JP4289765B2 - 上方に放射される交通騒音の低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両側が壁で上部に開口を有する道路又は鉄道における交通騒音の低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
堀割道路など、両側が壁で上部に開口を有する道路では、自動車から排出される排気ガスが、走行する自動車の押し出し作用により外部に放出され、自然換気が可能となり(換気性能)、特別な換気装置が不必要である。また、上部に開口を有することにより自然光を取り入れることが可能であり、路面の明るさをある程度確保することができる(採光性能)。従って、トンネルなどに比べ、換気及び照明などのランニングコストを低減できるメリットがある。
【0003】
堀割道路などの上部に開口を有する道路は、このような長所がある一方、上部を開口しているために、自動車の走行音が集中して開口部から放射されるために、沿道での交通騒音が問題となることがある。
この問題を解決するため、特開平2000−8333号公報において、両側が壁で上部に開口を有する道路等の交通騒音の低減構造として、開口部に水平下向きの吸音表面を有する複数の吸音板が互いに間隔をおいて設置され、かつその吸音板が上下に複数段設置されたものが提案された。ここで提案された交通騒音の低減構造は、騒音低減性能はもとより、換気性能及び採光性能にも優れ、大きな効果を発揮している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記交通騒音の低減構造において、上下複数段の吸音板を千鳥配置すると、仮に鉛直方向の投影面で隙間がない状態にした場合でも、斜め方向に見通せる隙間が存在するために十分に騒音を低減できない。
また、前記交通騒音の低減構造において、吸音板をむやみな寸法構成で実施すれば、上部に開口を有する道路等の長所を阻害しかねない。例えば、複数の吸音板を互いに間隔をおいて設置する際、その間隔が広すぎると、換気や採光は充分な性能を有することになるが、騒音低減装置としては性能が劣ることになる。逆の場合は、騒音低減装置の性能が十分であっても、換気や採光が悪くなることになる。従って、複数の吸音板の水平方向の設置間隔や上下の設置間隔には適切な配置があるはずである。
さらに、前記前記交通騒音の低減構造において、各吸音板を現場で組み付ける場合の施工性の改善が求められていた。
【0005】
本発明は、両側が壁で上部に開口を有する道路又は鉄道において、前記の交通騒音の低減構造を改良して、さらに騒音低減性能に優れ、かつ自然の換気や採光を大きく阻害しない交通騒音の低減装置を得ることを目的とする。あわせて、その交通騒音の低減装置の施工性を改善することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る交通騒音の低減装置は、開口部に水平下向きの吸音表面を有する複数の吸音板が水平方向に互いに平行に一定の間隔をおいて設置され、前記吸音板が上下2段にかつ上下の段で互い違い(いわゆる千鳥配置)に設置され、さらに、上段の吸音板下面の略中央部にほぼ鉛直な吸音表面を有する吸音板が設置されていることを特徴とする。いうまでもなく、鉛直な吸音表面を有する吸音板は下段の吸音板の隙間に沿った位置に配置されている。
【0007】
この鉛直な吸音表面を有する吸音板は、上下2段の吸音板の斜め方向に見通せる隙間から放射される直接音を遮蔽し、しかもこの吸音板は上段の吸音板の略中央部に設置されて換気流れの対称位置にあるため、換気性能をほとんど低下させることがない。
上記鉛直な吸音表面を有する吸音板は、例えば、面密度500g/m2以上の遮音板を介して両側に吸音材を配置し両面を吸音表面としたものである。ただし、開口部の両端に吸音板が配置される場合は、一方側にだけ吸音材を配置し片面のみを吸音表面とすればよい。遮音板は通気性のない金属板、セラミック板、プラスチック板等で構成することができる。
【0008】
前記交通騒音の低減装置は、複数の吸音板を組み付けて一体化したユニット組立体を複数連接して構成することができ、これにより施工性が改善される。各ユニット組立体は、前記装置を道路延長方向に垂直な断面及び道路延長方向に平行な断面において分割したものである。なお、ユニット組立体を複数連接して構成する方法は、鉛直な吸音表面を有する吸音板を設置しない交通騒音の低減装置、つまり、開口部に水平下向きの吸音表面を有する複数の吸音板が水平方向に互いに一定の間隔をおいて設置され、前記吸音板が上下2段にかつ上下の段で互い違いに設置された交通騒音の低減装置に対しても、同様に適用することができる。
