JP4797313B2 - 記録ヘッドの駆動方法及び記録ヘッド、並びにインクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、インクの液滴を記録媒体に着弾させ、記録媒体にインクの液滴からなるドットを記録する記録ヘッドの駆動方法及び記録ヘッド、並びにインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の記録装置、すなわち、インクジェットプリンタは、記録ヘッドに並べて設けた細いノズル等の吐出口から記録液たるインクの液滴を吐出し、このインクの液滴を例えば用紙等の記録媒体に着弾させ、ドットで文字や画像等を記録する方式のプリンタである。このインクジェットプリンタは、記録速度が高速で、記録コストが安価で、カラー化が容易であるという特徴がある。このインクジェットプリンタにおけるインクの液滴の吐出方式としては、電気熱変換素子としての発熱素子を用いたサーマル方式が知られている。
【0003】
サーマルインクジェット方式のプリンタは、記録ヘッドとして、記録液たるインクを飛翔液滴(以下、液滴ともいう。)として吐出噴射させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、このインク流路の一部に設けられ、液滴形成のための吐出エネルギを与える電気熱変換素子とを有するものを備えている。このインクジェットプリンタは、記録ヘッドがその移動に伴って記録位置へ到達する毎に電気熱変換素子に駆動パルスを印加してインク流路内のインクに吐出エネルギを与え、これによって吐出口からインクを飛翔液滴として吐出させる。そして、インクジェットプリンタは、この液滴を用紙等の記録媒体に着弾させることによってドットを形成する。記録媒体に形成されるドットは、記録ヘッドの移動に伴って、ドットマトリクスを構成する。インクジェットプリンタは、このドットマトリクスによって文字や画像等の記録を行う。
【0004】
このようなインクジェットプリンタにおいては、一般に記録ヘッドは、その移動方向(主走査方向)とこれに垂直な方向(副走査方向)とに、例えば複数の吐出口を有する。ここで、記録ヘッドの移動方向を“主走査方向”と称し、この主走査方向に垂直な方向を“副走査方向”と称するものとする。この場合、インクジェットプリンタにおいては、記録時に、全ての電気熱変換素子を同時に駆動することも可能であるが、記録ヘッドに電力を供給する電源部の負担が大きくなるといった理由から、複数の電気熱変換素子をいくつかのブロックに分割し、これらの分割されたブロック毎に時分割で順次駆動させる時分割駆動を行うことが考えられている。
【0005】
また、インクジェットプリンタは、記録媒体である用紙上に画像等の記録が行われるときは、一般に、階調を表現するために、いわゆるディザ法や誤差拡散法等の画像処理を用い、擬似的な階調表現によって印画している。そして、インクジェットプリンタには、通常、様々な画質モードが設けられており、当該インクジェットプリンタは、主走査方向の1ラインを1ノズルで記録したり、又は、副走査方向に搬送される用紙の移動を利用して、1ラインを複数ノズルで記録する。特に、インクジェットプリンタは、高画質画像で印画する場合には、後者の複数ノズルで記録する方法を用いるとともに、用紙の副走査方向への移動距離を短くすることで、用紙の送り方向への縦すじ、すなわち、いわゆる帯状ノイズ(banding noise)といったドットの着弾位置のばらつきが目立たなくなるように補正を行っている。
【0006】
さらに、インクジェットプリンタにおける記録ヘッドとしては、用紙のページ幅より短尺のいわゆるシリアルヘッドと、用紙のページ幅と略同寸の長尺のいわゆるラインヘッドとがある。ラインヘッドは、用紙の幅方向においてほぼ同時に記録を行うことを可能とする記録ヘッドであり、シリアルヘッドと異なり、主走査方向には移動しないものである。すなわち、ラインヘッドを備えるインクジェットプリンタは、ラインヘッド又は用紙が副走査方向のみに移動するものであり、ラインヘッドの長軸方向に対してのノズル数が非常に多いという特徴を有し、例えば600dpi(dot per inch)のピッチでは、8.5インチ幅で5100個のノズルが設けられる。
【0007】
ところで、インクジェットプリンタにおいて多階調記録を行う場合の問題点として、以下の2つが考えられる。
【0008】
第1の問題点としては、ラインヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいては、上述したシリアルヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいて使用されている記録方法を適用することができないことが挙げられる。ラインヘッドを備えるインクジェットプリンタにおける記録方法としては、インクの小液滴を複数回重ね打ちして1ドットを形成するPNM(Pulse Number Modulation)方式を用いることが有効であると考えられる。しかしながら、PNM方式を用いると、1画素当たりの吐出パルス数が多くなってしまい、ラインヘッドのノズル数も併せて考慮すると、インクジェットプリンタにおいては、(ノズル数)×(パルス数)の制御が必要となり、シリアルヘッドを備えるものに比べると、消費電力も高くなってしまう傾向があるという問題があった。
【0009】
また、第2の問題点としては、ラインヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいては、ラインヘッドが主走査方向に移動しないことから、各ノズルが、各ラインを印画することになることが挙げられる。すなわち、ラインヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいては、シリアルヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいて使用されている記録方法を適用することができないことも相俟って、用紙に対するドットの着弾位置のばらつきによるむらやすじ等により、画質の劣化を招くことがあった。
【0010】
さらに、ラインヘッドを備えるインクジェットプリンタにおいては、上述した時分割駆動を行うことにより、各ノズル間でインクの吐出タイミングが異なることから、主走査方向において、ドットの位置ずれが生じてしまい、画質の劣化を招くといった問題もあった。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、記録媒体上でのドットの位置ずれ及び時分割駆動時の瞬間的な最大消費電力を低減することができる記録ヘッドの駆動方法及び記録ヘッド、並びにインクジェットプリンタを提供することを目的とするものである。
【0012】
上述した目的を達成する本発明にかかる記録ヘッドの駆動方法は、複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を備え、搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドの駆動方法であって、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うような素子駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、複数のノズルに対応した複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動工程と、駆動する発熱素子に対応するノズルから1つ又は複数のインクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、インクの液滴からなるドットを記録する記録工程とを備える。
【0013】
そして、駆動信号生成工程では、1つのドットを形成するための記録データと、パルス生成手段によって生成されたパルスの数とを比較し、記録データがパルスの数以上の場合は、ハイ信号であり、記録データがパルスの数未満の場合は、ロー信号である素子駆動信号を生成し、複数の発熱素子にそれぞれ対応する記録データを、ブロックの前半の発熱素子に対応する前半の記録データと後半の発熱素子に対応する後半の記録データとに、時間的に2つに分け、前半の発熱素子においては、1つのインクの液滴で1つのドットを形成するときの記録媒体上の位置である格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の上流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の下流側に振り分けて、順次着弾させ、後半の発熱素子においては、格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の下流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、記録媒体の送り方向の上流側に振り分けて、順次着弾させる。
【0014】
このような本発明にかかる記録ヘッドの駆動方法は、ドットの径をインクの液滴の数で変調するように発熱素子を駆動させるとともに、分割した各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる。
【0015】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる記録ヘッドは、複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を備え、搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドであって、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うような素子駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、複数のノズルに対応した複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動手段と、駆動する発熱素子に対応するノズルから1つ又は複数のインクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、インクの液滴からなるドットを記録する記録手段とを備える。
【0016】
そして、駆動信号生成手段は、1ドットを形成するための記録データを記憶する記憶手段と、ノズルから吐出するインクの液滴の数を決定するためのパルスを生成するパルス生成手段と、記憶手段に記憶された記録データと、パルス生成手段によって生成されたパルスの数とを比較し、記録データがパルスの数以上の場合は、ハイ信号であり、記録データがパルスの数未満の場合は、ロー信号である素子駆動信号を生成する比較手段とを有し、複数の発熱素子にそれぞれ対応する記録データを、ブロックの前半の発熱素子に対応する前半の記録データと後半の発熱素子に対応する後半の記録データとに、時間的に2つに分け、前半の発熱素子においては、1つのインクの液滴で1つのドットを形成するときの記録媒体上の位置である格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の上流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の下流側に振り分けて、順次着弾させ、後半の発熱素子においては、格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の下流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の上流側に振り分けて、順次着弾させる。
【0017】
このような本発明にかかる記録ヘッドは、ドットの径をインクの液滴の数で変調するように発熱素子を駆動させるとともに、分割した各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる。
【0018】
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかるインクジェットプリンタは、複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を有して搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドを備え、インクの液滴からなるドットで文字及び/又は画像を含む情報を記録するインクジェットプリンタであって、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うような素子駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、複数のノズルに対応した複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動手段と、駆動する発熱素子に対応するノズルから1つ又は複数のインクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、インクの液滴からなるドットを記録する記録手段とを備える。
【0019】
そして、駆動信号生成手段は、1ドットを形成するための記録データを記憶する記憶手段と、ノズルから吐出するインクの液滴の数を決定するためのパルスを生成するパルス生成手段と、記憶手段に記憶された記録データと、パルス生成手段によって生成されたパルスの数とを比較し、記録データがパルスの数以上の場合は、ハイ信号であり、記録データがパルスの数未満の場合は、ロー信号である素子駆動信号を生成する比較手段とを有し、複数の発熱素子にそれぞれ対応する記録データを、ブロックの前半の発熱素子に対応する前半の記録データと後半の発熱素子に対応する後半の記録データとに、時間的に2つに分け、前半の発熱素子においては、1つのインクの液滴で1つのドットを形成するときの記録媒体上の位置である格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の上流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の下流側に振り分けて、順次着弾させ、後半の発熱素子においては、格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の下流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、記録媒体の搬送方向の上流側に振り分けて、順次着弾させる。
