JP4798625B2 - 移動制限装置 - Google Patents

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Description

本発明は、橋梁その他の構造物に水平方向の地震力は勿論のこと特に垂直方向の地震力又は上揚力が誘起されたとき、その地震力等に抵抗及び吸収し、該構造物を支承する橋脚その他の支持構造物から該橋梁等が落橋等現象を誘起しないようにすべくした移動制限装置に関する。
従来の技術に於ける一つの例としては、特開2000−274484公開特許公報に開示した構造物移動制限用ストッパ装置がある。これについて説明すれば図11及び図12に示すように、円形または矩形等の軟質または硬質のゴム板1aの上面に、四弗化エチレン板または層からなる上部テフロン層(登録商標)1bを接着剤または一体成形等により一体に固着したゴム製下部位置決め片1cと、軟質または硬質のゴム板1dの下面に、四弗化エチレン板または層からなる下部テフロン層(登録商標)1eを接着剤または一体成形等により一体に固着したゴム製上部位置決め片1fとを、前記上部テフロン層(登録商標)1bの上面に、前記下部テフロン層(登録商標)1eを重合するように載置し、前記各ゴム製位置決め片1c、1fの接触面において、これらが相対的に横方向にスライド(移動)自在に載置されてゴム製位置決め部材1が構成されている。下部鋼製ストッパ部材2の下部に、複数のリブ3および複数の雌ねじ筒4が一体に設けられ、その雌ねじ筒4には鋼棒からなる下部アンカ部材5の上端の雄ねじ部が螺合固定されるか、または下部アンカ部材5の上端部が雌ねじ筒4に対し溶接により固着され、さらに下部ストッパ部材2の上面6の中央部には断面円形の係止用上向き突起7が一体に設けられ、また下部ストッパ部材2の上面6および上部鋼製ストッパ部材8の下面9との間には、その上向き突起7の周囲において、4つのゴム製位置決め部材1が配置され、そのゴム製位置決め部材1の下面が前記下部ストッパ部材2の上面に載置され、また4つのビス螺合用雌ねじ孔が突起周囲方向に間隔をおいて設けられ、前記ゴム製下部位置決め片1cの下部は、下部ストッパ部材2の上面に載置され、かつ前記ゴム製位置決め部材1におけるゴム製上部位置決め片1fの上部は、上部ストッパ部材8の下面に当接されて、ゴム製位置決め部材1の上部および下部が、それぞれ下部ストッパ部材2の上面および上部ストッパ部材8の下面に当接されている。
前記のようにゴム製位置決め部材1を配置することにより、各鋼製ストッパ部材2、8と各ゴム製位置決め片1c、1fにおけるゴム板との摩擦係数は、各ゴム製位置決め片1c、1fにおけるテフロン層(登録商標)相互の接触部の摩擦係数よりも大きいので、下部鋼製ストッパ部材2とゴム製下部位置決め片1cとの間で相対的に移動する恐れはなく、また上部鋼製ストッパ部材8とゴム製上部位置決め片1fとの間でこれらが相互に当接している時には、これらが相対的に横方向に移動する恐れもない。上部鋼製ストッパ部材8の上部に、複数のリブ10および複数の雌ねじ筒11が一体に設けられ、その雌ねじ筒11には上端にフランジを有する鋼棒からなる上部アンカ部材12の下端の雄ねじ部が螺合され、かつその上部アンカ部材12は雌ねじ筒11に対し溶接により固着され、さらに上部ストッパ部材8の下面9の中央には、構造物長手方向に延長する長円形の係止用下向き開口凹部13が設けられている。また上部ストッパ部材8には、下向き開口凹部13の周囲において前記雌ねじ孔に合致する4つのビス挿通用透孔が設けられている。前記上部ストッパ部材8の下面9が前記下部ストッパ部材2の上面に載置されたゴム製位置決め部材1におけるゴム製上部位置決め片1fの上面に載置され、かつ下部ストッパ部材2の上面6と上部ストッパ部材8の下面9との間に間隙Gが設けられ、さらに前記透孔(図示せず)に挿通された仮止め用ビスが前記雌ねじ孔に螺合され、その仮止め用ビスにより下部ストッパ部材2と上部ストッパ部材8とが分離しないように仮結合され、また前記下向き開口凹部13における構造物長手方向の両端部と上向き突起7との間には構造物伸縮許容間隙Sが設けられている。