【0009】
上記交通騒音の低減装置は、例えば、各々実質的に同一構造を有し、かつ吸音板の長さ方向に垂直な断面において実質的に左右対称構造を有するユニット組立体を連接して構成される。この場合、例えば、各ユニット組立体は、吸音板の長さ方向に沿って、つまり隙間の方向に平行に分割され、かつ上下段いずれかの吸音板のうち左右の端に位置するものは、そのほぼ中央部で分割される。上段の吸音板がそのほぼ中央部で分割されるとき、そこに鉛直な吸音表面を有する吸音板が設置されていれば、その吸音板も縦に分割される。
さらに、前記ユニット組立体には4方を取り囲む枠体を設けることが望ましい。この枠体に吸音板が取り付けられる。その際、枠体の少なくとも1面に内側に吸音表面を有する吸音板が設置されていることが望ましい。これにより、自然の換気や採光性能を損なうことなく、大きな騒音低減効果が得られる。
【0010】
上記交通騒音の低減構造において、開口部の総面積に対する吸音板間隔の面積の割合(これを開口率と定義する)と上下2段に設置される吸音板の間隔とが図12の斜線部に示す領域で構成されることが望ましい。この場合において、上下各段の開口率は同一とする。
この領域は、開口率を横軸とし上下吸音板間隔を縦軸とする図12において、開口率25%と上下吸音板間隔100mmのポイント、開口率54%と上下吸音板間隔100mmのポイント、開口率39%と上下吸音板間隔600mmのポイント、及び開口率25%と上下吸音板間隔600mmのポイントで囲まれる領域である。開口率と上下吸音板の間隔がこの条件を満たすとき、自然の換気及び採光を確保したまま、効率よく騒音を低減できる。
【0011】
また、上記のように吸音板を水平に互いに間隔をおいて設置する装置において、吸音板によって遮蔽される音の周波数と、おのおのの吸音板の幅には一定の関係がある。各吸音板の幅を大きくするとより低周波の音から低減効果を発揮するが、幅を狭くすると低減効果を発揮する周波数が高くなってしまう。しかし、吸音板の幅をむやみに大きくすると、換気性能を確保するために上下段の吸音板間隔も広くする必要が生じて、騒音低減装置が大きな構造物となり経済的でなくなる。自動車などの交通騒音を対象として、その周波数特性を考慮に入れると、おのおのの吸音板の幅は500mm〜2000mmの範囲内とするのがよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図13を参照して、本発明に係る交通騒音の低減装置についてより具体的に説明する。
まず、図1に示すものは、上部に幅W0の開口部を有する堀割道路に設置した騒音低減装置Aの基本構造であって、水平下向きの吸音表面を有する幅w1の複数の吸音板1が道路の延長方向に沿って互いに間隔W1を隔てて設置され、さらに同じ吸音板1が上下に間隔h0を隔てて2段に設置され、上下段の吸音板は互い違いに配置されている。また、図1では、吸音板1のうち開口部の壁部に接する左右の端の吸音板は半分の幅とされている。しかし、開口部の幅W0、吸音板の幅w1及び間隔W1の関係に基づいて適宜の幅とすることもできる。各吸音板1として、例えば前記特開平2000−8333号公報に記載されたものを用いることができる。
【0013】
図2に示すものは、上記の基本構造に加え、上段の吸音板1の中央下面の略中央部にほぼ鉛直な吸音表面を有する吸音板2が設置されたものである。ここでは、吸音板2のうち開口部に接する左右の端の吸音板は半分の厚みとされている。吸音板2は、例えば図3に示すように、枠体3及び両面の多孔板4で囲まれる空間の中間に面密度が500g/m2以上の金属板又はそれに相当するものからなる遮音板5を設置し、その両側に吸音材6を配置したものである。左右の端の吸音板2については片面を遮音板、片面を吸音表面とすればよい。また、吸音板2において、遮音板を省略し、吸音材のみを前記空間に配置することもできる。上段の吸音板下面の略中央部に前記吸音板2を配置することにより、より大きな騒音低減効果が得られる一方、自然の換気の流れは、図4(b)に示すごとく対称的な流れとなるため、吸音板2がない場合(図4(a))と比べて、換気を大きく阻害しないという利点がある。
【0014】
