JP2004232357A - 防音壁 - Google Patents
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Abstract
【課題】閉鎖的になりがちな防音壁の僅かな改良によって、高い遮音機能を維持したままで、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さな優れた防音壁を提供することを目的とする。
【解決手段】騒音の伝搬経路上に設置される防音壁2において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクト1の内表面3がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とするもので、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能を維持しながら、閉鎖的になりがちな防音壁に開口部を設けて外部の風景等を視認することができ、ストレスのない長時間の運転を可能にするとともに、排気ガス等の充満を防止し、風荷重の小さな耐久性の高い防音壁が実現できる。
【選択図】 図1
【解決手段】騒音の伝搬経路上に設置される防音壁2において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクト1の内表面3がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とするもので、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能を維持しながら、閉鎖的になりがちな防音壁に開口部を設けて外部の風景等を視認することができ、ストレスのない長時間の運転を可能にするとともに、排気ガス等の充満を防止し、風荷重の小さな耐久性の高い防音壁が実現できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道や道路、工場等を発生源とする騒音の伝搬経路上に設置される防音壁に係り、特に、列車の乗客や騒音発生側である道路上等を走行するドライバーにとっても有用な防音壁を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
防音壁は、鉄道や道路、工場等を発生源とする騒音の伝搬経路上に設置され、これらの騒音制御に欠かせないものとして多用されている。特に、主要都市部に建設される高速道路等では、防音壁のない沿線は考えられない程不可欠なものとなっている。また、新幹線等の高速鉄道にあっても至る所で防音壁は不可欠となっている。これらの高速道路や高速鉄道の防音壁にあっては、車両の高速化に伴う騒音の増大と到達距離の増加に対処するために防音壁の高さも次第に高くなりがちである。近年では、防音壁の改良が進み、高さを低く保ちながらも遮音性能が変わらないかあるいは向上させた新型防音壁(例えば本件発明者らにより提案された下記特許文献1および2)や防音用ダクト(下記非特許文献3参照)が開発されるようになってきた。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−151420号公報(段落20〜22)
【特許文献2】
特開平11−256523号公報(段落8)
【非特許文献3】
平成13年9月、発表者、大川、寺尾、関根、林による、社団法人日本騒音制御工学会研究発表会講演論文集「外壁貫通換気口の内貼り、フード、共鳴器等による共鳴透過音低減」第61頁〜64頁。
【0004】
これらの改良された防音壁についてそれぞれ簡単に説明する。図9に示したものは前記特許文献1に開示されたもので本件発明者等の提案になるものである。防音壁10の頂部で回折して漏れる騒音を減少させるために、防音壁10の頂部に防音装置20が配設されたもので、防音装置20は、防音壁10の頂部に沿って延びる筒状部分23を有し、該筒状部分23の外周面から全周にわたって径方向に延びる多数の第1の仕切り21と、前記筒状部分23の外周面から長手方向に延びる多数の第2の仕切り22とから構成される。これらによって、筒状部分23の外側に外方に向かって開口した音響空間24が多数形成される。音響空間24の深さは防音すべき騒音の主成分をなす音波の波長の1/4に構成される。
【0005】
図10に示した前記特許文献2に開示されたものも本件発明者の提案になるものである。これも、防音壁の頂部で回折して漏れる騒音を減少させるために、防音壁の上縁部に、騒音の主成分をなす周波数の1/4波長の深さを持つ音響管を所定の幅にわたって多数配列したものである。さらに高い遮音性能を発揮させるために、各音響管の開口部付近に吸音体を取り付けたものである。
【0006】
図11および図12に示した前記非特許文献3に開示されたものは、大川、寺尾、関根、林の提案になる「外壁貫通換気口の共鳴透過音低減」装置に関するものである。図11に示すような、防音壁に貫通して穿設された壁面換気開口の内貼りとしてグラスウール等の吸音材を配設したものでは、前記換気開口を透過する透過音に対して僅かな低減効果しか期待できないものであるが、図12に示すように、壁面換気開口内に共鳴器を挿入することによって、換気開口を透過する透過音に対してかなりの有望な騒音低減効果が見られるようになったものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1および第2特許文献に開示された従来の防音壁にあっては、防音壁の頂部で回折して漏れる騒音を減少させるためには、ある程度の高さを確保することは避けられないものであった。また、前記非特許文献第3に開示されたものは、点在する換気開口に関する技術である。このようなことからこれらの従来の防音壁では、高さを高くしていけば、依然として、対風荷重が大きく基礎を強大化する必要があり、また、高い防音壁の存在は運転手や乗客に圧迫感を与えてストレスを感じさせ、疲労が蓄積し易い上に、排気ガスの充満を招いた。さらには、道路や線路外を透視しにくく、自らの位置確認が困難である上に、遠方視認による目の疲労回復効果等は望むべくもなかった。道路や線路外の透視を可能にするものとして透明板等を付設するものも散見されるが、対風荷重の低減や排気ガスの充満等の解消にはつながらず、透明板の保守点検にも手間を要するものであった。そのようなことから、騒音に係る環境基準を遵守することが困難となり車両の高速運転に支障を来す虞れもあった。
【0008】
