JP4798991B2 - 防音装置 - Google Patents

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Description

本発明は、防音効果を高め得る防音装置に関し、特に鉄道、道路、工場等から発生する騒音の防止対策として設けられる防音壁の上部を構成する防音装置に好適なものである。
従来より、鉄道、道路、工場等から発生する騒音の対策として、直接的に騒音が伝播するのを防止する為に防音壁を設置することが、広く行われている。これは各種の騒音防止対策の中で対策費用が比較的安く、しかも種々の騒音発生源に対して効果があるからであり、この防音壁の高さを高くすることにより、騒音の低減効果をより大きくすることが可能となる。
しかし、防音壁の高さを高くすればするほど、施工費等が増してコストアップになるだけでなく、日照、景観、眺望、圧迫感、通風、電波障害、耐風荷重等多くの問題が生じる。そこで、防音壁の高さを高くすることなく騒音の低減効果を増大するために、図13に示す特許文献1の構造のように、防音壁の上部に上方に開口されて騒音を取込む複数の凹部122、124を有した防音装置110が開発された。
特開2000−8332号公報 特開2000−110120号公報
しかし、特に図13に示す特許文献1の防音装置の構造では、直線状に形成された壁部112の他に、曲面状に形成された壁部114を有していることから、壁部に囲まれた空間が増えて防音効果が向上するものの、このような構造では騒音に対する近年の要求には十分に答えられず、防音効果をより一層高める必要が生じるようになった。
本発明は上記事実を考慮し、防音効果を高め得る防音装置を提供することが目的である。
請求項1に係る防音装置は、防音壁の上部に位置し且つ、音源側に傾斜する壁面と反音源側に傾斜する壁面とに分岐されて夫々傾斜しつつ上方に直線状に延びる一対の分岐壁と、分岐壁より夫々短く形成され且つ、一対の分岐壁の上端部から相互に近づく形で傾斜しつつ上方に夫々直線状に延びる一対の先端壁と、分岐壁の音源側に配置されて防音壁から傾斜しつつ上方に延びる第1傾斜壁と、第1傾斜壁の音源側に配置されて防音壁から傾斜しつつ上方に延び、該第1傾斜壁との間に上部が開放された凹部となる空間を形成する第2傾斜壁と、を有し、
前記第1傾斜壁の中間部分が屈曲されて前記第2傾斜壁に向かって突出し、かつ前記第2傾斜壁の基端部が前記第1傾斜壁の基端部よりも下方に位置していることを特徴とする。
請求項1に係る防音装置の作用を以下に説明する。
本請求項では、音源側に傾斜する壁面と反音源側に傾斜する壁面とに分岐される一対の分岐壁が、それぞれ傾斜しつつ上方に直線状に延びる構成となっている。さらに、分岐壁よりそれぞれ短く形成される一対の先端壁が、一対の分岐壁の上端部から相互に近づく形で傾斜しつつ上方にそれぞれ直線状に延びている。
この一方、第1傾斜壁が防音壁から傾斜しつつ上方に延びる形で、一対の分岐壁の音源側に配置されており、またこの第1傾斜壁の更に音源側に、第2傾斜壁が同様に防音壁から傾斜しつつ上方に延びる形で配置されている。
従って、本請求項の防音装置によれば、一対の分岐壁及び一対の先端壁で形成される空間が存在するだけでなく、分岐壁と第1傾斜壁との間や、第1傾斜壁と第2傾斜壁との間にも、空間が存在することになるので、これら3つの空間内で音のエネルギーがそれぞれ減衰されて防音効果をより高められるようになる。
さらに、第1傾斜壁の中間部分が屈曲されて第2傾斜壁に向かって突出しているという構成を有する。従って、一般に湾曲した曲面状に形成される第1傾斜壁を湾曲した形とせず、この第1傾斜壁の中間部分を屈曲させて第2傾斜壁に向かって突出させることで、各壁の製造が容易となって防音装置の製造コストが低減される。
さらにまた、第2傾斜壁の基端部が、第1傾斜壁の基端部よりも下方に位置しているという構成を有する。従って、本請求項では、第1傾斜壁の基端部よりも下方に第2傾斜壁の基端部が位置していることから、第1傾斜壁と第2傾斜壁との間に形成された空間が広くなって、この空間による防音効果もより高めることができる。