図中、14は構造物、15は支持構造体である。
従来の技術に於ける他の例としては、図13(a)、(b)に示す構造物の移動制限部材がある。これについて説明すれば、16は支持構造体としてのコンクリート躯体であって、例えば、コンクリート橋台又はコンクリート橋脚等で構成される。17は構造物であって、例えば、RC床版や桁等で構成される橋梁である。18は前記支持構造物16の上面16aに固定・配置し、前記構造物17を支える支承部材である。該支承部材18は平板部18aを形成し、この平板部18aから構造物16の上面16aに向って複数本のアンカーボルト19、19…を打込み、該支承部材18を支持構造物16の上面16aに固定する。そして、該支承部材18の先端部はRC床版や桁等で構成される橋梁上部工でなる構造物17を支承する。一方、当該支持構造物16の側面16bには複数のアンカーボルト21、21…を該支持構造物16に打込んでブラケット20を固定・配置する。前記ブラケット20と前記構造物17間には構造物の移動制限部材22が介設されている。この移動制限部材22は、前記構造物17の下面17aにボルト17bで固定されたポット部22Aと前記ブラケット20の上端平板部20aにボルト20bで固定されたストッパー部22Bとで構成されてなり、該ポット部22Aは内面に凹陥部22aを形成し、また、該ストッパー部22Bはその中央部に突起22bを形成し、この突起22bを該凹陥部22aに嵌入配置している。
特開2000−274484公開特許公報
従来の技術は、背景技術で述べたような構成であるので次の課題が存在した。
すなわち、前述した従来の技術に於ける一つの例によれば、強大な地震力が発生し支承が破壊された後、当該構造物移動制限用ストッパ装置に於いて、該支持構造物15は左方又は右方に動き、それに伴ない上向き突起7が係止用下向き開口凹部13の左側又は右側の内壁に衝突してこの地震力が上部ストッパ部材8と下部ストッパ部材2により抵抗する。しかしながら、当該支持構造体15や構造物14に誘起される地震力は必ずしも水平方向に限定されず、垂直方向にも地震力つまり上揚力が発生する。かかる場合、当該従来の技術では前記上向き突起7が前記上向き突起7が前記下向き開口凹部13から脱出し、橋梁その他の構造物14が例えば橋台、橋脚その他の支持構造体15から落下するという問題点があった。
また、前述した従来の技術に於ける他の例によれば、本来、構造物17と支持構造物16を含む全体構造物、例えば、橋梁構造物は上部工としての構造物17と、下部工としての支持構造物16から構成され、その接点として支承部材18が担う。また、一般的に構造物17からの荷重力を支持構造物16に伝達されている。そして、前述した従来の技術に於ける一つの例と概ね同一の問題点がある。即ち、当該構造物の移動制限部材に於いて地震が誘起され、コンクリート躯体等構造物17が図11(b)の矢印a方向に示すように水平方向の地震力を受けたときは、前記ストッパー部22Bのボルト22bがポット部22Aの凹陥部22aの内面に衝当し、この地震力は構造物の移動制限部材22により抵抗する。そして、当該コンクリート躯体等構造物17が垂直方向である図13(b)の矢印b方向の地震力又は上揚力を受けたときは、前記ボルト22bが図13(b)に示すように前記凹陥部22aから脱出し、最悪の場合は当該構造物14が支持構造物15から落下するという問題点があった。
因みに、従来に於ける地震の際の上揚力は、平成13年の道路橋支承便覧により支承部材18に作用する死荷重反力の10%として設計されていたが、平成16年度から死荷重反力の30%に変更された。ただし、上揚力の誘起による対策を行う場合は従来どおりの死荷重反力の10%でよいとされている。したがって、この上揚力の誘発による対策を施していない橋梁等構造物に大規模の地震特に垂直方向の地震力が発生したときは支承部材18のアンカーボルト19’は図11(b)に示すように破断し、引き抜け又は上沓と下沓は逸脱して、構造物17としての上部工と支持構造物16としての下部工は不連続となり橋梁すなわち全体構造物は機能不全となり、落橋現象を誘起する。