【0020】
このような本発明にかかるインクジェットプリンタは、ドットの径をインクの液滴の数で変調するように発熱素子を駆動させるとともに、分割した各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させるように、記録ヘッドを駆動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
この実施の形態は、サーマル方式によってインクの液滴を吐出する方式を採用し、インクの液滴を吐出させる駆動素子として発熱素子を有して記録媒体である用紙の紙送り方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されているラインヘッドを記録ヘッドとして備えるインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタは、ラインヘッドを備えることにより、1回の印画にあたり用紙上の同一箇所を1回のみ走査して記録を行うことが可能なものである。また、このインクジェットプリンタは、ラインヘッドが有する複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、記録時に、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で各発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動を行うものであり、記録媒体である用紙上でのドットの位置ずれ及び時分割駆動時の瞬間的な最大消費電力を低減することができるものである。
【0023】
まず、具体的なインクジェットプリンタの構成の説明に先立って、時分割駆動の基本動作について簡易な例を挙げて説明する。なお、インクジェットプリンタは、詳細は後述するが、1色分のラインヘッドが複数のヘッドチップを備える構造とされており、各ヘッドチップには、インクの液滴を吐出する略直線状に配列された複数のノズルに対応して発熱素子が設けられている。そのため、ここでは、発熱素子に代えてノズルを図示することにより、時分割駆動の説明を行う。
【0024】
インクジェットプリンタにおいては、図1に概略を示すように、ヘッドチップにおいて複数のノズルが略直線状に配列されており、これらの複数のノズルが所定個ずつ区切られ、複数のブロックに分割される。図1においては、左からブロックB1,B2,・・・,Bnと記し、各ブロックにおいて左からノズルN1,N2,N3,・・・,Nm−1,Nmと記す。インクジェットプリンタにおいては、各ブロック毎に各ノズル(発熱素子)を時分割で順次駆動させる。この際、インクジェットプリンタにおいては、各ブロックにおけるノズル(発熱素子)の位置を位相(phase;以下、フェーズという。)という概念でとらえ、同フェーズのノズル(発熱素子)を一組として、この組単位で順次インクの液滴を吐出させる。ここでは、必要に応じて、各ブロックにおけるノズルNiをi番目のフェーズのノズルと称するものとする。
【0025】
具体的には、インクジェットプリンタにおいては、まず、図2中最上段に示すように、各ブロックにおける1番目のフェーズのノズルN1からインクの液滴を吐出可能とする。なお、図2においては、インクの液滴を吐出可能なノズルを“●”で示している。すなわち、インクジェットプリンタにおいては、ブロックの数に相当するn個の各ノズルN1に対するデータをヘッドチップに与え、これらのデータに応じて、n個のノズルN1に対応するn個の発熱素子を駆動させるか否かを決定し、各ノズルN1からインクの液滴を吐出させたり、吐出させないようにする。
【0026】
続いて、インクジェットプリンタにおいては、図2中2段目に示すように、各ブロックにおける2番目のフェーズのノズルN2からインクの液滴を吐出可能とする。すなわち、インクジェットプリンタにおいては、n個の各ノズルN2に対するデータをヘッドチップに与え、これらのデータに応じて、n個のノズルN2に対応するn個の発熱素子を駆動させるか否かを決定し、各ノズルN2からインクの液滴を吐出させたり、吐出させないようにする。
【0027】
続いて、インクジェットプリンタにおいては、図2中3段目に示すように、各ブロックにおける3番目のフェーズのノズルN3からインクの液滴を吐出可能とする。すなわち、インクジェットプリンタにおいては、n個の各ノズルN3に対するデータをヘッドチップに与え、これらのデータに応じて、n個のノズルN3に対応するn個の発熱素子を駆動させるか否かを決定し、各ノズルN3からインクの液滴を吐出させたり、吐出させないようにする。
【0028】
そして、インクジェットプリンタにおいては、以下順次同様の動作を行い、図2中最下段に示すように、各ブロックにおけるm番目のフェーズのノズルNmからインクの液滴を吐出可能とする。すなわち、インクジェットプリンタにおいては、n個の各ノズルNmに対するデータをヘッドチップに与え、これらのデータに応じて、n個のノズルNmに対応するn個の発熱素子を駆動させるか否かを決定し、各ノズルNmからインクの液滴を吐出させたり、吐出させないようにする。
【0029】
このように、インクジェットプリンタは、複数のノズルに対応した複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、同フェーズの発熱素子毎に順次駆動させることにより、時分割駆動を実現する。インクジェットプリンタは、このような処理を行うことにより、m分割の時分割駆動を行うことができる。例えば、インクジェットプリンタは、1つのヘッドチップにおいて64個のノズルに対応した64個の発熱素子を1つのブロックとして7つのブロックに分割し、64分割の時分割駆動を行うことができる。インクジェットプリンタは、このような処理を、1ラインを印画する際に、ラインヘッドにおける複数のヘッドチップにおいて行い、さらに、全色分のラインヘッドにおいて行っている。また、インクジェットプリンタは、後述するPNM(Pulse Number Modulation)を行う場合には、このような処理を、1画素当たりの吐出パルス数分だけさらに行うことになる。
【0030】
なお、ここでは、説明の便宜上、1番目のフェーズのノズルN1、2番目のフェーズのノズルN2、3番目のフェーズのノズルN3、・・・、m番目のフェーズのノズルNmといったように、隣り合ったノズルを順次駆動させるものとしたが、隣接する発熱素子の駆動によるクロストークの影響を回避するために、次に駆動するノズルを離隔したものとするように、駆動の順序をシャフルすることもできる。この場合、インクジェットプリンタは、各ブロックにおいて同フェーズのノズルを駆動させることはいうまでもない。
【0031】
以下、このような時分割駆動を適用した具体的なインクジェットプリンタについて説明していく。
【0032】
第1の実施の形態として図3に全体構成を示すインクジェットプリンタ100は、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うPNM機能を有する記録ヘッドを備えるものである。
【0033】
インクジェットプリンタ100は、図3及び図4に示すように、当該インクジェットプリンタ100の外観を形成する筐体110の内部に、用紙Pのページ幅と略同寸の記録範囲を有するラインヘッド120と、用紙Pを所定の方向へと送り出すための紙送り部130と、用紙Pをラインヘッド120へと給紙するための給紙部140と、用紙Pを収納するペーパトレイ150と、これら各部の駆動制御を行う電気回路部160等が配設されて構成される。
【0034】
筐体110は、例えば直方体状に形成されている。筐体110の側面のうち一側面には用紙Pを排紙する排紙口111が設けられ、この一側面と対向する他側面にはペーパトレイ150を着脱するためのトレイ出入口112が設けられている。
【0035】
ラインヘッド120は、例えばCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色分を備えている。ラインヘッド120は、ここでは図示しないノズルが下方を向くようにして、筐体110の内部における排紙口111側の端部上方に配設されている。
【0036】
紙送り部130は、用紙Pを送る際の供給路を構成する紙送りガイド131と、用紙Pを挟み込んで送り出す紙送りローラ132,133と、後述するプーリ135,136を回転駆動させる駆動源としての紙送りモータ134と、ローラ132,133を回転駆動させるためのプーリ135,136と、紙送りモータ134の駆動をプーリ135,136に伝達するためのベルト137,138とを備え、筐体110の内部における排紙口111側の端部下方に配設されている。紙送りガイド131は、平板状に形成されており、ラインヘッド120の下方に所定の間隔だけ離隔されて配設されている。紙送りローラ132,133は、それぞれ、互いに接触した1対のローラからなり、紙送りガイド131の両側、すなわち、トレイ出入口112側と排紙口111側とに配設されている。紙送りモータ134は、紙送りガイド131の下方に配設されており、プーリ135,136とベルト137,138とを介して紙送りローラ132,133に連結されている。
【0037】
給紙部140は、用紙Pを紙送り部130へと給紙するための給紙ローラ141と、後述するギヤ143を回転駆動させる駆動源としての給紙モータ142と、この給紙モータ142によって回転駆動するギヤ143とを備えており、紙送り部130に対してトレイ出入口112側に配設されている。給紙ローラ141は、略半円筒形状に形成されており、トレイ出入口112側の紙送りローラ132に近接して配設されている。給紙モータ142は、給紙ローラ141の上方に配設されており、ギヤ143を介して給紙ローラ141に連結されている。
【0038】
ペーパトレイ150は、例えばA4サイズの用紙Pを複数枚重ねて収納可能な箱状に形成され、底面の一端部には、ばね151によって係止された紙支え152が設けられており、給紙部140の下方からトレイ出入口112にわたる空間に装着される。
【0039】
電気回路部160は、各部の駆動を制御する部位であり、ペーパトレイ150の上方に配設されている。
【0040】
このようなインクジェットプリンタ100は、以下のようにして、印画動作を行う。
【0041】
まず、インクジェットプリンタ100においては、使用者が、電源を入れ、トレイ出入口112からペーパトレイ150を引き出して所定枚数の用紙Pを収納し、このペーパトレイ150を押し入れることにより、ペーパトレイ150が装着される。すると、インクジェットプリンタ100においては、ばね151の付勢力によって紙支え152が用紙Pの一端部を持ち上げることにより、用紙Pの一端部が給紙ローラ141に押し付けられる。そして、インクジェットプリンタ100においては、給紙モータ142の駆動によって給紙ローラ141が回転駆動することにより、1枚の用紙Pがペーパトレイ150から紙送りローラ132へと送り出される。
【0042】
続いて、インクジェットプリンタ100においては、紙送りモータ134の駆動によって紙送りローラ132,133が回転駆動し、紙送りローラ132がペーパトレイ150から送り出された用紙Pを1対のローラで挟み込むことにより、用紙Pが紙送りガイド131へと送り出される。すると、インクジェットプリンタ100においては、ラインヘッド120が所定のタイミングで動作して、ノズルからインクの液滴を吐出して用紙P上に着弾させることにより、用紙P上にドットで文字及び/又は画像等を含む情報が記録される。そして、インクジェットプリンタ100においては、紙送りローラ133が紙送りガイド131に沿って送り出されてきた用紙Pを1対のローラで挟み込むことにより、用紙Pが排紙口111から排紙される。
【0043】
インクジェットプリンタ100は、このような動作を記録が完了するまで繰り返し、印刷物を生成する。
【0044】
さて、インクジェットプリンタ100における上述した電気回路部160について説明する。
【0045】
電気回路部160は、図5に示すように、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)構成としてソフトウェアによる信号処理及び制御処理を行う信号処理・制御回路161と、予め決められた補正データがいわゆるROM(Read Only Memory)マップ方式で格納されている補正回路162と、ラインヘッド120を駆動するためのヘッドドライブ回路163と、上述した紙送りモータ134や給紙モータ142の駆動やその他を制御する各種制御回路164と、例えばラインバッファメモリや1画面メモリ等のメモリ165と、記録データ等の信号が入力される信号入力部166とを備える。信号処理・制御回路161には、補正回路162、ヘッドドライブ回路163、各種制御回路164及びメモリ165が接続されている。
【0046】
電気回路部160は、信号入力部166を介して信号処理・制御回路161に記録データ等の信号が入力されると、この信号を信号処理・制御回路161によって記録順番に揃えて補正回路162に供給し、この補正回路162によっていわゆるγ補正、色補正、各ノズルのばらつき補正等の補正処理を施す。この補正後の記録データ等の信号は、例えば、ノズル番号、温度、入力信号といった外部条件に応じて信号処理・制御回路161に取り出される。そして、電気回路部160は、信号処理・制御回路161に取り出された信号を駆動信号としてヘッドドライブ回路163及び各種制御回路164に供給する。電気回路部160は、ヘッドドライブ回路163によって駆動信号に基づいてラインヘッド120を駆動制御する。また、電気回路部160は、各種制御回路164によって駆動信号に基づいて紙送りモータ134及び給紙モータ142の駆動制御を行う他、ラインヘッド120のクリーニング処理等の際の駆動制御を行う。なお、電気回路部160においては、記録データ等の信号は、必要に応じてメモリ165に一旦記録され、信号処理・制御回路161に取り出される。