請求項2に係る防音装置の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、第2傾斜壁が水平面に対して30〜60°の角度で傾いているという構成を有する。
従って、本請求項では、最も音源側に配置される第2傾斜壁が水平面に対して30〜60°の角度で傾いているので、第1傾斜壁と第2傾斜壁との間に形成された空間を最適な広さにでき、この空間による防音効果をより高めることができる。
請求項に係る防音装置の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1から請求項4と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、第2傾斜壁の音源側に吸音材が取り付けられているという構成を有する。
従って、本請求項では、吸音材が第2傾斜壁の音源側に取り付けられたことにより、防音効果をより高めることができ、さらに、第1傾斜壁の基端部よりも下方に第2傾斜壁の基端部が位置している場合には、第1傾斜壁と第2傾斜壁との間に形成された空間が広くなって、請求項2と同様にこの空間による防音効果もより高めることができる。
請求項に係る防音装置の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、防音壁の上部から上方に直線状に延びる支持壁が設けられ、この支持壁の上端部に一対の分岐壁の下端部が連結されるという構成を有する。
従って本請求項では、支持壁の高さを調整することによって防音壁上の必要な高さ位置に一対の分岐壁を容易に配置することが可能となる。さらに、第1傾斜壁と支持壁との間に空間が延長される形となって、必要な防音特性をより得やすくなる。
請求項に係る防音装置の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、支持壁より第1傾斜壁が高く形成されるという構成を有している。
従って、支持壁の高さを調整することと相まって、第1傾斜壁と支持壁との間の空間がより延ばされる形となり、防音装置の全体の幅寸法を小さくしつつ、必要な防音特性をより得やすくなる。
以上説明したように本発明の上記構成によれば、防音効果を高め得る防音装置を提供できるという優れた効果を有し、鉄道、道路、工場等から発生する騒音の防止対策として設けられる防音壁の上部を構成する防音装置で特に優れた効果を発揮する。
本発明の最良の形態に係る防音装置を図を参照しつつ説明する。
まず、本発明の最良の形態に係る防音装置の第1実施例を図1に基づき説明する。図1に示すように例えば線路に沿って設けられた防音壁40が、鉄道、道路、工場等により騒音が発生する音源側(図1の右側)とこれらの騒音が発生しない反音源側(図1の左側)との間を仕切っている。
この防音壁40の上部には、下端部側で相互に連結されると共に例えば90°角度で分岐された形の一対の分岐壁16、18が、それぞれ傾斜しつつ上方に直線状に延びるように、位置している。この内の音源側に例えば45°角度で傾斜する壁面が第1分岐壁16とされ、反音源側に例えば45°角度で傾斜する壁面が第2分岐壁18とされている。
さらに、第1分岐壁16の上端部から、この第1分岐壁16より短く形成された第1先端壁20が、反音源側に例えば45°角度で傾斜するように延びている。また、第2分岐壁18の上端部から、この第2分岐壁18より短く形成された第2先端壁22が、音源側に例えば45°角度で傾斜するように延びている。つまり、これら一対の先端壁20、22が、一対の分岐壁16、18の上端部から相互に近づく形で傾斜しつつ上方にそれぞれ直線状に延びるように形成されている。
以上より、これら一対の分岐壁16、18及び一対の先端壁20、22により区画されると共に、上部が開放された凹部となる五角形断面の空間が、本実施例の防音装置10の第1空間部32とされている。
一方、防音壁40の上端部反音源側寄り部分には、支持壁14の下端部が連結されており、これに伴って、この支持壁14が防音壁40の上部から垂直方向となる上方に直線状に延びるような形で、設けられている。そして、一対の分岐壁16、18の下端部が、この支持壁14の上端部に連結された構造になっている。