そこで、本発明では、このような従来の防音壁における諸課題を解決して、閉鎖的になりがちな防音壁の僅かな改良によって、高い遮音機能を維持したままで、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さな優れた防音壁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、騒音の伝搬経路上に設置される防音壁において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクトの内表面がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に薄膜を張設した音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトが、壁面上に穿設された連続する水平状のスリットから構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記水平状のスリットから構成されるダクトが、末広がり状に形成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトが、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁間に形成された鉛直状のスリットから構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に配設される音響管に能動的制御手段を組み合わせたことを特徴とする。また本発明は、前記防音壁に吸音材を施すとともに、ダクトのエッジ部に吸音性円筒を取り付けたことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0010】
【実施の形態】
以下、本発明の防音壁の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の防音壁の第1実施の形態を示す斜視図である。図2は本発明の第2実施の形態を示す垂直ルーバー型の防音壁で、図2(A)は平面図、図2(B)は道路側から見た正面図、図3は本発明の防音壁の縮尺模型実験配置図、図4(A)〜(D)はそれぞれ図3の各受音点R0、R1、R2、R3における音圧レベルを測定した遮音性能図、図5(A)〜(C)はそれぞれ図3の各受音点R4、R5、R6における音圧レベルを測定した遮音性能図である。本発明の基本構成は本件発明者等が鋭意研究を重ねているところの、壁面の表面特性の改善により、壁面の表面音圧をほぼゼロにして、音響的にソフトに近い性状を付与した減音メカニズムを採用することに着目したもので、図1に示すように、騒音の伝搬経路上に設置される防音壁2において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクト1の内表面3がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とする。つまり、前記ダクト1の内表面3が音響的ソフト境界を構成する(以下内表面3を音響的ソフト境界3と称する)ものである。
【0011】
図1に示すように、本発明の防音壁の第1実施の形態のものは、防音壁2の壁面に、連続する水平状のスリットから構成されたダクト1を穿設して構成したものである。防音壁2が高速道路等に設置されたものであれば、好適には、ダクト1は車両の運転者や乗客が道路外の遠景を見通せる高さに設けられる。ダクト1が連続する水平状のスリットから構成されることから、防音壁2の上下は、所定間隔をおいて配設された保持部材9により強固に接続される。前記ダクト1を通じて外部に漏洩する騒音については、本発明による音響的にソフトに近い性状に調整されたダクト1の内表面3の存在により、高い音波減衰性能によって効果的に遮音されることになる。
【0012】
図3〜図5を用いて、本発明の防音壁の遮音性能について詳述する。図3は、道路等の地面6上における騒音の伝搬経路(地点Sの音源4から地点R1〜R6の受音点5まで)上に設置される1/10縮尺模型実験で用いた防音壁の実験装置図である。実験には2次元無響室を用いた。試験体として、防音壁2部分は厚さ3mmの鉄板を用い、開口部により形成されるダクト1に設けた音響的ソフト境界3は、深さ17mmで主として5kHz(実寸では500Hz)の騒音に対応している。ソフト境界の素材は厚さ1mmのアルミ板であり、長さは17cm(2.5波長分)とした。
【0013】
防音壁2の全体としての高さは50cm、ダクト1の位置は道路面から12cmを下端として3cm分である。音源Sは防音壁2から75cm離れた地面上に置き、騒音が測定される各受音点5は、防音壁2から50cm、150cm離れた地点の地面上の12cm、35cm、50cmの計6点(R1〜R6)、およびダクト1の出口近傍R0の1点である。
【0014】
このような実験装置において、騒音の測定を、前記設計周波数5kHzを中心に3.15〜6.3kHzまで行い、ダクト1を形成しない高さ50cmの剛な防音壁の場合の各受音点における音圧レベルを基準とし、ダクト1を設けた場合の測定音圧レベルの結果を図4(A)〜(D)および図5(A)〜(C)に示した。正の値は遮音性能の向上を、負の値は遮音性能の低減を意味する。図4および図5の各図において、破線は開口部は有するが音響的にソフトなダクトを取り付けない場合のもので、実線は開口部に音響的ソフト境界3を設置した場合のものである。
【0015】
図4および図5の各図から以下のことが分かる。ダクト1の出口近傍R0での受音点を除き、4kHz〜5kHzまでの範囲で実線はほぼ0dBを示している。すなわち、開口部が形成されていても、音響的にソフトなダクトが構成されていれば、開口部が存在しない防音壁と同様な遮音性能があることを意味する。これと異なり、各図の破線はその周波数範囲で一部を除き殆ど負の値を示し、開口部の形成により防音壁として遮音性能が低下することを示しており、自然な結果である。かくして、防音壁に水平状に設けたダクトの存在により、空気通過部分と視覚的な開放部が形成されて、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さくなるにも拘らず、音響的にソフトなダクトにより高い遮音機能が維持できる。
【0016】
図1に戻り、本第1実施の形態のものでは、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体でダクトを構成するものとして、広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクト1の内表面3を、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管3−1、3−2、・・・3−Nを並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成したものである。音響管について、終端の閉じたものは、その管長が1/4波長の長さであるとき、音波が入射すると、その音波が音響管の終端で反射されて音響管の開口部から出るときには、1/4波長分を一往復することにより半波長だけずれる。したがって、音響管の開口部の面で見ると、反射波は入射波に対してその位相が180度だけずれることになり、両者は打ち消しあって音圧がゼロになる。つまり、音響的にソフトとなるものである。