本発明に係る移動制限装置は従来に於ける移動制限装置や落橋防止装置等が施された橋梁であっても、上揚力の誘発による対策としての検討はなされていない実情に鑑み発明したものであり、水平方向の移動制限は勿論のこと、上下動による垂直方向の移動にも構造物に固定されかつ下方略中央であって開放された下縁を内方に突出させた凹部を形成し、2分割を結合した第1部材を備え、また支持構造体に固定されかつ第1部材の凹部に空間Sを介在させて係入すると共に上方略中央に拡張頭部を備えた凸部を形成する第2部材を有した装置を提供し、前記した上揚力の誘発による対策を可能とした技術、特に前記構造物の垂直方向の地震力に抵抗する移動制限装置を提供することを目的としたものであって、次の構成、手段から成立する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、構造物と支持構造体間に介設される移動制限装置に於いて、該構造物に固定されかつ下方略中央であって開放された下縁を内方に突出させた凹部を形成し、前後に2分割された前方構造体の上端部の後端に及び後方構造体の上端部の前端にそれぞれ段差状部を一連に形成して組合せ結合し、かつ複数の貫通ボルトで一体結合した第1部材と、前記支持構造体に固定されかつ該第1部材の凹部に空間Sを介在させて係入すると共に上方略中央に拡張頭部を備えた凸部を形成する第2部材とで構成したことを特徴とする。
本発明に係る移動制限装置は、叙上の構成、作用を有するので次の効果がある。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、構造物と支持構造体間に介設される移動制限装置に於いて、該構造物に固定されかつ下方略中央であって開放された下縁を内方に突出させた凹部を形成し、前後に2分割された前方構造体の上端部の後端に及び後方構造体の上端部の前端にそれぞれ段差状部を一連に形成して組合せ結合し、かつ複数の貫通ボルトで一体結合した第1部材と、前記支持構造体に固定されかつ該第1部材の凹部に空間Sを介在させて係入すると共に上方略中央に拡張頭部を備えた凸部を形成する第2部材とで構成したことを特徴とする移動制限装置を提供する。
このような構成としたので、地震に際し、橋梁等の構造物や橋台又は橋脚等の支持構造体に垂直方向の地震力若しくは上揚力が誘起されたときにも、開放された下縁を内方に突出させた凹部を形成し、2分割を貫通ボルトで一体結合した第1部材及び該第1部材に係入する拡張頭部を備えた凸部を形成した第2部材を有した当該移動制限装置により、該地震力や上揚力確実に抵抗できることに加えて該第1部材相互を貫通ボルトにより堅固に連結することができ、さらに、前記凹部と凸部に形成した壁面又は断面により左右の震動力に完全に抵抗できることとし該移動制限装置のせん断耐力を向上させると共に耐久性を高め第1部材や第2部材を迅速かつ容易に組付けることができ、橋台等の支持構造体に垂直方向又は水平方向の震動力が掛ったとき、前記第1部材及び前記第2部材の相互間は、該凸部の拡張頭部と該第1部材の下縁により該第2部材は該第1部材から離脱することなく堅固に固定されておりその震動力に抵抗するという効果がある。
以下、本発明に係る移動制限装置の実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係る移動制限装置の実施の形態を示す正面図である。図2は図1の矢視A-A線方向の断面図である。図3は図1の矢視B-B線方向の平面図である。図4は図1の矢視C−C線方向の断面図である。図5は図1の矢視D−D線方向の断面図である。図6は図1に示す移動制限装置を構造物としての橋梁と支持構造体としての橋台間に介設した状態を示す組立構成図である。