さらに、防音壁40の上端部音源側寄り部分には、傾斜しつつこの防音壁40から上方に延びる第1傾斜壁26の基端部が取り付けられている。また、この防音壁40の音源側の側面には、電車等の車体との関係を考慮して水平面に対する角度θを30〜60°の範囲内の例えば45°の傾きで傾斜しつつ防音壁40から上方に延びる第2傾斜壁28の基端部が、取り付けられている。そして、第1傾斜壁26の中間部分には、この第2傾斜壁28に向かって第1傾斜壁26の中間部分が突出するように、屈曲部26Aが形成されている。
従って、本実施例では、一対の分岐壁16、18の音源側に第1傾斜壁26が配置され、更にこの第1傾斜壁26の音源側に第2傾斜壁28が配置された形とされているが、この第2傾斜壁28の基端部は、図1に示すように、第1傾斜壁26の基端部よりも下方に位置している。尚、これら第1傾斜壁26及び第2傾斜壁28の先端部の高さは一対の先端壁20、22の先端部の高さと同一とされているが、第2傾斜壁28の基端部から先端部までの高さ寸法H1は500mmとされている。
以上より、支持壁14、第1分岐壁16、防音壁40の上面及び第1傾斜壁26により区画されることで、斜め方向に延びて上部が開放された凹部となる空間が形成され、この空間が本実施例の防音装置10の第2空間部34とされている。また、第1傾斜壁26、防音壁40の側面及び第2傾斜壁28により区画されることで、斜め方向に延びて上部が開放された凹部となる空間が形成され、この空間が本実施例の防音装置10の第3空間部36とされている。
この防音装置10は、線路に沿って防音壁40と並列してこの防音壁40上に例えば連続的に複数設けられている。但し、防音装置10の強度を増大する為に、図示しない仕切部材が、第1空間部32、第2空間部34及び第3空間部36をそれぞれ仕切る形で、例えば等間隔で複数配置されている。
以上の構造により、本実施例では線路側から発生する騒音が開口された第1空間部32、第2空間部34及び第3空間部36に入り込み、これら空間部32、34、36内で相互に周波数の異なる音のエネルギーがそれぞれ減衰されることになる。
次に、本実施例に係る防音装置10の作用を以下に説明する。
本実施例では、防音壁40の上部から上方に直線状に延びる支持壁14が、この防音壁40に連結されている。また、音源側に傾斜する壁面と反音源側に傾斜する壁面とに分岐される一対の分岐壁16、18が、それぞれ傾斜しつつ上方に直線状に延びており、一対の分岐壁16、18よりそれぞれ短く形成される一対の先端壁20、22が、これら一対の分岐壁16、18の上端部から相互に近づく形で傾斜しつつ上方にそれぞれ直線状に延びている。
そして、上記の支持壁14の上端部に一対の分岐壁16、18の下端部が連結されて、これら一対の分岐壁16、18及び一対の先端壁20、22がこの支持壁14に固定された構造になっている。
さらに、本実施例の防音装置10では、第1傾斜壁26が防音壁40から傾斜しつつ上方に延びる形で、一対の分岐壁16、18の音源側に配置されており、またこの第1傾斜壁26の更に音源側に、同様に防音壁40から傾斜しつつ上方に延びる形で、第2傾斜壁28が電車等の車体との関係を考慮して配置されている。但し、この第2傾斜壁28の基端部は第1傾斜壁26の基端部よりも下方に位置していて、水平面に対する角度θが30〜60°の範囲内の45°の傾きでこの第2傾斜壁28は傾斜しつつ、上方に延びている。
従って、本実施例の防音装置10によれば、一対の分岐壁16、18及び一対の先端壁20、22で形成される空間が存在するだけでなく、第1分岐壁16と第1傾斜壁26との間や、第1傾斜壁26と第2傾斜壁28との間にも、空間が存在することになるので、これら3つの空間内で音のエネルギーがそれぞれ減衰されて、防音効果をより高められるようになる。
他方、本実施例では、第1傾斜壁26の基端部よりも下方に第2傾斜壁28の基端部が位置しており、また最も音源側に配置される第2傾斜壁28が、水平面に対する角度θを30〜60°の範囲とした形で傾斜している。この為、第1傾斜壁26と第2傾斜壁28との間に形成された第3空間部36がより広く且つ最適な広さとなって、この空間による防音効果をより高めることができる。尚、角度θが30°未満であったり、或いは60°を越える場合には、十分な防音効果が期待できない。
