JP4797565B2 - モータ駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、d−q軸のベクトル制御により弱め界磁制御を行うモータの駆動制御装置に関し、特にd軸電流の急激な変化を避けるため、d軸電流指令値の変化率(単位時間又は一定制御周期での変化量)を制御することにより、モータ出力の急激な変化を防ぐと共に、振動や異常音の発生を抑えたモータ駆動制御装置に関する。また、そのモータ駆動制御装置を電動パワーステアリングのモータ制御用として搭載した電動パワーステアリング装置に関する。
自動車のハンドルを軽く操作できるように、モータの回転力で補助力付勢(アシスト)する電動パワーステアリング装置が広く用いられている。この電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助力付勢するようになっている。
このような電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図12に示す。操向ハンドル301のコラム軸302は減速ギア303、ユニバーサルジョイント304a及び304b、ピニオンラック機構305を経て操向車輪のタイロッド306に連結されている。コラム軸302には,操向ハンドル301の操舵トルクを検出するトルクセンサ307が設けられており、操向ハンドル301の操舵力を補助するモータ308が減速ギア303を介してコラム軸302に連結されている。
このような構成の電動パワーステアリング装置において、操向ハンドル301から伝達された運転手のハンドル操作による操舵トルクをトルクセンサ307で検出し、当該トルク信号や車速に基づいて算出される電流指令値によってモータ308は駆動制御され、この駆動が運転手のハンドル操作の補助力となり、運転手は軽い力でハンドル操作を行うことができる。つまり、ハンドル操作によって出力された操舵トルクから、どのような電流指令値を算出し、当該電流指令値に基づきモータ308をどのように制御するかによって、ハンドル操舵におけるフィーリングの善し悪しが決まり、電動パワーステアリング装置の性能が大きく左右される。
このような観点から電動パワーステアリング装置における望ましいモータ制御を実現するための、モータの一般的なモータ特性及びモータのトルク制御について説明する。
先ずモータ特性について説明すると、モータの通常動作領域は、モータ出力方程式から導かれるトルク−速度特性(T−n特性)で定義できる。そこで、3相ブラシレスDCモータ(BLDCモータ)に関するモータ出力方程式は数1のように示すことができる。
(数1)
v=EMF+R・i+L・di/dt
ここで、vはモータの相電圧、iはモータの相電流、EMFは相逆起電圧、Rは
モータの相当たりの抵抗値、Lは相当たりのインダクタンス値である。

ここで、飽和状態(PWMのデューティが100%)であるならば、モータ駆動のためのバッテリ電圧Vbatがモータの2巻線に印加されるので、数1は数2のように表現し直すことができる。
(数2)
Vbat=EMFLL+2R・I
ここで、EMFLLは2相間で測定される逆起電圧、Iはモータ電流である。

次に、逆起電圧EMFの方程式である数3とトルク方程式である数4を用いて数2を演算すると、数5を導くことができる。
(数3)
EMFLL=Ke・ω
ここで、Keは逆起電圧定数、ωは角速度(回転速度)である。
(数4)
T=Kt・I
ここで、Ktはトルク定数である。
(数5)
ω=ω(1−(I/I))=ω(1−(T/T))[rad/s]
ここで、ω=Vbat/Keは無負荷(トルクが零)時の角速度であり、I
=Vbat/2Rは拘束電流(角速度0)であり、T=Ktは拘束トルクである。

上記数5を、単位をrpmにして書き直すと数6のようになる。
(数6)
n=n(1−(I/I))=n(1−(T/T))[rpm]

上記数6は、直線のトルク−速度特性(T−n特性)を表わしている。
ここにおいて、実際のブラシレスDCモータのトルク−速度特性(T−n特性)は数6と僅かに異なり、下記数7のように表わすことができる。
(数7)
n=n−(n−nrated)・T/Trated
ここで、nは無負荷回転数、nratedは定格回転数、Tratedは定格
トルクである。