図5に示すものは、図1に示す騒音低減装置を道路延長方向に垂直な断面において上段の吸音板群のほぼ中央で分割し、かつ道路延長方向にも分割し、それぞれを複数の吸音板で構成される一体化したユニット組立体としたものである。これは、上段が中央の吸音板1とその半分の幅の左右の端の吸音板1a、下段が2つの吸音板1からなり、上下の吸音板1、1aが千鳥配置された左右対称断面のユニット組立体であり、その周囲は側板7及び端板8からなる枠体で取り囲まれ、各吸音板1、1aはこの側板7及び端板8に取り付けられている。このユニット組立体を複数個連接することで図1に示す騒音低減装置を得ることができる。これで、現場での施工性に優れ、かつ騒音低減効果の大きい騒音低減装置を得ることができる。
【0015】
図6に示すものは、図2のタイプの騒音低減装置を同様に分割し、それぞれを複数の吸音板で構成される一体化したユニット組立体としたものである。上段の中央の吸音板1の下に鉛直に向く吸音表面を両面に有する吸音板2、及び左右の吸音板1aの下に鉛直内向きの吸音表面を有する吸音板2aが設置され、周囲が側板7及び端板8からなる枠体で取り囲まれ、各吸音板1、1a、2、2aは側板7及び端板8に取り付けられている。さらに両方の端板8にも鉛直内向きの吸音表面を有する吸音板9が設置されている。このユニット組立体を複数個連接することで図2に示すタイプの騒音低減装置を得ることができる。なお、吸音板2aが隣接するユニット組立体の吸音板2aと背中合わせに設置される場合、当該吸音板2aは中央の吸音板1の下面中央部に設けた吸音板2と同等の作用をもつ。
なお、図5及び図6に示すユニット組立体では、上段中央の吸音板1が1枚、下段の吸音板1が2枚であるが、ユニット組立体の構造はこれに限定されるものではない。例えば騒音低減装置の幅が大きく断面にさらに多数の吸音板が配置されている場合など、ユニット組立体として吸音板1に相当する吸音板をさらに多数並設する態様もあり得る。
【0016】
次に、このような騒音低減装置における騒音低減効果を評価する方法について説明する。騒音低減効果は、騒音低減装置Aがあるときとないときで外部に放射される音のレベル差(挿入損失)で評価する。
実験による方法では、図7に示すごとく、矩形状の残響箱11で囲まれた上部に騒音低減装置Aを設置する。残響箱11の底部に音源となるスピーカー12を設置し、騒音低減装置Aを通して外部に放射された音を、騒音低減装置A上面中央を中心とした半径3m上に15゜間隔で13点設置したマイクロホン13により計測を行う。同様にして騒音低減装置Aがないときの場合も、前記設定点に設置したマイクロホン13により外部に放射された音を計測する。
【0017】
また、図8は境界要素法を用い数値解析によりシミュレーション(前記特開平2000−8333号公報参照)するときの解析モデルを示す一例である。矩形領域14の底部に音源15を設定することにより、矩形領域14内で乱反射を起こした拡散音の一部が騒音低減装置Aを通して外部に放射され、外部に放射されたその音は、騒音低減装置Aの上面中央を中心とした半径3m上に15゜間隔で13点設置した観測点16により計測される。同様にして騒音低減装置Aがないときの場合も、前記観測点と同一点で外部に放射された音が計測される。
【0018】
このようにして実験による計測と境界要素法を用いたシミュレーションの結果から、以下に述べる方法を用いて、自動車騒音を考慮した騒音低減装置Aの騒音低減量(挿入損失)を求める。騒音低減装置Aの有無における計測された13点それぞれの50Hzから5kHzの1/3オクターブの各スペクトルについて、k番目の1/3オクターブのスペクトルを、騒音低減装置Aがない場合とある場合、それぞれ
【数1】
とすると、全測定点のエネルギー平均値
【数2】
は次式により求める。
【数3】
【0019】
次に、各1/3オクターブバンドの騒音低減量(挿入損失)
【数4】
は、騒音低減装置ありなし、それぞれの音圧レベルエネルギー平均値の差を算出することにより求める。
【数5】
さらに、自動車交通騒音に対する騒音低減効果(挿入損失)を算出するにあたり、騒音低減装置の効果を考慮した自動車騒音の1/3オクターブスペクトルを、自動車騒音の代表スペクトルから各1/3オクターブ周波数の騒音低減量(挿入損失)
【数6】
を引き去ることにより求める。ここで、自動車騒音の代表スペクトルは音響学会で提示されている図9に示す特性を用いる。
【数7】
【0020】
自動車騒音スペクトルのオーバーオール値
【数8】
と騒音低減装置の効果を考慮した自動車騒音スペクトルのオーバーホール値
【数9】
をそれぞれ求めて、その差を自動車騒音に対する騒音低減装置の騒音低減量(挿入損失)
【数10】
として算出する。
【数11】
以下の説明に用いる騒音低減量は、シミュレーション結果及び実験結果とも、上記のごとく求めたものである。
【0021】