【0047】
ここで、ヘッドドライブ回路163とラインヘッド120との詳細を図6に示す。
【0048】
ヘッドドライブ回路163は、図6に示すように、PNMと上述した時分割駆動とを行う構成となっており、例えばRAM(Random Access Memory)等の複数のメモリ163a1,・・・,163aNと、パルスジェネレータ163bと、複数のコンパレータ163c1,・・・,163cNとを備えている。
【0049】
メモリ163a1,・・・,163aNは、ラインヘッド120におけるヘッドチップ1211,・・・,121Nの数と同数だけ備えられ、それぞれ、信号処理・制御回路161から供給された駆動信号に基づく補正後の記録データを記憶する。ここで、記録データは、1ドットを形成するために必要なデータである。インクジェットプリンタ100は、後述するように、最大で8発のインクの液滴を用いて1ドットを形成することから、記録データとしては、インクの液滴を吐出しない場合を含めて“0〜8”のいずれかの値を示す4ビットのデータとされる。メモリ163a1,・・・,163aNは、それぞれ、記憶したデータを、それぞれ、対応するコンパレータ163c1,・・・,163cNに供給する。
【0050】
パルスジェネレータ163bは、図7に示すように、PNMを行うためのパルスを所定個だけ所定間隔で生成する。例えば、パルスジェネレータ163bは、常に8パルスを所定間隔で自発的に生成する。すなわち、ヘッドドライブ回路163は、パルスジェネレータ163bによって生成するパルスに基づいて、吐出するインクの液滴の数を決定し、階調毎のドットの並びを決定する。パルスジェネレータ163bは、生成したパルスをコンパレータ163c1,・・・,163cNに供給する。
【0051】
コンパレータ163c1,・・・,163cNは、それぞれ、メモリ163a1,・・・,163aNによって記憶された記録データを入力するとともに、パルスジェネレータ163bによって生成されるパルスを入力し、これらのデータとパルス数とを比較する。コンパレータ163c1,・・・,163cNは、それぞれ、図7に示すように、比較した結果、データがパルス数以上の場合には、出力するデータとしてハイ信号「H」を、ラインヘッド120における対応するヘッドチップ1211,・・・,121Nに供給し、データがパルス数未満の場合には、出力するデータとしてロー信号「L」を、対応するヘッドチップ1211,・・・,121Nに供給する。
【0052】
このとき、コンパレータ163c1,・・・,163cNは、それぞれの出力データE 1 ,・・・,E N として、図8に示すように、上述した時分割駆動による同フェーズである複数の発熱素子のそれぞれに対応する素子駆動信号であるフェーズ対応データe 1 ,e 2 ,・・・,e n を、ハイ信号「H」又はロー信号「L」として生成し、これらのフェーズ対応データe 1 ,e 2 ,・・・,e n を、対応するヘッドチップ1211,・・・,121Nに供給する。例えば、コンパレータ163c1は、図7に示すように、ある発熱素子に対するデータが“5”であった場合には、パルスジェネレータ163bによって生成されるパルス数が“1〜5”まではフェーズ対応データeとしてハイ信号「H」を生成し、パルス数が“6”以降ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成する。コンパレータ163c1は、同フェーズである各発熱素子に対応するフェーズ対応データeを生成し、これらのフェーズ対応データeを出力データE 1 として供給する。このように、コンパレータ163c1,・・・,163cNは、それぞれ、出力データE 1 ,・・・,E N を、対応するヘッドチップ1211,・・・,121Nに供給する。
【0053】
一方、ラインヘッド120は、図6に示したように、時分割駆動における1ブロックに対応する複数のヘッドチップ1211,・・・,121Nを備えている。具体的には、ヘッドチップ1211,・・・,121Nは、それぞれ、時分割駆動フェーズ発生回路121aと、ゲート回路121bと、スイッチング素子121cと、発熱素子121dとを備えている。時分割駆動フェーズ発生回路121aは、駆動する各フェーズ毎に順次分割駆動信号であるフェーズ信号を発生し、このフェーズ信号をゲート回路121bに供給する。
【0054】
ゲート回路121bは、いわゆるアンドゲートであり、時分割駆動フェーズ発生回路121aから供給されたフェーズ信号と、コンパレータ163c1,・・・,163cNから供給された出力データ、すなわち、フェーズ対応データとの論理積をとる。ゲート回路121bは、分割駆動フェーズ発生回路121aから供給されたフェーズ信号と、コンパレータ163c1,・・・,163cNから供給されたフェーズ対応データとの両者がハイ信号「H」である場合には、スイッチング素子121cをONにする。
【0055】
スイッチング素子121cは、発熱素子121dを駆動してノズルからインクの液滴を吐出させるか否かを切り替えるものであり、ゲート回路121bによってON/OFF制御がなされる。
【0056】
発熱素子121dは、スイッチング素子121cがON状態になると駆動して発熱し、対応するノズルからインクの液滴を吐出させる。
【0057】
このようなインクジェットプリンタ100は、コンパレータ163c1,・・・,163cNにより、図8に示したように、パルスジェネレータ163aによるパルス毎に、1つのヘッドチップ121における各ブロックB1,B2,・・・,Bnに対応するフェーズ対応データe 1 ,e 2 ,・・・,e n を生成し、これらのフェーズ対応データe 1 ,e 2 ,・・・,e n を、出力データEとして1つのヘッドチップ121に対して供給する。インクジェットプリンタ100は、複数のヘッドチップ1211,・・・,121Nに対して、このような出力データE 1 ,・・・,E N を供給する。
【0058】
これに応じて、インクジェットプリンタ100は、時分割駆動フェーズ発生回路121aによって各フェーズ毎に順次フェーズ信号を発生することにより、全てのノズルNについて、1パルス分のインクの液滴、すなわち、1つのインクの液滴を吐出させるか又は吐出させない。このとき、時分割駆動フェーズ発生回路121aは、各ブロックB1,B2,・・・,BnにおけるノズルN1に対応する発熱素子121dの駆動処理を行った後、各ブロックB1,B2,・・・,BnにおけるノズルN2に対応する発熱素子121dの駆動処理を行うといったように、各フェーズ毎に順次フェーズ信号を発生する。
【0059】
インクジェットプリンタ100は、このような動作をパルスジェネレータ163aによって生成されるパルス毎に繰り返し、パルス数に応じた径を有する1ドットを形成する。
【0060】
このようにすることにより、インクジェットプリンタ100は、PNMと時分割駆動とを同時に実現することができる。なお、インクジェットプリンタ100におけるPNMの動作については、さらに詳述する。
【0061】
つぎに、インクジェットプリンタ100におけるラインヘッド120の構造について詳細に説明する。
【0062】
インクジェットプリンタ100における1色分のラインヘッド120の構造を図9A乃至図13に示す。なお、図9Aには、ラインヘッド120の外観側面図を示し、図9Bには、ラインヘッド120の外観底面図を示す。また、図10には、上述したヘッドチップ121の詳細構造を示す。さらに、図11Aには、図9Bに示すラインヘッド120のA−A線断面側面図を示し、図11Bには、図9Bに示すラインヘッド120のB−B線断面側面図を示す。さらにまた、図12には、図9A及び図9Bに示すラインヘッド120を底面側から見た部分斜視図を示し、図13には、図9A及び図9Bに示すラインヘッド120におけるノズル近傍の詳細構造を示すために、ラインヘッド120をヘッドチップ121側から見た部分斜視図を示す。
【0063】
ラインヘッド120は、図9Aに示すように、後述するインクタンク126を構成する外筐126bによって被覆されており、且つ、その下部が後述する電気配線127によって被覆されている。
【0064】
また、ラインヘッド120には、図9Bに示すように、ライン状のヘッドフレーム122の中央部にスリット状のインク供給孔122aが穿設されている。ヘッドフレーム122の一方の面には、Si基板によって形成された複数個のヘッドチップ121が配設されている。ヘッドチップ121は、それぞれ、ヘッドを長尺化するために、ヘッドフレーム122に穿設されるインク供給孔122aを中央として、そのインク供給孔122aの両側に千鳥状に配列されている。そして、ヘッドチップ121は、それぞれ、図9B及び図10に示すように、インク供給孔122a側に上述した複数個の発熱素子121dを一列に配列し、インク供給孔122aとは反対側、すなわち、外筐126b側に発熱素子121dに対応した接続端子121eを一列に配列して構成されている。
【0065】
図10の例では、発熱素子121dは、それぞれ、例えば600dpi(dot per inch)で配列されている。さらに、ヘッドチップ121には、それぞれ、発熱素子121dと接続端子121eとの間に、当該ヘッドチップ121(発熱素子121d)が時分割駆動を行うための上述したゲート回路121bとスイッチング素子121cとが配設されている。
【0066】
ヘッドチップ121の下部には、図11A乃至図13に示すように、部材123を介して複数個のノズル124aを有するノズルプレート124が配設されている。部材123は、インクを溜めるための液室123aと、インクを液室123aまで流すための流路123bとを複数個形成するために設けられる。部材123は、図13に詳細を示すように、いわゆるドライフィルムフォトレジスト等の感光性樹脂によって形成され、ヘッドチップ121に配設された各発熱素子121dが各液室123a上に対応して位置するように配設され、且つ、各流路123bが各液室123aからヘッドチップ121の端部、すなわち、図11Bに示すように、ラインヘッド120の中央部側の端部まで延びるように形成されている。
【0067】
ノズルプレート124は、ニッケルの電鋳によって形成されたものであり、インクによる腐食を防止するため、金又はパラジウム等によって耐蝕メッキが施されている。ノズルプレート124は、図11A、図11B及び図12に示すように、ヘッドチップ121、ヘッドフレーム122、部材123、及び、後述するフィルタ125によって形成される空間からなるインク供給孔122aを閉塞し、且つ、図13に詳細を示すように、各ノズル124aが各液室123aを介して各発熱素子121dに1対1で対応するように形成されている。すなわち、各液室123aは、部材123に形成された流路123b及びノズルプレート124に形成されたノズル124aに連通されている。
【0068】
ヘッドフレーム122の他方の面には、図11A及び図11Bに示すように、フィルタ125を介してインクタンク126が配設されている。フィルタ125は、インク供給孔122aを閉塞するように配設されており、インクタンク126からのごみやインク成分の凝集物等がノズル124a側に混入することを防止する役目を果たす。
【0069】
インクタンク126は、図11Bに示すように、袋126aと外筐126bとの二重構造となっている。袋126aと外筐126bとの間には、袋126aを外側に拡げるように付勢するばね部材126cが設けられている。これにより、ラインヘッド120においては、インクタンク126内のインクに負圧がかかるようになり、インクがノズル124aから自然漏出することを防止することができる。また、ラインヘッド120においては、この負圧がノズル124aの毛細管力より小さくなるように設定されており、これにより、インクがノズル124aに引き込まれてしまうことを防止することができる。
【0070】
また、ラインヘッド120においては、ヘッドチップ121の一部端面、ヘッドフレーム122の外周面及びインクタンク126の外周面にわたる領域が、いわゆるFPC(フレキシブルプリント基板)からなる上述した電気配線127によって被覆されている。電気配線127は、ヘッドチップ121に対して電源や電気信号を供給するために設けられるものであり、上述したヘッドチップ121における接続端子121eに接続されている。
【0071】
このようなラインヘッド120を備えるインクジェットプリンタ100においては、インクがインクタンク126からインク供給孔122aに供給され、さらに、流路123bを通過して液室123aに供給される。ここで、ノズル124aは、図13に示すように、断面が円形状の円錐の先端を底面と平行な面で切り落とした形状を呈しており、ノズル124aの先端では、インクの負圧によってインク面の中央部が凹んだ、いわゆるメニスカスが形成される。インクジェットプリンタ100においては、発熱素子121dに駆動電圧は供給されて発熱素子121dの表面に気泡が発生すると、ノズル124aからインクの粒子が吐出される。
【0072】
なお、インクジェットプリンタ100においては、上述したように、ヘッドチップ121が千鳥状に配列されていることから、1つのヘッドチップ121に対応する複数のノズル124a(以下、ノズル群という。)の配列もこれに応じて千鳥状とされる。
【0073】
ここで、従来のヘッドチップとしても千鳥状に配列されたものが存在するが、これらのヘッドチップは、単に平行にずらされて配列されていたため、図14に示すように、互いに隣接する2つのノズル群NGA,NGBも単に平行にずらされて配列されていた。そして、この配列を適用したインクジェットプリンタにおいては、ヘッドチップの特性ばらつきや、位置決め誤差等に起因して、ヘッドチップ間でのインクの吐出量のばらつきや、用紙に対するインクの着弾位置の誤差等が生じる場合があった。
【0074】