さらに、本実施例では、一般に湾曲した曲面状に形成される第1傾斜壁を湾曲した形とせず、この第1傾斜壁26の中間部分を屈曲させて第2傾斜壁28に向かって突出させることで、各壁の製造が容易となって防音装置10の製造コストが低減されるようになった。
一方、本実施例では、防音壁40の上部から上方に直線状に延びる支持壁14が設けられ、この支持壁14の上端部に一対の分岐壁16、18の下端部が取り付けられていることから、支持壁14の高さを調整することによって必要な高さ部分に一対の分岐壁16、18を容易に配置することが可能となる。これに伴って、第2傾斜壁28と支持壁14との間に斜めな空間である第2空間部34が形成される形となって、必要な防音特性をより得やすくなる。
次に、本発明の最良の形態に係る防音装置の第2実施例を図2に基づき説明する。尚、第1実施例で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図2に示すように、本実施例の防音装置10でも第1実施例と同様に、一対の分岐壁16、18及び一対の先端壁20、22がそれぞれ有り、これらにより第1空間部32が形成されている。そして、傾斜しつつこの防音壁40からそれぞれ上方に延びる第1傾斜壁26及び第2傾斜壁28が設けられて、第2空間部34及び第3空間部36が形成された構造になっている。
但し、本実施例では、第2傾斜壁28の基端部が水平に形成されていて、第2傾斜壁28の基端部から先端部までの高さ寸法H1が350mmとされている。従って、第2傾斜壁28の高さ寸法H1が相違しているものの、本実施例も第1実施例と同様に、3つの空間内で音のエネルギーがそれぞれ減衰されて防音効果をより高められることが期待される。
次に、本発明の最良の形態に係る防音装置の第3実施例を図3に基づき説明する。尚、第1実施例で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図3に示すように、本実施例の防音装置10でも第1実施例及び第2実施例と同様に、一対の分岐壁16、18及び一対の先端壁20、22がそれぞれ有り、これらにより第1空間部32が形成されている。そして、傾斜しつつこの防音壁40からそれぞれ上方に延びる第1傾斜壁26及び第2傾斜壁28が設けられて、第2空間部34及び第3空間部36が形成された構造になっている。
但し、本実施例では、第2傾斜壁28の基端部が第1傾斜壁26の基端部から伸びる形に形成されていて、第2傾斜壁28の基端部から先端部までの高さ寸法H1が第1傾斜壁26の高さと同一の375mmとされている。従って、第2傾斜壁28の高さ寸法H1が相違しているものの、本実施例も第1実施例及び第2実施例と同様に、3つの空間内で音のエネルギーがそれぞれ減衰されて防音効果をより高められることが期待される。
次に、各実施例の防音装置についての防音特性を従来例の防音装置及び防音壁のみの場合の防音特性と比較した試験の結果を説明する。試験は2次元境界要素法を用いた数値実験により行った。まず、図4に示すように騒音を発生させる音源として、高架橋42上を走行する電車の車体44を想定した。具体的な音源としては、レール位置を下部騒音発生源S1とし、車体肩部を上部騒音発生源S2とした。音源の周波数特性は、高さ2mの直壁において、評価点における周波数特性が実測値と一致するように定めた。
また、軌道中心Pからの水平方向の距離Xをそれぞれ25mとすると共に、軌道高さRLからの垂直方向の距離Yを下方に8m、5m、10mとした3箇所(図において1箇所のみ示す)の評価点46において、上記2箇所の騒音発生源S1、S2で発生する騒音に関する数値試験を行い、騒音の低減効果を評価した。
一方、試料となる防音装置としては、上記の各実施例の防音装置10を用いると共に、図13に示す構造の防音装置110を比較の為の従来例として、数値試験を行った。また、防音壁40の上部に防音装置の無い図5に示す防音壁40のみの構造も、比較例とした。