図7に示す試験装置を用いて騒音低減装置Aの効果を計測した。矩形の残響箱11の上部に騒音低減装置Aを設置し、残響箱11の内部底面に設置したスピーカー12から試験音を発生させ、騒音低減装置Aの上面中央を中心とした半径3m上に15゜間隔で13点の計測点における音圧レベルを計測して、前記方法により自動車騒音を考慮した騒音低減量を求めた。
騒音低減装置Aとして図10に示す断面構造のもの(試験例1)を用いた。騒音低減装置Aの全幅W0は2,320mm、吸音板の幅w1は700mm、吸音板間隔W1は460mmであり、開口率は40%である。また、上下吸音板間隔h0は300mmである。
【0022】
同じく、騒音低減装置Aとして、図11に示す断面構造のもの(試験例2、試験例3)を用いた。上下段の基本断面構造は試験例1と同じであるが、上段の吸音板1の下面の略中央部にほぼ鉛直の吸音面を両面に有する吸音板2を設置し、同じく吸音板1aの端にほぼ鉛直内向きの吸音表面を有する吸音板2aを設置している。試験例2の吸音板2は吸音材の中心に遮音板がなく(a)、試験例3の吸音板2には吸音材の中心に遮音板が設置されている(b)。また、両端の吸音板2aは中央の吸音板2を中心で分割した構造を有する。
さらに、騒音低減装置Aとして、試験例3の断面構造に加え、図6に示すように前後方向の両端(端板)に鉛直内向きの吸音表面を有する吸音板を設置したもの(試験例4)を用いた。端板間の間隔は5mとした。
表1に、試験例1を基準として、試験例2〜4の騒音低減量の相対レベル差を示す。試験例2では、試験例1よりも騒音低減効果が2.5dB(A)向上し、試験例3では、3.3dB(A)、試験例4では4.0dB(A)とさらに高い騒音低減効果が得られた。
【0023】
【表1】
【0024】
図12は、騒音低減装置Aにおいて、堀割道路の上方開口部の開口率と上下に設置された吸音板1の間隔h0、及び騒音低減量の関係を示したグラフである。用いた騒音低減装置Aの断面構造は図10に示す通りである。グラフの横軸は開口部の幅W0に対する吸音板間隔W1合計の割合(開口率)を示し、グラフの縦軸は上段吸音板の下面と下段吸音板の上面との間隔h0を示す。図8に示す境界要素法の解析モデルを用いて、開口率25〜55%と吸音板間隔100〜800mmにおいて解析を行った騒音低減量結果をグラフの等高線として示している。等高線の間隔は1dB(A)であり、グラフの左下ほど性能がよく、右上ほど性能が悪いことを示している。
【0025】
開口率が小さくなると騒音低減量は大きくなるが、換気性能を損なうため開口率25%以上が適切である。逆に開口率を大きくし過ぎると有効な騒音低減効果が得られなくなるため、上下吸音板間隔100mmで開口率54%以下が適切である。一方、上下吸音板間隔を狭くし過ぎると、騒音低減量は大きくなるが換気性能が十分でなくなるため上下吸音板間隔100mm以上が適切である。また、上下吸音板間隔を広くすると、同じ開口率でも騒音低減量は低下するが、上下吸音板間隔を600mm以上ではほとんど変化がなくなる。つまり、上下吸音板間隔を広げても騒音低減装置をむやみに大きくするだけで経済性に乏しくなる。以上のことを考慮すると、開口率と上下吸音板間隔とが図12の斜線部に示す領域となる騒音低減装置の構造が有効であるといえる。
【0026】
次に、図13を用いて吸音板の幅により騒音低減効果に大きい差が出ることを説明する。
騒音低減装置Aとして図10に示す断面構造のものを用い、開口率を40%と一定とし、吸音板1枚当りの幅をグラフの横軸とし、図8に示す境界要素法の解析モデルを用いた解析結果を、自動車騒音を考慮した騒音低減量の相対差として示したものである。図中の3本のグラフは、それぞれ上下吸音板間隔h0を400mm、500mm、600mmとしたものである。いずれの上下吸音板間隔においても、吸音板1の幅が500mmまではほとんど騒音低減量が変化しないのに対して、500mmを越えると、同じ開口率であっても騒音低減量が大きくなる。これは、同じ吸音板面積であっても騒音低減効果を大きくできることを意味し、経済的でより効果の大きい騒音低減装置が得られる。
【0027】
このように吸音板の幅により騒音低減効果が異なるのは、対象とする騒音の波長と関係するためである。すなわち、各吸音板の幅を広くすると、より低周波の音から低減効果を発揮するが、各吸音板の幅を狭くすることで、低減効果を発揮する周波数が高くなってしまう。さらには同一開口率で吸音板の幅を大きくするとき、上下段の吸音板の重なり部分が多くなることによる効果も含まれている。なお、必要以上に吸音板の幅を広くすると、自然の換気を確保するために上下吸音板間隔を広くする必要が生じて、結局、大きな騒音低減構造となり経済的でなくなるため、吸音板の幅は2,000mm以下が適切である。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、両側が壁で上部に開口を有する道路又は鉄道において、開口部から上方に放射される交通騒音を低減し、経済的であり、かつ自然の換気や採光を大きく阻害しない交通騒音の低減装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 堀割道路へ適用する騒音低減装置の模式的断面図である。
