維の太さが略ステップ状に変化していてもよい。
不定径繊維(非弾性繊維)について更に説明すると、不定径繊維は、一定の繊維径を有する低延伸の繊維を原料とすることが好ましい。低延伸の繊維を原料として、後述する製造方法に従い本実施形態の伸縮シート10を製造すると、その製造過程において低延伸の繊維が引き伸ばされることで、繊維に細い部分が生じて前記の不定径繊維が形成される。その結果、本実施形態の伸縮シート10の製造過程において、繊維間の接合点や、不織布11,12と弾性フィラメント13との接合点が破壊されにくくなるので、伸縮性能を維持しつつシート強度を高くすることができ、高伸度と高強度とが両立した伸縮シート10が得られる。また、本実施形態の伸縮シート10の製造過程において、不定径繊維間の接合も破壊されにくくなるので、不織布11,12が毛羽立ち様になりにくくなる。このことは、本実施形態の伸縮シート10の外観を向上させる点から有利である。これに対して、例えばUS6730390B1に記載の弾性伸縮性複合シートにおいては、延伸工程において繊維どうしの溶着や機械的な絡み合いが外れることから、シートの強度が低下してしまい、高伸度と高強度を両立させることができない。
更に、前記の低延伸の繊維を不定径繊維の原料とすることで、繊維の引き伸ばしの前に比較して、細い繊維の本数(長さ)が実質的に増加する。それによって本実施形態の伸縮シート10の隠蔽性が向上する。シートの隠蔽性が向上することは、例えば該シートを生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートとして用いた場合、吸収体に吸収された体液が表面シート越しに見えづらくなるという点から有利である。
その上、不定径繊維の太さが周期的に変化していると、これを含む不織布11,12の表面が細かに波打った状態になり、その肌触りが良好になるという付加的な効果もある。この場合、変化の周期、つまり最も太い部分とそれに隣り合う最も太い部分までの距離は、0.5〜2.5mm、特に0.8〜1.5mmであることが好ましい。この周期は、不織布11,12の顕微鏡観察から測定できる。
以上の各効果を一層顕著なものとする観点から、不定径繊維(非弾性繊維)はその太さが、最も細い部分において好ましくは2〜15μm、更に好ましくは5〜12μmであり、最も太い部分において好ましくは10〜30μm、更に好ましくは12〜25μmである。不定径繊維の太さは、不織布11,12の顕微鏡観察から測定できる。
非弾性繊維(不定径繊維)はその繊維間融着点強度が、該非弾性繊維の100%伸長時強度よりも高いものであることが好ましい。これによって伸縮シート10を引き伸ばしたときに、繊維間の融着点の破壊が起こりにくくなり、伸縮シート10の強度が低下しづらくなる点から好ましい。斯かる効果を一層顕著なものとする観点から、繊維間融着点強度と100%伸長時強度との差は、好ましくは1mN/tex以上、更に好ましくは2〜15mN/texである。繊維間融着点強度は、本出願人の先の出願に係るUS2006/0063457A1の段落〔0041〕の記載に従い測定される。100%伸長時強度は、引張試験機を用い、チャック間距離20mm、引張速度20mm/minの条件で測定される。
先に述べた通り、非弾性繊維(不定径繊維)は、一定の繊維径を有する低延伸の繊維を原料とすることが好ましい。この場合、低延伸の繊維は、単一の原料からなる繊維でもよく、或いは2種以上の原料を用いた複合繊維、例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維であってもよい。非弾性繊維どうしの接合のさせやすさや、不織布11,12と弾性フィラメント13との接合のさせやすさを考慮すると、非弾性繊維としては複合繊維を用いることが好ましい。芯鞘型の複合繊維の場合、芯がポリエステル(PETやPBT)、ポリプロピレン(PP)、鞘が低融点ポリエステル(PETやPBT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、弾性フィラメント13との融着が強くなり、層剥離が起こりにくい点で好ましい。
非弾性繊維(不定径繊維)は、ステープルファイバのような短繊維でもよく、或いは連続フィラメントのような長繊維でもよい。後述する伸縮シート10の製造方法に鑑みると、短繊維を用いることが好ましい。また、非弾性繊維は親水性でも撥水性でも良い。
各不織布11,12の原料繊維は高伸度のものであることが、最大強度の高い伸縮シート10が得られる点で好ましい。ここで、「不織布の原料繊維」とは、不織布を製造する際に用いられる原料としての繊維を意味し、製造された不織布中に含まれる繊維を意味する、「不織布の構成繊維(不織布構成繊維)」とは異なる。不織布11,12の原料繊維の伸度は、好ましくは80〜800%、より好ましくは150〜450%である。繊維の伸度は、JIS L−1015に準拠し、測定環境温湿度20±2℃、65±5%RH、引張試験機のつかみ間隔20mm、引張速度20mm/minの条件での測定を基準する。尚、伸度の測定において、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