これら防音装置10、110は、軌道面RLからの高さである高さ寸法H2を2.5mとした。これに対して防音装置の無い防音壁40のみの直壁の構造としては、軌道面RLからの高さ寸法H2が2.0mの場合及び2.5mの場合の2種類とした。
上記のような条件下で、各実施例の防音装置10、従来例の防音装置110及び、防音壁40のみの場合について、まず距離Xを25mとすると共に距離Yを5mとした評価点46に関する200Hz〜2.5kHzの周波数範囲のデータをそれぞれ計算により求めた。そして、直壁で高さ寸法H2が2.0mの場合を基準とした形で、下部騒音発生源S1からの騒音に対する効果のデータを図6のグラフに示し、上部騒音発生源S2からの騒音に対する効果のデータを図7のグラフに示した。
尚、これら図6及び図7のグラフ内においてだけでなく、下記の図8のグラフ内においても、第1実施例のデータをAとし、第2実施例のデータをBとし、第3実施例のデータをCとし、従来例のデータをDとし、直壁で高さ寸法H2が2.5mの構造のデータをEとして、それぞれ表した。
同様に距離Xを25mとすると共に距離Yを8m、10mとした2箇所の評価点46に関してもデータをそれぞれ計算により求め、最終的にこれらのデータを平均化してまとめたものを図8のグラフに示した。
この図8のグラフより、下部騒音発生源S1からの下部騒音に対しては、各実施例の防音装置10は共に従来例の防音装置110より大きな騒音の低減量とされ、また、上部騒音発生源S2からの上部騒音に対しては、各実施例の防音装置10は共に従来例の防音装置110と同等の騒音の低減量とされているので、各実施例は総合的に従来例の防音装置110と同等以上の防音特性が得られることが理解できる。そして、下部騒音に関しては第1実施例が他の実施例より騒音の低減量が大きいことも理解できる。
この結果、これら各実施例は従来例の防音装置110より防音特性が向上して防音効果が高められたことが確認されたことになり、また、各実施例の内でも第1実施例が優れていることが確認されたことになる。
次に、第1実施例に係る防音装置10の音源側の第2傾斜壁28に図10(D)に示すように吸音材30を設置した変形例の防音装置10を更に作製し、吸音材30による効果をこの変形例の防音装置10によって検証した。尚、この吸音材30は、ポリエステル系短繊維を撥水処理した繊維成形体により形成し、厚さ40mmで見かけの密度が60kg/m3 とされている。
具体的には、図9に示す実物大の車両模型54と防音装置10とを用いた模型試験において、それぞれスピーカとされるレール部音源50及び車体肩部音源52を音源とし、図10(D)に示す変形例の防音装置10の効果の確認を行った。
ここで、車両模型54の縦寸法Hは3700mmであり、横寸法Dは3380mmである。また、軌道中心Pから防音壁40までの距離X1が3400mmであり、防音壁40から評価点46までの距離X2が6000mmであり、床面から評価点46までの距離Y1は1000mmである。但し、防音壁40と評価点46との間であって、軌道面RLからの高さ寸法H3が754mm低い位置には、シート状吸音材56が配置されている。
他方、試料となる防音装置としては、前述の第1実施例(図10(C)に示す)及び変形例(図10(D)に示す)の防音装置10を用い、また、防音壁40の上部に防音装置の無い図10(A)、(B)に示す防音壁40のみの直壁の構造を、比較例とした。尚、これら図10(C)、(D)に示す防音装置10は、軌道面RLからの高さである高さ寸法H2を2.5mとした。これに対して防音装置の無い防音壁40のみの直壁の構造としては、軌道面RLからの高さ寸法H2が図10(A)に示すものが2.0mであり、図10(B)に示すものが2.5mの2種類とした。
そして、図9に示す配置においてピンクノイズをスピーカから生じさせ、直壁で高さ寸法H2が2.0mの場合(図10(A)の構造)を基準とした形で、レール部音源50からの騒音に対する効果のデータを図11のグラフに示し、車体肩部音源52からの騒音に対する効果のデータを図12のグラフに示した。つまり、このような条件下で、第1実施例の防音装置10、変形例の防音装置10及び、防音壁40のみの場合について、高さ2mの直壁との対比で騒音低減量の測定を実施した。