【図2】 堀割道路へ適用する別の騒音低減装置の模式的断面図である。
【図3】 鉛直な吸音表面を有する吸音板の分解図である。
【図4】 自然換気の流れを示す図である。
【図5】 騒音低減装置を構成するユニット組立体の模式的な一部切欠き斜視図である。
【図6】 別の騒音低減装置を構成するユニット組立体の模式的な一部切欠き斜視図である。
【図7】 試験例の効果を測定する試験装置を示す図である。
【図8】 シミュレーションの解析モデルを示す図である。
【図9】 自動車騒音の代表スペクトルを示す図である。
【図10】 試験に用いた騒音低減装置の模式的な断面図である。
【図11】 試験に用いた他の騒音低減装置の模式的な断面図及び鉛直な吸音板の断面図(a)、(b)である。
【図12】 開口率と上下吸音板の間隔、及び騒音低減量の関係をシミュレーションの解析結果から示す図である。
【図13】 吸音板の幅と騒音低減量の関係をシミュレーションの解析結果から示す図である。
Claims (8)
- 両側が壁で上部に開口を有する道路又は鉄道における交通騒音の低減装置であって、開口部に水平下向きの吸音表面を有する複数の吸音板が水平方向に互いに平行に一定の間隔をおいて設置され、前記吸音板が上下2段にかつ上下の段で互い違いに設置され、さらに上段の吸音板下面の略中央部にほぼ鉛直な吸音表面を有する吸音板が設置されていることを特徴とする上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 前記鉛直な吸音表面を有する吸音板が、面密度500g/m2以上の遮音板を介して両側に吸音材を配置したものであることを特徴とする請求項1に記載された上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 両側が壁で上部に開口を有する道路又は鉄道における交通騒音の低減装置であって、開口部に水平下向きの吸音表面を有する複数の吸音板が水平方向に互いに平行に一定の間隔をおいて設置され、前記吸音板が上下2段にかつ上下の段で互い違いに設置され、さらに上段の吸音板下面の略中央部にほぼ鉛直な吸音表面を有する吸音板が設置され、この装置は複数の吸音板を組み付けて一体化したユニット組立体を複数連接して構成され、各ユニット組立体は、前記装置を道路延長方向に垂直な断面及び道路延長方向に平行な断面において分割したものであることを特徴とする上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 実質的に同一構造を有し、かつ吸音板の長さ方向に垂直な断面において実質的に左右対称構造を有する複数のユニット組立体を連接したものであることを特徴とする請求項3に記載された上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 前記ユニット組立体には4方を取り囲む枠体が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載された上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 前記枠体の少なくとも1面に内側に吸音表面を有する吸音板が設置されていることを特徴とする請求項5に記載された上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 開口部の総面積に対する吸音板間隔の面積の割合と上下2段に設置される吸音板の間隔とが図12の斜線部に示す領域で構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された上方に放射される交通騒音の低減装置。
- 前記水平に設置される吸音板が、各々500mm〜2000mmの幅を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された上方に放射される交通騒音の低減装置。
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