各不織布11,12の厚みは、好ましくは0.05〜5mm、更に好ましくは0.1〜1.0mm、一層好ましくは0.15〜0.5mmある。厚みの測定は、0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟み伸縮性不織布の断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。シート全体の厚みは平板間の距離を測ることで求められる。各不織布11,12の坪量は、風合い、厚み及び意匠性等の観点から、それぞれ3〜100g/m2、特に10〜30g/m2であることが好ましい。
弾性フィラメント13は、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどの弾性樹脂を原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られたフィラメントは熱融着させやすいので、本実施形態の伸縮シートに好適である。熱可塑性エラストマーとしては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらの樹脂からなる芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。特にスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、又はそれらを組み合わせて用いることが、弾性フィラメント13の成形性、伸縮特性、コストの面で好ましい。
弾性フィラメント13と不織布11,12を構成する繊維との好適な組み合わせは、弾性フィラメント13にSEBS樹脂又はSEPS樹脂を用い、不織布11,12の構成繊維にPP/PE芯鞘型複合繊維又はPET/PE芯鞘型複合繊維を用いる組み合わせである。この組み合わせを採用することで、融着をしっかりと行うことができる。また芯の融点が高いので、繊維が融着時に溶けきらず(芯が残る)、最大強度の高い伸縮シート10が得られる。
以下、本発明の伸縮シートの製造方法を、その好ましい一実施形態である前記実施形態の伸縮シート10の製造方法に基づき図面を参照して説明する。図3には、前記伸縮シート10の製造に好適に用いられる装置が模式的に示されている。
本製造方法においては、紡糸ノズル16から紡出された溶融状態の多数の弾性フィラメント13を所定速度で引き取って延伸しつつ、該弾性フィラメント13の固化前に、該弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するように該弾性フィラメント13を不織布11,12に融着させ、次いで該弾性フィラメント13が融着した不織布11,12を、該弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸して該不織布11,12に伸長性を付与する。
紡糸ノズル16は、紡糸ヘッド17に設けられている。紡糸ヘッド17は、押出機に接続されている。ギアポンプを介して紡糸ヘッド17へ樹脂を供給することもできる。該押出機によって溶融混練された弾性樹脂は、紡糸ヘッド17に供給される。紡糸ヘッド17には、多数の紡糸ノズル16が直線状に一列に配置されている。紡糸ノズル16は、第1及び第2の不織布11,12の幅方向に沿って配置されている。隣り合う紡糸ノズル16の間隔(紡糸ノズルのピッチ)は、目的とする伸縮シート10における弾性フィラメント13の間隔に相当する。上述したように伸縮シート10における隣り合う弾性フィラメント13の間隔は、好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.4〜1mmであるので、紡糸ノズル16のピッチは、好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.4〜1mmである。紡糸ノズル16は通常円形であり、その直径(内径)は弾性フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。この観点から、紡糸ノズル16の直径(内径)は0.1〜2mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。不織布11,12との接合強度を高める目的、弾性フィラメント13の紡糸性を上げる目的、及び伸縮シート10の伸縮特性を向上させる目的で、弾性フィラメント13を複合の形態(サイドバイサイド、芯鞘、海島構造)とすることもできる。具体的にはPP系のエラストマー樹脂とスチレン系のエラストマー樹脂とを組み合わせることが好ましい。