【0017】
つまり、本来、取り除かれるべき騒音の主成分をなす音波の波長を代表的な1つの波長に選定するならば、多数の音響管3−1、3−2、・・・3−Nは、ほぼ同じ長さの終端の閉じた音波の波長の1/4の長さを有する音響管の集合体とすればよい。すなわち、音響管を含むダクト1の断面は図3の実験装置のように方形になるが、本実施の形態では、騒音の主成分をなす音波を複数個選定したものである。これにより、ダクト1を幅広い周波数帯に対して音響的にソフトに近い性状に調整された音響的ソフト境界3が設置されるものである。したがって、音響管を含むダクト1の断面は、異なった深さの音響管3−1、3−2、・・・3−Nの集合体から構成されることから、略三角形状となる。
【0018】
また、音響的ソフト境界3を構成するものとして、前記ダクト1の内表面3を、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成することもできる。さらに、好適には、前記ダクト1の内表面3が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように各音響管の開口部に薄膜(50μmの厚みを持つプラスティック膜を音響管開口部に無張力で張設したもの等)を張設した音響管の集合体で構成することもできる。前記薄膜の張設は、雨水や塵埃の侵入を防止するとともに、音響管内の気流の移動をさらに効果的に抑制して、効果の現れる周波数帯の中心を低周波側へ移動かつ帯域を拡張させて、結果的に音響管の長さを短くできて装置をコンパクトにすることも可能となる。
【0019】
かくして、本実施の形態では、音響的にソフトに近い性状に調整された音響的ソフト境界3の設置により、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能を維持しながら、車両の走行方向に連続して水平状に設けたダクト1の存在により、連続的な空気通過部分と視覚的な開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視を連続して可能にし、開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。
【0020】
図2は本発明の第2実施の形態を示す垂直ルーバー型とも言うべき防音壁で、図2(A)は平面図、図2(B)は道路側から見た正面図である。本実施の形態のものは、ダクト1が、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁2、2間に形成された鉛直状のスリットから構成されたことを特徴とする。つまり、図2(A)の平面図に示すように、所定の有限の長さを有する防音壁2、2・・・を、走行車両7の進行方向に対して僅かに傾斜させつつそれらの一部を重複させて多数起立配列して防音壁群を構成したものである。つまり、恰も垂直ルーバーのごとき様相を呈する。それらの傾斜角度は、車両7の運転者や乗客の視線8と略一致させるものである。
【0021】
図2(B)に示すように、道路側から見た正面図では、多数起立配列された防音壁群は鉛直状のスリットを構成するダクト1は見えず、走行方向に直交する騒音は有効に防音壁2の重複部により遮音される。傾斜配列された防音壁2、2・・・の重複部に形成されたダクト1の騒音の通過方向は、車両7の運転者や乗客の視線8と略一致するので、前記ダクト1によって空気通過部分と視覚的な開放部が形成され、ダクト1毎には断続的ではあるが、全体として連続した開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視が可能となり、開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。そして、防音壁2、2の対向する重複面にて形成される各ダクト1部には、音響的ソフト境界3が設置されるので、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能も維持される。
【0022】
図6は本発明の防音壁の第3実施の形態を示す断面図で、前記図1に示した第1実施の形態の変形例とも言うべきものである。主として鉄道用の通常の防音壁に適用される。本実施の形態では、防音壁2の壁面の一部に形成された開口部によって形成されたダクト1が、鉛直面内で断面変化するものである。したがって、表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整された内表面3すなわち音響的ソフト境界3が、末広がり状の開口部となり、外部が見通し易くなるものである。
【0023】
図7は本発明の防音壁の第4実施の形態を示す断面図で、前記図6に示した第3実施の形態のものを基本形として、能動制御技術を採用したものである。本実施の形態では、防音壁2の壁面の一部に形成された開口部であるダクト1における音響的ソフト境界3が末広がり状に形成され、音響的ソフト境界3を構成すべく配設された各音響管内に騒音の受音センサ10を設置し、各部の騒音の大きさに応じて制御器11において同振幅、逆位相の信号を作り、増幅器12を作動させ、各音響管内に配設したスピーカー13を騒音を打ち消す位相により鳴動させて、固定的な遮音特性に能動制御手段を組み合わせて、より精緻に表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整することが可能となる。
【0024】
図8は本発明の防音壁の第5実施の形態を示す断面図で、前記図2に示した第2実施の形態のものの変形例とも言うべきものである。主として道路交通騒音用の防音壁に適用される。本実施の形態では、ダクト1が鉛直に間隙のあるものとして構成され、その場合に、ダクト1の内表面が音響的にソフトな部分である音響的ソフト境界3を形成することはもとより、斜線部のように防音壁2に吸音材14を施して騒音低減化を図ったり、防音壁2の鉛直に位置するエッジ部に吸音性円筒15を取り付けることによって、さらに遮音性能を向上させることができる。
【0025】