インクジェットプリンタにおいては、インクの吐出量のばらつきが生じる状態で用紙に記録すると、用紙上におけるヘッドチップのつなぎ目に相当する領域において、吐出量、すなわち、ドットの径(印画濃度)の変化点(線)が生じる。具体的には、インクジェットプリンタにおいては、吐出量が多いノズルからなるノズル群と、吐出量が少ないノズルからなるノズル群とが隣接しているヘッドチップを用いている場合には、例えば図15Aに示すように、吐出量が多いノズルからなるノズル群によって記録されたドット群DGAと、吐出量が少ないノズルからなるノズル群によって記録されたドット群DGBとの境界において、ドットの径の変化点(線)Vが生じる。このようなドットの変化点(線)は、用紙の送り方向への縦すじ、すなわち、いわゆる帯状ノイズ(banding noise)の原因となる。
【0075】
また、インクジェットプリンタにおいては、用紙に対するインクの着弾位置の誤差が生じる状態で用紙に記録すると、用紙上におけるヘッドチップのつなぎ目に相当する領域において、ドットの重なり、ドットの隙間又はドットの段差等が生じる。具体的には、インクジェットプリンタにおいては、例えば図15Bに示すように、一方のノズル群によって記録されたドット群DGAと、他方のノズル群によって記録されたドット群DGBとの境界において、ドットの重なりOが生じたり、例えば図15Cに示すように、ドットの隙間Cが生じたり、例えば図15Dに示すように、ドットの段差Lが生じる。これらドットの重なり、ドットの隙間又はドットの段差も、用紙の送り方向への縦すじの原因となる。
【0076】
そこで、インクジェットプリンタ100においては、図16に示すように、互いに隣接するヘッドチップ121のそれぞれに対応する複数のノズル124aからなるノズル群124Aとノズル群124Bとのつなぎ目に、オーバーラップ部124Cを設けている。すなわち、インクジェットプリンタ100においては、千鳥状に配列されて互いに隣接するヘッドチップ121のそれぞれに対応するノズル群のうち、左側に位置するノズル群124Aにおける右から所定個のノズルと、右側に位置するノズル群124Bにおける左から同数のノズルとを、互いに中心線が一致するように配列し、これらのノズルの重複部分をオーバーラップ部124Cとして設けている。
【0077】
このオーバーラップ部124Cでは、一方のノズル群124Aを構成する各ノズル124aと、他方のノズル群124Bを構成する各ノズル124aとを、例えば横方向及び縦方向ともに、交互にインクを吐出させるように用いる。これにより、インクジェットプリンタ100は、例えば図17に示すように、白丸で示す一方のノズル群124Aによって記録したドット群DGAと、黒丸で示す他方のノズル群124Bによって記録したドット群DGBとのつなぎ目において、オーバーラップ部124Cに相当するドット群DGCを形成することができる。ドット群DGCは、ノズル群124Aによって記録したドットと、他方のノズル群124Bによって記録したドットとが、交互に配列されたものとなる。したがって、インクジェットプリンタ100は、上述した縦すじ、すなわち、帯状ノイズが生じるのを低減、緩和することができる。
【0078】
さて、以下では、インクジェットプリンタ100におけるPNMの動作について詳細に説明する。
【0079】
PNMは、1画素内に連続的に打ち込むインクの液滴の数(パルス数)でドットの径を変調して階調印画(グレースケール・プリンティング)を行う方法である。この方法は、ディジタル的に階調表現する場合に有利となるものである。
【0080】
図18に、PNMの原理を説明する概念図を示す。
【0081】
インクジェットプリンタ100は、PNMを行う際には、ノズル124aから1つ又は複数のインクの液滴Iを吐出して用紙Pに着弾させてドットDを記録する。この際、インクジェットプリンタ100は、複数のインクの液滴Iを吐出する場合には、用紙Pに最初に着弾したインクの液滴Iが乾燥する前に、次のインクの液滴Iを用紙Pに着弾させることにより、ドットDの径の変調を行う。すなわち、インクジェットプリンタ100は、パルス毎に対応して用紙Pに着弾した各インクの液滴Iによるドットdが、例えば同図中矢印S1,S2,S3,S4,S5,S6に示すように、乾燥する前には360°全方向へにじみ拡がることを利用して、ドットDの径の変調を行う。この例では、インクジェットプリンタ100は、用紙Pに最初に着弾して記録されたドットd1が乾燥する前に、次のインクの液滴Iを用紙Pに着弾させ、ドットd2,d3,d4,・・・を記録する。なお、ここでの乾燥とは、インクのにじみが許容範囲を超えて生じない状態を示しており、インクジェットプリンタ100は、複数のインクの液滴Iが一体となってにじみ拡がる状態において、ドットDの径の変調を行う。このとき、用紙Pが同図中矢印SDの方向へとラインヘッド120に対して相対的に連続して移動していることから、用紙Pに記録される各ドットd1,d2,d3,d4,・・・は、それぞれ、用紙Pの送り方向とは逆方向へと少しずつずれて記録される。
【0082】
なお、用紙Pに対するインクの液滴Iの着弾の周期が所定の周期よりも短い場合には、インクは等方的ににじむことから、ドットDは、真円に近い形状を呈する。また、用紙Pに対するインクの液滴Iの着弾の周期が長くなると、ドットDは、用紙Pの送り方向に長軸を有する略楕円の形状を呈する。用紙Pに対するインクの液滴Iの着弾の周期と、ドットDの径の縦横比との関係は、例えば用紙Pに対するインクの吸収特性といったインク及び用紙Pの物性に依存して変化する。インクジェットプリンタ100は、実験値に基づいて用紙Pに対するインクの液滴Iの着弾の周期を決定しており、十分な大きさまでドットDの径を大きくしたい場合には周期を長くするといったように、望ましい使用条件に応じて決定している。例えば、インクジェットプリンタ100は、用紙Pに対するインクの液滴Iの着弾の周期として、約100ミリ秒程度若しくはそれ未満を採用している。
【0083】
なお、インクジェットプリンタ100におけるラインヘッド120は、上述したように、例えばCMYKの4色分を備えているが、インクジェットプリンタ100は、複数色のインクの液滴を混色する場合には、用紙Pにある一色のインクの液滴を着弾させると、着弾して記録されたドットが乾燥してから、異なる次の色のインクの液滴を用紙Pに着弾させる。これは、次の色のインクの液滴を着弾させるまでの時間が短い場合には、カラーブリードと称されるにじみが生じ、画質の劣化を招くことに起因するものである。このとき、インクジェットプリンタ100は、黒色(K)のインクの液滴を用紙Pに最後に着弾させるようにするのが望ましい。これは、黒色のインクが、通常、乾燥しにくい性質を有しているためである。インクジェットプリンタ100は、黒色のインクの液滴を用紙Pに最後に着弾させることにより、シャープな記録画像を得ることができる。また、インクジェットプリンタ100は、この黒色に対して目立つ色である黄色(Y)のインクの液滴を用紙Pに最初に着弾させることにより、より自然な記録画像を得ることもできる。
【0084】
ここで、通常のシリアルヘッドは、用紙上を往復走査する際に同一箇所を複数回重ね打ちして階調数を増やすことが可能であるが、重ね打ち回数に応じて記録時間が長くなるという難点がある。一方、ラインヘッドは、1回の走査で記録を完了することができることから、記録時間を著しく短縮することができる。ラインヘッドを用いて例えば600dpiの解像度で10kHzの画素(ライン)記録周波数で記録を行うものとすると、A4サイズの用紙の長手方向(縦方向)を走査するのに要する時間は、1つのインクの液滴を吐出した場合において1色当たり約0.7秒となる。
【0085】
しかしながら、インクの乾燥時間を考慮すると、ラインヘッドを用いた場合における記録時間は、例えば10秒程度が妥当と考えられる。この場合、画素(ライン)記録周波数は、例えば解像度300dpi、600dpi及び1200dpiでそれぞれ350Hz、700Hz及び1.4kHz程度となる。したがって、ラインヘッドを適用したインクジェットプリンタは、通常のシリアルヘッドを適用したインクジェットプリンタに比べ、画素(ライン)記録周波数内でPNMを行うことが可能である。このことから、PNMは、ラインヘッドに適した階調表現方法であると考えられる。
【0086】
つぎに、PNMを適用したインクジェットプリンタ100による記録画像の画質について検討する。
【0087】
画質を向上させるためには、本来であれば記録画像の解像度を上げて印画を行いたい。しかし、製造コストや信頼性の面からは、ノズル数をなるべく少なくする方が望ましく、この結果、記録画像の解像度を上げることができないという設計上の要望がある。
【0088】
そこで、インクジェットプリンタ100は、PNMを用いて印画を行うことにより、画素内で階調を表現することができ、2値記録の場合に比べ解像度を低く設定したとしても、ざらつき感や粒状感が少なくて画質が高い記録画像を得ることが可能である。さらに、インクジェットプリンタ100は、1ドットを形成するにあたっての最大パルス数で決定されるPNMによる階調数を補うために、PNMといわゆるドット密度変調とを組み合わせることもできる。このとき、インクジェットプリンタ100は、PNMを用いていることによって画素内での多値化が可能であることから、2値のみではなく多値のディザ処理や誤差拡散処理等を行うことができ、より滑らかな高画質の階調印画を行うことができる。
【0089】
つぎに、PNMを適用したインクジェットプリンタ100における用紙に対するインクの着弾位置の誤差や、ノズル間でのインクの吐出量のばらつきへの対応について説明する。なお、ここでの説明では、次表1に示す設計仕様によるインクジェットプリンタ100について説明する。
【0090】
【表1】
【0091】
インクジェットプリンタ100は、この設計仕様によると、600dpiの画素に対して、最大で8パルス分のインクの液滴を打ち込む。1パルスは、3plのインクの液滴に相当し、1画素に対しては、最大で24plのインクの液滴が打ち込まれることとなる。ここで、インクジェットプリンタ100は、1つのインクの液滴で1ドットを形成するときの用紙上の位置を仮想的な格子点として用紙上に想定しており、理想的には、これらの格子点を中心としてドットを形成する。インクジェットプリンタ100においては、これらの格子点からのドットのずれを許容する範囲として、用紙上に20μmのドットずれマージンをとっている。インクジェットプリンタ100は、用紙に対するインクの液滴の着弾位置のずれに関する問題を、このマージンによって対応している。
【0092】
また、高画質の記録画像を得るためには、ノズル毎の特性ばらつきを極小化することが必要である。ノズル毎の吐出量のばらつき、すなわち、印画濃度のばらつきを小さくする方法としては、発熱素子に印加する電力やパルス幅をノズル毎に変化させることが考えられる。
【0093】
しかし、例えば図19中実線部に示すように、ノズルからのインクの液滴の吐出量Sは、通常、発熱素子に印加する電力Vの増加に伴って単調に増加することはなく、所定の電力値を超えると急激に増加する傾向を呈する。また、同図中破線部に示すように、パルス幅Wに対するインクの液滴の吐出量Sの変化も、通常、同様の傾向を呈する。すなわち、インクジェットプリンタにおいては、発熱素子に印加する電力やパルス幅によってインクの液滴の吐出量を制御することは困難である。
【0094】
そこで、インクジェットプリンタ100は、PNMを利用した印画濃度のばらつき補正を行っている。すなわち、インクジェットプリンタ100は、吐出量の異なる複数のノズルを用いて所定の階調を有する記録画像を作成する場合には、PNMを利用してパルス数を変化させることにより、ノズルからのインクの液滴の吐出量を制御し、ノズル毎の吐出量のばらつきを補正する。
【0095】
例えば、1パルス当たりのノズル毎の目標吐出量である3plのインクの液滴をパルス毎に吐出するノズルと、パルス毎に2.5plしかインクの液滴を吐出できないノズルとがあったとする。1画素に対しては、最大で8パルス分のインクの液滴を用いて記録することから、8レベルの吐出量は、本来それぞれ、3pl,6pl,9pl,12pl,15pl,18pl,21pl,24plとなる。しかし、パルス毎の吐出量が2.5plのノズルからは、それぞれ、2.5pl,5pl,7.5pl,10pl,12.5pl,15pl,17.5pl,20plのインクの液滴しか吐出されない。したがって、吐出量の差は、それぞれのレベルで、−0.5pl,−1pl,−1.5pl,−2pl,−2.5pl,−3pl,−3.5pl,−4plとなる。
【0096】
ここで、パルス毎の吐出量が2.5plのノズルからインクの液滴を吐出させる場合には、生成するパルスを1パルス、2パルス、4パルス、5パルス、6パルス、7パルス、8パルス、10パルスにすれば、吐出量は、それぞれ、2.5pl,5pl,10pl,12.5pl,15pl,17.5pl,20pl,25plとなる。したがって、パルス毎の吐出量が3plのノズルに対する吐出量の差は、それぞれのレベルで、−0.5pl,−1pl,+1pl,+0.5pl,0pl,−0.5pl,−1pl,+1plとなり、吐出量の差を最大で1pl以内に抑えることができる。
【0097】
また、パルス毎の吐出量が3.5plであるノズルがあったとする。8レベルの吐出量は、それぞれ、3.5pl,7pl,10.5pl,14pl,17.5pl,21pl,24.5pl,28plとなる。したがって、パルス毎の吐出量が3plのノズルに対する吐出量の差は、それぞれのレベルで、+0.5pl,+1pl,+1.5pl,+2pl,+2.5pl,+3pl,+3.5pl,+4plとなる。
【0098】
ここで、パルス毎の吐出量が3.5plのノズルからインクの液滴を吐出させる場合には、生成するパルスを1パルス、2パルス、3パルス、3パルス、4パルス、5パルス、6パルス、7パルスにすれば、吐出量は、それぞれ、3.5pl,7pl,10.5pl,10.5pl,14pl,17.5pl,21pl,24.5plとなる。したがって、パルス毎の吐出量が3plのノズルに対する吐出量の差は、それぞれのレベルで、+0.5pl,+1pl,+1.5pl,−1.5pl,−1pl,−0.5pl,0pl,+0.5plとなり、吐出量の差を最大で1.5pl以内に抑えることができる。
【0099】
インクジェットプリンタ100は、このようにして、吐出量の異なる複数のノズルを用いて所定の階調を有する記録画像を作成する場合には、各ノズルから吐出させるインクの液滴の数を変化させてノズル毎の吐出量のばらつきを補正することにより、ノズルからのインクの液滴の吐出量を制御することができ、1画素当たりの吐出量の差を抑えることができる。