紡出された溶融状態の弾性フィラメント13は、それぞれ原反から同速度で繰り出された第1の不織布11及び第2の不織布12と合流し、両不織布11,12間に挟持されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント13の引き取り速度は、両不織布11,12の繰り出し速度と一致している。弾性フィラメント13の引き取り速度は、該弾性フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。延伸によって弾性フィラメント13に生じる張力は、該弾性フィラメント13を不織布11,12と貼り合わせるときの風や静電気に起因する該弾性フィラメント13の乱れを防止する。それによって弾性フィラメントどうしを交差させずに一方向へ配列させることができる。これらの観点から、弾性フィラメント13の引き取り速度は、紡糸ノズル孔内の樹脂吐出速度に対し、その延伸倍率が1.1〜400倍、特に4〜100倍、更に10〜80倍となるように調整されることが好ましい。
弾性フィラメント13は、その固化前に、即ち融着可能な状態で第1及び第2の不織布11,12と合流する。その結果、弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12に挟持された状態で、これらの不織布11,12に融着する。つまり、固化前の弾性フィラメント13を搬送される不織布11,12に融着させることで、弾性フィラメント13は引き取られて延伸される。弾性フィラメント13の融着に際しては第1及び第2の不織布11,12には、外部から熱は付与されていない。つまり、融着可能になっている弾性フィラメント13に起因する溶融熱によってのみ、該弾性フィラメント13と両不織布11,12とが融着する。その結果、両不織布11,12の構成繊維のうち、弾性フィラメント13の周囲に存在する繊維のみが該弾性フィラメント13と融着し、それよりも離れた位置に存在する繊維は融着しない。その結果、両不織布11,12に加わる熱は最小限にとどまるので、該不織布自身が本来的に有する良好な風合いが維持される。それによって、得られる伸縮シート10の風合いが良好になる。
紡糸ノズル16から紡出された溶融状態の弾性フィラメント13が不織布11,12と接触するまでの、該弾性フィラメント13の該紡糸ノズル16の先端16aからの移動距離L(紡糸ノズル先端16aと、溶融状態の弾性フィラメント13が不織布11,12と最初に接触するときのその接触部11a,12aとの間の最短距離。図4参照)は、600mm以下、特に100〜500mmであることが好ましい。
溶融状態の弾性フィラメント13の移動距離Lが600mm以下であることにより、溶融状態の弾性フィラメントの固化前に、該弾性フィラメントを不織布に確実に融着させることが可能となり、層間接合強度と伸縮特性とのバランスに優れた伸縮シート、即ち、弾性フィラメントと不織布との間の接合強度が10cN/25mm以上であり、且つ伸縮シート中の弾性樹脂坪量当たりの坪量当たりの25%戻り強度が1.0cN/{50mm・(g/m2)}以上である伸縮シートを、より確実に得ることができるようになる。
また、同時に溶融した弾性フィラメント13が移動距離Lにおいて冷却されることによって弾性樹脂の粘度が高まり、ニップロール18a,18b間にてにて弾性フィラメント13が潰されにくくなる。これによって弾性フィラメント13と伸張可能な不織布11,12を構成する繊維との間の平均接合割合を、前述した好ましい範囲にすることができる。接合時における弾性樹脂の粘度が低いほど、弾性フィラメント13の変形により該弾性フィラメント13と伸張可能な不織布11,12を構成する繊維との間の平均接合割合は高いものとなる。
一方、溶融状態の弾性フィラメント13の移動距離Lが600mmを越えると、フィラメント同士が静電気や風などによりひどく重なるおそれがあるため、該移動距離Lの上限は600mmとすることが好ましい。
移動距離Lの調整は、紡糸ノズル及び/又はニップロールの位置を調整することにより行なうことができる。本実施形態では、弾性フィラメント13の不織布11,12への融着は、紡糸ノズル16から紡出された溶融状態の該弾性フィラメント13と搬送中の該不織布11,12とを、一対のニップロール18a,18b間にて合流・通過させることによりなされる。本実施形態の伸縮シート10においては、上述したように、弾性フィラメント13がその全長にわたって不織布11,12に接合しており、本製造方法では、斯かる接合形態を実現するために、一対のニップロール18a,18bそれぞれとして、ロール周面に凹凸のない円筒形状のロールを用いている。
紡出された弾性フィラメント13が、第1及び第2の不織布11,12と合流するまでの間、該弾性フィラメント13は延伸されて延伸方向に分子が配向する。また直径が小さくなる。分子配向によって、25%伸長時強度の行き/戻り比(ヒステリシス)の小さな弾性フィラメント13が得られる。弾性フィラメント13を十分に延伸させる観点及び弾性フィラメント13の糸切れを防止する観点から、紡出された弾性フィラメント13に所定温度の風(熱風、冷風)を吹き付けて、該弾性フィラメント13の温度を調整してもよい。