数6と数7を図で示すと、図13のようになる。なお、図13においてA点は定格を示す点であり、B点は無負荷を示す点である。数6が示す破線は理想の直線であるのに対し、数7が示す実特性(実線)は僅かに理想の直線とは異なる。これは、モータのインダクタンス値Lの影響によるものである。大きな電流が通電するほど、実特性は理想の直線から離れた線になる。
ここで、図13のT−n特性が示す意味は、モータの限界を示すものである。図13のT−n特性の下領域で、モータは熱的及び電気的限界を超えることなく、停止状態から最大角速度まで動作し、最大トルクを出力できる。
図14において、特性1は出力の小さいモータのT−n特性、特性3は出力の大きいモータ特性を表わしている。また、特性2が電動パワーステアリング装置に要求されるモータ負荷特性を表わすとすると、特性3で表わす大出力のモータを使用できれば、特性2の負荷特性をほぼ全領域でカバーすることができるが、モータのコストや外形が大型になる問題がある。そこで、特性1の出力の小さいモータで特性2の負荷特性をカバーしようとすると、高速回転領域でカバーできなくなる。そのため、特性1のモータで特性2の負荷特性をカバーする方法として、モータのベクトル制御における弱め界磁制御を用いて、特性1のモータのT−n特性を特性4のT−n特性に変更する方法が考えられる。
弱め界磁制御も考慮したベクトル制御によって電動パワーステアリング装置のモータを制御することは、従来良く知られている。例えば特開2001−18822号公報(特許文献1)においても、ベクトル制御を用いて電動パワーステアリング装置のモータを制御している。
図15は、特許文献1のベクトル制御を用いた電動パワーステアリング装置の制御装置の基本的構成を示している。
トルク指令値Trefを基に指令電流決定手段324で、d軸の電流指令値idref及びq軸の電流指令値iqrefが算出される。一方、モータ308のモータ電流ia,ib,icは電流検出手段341,342で検出され、検出された電流ia,ib,icは3相/2相変換回路343でd−q2軸の電流id,iqに変換される。減算部325,326でそれぞれd軸電流指令値idref及びq軸電流指令値iqrefと、フィードバックされた電流id,iqとの偏差電流が算出される。偏差電流はPI制御手段328に入力され、偏差電流を0とするような電圧指令値vd,vqが算出される。モータ308は3相モータであり、電圧指令値vd、vqは2相/3相変換回路336によって3相の電圧指令値va,vb,vcに変換される。
PWM制御手段337は、3相の電圧指令値va,vb,vcに基づいてPWM制御されたゲート信号を生成する。インバータ338はPWM制御手段337で生成されたゲート信号によって駆動され、モータ308には偏差電流が0になるような電流が供給される。なお、レゾルバ316によってモータ308の角度(回転位置)θが検出され、角度θから角速度変換手段348で角速度(回転速度)ωが算出され、ベクトル制御に使用される。
このようなベクトル制御では、モータの高速回転領域では弱め界磁制御が用いられるので、次に弱め界磁制御を用いるベクトル制御について説明する。
トルクセンサ307で検出された操舵トルク(や車速等)を基に算出される操舵補助電流指令値Irefに基づき、モータ308はベクトル制御される。このベクトル制御を数式で表現すると、下記数8或いは数9のようになる。数8は弱め界磁制御が無い場合(Id=0)で、数9は弱め界磁制御を実行している(Id≠0)場合である。
(数8)
Iq=Iref
Id=0
(数9)
Iq=Iref
Id≠0

一方、モータ電流Isをd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqで表現すると、下記数10のようになる。
(数10)
Is=√(Iq+Id

このような電流関係を条件としてモータのベクトル制御において、ハンドルを急速に切り返したりすると、モータは必要とするトルクを出力できず、弱め界磁制御を実行する領域となる。つまり、高速回転領域では、モータ電流Isが飽和状態(デューティ=100%)に陥ってしまう可能性がある。
モータ電流が飽和すると、電流波形が歪んでモータのトルクリップルが大きくなり、その結果ハンドルに振動が発生したり、モータから異常音が発生する。
このように、定トルク出力の限界を越えて制御しようとすると、モータ電流が飽和してトルクリップルが大きくなり、運転手はハンドル操作に振動や違和感を感じることになる。