23は移動制限装置であって、第1部材24と第2部材25を備えている。該第1部材24は例えば、図3に示すように前後に2分割されており、これを結合することで略矩形状箱体で構成され、下方略中央に凹部24aを形成している。そして、該第1部材24の上面24bはボルト挿入用ねじ穴24c、24cの複数個を穿孔し、図6に示すように第1部材24は構造物26としての橋梁の一部に複数の固定用ボルト26a、26aを該ボルト挿入用ねじ穴24c、24c内にねじ込み固定する。前記第1部材24の凹部24aは例えば図4に示すように断面形状が略四角形の有底を構成している。
尚、前記第1部材24の形状等は前記以外の形状例えば、円筒体であってもよく、その凹部24aの断面形状は真円状でもよい。また、前記第1部材24の凹部24aの開放された下縁24eは内方に所定長を突出させた構成となり、この下縁24eで真円状貫通孔24fを形成する。尚、上記第1部材24は左・右に2分割した構成であってもよい。
前記第2部材25は基体部25aと、これを一体成形された凸部25bとで構成されている。該基体部25aは例えば水平断面形状が略矩形で構成され、その下面25cはボルト挿入用ねじ穴25d、25dの複数個を穿孔し、図6に示すように第2部材25は支持構造体27としての例えば、橋台の一部に複数の固定用ボルト27a、27aを該ボルト挿入用ねじ穴25d、25d内にねじ込み固定される。前記凸部25bは前記第2部材25の基体部25aの上方略中央に例えば、その中間部位25gを図5に示すように円柱状に突設形成され、図5に示すように断面形状が真円状となっている。この凸部25bの上端には図4に示すようにその前・後方向に拡張頭部25hを形成し備えている。そして該凸25bは前述した第1部材の凹部24a内に係入する。図中、30は支承部材である。
前記第1部材24は図3に示すように前・後に2分割された前方、後方構造体24E、24Fを複数の貫通ボルト28…で結合している。本実施の形態の構造では3本の貫通ボルト28…で2分割の第1部材24をボルト締め作業で結合している。そして、前方構造体24Eの上端部24Gの後端及び後方構造体24Fの上端部24Gの前端は図3に示すようにそれぞれ段差状部24gを一連に形成し、これを組合わせ結合することにより前記第1部材24が組立てられる。また、凹部24aを形成することで図4、図5に示すように前壁24Aと後壁24B及び左壁24Cと右壁24Dを構成する。前記第2部材25の凸部25bを該第1部材24の凹部24a内に挿入・配置したとき、該第1部材24と該第2部材25間は空間Sを介在させる。具体的には該空間Sの長さは第1部材24の左壁24Cの内側面又は右壁24Dの内側面若しくは凹部24aの有底面と前記第2部材25の凸部25bの外周面との距離である。
前記貫通ボルト28、28…の固着方法は例えば図3に示すように、当該ボルト軸部28b、28b…に雄ねじを刻設し、第1部材24の上端部24G及び下端部24Hの前方から後方に向かってねじ挿入孔を穿孔して該ねじ挿入孔の内壁に雌ねじを刻設する。そして、前記第1部材24の前方構造体24E及び後方構造体24Fの段差状部24gをそれぞれ嵌合させ組み合わせた後に貫通ボルト28、28…の該ボルト軸部28b、28b…の先端を該ねじ挿入孔に挿通し、そのボルト頭28aを該第1部材24の前面24I、後面24Jに固定する。そして、図6に示す橋台等の支持構造体27に矢印F方向又は矢印H方向の震動力が掛ったとき、前記第1部材24及び前記第2部材25の相互間は、該凸部25bの拡張頭部25gと該第1部材24の下縁24eにより該第2部材25は該第1部材24から離脱することなく堅固に固定されておりその震動力に抵抗する。