弾性フィラメント13の延伸は、弾性樹脂の溶融状態での延伸(溶融延伸)だけでなく、その冷却過程における軟化状態の延伸(軟化延伸)であってもよい。溶融状態とは、外力を加えたとき樹脂が流動する状態である。樹脂の溶融温度は粘弾性測定による(例えば円形並行平板間に挟んだ樹脂に回転方向の振動歪を加えて測定される)Tanδのピーク温度として測定される。弾性樹脂の延伸時に糸切れが起こらないようにするために、延伸区間を長く確保することがよい。この観点から、弾性樹脂の溶融温度は130〜300℃が好ましい。また、弾性樹脂の耐熱性(成形温度)の観点から、溶融温度は130〜220℃が好ましい。軟化温度は、シート状にした弾性樹脂の測定試料の粘弾性特性におけるTg温度として測定される。軟化温度から溶融温度までの範囲を軟化状態という。軟化温度は、伸縮シート10の保存時における弾性樹脂の結晶の成長や、体温による伸縮シート10の伸縮特性の低下の観点から、60℃以上が好ましく、80℃〜180℃がより好ましい。
弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合させるときの弾性フィラメント13の温度は、繊維融着を確実にするために100℃以上であることが好ましい。また弾性フィラメント13の形状を保持して伸縮特性の良好な伸縮シート10を得る観点から、弾性フィラメント13の温度は180℃以下であることが好ましい。より好ましくは120〜160℃の範囲である。接合時の温度は、弾性フィラメント13と接合させるラミネート基材として、弾性フィラメント13を構成する弾性樹脂の融点と異なる融点を有する変性ポリエチレンや変性ポリプロピレンなどからなるフィルムを用いて、その接合状態を観察することで測定できる。このとき、弾性フィラメント13とラミネート基材が融着していれば、接合温度はラミネート基材の融点以上である。
弾性フィラメント13と不織布11,12との接合時には、弾性フィラメント13は実質的に非伸長状態(外力を取り除いたときに縮まない状態)である。両者の接合状態においては、不織布11,12を構成する繊維の少なくとも一部が、弾性フィラメント13へ融着するか、更には弾性フィラメント13と不織布11,12を構成する繊維の少なくとも一部との両方が融着することがより好ましい。十分な接合強度が得られるからである。得られる伸縮シート10の伸縮特性は、弾性フィラメント13と不織布11,12との接合点の密度に影響を受ける。また、伸縮特性は、接合温度、接合圧力、後述する不織布11,12の延伸による接合点のはずれによって調整することができる。不織布11,12の構成繊維を弾性フィラメント13に融着させることで、接合点一つ一つの接合強度が高くなる。接合点の密度を低くすると、不織布11,12による伸縮阻害が少なくなり、且つ十分な接合強度を有する伸縮シート10が得られるので好ましい。
弾性フィラメント13を第1及び第2の不織布11,12と合流させるときには、各弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして、弾性フィラメント13を第1及び第2の不織布11,12と合流させて両不織布11,12間に該弾性フィラメント13を挟持させた状態で、これら三者を一対のニップロール18a,18bによって挟圧する。挟圧の条件は、得られる伸縮シート10の風合いに影響を及ぼす。挟圧力が大きすぎると弾性フィラメント13が両不織布11,12内に食い込みやすくなり、それに起因して得られる伸縮シート10の風合いが低下しやすい。この観点から、ニップロール18a,18bによる挟圧力は、弾性フィラメント13が両不織布11,12に接触する程度で足り、過度に高い挟圧力は必要とされない。
溶融状態の弾性フィラメント13及び不織布11,12が合流する、一対の前記ニップロール18a,18b間の間隔Wは、弾性フィラメント13と不織布11,12との間の接合強度に影響を及ぼす。弾性フィラメントにダメージを与えず且つ十分な接合強度が得られる観点から、間隔Wは、0.05〜1mm、特に0.05〜0.5mmであることが好ましい。
接合前の不織布11,12のそれぞれの厚みと、弾性フィラメント13の接合(ニップ)直前の厚み(不織布の厚み方向に沿った厚み)とを足した値をT0とした場合、一対の前記ニップロール18a,18b間の間隔WとT0との比W/T0が0.05〜0.8、特に0.1〜0.4であることが好ましい。不織布の厚みは前述の方法で求められる。弾性フィラメントの厚みはノズル形状とドラフト比から計算によって求められる。W/T0を上記範囲とすることで、弾性フィラメントと不織布構成繊維との接合点密度と不織布構成繊維の弾性フィラメントへの食い込みがバランスのとれた点になり、これにより上述した弾性フィラメントと不織布との間の接合強度と伸縮シートの構成樹脂坪量当たりの25%戻り強度との両立が可能となる。
一対のニップロール18a,18bによる挟圧の別の条件として、ニップロール18a,18bの温度が挙げられる。本発明者らの検討の結果、ニップロール18a,18bを加熱した状態で挟圧を行うよりもむしろ、加熱しないか(つまり成り行きにまかせるか)、又は冷却しながら挟圧を行う方が、風合いの良好な伸縮シート10が得られることが判明した。ニップロール18a,18bを冷却する場合には、冷却水等の冷媒を用い、ニップロール18a,18bの表面設定温度が10〜50℃になるように温度調節することが好ましい。