そこで、このような不具合に対応するために、本出願人による特願2005−76537が提案されている。特願2005−76537は、予めモータ抵抗やインダクタンスを用いてデューティが飽和しないようなモータ回転数と、q軸電流値の関係マップ及びd軸電流値とを求めておき、実際の制御時には検出したモータ回転数、バッテリ電圧及びトルク値と車速に基づいて演算された電流指令値を参照しながら、弱め界磁制御を行っている。デューティが飽和しないように求められたq軸電流指令値とd軸電流指令値に基づいて弱め界磁制御を行うので、トルクリップルや振動が発生しない。
特開2001−18822号公報
しかしながら、電動パワーステアリング装置を例にとると、その搭載性から小型のモータが要求されると同時に、高い出力特性も要求される。これらの相反する要求を同時に満足させるために、d軸電流量を大きく設定する必要がある。つまり、低回転時は小さなd軸電流指令値であるが、わずかに回転数が上昇すると、大きなd軸電流指令値になる場合がある。また、弱め界磁制御と弱め界磁制御なし制御を切替える手段を有した制御においては、d軸電流指令値が零の状態から大きなd軸電流指令値に急変することになる。
このようにわずかな回転数の変化でd軸電流指令値が急変する場合、電流制御部の応答性が十分でないと出力トルクの変動によってトルクリップルや振動が発生し、電動パワーステアリング装置の場合には、運転者に不快感を与えてしまう。出力トルクの変動を抑えるために、電流制御の応答性を高める手法もあるが、電流制御の応答性はマイコンの処理能力やノイズ耐性を考慮して決められるために限界があり、十分に出力トルクの変動を抑えることはできない。
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、ベクトル制御のd軸弱め界磁制御時に、電流指令値或いは回転数がわずかに変化したとき、d軸電流指令値の変化を出力トルクの変動がないように制限することによって、ハンドルの急速な切り返し操舵等の際にもモータの高速領域におけるトルクリップルの発生を抑え、振動や異常音のないモータ駆動制御装置を提供することにある。
本発明は、d−q軸のベクトル制御によってモータを制御すると共に、弱め界磁制御を行うことが可能なモータ駆動制御装置に関し、本発明の上記目的は、予めオフライン計算で定められている少なくとも3つのマップを有し、少なくともトルク系からの電流指令値及びモータ回転速度を入力とし、オンライン制御時に、入力された前記モータ回転速度及び前記電流指令値に応じて前記マップの参照を行いながら、前記ベクトル制御におけるd軸電流指令値及びq軸電流指令値を演算する、d/q軸電流指令値演算部と、前記d/q軸電流指令値演算部から出力された、前記弱め界磁制御用の前記d軸電流指令値の変化率を電流制御系が制御できる範囲内に抑えるように制限するために、前記変化率を変化率制限値以下に制御した上で、前記d軸電流指令値を出力する、変化率制御部を具備し、前記3つのマップは、前記弱め界磁制御を行わない場合の前記モータ回転速度と前記q軸電流指令値との関係を示す第1マップ、前記弱め界磁制御を行う場合の前記モータ回転速度と前記q軸電流指令値との関係を示す第2マップ、及び、前記弱め界磁制御を行う場合の前記q軸電流指令値と前記d軸電流指令値との関係を示す第3マップであり、前記d/q軸電流指令値演算部から出力された前記q軸電流指令値、及び前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値に基づいた前記ベクトル制御が行われることにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記変化率制限値をDとし、サンプリング時間をΔtとし、前記d/q軸電流指令値演算部から出力された前記d軸電流指令値をId_inとし、今回サンプリング時の前記d/q軸電流指令値演算部から出力された前記d軸電流指令値をId_in(k)とし、前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値をIdとし、前回サンプリング時の前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値をId(k−1)とし、今回サンプリング時の前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値をId(k)とし、前記変化率制御部では、下記のステップで示す処理を行うことにより、今回サンプリング時の前記