尚、これら図11及び図12のグラフ内において、第1実施例のデータをAとし、変形例のデータをA1とし、直壁で高さ寸法H2が2.5mの構造のデータをEとし、直壁で高さ寸法H2が2.0mの構造のデータをFとして、それぞれ表した。
この結果、レール部音源50からの騒音に対する効果を示す図11のグラフでは、直壁で高さ寸法H2が2.5mの構造と比較しても、第1実施例の防音装置10は大きな効果が得られることが確認された。更に変形例の防音装置10のように音源側の第2傾斜壁28に吸音材30を設けた場合、一層大きな騒音低減効果が得られることが、この図11のグラフで確認された。
一方、車体肩部音源52からの騒音に対する効果を示す図12のグラフでは、この車体肩部音源52から見通せる位置にある評価点46においても、変形例の防音装置10が有効であることが確認された。
尚、上記実施例に係る防音装置10の各壁は、金属製の板材により形成することができるが、防音装置を軽量化できると共に、防錆並びに耐蝕性に優れたものとなり、施工も容易となることから、特に押し出し成形のアルミニウム材料で形成しても良い。但し、合成樹脂等の他の材料で各壁を形成しても良い。
本発明に係る第1実施例の防音装置を示す側面図である。 本発明に係る第2実施例の防音装置を示す側面図である。 本発明に係る第3実施例の防音装置を示す側面図である。 防音装置を有した場合においての防音特性を比較するための試験条件を示す断面図である。 防音装置の無い場合においての防音特性を比較するための試験条件を示す断面図である。 下部騒音発生源からの騒音に対する各試料の防音特性を表すグラフを示す図である。 上部騒音発生源からの騒音に対する各試料の防音特性を表すグラフを示す図である。 各試料による防音特性をまとめて表すグラフを示す図である。 吸音材による防音特性を比較するための試験条件を示す断面図である。 試料を説明する為の説明図であり、(A)は軌道面からの高さ寸法が2.0mの防音壁であり、(B)は軌道面からの高さ寸法が2.5mの防音壁であり、(C)は第1実施例の防音装置であり、(D)は第1実施例の変形例の防音装置である。 レール部音源からの騒音に対する各試料の防音特性を表すグラフを示す図である。 車体肩部音源からの騒音に対する各試料の防音特性を表すグラフを示す図である。 従来例の防音装置を示す側面図である。
符号の説明
10 防音装置
14 支持壁
16、18 分岐壁
20、22 先端壁
26 第1傾斜壁
28 第2傾斜壁
40 防音壁

Claims (5)

  1. 防音壁の上部に位置し且つ、音源側に傾斜する壁面と反音源側に傾斜する壁面とに分岐されて夫々傾斜しつつ上方に直線状に延びる一対の分岐壁と、
    分岐壁より夫々短く形成され且つ、一対の分岐壁の上端部から相互に近づく形で傾斜しつつ上方に夫々直線状に延びる一対の先端壁と、
    分岐壁の音源側に配置されて防音壁から傾斜しつつ上方に延びる第1傾斜壁と、
    第1傾斜壁の音源側に配置されて防音壁から傾斜しつつ上方に延び、該第1傾斜壁との間に上部が開放された凹部となる空間を形成する第2傾斜壁と、
    を有し、
    前記第1傾斜壁の中間部分が屈曲されて前記第2傾斜壁に向かって突出し、かつ前記第2傾斜壁の基端部が前記第1傾斜壁の基端部よりも下方に位置していることを特徴とする防音装置。
  2. 第2傾斜壁が水平面に対して30〜60°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1記載の防音装置。
  3. 第2傾斜壁の音源側に吸音材が取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防音装置。
  4. 防音壁の上部から上方に直線状に延びる支持壁が設けられ、この支持壁の上端部に一対の分岐壁の下端部が連結されることを特徴とする請求項1記載の防音装置。
  5. 支持壁より第1傾斜壁が高く形成されることを特徴とする請求項記載の防音装置。
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