以上のようにして、2枚の不織布11,12間に弾性フィラメント13が挟持された複合体19が得られる。不織布11,12として本来的に伸長性を有するものを用いた場合には、この複合体19が伸縮シート10そのものとなる。一方、不織布11,12として本来的に伸長性を有しないものを用いた場合には、該不織布11,12を含む複合体19を、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸して、該不織布11,12に伸長性を付与する操作を行う。本製造方法においては、この操作を、それぞれ歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置22を用い、複合体19をその搬送方向、即ち弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸させることで行う。
延伸装置22は、一方又は双方の歯溝ロール20,21の枢支部を上下に変位させる公知の昇降機構(図示せず)を有し、歯溝ロール20,21間の間隔が調節可能になっている。本製造方法においては、各歯溝ロール20,21を、一方の歯溝ロール20の歯が他方の歯溝ロール21の歯間に遊挿され、他方の歯溝ロール21の歯が一方の歯溝ロール20の歯間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両歯溝ロール20,21間に、複合体19を挿入してこれを延伸させる。
延伸装置22においては、一対の歯溝ロール20,21の両方が駆動源によって駆動するようになっていてもよく(共回りロール)、一方の歯溝ロール20又は21のみが駆動源によって駆動するようになっていてもよい(連れ回りロール)が、本製造方法においては、下側の歯溝ロール21のみが駆動源によって駆動し、上側の歯溝ロール20は駆動源に接続されておらず、歯溝ロール21の回転に伴って従動する(連れ回る)ようになっている。連れ回りロールを用いることは、延伸加工後において伸縮シート10に高坪量部分14及び低坪量部分15がくっきりと縞模様に現れやすく、伸縮性シート10の意匠性が向上する点、及び低坪量部15がより低坪量になり通気性が向上する点で好ましい。歯溝ロール20,21の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。
図5には、複合体19が延伸される状態が模式的に示されている。複合体19が歯溝ロール20,21間を通過する際には、複合体19は、歯溝ロール20,21の歯23,24に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、ほとんど延伸されない。これに対し、駆動ロールである歯溝ロール21の歯24の歯面によって、従動ロールである歯溝ロール20の歯23の歯面に向けて押圧される領域(P2−P1間)においては、両歯20,21によって大きく延伸される。また、歯溝ロール21の歯24の先端部によって、歯溝ロール20の歯23から引き離される領域(P4−P3間)においては、前記領域(P2−P1間)程ではないが、大きく延伸される。
また複合体19は、歯溝ロール20,21の歯23,24の先端部に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、前述のとおりほとんど延伸されないが、歯23,24の先端部によって、その径方向に、つまり複合体19の厚み方向に片押しされるので、厚み方向に薄くなる。但し領域(P3−P2間)と領域(P1−P4間)とは片押しされる方向が反対向きであるため、薄くなる方向が反対向きとなる。
前記の延伸プロセスによって、弾性フィラメント13と両不織布11,12との剥離を防止しつつ、複合体19における両不織布11,12を効率的に延伸させ、伸長性を付与することができる。そして、大きく延伸される領域(P2−P1間及びP4−P3間)が低坪量部分15となり、ほとんど延伸されない領域(P3−P2間、P1−P4間)が高坪量部分14となる。
複合体19が一対の歯溝ロール20,21によって延伸されることで、目的とする伸縮シート10が得られる。得られた伸縮シート10は、歯溝ロール20,21を通過した後、自身の収縮復元力により速やかにMD方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、伸縮シート10は、搬送方向へ収縮する。それによって、伸長した状態では高坪量部分14及び低坪量部分15が、弾性フィラメント13の延びる方向に交互に配列するようになる。尚、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、伸縮性が発現する限度において、ある程度の延伸状態が維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