以上詳細に説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内にて、防音壁の形状、形式(水平状のスリットおよび垂直ルーバー型による鉛直状スリット形成の他、防音壁の下方に水平状のスリットを形成し、上方を水平ルーバー型による水平状スリット形成として各ダクトに音響的ソフト境界を構成する等)、開口部の形成によるダクトの形状(複数の対象騒音の波長に対応させるために異なった深さの音響管を組み合わせるのに、実施の形態のもののような三角形断面や方形断面の他、適宜波形断面や台形断面等も採用され得る)、形式、音響管の形状(対象騒音の波長の長さを含む1/4波長音響管および共鳴器内蔵音響管の形状、つまり実施の形態の矩形断面の他、筒状であれば特に限定されず、三角形断面も可能で、辺数が4以上の多角形、台形、円形、楕円形等が採用され得る。)、形式、材質およびそのダクトへの配設形態(視界確保のためや雨水排水のため僅かに傾斜させて設置してもよい)、集合体を含む異なった特性の複数の種類の音響管の組合せ形態(1/4波長音響管と共鳴器内蔵音響管とを組み合わせる等)、音響管の開口部への薄膜の張設形態および薄膜の材質、能動制御手段の形式およびその制御形態、本発明の防音壁が施される構造物等については適宜選択し得る。なお、前述の実施の形態はあらゆる点で例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、騒音の伝搬経路上に設置される防音壁において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクトの内表面がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことにより、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能を維持しながら、閉鎖的になりがちな防音壁に開口部を設けて外部の風景等を視認することができ、ストレスのない長時間の運転を可能にするとともに、排気ガス等の充満を防止し、風荷重の小さな耐久性の高い防音壁が実現できる。
【0027】
また、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体で構成された場合は、音響的にソフトに近い性状が音響管という簡素な構造物により実現できるとともに、多数の音響管の配設自体が防音壁構造物の補強体として機能させることができる。さらに、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成された場合は、効果の得られる周波数帯域が広くなるとともに、音響管の長さの自由度を高くすることができる。
【0028】
さらにまた、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に薄膜を張設した音響管の集合体で構成された場合は、音響管内の気流の移動をさらに効果的に抑制して、効果の現れる周波数帯の中心を低周波側へ移動かつ帯域を拡張させて、結果的に音響管の長さを短くできて装置をコンパクトにすることも可能となる他、雨水や塵埃の侵入が有効に防止される。また、広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成された場合は、広範囲の周波数帯域の騒音の低減制御に対応できる上、管長の異なる音響管の集合体の組合せによって、ダクトの断面形状を選定して補強効果を向上させることも可能となる。
【0029】
さらに、前記ダクトが、壁面上に穿設された連続する水平状のスリットから構成された場合は、水平状に設けたダクトの存在により、連続的な空気通過部分と視覚的な開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視を連続して可能にし、開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。さらにまた、前記水平状のスリットから構成されるダクトが、末広がり状に形成された場合は、ダクトの内表面の音響的ソフト境界を確保した上で外部が見通し易くなる。また、前記ダクトが、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁間に形成された鉛直状のスリットから構成された場合は、ダクト毎には断続的ではあるが、全体として連続した開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視を開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。
【0030】
さらに、前記騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に配設される音響管に能動的制御手段を組み合わせた場合は、固定的な遮音特性に能動制御技術を組み合わせて、より精緻に表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整することが可能となる。さらにまた、前記防音壁に吸音材を施すとともに、ダクトのエッジ部に吸音性円筒を取り付けた場合は、さらなる騒音低減化と遮音性能を向上させることができる。かくして本発明によれば、閉鎖的になりがちな防音壁の僅かな改良によって、高い遮音機能を維持したままで、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さな優れた防音壁が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防音壁の第1実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施の形態を示す垂直ルーバー型の防音壁で、図2(A)は平面図、図2(B)は道路側から見た正面図である。
【図3】本発明の防音壁の縮尺模型実験配置図である。
【図4】図4(A)〜(D)はそれぞれ図3の各受音点R0、R1、R2、R3における音圧レベルを測定した遮音性能図である。
【図5】図5(A)〜(C)はそれぞれ図3の各受音点R4、R5、R6における音圧レベルを測定した遮音性能図である。
【図6】本発明の防音壁の第3実施の形態を示す断面図である。
【図7】本発明の防音壁の第4実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明の防音壁の第5実施の形態を示す断面図である。
【図9】第1従来例の防音壁を示す斜視図である。
【図10】第2従来例の防音壁を示す断面図である。
【図11】第3従来例の防音壁を示す断面図である。
【図12】第4従来例の防音壁を示す断面図である。
【符号の説明】
1 開口部(ダクト)
2 防音壁
3 音響的ソフト境界
4 音源
5 受音点
6 地面
7 車両
8 視線
9 保持部材
10 受音センサ
11 制御器
12 増幅器
13 スピーカー
14 吸音材
15 吸音性円筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道や道路、工場等を発生源とする騒音の伝搬経路上に設置される防音壁に係り、特に、列車の乗客や騒音発生側である道路上等を走行するドライバーにとっても有用な防音壁を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