d軸電流指令値Id(k)を出力するようにしており、ステップA1:Id_in(k)とId(k−1)を読み込み、ステップA2:d軸電流指令値の変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}を求めるとともに、単位時間での変化量制限値±DΔtとの大小関係を判定し、ステップA3:−DΔt<Id_in(k)−Id(k−1)<DΔtの場合に、Id_in(k)をId(k)として出力し、ステップA4:Id_in(k)−Id(k−1)≧DΔtの場合に、Id(k−1)+DΔtをId(k)として出力し、ステップA5:Id_in(k)−Id(k−1)≦−DΔtの場合に、Id(k−1)−DΔtをId(k)として出力することにより、より効果的に達成される。
本発明のモータ駆動制御装置によれば、ベクトル制御におけるd軸電流指令値の変化率を制御しているので、モータ回転数の急激な変化を抑制することができる。また、2相/3相電流変換後のモータ相電流の指令値が急激な変動を起こさないようにしているので、電流制御が十分応答できるようになり、トルクの変動を防ぎ、振動や異常音の発生を抑えることができる。
本発明のモータ駆動制御装置を電動パワーステアリングのモータ制御に適用した場合には、ハンドルの急速な切り返し操舵等の際にも、モータの高速領域におけるトルクリップルの発生を抑制でき、ハンドルに振動や異常音が伝達されることもなく、しかもハンドル操作に違和感のない高性能を得ることができる。
先ず本発明の前提となるモータ制御について、本出願人による特願2005−76537について概略説明する。
事前にオフラインで、モータ抵抗値やインダクタンス値、コントローラ(コントロールユニット又はECU)の内部抵抗値などのパラメータを用いて、要求転追性能(要求されているアシストトルク対回転数特性)を満たすために必要な弱め界磁制御用のd軸電流の量と、モータ回転速度/q軸電流と、d軸電流/q軸電流との関係を定めるマップ(データテーブル)を作成しておく。そして、オンライン制御時に、検出したモータ回転速度、バッテリ電圧、電流指令値などに応じてマップ参照を行いながら、d軸電流の出力タイミングと大きさを決めている。
即ち、図1はその構成例を示しており、3相ブラシレスモータ100をPWMで駆動するようになっている。トルク系からの電流指令値Ireft、モータ回転速度n、インバータ105への印加電圧(バッテリ電圧)Vrはd/q軸電流指令値演算部101に入力され、d/q軸電流指令値演算部101で演算されたd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqは、モータ電気角θと共に2相/3相電流変換部102に入力される。2相/3相電流変換部102からの3相の電流指令値Irefa、Irefb、Irefcはそれぞれ減算部107a、107b、107cを経てPI制御部103に入力され、PI制御部103は減算部107a,107b,107cそれぞれの演算結果に従ってデューティDuty_a、Duty_b、Duty_cを所定式で求め、PWM制御部104はデューティDuty_a、Duty_b、Duty_cに応じてPWM信号を生成し、インバータ105はPWM信号で3相ブラシレスモータ100を駆動する。3相ブラシレスモータ100の電流は電流検出器106a、106b、106cで検出され、検出電流はそれぞれ減算部107a107b、107cにフィードバックされる。そして、d/q軸電流指令値演算部101は、デューティDuty_a、Duty_b、Duty_cが飽和しないようにd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを求めるようになっている。
また、d/q軸電流指令値演算部101は、予めオフライン計算で定められている少なくとも3つのマップ(特性曲線)を有しており、その特徴は以下(1)〜(3)のようになっている。
(1)第1マップ(弱め界磁制御を行わない場合の電流指令制限値用マップ)
電流指令制限値はモータ回転速度nにより変化し、電流指令制限値Iq/モータ速度nの線上(図2の弱め界磁制御なしの特性曲線)で、デューティが100%となる。この場合、d軸電流指令値Idはゼロである。
(2)第2マップ(弱め界磁制御を行う場合の電流指令制限値用マップ)
電流指令制限値はモータ回転速度nにより変化し、電流指令制限値Iq/モータ速度