前記の延伸加工によって、伸縮シート10の厚みは、延伸加工前の複合体19の厚みに対して1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。これによって、両不織布11,12の構成繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなる。これと同時に、両不織布11,12が一層嵩高となり、肌触りが良く、クッション性が良好になる。
このようにして得られた伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って100%伸長させ、その状態から25%戻したときの25%戻り強度(A)と、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って25%伸長させたときの25%行き強度(B)との比(A/B)が25%以上、特に65%以上となることが、同じ戻り強度においてより低い力で伸びるため伸ばし易いものとなり十分な伸縮特性の発現の点から好ましい。
また、具体的な用途にもよるが、伸縮シート10は、その全体の坪量が10〜150g/m2、特に25〜50g/m2であることが好ましい。伸縮シート10の厚みに関しては、0.05〜5mm、特に0.5〜2mmであることが好ましい。伸縮シート10の厚みは、先に述べた各不織布11,12の厚みの測定と同様の方法で測定される。
本実施形態の伸縮シート10は、先に述べたとおりパンツ型使い捨ておむつの外装シートとして好適に用いられる。またこの用途以外に、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性等の利点を生かし、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることもできる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。該構成材料としては、例えば、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(サブレイヤー等を含む)である表面シートや、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等が挙げられる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮シート10の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜60g/m2程度、厚み0.5〜1.5mm程度とすることが望ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態の伸縮においては、2枚の不織布11,12間に多数の弾性フィラメント13が挟持された構造になっていたが、これに代えて、1枚の不織布の表面に多数の弾性フィラメントを接合して伸縮シートとなしてもよい。この場合、弾性フィラメントの形成材料として固化時に粘着性の低い樹脂を用いることが、伸縮シートの巻き状態におけるブロッキングを防止する点で好ましい。
また前記実施形態においては、弾性フィラメント13はすべて同径で、等ピッチで配置されていたので、伸縮シート10のどの部分をとっても伸長応力は同じになっていた。しかし、これに代えて、弾性フィラメントの伸長方向における伸長応力が異なる2以上の領域からなるように伸縮シートを構成してもよい。2つ以上の該領域は、該伸長方向に対してほぼ並列配置されている。この場合、伸長応力が異なる各領域間では、隣り合う弾性フィラメントのピッチが異なっているか、及び/又は、弾性フィラメントの直径が異なっている。それによって各領域間での伸長応力を異ならせることができる。さらに、2台以上の押出機を用いて弾性樹脂を各領域間で変えたものとすることで、例えば低い強度が必要な部分には低コストの樹脂を用いることができる。
伸縮シート10に部分的にエンボス加工を行ったり、弾性フィラメント13を部分的にカットしたり部分的に熱シールしたりすることもできる。これらの操作は、伸縮シート10に伸縮しない部分を形成したり、強度を部分的に上げたりする目的で行われる。或いは、他の部材と貼り合わせたり、デザイン性を持たせたりする目的で行う。
また、弾性フィラメント13を不織布11,12に接合した後に行う延伸に関し、延伸方向は不織布11,12の流れ方向のみでなく、例えば斜めであっても良い。更に、2種以上の延伸方法を組み合わせたり、段階的に延伸倍率を上げたり、部分的に延伸を行ったりすることもできる。延伸方向は一方向のみでなく、直交する二方向であってもよい。一方向に伸縮する不織布とこれに直交する方向に伸縮する不織布とを接合しその後に延伸することにより、伸縮シートの全方向に伸縮性を持たせることもできる。
また前記実施形態の製造方法においては、複合体19の延伸加工に一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置を用いたが、これに代えてテンターを備えた延伸装置を用いて延伸加工を行ってもよい。