防音壁は、鉄道や道路、工場等を発生源とする騒音の伝搬経路上に設置され、これらの騒音制御に欠かせないものとして多用されている。特に、主要都市部に建設される高速道路等では、防音壁のない沿線は考えられない程不可欠なものとなっている。また、新幹線等の高速鉄道にあっても至る所で防音壁は不可欠となっている。これらの高速道路や高速鉄道の防音壁にあっては、車両の高速化に伴う騒音の増大と到達距離の増加に対処するために防音壁の高さも次第に高くなりがちである。近年では、防音壁の改良が進み、高さを低く保ちながらも遮音性能が変わらないかあるいは向上させた新型防音壁(例えば本件発明者らにより提案された下記特許文献1および2)や防音用ダクト(下記非特許文献3参照)が開発されるようになってきた。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−151420号公報(段落20〜22)
【特許文献2】
特開平11−256523号公報(段落8)
【非特許文献3】
平成13年9月、発表者、大川、寺尾、関根、林による、社団法人日本騒音制御工学会研究発表会講演論文集「外壁貫通換気口の内貼り、フード、共鳴器等による共鳴透過音低減」第61頁〜64頁。
【0004】
これらの改良された防音壁についてそれぞれ簡単に説明する。図9に示したものは前記特許文献1に開示されたもので本件発明者等の提案になるものである。防音壁10の頂部で回折して漏れる騒音を減少させるために、防音壁10の頂部に防音装置20が配設されたもので、防音装置20は、防音壁10の頂部に沿って延びる筒状部分23を有し、該筒状部分23の外周面から全周にわたって径方向に延びる多数の第1の仕切り21と、前記筒状部分23の外周面から長手方向に延びる多数の第2の仕切り22とから構成される。これらによって、筒状部分23の外側に外方に向かって開口した音響空間24が多数形成される。音響空間24の深さは防音すべき騒音の主成分をなす音波の波長の1/4に構成される。
【0005】
図10に示した前記特許文献2に開示されたものも本件発明者の提案になるものである。これも、防音壁の頂部で回折して漏れる騒音を減少させるために、防音壁の上縁部に、騒音の主成分をなす周波数の1/4波長の深さを持つ音響管を所定の幅にわたって多数配列したものである。さらに高い遮音性能を発揮させるために、各音響管の開口部付近に吸音体を取り付けたものである。
【0006】
図11および図12に示した前記非特許文献3に開示されたものは、大川、寺尾、関根、林の提案になる「外壁貫通換気口の共鳴透過音低減」装置に関するものである。図11に示すような、防音壁に貫通して穿設された壁面換気開口の内貼りとしてグラスウール等の吸音材を配設したものでは、前記換気開口を透過する透過音に対して僅かな低減効果しか期待できないものであるが、図12に示すように、壁面換気開口内に共鳴器を挿入することによって、換気開口を透過する透過音に対してかなりの有望な騒音低減効果が見られるようになったものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1および第2特許文献に開示された従来の防音壁にあっては、防音壁の頂部で回折して漏れる騒音を減少させるためには、ある程度の高さを確保することは避けられないものであった。また、前記非特許文献第3に開示されたものは、点在する換気開口に関する技術である。このようなことからこれらの従来の防音壁では、高さを高くしていけば、依然として、対風荷重が大きく基礎を強大化する必要があり、また、高い防音壁の存在は運転手や乗客に圧迫感を与えてストレスを感じさせ、疲労が蓄積し易い上に、排気ガスの充満を招いた。さらには、道路や線路外を透視しにくく、自らの位置確認が困難である上に、遠方視認による目の疲労回復効果等は望むべくもなかった。道路や線路外の透視を可能にするものとして透明板等を付設するものも散見されるが、対風荷重の低減や排気ガスの充満等の解消にはつながらず、透明板の保守点検にも手間を要するものであった。そのようなことから、騒音に係る環境基準を遵守することが困難となり車両の高速運転に支障を来す虞れもあった。
【0008】
そこで、本発明では、このような従来の防音壁における諸課題を解決して、閉鎖的になりがちな防音壁の僅かな改良によって、高い遮音機能を維持したままで、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さな優れた防音壁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、騒音の伝搬経路上に設置される防音壁において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクトの内表面がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に薄膜を張設した音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトが、壁面上に穿設された連続する水平状のスリットから構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記水平状のスリットから構成されるダクトが、末広がり状に形成されたことを特徴とする。また本発明は、前記ダクトが、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁間に形成された鉛直状のスリットから構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に配設される音響管に能動的制御手段を組み合わせたことを特徴とする。また本発明は、前記防音壁に吸音材を施すとともに、ダクトのエッジ部に吸音性円筒を取り付けたことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0010】
【実施の形態】
以下、本発明の防音壁の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の防音壁の第1実施の形態を示す斜視図である。図2は本発明の第2実施の形態を示す垂直ルーバー型の防音壁で、図2(A)は平面図、図2(B)は道路側から見た正面図、図3は本発明の防音壁の縮尺模型実験配置図、図4(A)〜(D)はそれぞれ図3の各受音点R0、R1、R2、R3における音圧レベルを測定した遮音性能図、図5(A)〜(C)はそれぞれ図3の各受音点R4、R5、R6における音圧レベルを測定した遮音性能図である。本発明の基本構成は本件発明者等が鋭意研究を重ねているところの、壁面の表面特性の改善により、壁面の表面音圧をほぼゼロにして、音響的にソフトに近い性状を付与した減音メカニズムを採用することに着目したもので、図1に示すように、騒音の伝搬経路上に設置される防音壁2において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクト1の内表面3がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とする。つまり、前記ダクト1の内表面3が音響的ソフト境界を構成する(以下内表面3を音響的ソフト境界3と称する)ものである。