上述の説明に於いて、第1部材24に凹部24aを第2部材25に凸部25bをそれぞれ形成した構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、該第1部材24に凸部を、第2部材25に凹部を形成した構成であってもよい。その場合、他の構成部品については、前述した本発明の実施の形態、構成のものを具備すれば、本発明の目的を達成することができる。尚、上述した本発明に於ける実施の形態の構成をそのまま存置させ、前記第1部材24と前記第2部材25間の空間S内にアクリル樹脂材料やポリウレタン系樹脂材料等の樹脂24dを充填する。このようにすると空間S内に塵埃や雨水が流入することがなく、第1部材及び該第2部材の汚損や劣化現象を防止し高品質を保持すると共に長寿命化を実現できる。
次に、本発明に係る移動制限装置の実施の形態についてその組立手順や作用等について説明する。
図6に於いて、31は縁端拡幅用ブラケット等ブラケットであり、水平端面板部31aと、垂直端面板部31bと、立設板部31cとを有している。この水平端面板部31a、垂直端面板部31b及び立設板部31cは一体形成するか又は溶接等の手段でそれぞれを固定する。そして、前記支持構造体27、例えば、橋台の垂直方向端面27Aに前記垂直端面板部31bを当接し前記支持構造体27、例えば、橋台の水平面27Bの線上に前記水平端面板部31aを適合させる。そして、ブラケット31の垂直端面板部31bに穿孔した複数のボルト挿通孔を介して複数のアンカーボルト32、32を支持構造体27の垂直方向端面27Aに打込む。而して、当該ブラケット31は橋台、橋脚等の支持構造体27に固定される。
そこで、該支持構造体27の上方に前記支承部材30を介して橋梁等の前記構造物26を載置し、支承する。さらに、前記第1部材24の上面24bは橋梁や床版等の前記構造物26の一部に当接し、該上面24bに予め複数個のボルト挿入用ねじ穴24c、24cを穿孔してあり、このボルト挿入用ねじ穴24c、24c内にそれに対応した個数を有する固定用ボルト26a、26aをねじ込み、当該第1部材24を構造物26の一部に固定する。また、前記第2部材25は基体部25aと、これと一体成形された凸部25bとで構成されている。該基体部25aは例えば水平断面形状が略矩形で構成され、その下面25cはボルト挿入用ねじ穴25d、25dの複数個を穿孔し、図6に示すように第2部材25は支持構造体27としての例えば、橋台の一部に複数の固定用ボルト27a、27aを該ボルト挿入用ねじ穴25d、25d内にねじ込み、当該第2部材25を支持構造物27に固定する。そして、図4に示す橋台等の支持構造体27に矢印F方向又は矢印H方向の震動力が掛ったとき、前記第1部材及び前記第2部材25の相互間は、該凸部25bの拡張頭部25gと該第1部材24の下縁24eにより該第2部材25は該第1部材24から離脱することなく堅固に固定されておりその震動力に抵抗する。加えて、第2部材25の凸部25bの中間部位25fが第1部材24の下縁24eに衝当し左・右方向の震動力に抵抗する。
また、本発明に係る移動制限装置に於いて地震等が誘起され、前記構造物26及び前記支持構造体27に図4に示す矢印E方向の地震力つまり垂直方向地震力や上揚力が掛ったとき、前記第1部材24と前記第2部材25が離脱するように作用する。該第2部材25の凸部25bの拡張頭部25gが第1部材24の下縁24eに係止され、この垂直方向地震力や上揚力が抵抗される。また、前記第1部材24と前記第2部材25間の空間S内にアクリル樹脂材料やポリウレタン系樹脂材料等の樹脂24dを充填する。このようにすると空間S内に塵埃や雨水が流入することがなく、第1部材及び該第2部材の汚損や劣化現象を防止し高品質を保持すると共に長寿命化を実現できる。
次に、本発明に係る移動制限装置の実施例について添付図面に基づき詳細に説明する。
図7は、本発明に係る移動制限装置の実施例を示す正面図である。図8は、図7の矢視I−I線方向の断面図である。図9は、図7の矢視J−J線方向の断面図である。図10は図7の矢視K−K線方向の断面図である。