【0100】
図20Aに、ノズルの吐出量に応じてパルス数を補正する前の階調レベルに対する吐出量の関係を示し、図20Bに、ノズルの吐出量に応じてパルス数を補正した後の階調レベルに対する吐出量の関係を示す。これらの図からもわかるように、ノズルの吐出量に応じてパルス数を補正しない場合には、同じ階調レベルを表現するのに必要な吐出量が各ノズル毎に異なるのに対して、ノズルの吐出量に応じてパルス数を補正した場合には、同じ階調レベルを表現するのに必要な吐出量が各ノズル毎に略同量となる。
【0101】
ここで、各ノズルからの吐出量は、全てのノズルについて吐出テストを行い、用紙に記録された各ドットの径に基づいて測定される。吐出量とドットの径との関係は、検量線グラフを別途作成しておくことによって求められる。ドットの径の測定は、例えば図21に示すように、顕微鏡202と画像処理装置203とを少なくとも備える自動測定装置200によって行われる。
【0102】
すなわち、自動測定装置200は、自動ステージ201上の用紙Pに記録されたドットを顕微鏡202を用いて画像処理装置203によって読み取り、そのドットの径に基づいて吐出量をコンピュータ204によって算出する。自動測定装置200は、全てのノズルについて、このような動作を行い、各ノズルに対応してパルス数に関する補正テーブルを作成する。
【0103】
インクジェットプリンタ100は、このようにして作成された補正テーブルを、上述した補正データとして補正回路162に格納しており、記録時には、補正データに基づいて、各ノズルのパルス数を決定し、インクの液滴の吐出量を制御して記録する。
【0104】
ここで、補正されたパルス数は、上表1に標準の最大パルス数として示した8パルスを超える場合がある。このため、インクジェットプリンタ100は、予め記録できる最大パルス数を多めに設定しておく必要があり、吐出量のばらつきに応じてこの最大パルス数を決定する。例えば上述した例のように、ばらつきが3±0.5plの範囲であれば、最小パルス吐出量は、2.5plであることから、最大パルス数は、10パルスとすればよい。この場合、600Hzのライン記録周波数に対応するには、吐出周波数を6kHz(以上)とする必要がある。
【0105】
このように、インクジェットプリンタ100は、吐出量の異なる複数のノズルを用いて所定の階調を有する記録画像を作成する場合には、PNMを利用してパルス数を変化させることにより、ノズルからのインクの液滴の吐出量を制御し、ノズル毎の吐出量のばらつきを補正することができる。したがって、インクジェットプリンタ100は、印画濃度のばらつき補正を行うことにより、より滑らかな高画質の記録画像を得ることができる。
【0106】
つぎに、インクジェットプリンタ100におけるインクの液滴の打ち方について説明する。
【0107】
インクジェットプリンタにおいては、上述したように、ラインヘッドに対して用紙が相対的に移動していることから、PNMを行う場合には、図22に示すように、ある時点を基準としてパルス数を増加させていくと、パルス毎に対応して用紙に着弾した各インクの液滴によるドットdによって形成されるドットDの中心が紙送り方向に対して後方にシフトしていく傾向が顕著になる。
【0108】
例えば、図23Aに示すように、用紙に対して、各格子点上に各ドットの中心が位置されるように記録されるべきものとする。ここで、同図において、径が大きいドットD1と、径が小さいドットD2とに着目すると、これらのドットD1,D2は、それぞれ、記録されるべき所定の格子点G1,G2上に記録されているため、当該ドットD1,D2が重複することはない。
【0109】
しかし、PNMを行う場合に、同図中矢印Rで示す記録方向(紙送り方向とは逆方向)を考慮せずに、ある時点を基準としてパルス数を増加させていった場合には、図23Bに示すように、径が大きいドットD1の中心が、記録されるべき所定の格子点G1上に位置されるように記録されない。すなわち、ドットD1は、同図中矢印Rで示す記録方向へとシフトして記録される。その結果、ドットD1が次に記録されるドットD2につながって記録される現象が生じる。
【0110】
このように、インクジェットプリンタにおいては、PNMを行う場合に、記録方向を考慮せずに、ある時点を基準としてパルス数を増加させていった場合には、径が大きいドットの中心が当該ドットが形成されるべき格子点からずれる問題が生じ、このような現象に起因して、例えば直線が記録されるべきところが曲線として記録されてしまうといった事態が発生し、正確な記録を行うことができない。
【0111】
そこで、インクジェットプリンタ100は、このような現象を回避するために、PNMを行う際に、最終的に形成されるドットが、インクの液滴を格子点を中心にして紙送り方向に振り分けた場合に形成されるものと等価なものとなるように、パルス数に応じてインクの液滴を用紙に着弾させる位置を変更し、記録を行う。
【0112】
例えば、インクジェットプリンタ100は、偶数発のインクの液滴で最終的な径を有するドットDを形成する場合には、図24に示すように、同図中矢印Rで示す記録方向(紙送り方向とは逆方向)としたときに、奇数発目のインクの液滴と偶数発目のインクの液滴とを、それぞれ、同図中一点鎖線で示す格子点を中心にして対称となるように紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価になるように、上述したコンパレータ163cによる記録データとの比較対象とされるパルスを、同図中左端部に記した順序にしたがってパルスジェネレータ163bによって生成する。
【0113】
具体的には、インクジェットプリンタ100においては、ある発熱素子に対するデータが“2”であった場合には、図25Aに示すように、コンパレータ163cは、パルスジェネレータ163bによって生成されるパルス数が“7,5,3”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成し、パルス数が“1,2”の間だけフェーズ対応データeとしてハイ信号「H」を生成し、パルス数が“4,6,8”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成する。したがって、インクジェットプリンタ100においては、コンパレータ163cがフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成するパルス数が“7,5,3,4,6,8”の期間では、発熱素子を駆動させずに用紙を搬送し、ハイ信号「H」を生成するパルス数が“1,2”の期間にのみ対象としている発熱素子を駆動させ、ノズルからインクの液滴を吐出させる。このようにすることにより、インクジェットプリンタ100においては、パルス数が“2”の場合におけるドットとして図24に示したものと等価なドットを形成することができる。
【0114】
同様に、インクジェットプリンタ100においては、ある発熱素子に対するデータが“6”であった場合には、図25Bに示すように、コンパレータ163cは、パルスジェネレータ163bによって生成されるパルス数が“7”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成し、パルス数が“5,3,1,2,4,6”の間だけフェーズ対応データeとしてハイ信号「H」を生成し、パルス数が“8”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成する。したがって、インクジェットプリンタ100においては、コンパレータ163cがフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成するパルス数が“7,8”の期間では、発熱素子を駆動させずに用紙を搬送し、ハイ信号「H」を生成するパルス数が“5,3,1,2,4,6”の期間にのみ対象としている発熱素子を駆動させ、ノズルからインクの液滴を吐出させる。このようにすることにより、インクジェットプリンタ100においては、パルス数が“6”の場合におけるドットとして図24に示したものと等価なドットを形成することができる。
【0115】
一方、例えば、インクジェットプリンタ100は、奇数発のインクの液滴で最終的な径を有するドットDを形成する場合には、図26に示すように、同図中矢印Rで示す記録方向(紙送り方向とは逆方向)としたときに、1発目のインクの液滴を同図中一点鎖線で示す格子点上に着弾させ、以降、奇数発目のインクの液滴と偶数発目のインクの液滴とを、それぞれ、格子点を中心にして対称となるように紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価になるように、上述したコンパレータ163cによる記録データとの比較対象とされるパルスを、同図中左端部に記した順序にしたがってパルスジェネレータ163bによって生成する。
【0116】
具体的には、インクジェットプリンタ100においては、ある発熱素子に対するデータが“1”であった場合には、図27Aに示すように、コンパレータ163cは、パルスジェネレータ163bによって生成されるパルス数が“5,3”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成し、パルス数が“1”の間だけフェーズ対応データeとしてハイ信号「H」を生成し、パルス数が“2,4”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成する。したがって、インクジェットプリンタ100においては、コンパレータ163cがフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成するパルス数が“5,3,2,4”の期間では、発熱素子を駆動させずに用紙を搬送し、ハイ信号「H」を生成するパルス数が“1”の期間にのみ対象としている発熱素子を駆動させ、ノズルからインクの液滴を吐出させる。このようにすることにより、インクジェットプリンタ100においては、パルス数が“1”の場合におけるドットとして図26に示したものと等価なドットを形成することができる。
【0117】
同様に、インクジェットプリンタ100においては、ある発熱素子に対するデータが“3”であった場合には、図27Bに示すように、コンパレータ163cは、パルスジェネレータ163bによって生成されるパルス数が“5”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成し、パルス数が“3,1,2”の間だけフェーズ対応データeとしてハイ信号「H」を生成し、パルス数が“4”ではフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成する。したがって、インクジェットプリンタ100においては、コンパレータ163cがフェーズ対応データeとしてロー信号「L」を生成するパルス数が“5,4”の期間では、発熱素子を駆動させずに用紙を搬送し、ハイ信号「H」を生成するパルス数が“3,1,2”の期間にのみ対象としている発熱素子を駆動させ、ノズルからインクの液滴を吐出させる。このようにすることにより、インクジェットプリンタ100においては、パルス数が“3”の場合におけるドットとして図26に示したものと等価なドットを形成することができる。
【0118】
このように、インクジェットプリンタ100は、パルス数に応じて、格子点を中心にして紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価なドットを形成するように、パルス数に応じてインクの液滴を用紙に着弾させる位置を変更して記録を行う。このとき、インクジェットプリンタ100は、偶数発のインクの液滴でドットDを形成する場合には、奇数発目のインクの液滴と偶数発目のインクの液滴とを、それぞれ、格子点を中心にして対称となるように紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価になるように、生成するパルスの順序を決定し、奇数発のインクの液滴でドットDを形成する場合には、1発目のインクの液滴を格子点上に着弾させ、以降、奇数発目のインクの液滴と偶数発目のインクの液滴とを、それぞれ、格子点を中心にして対称となるように紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価になるように、生成するパルスの順序を決定する。これにより、インクジェットプリンタ100は、形成されるドットの格子点からのずれを最小限に抑えることができ、直線の曲がりやドットの不要なつながりを防止することができる。
【0119】
つぎに、ヘッドチップ121の電気的な構成例について説明する。ヘッドチップ121には、図28に一部の回路図を示すように、ヒータ部250が設けられている。ヒータ部250は、上述したスイッチング素子121c及び発熱素子121dの組み合わせをノズル124aの数と同数だけ有しており、これらのスイッチング素子121c及び発熱素子121dがゲート回路121bによってマトリクス駆動される構成とされる。ゲート回路121bは、上述したように、時分割駆動フェーズ発生回路121aから供給されたフェーズ信号と、コンパレータ163cから供給された出力データ、すなわち、フェーズ対応データとの論理積をとるアンドゲートとして構成される。ヘッドチップ121は、分割駆動信号であるフェーズ信号と、素子駆動信号であるフェーズ対応データとがともにハイ信号「H」である場合、スイッチング素子121cをONにして、発熱素子121dを駆動し、ノズル124aからインクの液滴を吐出する。
【0120】
ここで、分割駆動信号であるフェーズ信号は、時分割数、すなわち、1ブロック当たりのノズル数m分設けられた符号PH1,・・・,PHmで示し、素子駆動信号であるフェーズ対応データは、同時に駆動するノズル数n分設けられた符号e 1 ,・・・,e n で示す。素子駆動信号であるフェーズ対応データe 1 ,・・・,e n は、用紙Pに画素を形成する場合にノズル124aを駆動させるためのデータ、すなわち、1ドットを形成するために必要なデータである。ヘッドチップ121は、例えばフェーズ信号PH1,・・・,PHm及びフェーズ対応データe 1 ,・・・,e n のいずれかの組み合わせがともにハイ信号「H」である場合には、ゲート回路121bによって対応するスイッチング素子121cがONとなる。これにより、ヘッドチップ121においては、発熱素子121dが発熱し、ノズル124aからインクの液滴が吐出されて用紙Pに画素が形成される。