【0011】
図1に示すように、本発明の防音壁の第1実施の形態のものは、防音壁2の壁面に、連続する水平状のスリットから構成されたダクト1を穿設して構成したものである。防音壁2が高速道路等に設置されたものであれば、好適には、ダクト1は車両の運転者や乗客が道路外の遠景を見通せる高さに設けられる。ダクト1が連続する水平状のスリットから構成されることから、防音壁2の上下は、所定間隔をおいて配設された保持部材9により強固に接続される。前記ダクト1を通じて外部に漏洩する騒音については、本発明による音響的にソフトに近い性状に調整されたダクト1の内表面3の存在により、高い音波減衰性能によって効果的に遮音されることになる。
【0012】
図3〜図5を用いて、本発明の防音壁の遮音性能について詳述する。図3は、道路等の地面6上における騒音の伝搬経路(地点Sの音源4から地点R1〜R6の受音点5まで)上に設置される1/10縮尺模型実験で用いた防音壁の実験装置図である。実験には2次元無響室を用いた。試験体として、防音壁2部分は厚さ3mmの鉄板を用い、開口部により形成されるダクト1に設けた音響的ソフト境界3は、深さ17mmで主として5kHz(実寸では500Hz)の騒音に対応している。ソフト境界の素材は厚さ1mmのアルミ板であり、長さは17cm(2.5波長分)とした。
【0013】
防音壁2の全体としての高さは50cm、ダクト1の位置は道路面から12cmを下端として3cm分である。音源Sは防音壁2から75cm離れた地面上に置き、騒音が測定される各受音点5は、防音壁2から50cm、150cm離れた地点の地面上の12cm、35cm、50cmの計6点(R1〜R6)、およびダクト1の出口近傍R0の1点である。
【0014】
このような実験装置において、騒音の測定を、前記設計周波数5kHzを中心に3.15〜6.3kHzまで行い、ダクト1を形成しない高さ50cmの剛な防音壁の場合の各受音点における音圧レベルを基準とし、ダクト1を設けた場合の測定音圧レベルの結果を図4(A)〜(D)および図5(A)〜(C)に示した。正の値は遮音性能の向上を、負の値は遮音性能の低減を意味する。図4および図5の各図において、破線は開口部は有するが音響的にソフトなダクトを取り付けない場合のもので、実線は開口部に音響的ソフト境界3を設置した場合のものである。
【0015】
図4および図5の各図から以下のことが分かる。ダクト1の出口近傍R0での受音点を除き、4kHz〜5kHzまでの範囲で実線はほぼ0dBを示している。すなわち、開口部が形成されていても、音響的にソフトなダクトが構成されていれば、開口部が存在しない防音壁と同様な遮音性能があることを意味する。これと異なり、各図の破線はその周波数範囲で一部を除き殆ど負の値を示し、開口部の形成により防音壁として遮音性能が低下することを示しており、自然な結果である。かくして、防音壁に水平状に設けたダクトの存在により、空気通過部分と視覚的な開放部が形成されて、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さくなるにも拘らず、音響的にソフトなダクトにより高い遮音機能が維持できる。
【0016】
図1に戻り、本第1実施の形態のものでは、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体でダクトを構成するものとして、広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクト1の内表面3を、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管3−1、3−2、・・・3−Nを並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成したものである。音響管について、終端の閉じたものは、その管長が1/4波長の長さであるとき、音波が入射すると、その音波が音響管の終端で反射されて音響管の開口部から出るときには、1/4波長分を一往復することにより半波長だけずれる。したがって、音響管の開口部の面で見ると、反射波は入射波に対してその位相が180度だけずれることになり、両者は打ち消しあって音圧がゼロになる。つまり、音響的にソフトとなるものである。
【0017】
つまり、本来、取り除かれるべき騒音の主成分をなす音波の波長を代表的な1つの波長に選定するならば、多数の音響管3−1、3−2、・・・3−Nは、ほぼ同じ長さの終端の閉じた音波の波長の1/4の長さを有する音響管の集合体とすればよい。すなわち、音響管を含むダクト1の断面は図3の実験装置のように方形になるが、本実施の形態では、騒音の主成分をなす音波を複数個選定したものである。これにより、ダクト1を幅広い周波数帯に対して音響的にソフトに近い性状に調整された音響的ソフト境界3が設置されるものである。したがって、音響管を含むダクト1の断面は、異なった深さの音響管3−1、3−2、・・・3−Nの集合体から構成されることから、略三角形状となる。
【0018】
また、音響的ソフト境界3を構成するものとして、前記ダクト1の内表面3を、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成することもできる。さらに、好適には、前記ダクト1の内表面3が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように各音響管の開口部に薄膜(50μmの厚みを持つプラスティック膜を音響管開口部に無張力で張設したもの等)を張設した音響管の集合体で構成することもできる。前記薄膜の張設は、雨水や塵埃の侵入を防止するとともに、音響管内の気流の移動をさらに効果的に抑制して、効果の現れる周波数帯の中心を低周波側へ移動かつ帯域を拡張させて、結果的に音響管の長さを短くできて装置をコンパクトにすることも可能となる。
【0019】
かくして、本実施の形態では、音響的にソフトに近い性状に調整された音響的ソフト境界3の設置により、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能を維持しながら、車両の走行方向に連続して水平状に設けたダクト1の存在により、連続的な空気通過部分と視覚的な開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視を連続して可能にし、開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。