23は移動制限装置であって、第1部材24と第2部材25を備えている。該第1部材24は例えば、図3に示すように前後に2分割されており、これを結合することで略矩形状箱体で構成され、下方略中央に凹部24aを形成している。そして、該第1部材24の上面24bはボルト挿入用ねじ穴24c、24cの複数個を穿孔し、図6に示すように第1部材24は構造物26としての橋梁の一部に複数の固定用ボルト26a、26aを該ボルト挿入用ねじ穴24c、24c内にねじ込み固定する。前記第1部材24の凹部24aは例えば図4に示すように断面形状が略四角形の有底を構成している。
尚、前記第1部材24の形状等は前記以外の形状例えば、円筒体であってもよく、その凹部24aの断面形状は真円状でもよい。また、前記第1部材24の凹部24aの開放された下縁24eは内方に所定長を突出させた構成となり、この下縁24eで真円状貫通孔24fを形成する。
前記第2部材25は基体部25aと、これを一体成形された凸部25bとで構成されている。該基体部25aは例えば水平断面形状が略矩形で構成され、その下面25cはボルト挿入用ねじ穴25d、25dの複数個を穿孔し、図6に示すように第2部材25は支持構造体27としての例えば、橋台の一部に複数の固定用ボルト27a、27aを該ボルト挿入用ねじ穴25d、25d内にねじ込み固定される。前記凸部25bは前記第2部材25の基体部25aの上方略中央に例えば、その中間部位25gを図5に示すように円柱状に突設形成され、図5に示すように断面形状が真円状となっている。この凸部25bの上端には図4に示すようにその前・後方向に拡張頭部25hを形成し備えている。そして該凸25bは前述した第1部材の凹部24a内に係入する。図中、30は支承部材である。
前記第1部材24は図3に示すように前・後に2分割された前方、後方構造体24E、24Fを複数の貫通ボルト28…で結合している。本実施の形態の構造では3本の貫通ボルト28…で2分割の第1部材24をボルト締め作業で結合している。そして、前方構造体24Eの上端部24Gの後端及び後方構造体24Fの上端部24Gの前端は図3に示すようにそれぞれ段差状部24gを一連に形成し、これを組合わせ結合することにより前記第1部材24が組立てられる。また、凹部24aを形成することで図4、図5に示すように前壁24Aと後壁24B及び左壁24Cと右壁24Dを構成する。前記第2部材25の凸部25bを該第1部材24の凹部24a内に挿入・配置したとき、該第1部材24と該第2部材25間は空間Sを介在させる。具体的には該空間Sの長さは第1部材24の左壁24Cの内側面又は右壁24Dの内側面若しくは凹部24aの有底面と前記第2部材25の凸部25bの外周面との距離である。
前記貫通ボルト28、28…の固着方法は例えば図3に示すように、当該ボルト軸部28b、28b…に雄ねじを刻設し、第1部材24の上端部24G及び下端部24Hの前方から後方に向かってねじ挿入孔を穿孔して該ねじ挿入孔の内壁に雌ねじを刻設する。そして、前記第1部材24の前方構造体24E及び後方構造体24Fの段差状部24gをそれぞれ嵌合させ組み合わせた後に貫通ボルト28、28…の該ボルト軸部28b、28b…の先端を該ねじ挿入孔に挿通し、そのボルト頭28aを該第1部材24の前面24I、後面24Jに固定する。そして、図6に示す橋台等の支持構造体27に矢印E方向又は矢印H方向の震動力が掛ったとき、前記第1部材及び前記第2部材25の相互間は、該凸部25bの拡張頭部25gと該第1部材24の下縁24eにより該第2部材25は該第1部材24から離脱することなく堅固に固定されておりその震動力に抵抗する。