【0121】
図29に、コンパレータ163cから出力される出力データEのタイミングを示すチャートを示す。同図には、ラインヘッド120において時分割駆動を行う際の駆動方法の一例を示しており、時分割数及びそのときの同時駆動ノズル数は、以下の関係で表される。例えばカラー印画可能なラインヘッド120の1色分でヘッド幅1列を印画する時間(ライン周期)をT、多値記録時におけるPNMによるパルス数をQとすると、最大吐出周期tmaxは、次式(1)で表される。
tmax=T/Q・・・(1)
【0122】
また、全ノズル数Nに対して、吐出駆動パルス幅τ、吐出周期t(t≦tmax)のとき、最大時分割数Aは、次式(2)で表される。
A=t/τ・・・(2)
【0123】
したがって、時分割数mとしては、最大時分割数A以下であればよい。なお、上式(2)によって算出される最大時分割数Aは、小数点を切り上げるものとする。このときの同時駆動ノズル数nは、次式(3)で表される。
n=N/A・・・(3)
【0124】
なお、上式(3)によって算出される同時駆動ノズル数nは、小数点を切り上げるものとし、(時分割数m)×(同時駆動ノズル数n)≦Aとなる。
【0125】
ここで、例えば、ノズルピッチが600dpi、ノズル数が5100ノズル、ライン記録周波数が600Hz、PNMによるパルス数が8、瞬間最大消費電力が0.74Wであるとし、上式(1)、上式(2)及び上式(3)に基づいて消費電力を算出すると、次表2に示すようになる。
【0126】
【表2】
【0127】
複数のノズル124aは、吐出周期tの範囲で位相をずらしたフェーズ信号PH1,・・・,PHmが各ブロック毎に入力されることでインクの液滴を吐出する。これにより、ラインヘッド120は、同時に駆動されるノズル数が減少するので、駆動時の最大消費電力を低減することができる。また、吐出周期tを考慮して(吐出駆動パルス幅τ)×(時分割数m)がほぼ一定となるように設定すると、同時に駆動するノズル数が変化する。これにより、例えばインクが1色又は4色の場合におけるいずれの消費電力も、同時に駆動するノズル数が減少するのにともない低減される。
【0128】
以上説明したように、第1の実施の形態として示すインクジェットプリンタ100は、ヘッドチップ121において図28に示した回路構成によってマトリクス駆動することから、配線数を低減することができる。また、インクジェットプリンタ100は、同時に駆動するノズル数を最小限にすることによって時分割駆動することから、瞬間的な最大消費電力を低減することができる。
【0129】
さらに、インクジェットプリンタ100においては、PNMを行うことにより、画素内での多値化が可能となるため、従来のインクジェットプリンタに比べ、ざらつき感や粒状感が少なくて画質が高い記録画像を高速に得ることができる。なお、インクジェットプリンタ100は、PNMとドット密度変調とを組み合わせることで、2値のみではなく多値のドット密度変調を行うことができ、より滑らかな高画質の階調印画を行うことができる。この結果、インクジェットプリンタ100は、少ないノズル数であっても高画質化が可能となることから、ノズル数を少なくでき、加工組立コストを低減することができる。
【0130】
さらに、インクジェットプリンタ100は、インクの乾燥時間を考慮した記録時間を設定し、この時間を最大限利用した多分割の時分割駆動を行うことにより、消費電力を低減することができる。さらにまた、インクジェットプリンタ100は、PNMを利用した吐出量、すなわち、印画濃度の補正を行うこともでき、より滑らかな高画質の記録画像を得ることができる。
【0131】
また、インクジェットプリンタ100は、格子点を中心にして紙送り方向に振り分けた場合に形成されるものと等価なものとなるように、パルス数に応じてインクの液滴を用紙に着弾させる位置を変更して記録を行うことにより、用紙Pに形成された画素を形成するためのドットの位置ずれを小さくすることができ、より正確で高画質の記録画像を得ることが可能となる。
【0132】
さらに、インクジェットプリンタ100は、複数のヘッドチップ121を千鳥状に配列し、オーバーラップ部124cを設けることにより、ヘッドチップ121、すなわち、ノズル群のつなぎ目で生じる帯状ノイズを抑えることができる。
【0133】
このように、インクジェットプリンタ100は、総合的に、画質、速度及び消費電力等の面でバランスのとれたものであり、使用者に高い利便を提供するものである。
【0134】
つぎに、第2の実施の形態として示すインクジェットプリンタについて説明する。このインクジェットプリンタは、基本構成を第1の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様とし、PNM方式での駆動方法として、インクの液滴の打ち方に特徴を有するものである。したがって、ここでは、上述したインクジェットプリンタ100と同一符号を用いて説明する。
【0135】
図30に、第2の実施の形態として示すインクジェットプリンタ100が備えるラインヘッド120の駆動方法によって用紙Pに記録されるべきドットの配置例を示す。同図における“PIT”は、先に図18に示したドットDの直径を表すものであり、ここでは、“画素のピッチ”と称するものとする。また、図30中“○”は、上述した補正後の記録データに相当するものであり、その内部に付された番号は、パルスの配列順序、すなわち、上述したコンパレータ163cによる記録データとの比較対象とされるパルスの配列順序を示している。同図における記録データに相当する“○”の位置は、印画時の画素内におけるドットの位置、すなわち、先に図18に示した各インクの液滴Iによるドットdの位置に一致する。ラインヘッド120においては、PNM方式によって1ドットを形成するのに、パルス数が偶数か奇数かにより、画像の中心ICに対する記録データの配列を異ならせている。
【0136】
すなわち、ラインヘッド120は、PNM方式を用いて印画を行う場合には、上述した格子点と同一のものであり、着弾するインクの液滴の画像処理上の記録データの1番目を示す位置C(以下、画素の起点という。)から外側に順次記録データを振り分けていく。さらに、ラインヘッド120は、その振り分けられた記録データに基づいて、時分割駆動によって用紙Pにインクの液滴を着弾させ、印画するように駆動する。このとき、印画されるドットが画素ピッチPITの範囲内に収まるように、記録データが設定される。なお、用紙Pは、所定の紙送り方向へと搬送されていることから、実際には、図30に示すような画素の起点Cを表す直線上ではなく、斜めにドットが形成されることになる。
【0137】
このように、第2の実施の形態として示すインクジェットプリンタ100は、1ライン上でのドット位置のずれを小さくすることができるとともに、複数のノズルをマトリクス駆動することができ、配線数を低減することができる。また、インクジェットプリンタ100は、同時に駆動するノズル数を最小限にすることができ、駆動時の消費電力を低減することができる。
【0138】
つぎに、第3の実施の形態として示すインクジェットプリンタについて説明する。このインクジェットプリンタは、基本構成を第1の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様とし、PNM方式での駆動方法として、インクの液滴の打ち方に特徴を有するものである。したがって、ここでは、上述したインクジェットプリンタ100と同一符号を用いて説明する。
【0139】
図31に、ラインヘッド120の構成例としての平面図を示す。同図においては、ヘッドチップの図示を省略している。
【0140】
ラインヘッド120においては、例えば略直線状(又は千鳥状)に配列された複数のノズル124aが一定単位毎のノズルの組に分割された構成となっている。ここで、ノズルの組とは、ラインヘッド120を実空間で分割したものであり、例えば、図31における第1のノズルの組260a、第2のノズルの組260b、第3のノズルの組260c、第4のノズルの組260d、第5のノズルの組260e及び第6のノズルの組260fである。ラインヘッド120においては、各ノズルの組における複数のノズル124aは、それぞれ、さらに各ブロック毎に時分割されて駆動するようになっている。このとき、吐出周期tは、各ノズルの組に含まれる全てのノズル124aからインクの液滴を1発ずつ吐出するのに要する時間である。
【0141】
図32に、ラインヘッド120の駆動方法によって用紙Pに記録されるべきドットの配置例を示す。同図においてドットの上部に付した符号PH1,・・・,PHmは、各ドットが上述したフェーズ信号PH1,・・・,PHmに基づいてそれぞれ印画されることを示すものである。また、図32中“○”は、先に図30において示したものと同様に、上述した補正後の記録データに相当するものであり、その内部に付された番号は、パルスの配列順序、すなわち、上述したコンパレータ163cによる記録データとの比較対象とされるパルスの配列順序を示している。同図における記録データに相当する“○”の位置は、印画時の画素内におけるドットの位置、すなわち、先に図18に示した各インクの液滴Iによるドットdの位置に一致する。
【0142】
同図においては、PNM方式によって4パルスまでのドット着弾のためのドットの配置例を示す記録データの例を示している。ラインヘッド120においては、1つのノズルの組に含まれるノズル124aからインクの液滴を吐出するための画像処理上の記録データを、前半記録データFD及び後半記録データLDといったように、時間的に2つに分ける。ラインヘッド120においては、PNM方式を用いて印画する場合、例えば前半記録データFDとして、画素の起点Cを中心にして、偶数発目のインクの液滴を、用紙Pの搬送方向の上流側に振り分けて、奇数発目のインクの液滴を、下流側に振り分けて、画素の起点Cから外側に順次振り分けていき、後半記録データLDとして、同図に示すように、偶数発目のインクの液滴を、用紙Pの搬送方向の下流側に振り分けて、奇数発目のインクの液滴を、上流側に振り分けて、画素の起点Cに対して前半記録データFDとは逆になるように、画素の起点Cから外側に順次振り分けていく。
【0143】
ラインヘッド120は、このように振り分けられた記録データにしたがって時分割駆動によってインクの液滴を用紙Pに着弾させる。なお、用紙Pは、所定の紙送り方向へと搬送されていることから、実際には、図32に示すような画素の起点Cを表す直線上ではなく、搬送方向の上流側に向けて斜め(右上がり)にドットが形成されることになる。また、偶数発目のパルスによる記録データでは、前半記録データFDと後半記録データLDとが多少ずれるようになっていることから、ラインヘッド120においては、例えば用紙Pの紙送り方向を考慮して記録データを作成することにより、用紙Pに着弾されるドットの位置ずれが、視覚上、より認識しにくいものとすることができる。
【0144】
このように、第3の実施の形態として示すインクジェットプリンタ100は、第2の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様に、1ライン上でのドット位置のずれを小さくすることができるとともに、複数のノズルをマトリクス駆動することができ、配線数を低減することができる。また、インクジェットプリンタ100は、同時に駆動するノズル数を最小限にすることができ、駆動時の消費電力を低減することができる。これに加え、インクジェットプリンタ100は、ラインヘッド120の複数のノズル124aをさらに細かく分割してドットによって例えば1ラインを印画することから、1ライン上でのドットの位置ずれをさらに小さくすることができる。
【0145】
つぎに、第4の実施の形態として示すインクジェットプリンタについて説明する。このインクジェットプリンタは、基本構成を第1の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様とし、PNM方式での駆動方法として、インクの液滴の打ち方に特徴を有するものである。したがって、ここでは、上述したインクジェットプリンタ100と同一符号を用いて説明する。
【0146】
図33に、先に図6に示した時分割駆動フェーズ発生回路121aから出力されるフェーズ信号のタイミングの一例を示すチャートを示す。
【0147】
時分割駆動フェーズ発生回路121aは、ライン周期Tにおいてパルス状のフェーズ信号PHを出力する。フェーズ信号PHは、ノズル124aからインクの液滴を吐出する周期としての吐出周期t毎に発生するパルス状の信号であり、ライン周期Tにわたり出力される。ライン周期Tは、それぞれ、用紙Pに1画素を形成する(パルス数Q)×(吐出周期t)を用いて表され、各ブロックにはライン周期Tの各フェーズ信号PHが付与される。
【0148】
ラインヘッド120は、図33に示すように、1つのノズルによって1ドットを印画し、順次第2のノズル、第3のノズル、・・・、第mのノズルによって1ドットを印画するように駆動する。ラインヘッド120は、ライン周期をT、吐出周期をt、PNMによる1画素中のパルス数をQとすると、時分割数mは、次式(4)で表される。
m=T/(t×Q) ・・・(4)
【0149】
なお、上式(4)によって算出される時分割数mは、小数点を切り上げるものとする。このとき、同時駆動ノズル数nは、全ノズル数をNとすると、次式(5)で表される。
n=N/m ・・・(5)
【0150】
なお、上式(5)によって算出される同時駆動ノズル数nは、小数点を切り上げるものとする。
【0151】
このように、第4の実施の形態として示すインクジェットプリンタ100は、第1の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様に、1ライン上でのドット位置のずれを小さくすることができるとともに、複数のノズルをマトリクス駆動することができ、配線数を低減することができる。また、インクジェットプリンタ100は、同時に駆動するノズル数を最小限にすることができ、駆動時の消費電力を低減することができる。