【0020】
図2は本発明の第2実施の形態を示す垂直ルーバー型とも言うべき防音壁で、図2(A)は平面図、図2(B)は道路側から見た正面図である。本実施の形態のものは、ダクト1が、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁2、2間に形成された鉛直状のスリットから構成されたことを特徴とする。つまり、図2(A)の平面図に示すように、所定の有限の長さを有する防音壁2、2・・・を、走行車両7の進行方向に対して僅かに傾斜させつつそれらの一部を重複させて多数起立配列して防音壁群を構成したものである。つまり、恰も垂直ルーバーのごとき様相を呈する。それらの傾斜角度は、車両7の運転者や乗客の視線8と略一致させるものである。
【0021】
図2(B)に示すように、道路側から見た正面図では、多数起立配列された防音壁群は鉛直状のスリットを構成するダクト1は見えず、走行方向に直交する騒音は有効に防音壁2の重複部により遮音される。傾斜配列された防音壁2、2・・・の重複部に形成されたダクト1の騒音の通過方向は、車両7の運転者や乗客の視線8と略一致するので、前記ダクト1によって空気通過部分と視覚的な開放部が形成され、ダクト1毎には断続的ではあるが、全体として連続した開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視が可能となり、開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。そして、防音壁2、2の対向する重複面にて形成される各ダクト1部には、音響的ソフト境界3が設置されるので、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能も維持される。
【0022】
図6は本発明の防音壁の第3実施の形態を示す断面図で、前記図1に示した第1実施の形態の変形例とも言うべきものである。主として鉄道用の通常の防音壁に適用される。本実施の形態では、防音壁2の壁面の一部に形成された開口部によって形成されたダクト1が、鉛直面内で断面変化するものである。したがって、表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整された内表面3すなわち音響的ソフト境界3が、末広がり状の開口部となり、外部が見通し易くなるものである。
【0023】
図7は本発明の防音壁の第4実施の形態を示す断面図で、前記図6に示した第3実施の形態のものを基本形として、能動制御技術を採用したものである。本実施の形態では、防音壁2の壁面の一部に形成された開口部であるダクト1における音響的ソフト境界3が末広がり状に形成され、音響的ソフト境界3を構成すべく配設された各音響管内に騒音の受音センサ10を設置し、各部の騒音の大きさに応じて制御器11において同振幅、逆位相の信号を作り、増幅器12を作動させ、各音響管内に配設したスピーカー13を騒音を打ち消す位相により鳴動させて、固定的な遮音特性に能動制御手段を組み合わせて、より精緻に表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整することが可能となる。
【0024】
図8は本発明の防音壁の第5実施の形態を示す断面図で、前記図2に示した第2実施の形態のものの変形例とも言うべきものである。主として道路交通騒音用の防音壁に適用される。本実施の形態では、ダクト1が鉛直に間隙のあるものとして構成され、その場合に、ダクト1の内表面が音響的にソフトな部分である音響的ソフト境界3を形成することはもとより、斜線部のように防音壁2に吸音材14を施して騒音低減化を図ったり、防音壁2の鉛直に位置するエッジ部に吸音性円筒15を取り付けることによって、さらに遮音性能を向上させることができる。
【0025】
以上詳細に説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内にて、防音壁の形状、形式(水平状のスリットおよび垂直ルーバー型による鉛直状スリット形成の他、防音壁の下方に水平状のスリットを形成し、上方を水平ルーバー型による水平状スリット形成として各ダクトに音響的ソフト境界を構成する等)、開口部の形成によるダクトの形状(複数の対象騒音の波長に対応させるために異なった深さの音響管を組み合わせるのに、実施の形態のもののような三角形断面や方形断面の他、適宜波形断面や台形断面等も採用され得る)、形式、音響管の形状(対象騒音の波長の長さを含む1/4波長音響管および共鳴器内蔵音響管の形状、つまり実施の形態の矩形断面の他、筒状であれば特に限定されず、三角形断面も可能で、辺数が4以上の多角形、台形、円形、楕円形等が採用され得る。)、形式、材質およびそのダクトへの配設形態(視界確保のためや雨水排水のため僅かに傾斜させて設置してもよい)、集合体を含む異なった特性の複数の種類の音響管の組合せ形態(1/4波長音響管と共鳴器内蔵音響管とを組み合わせる等)、音響管の開口部への薄膜の張設形態および薄膜の材質、能動制御手段の形式およびその制御形態、本発明の防音壁が施される構造物等については適宜選択し得る。なお、前述の実施の形態はあらゆる点で例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、騒音の伝搬経路上に設置される防音壁において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクトの内表面がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことにより、開口部を形成しない防音壁と同等の遮音性能を維持しながら、閉鎖的になりがちな防音壁に開口部を設けて外部の風景等を視認することができ、ストレスのない長時間の運転を可能にするとともに、排気ガス等の充満を防止し、風荷重の小さな耐久性の高い防音壁が実現できる。
【0027】
また、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体で構成された場合は、音響的にソフトに近い性状が音響管という簡素な構造物により実現できるとともに、多数の音響管の配設自体が防音壁構造物の補強体として機能させることができる。さらに、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成された場合は、効果の得られる周波数帯域が広くなるとともに、音響管の長さの自由度を高くすることができる。
【0028】