更に、前記の製造方法において、弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合する方法の別法として、一方の不織布上に直接弾性フィラメント13を溶融延伸することなしにダイレクト押出することもできる。この場合の延伸倍率は1倍である。また、弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合する前に、不織布又は弾性フィラメントに接着剤を塗布し、その後に弾性フィラメントを実質的に未伸長の状態で貼り合わせることもできる。更に、接着剤を塗布せずに、弾性フィラメント13と不織布11,12とを重ねた後に熱処理(エアスルー法による熱風の吹き付け、スチームジェット、ヒートエンボス)や、機械交絡(ニードルパンチ、スパンレース)などを行うこともできる。このとき、不織布の代わりに繊維ウエブを片面又は両面に用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
図3に示す装置を用いて図1及び図2に示す構造の伸縮シートを製造した。第1及び第2の不織布11,12としては、坪量20g/m2、繊維密度0.074g/cm3のエアスルー不織布を用いた。この不織布の構成繊維は直径19μm、最大伸度180%、繊維長44mmの芯鞘型複合繊維(芯:PET、鞘:PE)であった。弾性フィラメント13の原料樹脂としては、SEPS樹脂(重量平均分子量5万、MFR60g/分(230℃、2.16kg))からなるエラストマーを用いた。紡糸条件は、紡糸ヘッド17の温度310℃、紡糸ノズル16の径400μm、紡糸ノズル16のピッチ1mm、延伸倍率11倍とした。弾性フィラメント13の直径は107μmであった。フィラメントの坪量は8g/m2であった。弾性フィラメントと不織布11,12の接合においてニップロール間の間隔Wを設け、その間隔を0.2mmとした。ニップロールには一方が金属フラットロールを使用し、他方にゴムロールを用いた。複合体19の延伸加工は、歯と歯底が軸長方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置22を用いて行った。歯間及び歯底間のピッチはそれぞれ2.0mmであった(噛み合った状態での歯間のピッチPは1.0mmとなる)。上下の歯溝ロールの押し込み量を調整し、延伸倍率3.0倍にて複合体19を、弾性フィラメント13の延びる方向に延伸させた。これにより弾性フィラメント13の延びる方向に伸縮する坪量40g/m2の伸縮シート10が得られた。得られた伸縮シート10は、不織布越しに弾性フィラメント13に起因する縞模様を呈していた。また高坪量領域及び低坪量領域に起因する縞模様も呈していた。これら2つの縞模様によって、伸縮シートは格子状の模様も呈していた。また、伸縮シート10における弾性フィラメント13は、該シート10の平面方向に長軸を有する楕円形の断面を有しており、長軸/短軸の比は1.5であった。1.5倍伸長時の幅縮みは96%であった。
〔実施例2〜4、比較例1〕
ニップロール間の間隔Wを表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にして伸縮シート10を得た。
〔実施例5〜7、比較例2〕
紡糸ノズルの先端から接合までの距離を表1に示す値とし、且つ接合におけるニップロールは間隔を設けずにベタ押しとした以外は、実施例1と同様にして伸縮シート10を得た。
〔比較例3〕
弾性フィラメントに替えてTダイより押し出したフィルム状の弾性樹脂を用い、該フィルム状弾性樹脂と不織布とのラミネートを行った以外は、実施例1と同様にして伸縮シートを得た。該弾性樹脂として、G1657(商品名、クレイトンポリマー製)を用いた。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた伸縮シートについて、下記表1に示す各項目を測定、評価した。表1中、「層間剥離強度」(弾性フィラメントと不織布との間の接合強度)、「25%戻り強度(cN/{50mm・(g/m2)}」(伸縮シート中に含まれる弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度)、「弾性フィラメントと不織布構成繊維との間の平均接合割合」、「幅縮み(%)」(伸縮シートを1.5倍に伸長したときの幅縮み)、並びに伸縮シート及び不織布の厚みは、それぞれ上述の方法で測定した。また、「25%戻り強度(cN/50mm)」、「25%戻り強度/25%行き強度(%)」、及び「風合い」は、それぞれ以下の方法で測定、評価した。また、「弾性フィラメントの交差」は、目視観察により行った。弾性フィラメントの交差がほとんど見られないものが最高評価、交差があると低評価となる。
〔25%戻り強度/25%行き強度、25%戻り強度〕