nの線上(図2の弱め界磁制御ありの特性曲線)で、デューティが100%となる。弱め
界磁制御を行わない場合の特性曲線と比べ特性が上がっているのは、d軸電流指令値
(Id)を加え、モータにd軸電流を流すことによりモータ回転速度nの上昇ができる
ためである。
(3)第3マップ(d軸電流指令値決定用マップ)
弱め界磁制御を行う場合の電流指令制限値を入力して、対応する値をd軸電流指令値
Idとする(図2の弱め界磁制御d/q軸電流関係曲線)。

上記第1〜第3マップを用いて、オンラインで以下の演算を実行する。先ずモータ回転速度nと、トルク系からの電流指令値(Ireft)を検出する。検出したモータ回転速度nを図2の縦軸に当てはめ、その点から横軸に平行な線を引く。その平行線と弱め界磁制御なしでの特性曲線との交点、及び弱め界磁制御ありでの特性曲線との交点、電流指令値(Ireft)との関係に基づいて、d軸電流指令値Idとq軸電流指令値Iqを表1のように出力する。
Figure 0004797565
上記表1において、“Iqa”は平行線と弱め界磁制御なしの特性曲線との交点にあるq軸電流指令値であり、“Iqb”は平行線と弱め界磁制御ありの特性曲線との交点にあるq軸電流指令値であり、F( )はd/q軸電流関係の関数(図2の弱め界磁制御d/q軸電流関係)である。
図3は、“Ireft≦Iqa”の場合のモータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示しており、図4は、“Iqa<Ireft≦Iqb”の場合のモータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示しており、図5は、“Iqb<Ireft”の場合のモータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示している。
上記表1の演算におけるd軸電流指令値Idの出力は、d軸電流出力方法を示す図6のように実現される。即ち、弱め界磁制御なし特性の下側の△は運転状態(1)を示し、弱め界磁制御なし特性の上側の□は運転状態(2)を示し、運転状態(1)から運転状態(2)の遷移で、モータ回転数nは回転数の増加は少なく、モータq軸電流指令値Iqは変化なしとなっている。弱め界磁制御なしでも要求出力を満足している運転状態(1)は弱め界磁制御を行わない状態として、d軸電流指令値Idは0になっている。運転状態(2)は弱め界磁制御を行う状態として、弱め界磁制御d/q軸電流関係曲線によって求められたd軸電流指令値Idが使用されるが、このとき一気に数十Aという大きい値の急峻な電流が出力される場合がある。この場合、モータ速度がわずかしか増加しないにも拘わらず、d軸電流指令値Idが0Aから大きい値までステップ状に増加することになる。このことから、以下のような現象が起こると考えられる。
(a)運転状態(1)から運転状態(2)に遷移した時、図7に示すようにd軸電流指令
値Idが0Aから大きい値に急激に変化することにより、○で示す運転状態(3)
まで回転速度nを増すことができるようになる。つまりこのままだと、一気に運転
状態(1)から運転状態(3)にまで回転速度nが増す場合がある。電動パワース
テアリングにおいては、これが運転者に違和感を与える要因となる。
(b)運転状態(1)から運転状態(2)に遷移した時、d軸電流指令値Idが0Aから
大きい値に急激に変化することにより、2相/3相電流変換部102以降の相電流
指令値も急激に変動し、電流フィードバック制御(PI制御部103)が追従しき
れず(又は制御しきれず)、一瞬モータ電流が電流指令値に追従できなくなり、出
力トルクの変動を引き起こし、これによってモータに振動や異常音が発生する。
本発明は上述の前提の基になされたものであり、図8に示すようにd軸電流指令値Idの変化率(単位時間又は一定制御周期での変化量)を予め適切に設定された変化率で制御する変化率制御部110を設けている。つまり、変化率制御部110は、d軸電流指令値Idの変化率を電流制御系が制御できる範囲内に抑えるように制限する。
本発明におけるd軸電流指令値Idの変化率制御は、d/q軸電流指令値演算部101から演算出力されるd軸電流指令値Id(図2のId)の変化率を所定値以下に制御するものである。ここで、Id_inを変化率制御部110前のd軸電流指令値とし、d軸電流指令値Idを変化率制御部110後のd軸電流指令値とし、Dをd軸電流指令値Idの変化率制限値とし、Δtをサンプリング時間とすると、下記数11が成立する。下記数11に示すようにすることで、d軸電流指令値変化率を変化率制限値以下にすることができる。