さらにまた、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に薄膜を張設した音響管の集合体で構成された場合は、音響管内の気流の移動をさらに効果的に抑制して、効果の現れる周波数帯の中心を低周波側へ移動かつ帯域を拡張させて、結果的に音響管の長さを短くできて装置をコンパクトにすることも可能となる他、雨水や塵埃の侵入が有効に防止される。また、広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成された場合は、広範囲の周波数帯域の騒音の低減制御に対応できる上、管長の異なる音響管の集合体の組合せによって、ダクトの断面形状を選定して補強効果を向上させることも可能となる。
【0029】
さらに、前記ダクトが、壁面上に穿設された連続する水平状のスリットから構成された場合は、水平状に設けたダクトの存在により、連続的な空気通過部分と視覚的な開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視を連続して可能にし、開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。さらにまた、前記水平状のスリットから構成されるダクトが、末広がり状に形成された場合は、ダクトの内表面の音響的ソフト境界を確保した上で外部が見通し易くなる。また、前記ダクトが、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁間に形成された鉛直状のスリットから構成された場合は、ダクト毎には断続的ではあるが、全体として連続した開放部が形成されて、運転者や乗客による道路や線路外の透視を開放的でストレスのない長時間の運転を可能にする。
【0030】
さらに、前記騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に配設される音響管に能動的制御手段を組み合わせた場合は、固定的な遮音特性に能動制御技術を組み合わせて、より精緻に表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整することが可能となる。さらにまた、前記防音壁に吸音材を施すとともに、ダクトのエッジ部に吸音性円筒を取り付けた場合は、さらなる騒音低減化と遮音性能を向上させることができる。かくして本発明によれば、閉鎖的になりがちな防音壁の僅かな改良によって、高い遮音機能を維持したままで、道路や線路外の透視を可能にして開放的でストレスのない運転を可能にするとともに、排気ガスの充満も解消されて対風荷重も小さな優れた防音壁が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防音壁の第1実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施の形態を示す垂直ルーバー型の防音壁で、図2(A)は平面図、図2(B)は道路側から見た正面図である。
【図3】本発明の防音壁の縮尺模型実験配置図である。
【図4】図4(A)〜(D)はそれぞれ図3の各受音点R0、R1、R2、R3における音圧レベルを測定した遮音性能図である。
【図5】図5(A)〜(C)はそれぞれ図3の各受音点R4、R5、R6における音圧レベルを測定した遮音性能図である。
【図6】本発明の防音壁の第3実施の形態を示す断面図である。
【図7】本発明の防音壁の第4実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明の防音壁の第5実施の形態を示す断面図である。
【図9】第1従来例の防音壁を示す斜視図である。
【図10】第2従来例の防音壁を示す断面図である。
【図11】第3従来例の防音壁を示す断面図である。
【図12】第4従来例の防音壁を示す断面図である。
【符号の説明】
1 開口部(ダクト)
2 防音壁
3 音響的ソフト境界
4 音源
5 受音点
6 地面
7 車両
8 視線
9 保持部材
10 受音センサ
11 制御器
12 増幅器
13 スピーカー
14 吸音材
15 吸音性円筒
Claims (10)
- 騒音の伝搬経路上に設置される防音壁において、壁面の一部に開口部を形成するとともに、該開口部によって形成されたダクトの内表面がその表面音圧がほぼゼロとなるような音響的にソフトに近い性状に調整されたことを特徴とする防音壁。
- 前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した音響管の集合体で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の防音壁。
- 前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波の周波数が第1次共鳴周波数に一致するように調整された共鳴器内蔵の音響管の集合体で構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の防音壁。
- 前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に薄膜を張設した音響管の集合体で構成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防音壁。
- 広い周波数帯において音響的にソフトに近い性状に調整するために、前記ダクトの内表面が、騒音の主成分をなす複数の音波の波長の1/4の長さを有する終端の閉じた多数の音響管を並設した前記各音波に対応する複数の音響管の集合体で構成されたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防音壁。
- 前記ダクトが、壁面上に穿設された連続する水平状のスリットから構成されたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の防音壁。
- 前記水平状のスリットから構成されるダクトが、末広がり状に形成されたことを特徴とする請求項6に記載の防音壁。
- 前記ダクトが、一部が重複して傾斜配列された多数の起立防音壁間に形成された鉛直状のスリットから構成されたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の防音壁。
- 前記騒音の主成分をなす音波に対して表面音圧がほぼゼロとなるように開口部に配設される音響管に能動的制御手段を組み合わせたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の防音壁。
- 前記防音壁に吸音材を施すとともに、ダクトのエッジ部に吸音性円筒を取り付けたことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の防音壁。
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