【0152】
つぎに、第5の実施の形態として示すインクジェットプリンタについて説明する。このインクジェットプリンタは、基本構成を第1の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様とし、時分割駆動を行う際の分割駆動信号であるフェーズ信号を複数次元の入力信号によって時分割数分発生することに特徴を有するものである。したがって、ここでは、上述したインクジェットプリンタ100と同一の部位については同一符号を用いて説明する。
【0153】
インクジェットプリンタ100は、例えば1色分のラインヘッド120によってヘッド幅1列を印画する時間(ライン周期)をT、多値記録時におけるPNMによるパルス数をQとすると、最大吐出周期tmaxは、上式(1)と同様に、次式(6)で表される。
tmax=T/Q・・・(6)
【0154】
また、全ノズル数Nに対して、吐出駆動パルス幅τ、吐出周期t(t≦tmax)のとき、最大時分割数Aは、上式(2)と同様に、次式(7)で表される。
A=t/τ・・・(7)
【0155】
したがって、時分割数mとしては、最大時分割数A以下であればよい。なお、上式(7)によって算出される最大時分割数Aは、小数点を切り上げるものとする。このときの同時駆動ノズル数nは、上式(3)と同様に、次式(8)で表される。
n=N/A・・・(8)
【0156】
なお、上式(8)によって算出される同時駆動ノズル数nは、小数点を切り上げるものとし、(時分割数m)×(同時駆動ノズル数n)≦Aとなる。
【0157】
ラインヘッド120においては、この最大時分割数Aを次式(9)に示すように、さらに2次元に分割して駆動する。
A=m1×m2・・・(9)
【0158】
ここで、上式(9)中m1は、後述するが、図34中A1,・・・,Aiを示し、m2は、同図中AA1,・・・,AAjを示すものである。
【0159】
この時分割駆動におけるヒータ部250の模式的な回路は、図34に示す構成となる。ヘッドチップ121には、図34に一部の回路図を示すように、先に図28に示したヒータ部250の他に、入力回路251が設けられる。
【0160】
入力回路251は、ヒータ部250に供給するフェーズ信号PH1,・・・,PHmを発生するためのものであり、マトリクス処理回路252を有する。入力回路251には、第1の入力信号A1,・・・,Ai及び第2の入力信号AA1,・・・,AAjが入力される。入力回路251は、これらの第1の入力信号A1,・・・,Ai及び第2の入力信号AA1,・・・,AAjに基づいて、フェーズ信号PH1,・・・,PHmを発生する。
【0161】
マトリクス処理回路252は、これらの第1の入力信号A1,・・・,Ai及び第2の入力信号AA1,・・・,AAjに基づいて、マトリクスを形成する。マトリクス処理回路252は、これらの第1の入力信号A1,・・・,Aiのいずれか及び第2の入力信号AA1,・・・,AAjのいずれかがハイ信号「H」となることにより、対応するフェーズ信号PH1,・・・,PHmのいずれか又は組み合わせがハイ信号「H」となるように構成される。したがって、第1の入力信号A1,・・・,Ai及び第2の入力信号AA1,・・・,AAjの信号数は、フェーズ信号PH1,・・・,PHmの信号数よりも少なくてよい。
【0162】
このようなヘッドチップ121を有するラインヘッド120においては、第1の入力信号A1,・・・,Ai、第2の入力信号AA1,・・・,AAj、及び、素子駆動信号であるフェーズ対応データe 1 ,・・・,e n の3次元のデータ群によってマトリクス駆動を行うことができる。
【0163】
このように、第5の実施の形態として示すインクジェットプリンタ100は、第1の実施の形態として示したインクジェットプリンタ100と同様に、1ライン上でのドット位置のずれを小さくすることができるとともに、複数のノズルをマトリクス駆動することができ、配線数を低減することができる。また、インクジェットプリンタ100は、同時に駆動するノズル数を最小限にすることができ、駆動時の消費電力を低減することができる。
【0164】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、ヘッドチップが千鳥状に配列されているものとして説明したが、本発明は、ヘッドチップが略直線状に配列されたラインヘッドにも適用できるものである。
【0165】
また、本発明は、第4の実施の形態として示したラインヘッドの駆動方法において、記録データの処理方法として、第2の実施の形態として示したものを組み合わせたものにも適用することができる。この場合、インクジェットプリンタは、第2の実施の形態と同様に、1ライン上でのドット位置のずれを小さくすることができるとともに、複数のノズルをマトリクス駆動することによって配線数を低減することができ、さらに、同時に駆動するノズル数を最小限にすることができ、駆動時の消費電力を低減することができる。
【0166】
さらに、本発明は、第4の実施の形態として示したラインヘッドの駆動方法において、記録データの処理方法として、第3の実施の形態として示したものを組み合わせたものにも適用することができる。この場合、インクジェットプリンタは、第3の実施の形態と同様に、1ライン上でのドット位置のずれを小さくすることができるとともに、複数のノズルをマトリクス駆動することによって配線数を低減することができ、さらに、同時に駆動するノズル数を最小限にすることができ、駆動時の消費電力を低減することができる。これに加え、インクジェットプリンタは、ラインヘッドの複数のノズルをさらに細かく分割してドットによって例えば1ラインを印画することから、1ライン上でのドットの位置ずれをさらに小さくすることができる。
【0167】
さらにまた、第5の実施の形態として示したラインヘッドとしては、第2の実施の形態乃至第4の実施の形態として示した記録データの処理方法や時分割駆動等によって駆動される構成であってもよい。このようなラインヘッドを備えるインクジェットプリンタは、第5の実施の形態として示したインクジェットプリンタにおける効果に加えて、第2の実施の形態乃至第4の実施の形態として示したインクジェットプリンタにおける効果を発揮することができる。同様に、第5の実施の形態として示したラインヘッドとしては、第4の実施の形態として示したラインヘッドの駆動方法において、記録データの処理方法として、第2の実施の形態として示したものを組み合わせたものとして構成することもでき、第4の実施の形態として示したラインヘッドの駆動方法において、記録データの処理方法として、第3の実施の形態として示したものを組み合わせたものとしても構成することができる。
【0168】
また、上述した実施の形態では、複数色分のラインヘッドであるものとして説明したが、本発明は、1色分のみのラインヘッドにも適用可能である。
【0169】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0170】
以上詳細に説明したように、本発明にかかる記録ヘッドの駆動方法は、複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を備え、搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドの駆動方法であって、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うように、1つのドットを形成するために必要なデータからなる素子駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、複数のノズルに対応した複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動工程と、駆動する発熱素子に対応するノズルから1つ又は複数のインクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、インクの液滴からなるドットを記録する記録工程とを備える。
【0171】
したがって、本発明にかかる記録ヘッドの駆動方法は、ドットの径をインクの液滴の数で変調するように発熱素子を駆動させるとともに、分割した各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させることにより、記録媒体上でのドットの位置ずれを小さくすることができ、且つ、時分割駆動時の瞬間的な最大消費電力を低減することができるとともに、画素内で階調を表現することができ、ざらつき感や粒状感が少なくて画質が高い記録画像を高速に得ることができる。
【0172】
また、本発明にかかる記録ヘッドは、複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を備え、搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドであって、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うように、1つのドットを形成するために必要なデータからなる素子駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、複数のノズルに対応した複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動手段と、駆動する発熱素子に対応するノズルから1つ又は複数のインクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、インクの液滴からなるドットを記録する記録手段とを備える。
【0173】
したがって、本発明にかかる記録ヘッドは、ドットの径をインクの液滴の数で変調するように発熱素子を駆動させるとともに、分割した各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させることにより、記録媒体上でのドットの位置ずれを小さくすることが可能となり、且つ、時分割駆動時の瞬間的な最大消費電力を低減することが可能となるとともに、画素内で階調を表現することが可能となり、ざらつき感や粒状感が少なくて画質が高い記録画像を高速に得ることが可能となる。
【0174】
さらに、本発明にかかるインクジェットプリンタは、複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を有して搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドを備え、インクの液滴からなるドットで文字及び/又は画像を含む情報を記録するインクジェットプリンタであって、1つのドットを形成するために1つ又は複数のインクの液滴を用い、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うように、1つのドットを形成するために必要なデータからなる素子駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、複数のノズルに対応した複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動手段と、駆動する発熱素子に対応するノズルから1つ又は複数のインクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、インクの液滴からなるドットを記録する記録手段とを備える。
【0175】
したがって、本発明にかかるインクジェットプリンタは、ドットの径をインクの液滴の数で変調するように発熱素子を駆動させるとともに、分割した各ブロックにまたがって同時に駆動される発熱素子の組単位で発熱素子を時分割で順次駆動させるように、記録ヘッドを駆動することにより、記録媒体上でのドットの位置ずれを小さくすることができ、且つ、時分割駆動時の瞬間的な最大消費電力を低減することができるとともに、画素内で階調を表現することができ、ざらつき感や粒状感が少なくて画質が高い記録画像を高速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の実施の形態として示すインクジェットプリンタが備えるラインヘッドにおけるノズル配列の概略を示す図であり、複数のノズルが所定個ずつ区切られてブロックを構成している様子を示す図である。
【図2】同インクジェットプリンタにおける時分割駆動の基本動作を説明するための図であって、各フェーズ毎にノズルからインクの液滴を吐出させる様子を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態として示すインクジェットプリンタの全体構成を説明する一部断面斜視図である。
【図4】同インクジェットプリンタの断面側面図である。
【図5】同インクジェットプリンタにおける電気回路部の記録及び制御系の構成を説明するブロック図である。
【図6】図5に示すヘッドドライブ回路とラインヘッドとの詳細な構成を説明するブロック図である。
【図7】図6に示すヘッドドライブ回路によるPNM(Pulse Number Modulation)の処理を説明するための図であって、ヘッドドライブ回路が備えるパルスジェネレータによって生成したパルスと、ヘッドドライブ回路が備えるメモリによって記憶された記録データと、ヘッドドライブ回路が備えるコンパレータから出力される信号との関係を示す図である。
【図8】図6に示すヘッドドライブ回路によるPNMの処理を説明するための図であって、ヘッドドライブ回路が備えるコンパレータにおける動作を説明するための図である。
【図9A】1色分のラインヘッドの構造を説明する外観側面図である。
【図9B】1色分のラインヘッドの構造を説明する外観底面図である。
【図10】ヘッドチップの詳細構造を説明する図である。
【図11A】図9Bに示すラインヘッドのA−A線断面側面図である。
【図11B】図9Bに示すラインヘッドのB−B線断面側面図である。
【図12】図9A及び図9Bに示すラインヘッドを底面側から見た部分斜視図である。