33は前述した第2部材25の凸部25bの外周に被覆した緩衝材であって、図7に示すように、該凸部25bが円柱形に構成されたとき円筒体に構成される。該緩衝材33は、ゴム系材料やゴム及び補強繊維等で構成されており、前記凸部25b、特に拡張頭部25gを補強する機能を有する。このように構成したので地震に際し、橋梁等の構造物26や橋台又は橋脚等の支持構造体27に前後の水平方向の地震力が誘起されたときにも第2部材25に形成した凸部25bの拡張頭部25gが第1部材24に形成した凹部24aの内壁に衝当して該地震力に抵抗する。また、第2部材25の凸部25bの中間部位25fが第1部材24の下縁24eに衝当し、地震力に抵抗する。特に、該凸部25b又は凸部25bの拡張頭部25gの外周に被覆した前記緩衝材33により地震力の衝撃を緩和し、該凸部25bや凸部25bの拡張頭部25gを補強し、第1及び第2部材24、25の損傷や亀裂若しくは折損を防止できる。
前記本発明に係る移動制限装置の実施例に於けるほかの構成部材や動作等は前述した本発明に係る移動制限装置の実施の形態のものと略同一であり、同一符号、同一番号を付し、その説明を省略する。
本発明に係る移動制限装置の実施の形態を示す正面図である。 図1の矢視A-A線方向の断面図である。 図1の矢視B-B線方向の平面図である。 図1の矢視C−C線方向の断面図である。 図1の矢視D−D線方向の断面図である。 図1に示す移動制限装置を構造物としての橋梁と支持構造体としての橋台間に介設した状態を示す組立構成図である。 本発明に係る移動制限装置の実施例を示す正面図である。 図7の矢視I−I線方向の断面図である。 図7の矢視J−J線方向の断面図である。 図7の矢視K−K線方向の断面図である。 従来の技術に於ける一つの例を示す構造物移動制限用ストッパ装置の正面図である。 図11の要部を示すゴム製位置決め部材の拡大断面図である。 従来の技術に於ける他の例を示す構造物の移動制限部材であって、(a)は装着時の状態を示す正面図、(b)はボルトが凹陥部から脱出した状態を示す正面図である。
23 移動制限装置
24 移動制限装置の第1部材
24A 移動制限装置の第1部材の前壁
24B 移動制限装置の第1部材の後壁
24C 移動制限装置の第1部材の左壁
24D 移動制限装置の第1部材の右壁
24E 移動制限装置の第1部材の前方構造体
24F 移動制限装置の第1部材の後方構造体
24G 移動制限装置の第1部材の上端部
24H 移動制限装置の第1部材の下端部
24I 移動制限装置の第1部材の前面
24J 移動制限装置の第1部材の後面
24a 移動制限装置の第1部材の凹部
24b 移動制限装置の第1部材の上面
24c 移動制限装置の第1部材のボルト挿入用ねじ穴
24d 樹脂
24e 移動制限装置の第1部材の下縁
24f 移動制限装置の第1部材の真円状貫通孔
24g 移動制限装置の第1部材の段差状部
25 移動制限装置の第2部材
25a 移動制限装置の第2部材の基体部
25b 移動制限装置の第2部材の凸部
25c 移動制限装置の第2部材の下面
25d 移動制限装置の第2部材のボルト挿入用ねじ穴
25e 移動制限装置の第2部材の凸部のねじ挿入孔
25f 移動制限装置の第2部材の凸部の中間部位
25g 移動制限装置の第2部材の凸部の拡張頭部
26 構造物
26a 固定用ボルト
27 支持構造体
27A 支持構造体の垂直方向端面
27B 支持構造体の水平面
27a 固定用ボルト
28 貫通ボルト
28a 貫通ボルトの頭部
28b 貫通ボルトのボルト軸部
30 支承部材
31 ブラケット
31a ブラケットの水平端面板部
31b ブラケットの垂直端面板部
31c ブラケットの立設板部
32 アンカーボルト
33 緩衝材

Claims (1)

  1. 構造物と支持構造体間に介設される移動制限装置に於いて、該構造物に固定されかつ下方略中央であって開放された下縁を内方に突出させた凹部を形成し、前後に2分割された前方構造体の上端部の後端に及び後方構造体の上端部の前端にそれぞれ段差状部を一連に形成して組合せ結合し、かつ複数の貫通ボルトで一体結合した第1部材と、前記支持構造体に固定されかつ該第1部材の凹部に空間Sを介在させて係入すると共に上方略中央に拡張頭部を備えた凸部を形成する第2部材とで構成したことを特徴とする移動制限装置。
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