(数11)
Id(k)=Id(k-1)+DΔt 〔Id_in(k)-Id(k-1)≧DΔt〕
Id(k)=Id_in(k) 〔-DΔt<Id_in(k)-Id(k-1)<DΔt〕
Id(k)=Id(k-1)-DΔt 〔Id_in(k)‐Id(k-1)≦-DΔt〕
ここで、Id(k−1)は前回サンプリング時の変化率制御部110の出力で
あり、Id(k)は今回サンプリング時の変化率制御部110の出力である。

変化率制御部110は、例えば図11に示すソフト処理で上記数11を実行する。即ち、先ず今回サンプル時刻のd軸電流指令値入力Id_in(k)を読込み(ステップS1)、前回サンプル時刻のd軸電流指令値入力Id(k−1)を読込む(ステップS2)。そして、変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}を求めると共に、単位時間での変化量制限値±DΔtとの大小関係を判定する(ステップS3)。そして、変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}が変化量制限値±DΔtの範囲内の場合には、今回のd軸電流指令値Id(k)を”Id_in(k)“とし(ステップS10)、変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}が変化量制限値+DΔtよりも大きい場合には、今回のd軸電流指令値Id(k)を”Id_in(k)+DΔt“とし(ステップS20)、変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}が変化量制限値−DΔtよりも小さい場合には、今回のd軸電流指令値Id(k)を”Id_in(k)−DΔt“とする(ステップS30)。このように処理することで、変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}は変化量制限値±DΔtの範囲を超えることはない。

変化率制限値Dは、d軸電流指令値Idが急激に変化することによる回転数nの急変が起こらない程度に、d軸電流指令値Idの変化率を抑えるように設定するとよい。或いは、変化率制限値Dは、2相/3相電流変換部102以後の相電流指令値の変化が、その相電流指令値の変化に電流制御部で制御された電流が十分に応答できる程度に収まるように、d軸電流指令値Idの変化率を抑えるように設定するとよい。
図9は本発明の原理を、図6に対応させて示しており、変化率制御部110で運転状態(2)におけるd軸電流指令値Idの変化を数十A(アンペア)まで徐々に増加させている。これにより図10に示すように、運転状態(2)から運転状態(3)に遷移した場合でもd軸電流指令値Idが急峻には変化しないので、モータが発生するトルクの変動を防ぎ、振動や異常音の発生を抑えることができる。
上述の実施例では、弱め界磁制御と弱め界磁ない制御を切替える切替手段を有する制御に対して本発明を適用した例を説明したが、弱め界磁制御を常時実行している制御においても適用できる。例えば、モータ回転数又はトルク系からの電流指令値Irefに応じてd軸電流が変化するように設定された場合には、前述したように出力トルクの変動が発生する場合があるため、本発明の変化率制限制御が必要となる。また、上述したモータ駆動制御装置を電動パワーステアリング装置に搭載して使用することも可能である。
本発明の前提となるモータ駆動制御装置の構成例を示すブロック図である。 モータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示す特性図である。 Ireft≦Iqaの場合のモータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示す特性図である。 Iqa<Ireft≦Iqbの場合のモータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示す特性図である。 Iqb<Ireftの場合のモータ電流指令制限値、モータ電流指令値、モータ回転速度の関係を示す特性図である。 d軸電流の出力方法を説明するための図である。 従来の制御特性例を示す図である。 本発明の基本構成例を示すブロック構成図である。 本発明の原理を説明するための図である。 本発明の特性例を示す図である。 本発明の動作例を示すフローチャートである。 一般的な電動パワーステアリング装置の構成図である。 モータのT−n特性を示す図である。 モータ特性と要求されるモータ負荷特性を重ねて示す図である。 従来のベクトル制御装置の構成例を示すブロック図である。