【図13】図9A及び図9Bに示すラインヘッドにおけるノズル近傍の詳細構造を説明する図であり、ラインヘッドをヘッドチップ側から見た部分斜視図である。
【図14】従来のラインヘッドにおける互いに隣接する2つのノズル群の配列を示す図である。
【図15A】図13に示す配列のヘッドチップを用いて記録したドット群の状態を示す図であり、異なるノズル群によって記録されたドット群の境界において、ドットの径の変化点(線)が生じる様子を示す図である。
【図15B】図13に示す配列のヘッドチップを用いて記録したドット群の状態を示す図であり、異なるノズル群によって記録されたドット群の境界において、ドットの重なりが生じる様子を示す図である。
【図15C】図13に示す配列のヘッドチップを用いて記録したドット群の状態を示す図であり、異なるノズル群によって記録されたドット群の境界において、ドットの隙間が生じる様子を示す図である。
【図15D】図13に示す配列のヘッドチップを用いて記録したドット群の状態を示す図であり、異なるノズル群によって記録されたドット群の境界において、ドットの段差が生じる様子を示す図である。
【図16】図9A及び図9Bに示すラインヘッドにおける互いに隣接する2つのノズル群の配列を示す図である。
【図17】図9A及び図9Bに示すラインヘッドを用いて記録したドット群の状態を示す図である。
【図18】PNMの原理を説明する概念図である。
【図19】ノズルからのインクの液滴の吐出量と、発熱素子に印加する電力又はパルス幅との関係を示す図である。
【図20A】ノズルの吐出量に応じてパルス数を補正する前の階調レベルに対する吐出量の関係を示す図である。
【図20B】ノズルの吐出量に応じてパルス数を補正した後の階調レベルに対する吐出量の関係を示す図である。
【図21】ドットの径の測定を行う自動測定装置の構成を説明するブロック図である。
【図22】PNMを行う際に、記録方向を考慮せずに、ある時点を基準としてパルス数を増加させていった場合に形成されるドットの状態を示す図である。
【図23A】用紙に対して記録されるべき各ドットの状態を示す図であり、各格子点上に各ドットの中心が位置されるように記録されている様子を示す図である。
【図23B】用紙に対して記録される各ドットの状態を示す図であり、径が大きいドットの中心が、記録されるべき所定の格子点上に位置されるように記録されない様子を示す図である。
【図24】PNMを行う際に、インクの液滴を、格子点を中心にして対称となるように紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価になるように、コンパレータによる記録データとの比較対象とされるパルスを生成して記録を行う場合に形成されるドットの状態を示す図であり、偶数発のインクの液滴で最終的な径を有するドットを形成する場合について示す図である。
【図25A】図24に示す方法によって記録を行う場合の具体例を説明するための図であって、発熱素子に対するデータが“2”であった場合におけるヘッドドライブ回路が備えるパルスジェネレータによって生成したパルスと、ヘッドドライブ回路が備えるメモリによって記憶された記録データと、ヘッドドライブ回路が備えるコンパレータから出力される信号との関係を示す図である。
【図25B】図24に示す方法によって記録を行う場合の具体例を説明するための図であって、発熱素子に対するデータが“6”であった場合におけるヘッドドライブ回路が備えるパルスジェネレータによって生成したパルスと、ヘッドドライブ回路が備えるメモリによって記憶された記録データと、ヘッドドライブ回路が備えるコンパレータから出力される信号との関係を示す図である。
【図26】PNMを行う際に、インクの液滴を、格子点を中心にして対称となるように紙送り方向に振り分けた場合に形成されるドットと等価になるように、コンパレータによる記録データとの比較対象とされるパルスを生成して記録を行う場合に形成されるドットの状態を示す図であり、奇数発のインクの液滴で最終的な径を有するドットを形成する場合について示す図である。
【図27A】図26に示す方法によって記録を行う場合の具体例を説明するための図であって、発熱素子に対するデータが“1”であった場合におけるヘッドドライブ回路が備えるパルスジェネレータによって生成したパルスと、ヘッドドライブ回路が備えるメモリによって記憶された記録データと、ヘッドドライブ回路が備えるコンパレータから出力される信号との関係を示す図である。
【図27B】図26に示す方法によって記録を行う場合の具体例を説明するための図であって、発熱素子に対するデータが“3”であった場合におけるヘッドドライブ回路が備えるパルスジェネレータによって生成したパルスと、ヘッドドライブ回路が備えるメモリによって記憶された記録データと、ヘッドドライブ回路が備えるコンパレータから出力される信号との関係を示す図である。
【図28】ヘッドチップの電気的な構成例を示す回路図である。
【図29】コンパレータから出力される出力データのタイミングを示すチャート図である。
【図30】本発明の第2の実施の形態として示すインクジェットプリンタが備えるラインヘッドの駆動方法によって用紙に記録されるべきドットの配置例を示す図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態として示すインクジェットプリンタが備えるラインヘッドの構成例としての平面図である。
【図32】同インクジェットプリンタが備えるラインヘッドの駆動方法によって用紙に記録されるべきドットの配置例を示す図である。
【図33】本発明の第4の実施の形態として示すインクジェットプリンタが備えるラインヘッドにおける時分割駆動フェーズ発生回路から出力されるフェーズ信号のタイミングの一例を示すチャート図である。
【図34】本発明の第5の実施の形態として示すインクジェットプリンタが備えるラインヘッドにおけるヘッドチップの電気的な構成例を示す回路図である。
Claims (3)
- 複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を備え、搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に上記複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドの駆動方法であって、
1つのドットを形成するために1つ又は複数の上記インクの液滴を用い、上記インクの液滴の数でドットの径の変調を行うような素子駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、
上記複数のノズルに対応した上記複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、上記複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される上記発熱素子の組単位で上記発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動工程と、
駆動する上記発熱素子に対応する上記ノズルから1つ又は複数の上記インクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、上記インクの液滴からなるドットを記録する記録工程とを備え、
上記駆動信号生成工程では、
1つのドットを形成するための記録データと、パルス生成手段によって生成されたパルスの数とを比較し、該記録データが該パルスの数以上の場合は、ハイ信号であり、該記録データが該パルスの数未満の場合は、ロー信号である上記素子駆動信号を生成し、
上記複数の発熱素子にそれぞれ対応する記録データを、上記ブロックの前半の発熱素子に対応する前半の記録データと後半の発熱素子に対応する後半の記録データとに、時間的に2つに分け、
上記前半の発熱素子においては、1つのインクの液滴で1つのドットを形成するときの上記記録媒体上の位置である格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、上記記録媒体の搬送方向の上流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、該記録媒体の搬送方向の下流側に振り分けて、順次着弾させ、
上記後半の発熱素子においては、上記格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、上記記録媒体の搬送方向の下流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、該記録媒体の搬送方向の上流側に振り分けて、順次着弾させる記録ヘッドの駆動方法。 - 複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を備え、搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に上記複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドであって、
1つのドットを形成するために1つ又は複数の上記インクの液滴を用い、上記インクの液滴の数でドットの径の変調を行うような素子駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
上記複数のノズルに対応した上記複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、上記複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される上記発熱素子の組単位で上記発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動手段と、
駆動する上記発熱素子に対応する上記ノズルから1つ又は複数の上記インクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、上記インクの液滴からなるドットを記録する記録手段とを備え、
上記駆動信号生成手段は、
1ドットを形成するための記録データを記憶する記憶手段と、
上記ノズルから吐出する上記インクの液滴の数を決定するためのパルスを生成するパルス生成手段と、
上記記憶手段に記憶された上記記録データと、上記パルス生成手段によって生成された上記パルスの数とを比較し、該記録データが該パルスの数以上の場合は、ハイ信号であり、該記録データが該パルスの数未満の場合は、ロー信号である上記素子駆動信号を生成する比較手段とを有し、
上記複数の発熱素子にそれぞれ対応する記録データを、上記ブロックの前半の発熱素子に対応する前半の記録データと後半の発熱素子に対応する後半の記録データとに、時間的に2つに分け、
上記前半の発熱素子においては、1つのインクの液滴で1つのドットを形成するときの上記記録媒体上の位置である格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、上記記録媒体の搬送方向の上流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、該記録媒体の搬送方向の下流側に振り分けて、順次着弾させ、
上記後半の発熱素子においては、上記格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、上記記録媒体の搬送方向の下流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、該記録媒体の送り方向の上流側に振り分けて、順次着弾させる記載の記録ヘッド。 - 複数のノズルからインクの液滴を吐出させる駆動素子としての複数の発熱素子を有して搬送される記録媒体の搬送方向に対して略垂直方向に上記複数の発熱素子が配列されている記録ヘッドを備え、上記インクの液滴からなるドットで文字及び/又は画像を含む情報を記録するインクジェットプリンタであって、
1つのドットを形成するために1つ又は複数の上記インクの液滴を用い、上記インクの液滴の数でドットの径の変調を行うような素子駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
上記複数のノズルに対応した上記複数の発熱素子のうち空間的に配列されている所定個ずつを1つのブロックとして、上記複数の発熱素子を複数のブロックに分割し、各ブロックにまたがって同時に駆動される上記発熱素子の組単位で上記発熱素子を時分割で順次駆動させる時分割駆動手段と、
駆動する上記発熱素子に対応する上記ノズルから1つ又は複数の上記インクの液滴を吐出させて記録媒体に着弾させ、上記インクの液滴からなるドットを記録する記録手段とを備え、
上記駆動信号生成手段は、
1ドットを形成するための記録データを記憶する記憶手段と、
上記ノズルから吐出する上記インクの液滴の数を決定するためのパルスを生成するパルス生成手段と、
上記記憶手段に記憶された上記記録データと、上記パルス生成手段によって生成された上記パルスの数とを比較し、該記録データが該パルスの数以上の場合は、ハイ信号であり、該記録データが該パルスの数未満の場合は、ロー信号である上記素子駆動信号を生成する比較手段とを有し、
上記複数の発熱素子にそれぞれ対応する記録データを、上記ブロックの前半の発熱素子に対応する前半の記録データと後半の発熱素子に対応する後半の記録データとに、時間的に2つに分け、
上記前半の発熱素子においては、1つのインクの液滴で1つのドットを形成するときの上記記録媒体上の位置である格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、上記記録媒体の搬送方向の上流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、該記録媒体の搬送方向の下流側に振り分けて、順次着弾させ、
上記後半の発熱素子においては、上記格子点を中心にして、偶数発目のインクの液滴を、上記記録媒体の搬送方向の下流側に振り分け、奇数発目のインクの液滴を、該記録媒体の送り方向の上流側に振り分けて、順次着弾させるインクジェットプリンタ。
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