伸縮シートを、その伸縮方向へ200mm、それと直交する方向へ50mmの大きさで切り出し試験片を得た。引張試験機(島津製作所製オートグラフAG-1kNIS)に試験片をチャック間距離150mmで装着した。試験片をその伸縮方向へ300mm/分の速度で伸長させた。25%伸長させた時点での荷重を記録し、その値を25%行き強度とした。引き続き試験片を50%まで伸長させ、次いで、ただちに戻り方向(収縮方向)へ同速度で収縮させ、25%伸長させた時点の荷重を記録し、25%戻り強度とした。こうして求めた25%行き強度の値及び25%戻り強度の値それぞれを用いて、25%戻り強度/25%行き強度(%)を算出した。
〔風合い〕
女性モニター10人に、伸縮シートが見えない暗箱内で、該伸縮シートの風合いの評価を、温度:25℃、湿度:40%の環境下で行わせた。各モニターの評価に応じて、下記の点数を付け、モニター10人の平均点(小数点以下を四捨五入)を風合いの評価点とした。
5点:風合いが良い。
4点:風合いがやや良い。
3点:普通。
2点:風合いがやや悪い。
1点:風合いが悪い。
Figure 2009061743
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の伸縮シートは、所望の平均接合割合を示し、高い層間剥離強度(弾性フィラメントと不織布との間の接合強度)及び高い25%戻り強度(伸縮シート中の弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度)を有し、幅縮みが少なく、弾性フィラメントの交差はほとんど見られず、風合いにも優れたものであった。また、各実施例の伸縮シートは、図2に示す如き外観を有し、外観も良好であった。
これに対し、比較例1は、特に、弾性フィラメントと非弾性繊維との間の平均接合割合が低いため、層間剥離強度に劣る結果となった。また、比較例2は、特に、25%戻り強度が低く、更に前記平均接合割合が高すぎるため、風合いに劣る結果となった。また、比較例3は、伸縮シート中の弾性樹脂の坪量当たりの25%戻り強度も低く、幅縮みも大きく、通気性もないものであった。
図1は、本発明の伸縮シートの一実施形態を示す一部破断斜視図である。 図2(a)及び(b)はそれぞれ、図1に示す伸縮シートにおける弾性フィラメントの延びる方向に沿う自然状態及び伸長状態での縦断面図である。 図3は、図1に示す伸縮シートの製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。 図4は、図3に示す装置の要部を模式的に示す側面図である。 図5は、図3に示す装置によって複合体が延伸される状態を示す模式図である。
符号の説明
10 伸縮シート
11 第1の不織布
12 第2の不織布
13 弾性フィラメント
14 高坪量領域
14’ 頂部
14” 谷部
15 低坪量領域
15’ 稜線部

Claims (7)

  1. 互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸張状態で、非弾性繊維を含んで構成される伸張可能な不織布に接合されてなる伸縮シートであって、前記伸縮シートは弾性樹脂を含み、
    前記弾性フィラメントと前記不織布との間の接合強度が10cN/25mm以上で、前記伸縮シートを前記一方向に沿って50%伸長させた状態から伸長方向とは逆方向に25%収縮させたときの該伸縮シートの強度が、該伸縮シート中に含まれる前記弾性樹脂の坪量当たり1.0cN/{50mm・(g/m2)}以上、且つ前記弾性フィラメントと前記不織布を構成する繊維との間の平均接合割合が10〜60%である伸縮シート。
  2. 前記弾性フィラメントが前記不織布に融着により接合している請求項1記載の伸縮シート。
  3. 前記非弾性繊維として、その長さ方向において繊維の太さが一様になっていない繊維を含む請求項1又は2記載の伸縮シート。
  4. 前記不織布の原料繊維の伸度が80〜800%である請求項1〜3の何れかに記載の伸縮シート。
  5. 前記非弾性繊維はその繊維間融着点強度が、該非弾性繊維の100%伸長時強度よりも高いものである請求項1〜4の何れかに記載の伸縮シート。
  6. 紡糸ノズルから紡出された溶融状態の多数の弾性フィラメントを所定速度で引き取って延伸しつつ、該弾性フィラメントの固化前に、該弾性フィラメントが互いに交差せず一方向に配列するように該弾性フィラメントを不織布に融着させ、次いで該弾性フィラメントが融着した不織布を、該弾性フィラメントの延びる方向に沿って延伸して該不織布に伸長性を付与する伸縮シートの製造方法であって、
    前記紡糸ノズルから紡出された前記弾性フィラメントが前記不織布と接触するまでの、該弾性フィラメントの該紡糸ノズルの先端からの移動距離が、600mm以下である伸縮シートの製造方法。
  7. 前記弾性フィラメントの前記不織布への融着が、前記紡糸ノズルから紡出された溶融状態の該弾性フィラメントと搬送中の該不織布とを、一対のニップロール間にて合流させることによりなされ、一対の該ニップロール間の間隔が0.05〜1.0mmである請求項6記載の伸縮シートの製造方法。
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