符号の説明
100、308 モータ
101 d/q軸電流指令値演算部
102 2相/3相電流変換部
103 PI制御部
104 PWM制御部
105、338 インバータ
110 変化率制御部
301 操向ハンドル
302 コラム軸
307 トルクセンサ
324 指令電流決定手段
328 PI制御手段
336 2相/3相変換回路
337 PWM制御手段
343 3相/2相変換回路
348 角速度変換手段

Claims (3)

  1. d−q軸のベクトル制御によってモータを制御すると共に、弱め界磁制御を行うことが可能なモータ駆動制御装置において、
    予めオフライン計算で定められている少なくとも3つのマップを有し、少なくともトルク系からの電流指令値及びモータ回転速度を入力とし、オンライン制御時に、入力された前記モータ回転速度及び前記電流指令値に応じて前記マップの参照を行いながら、前記ベクトル制御におけるd軸電流指令値及びq軸電流指令値を演算する、d/q軸電流指令値演算部と、
    前記d/q軸電流指令値演算部から出力された、前記弱め界磁制御用の前記d軸電流指令値の変化率を電流制御系が制御できる範囲内に抑えるように制限するために、前記変化率を変化率制限値以下に制御した上で、前記d軸電流指令値を出力する、変化率制御部を具備し
    前記3つのマップは、前記弱め界磁制御を行わない場合の前記モータ回転速度と前記q軸電流指令値との関係を示す第1マップ、
    前記弱め界磁制御を行う場合の前記モータ回転速度と前記q軸電流指令値との関係を示す第2マップ、及び、
    前記弱め界磁制御を行う場合の前記q軸電流指令値と前記d軸電流指令値との関係を示す第3マップであり、
    前記d/q軸電流指令値演算部から出力された前記q軸電流指令値、及び前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値に基づいた前記ベクトル制御が行われることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 前記変化率制限値をDとし、サンプリング時間をΔtとし、
    前記d/q軸電流指令値演算部から出力された前記d軸電流指令値をId_inとし、今回サンプリング時の前記d/q軸電流指令値演算部から出力された前記d軸電流指令値をId_in(k)とし、
    前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値をIdとし、前回サンプリング時の前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値をId(k−1)とし、今回サンプリング時の前記変化率制御部から出力された前記d軸電流指令値をId(k)とし、
    前記変化率制御部では、下記のステップで示す処理を行うことにより、今回サンプリング時の前記d軸電流指令値Id(k)を出力するようにしており、
    ステップA1:Id_in(k)とId(k−1)を読み込み、
    ステップA2:d軸電流指令値の変化量{Id_in(k)−Id(k−1)}を求めるとともに、単位時間での変化量制限値±DΔtとの大小関係を判定し、
    ステップA3:−DΔt<Id_in(k)−Id(k−1)<DΔtの場合に、Id_in(k)をId(k)として出力し、
    ステップA4:Id_in(k)−Id(k−1)≧DΔtの場合に、Id(k−1)+DΔtをId(k)として出力し、
    ステップA5:Id_in(k)−Id(k−1)≦−DΔtの場合に、Id(k−1)−DΔtをId(k)として出力する請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のモータ駆動制御装置を、電動パワーステアリングのモータ制御用に搭載したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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